【実施例】
【0192】
次の非限定的な実施例は、本開示をさらに示すために提供される。当業者であれば、後述の実施例に開示されている技法が、本発明者らが、本開示の実践において十分に機能することを見出したアプローチを表し、よって、その実践の形態の例を構成すると考慮することができることを認められよう。しかし、当業者は、本開示を踏まえて、開示されている具体的な実施形態に多くの変更を加えても、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、類似または同様の結果を依然として得ることができることを認めるべきである。
(実施例1)
脂肪由来間葉系幹細胞のアルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ処理は、HCELLの発現を強制する
【0193】
先の研究は、α(1,3)−フコシルトランスフェラーゼによって骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)をグリカン操作して、強力なE−およびL−セレクチンリガンドHCELLを作製することができることを示した(R Sacksteinら、Nature Medicine 14巻:181〜187頁(2008年))。非骨髄供給源に由来するMSC上のHCELL発現が強制され得るか決定するために、本発明者らは、脂肪由来間葉系幹細胞上のα(1,3)−エクソフコシル化の効果を解析した。この目的のため、痩せたおよび肥満対象の両方に由来する脂肪吸引材料から脂肪組織を得て、記載されている通りに間葉系幹細胞を培養した(R Sacksteinら、Nature Medicine 14巻:181〜187頁(2008年))。正常酸素(21%O
2)および低酸素(<5%O
2)条件下の両方で、FBS(20%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM)またはヒト血小板溶解物(5%ヒト血小板溶解物および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM)のいずれかを補充したMSC培地において、細胞を低密度(コンフルエンス<60%)で育成した。コンフルエンスが60%に近づいたらMSCを継代し、継代3〜6でMSCを収集した。次に、20ug/mlのフコシルトランスフェラーゼVII(FTVII;R&D Systemsによって、二価カチオンを含まない懸濁液中に調製)でまたはフコシルトランスフェラーゼVI(60mU/ml(R Sacksteinら、Nature Medicine 14巻:181〜187頁(2008年)))でMSC(20×10
6/ml)を処理し、いずれの場合でも、二価カチオンを含まず、10mM HEPES、0.1%ヒト血清アルブミンおよび1mM GDP−フコース(Sigma)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中で60分間37℃で処理した一方、対照細胞(バッファー処理)は、FTVIIを含まないまたはFTVIを含まない同じバッファー中で処理した。ヨウ化プロピジウムおよびアネキシンV染色を使用したデュアルレーザーフローサイトメトリーにより、細胞生存率をルーチンに評価した。細胞生存率は、FTVIまたはFTVIIのいずれかによるα(1,3)−エクソフコシル化後24時間目に、一貫して80%を超えていた。
図24〜
図26を参照されたい。
(実施例2)
ヒト血液白血球のアルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ処理は、細胞上の高レベルE−セレクチンリガンド活性を誘導し、HCELLの発現を強制する
【0194】
所望の細胞(例えば、幹細胞、前駆細胞、白血球等)の表面上のEセレクチンリガンド(すなわち、HCELLおよび他のE−セレクチンリガンド)の強制発現は、罹患組織(単数または複数)内の内皮細胞上の血管E−セレクチン発現に基づき、組織炎症/損傷の部位および腫瘍/がん浸潤の部位へと血管内輸送するこれらの細胞の高い能力を付与すると考えられる。その上、投与された細胞は、内皮細胞において発現されたE−セレクチンへのE−セレクチンリガンド附着性により血管周囲区域内に集まり、さらに、投与された細胞は、L−セレクチンリガンド附着性により、炎症/損傷またはがん組織環境内の浸潤する白血球の表面に呈示されたL−セレクチンにもつなぎ留めるため、ひとたび血管外遊出すると、関連する投与された細胞の表面上のHCELL(または他の強制されたE−セレクチン/L−セレクチンリガンド)の発現は、標的組織内における投与された細胞の定着を促進するよう機能するであろう。