特許第6963476号(P6963476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963476電力変換装置および該電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963476
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】電力変換装置および該電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20211028BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20211028BHJP
【FI】
   H02M3/155 C
   H02M7/48 R
   H02M7/48 M
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-227400(P2017-227400)
(22)【出願日】2017年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-207763(P2018-207763A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-106220(P2017-106220)
(32)【優先日】2017年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199864
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 良成
(72)【発明者】
【氏名】中村 英人
【審査官】 須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−124551(JP,A)
【文献】 特開2011−200078(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/018038(WO,A1)
【文献】 特開2003−259653(JP,A)
【文献】 特開2009−089534(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0139514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力をリアクトルを介して入力し前記直流電力の電圧を昇圧または降圧して出力するスイッチング素子で構成されるコンバータ回路と、
前記リアクトルに流れる電流を検出する電流検出器と、
前記コンバータ回路のスイッチング素子をオン/オフし、前記電流検出器の出力を監視する制御部と、
を備えた電力変換装置において、
前記制御部は、
前記電流検出器の電流出力信号のリプル電流値に基づいて前記リアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出する状態検出回路と、
前記電流検出器の電流出力信号の実効電流値を検出する実効電流検出回路と、
前記実効電流値に対応した所定の閾値を算出する閾値算出部と、
前記比較対象値が前記所定の閾値を超えると前記リアクトルが異常であると判定する判定部と、
前記リアクトルが異常であると判定されたとき、前記コンバータ回路のスイッチング素子に対する制御信号の出力を停止するスイッチング素子制御部と、
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記閾値算出部は、一次関数に前記実効電流値を代入して閾値を算出することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
交流電力をリアクトルを介して入力しスイッチング素子により直流電力に変換し、または直流電力を前記スイッチング素子により交流電力に変換して前記リアクトルを介して出力するインバータ回路と、
前記リアクトルに流れる電流を検出する電流検出器と、
前記インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフし、前記電流検出器の出力を監視する制御部と、
を備えた電力変換装置において、
前記制御部は、
前記電流検出器の電流出力信号のリプル電流値に基づいて前記リアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出する状態検出回路と、
前記電流検出器の電流出力信号の実効電流値を検出する実効電流検出回路と、
前記交流電力を直流電力に変換するときは前記実効電流値によらず所定の固定値とし、前記直流電力を交流電力に変換するときは前記実効電流値に対応した所定の閾値を算出する閾値算出部と、
前記比較対象値が前記所定の閾値を超えると前記リアクトルが異常であると判定する判定部と、
前記リアクトルが異常であると判定されたとき、前記インバータ回路のスイッチング素子に対する制御信号の出力を停止するスイッチング素子制御部と、
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
前記閾値算出部は、前記リアクトルを流れる前記実効電流値から前記リアクトルのインダクタンス値を算定し、該インダクタンス値に所定の割合を乗じたインダクタンス値と、前記コンバータ回路の入力電圧値および出力電圧値と、駆動周波数とから、前記リアクトルに流れるリプル電流値を算出し、該リプル電流値を前記比較対象値と比較可能な数値に変換して前記所定の閾値とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記閾値算出部は、前記リアクトルを流れる前記実効電流値から前記リアクトルのインダクタンス値を算定し、該インダクタンス値に所定の割合を乗じたインダクタンス値と、前記インバータ回路の入力電圧値および出力電圧値と、駆動周波数とから、前記リアクトルに流れるリプル電流値を算出し、該リプル電流値を前記比較対象値と比較可能な数値に変換して前記所定の閾値とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記リアクトルを流れる前記実効電流値から算定される前記リアクトルのインダクタンス値は、前記実効電流値を変数とする所定の多項式によって近似され、該多項式に計測された実効電流値を入力することで当該実効電流値に対するインダクタンス値を算定することを特徴とする請求項4または5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記状態検出回路は、商用周波数の所定の位相でリプル電流を連続してサンプリングすることを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記状態検出回路は、前記リアクトルに流れる電流のうちリプル電流を取り出し、ゼロボルト基準の波形に変換するリプル電流取り出し回路と、前記リプル電流を実効値に変換する絶対値回路とを有し、前記実効値に基づき前記比較対象値を算出することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項9】
直流電力をリアクトルを介して入力し前記直流電力の電圧を昇圧または降圧して出力するスイッチング素子で構成されるコンバータ回路における前記リアクトルまたは直流電力を入力し交流電力に変換してリアクトルを介して出力するインバータ回路における前記リアクトルの異常検出方法であって、
前記リアクトルに流れる電流を電流検出器により検出するステップと、
