(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態であるモータ温度推定装置を備えたレシートプリンタについて説明する。
【0008】
(レシートプリンタの全体構成の説明)
図1は、本実施の形態に係るモータ温度推定装置を備えたレシートプリンタ10の外観を示す斜視図である。レシートプリンタ10は、上部ケース3と、下部ケース4と、用紙排出口18と、電源スイッチ20と、インジケータ22を備えている。なお、レシートプリンタ10は、プリンタ装置の一例である。
【0009】
図2は、レシートプリンタ10の上部ケース3を開放した状態を示す斜視図である。レシートプリンタ10は、内部にサーマルヘッド12と、プラテンローラ14と、カッター16と、用紙収納部25を備えている。
【0010】
用紙収納部25は、ロール状に巻回された不図示のロールを収容する。ロールは、用紙の一例である感熱紙がロール状に巻回されたものである。なお、本実施の形態で用いるロールは、レシート用紙を巻回したものである。レシート用紙に印字する際には、レシート用紙の一端が、プラテンローラ14の回転に応じて引き出されることによって、レシート用紙は、用紙収納部25から用紙排出口18に向かって搬送される(
図3参照)。
【0011】
本実施の形態のレシートプリンタ10は、感熱紙Qが巻回されたロールを装填した状態で使用される。ロールの中心には、図示しない保持軸が装着される。そして、保持軸の両端部は、それぞれ
図2に示す保持部26によって保持されて、用紙収納部25内に収納、保持される。
【0012】
下部ケース4は、上面が開放されている直方体状のケースであり、上面は上部ケース3により閉じられる。また、下部ケース4には、レシートプリンタ10と外部機器との接続に使われる接続端子(不図示)や、レシートプリンタ10に電源を供給する電源端子(不図示)等が設けられる。
【0013】
上部ケース3は、背面側の辺を、下部ケース4に回動自在に取り付けられていて、上部ケース3の回動に伴って、下部ケース4の上面を開閉する。
【0014】
上部ケース3の前端下部と、下部ケース4の前端上部との間には、感熱紙Qを排紙する用紙排出口18が設けられている。
【0015】
電源スイッチ20は、押下することによって、レシートプリンタ10に対する電源の投入、切断を行うスイッチである。インジケータ22は、例えばLEDで構成されて、点灯あるいは点滅することによって、電源の投入状態等を含むレシートプリンタ10の状態を表示する。
【0016】
なお、インジケータ22は、報知手段の一例としても機能する。すなわち、インジケータ22は、過熱によりステップモータ24が一時的に停止していることを示す等の、レシートプリンタ10の状態を報知する。詳しくは後述する。
【0017】
レシートプリンタ10において、サーマルヘッド12は、上部ケース3の内側面に固定されていて、上部ケース3が閉じた状態でプラテンローラ14に密着する。
【0018】
サーマルヘッド12は、複数個の発熱体を備え、発熱体が発する熱によって、プラテンローラ14との間に挟んだ感熱紙Qに対して印字を行う。より具体的には、サーマルヘッド12は、ガラス基板またはセラミック基板の上に、複数の発熱体が印刷された構造を有する。サーマルヘッド12は、複数の発熱体のうち、印刷データに対応する位置の発熱体を発熱させることによって、感熱紙Qに印刷を行う。
【0019】
プラテンローラ14は、ステップモータ24(
図3参照)の回転駆動力に応じて回転する。プラテンローラ14の回転力は、サーマルヘッド12との間に挟持した感熱紙Qを、上流側である用紙収納部25から、下流側である用紙排出口18に向けて搬送する。詳しくは後述する。
【0020】
カッター16は、印刷後の感熱紙Qを切断する。
【0021】
(ラベル用紙の搬送経路の説明)
次に、
図3を用いて、レシートプリンタ10の内部構造について説明する。
図3は、レシートプリンタ10の内部構造の一例を示す断面図である。
【0022】
図3に示すように、レシートプリンタ10の操作者は、前記した上部ケース3を開いて、ロールから感熱紙Qの先端を引き出して、感熱紙Qを、サーマルヘッド12とプラテンローラ14との間で挟持された状態とする。この状態で上部ケース3を閉じた後、ステップモータ24を回転させると、ステップモータ24の回転に伴って、プラテンローラ14が矢印A1の方向(反時計回り)に回転する。なお、ステップモータ24はモータの一例である。感熱紙Qは、プラテンローラ14の回転に応じて、上流側である用紙収納部25から、下流側である用紙排出口18に向けて搬送される。
【0023】
感熱紙Qは、サーマルヘッド12とプラテンローラ14との間を通過した後、カッター16に達する。カッター16は、
