(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各階の乗り場に設けられており行き先階への方向に関する入力内容に応じて上下方向に移動するカゴの呼び寄せを指示するホール呼び装置と、前記カゴ内に設置されており行き先階が入力されるカゴ呼び装置と、を備える、エレベーターの乗り降り人数推定装置において、
各階での延べ乗り人数及び延べ降り人数を取得するための計測結果を出力する計測部と、
前記ホール呼び装置による前記カゴの呼び寄せに応じて、前記カゴがサービスする階床において前記カゴに乗車する人の有無を推定する推定部と、を備え、
前記推定部は、
前記カゴが任意の階に停車した際に、前記カゴのドアが戸開した時刻以前に発生した前記カゴの呼び寄せのうち、該呼び寄せが発生した後に、他のカゴのドアが戸開していない呼び寄せであり、かつ、前記カゴが戸開した時刻に最も近い呼び寄せが有るかを判定し、該当する呼び寄せが有る場合に前記カゴに乗車する人が有るとし、該当する呼び寄せがない場合に前記カゴに乗車する人がないとして前記推定結果を補正し、前記計測結果に基づく前記各階の延べ乗り人数から前記任意の階で一時的に乗車した人数を除いた正味の乗り人数としてのユニーク乗り人数を算出する一方、前記計測結果に基づく前記各階の延べ降り人数から前記任意の階で一時的に降車した人数を除いた正味の降り人数としてのユニーク降り人数を算出する
ことを特徴とする、エレベーターの乗り降り人数推定装置。
各階の乗り場に設けられており行き先階への方向に関する入力内容に応じて上下方向に移動するカゴの呼び寄せを指示するホール呼び装置と、前記カゴ内に設置されており行き先階が入力されるカゴ呼び装置と、を備える、エレベーターの乗り降り人数推定装置における乗り降り人数推定方法において、
計測部が、各階での延べ乗り人数及び延べ降り人数を取得するための計測結果を出力する計測ステップと、
推定部が、前記ホール呼び装置による前記カゴの呼び寄せに応じて、前記カゴがサービスする階床において前記カゴに乗車する人の有無を推定する推定ステップと、
前記推定部が、前記カゴが任意の階に停車した際に、前記カゴのドアが戸開した時刻以前に発生した前記カゴの呼び寄せのうち、該呼び寄せが発生した後に、他のカゴのドアが戸開していない呼び寄せであり、かつ、前記カゴが戸開した時刻に最も近い呼び寄せが有るかを判定し、該当する呼び寄せが有る場合に前記カゴに乗車する人が有るとし、該当する呼び寄せがない場合に前記カゴに乗車する人がないとして前記推定結果を補正し、前記計測結果に基づく前記各階の延べ乗り人数から前記任意の階で一時的に乗車した人数を除いた正味の乗り人数としてのユニーク乗り人数を算出する一方、前記計測結果に基づく前記各階の延べ降り人数から前記任意の階で一時的に降車した人数を除いた正味の降り人数としてのユニーク降り人数を算出する算出ステップと、
を有することを特徴とする、エレベーターの乗り降り人数推定方法。
各階の乗り場に設けられており行き先階への方向に関する入力内容に応じて上下方向に移動するカゴの呼び寄せを指示するホール呼び装置と、前記カゴ内に設置されており行き先階が入力されるカゴ呼び装置と、を備える、エレベーターの乗り降り人数推定装置における乗り降り人数推定プログラムにおいて、
計測部に、各階での延べ乗り人数及び延べ降り人数を取得するための計測結果を出力させる計測ステップと、
推定部に、前記ホール呼び装置による前記カゴの呼び寄せに応じて、前記カゴがサービスする階床において前記カゴに乗車する人の有無を推定させる推定ステップと、
前記推定部に、前記カゴが任意の階に停車した際に、前記カゴのドアが戸開した時刻以前に発生した前記カゴの呼び寄せのうち、該呼び寄せが発生した後に、他のカゴのドアが戸開していない呼び寄せであり、かつ、前記カゴが戸開した時刻に最も近い呼び寄せが有るかを判定し、該当する呼び寄せが有る場合に前記カゴに乗車する人が有るとし、該当する呼び寄せがない場合に前記カゴに乗車する人がないとして前記推定結果を補正させ、前記計測結果に基づく前記各階の延べ乗り人数から前記任意の階で一時的に乗車した人数を除いた正味の乗り人数としてのユニーク乗り人数を算出させる一方、前記計測結果に基づく前記各階の延べ降り人数から前記任意の階で一時的に降車した人数を除いた正味の降り人数としてのユニーク降り人数を算出させる算出ステップと、