前記電流検出器の電流出力信号のリプル電流値に基づいて前記リアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出するステップと、
前記電流検出器の電流出力信号の実効電流値を検出するステップと、
前記実効電流値から所定の閾値を算出するステップと、
前記比較対象値と前記所定の閾値とを比較するステップと、
前記比較対象値が前記所定の閾値を超えたとき前記リアクトルが異常と判定するステップと、
を含むことを特徴とする電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置および該電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や経済効果等の観点から太陽電池や蓄電池を備えた蓄電システムの需要が増加している。太陽電池により発電された直流電力や蓄電池に充電された直流電力をコンバータ回路により昇圧または降圧し、さらにその直流電力を双方向インバータ回路により交流電力に変換し、また交流電力を直流電力に変換する電力変換装置を備えた蓄電システムにおいて、スイッチング素子、コンデンサ等とともにリアクトルが不可欠な電気部品として使用されている。
【0003】
このリアクトル(インダクタまたはコイルともいう)として、例えばトロイダルコア型を採用した場合、ドーナツ型コアを使用しているため、構造上ドーナツ型コアの内側では巻線の密度が高くなり、隣り合う巻線同士が接触し、最悪の場合巻線同士が短絡する可能性がある。この短絡が発生するとリアクトルのインダクタンス値が減少してリプル電流が増大し、その結果リアクトルの温度が急激に上昇し、焼損に至る場合がある。
【0004】
このような温度上昇を検出するために、特許文献1には、電力変換装置のフィルタコンデンサの周囲温度を測定するために温度センサを用いる技術が開示されている。
この技術を応用することによって、蓄電システムに使用されているリアクトルの巻線間短絡、すなわち、レアショートを検出することができる。
【0005】
図24は、温度ヒューズを取付けたトロイダルコア型リアクトルの模式図である。リアクトルに温度ヒューズを取付け、温度ヒューズとリード線とをはんだつけ等により接続し、そのリード線とケーブルハーネスとをかしめにより接続する。
この温度ヒューズにより、リアクトルのレアショート(巻線間短絡)による異常過熱を検出し、その検出信号によって異常と判定されれば、電力変換装置の動作を停止し保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−196082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、リアクトルに温度ヒューズを取り付けることで、レアショートを検出することが可能であるが、温度ヒューズを使用することで、温度ヒューズとリード線の接続部のクラックや、リード線とケーブルハーネスを接続するかしめ部の接触不良が発生し、誤検出につながるという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情を考慮してなされたもので、誤検出を防止しながらリアクトルの異常を検出することができる電力変換装置および該電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、リアクトルに流れる電流を計測する既存の電流検出器を用い、リアクトルに流れる電流に重畳されている駆動周波数のリプル電流を測定する。リアクトルにレアショートが発生するとリアクトルのインダクタンス値が減少し、リプル電流が増加するため、リプル電流を測定することにより、リアクトルのレアショートを検出することができる。
【0010】
すなわち、本発明は、直流電力をリアクトルを介して入力し、直流電力の電圧を昇圧または降圧して出力するスイッチング素子で構成されるコンバータ回路と、リアクトルに流れる電流を検出する電流検出器と、コンバータ回路のスイッチング素子をオン/オフし、電流検出器の出力を監視する制御部と、を備えた電力変換装置において、制御部は、電流検出器の電流出力信号のリプル電流値に基づいてリアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出する状態検出回路と、電流検出器の電流出力信号の実効電流値を検出する実効電流検出回路と、実効電流値に対応した所定の閾値を算出する閾値算出部と、比較対象値が所定の閾値を超えるとリアクトルが異常であると判定する判定部と、リアクトルが異常であると判定されたとき、コンバータ回路のスイッチング素子に対する制御信号の出力を停止するスイッチング素子制御部と、を備えたことを特徴とする電力変換装置である。
【0011】
この構成によれば、コンバータ回路に使用される直流リアクトルの異常を確実に検出でき、電力変換装置の損傷を未然に防ぐことができる。
【0012】
また、上記閾値算出部は、一次関数に実効電流値を代入して閾値を算出することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、リプル電流値の異常を判定する閾値は、実効電流値に対応して算出されるため、電力変換装置の使用環境に応じて適切に決めることができる。
【0014】
また、本発明の電力変換装置は、交流電力をリアクトルを介して入力しスイッチング素子により直流電力に変換し、または直流電力をスイッチング素子により交流電力に変換してリアクトルを介して出力するインバータ回路と、リアクトルに流れる電流を検出する電流検出器と、インバータ回路のスイッチング素子をオン/オフし、電流検出器の出力を監視する制御部と、を備えた電力変換装置において、制御部は、電流検出器の電流出力信号のリプル電流値に基づいてリアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出する状態検出回路と、電流検出器の電流出力信号の実効電流値を検出する実効電流検出回路と、交流電力を直流電力に変換するときは実効電流値によらず所定の固定値とし、直流電力を交流電力に変換するときは実効電流値に対応した所定の閾値を算出する閾値算出部と、比較対象値が所定の閾値を超えるとリアクトルが異常であると判定する判定部と、リアクトルが異常であると判定されたとき、インバータ回路のスイッチング素子に対する制御信号の出力を停止するスイッチング素子制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、インバータ回路に使用される交流リアクトルの異常を確実に検出でき、電力変換装置の損傷を未然に防ぐことができる。
【0016】
また、本発明の電力変換装置の閾値算出部は、リアクトルを流れる実効電流値からリアクトルのインダクタンス値を算定し、該インダクタンス値に所定の割合を乗じたインダクタンス値と、コンバータ回路の入力電圧値および出力電圧値と、駆動周波数とから、リアクトルに流れるリプル電流値を算出し、該リプル電流値を比較対象値と比較可能な数値に変換して所定の閾値とすることを特徴とする。
さらに、閾値算出部は、リアクトルを流れる実効電流値からリアクトルのインダクタンス値を算定し、該インダクタンス値に所定の割合を乗じたインダクタンス値と、インバータ回路の入力電圧値および出力電圧値と、駆動周波数とから、リアクトルに流れるリプル電流値を算出し、該リプル電流値を比較対象値と比較可能な数値に変換して所定の閾値とすることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、電力変換装置の入力電圧値が変化しても、その入力電圧に対応したリプル電流値の所定の閾値を算出することができ、リアクトルの異常を確実に検出することができる。
【0018】