図3に示すように、固定刃である上刃16aと、可動刃である下刃16bとを備える。下刃16bは、コントローラ19の指示によって駆動される、
図3に不図示のステップモータの回転に伴って上下(矢印A2方向)に移動することによって、感熱紙Qを、上刃16aと下刃16bとで挟んで切断する。
【0024】
切断された感熱紙Qは、上部ケース3と、下部ケース4との隙間に形成された用紙排出口18から排紙される。
【0025】
なお、レシートプリンタ10が備えるコントローラ19は、モータ温度推定装置の一例であり、一般的なコンピュータの構成を有し、内部に記憶された制御プログラムP1を実行することによって、レシートプリンタ10全体の動作の制御を司る。すなわち、コントローラ19は、レシートプリンタ10と接続された、POS端末80(
図4参照)から印字データを受信して、印字動作を実行する。
【0026】
また、コントローラ19は、電源スイッチ20の状態を監視するとともに、インジケータ22の制御を行う。
【0027】
(コントローラのハードウェア構成の説明)
次に、
図4を用いて、レシートプリンタ10のコントローラ19のハードウェア構成について説明する。
図4は、レシートプリンタ10のコントローラ19のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。
【0028】
レシートプリンタ10のコントローラ19は、制御部30と、記憶部32とが、内部バス34によって接続された、一般的なコンピュータの構成を有する。コントローラ19は、内部に備えた制御部30の働きによって、レシートプリンタ10の各部の動作を制御する。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303とを備える。
【0029】
CPU301は、レシートプリンタ10の各部の動作を制御する。ROM302は、CPU301が実行する各種プログラムや各種データ等の固定データを記憶する。また、CPU301は、タイマカウンタを備えており、当該タイマカウンタによる計時機能を有している。RAM303は、CPU301が各種プログラムを実行する際に、各種データやプログラムを一時的に記憶する。また、RAM303は、ステップモータ24の温度推定を行うために使用する、ステップモータ24の動作時間に応じた値を記憶する、ソフトウェアの動作に応じてカウント値Cを増減するソフトウェアカウンタ31を備える。なお、ソフトウェアカウンタ31の詳細については後述する。
【0030】
記憶部32は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であり、CPU301が実行する制御プログラムP1等を記憶する。
【0031】
内部バス34には、モータコントローラ36と、通信インタフェース38とが接続されている。モータコントローラ36は、ステップモータ24に駆動パルスを与えることによって、ステップモータ24を駆動する。通信インタフェース38は、POS端末80と接続されて、POS端末80から、レシートプリンタ10で印刷する情報の内容を示す印刷情報等を受信する。また、通信インタフェース38は、レシートプリンタ10の電源スイッチ20と接続されて、電源スイッチ20が操作されたことを示す情報を受信する。また、通信インタフェース38は、インジケータ22と接続されて、電源の投入状態等を含むレシートプリンタ10の状態を表示する。
【0032】
(モータ温度推定装置の機能構成の説明)
次に、
図5を用いて、モータ温度推定装置の一例であるコントローラ19の機能構成について説明する。
図5は、コントローラ19の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0033】
コントローラ19のCPU301(
図4参照)は、記憶部32の制御プログラムP1をRAM303に展開する。コントローラ19は、制御プログラムP1に従って動作することで、
図5に示す各機能部を、RAM303上に生成する。具体的には、コントローラ19は、機能部として、カウント制御部50と、第1の計時部52aと、第2の計時部52bと、第3の計時部52cと、モータ停止判定部54と、モータ駆動再開部56と、モータ駆動制御部58と、電源状態検出部60と、停止時間計時部62と、カウンタリセット部64と、モータ温度報知部66と、操作指示取得部68とを実現する。
【0034】
カウント制御部50は、後述する第1の計時部52a、第2の計時部52b、または第3の計時部52cからの指示に応じて、RAM303の内部に形成したソフトウェアカウンタ31のカウント値C(