を実行させることを特徴とする、コンピュータ読み取り可能な乗り降り人数推定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0015】
(1)第1の実施の形態
(1−1)システム構成
図1は、第1の実施の形態によるエレベーターの乗り降り人数推定装置のシステム構成例を示すブロック図である。エレベーターの乗り降り人数推定装置は、エレベーターシステム110、延べ乗り降り人数推定部104及びユニーク乗り降り人数算出部101を備え、運行実績データ102及び延べ乗り降り人数データ103を用いてユニーク乗り降り人数データ112を生成し、ユニーク乗り降り人数算出部101に引き渡す。これら各要素は、コンピュータ上で動作するプログラムにより構成されており、外部からコンピュータにインストールされる形態であっても良い。
【0016】
なお、以降の実施の形態では、エレベーターのカゴへの乗降の際に一時的に乗り込んだ人数を含まない正味の乗り人数を総称する用語として「ユニーク乗り人数」を用いるとともに、エレベーターのカゴへの乗降の際に一時的な下車した人数を含まない正味の降り人数を総称する用語として「ユニーク降り人数」を用いる一方、ユニーク乗り人数及びユニーク降り人数の両方を総称する用語として「ユニーク乗り降り人数」を用いる。
【0017】
さらに乗り降り人数推定装置は、必要に応じてセンサーシステム111を備えていても良い。このセンサーシステム111は、エレベーターのカゴ内に計測部として、カメラ、深度センサー、赤外線センサー及びレーザセンサーのいずれかまたはいずれかの組み合わせを用いてカゴの乗り降り人数を計測し、各階床でのカゴの乗り降りの際におけるドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中における延べ乗り人数及び延べ降り人数の総合計の人数(延べ乗り降り人数)を表す延べ乗り降り人数データ103を出力する機能を有する。
【0018】
これらエレベーターシステム110、延べ乗り降り人数推定部104及びユニーク乗り降り人数算出部101は、それぞれ相互に接続されているが、必要に応じて図示しないネットワークを経由して接続されても良い。
【0019】
エレベーターシステム110は、後述する運行実績データ102を出力し、延べ乗り降り人数推定部104及びユニーク乗り降り人数算出部101に引き渡す。
【0020】
延べ乗り降り人数推定部104は、センサーシステム111とともにまたは単独で、延べ乗り降り人数データ103を出力し、ユニーク乗り降り人数算出部101に引き渡す。
【0021】
延べ乗り降り人数データ103が延べ乗り降り人数推定部104及びセンサーシステム111の両方から出力された場合において両者の値が異なるときは、ユニーク乗り降り人数算出部101は、どちらか一方のみを利用するまたは平均値を利用するようにしても良い。
【0022】
ユニーク乗り降り人数算出部101は、延べ乗り降り人数データ103及び運行実績データ102に基づいて、後述するようにユニーク乗り降り人数データ112を生成し出力する。
【0023】
(1−2)データ例
図2は、
図1に示すエレベーターの運行実績データ102として、単一カゴの運行実績データの一例を示す。このエレベーターの運行実績データ102は、少なくともエレベーター停車位置、エレベーターのドアの開閉状況、及び、カゴを呼ぶ指令(以下「ホール呼び」という)の状況を含んでいる。なお、図示の例では、横軸は時刻tを表し、縦軸は階床fを表している。これらにより、運行実績データ102は、実質的に、カゴのドアが開き始めた時刻である戸開開始時刻、カゴの移動方向、及び、カゴが停車している階床のみならず、さらに、ドアが開き始めた時点のカゴ内荷重の値、ドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内荷重の値、及び、ドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中におけるカゴ内荷重の値の最小値を管理している。
【0024】