また、リアクトルを流れる実効電流値から算定されるリアクトルのインダクタンス値は、実効電流値を変数とする所定の多項式によって近似され、その多項式に計測された実効電流値を入力することで当該実効電流値に対するインダクタンス値を算定することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、実効電流値に対するリアクトルのインダクタンス値を算定するので、実効電流値が変化してもリプル電流の異常を判定する所定の閾値を算出することができる。
【0020】
また、本発明の電力変換装置の状態検出回路は、商用周波数の所定の位相でリプル電流値を連続してサンプリングすることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、リアクトルに流れるリプル電流値が商用周波数の交流信号でも検出できるため、リアクトルの異常を確実に検出でき、電力変換装置の損傷を未然に防ぐことができる。
【0022】
また、上記電力変換装置の制御部の状態検出回路は、リアクトルに流れる電流のうちリプル電流を取り出し、ゼロボルト基準の波形に変換するリプル電流取り出し回路と、リプル電流を実効値に変換する絶対値回路とを有し、実効値に基づき比較対象値を算出することを特徴とする。
【0023】
この回路構成によれば、リアクトルに流れるリプル電流の実効値を精度よく検出でき、リアクトルの異常を確実に検出できる。
【0024】
さらに、本発明は、直流電力をリアクトルを介して入力し直流電力の電圧を昇圧または降圧して出力するスイッチング素子で構成されるコンバータ回路におけるリアクトルまたは直流電力を入力し交流電力に変換してリアクトルを介して出力するインバータ回路におけるリアクトルの異常検出方法であって、リアクトルに流れる電流を電流検出器により検出するステップと、電流検出器の電流出力信号のリプル電流値に基づいてリアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出するステップと、電流検出器の電流出力信号の実効電流値を検出するステップと、実効電流値から所定の閾値を算出するステップと、比較対象値と所定の閾値とを比較するステップと、比較対象値が所定の閾値を超えたときリアクトルが異常と判定するステップと、を含むことを特徴とする電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法である。
【0025】
この方法によれば、温度ヒューズを使用しなくても、リアクトルの異常を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上、本発明によれば、温度ヒューズを使用することなく、リアクトルの異常を検出することができるので、誤検出を防止しつつリアクトルの異常時に確実に電力変換装置を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る電力変換装置により構成される蓄電システムの概略回路図である。
図2】蓄電システムの制御部の主要ブロック図である。
図3】PVリアクトルに流れる電流波形である。
図4】レアショート箇所を模擬した位置を示す模式図である。
図5】レアショート箇所とインダクタンス値の一例を示す図である。
図6】PVリアクトルに流れる電流波形および検出回路の出力波形である。
図7】PVリアクトルの実効電流とリプル電流の関係を示す図である。
図8】PVリアクトルの状態検出回路である。
図9】PVリアクトルの実効電流検出回路である。
図10】PVリアクトルに流れる電流を模擬した信号の検出回路の出力波形である。
図11】PVリアクトルのリプル電流と閾値の関係を示す図である。
図12】DCリアクトルのリプル電流と閾値の関係を示す図である。
図13】ACリアクトルに流れる電流波形である。
図14】ACリアクトルの系統電圧位相に対するリプル電流である。
図15】ACリアクトルの実効電流とリプル電流の関係を示す図である。
図16】ACリアクトルの状態検出回路である。
図17】ACリアクトルに流れる電流を模擬した信号の検出回路の出力波形である。
図18】ACリアクトルのリプル電流と閾値の関係を示す図である。
図19】発電電力変換装置の入力電圧とリプル電流の関係を示す図である。
図20】PVリアクトルの重畳特性を示す一例である。
図21】実効電流とインダクタンス値のばらつきによるリプル電流の違いを示す図である。
図22】リプル電流の閾値とA/D閾値の相関関係を示す図である。
図23】リアクトルのレアショート判定のフロー図である。
図24】温度ヒューズを取付けたリアクトルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の電力変換装置および該電力変換装置が備えるリアクトルの異常検出方法について図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置により構成される蓄電システムの概略回路図である。
【0030】
図1に示す蓄電システム100は、太陽電池1により発電した直流電力を昇圧または降圧(同図は昇圧回路を示している)する片方向コンバータ回路6を備えた発電電力変換装置101と、系統入力28からの交流電力が直流電力に変換され、その直流電力を蓄電池11に充電し、また蓄電池11からの直流電力を昇圧または降圧する双方向コンバータ回路16を備えた蓄電電力変換装置102と、太陽電池や蓄電池からの直流電力を交流電力に変換し、また系統入力28からの交流電力を直流電力に変換する双方向インバータ回路20を備えた交直電力変換装置103と、制御部24、家庭負荷29、重要負荷30、開閉器25、開閉器26および切替器27から構成される。
系統入力28は電力会社等から給電される商用電源であり、開閉器25、26に接続される。
家庭負荷29は家庭で使用される電気製品等であり、重要負荷30は、家庭負荷のうち、停電時に電力を供給する必要がある照明装置や電気製品等である。
【0031】
発電電力変換装置101は、コンデンサ2、電圧検出器3、電流検出器4、PV(Photovoltaic)リアクトル5、片方向コンバータ回路6により構成される。
発電電力変換装置101は、太陽電池1により発電された直流電力を昇圧または降圧する。その昇圧または降圧された直流電力は、双方向インバータ回路20により交流電力に変換されて系統入力28に放電され、停電時には重要負荷30に供給される。また必要に応じて蓄電池11に充電される。
【0032】
蓄電電力変換装置102は、コンデンサ12、電圧検出器13、電流検出器14、DCリアクトル15、双方向コンバータ回路16、コンデンサ17および電圧検出器18により構成される。
蓄電電力変換装置102は、系統入力28からの交流電力が変換された直流電力を、双方向コンバータ回路16を介して蓄電池11に充電し、また蓄電池11の直流電力が双方向コンバータ回路16を介して昇圧または降圧され、その直流電力が交流電力に変換されて系統入力28に放電され、また停電時には重要負荷30に供給される。
【0033】
交直電力変換装置103は、コンデンサ19、双方向インバータ回路20、ACリアクトル21、電流検出器22、電圧検出器23により構成される。
交直電力変換装置103は、太陽電池1や蓄電池11の直流電力を交流電力に変換して、系統入力28または必要に応じて家庭負荷29および重要負荷30に供給し、また系統入力28からの交流電力を直流電力に変換して、蓄電池11に充電する。
【0034】
さらに、蓄電システム100は、開閉器25、開閉器26および切替器27を備える。開閉器25は、系統入力28と双方向インバータ回路20の入出力端子の同期投入および解列のためのスイッチである。開閉器26は、系統入力28から家庭負荷29および重要負荷30に電力を供給するスイッチである。