図6参照)を増減する。なお、カウント制御部50は、カウント手段の一例である。そして、カウント値Cは、ステップモータ24の推定温度を表す。
【0035】
第1の計時部52aは、モータが駆動中は、第1の所定時間ta(
図6参照)経過毎に、カウント制御部50に対して、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cに第1の所定値c1(
図6参照)を加算させる指示を出す。なお、第1の計時部52aは、第1の計時手段の一例である。第1の所定時間taは、例えば、ステップモータ24を駆動するパルス信号の発生タイミング、または、CPU301が有するタイマカウンタが、ステップモータ24を駆動するパルス信号の間隔に準ずる所定の時間間隔で出力する割り込み信号の発生タイミングとすればよい。
【0036】
第2の計時部52bは、後述するモータ停止判定部54の判断によってステップモータ24が停止した際に、第2の所定時間tb(
図6参照)経過毎に、カウント制御部50に対して、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cから第2の所定値c2(
図6参照)を減算させる指示を出す。なお、第2の計時部52bは、第2の計時手段の一例である。第2の所定時間tbは、例えば、実際にステップモータ24を加熱した状態で放置して、時間とともにステップモータ24の温度が低下する様子を観測することによって、予め適切な時間間隔を設定すればよい。そして、第2の計時部52bは、設定された第2の所定時間tbが経過したことを、CPU301が有するタイマカウンタの出力をモニタすることによって検出する。なお、第2の所定値c2は、第1の所定値c1と同じ値に設定される。
【0037】
第3の計時部52cは、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cが第1の閾値Th1(
図6参照)に満たない状態でステップモータ24が停止した際、例えば、レシートの印刷が完了した際に、第3の所定時間tc(
図6参照)経過毎に、カウント制御部50に対して、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cから第3の所定値c3を減算させる指示を出す。第1の閾値Th1は、これ以上温度が上昇すると、ステップモータ24が破損するおそれがある許容限界を示す閾値である。なお、第3の計時部52cは、第3の計時手段の一例である。第3の所定時間tcは、前記した第2の所定時間tbと同様に、加熱したステップモータ24を放置した際の温度変化を計測することによって、予め適切な時間間隔を設定すればよい。そして、第3の計時部52cは、設定された第3の所定時間tcが経過したことを、CPU301が有するタイマカウンタの出力をモニタすることによって検出する。なお、第3の所定値c3は、第1の所定値c1および第2の所定値c2と同じ値に設定される。
【0038】
モータ停止判定部54は、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cが第1の閾値Th1に達した際に、ステップモータ24を停止させる。また、モータ停止判定部54は、レシートの印刷が終了したことを判断して、ステップモータ24を停止させる。
【0039】
モータ駆動再開部56は、モータ停止判定部54の判断によってステップモータ24が停止した際に、第2の計時部52bの指示に基づくソフトウェアカウンタ31のカウント値Cが、第1の閾値Th1よりも小さい第2の閾値Th2(
図6参照)を下回った際に、ステップモータ24の動作を再開させる。第2の閾値Th2は、ステップモータ24の温度がここまで下がれば、ステップモータ24を動作させても問題ないと判断できる閾値である。
【0040】
モータ駆動制御部58は、ステップモータ24の動作を制御する。
図4のモータコントローラ36は、モータ駆動制御部58の一例である。
【0041】
電源状態検出部60は、電源スイッチ20の状態を検出することによって、レシートプリンタ10の電源がオンであるかを検出する。
【0042】
停止時間計時部62は、レシートプリンタ10の電源切断時から電源投入時までの電源切断時間toを測定する。
【0043】
カウンタリセット部64は、停止時間計時部62が計測した電源切断時間toが、予め設定した所定時間以上である場合に、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cをリセットして0にする。すなわち、カウンタリセット部64は、ステップモータ24が完全に冷えていると判断できる場合には、カウント値Cを強制的にリセットする。
【0044】