太線で示した運行態様911,912,913,914は、それぞれ1階、2階、3階及び5階においてエレベーターが順にドアを開いて停車したことを示す。運行形態921は、3階でホール呼びがあったことを示し、その他の階ではホール呼びがなかったことを示す。
【0025】
この運行実績データ102において乗り降りが発生しうる階床は、エレベーターがドアを開いて停車していた、1階、2階、3階及び5階である。そのうち、2階では1階から多数の人が乗車したため、降りる人のために、一時的に降りて乗った人が3名生じたとし、他の階では、一時的な乗り降りは発生しなかったものと仮定する。
【0026】
図中には記載していないが、運行実績データ102は、ドアが開き始めた時点(戸開開始時刻)及びドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内荷重またはカゴ内人数、及び、ドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中のカゴ内荷重またはカゴ内人数の最小値を、少なくとも含むものとする。
【0027】
図3は、
図1に示す延べ乗り降り人数データ103の一例を示す。延べ乗り降り人数データ103は、停止階1001ごとに、降り人数1002、乗り人数1003、戸開開始時刻1004及び戸開終了時刻1005に関する情報を含む。この延べ乗り降り人数データ103は、
図2に示す運行実績データ102に対応している。
【0028】
2階における、降り人数1011の10人、及び、乗り人数1012の3人には、それぞれ、
図2の説明において述べた一時的に降りて再度乗った3人が含まれていることとした。なお、この延べ乗り降り人数データ103は、戸開開始時刻及び戸開終了時刻に関する情報を含んでも良い。
【0029】
図4は、ユニーク乗り降り人数データ112の一例を示す。ユニーク乗り降り人数データ112は、停止階1101ごとに、降り人数1102及び乗り人数1103に関する情報を含む。
【0030】
この例では、2階における乗り降り人数1111のみ、
図3に示す延べ乗り降り人数データ103と異なっており、それぞれ一時的な乗り降り人数を除いて降り人数1111が7人、乗り人数1112が0人となっている。なお、ユニーク乗り降り人数データ112は、戸開開始時刻及び戸開終了時刻に関する情報を含んでも良い。
【0031】
(1−3)ユニーク乗り降り人数の推定原理
図5及び
図6を用いて、本実施の形態によるユニーク乗り降り人数を推定する原理について説明する。まず、
図5は、横軸が時刻tであり、縦軸がカゴ内荷重Wである。図示の例では、特定のカゴがドアを開いて停車している間におけるカゴ内荷重Wの時間変化を例示している。
【0032】
時刻t411は、ドアが開き始めた時刻を示し、時刻t412は、ドアが閉じ終わった時刻を示す。時刻t411ではカゴ内荷重W421であり、時刻t412ではカゴ内荷重W422である。特に、ドアが開き始めた時刻t411からドアが閉じ終わった時刻t412の間におけるカゴ内荷重の最小値は、カゴ内荷重W423である。
【0033】
そこで本実施の形態では、エレベーターの各階において人が乗降する際に一時的に乗降した人数を除外した正味の乗り降り人数であるユニーク乗り降り人数を算出するため、各階において到着したカゴの今後の移動方向と同一の方向に移動する人、すなわち、カゴに乗車する人の有無を推定する推定手段を用いて、エレベーターの停車に対応した各階においてカゴに乗車する人(以下省略して「乗車する人」という)の有無によって、乗り降り人数の算出方法を、以下に示すように補正する。
【0034】
上述した推定手段としては、例えば、各階に備え付けられたエレベーターのカゴを呼び寄せるためのホール呼びボタンの方向別の押下状況によって判断してする。
【0035】
各階に上記乗車する人が存在する場合(有の場合)には、次のような算出方法で推定する。すなわち、この算出方法では、カゴ内の荷重は降車完了時点を最小と仮定し、ドアが開き始めた時刻t411におけるカゴ内荷重W421とカゴ内荷重の最小値W423との差D431を、降り人数とする一方、カゴ内荷重の最小値W423とドアが閉じ終わった時刻t412のカゴ内荷重W422との差D432を乗り人数として、乗り降り人数を算出する。前述したように、この算出方法を用いて暫定的に算出されるのは、延べ乗り降り人数であり、ユニークな乗り降り人数ではない。