切替器27は、重要負荷30に系統入力28からの電力を供給するか双方向インバータ20からの電力を供給するかを切替えるスイッチである。
【0035】
図2は、蓄電システムの制御部の主要ブロック図である。制御部24は、状態検出回路24(1)、実効電流検出回路24(2)、閾値算出部24(3)、判定部24(4)およびスイッチング素子制御部24(5)から構成される。また、制御部24には、電圧検出器3、13、18および23からの電圧値が入力され、検出された電圧値が閾値算出部24(3)に出力される。
状態検出回路24(1)は、電流検出器4、14または22からの電流出力信号が入力され、リアクトルに流れるリプル電流値を検出し、リプル電流値に基づきリアクトルの状態を検出するための比較対象値を算出して判定部24(4)に出力する。
【0036】
また、実効電流検出回路24(2)は、電流検出器4、14または22からの電流出力信号が入力され、リアクトルに流れる実効電流値を検出し、閾値算出部24(3)に出力する。
さらに、閾値算出部24(3)は、リアクトルに流れる実効電流値を基にリプル電流値が異常かどうか判定する所定の閾値を算出する。
判定部24(4)は、比較対象値と所定の閾値とを比較し判定する。比較対象値が所定の閾値を超えているときは、スイッチング素子制御部24(5)にスイッチング素子の停止信号を出力する。
【0037】
スイッチング素子制御部24(5)は、判定部24(4)からの停止信号を受け、異常と判定されたリアクトルに対応する片方向コンバータ回路6、双方向コンバータ回路16または双方向インバータ回路20の制御を停止する。
なお、制御部24の閾値算出部24(3)、判定部24(4)およびスイッチング素子制御部24(5)は、図示はしていないが制御部24のマイクロコンピュータ(マイコン)のプログラムが実行されることによりその機能が実現される。
【0038】
(PVリアクトル)
図1に示す蓄電システム100は、PVリアクトル5、DCリアクトル15およびACリアクトル21の3つのリアクトルを備える。本発明のリアクトルの異常検出手段、すなわち、図2に示す制御部24の各ブロックにより実現される機能は、いずれのリアクトルにも適用できる。
最初にPVリアクトル5に適用する実施例を説明する。
【0039】
通常、リアクトルに流れる電流は、蓄電システム100で使用されるスイッチング素子の駆動周波数によるリプル電流が重畳されている。図3は、PVリアクトル5に流れる電流波形である。
図3の横軸は時間であり、縦軸は電流である。図3には2つの波形が表示されている。図3の上側の波形はリプル電流が重畳された電流波形であるが、リプル電流の周波数が高くリプル電流の波形が確認できないため、その拡大した波形を下側に示す。本実施例では、三角波の周波数は24kHzである。
【0040】
レアショート(巻線間短絡)が起きると、リアクトルのインダクタンス値が低下するため、リアクトルに流れるリプル電流が増加する。
トロイダルコア型リアクトルの構造上、どこの巻線間でショートするかはわからないが、リプル電流の計測のためにレアショート箇所を模擬した。図4は、レアショート箇所を模擬した位置を示す模式図である。
【0041】
図5は、そのレアショート箇所とインダクタンス値(L値)の一例を示す図である。図5の横軸は、図4に示す巻線のショート箇所であり、縦軸はその時のL値である。
これによれば、巻き終りの巻線と隣接する巻線との接触であっても、リアクトルのL値は半分以下に減少する。
【0042】
なお、図4に示す「巻き終り」とその隣接の巻線aとのレアショートを「1T隣接ショート」という。また以下に説明するDCリアクトルまたはACリアクトルの場合は多重の巻線であるため、同線の場合の隣接するレアショートを「1T隣接同線ショート」、他の線(異線)とのレアショートを「1T隣接異線ショート」という。
また、DCリアクトルの正常時、1T隣接同線ショート時、1T隣接異線ショート時のL値実測値は、それぞれ870μH、410μH、670μHであった。また、ACリアクトルでは、それぞれ230μH、100μH、160μH(U相とW相の2巻線の一方の巻線の値であり、2巻線を接続して測定する場合はそれぞれ約4倍となる)であった。
【0043】
ここで、図1に示すコンバータ回路6は昇圧型であり、そのPVリアクトル5を流れるリプル電流ΔIL(A)は、入力電圧Vin(V)、出力電圧Vout(V)、インダクタンスL(H),駆動周波数f(Hz)とすると、
ΔIL=Vin×(Vout−Vin)/(Vout×f×L)・・・(1)
で表される。すなわち、L値がレアショートにより減少すれば、減少したL値に反比例してリプル電流は増加する。
【0044】
図6は、PVリアクトル5に流れる電流波形および検出回路の出力波形である。図6に示す波形は、レアショートを模擬したL値が正常時の1/3程度になったときのオシロスコープに表示された波形である。下側の3つの波形は、上側の波形の拡大図である。(1)PVリアクトル電流波形、(2)電流検出器4による出力波形および(3)マイコン入力値(後述する)を示す。リプル電流の三角波のP−P値(Peak to Peak値)は約18Aで、L値が正常時のときに計測したP−P値の4.5Aと比べ、増加している。
このリアクトル電流の実効値は約10Aであり、リプル電流のマイコン入力値は3.1Vであった。
【0045】
ここで、マイコン入力値とは、電流検出器4により検出されたリアクトルのリプル電流が制御部24の状態検出回路24(1)により直流レベルの出力に変換された出力値のことである。この出力値が制御部24のマイコン(マイクロコンピュータ)に入力される。
【0046】
図7は、PVリアクトル5の実効電流とリプル電流の関係を示す図である。横軸はPVリアクトル5に流れる実効電流値であり、縦軸はリプル電流のP−P値である。PVリアクトル5の実効電流を変化させ、L値の「デフォルト(ここでは正常時の意味、以下同じ)」の場合と、「1T隣接ショート」を模擬した場合の2つのリプル電流の変化を示す。
【0047】
ここで、図7のグラフは、デフォルト(正常時)の場合、実効電流値が2Aを超えると、リプル電流値はほぼ一定になっているが、1T隣接ショートの場合は、実効電流値が10A程度になるまでリプル電流値が増加している。
上記式(1)で計算されるリプル電流値は、実効電流値とは関係のない式になっているため、本来、実効電流値が増加してもリプル電流値は増加しない。増加しているのは、次の理由による。
【0048】
すなわち、図6に示すリプル電流のP−P値は約18Aであり、リプル電流の実効値がそのままリアクトル電流の実効値(約10A)となっている。この場合、PVリアクトル5に流れる実効電流値が小さくなると、片方向コンバータ回路6のスイッチング素子のオン時間が短くなり、そのため三角波のP―P値は小さくなる。すなわち、実効電流値が小さくなるとリプル電流値も小さくなる。
【0049】
次に、PVリアクトル5の状態を検出するための状態検出回路24(1)の例を説明する。図8は、PVリアクトル5の状態検出回路24(1)である。PVリアクトル5に流れるリプル電流値は、最終的には制御部24のマイクロコンピュータ(マイコン)のプログラムの処理により判定される。よって、マイコンが処理できる信号に変換する必要がある。
【0050】
しかし、マイコンへの入力信号は、駆動周波数のリプル電流のままでは、周波数が高く、一定値として取り込めないため、DCまたは周波数の低い波形(商用周波数程度)に変換する必要がある。
このリプル電流値を検出し、リプル電流値に基づいてマイコンへ取り込むための信号(比較対象値)に変換する状態検出回路24(1)を設け、閾値と比較してリアクトルの異常を検出することで、温度ヒューズが不要となり、温度ヒューズとの接続不良に起因する誤検出がなくなる。