モータ温度報知部66は、モータ停止判定部54の判定によってステップモータ24が停止している間に亘って、インジケータ22を点灯、点滅させる等の報知を行う。この報知によって、レシートプリンタ10の使用者に対して、ステップモータ24が過熱しているため、動作を停止していることを伝える。なお、このとき、レシートプリンタ10と接続されたPOS端末80の表示画面に、ステップモータ24の温度が低下すると、レシートプリンタ10は自動的に動作を再開する旨を示す表示を行ってもよい。
【0045】
操作指示取得部68は、レシートプリンタ10やPOS端末80においてなされる各種操作のうち、レシートプリンタ10に対する操作指示を取得する。
【0046】
(モータ温度推定装置の動作概要の説明)
次に、
図6を用いて、モータ温度推定装置19の動作概要について説明する。
図6は、モータ温度推定装置19の動作概要の一例を示すグラフである。グラフの横軸は時刻tを表し、グラフの縦軸は、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cを表す。
【0047】
モータ温度推定装置19は、ステップモータ24の温度を推定して、推定された温度に基づいて、レシートプリンタ10の状態を、プリント状態P、アイドル状態I、サスペンド状態Sのいずれかの状態とする。
【0048】
プリント状態Pは、レシートプリンタ10がレシートを印刷している状態である。
図6の例では、時刻t0から時刻t1と、時刻t2から時刻t3と、時刻t4から時刻t5と、がプリント状態Pである。なお、
図6において、時刻t0から時刻t1は、1取引に係るレシートの印刷を行う期間を示している。また、時刻t2から時刻t3は、1取引に係るレシートの印刷を行っている途中で、ステップモータ24の温度が第1の閾値Th1に達したため、ステップモータ24が停止して、印刷動作およびレシート用紙の搬送が停止したことを示している。そして、時刻t4から時刻t5は、時刻t4においてステップモータ24の動作が再開して印刷および搬送が再開し、時刻t5においてレシートの印刷が完了したことを示している。
【0049】
アイドル状態Iは、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cが第1の閾値Th1に達していない状態で、尚且つレシートプリンタ10がレシートの印刷を行っていない状態である。
図6の例では、時刻t1から時刻t2と、時刻t5以降がアイドル状態Iである。
【0050】
サスペンド状態Sは、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cが第1の閾値Th1に達して、レシートプリンタ10の印刷およびレシート用紙の搬送を停止させた状態である。
図6の例では、時刻t3から時刻t4がサスペンド状態Sである。
【0051】
レシートプリンタ10がプリント状態Pにあるときには、前記した第1の計時部52a(
図5参照)が、第1の所定時間taが経過したことを検出する度に、カウント制御部50に対して、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cを、第1の所定値c1ずつ加算させる。
【0052】
レシートプリンタ10がアイドル状態Iにあるときには、前記した第3の計時部52c(
図5参照)が、第3の所定時間tcが経過したことを検出する度に、カウント制御部50に対して、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cを、第3の所定値c3ずつ減算させる。
【0053】
レシートプリンタ10がサスペンド状態Sにあるときには、前記した第2の計時部52b(
図5参照)が、第2の所定時間tbが経過したことを検出する度に、カウント制御部50に対して、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cを、第2の所定値c2ずつ減算させる。ここで、第2の所定時間tbは、前記した第3の所定時間tcよりも長い時間に設定される。すなわち、レシートプリンタ10がサスペンド状態Sにあるときは、アイドル状態Iにあるときと比べて、ソフトウェアカウンタ31のカウント値Cが減算される時間が遅くなるように設定される。これは、サスペンド状態Sにあるときのステップモータ24の温度は、アイドル状態Iにあるときと比べて高くなっているため、冷却に、より長い時間を必要とすることを反映するためである。
【0054】
なお、第3の所定時間tcと第2の所定時間tbとを同じ値に設定して、第3の所定値c3を第2の所定値c2よりも大きい値に設定しても、同様の特性を得ることができる。
【0055】
(レシートプリンタの状態遷移の説明)
次に、