【0036】
一方、各階に上記乗車する人が存在しない場合(無の場合)には、乗り人数を0として降り人数を推定する。
【0037】
図5におけるカゴ内荷重の最小値W423とドアが閉じ終わった時刻t412のカゴ内荷重W422の差D432は、全て一時的な乗り人数をす一方、ドアが開き始めた時刻t411のカゴ内荷重W421とカゴ内荷重の最小値W423との差D431は、ユニーク降り人数及び一時的な降り人数の和を表す。一時的な降り人数と乗り人数とは等しいため、カゴ内荷重の差D431と差D432との差D433を、ユニークな降り人数とみなす。
【0038】
なお、その代わりに、各階に上記乗車する人が存在する場合(有の場合)にも、降り人数の一部を予め設定にしておいた割合に従って、一時降車としても良い。その場合は、ドアが開き始めた時刻t411のカゴ内荷重W421とカゴ内荷重の最小値E423の差D431のうち、前期割合分を「一時的な降り人数」とする一方、残りの人数を「ユニーク降り人数」とする。ドアが閉じ終わった時刻t412のカゴ内荷重W422とカゴ内荷重の最小値W423との差D432は、ユニーク降り人数及び一時的な降り人数の和で表される。一時的な降り人数と乗り人数は等しいため、差D432の値から、さらに、上記割合によって求めた一時的な降り人数を減算した結果を、ユニークな降り人数とみなす。
【0039】
ここでは、カゴ内荷重の時間変化を一例として説明したが、
図6に示すようにカゴ内人数の時間変化を対象としても、同様な算出方法を用いて乗り降り人数を算出することができる。また、カゴ内荷重は、例えば一人あたりの平均体重を60kgと仮定し、カゴ内荷重の各値を平均体重で除算すれば、カゴ内人数に換算したり、または、その逆にカゴ内人数をカゴ内荷重に換算することもできる。
【0040】
本実施の形態においては、カゴ内荷重またはカゴ内人数の時間変化ではなく、延べ乗り降り人数に関する延べ乗り降り人数データ103がユニーク乗り降り人数算出部101に入力されるとしているが、この場合でも考え方は上述した算出方法とほぼ同様である。
【0041】
(1−4)ユニーク乗り降り人数推定処理
図7は、本実施の形態におけるユニーク乗り降り人数推定処理の一例を示す。このユニーク乗り降り人数推定処理は、ユニーク乗り降り人数算出部101によって実行される処理の一例を示す。
【0042】
ステップS601では、ユニーク乗り降り人数算出部101が、運行実績データ102から、カゴのドアが開き始めた時刻である戸開時刻、カゴの移動方向、及び、カゴが停車している階床を取得する一方、延べ乗り降り人数データ103から、ドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中における延べ乗り人数及び延べ降り人数を取得する。
【0043】
ステップS602では、ユニーク乗り降り人数算出部101が、カゴがサービスする階床(停止階床)において当該到着したカゴの今後の移動方向と同一の方向に移動する人(上記乗車する人に相当)の有無を推定する。ここで、当該乗車する人の有無をホール呼びボタンの押下状況によって推定する場合、ユニーク乗り降り人数算出部101は、エレベーターのドアが戸開した時刻(戸開時刻に相当)以前に発生したホール呼びのうち、ホール呼びが発生した後であって、他のエレベーターが戸開していないホール呼びであり、かつ、このエレベーターのカゴが戸開した時刻(戸開時刻に相当)に最も近いホール呼びの有無を取得する。ユニーク乗り降り人数算出部101は、ホール呼びが有る場合には上記乗車する人が有るものとみなす一方、ホール呼びが無い場合には上記乗車する人が無いものとみなす。
【0044】
ステップS603では、ユニーク乗り降り人数算出部101が、上記乗車する人に該当する利用者の有無に応じて、上記乗車する人が有る場合にはステップS604を実行する一方、上記乗車する人が無い場合にはステップS605に実行する。
【0045】