【0051】
図8に示す状態検出回路24(1)は、三角波検出回路、絶対値回路、非反転回路およびRC回路の4つの回路から構成される。
三角波検出回路(本発明の「リプル電流取り出し回路」に相当)は、リアクトルに流れる電流のうち、駆動周波数によるリプル電流(三角波)のみを取り出し、0V基準の波形に変換する。0V基準の波形とするのは、オペアンプのオフセットの発生を防止するためである。
絶対値回路は、0V基準の波形を正の値(実効値)に変換する。非反転回路は、得られた実効値を、マイコン入力電圧範囲の最適値になるようゲインを調整する。RC回路は、駆動周波数の波形を、マイコンに入力できるDCまたは商用周波数程度の波形に変換する。
【0052】
本実施例では、変換回路に絶対値回路(実効値)を用いたが、マイコンへの入力値がDC値または商用周波数程度のAC値に変換出来れば、絶対値回路の替わりに、類似の回路でもよい。
【0053】
ここで、絶対値回路の出力値をそのまま実効値とするのは、非反転回路でゲインを調整することが可能であり、またマイコンの読取値を所定の係数倍することにより平均値を算出しても実効値に容易に変換できることによる。
【0054】
図9は、PVリアクトル5の実効電流検出回路24(2)である。電流検出器4による電流検出信号からPVリアクトル5に流れる実効電流値を検出する。コンデンサにより周波数の低い成分を通す差動入力回路で構成される。
PVリアクトル5を流れる実効電流値を検出し、この実効電流値により閾値を算出する。
【0055】
次に、状態検出回路24(1)の各回路のシミュレーション結果の波形を図10に示す。図10は、PVリアクトル5に流れる電流を模擬した信号の状態検出回路24(1)の各回路の出力波形である。横軸は時間であり、縦軸は電圧値である。図10の右側の波形は、左側の波形の横軸15ms付近の拡大図である。
【0056】
図10(A)は、電流検出器4の出力の模擬信号であり、この模擬信号の平均値は約2.5Vであり、リプル電流が重畳されている。図10(B)は、三角波検出回路の出力値であり、0V基準で±2V程度の波形となっている。図10(C)は、絶対値回路の出力値であり、2V程度の絶対値(負値を正値に折り返した波形)である。図10(D)は、最終段の出力値であり、マイコンの入力値で3V程度である。
このように、PVリアクトル5に流れるリプル電流は、状態検出回路24(1)によりDC値に変換され、マイコンに入力され判定される。
【0057】
図11は、PVリアクトル5のリプル電流と閾値の関係を示す図である。横軸は、PVリアクトル5を流れる実効電流値であり、縦軸はマイコン入力値である。図11には、リアクトルの(1)デフォルト時(正常時)、(2)レアショートを模擬した1T隣接ショート時および(3)閾値の3つのグラフが表示されている。
図7の縦軸はリプル電流P−P値であったが、図11の縦軸は、マイコンが判定できる信号に置換したマイコン入力値である。
【0058】
図11は、PVリアクトル5のデフォルト時と1T隣接ショート時のリプル電流値の違いを示したものである。リプル電流値の異常を判定するための閾値は、実効電流値の1.5A未満では、ノイズを考慮して、固定値の0.65Vである。実効電流値の1.5Aから5.75Aの範囲の閾値は、閾値y(V)、実効電流x(A)とすると、
y=0.2x+0.35・・・(2)
の一次式により、算出される。さらに実効電流値の5.75A以上の閾値は、固定値の1.5Vである。
【0059】
比較対象値が異常であるかどうかは、マイコンに入力された比較対象値と、リアクトルの実効電流値から算出された閾値(固定値を含む)とを比較することにより判定される。この閾値を算出する一次式および固定値は蓄電システム100によって変更可能である。
よって、マイコン入力値(比較対象値)を、実効電流値から算出された閾値と比較し、比較対象値が閾値を超えたか否かを判定することにより、温度ヒューズを使用することなく、既存の電流検出器を使用し、リアクトルのレアショートを検出することができる。
【0060】
なお、実効電流値の1.5A未満はノイズによる誤判定を防ぐため、閾値は固定値の0.65Vである。この場合、実効電流が小さいとき、上記で模擬したL値の変化であれば異常時のリプル電流のマイコン入力値と閾値がほぼ同じような値であり、異常と判定できるか難しい。それでも閾値を固定値としているのは、レアショートを模擬したL値ではなく実際のレアショートによるL値の変化が大きくなったときに、判定を可能とするためである。
また、リアクトルに流れる電流値が小さいとき、レアショートが発生し異常と判定されなくても、電流値が小さいため焼損に至ることは少ない。その後実効電流値が1.5A以上となれば判定が可能となる。
【0061】
(DCリアクトル)
次に、DCリアクトル15の実施例について説明する。
上述したPVリアクトル5は、太陽電池1から直流電源を昇圧または降圧する片方向のみの電力変換であったが、DCリアクトル15が使用されている双方向コンバータ回路16は双方向である。この場合も蓄電池11から双方向インバータ回路20の入力側となる直流電力への変換は、PVリアクトル5の場合と同じ動作であるため、説明は省略する。
ただ、各々のコンバータ回路の太陽電池1および蓄電池11からの入力電圧が異なるため、リプル電流値は相違する。そのため、PVリアクトル5の場合の閾値とは異なる。
【0062】
ここで、片方向コンバータ回路6の入力電圧は50Vから450Vの範囲であるが、リプル電流を計測したときの入力電圧は200から210Vであり、出力電圧は380Vであった。また、双方向コンバータ回路16のリプル電流を計測したときも、片方向コンバータ回路6の場合とほぼ同じ入力電圧および出力電圧であった。
【0063】
図12は、DCリアクトル15のリプル電流と閾値の関係を示す図である。図12は、(1)デフォルト時(正常時)、(2)1T隣接同線ショート時、(3)1T隣接異線ショート、(4)閾値の4つのグラフが表示されている。図12の横軸は実効電流値であり、縦軸はマイコン入力値である。
【0064】
これによれば、リプル電流値の異常を判定するための閾値は、実効電流値の1.4A未満では、ノイズを考慮して、固定値の0.65Vとする。実効電流値の1.4Aから5.15Aの範囲では、閾値y(V)、実効電流x(A)とすると、
y=0.2x+0.37・・・(3)
の一次式により算出される閾値とする。さらに実効電流値の5.15A以上の閾値は、固定値の1.4Vとする。
【0065】
一方、双方向コンバータ回路16は双方向であるため、蓄電池11に充電する場合についても検討する。この場合、DCリアクトル15を流れる実効電流は、蓄電池11への充電電流となるためほぼ一定である。よって、DCリアクトル15を流れるリプル電流値に基づいて算出される比較対象値の閾値は、実効電流値によらず所定の固定値とすればよい。
このように、DCリアクトル15でも、マイコン入力値(比較対象値)を実効電流値に対応する閾値で判定することにより、温度ヒューズを使用することなく、既存の電流検出器を使用し、リアクトルのレアショートを検出することができる。
【0066】
(ACリアクトル)
次に、ACリアクトル21の実施例について説明する。
図13は、ACリアクトル21を流れる電流波形である。図13の横軸は時間であり、縦軸は電流である。図13に示す上側の図はリプル電流を含む交流電流を示した波形であるが、リプル電流の周波数が高くリプル電流の波形が確認できないため、その拡大図を下側に示す。三角波の周波数は、PVおよびDCリアクトルの場合と同じで24kHzである。
【0067】