図7を用いて、レシートプリンタ10の状態遷移について説明する。
図7は、レシートプリンタ10の状態遷移を示す状態遷移図である。
【0056】
レシートプリンタ10がプリント状態Pにある場合(ノードN1)、第1の所定時間ta経過の度に、カウント値Cが第1の所定値c1ずつ加算される。そして、カウント値Cが、C<Th1である場合には、レシートプリンタ10はプリント状態Pを維持する(アークA1)。また、カウント値Cが、C≧Th1である場合には、サスペンド状態Sに遷移する(アークA2)。さらに、レシートのプリントが完了するとともに、カウント値Cが、C<Th1である場合には、レシートプリンタ10はアイドル状態Iに遷移する(アークA3)。
【0057】
レシートプリンタ10がサスペンド状態Sにある場合(ノードN2)、第2の所定時間tb経過の度に、カウント値Cが第2の所定値c2ずつ減算される。そして、カウント値Cが、C>Th2である場合には、レシートプリンタ10はサスペンド状態Sを維持する(アークA4)。また、レシートのプリントが未完了であって、尚且つ、カウント値Cが、C≦Th2である場合には、レシートプリンタ10はプリント状態Pに遷移する(アークA5)。さらに、レシートのプリントが完了しており、尚且つ、カウント値Cが、C≦Th2である場合には、レシートプリンタ10はアイドル状態Iに遷移する(アークA6)。
【0058】
レシートプリンタ10がアイドル状態Iにある場合(ノードN3)、第3の所定時間tc経過の度に、カウント値Cが第3の所定値c3ずつ減算される。そして、レシートプリンタ10の操作、またはPOS端末80からの指示によってレシートのプリント開始指示がなされると、レシートプリンタ10はプリント状態Pに遷移する(アークA7)。
【0059】
(モータ温度推定装置が行う処理の流れの説明)
次に、
図8を用いて、モータ温度推定装置19の制御部30が、制御プログラムP1に基づいて行う処理の流れについて説明する。
図8は、モータ温度推定装置19が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0060】
電源状態検出部60は、レシートプリンタ10の電源がオンであるかを確認する(ステップS10)。レシートプリンタ10の電源がオンであると判定される(ステップS10:Yes)と、ステップS12に進む。一方、レシートプリンタ10の電源がオンであると判定されない(ステップS10:No)と、ステップS14に進み、停止時間計時部62は、レシートプリンタ10の電源切断時から電源投入時までの電源切断時間toを加算する。その後、ステップS10に戻る。
【0061】
次に、ステップS12において、カウンタリセット部64は、電源切断時間toが、予め設定した所定時間以上であるかを判定する。電源切断時間toが、予め設定した所定時間以上であると判定される(ステップS12:Yes)と、ステップS16に進んで、カウント値Cを0にリセットする。その後、ステップS18に進む。一方、電源切断時間toが、予め設定した所定時間以上であると判定されない(ステップS12:No)と、ステップS18に進む。
【0062】
続いて、操作指示取得部68は、プリント指示があるかを判定する(ステップS18)。プリント指示があると判定される(ステップS18:Yes)と、カウント制御部50は、レシートプリンタ10をプリント状態Pに移行させる(ステップS20)。一方、プリント指示があると判定されない(ステップS18:No)と、ステップS18を繰り返す。
【0063】
レシートプリンタ10がプリント状態Pに移行した後、カウント制御部50は、カウント値Cに基づいて、レシートプリンタ10をアイドル状態I(ステップS40)、およびサスペンド状態S(ステップS60)にそれぞれ遷移させる。各状態における処理の流れは後述する。
【0064】
(プリント状態における処理の流れの説明)
次に、
図9を用いて、プリント状態Pにおける処理の流れについて説明する。
図9は、プリント状態Pにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。プリント状態Pに遷移すると、レシートプリンタ10はレシートの印刷を実行する(ステップS22)。
【0065】
第1の計時部52aは、第1の所定時間taが経過したかを判定する(ステップS24)。第1の所定時間taが経過したと判定される(ステップS24:Yes)と、ステップS26に進む。一方、第1の所定時間taが経過したと判定されない(ステップS24:No)と、ステップS24を繰り返す。
【0066】
カウント制御部50は、カウント値Cに第1の所定値c1を加算する(ステップS26)。
【0067】