このステップS604では、ユニーク乗り降り人数算出部101が、ユニーク乗り人数を、ステップS601で取得した延べ乗り人数とする一方、ユニーク降り人数を、ステップS601で取得した延べ降り人数として、それぞれ出力し、処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS605では、ユニーク乗り降り人数算出部101が、ユニーク乗り人数が0であるとして、ユニーク降り人数を、延べ降り人数から延べ乗り人数を減算した値として推定し、処理を終了する。
【0047】
以上のようにすると、本実施の形態では、各階においてエレベーターのカゴから一時的に乗降する人の人数を除いた正味の乗り降り人数を表すユニーク乗り降り人数データ112を生成することができる。このように正確なユニーク乗り降り人数データ112を用いてシミュレーションを実施すると、より正確な人の移動態様を把握することができるようになる。
【0048】
(1−5)本実施の形態による効果
以上のように本実施の形態によれば、エレベーターのカゴ内の混雑時などに生じ易い一時的な乗り降り人数を除外した正味の乗り降り人数としてのユニーク乗り降り人数を正確に推定することができる。乗り降り人数は、エレベーター利用のOD行列などの推定の入力としても用いられるが、ユニーク乗り降り人数を入力することにより、エレベーター利用のOD行列の推定の誤りも改善することができる。
【0049】
上述したユニーク乗り降り人数ではなく、上記延べ乗り降り人数に基づいてシミュレーションを実施した場合、本来乗車が発生しない階からも上記乗車する人を発生させてしまうため、現実とは乖離したシミュレーション結果が得られてしまうおそれがあるが、本実施の形態のようなユニーク乗り降り人数を用いてシミュレーションを実施した場合には、実際の利用に即したシミュレーションを実施可能であるため、今後設置予定のみならず現状稼働済みのエレベーターやビルについてシミュレーションを実施するときにおいても、より精度の高いシミュレーションを実施することができる。さらには、エレベーターの速度、カゴのサイズ、制御方式及び停止階などを変更した場合でも、それらの影響をより正確に反映したシミュレーション結果に基づいて評価を実施することができる。
【0050】
(2)第2の実施の形態
(2−1)システム構成
図8は、第2の実施の形態によるエレベーターの乗り降り人数推定装置1Aのシステム構成例を示すブロック図である。
【0051】
第2の実施の形態による乗り降り人数推定装置1Aは、第1の実施の形態によるエレベーターの乗り降り人数推定装置とほぼ同様の構成であるとともにほぼ同様の動作であるため、以下、主として両者の相違点を中心として説明する。
【0052】
乗り降り人数推定装置1Aは、第1の実施の形態による乗り降り人数推定装置とは、延べ乗り降り人数推定部104、センサーシステム111及び延べ乗り降り人数データ103が省略されている点が異なっている。すなわち、この乗り降り人数推定装置1Aは、エレベーターシステム110及びユニーク乗り降り人数算出部201を備え、それらがそれぞれ相互に接続され、必要に応じてネットワーク越しに接続されている。このユニーク乗り降り人数算出部201は、多少機能が異なるが、第1の実施形態におけるユニーク乗り降り人数算出部101に相当している。
【0053】
運行実績データ102は、第1の実施形態と同様にエレベーターシステム110から出力され、ユニーク乗り降り人数算出部201に入力される。ユニーク乗り降り人数算出部201は、以下のようなユニーク乗り降り人数推定処理を実行してユニーク乗り降り人数データ112を取得して出力する。
【0054】
(2−2)ユニーク乗り降り人数推定処理
図9は、ユニーク乗り降り人数推定処理の一例を示すフローチャートである。なお、このユニーク乗り降り人数推定処理は、ユニーク乗り降り人数算出部201によって実行される。
【0055】
ステップS801では、ユニーク乗り降り人数算出部201が、運行実績データ102から、カゴのドアが開き始めた時刻である戸開開始時刻、カゴの移動方向、及び、カゴが停車している階床を取得し、さらに、運行実績データ102から、ドアが開き始めた時点のカゴ内荷重の値、ドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内荷重の値、及び、ドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中におけるカゴ内荷重の値の最小値を取得する。