ここで、ACリアクトル21を流れるリプル電流は上記式(1)の出力電圧Voutは商用電源であるため変化する(なお、降圧型のコンバータ回路では式(1)とは異なる)。そのため、ACリアクトル21に流れるリプル電流は、図13に示すように商用周波数の交流の位相に対して変化し、DCリアクトル15のような一定のDC値に変換することができず、商用周波数の2倍の周期のAC波形となる。
図14は、ACリアクトル21の系統電圧1サイクルの位相に対するリプル電流である。マイコンへの入力値は、位相が90°または270°の、同じ位相のタイミングで連続して検出すれば、一定のDC値として、処理することができる。
【0068】
図15は、ACリアクトル21の実効電流とリプル電流の関係を示す図である。横軸は実効電流値であり、縦軸はリプル電流のP−P値である。図15は、(1)デフォルト時(正常時)、(2)1T隣接同線ショート時、(3)1T隣接異線ショート時の3つのグラフが表示されている。
なお、図15に示すリプル電流のP−P値は、実効電流値が15A付近から階段状に増加している。実効電流の15A程度までは蓄電池11からの放電のみであったが、15Aを超えてから太陽電池1の放電も加わり、入力条件が変化しているためである。
また、ACリアクトル21の場合、実効電流値が小さくなっても、PVリアクトル5およびDCリアクトル15のように、リプル電流値は0にはならない。
【0069】
図16は、ACリアクトル21の状態検出回路24(1)である。
図8に示すPVリアクトル5の状態検出回路24(1)と同様の回路であるが、絶対値回路が相違している。PVリアクトル5のリプル電流に適用する絶対値回路はオペアンプが1個の構成であり、ACリアクトル21の場合のそれは、オペアンプは2個で構成される。
なお、実効電流検出回路24(2)は、ACリアクトル21の場合も図9に示す回路と基本的には同じであり、抵抗およびコンデンサの定数が異なる。
【0070】
図17は、ACリアクトル21に流れる電流を模擬した信号の検出回路の出力波形である。この模擬波形の横軸は時間であり、縦軸は電圧である。図17の右側の波形は、左側の波形の横軸15ms付近の拡大図である。
図17(A)は、電流検出器22の出力の模擬信号である。この模擬信号では、2.5Vを平均値とする交流波形にリプル電流が重畳されている。図17(B)は、三角波検出回路の出力値であり、0V基準で±約2Vの波形である。図17(C)は、絶対値回路の出力値であり、リプル電流の絶対値(負値を正値に折り返した波形)で約2Vの波形である。図17(D)は、最終段の出力値であり、マイコンの入力値である。
このように、ACリアクトル21に流れるリプル電流は、商用周波数の波形に変換され、商用周波数の所定の電圧位相で連続してサンプリングされ、一定のDC値としてマイコンに入力され判定される。
【0071】
図18は、ACリアクトル21のリプル電流と閾値の関係を示す図である。図18は、(1)デフォルト時(正常時)、(2)1T隣接同線ショート時、(3)1T隣接異種ショート時、(4)閾値の4つのグラフが表示されている。
なお、図18は、図15のリプル電流P−P値がマイコン入力値に置換された図であり、閾値を表示するグラフが追加されている。
【0072】
これによれば、リプル電流値を異常と判定するための閾値は、閾値y(V)、実効電流x(A)とすると、
y=0.02x+0.85・・・(4)
の一次式により算出される。
【0073】
よって、ACリアクトルに流れる実効電流値によって算出された値を所定の閾値として、ACリアクトルに流れるリプル電流値に基づいて算出された比較対象値を判定することにより、ACリアクトルのレアショートを検出することができる。
【0074】
ここで、双方向インバータ回路20は双方向であるため、系統入力28から交流電力を直流電力に変換して蓄電池11に充電する場合についても検討する。この場合、リアクトル21を流れる電流は、蓄電池11への充電電流となるためほぼ一定である。
よって、ACリアクトル21を流れるリプル電流値に基づいて算出された比較対象値の閾値は、実効電流値によらず所定の固定値とすればよい。
【0075】
以上、3つのリアクトルについて説明したが、いずれのリアクトルでも、そのリアクトルに流れるリプル電流に基づいて算出された比較対象値(マイコン入力値)を、リアクトルに流れる実効電流値に対応する閾値で判定することにより、温度ヒューズを使用することなく、既存の電流センサを使用し、リアクトルのレアショートを検出することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、コンバータ回路の入力電圧値および出力電圧値はほぼ一定としたときの、リアクトルの異常検出方法について説明した。実際には、図1に示す蓄電システム100の太陽電池1は、天候等の条件によって発電量が変動し、それにより太陽電池1の出力電圧値が変化する。また、蓄電池11も電池の残量によって出力電圧値が変化する。これらの出力電圧値がコンバータ回路の入力電圧値となる。
よって、第2の実施形態では、コンバータ回路の入力電圧値が変化する場合の、リアクトルの異常検出方法について説明する。
【0077】
なお、第2の実施形態では、図2に示す閾値算出部24(3)による閾値の算出方法が第1の実施形態とは異なるが、他の構成は同じであることから重複する説明は省略する。また、各リアクトルのインダクタンス値は、リアクトルの仕様の見直しにより第1の実施形態とは相違している。
第2の実施形態では、主にPVリアクトル5を含む昇圧型コンバータ回路を備えた発電電力変換装置101について説明する。
【0078】
図19は、発電電力変換装置101の入力電圧とリプル電流の関係を示す図である。横軸は入力電圧値、縦軸はリプル電流値である。図19に示す曲線は、昇圧型コンバータ回路のリプル電流の計算値である。この計算値は式(1)により算出され、入力電圧Vinは可変で横軸に示す電圧値(V)であり、出力電圧Voutは410(V)、PVリアクトル5のインダクタンス(L)値は958(μH)、片方向コンバータ回路6の駆動周波数fは24k(Hz)である。
また、入力電圧が59V、228V、368Vのときのリプル電流の計測値を「×」印で示す。
【0079】
図19に示すように、リプル電流の計算値と計測値はほぼ一致している。よって、入力電圧が変化したとき、入力電圧Vin(V)を変数とし、出力電圧Vout(V)、インダクタンス値(H)、駆動周波数f(Hz)が分かれば、式(1)よりリプル電流値が算出できる。
ここで、出力電圧は一定に制御され、駆動周波数も蓄電システム100の固有値である。一方、インダクタンス値は、駆動周波数が一定であるため周波数による変化はないが、直流重畳特性、すなわち、電流値によりインダクタンス値が変化する。
【0080】
図20は、本実施形態で使用するPVリアクトル5の重畳特性を示す一例である。横軸は電流値であり、縦軸はインダクタンス値である。電流値が増加するにつれて、インダクタンス値が減少していることが同図より分かる。この特性により、PVリアクトル5に流れる電流値が分かれば、電流値に対応するリアクトル値が算定できることを示している。
【0081】
本実施形態にかかる実施例として、実効電流値からPVリアクトル5のインダクタンス値を算定する。図20に示すインダクタンス値の特性を示す曲線から、インダクタンス(L)値を算定する多項式は、実効電流値をX(A)とすると、
L値=0.025X−0.9752X−9.9426X+950.42・・・(5)
で表すことができる。
なお、図20に示すPVリアクトル5の特性曲線と多項式はほぼ一致しており、重なった一つの曲線として表示されている。
【0082】