続いて、モータ停止判定部54は、プリント(レシートの印刷)が完了したかを判定する。プリントが完了したと判定される(ステップS28:Yes)と、ステップS30に移行する。一方、プリントが完了したと判定されない(ステップS28:No)と、ステップS32に移行する。
【0068】
ステップS30では、モータ停止判定部54が、カウント値Cが第1の閾値Th1未満であるかを判定する。カウント値Cが第1の閾値Th1未満であると判定される(ステップS30:Yes)と、カウント制御部50は、レシートプリンタ10をアイドル状態I(
図10のステップS42)に移行させる。一方、カウント値Cが第1の閾値Th1未満であると判定されない(ステップS30:No)と、カウント制御部50は、レシートプリンタ10をサスペンド状態S(
図11のステップS62)に移行させる。
【0069】
ステップS32では、モータ停止判定部54が、カウント値Cが第1の閾値Th1未満であるかを判定する。カウント値Cが第1の閾値Th1未満であると判定される(ステップS32:Yes)と、ステップS22に戻る。一方、カウント値Cが第1の閾値Th1未満であると判定されない(ステップS32:No)と、カウント制御部50は、レシートプリンタ10をサスペンド状態S(
図11のステップS62)に移行させる。
【0070】
(アイドル状態における処理の流れの説明)
次に、
図10を用いて、アイドル状態Iにおける処理の流れについて説明する。
図10は、アイドル状態Iにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。アイドル状態Iに移行すると、カウント制御部50は、モータ駆動制御部58に対して、ステップモータ24を停止させる(ステップS42)。
【0071】
第3の計時部52cは、第3の所定時間tcが経過したかを判定する(ステップS44)。第3の所定時間tcが経過したと判定される(ステップS44:Yes)と、ステップS46に進む。一方、第3の所定時間tcが経過したと判定されない(ステップS44:No)と、ステップS44を繰り返す。
【0072】
カウント制御部50は、カウント値Cから第3の所定値c3を減算する(ステップS46)。
【0073】
続いて、操作指示取得部68は、プリント指示があるかを判定する(ステップS48)。プリント指示があると判定される(ステップS48:Yes)と、プリント状態P(
図9のステップS22)に移行する。一方、プリント指示があると判定されない(ステップS48:No)と、ステップS50に進む。
【0074】
ステップS50において、電源状態検出部60は、レシートプリンタ10の電源がオフであるかを確認する。レシートプリンタ10の電源がオフであると判定される(ステップS50:Yes)と、
図10の処理を終了する。一方、レシートプリンタ10の電源がオフであると判定されない(ステップS50:No)と、ステップS44に戻る。
【0075】
(サスペンド状態における処理の流れの説明)
次に、
図11を用いて、サスペンド状態Sにおける処理の流れについて説明する。
図11は、サスペンド状態Sにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。サスペンド状態Sに遷移すると、モータ停止判定部54は、ステップモータ24を停止させる(ステップS62)。
【0076】
続いて、制御部30(
図4参照)は、プリント(レシートの印刷)を停止させる(ステップS64)。そして、モータ温度報知部66は、インジケータ22によって、サスペンド状態Sにあることを報知する(ステップS65)。
【0077】
第2の計時部52bは、第2の所定時間tbが経過したかを判定する(ステップS66)。第2の所定時間tbが経過したと判定される(ステップS66:Yes)と、ステップS68に進む。一方、第2の所定時間tbが経過したと判定されない(ステップS66:No)と、ステップS66を繰り返す。
【0078】
カウント制御部50は、カウント値Cから第2の所定値c2を減算する(ステップS68)。
【0079】
続いて、カウント制御部50は、カウント値Cが第2の閾値Th2以下であるかを判定する(ステップS70)。カウント値Cが第2の閾値Th2以下であると判定される(ステップS70:Yes)と、ステップS71に移行する。一方、カウント値Cが第2の閾値Th2以下であると判定されない(ステップS70:No)と、ステップS66に戻る。
【0080】
ステップS71では、モータ温度報知部66が、インジケータ22による報知を解除する。
【0081】
続いて、モータ停止判定部54は、プリントが完了したかを判定する(ステップS72)。プリントが完了したと判定される(ステップS72:Yes)と、ステップS74に進む。一方、プリントが完了したと判定されない(ステップS72:No)と、プリント状態P(