【0056】
ステップS802では、ユニーク乗り降り人数算出部201が、カゴの停止階床において、カゴに乗車する人の有無を推定する。上記乗車する人の有無について、ホール呼びボタンの押下状況に応じて推定する場合には、エレベーターのカゴが戸開した時刻以前に発生したホール呼びのうち、ホール呼びが発生した後、他のエレベーターが戸開していないホール呼びであり、かつ、エレベーターのカゴが戸開した時刻に最も近いホール呼びが有るか否かを判定することにより、そのホール呼びが有る場合には上記乗車する人が有るものとみなし、そのホール呼びが無い場合には上記乗車する人が無いものとみなす。
【0057】
ステップS803では、ユニーク乗り降り人数算出部201が、上記乗車する人に該当する人の有無に応じて、上記乗車する人が有る場合にはステップS804を実行する一方、上記乗車する人が無い場合にはステップS805を実行する。
【0058】
ステップS804では、ユニーク乗り降り人数算出部201が、ユニーク乗り人数が0以上であるとして、
図5または
図6を用いて説明したように、カゴのドアが開き始めた時点(戸開開始時刻)のカゴ内人数またはカゴ内荷重と、カゴのドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中のカゴ内人数またはカゴ内荷重の最小値の差を、ユニーク降り人数として、一方、カゴのドアが閉じ終わった時点のカゴ内人数またはカゴ内荷重と、カゴのドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中のカゴ内人数またはカゴ内荷重の最小値の差を、ユニーク乗り人数として、それぞれ推定し、処理を終了する。
【0059】
ステップS805では、ユニーク乗り降り人数算出部201が、ユニーク乗り人数が0であることから、
図5または
図6を用いて説明したように、カゴのドアが開き始めた時点のカゴ内人数またはカゴ内荷重と、カゴのドアが閉じ終わった時点のカゴ内人数またはカゴ内荷重との差を、ユニーク降り人数として推定し、処理を終了する。
【0060】
(2−3)本実施の形態による効果
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、エレベーターのカゴ内の混雑時などに生じ易い一時的な乗り降り人数を除外した乗り降り人数であるユニーク乗り降り人数を推定することができる。
【0061】
(3)第3の実施の形態
(3−1)システム構成
図10は、第3の実施の形態によるエレベーターの乗り降り人数推定装置1Bのシステム構成例を示すブロック図である。
【0062】
第3の実施の形態による乗り降り人数推定装置1Bは、第1の実施の形態によるエレベーターの乗り降り人数推定装置とほぼ同様の構成であるとともにほぼ同様の動作であるため、以下、主として両者の相違点を中心として説明する。
【0063】
第3の実施の形態によるエレベーターの乗り降り人数推定装置1Bは、エレベーターシステム110、センサーシステム111A及びユニーク乗り降り人数算出部301を備え、それらがそれぞれ相互に接続され、必要に応じてネットワーク越しに接続されている。
【0064】
センサーシステム111Aは、前述した実施の形態におけるセンサーシステム111とほぼ同様の機能であり、エレベーターのカゴ内に、カメラ、深度センサー、赤外線センサー、レーザセンサーのいずれかまたはそれらの組み合わせを用いて、カゴ内人数を計測してカゴ内人数を表すカゴ内人数データ106をユニーク乗り降り人数算出部301に出力する。
【0065】
センサーシステム111Aは、カゴ内の人数の計測と同時に、ドアの開閉状況についても計測し、少なくともドアが開き始めた時点(戸開開始時刻)及びドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内荷重またはカゴ内人数と、ドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中のカゴ内荷重またはカゴ内人数の最小値とを含むカゴ内人数データ106を出力する。
【0066】