第2の実施形態では、電流検出器4(または14、22)によりリアクトル5(または15、21)に流れる実効電流値が測定され、閾値算出部24(3)が測定された実効電流値から式(5)(または後述の式(8)、式(9))に基づいてインダクタンス値を算定し、コンバータ回路6(または16)またはインバータ回路20の入力電圧および出力電圧の計測値と駆動周波数とから、式(1)(または後述の式(7))に基づいてリプル電流値を計算する。このリプル電流値から、リアクトルのインダクタンス値の製品仕様が、例えば、±20%の範囲にあるとして、このリアクトルのばらつきの範囲を考慮して、閾値を決定する。閾値算出部24(3)で算出した閾値と、状態検出部24(1)でリプル電流の計測値に基づいて得られた比較対象値とを比較し、リアクトルの異常を判定する。
【0083】
次に、リプル電流の異常(レアショート)を判定するインダクタンスの判定値の算出について説明する。
PVリアクトル5のインダクタンス値として、製品仕様で±20%のばらつきがある場合、+20%の上限のインダクタンス値のPVリアクトル5がレアショートしたとき、−20%の下限のインダクタンス値よりも大きい値では、レアショートとして判定することはできない。よって、−20%の下限のインダクタンス値よりも小さい値となるように、例えば+20%の上限のインダクタンス値が2/3以下となる値をレアショートの判定値とする必要がある。
【0084】
すなわち、インダクタンス値が+20%の上限のPVリアクトル5があっても、レアショートが判定できるように、+20%の上限のインダクタンス値に0.6を乗じた値をPVリアクトル5のレアショートの判定値とした。インダクタンス値の仕様のセンター値(中心値)からみれば、センター値の0.72まで低下した場合となる。よって、PVリアクトル5の異常判定とするインダクタンス値は、実効電流値から算定したインダクタンス値に0.72(所定の割合)を乗じた値とし、その値でリプル電流を算出し、このリプル電流値に基づいてレアショート判定の閾値を決定する。
なお、インダクタンス値のレアショート判定の所定の割合は0.72としているが、固定されたものではなく、電池システム100により、またPVリアクトル5の仕様変更により、所定の割合は変更してもよい。
【0085】
図21は、実効電流とインダクタンス値のばらつきによるリプル電流の違いを示す図である。横軸は実効電流値であり、縦軸はリプル電流値である。図21には、リプル電流を示す4つの曲線と、リプル電流の計測値およびシミュレーションによるリプル電流値が表示されている。なお、図21に示すリプル電流を算出した入力電圧値は235Vであり、出力電圧値は410Vであった。
4つの曲線はいずれも計算値であり、(1)インダクタンス値がセンター値のときのリプル電流、(2)インダクタンス値が仕様の−20%の下限値のリプル電流、(3)インダクタンス値が仕様の+20%の上限値のリプル電流、(4)リプル電流の閾値を示す。
【0086】
これら4つの曲線は、実効電流値から図20に示す特性の多項式によりインダクタンス値を算定し、その算定値に、それぞれ0.8、1.2、0.72を乗じたインダクタンス値とし、この値を使用して、式(1)によりリプル電流を算出したものである。インダクタンス値の−20%の仕様のPVリアクトル5、すなわち曲線(2)に示すリプル電流特性を有するPVリアクトル5があったとしても、閾値の曲線(4)のリプル電流値は、曲線(2)のリプル電流値を上回っている。このリプル電流の閾値によれば、仕様のばらつきを考慮しても、PVリアクトル5のレアショートによるリプル電流値の増加を異常と判定することができる。
【0087】
また、図21に示す「■」印は、PVリアクトル5の正常値のリプル電流値、「●」印はレアショートを模擬したリアクトルのリプル電流値であり、それぞれ計測値である。また「△」印はPVリアクトル5の正常値のリプル電流のシミュレーション値であり、「×」印は、レアショートを模擬したPVリアクトル5のリプル電流のシミュレーション値である。
PVリアクトル5の正常値のリプル電流の計測値およびシミュレーション値とも、曲線(1)と一致している。
また、レアショートの場合の、リプル電流の計測値およびシミュレーション値は同じ曲線上にあり、両者はよく一致している。
【0088】
ここで、PVリアクトル5に流れるリプル電流値は、図2に示す状態検出回路24(1)、具体的には図8に示す回路により、電流検出器4により計測された電流値のリプル電流成分がDC値に変換される。そのDC値が制御部24のマイコンによりA/D(Analog to Digital)変換され、計測されたリプル電流のA/D変換値(本発明の「比較対象値」に相当。以下、「A/D計測値」という)となる。
【0089】
一方、計測した実効電流値によりインダクタンス値が算定され、式(1)により算出されるリプル電流の閾値は、マイコンによりA/D変換されたA/D計測値と比較可能な数値に変換する必要がある。
すなわち、マイコンに入力されるリプル電流値は、0〜3.3Vの範囲で、12ビット(0〜4095)にA/D変換される。閾値算出部24(3)で算出されたリプル電流の閾値も、12ビットの数値に変換する。
ここで、第1の実施形態では、リプル電流の計測値に基づくマイコン入力値(比較対象値)と閾値は電圧レベルで比較されるが、第2の実施形態のように、例えば、それぞれ12ビットの数値に変換して比較してもよい。
【0090】
図22は、リプル電流の閾値とA/D計測値と比較可能な閾値(以下、「A/D閾値」という)の相関関係を示す図である。この関係は、電池システム100のリアクトルの正常時に計測したリプル電流値とマイコンによりA/D変換されたA/D値の関係を示したものである。
理想的には、リプル電流値が0のときにA/D値が0の点(原点)を通る一次関数となるが、実際には電流検出器4および状態検出回路24(1)等により、原点を通る一次直線とはなっていない。
【0091】
本実施形態では、図22に示すように、リプル電流値をX(A)とすると、A/D閾値は、
A/D閾値=223.76X−43.459・・・(6)
で表す式によって求められる。これにより、算出されたリプル電流値は電流値(A)から、A/D計測値と同じビット数の大きさの値に変換される。
なお、このリプル電流値をA/D閾値に変換する式は固定されるものではなく、電池システム100に使用される回路の定数等によって変更される。
【0092】
以上の閾値算出の手順は、制御部24のマイコンのプログラムによって実行される。図23は、リアクトルのレアショート判定のフロー図である。
【0093】
図23のレアショート判定のフロー図は、ステップS10で、実効電流値が2A以上か判定する。実効電流値が2A未満のとき(S10、NO)、レアショートの判定をしないで(S15)、処理を終了する。
ここで、実効電流値が2A未満のときは、レアショートの判定をしない理由について説明する。実効電流値が小さくなると、PVリアクトル5に流れる電流はリプル電流成分のみとなり、さらに実効電流値が小さくなると、図2に示すスイッチング素子制御部24(5)によるスイッチング素子のオン時間が短くなり、これによりリプル電流値も小さくなる。このため、実効電流値が小さい範囲では、式(1)が成立しなくなるからである。
【0094】
また、実効電流値が2A未満のときにレアショートの判定をしないとしたのは、リアクトルに流れる実効電流値が常時2A未満という状況は、本実施形態ではほとんど発生しないからである。例えば、蓄電池への充電では、定格の10A程度の電流が流れ、太陽電池1の出力が家庭負荷に出力されるかまたは蓄電池11に充電される場合でも、2A以上の電流が流れる。したがって、2A未満の実効電流値の場合は、レアショートと判定しなくても、実害はないと考えられるからである。なお、判定基準値は2Aに限らず、適宜変更することができる。