図9のステップS22)に移行する。
【0082】
ステップS74において、電源状態検出部60は、レシートプリンタ10の電源がオフであるかを確認する。レシートプリンタ10の電源がオフであると判定される(ステップS74:Yes)と、
図11の処理を終了する。一方、レシートプリンタ10の電源がオフであると判定されない(ステップS74:No)と、アイドル状態I(
図10のステップS42)に移行する。
【0083】
以上説明したように、実施の形態のモータ温度推定装置19によれば、感熱紙Q(用紙)を搬送するステップモータ24(モータ)が駆動中は、第1の計時部52a(第1の計時手段)が、第1の所定時間ta経過毎に、カウント制御部50(カウント手段)に対して、カウント値Cに第1の所定値c1を加算させる指示を出す。そして、モータ停止判定部54(判定手段)が、カウント値Cが第1の閾値Th1に達した際に、ステップモータ24を停止させる。第2の計時部52b(第2の計時手段)は、モータ停止判定部54の判断によってステップモータ24が停止した際に、第2の所定時間tb経過毎に、カウント制御部50に対して、カウント値Cから第2の所定値c2を減算させる指示を出す。そして、カウント値Cが、第1の閾値Th1よりも小さい第2の閾値Th2を下回った際に、モータ駆動再開部56(再開手段)は、ステップモータ24の動作を再開させる。第3の計時部52c(第3の計時手段)は、カウント値Cが第1の閾値Th1に満たない状態でステップモータ24が停止した際に、第3の所定時間tc経過毎に、カウント制御部50に対して、カウント値Cから第3の所定値c3を減算させる。したがって、カウント値Cによって、温度センサを用いることなく、用紙搬送用のステップモータ24の温度を、より正確に推定することができる。
【0084】
また、実施の形態のモータ温度推定装置19によれば、第2の所定時間tbは、第3の所定時間tcと等しく設定される。そしてさらに、第2の所定値c2は、第3の所定値c3よりも小さく設定される。したがって、サスペンド状態Sにおけるカウント値Cの減算量を、アイドル状態Iにおけるカウント値Cの減算量よりも小さくすることができる。そのため、ステップモータ24がより高温になっているサスペンド状態Sにおいては、アイドル状態Iに対して、冷却に時間を要することを加味した、より一層正確な温度推定を行うことができる。
【0085】
また、実施の形態のモータ温度推定装置19によれば、第2の所定値c2は、第3の所定値c3と等しく設定される。そしてさらに、第2の所定時間tbは、第3の所定時間tcよりも長く設定される。したがって、サスペンド状態Sにおけるカウント値Cの減算時間を、アイドル状態Iにおけるカウント値Cの減算時間よりも遅くすることができる。そのため、ステップモータ24がより高温になっているサスペンド状態Sにおいては、アイドル状態Iに対して、冷却に時間を要することを加味した、より一層正確な温度推定を行うことができる。
【0086】
また、実施の形態のモータ温度推定装置19によれば、停止時間計時部62(停止時間計時手段)が、モータ温度推定装置19が搭載されたレシートプリンタ10(プリンタ装置)の電源切断時から電源投入時までの、レシートプリンタ10が停止していた停止時間を測定する。そして、カウンタリセット部64(リセット手段)が、停止時間に基づいて、カウント値Cをリセットする。したがって、レシートプリンタ10の電源を切断して長時間経過した際に、電源を切断する前のカウント値Cが保持されるのを防止することができる。そのため、ステップモータ24の温度推定をより正確に行うことができる。
【0087】
また、実施の形態のモータ温度推定装置19によれば、モータ温度報知部66(報知手段)は、モータ停止判定部54の判定によってステップモータ24が停止している間に亘って報知を行う。したがって、ステップモータ24が過熱していると判定されて動作を停止した際に、レシートプリンタ10の操作者に対して、的確な情報提供を行うことができる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
例えば、制御部30が実行する制御プログラムP1は、記憶部32に格納された状態で提供してもよいし、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御プログラムP1は、ネットワークに接続したコンピュータ上に格納して、ネットワーク経由でダウンロードすることによって提供してもよい。さらに、制御プログラムP1は、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布してもよい。