一方、エレベーターシステム110は、前述した各実施の形態と同様に、運行実績データ102を出力し、ユニーク乗り降り人数算出部301に引き渡す。
【0067】
ユニーク乗り降り人数算出部301は、以下に示すユニーク乗り降り人数推定処理を用いてユニーク乗り降り人数データ112を出力する。
【0068】
(3−2)ユニーク乗り降り人数推定処理
図11は、ユニーク乗り降り人数推定処理の一例を示すフローチャートである。なお、このユニーク乗り降り人数推定処理は、ユニーク乗り降り人数算出部301によって実行される。
【0069】
ステップS701では、ユニーク乗り降り人数算出部301が、運行実績データ102から、カゴのドアが開き始めた時点(戸開開始時刻)、カゴの移動方向、及び、カゴが停車している階床を取得する。さらにユニーク乗り降り人数算出部301は、カゴ内人数データ106から、ドアが開き始めた時点(戸開開始時刻)のカゴ内人数の値、ドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内人数の値、及び、ドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中におけるカゴ内人数の値の最小値を取得する。
【0070】
ステップS702では、ユニーク乗り降り人数算出部301が、カゴの停止階床において、到着したカゴの今後の移動方向と同一の方向に移動する人(上記乗車する人に相当)の有無を推定する。上記乗車する人の有無についてホール呼びボタンの押下状況によって推定する場合、ユニーク乗り降り人数算出部301は、エレベーターのドアが戸開した戸開開始時刻以前に発生したホール呼びのうち、ホール呼び発生後、他のエレベーターが戸開していないホール呼びであり、かつ、このエレベーターのカゴが戸開した時刻に最も近いホール呼びの有無を取得する。ユニーク乗り降り人数算出部301は、そのホール呼びが有る場合には上記乗車する人が有るものとみなす一方、そのホール呼びが無い場合には上記乗車する人が無いものとみなす。
【0071】
ステップS703では、ユニーク乗り降り人数算出部301が、上記乗車する人に該当する人の有無に応じて、上記乗車する人が有る場合には次のようなステップS704を実行する一方、上記乗車する人が無い場合には後述するステップS705を実行する。
【0072】
ステップS704では、ユニーク乗り降り人数算出部301が、ユニーク乗り人数が0以上であるとして、
図5または
図6を用いて説明したように、カゴのドアが開き始めた時点のカゴ内人数またはカゴ内荷重と、カゴのドアが開き始めてから閉じ終わるまで戸開時間中のカゴ内人数またはカゴ内荷重の最小値との差をユニーク降り人数とする一方、カゴのドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内人数またはカゴ内荷重と、カゴのドアが開き始めてから閉じ終わるまでの戸開時間中のカゴ内人数またはカゴ内荷重の最小値との差をユニーク乗り人数として、それぞれ推定し、処理を終了する。
【0073】
ステップS705では、ユニーク乗り降り人数算出部301が、ユニーク乗り人数が0であるとして、
図5または
図6を用いて説明したように、カゴのドアが開き始めた時点(戸開開始時刻)のカゴ内人数またはカゴ内荷重と、カゴのドアが閉じ終わった時点(戸開終了時刻)のカゴ内人数またはカゴ内荷重との差を、ユニーク降り人数として推定し、処理を終了する。
【0074】
(3−3)本実施の形態による効果
以上のように本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、エレベーターのカゴ内の混雑時などに生じ易い一時的な乗り降り人数を除外した乗り降り人数であるユニーク乗り降り人数を推定することができる。
【0075】
(4)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替え又は並行動作するように構成しても良い。また、上記実施形態における各処理ブロックを含むプログラムは、例えばコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体に格納されている形態であっても良い。