【0095】
図23のフロー図のステップS10で、実効電流値が2A以上のとき(S10、YES)、A/D計測値(同図では単に「計測値」と記載)がA/D閾値(同図では単に「閾値」と記載)より大か否かを判定する(S11)。A/D計測値がA/D閾値より大でないとき(S11、NO)、正常と判定し(S16)、処理を終了する。
【0096】
一方、A/D計測値がA/D閾値より大であるとき(S11、YES)、A/D計測値がA/D閾値より大であると最初に判定してから所定の時間(本実施形態では30秒)が経過したか判定する(S12)。A/D計測値がA/D閾値より大であると最初に判定してから所定の時間が経過していない場合(S12、NO)は、ステップS11の判定が所定の周期で繰り返し実行される。
【0097】
そして、2回目以降の判定でA/D計測値がA/D閾値より大でないと判定されれば(S11、NO)、前回の判定はノイズまたは誤動作の可能性があったとして正常と判定する(S16)。一方で、A/D計測値がA/D閾値より大であると最初に判定してから所定の時間が経過した場合は(S12、YES)、繰り返しA/D計測値がA/D閾値より大と判定(S11、YES)されていることからノイズまたは誤動作ではないとして、レアショートと判定する(S13)。レアショートと判定されれば、電力変換装置の機能を停止し(S14)、処理を終了する。
【0098】
なお、レアショート判定フローで、所定の時間は30秒としているが、この所定の時間は、適宜変更してもよい。
【0099】
このように、レアショートを判定するリプル電流の閾値は、実効電流値によりPVリアクトル5のインダクタンス値を算定し、このインダクタンス値に所定の割合を乗じた値とコンバータ回路の入力電圧値および出力電圧値と駆動周波数によりリプル電流を算出し、A/D値に相当するビット数の数値(A/D閾値)に変換し、算出する。このA/D閾値とA/D計測値とを比較することにより、リアクトルのレアショートを判定し、レアショートが発生した場合には、電力変換装置の機能を停止し、焼損被害の拡大を防止することができる。
【0100】
なお、実効電流値からPVリアクトル5のインダクタンス値を算定する際に、すでにレアショートが発生していた場合には、それにより増加したリプル電流による実効電流値を用いて、レアショート判定のための閾値を算出するのは難しいのではないかとも考えられる。しかし、増加するリプル電流による実効電流値は微増であり、また、実効電流値が増加するとインダクタンス値は減少しリプル電流の閾値は大となる方向である。これらのことから、実際の電池システム100に適用した結果、この閾値算出方法はレアショート判定基準として適用可能と判断した。
【0101】
(DCリアクトルおよびACリアクトル)
第2の実施形態としてPVリアクトル5の場合ついて説明したが、DCリアクトル15を昇圧型コンバータ回路で使用する場合は、PVリアクトル5の場合と同じであり、説明は省略する。
【0102】
DCリアクトル15を使用するコンバータ回路が降圧型として機能するときは、式(1)とは異なり、DCリアクトル15を流れるリプル電流ΔIL(A)は、入力電圧Vin(V)、出力電圧Vout(V)、インダクタンスL(H),駆動周波数f(Hz)とすると、
ΔIL=Vout×(Vin−Vout)/(Vin×f×L)・・・(7)
で表される。
【0103】
この場合は、出力電圧Vout(V)が変化するが、入力電圧Vin(V)、駆動周波数f(Hz)はほぼ一定であり、実効電流値によりインダクタンス値を算定すれば、リプル電流が算出できる。
よって、降圧型コンバータ回路として機能する場合も、昇圧型の場合と同様にリプル電流の閾値を決定し、リアクトルの異常を判定することができる。
【0104】
一方、ACリアクトル21の場合は、インバータ回路が降圧型および昇圧型のいずれでも、一方の電圧がAC波形である。その場合、AC波形が、例えば、波形の位相が90°の時の、入力電圧および出力電圧は、それぞれDC値として捉えることができる。
この場合、電流値や電圧値は実効値でなく、ピーク値によりリプル電流の算出やインダクタンス値の算定をする必要がある。
【0105】
ここで、DCリアクトル15およびACリアクトル21の重畳特性によるインダクタンス値の多項式は、本実施形態では、各製品仕様のリアクトルのセンター値とした。
そのDCリアクトル15の重畳特性によるインダクタンス値の多項式は、インダクタンス(L)値、実効電流値をX(A)とすると、
L値=0.0196X−1.049X−1.4258X+836.44・・・(8)
で表すことができる。
【0106】
同様に、ACリアクトル21の重畳特性によるインダクタンス(L)値の多項式は、実効電流値ではなく、電流のピーク値をX(A)とすると、
L値=0.0007X−0.1055X−0.5469X+512.09・・・(9)
で表すことができる。
なお、L値を算出するこれらの多項式は、一例であって固定されるものではなくリアクトルの仕様の見直し等により変更される。
【0107】
また、リプル電流値からA/D閾値への変換は、DCリアクトル15およびACリアクトル21の場合は、リプル電流値をX(A)とすると、それぞれ
A/D閾値(DCリアクトル)=169.68X−33.564・・・(10)
A/D閾値(ACリアクトル)=141.17X−38.825・・・(11)
で表す式によって求められる。
PVリアクトル5の場合と同様に、本実施形態で使用した電流検出器および状態検出回路の部品の定数等の違いにより、リプル電流からA/D閾値の変換は、同じ一次関数とはなっていない。
【0108】
なお、これらの一次関数も、PVリアクトル5の例で説明したように、電池システム100のリアクトルの正常時に計測したリプル電流値とマイコンによりA/D変換されたA/D値の関係を示したものである。
また、これらのA/D閾値に変換する式も固定されるものではなく、電池システム100に使用される回路の定数等によって、変更される。
【0109】
第2の実施形態では、DCリアクトル15およびACリアクトル21についても、PVリアクトル5の例で説明したように、電流値によりリアクトルのインダクタンス値を算定し、このインダクタンス値に所定の割合を乗じてリプル電流値を算出し、算出したリプル電流値から設定した閾値と、リプル電流の計測値に基づいた比較対象値とを比較することにより、リアクトルの異常を判定することができる。
【0110】
また、第2の実施形態では、図23のステップS10で実効電流値が2A以上か否かを判定して、2A未満のときにレアショートの判定をしないとしているが(S15)、ステップS10の判定を行うことなく、ステップS11から開始してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1・・・太陽電池、2、12、17、19・・・コンデンサ、3、13、18、23・・・電圧検出器、4、14、22・・・電流検出器、5・・・PVリアクトル、6・・・片方向コンバータ回路、11・・・蓄電池、15・・・DCリアクトル、16・・・双方向コンバータ回路、20・・・双方向インバータ回路、21・・・ACリアクトル、24・・・制御部、24(1)・・・状態検出回路、24(2)・・・実効電流検出回路、24(3)・・・閾値算出部、24(4)・・・判定部、24(5)・・・スイッチング素子制御部、25、26・・・開閉器、27・・・切替器、28・・・系統入力、29・・・家庭負荷、30・・・重要負荷、100・・・蓄電システム、101・・・発電電力変換装置、102・・・蓄電電力変換装置、103・・・交直電力変換装置。
図1
図2
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