したがって、幹細胞/前駆細胞上および特異的白血球サブセット(例えば、NK細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞、Treg、単球、樹状細胞および顆粒球、ならびに治療目的のために培養において増大された関連する白血球(例えば、抗原特異的T細胞、増大されたNK細胞、キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)等)を含む)上のHCELLならびに他のE−セレクチンリガンドおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現の強制は、養子細胞療法において利用することができる(組織再生/修復のため、および/または免疫を増強するもしくは免疫を弱めるための免疫療法のため)。よって、決定的なことに、HCELLの強制発現は、E−セレクチン依存性内皮相互作用による標的部位への血管内投与された細胞の効率的な輸送を可能にし、血液で運ばれる細胞の動員を生じ、その後、別々の組織微小環境による、血管外遊出した細胞のE−セレクチン媒介性およびL−セレクチン媒介性の付着を生じるであろう。さらに、同様に、斯かる細胞を、炎症組織/損傷の罹患部位(単数または複数)またはがんの部位へと直接注射した場合、HCELLおよび他のE−セレクチン/L−セレクチンリガンドの強制発現は、組織環境内における細胞のE−セレクチン媒介性およびL−セレクチン媒介性の付着/定着を促進するであろう。
【0195】
細胞表面α(1,3)−エクソフコシル化の分子標的、ならびに白血球E−セレクチンおよびL−セレクチンリガンド活性に対するエクソフコシル化の効果を解析するために、クエン酸塩処理(citrated)全血から得た初代ヒト末梢血白血球で研究を行った。免疫磁気ビーズ選別(Miltenyi)により、白血球を単球(CD14+細胞)、CD4+リンパ球、CD8+リンパ球およびB細胞(CD19+細胞)に分離した。20ug/mlのフコシルトランスフェラーゼVII(FTVII;R&D Systemsによって、二価カチオンを含まない懸濁液中に調製)でまたはフコシルトランスフェラーゼVI(60mU/ml(R Sacksteinら、Nature Medicine 14巻:181〜187頁(2008年)))で細胞を処理し、いずれの場合でも、二価カチオンを含まず、10mM HEPES、0.1%ヒト血清アルブミンおよび1mM GDP−フコース(Sigma)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中で60分間37℃で処理した一方、対照細胞(バッファー処理)は、FTVIIを含まないまたはFTVIを含まない同じバッファー中で処理した。ヨウ化プロピジウムおよびアネキシンV染色を使用したデュアルレーザーフローサイトメトリーにより、細胞生存率をルーチンに評価した。細胞生存率は、FTVIまたはFTVIIのいずれかによるエクソフコシル化後24時間目に、一貫して80%を超えていた。
図27(A)〜
図27(C)および
図28(A)〜
図28(C)を参照されたい。
(実施例3)
ヒト樹状細胞の初代培養物のアルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ処理は、細胞上の高レベルE−セレクチンリガンド活性を誘導し、HCELLの発現を強制する
【0196】
ヒト樹状細胞のE−セレクチンおよびL−セレクチンリガンド活性をモジュレートするα(1,3)−エクソフコシル化の能力を評価するために、抗CD14コーティングされた磁気ビーズ(Miltenyi Biotech)を使用して(CD14−S)、またはプラスチック附着により(PA−S)、ヒト末梢血単核細胞から単球を単離し、続いて標準プロトコールに従って、サイトカインIL−4およびGM−CSFと共に6日間培養して、単球由来樹状細胞(mo−DC)への分化を誘導した。CD14の発現に関してフローサイトメトリーによって単球純度を評価し、BDCA−1、HLA−DR、CD80およびCD86(それぞれBD Biosciences製)の発現を染色することによりmo−DCの分化および成熟を評価した。次に、20ug/mlのフコシルトランスフェラーゼVII(FTVII;R&D Systemsによって、二価カチオンを含まない懸濁液中に調製)でまたはフコシルトランスフェラーゼVI(60mU/ml(R Sacksteinら、Nature Medicine 14巻:181〜187頁(2008年)))でMo−DCを処理し、いずれの場合でも、二価カチオンを含まず、10mM HEPES、0.1%ヒト血清アルブミンおよび1mM GDP−フコース(Sigma)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中で60分間37℃で処理した一方、対照細胞(バッファー処理)は、FTVIIを含まないまたはFTVIを含まない同じバッファー中で処理した。ヨウ化プロピジウムおよびアネキシンV染色を使用したデュアルレーザーフローサイトメトリーにより、細胞生存率をルーチンに評価した。細胞生存率は、FTVIまたはFTVIIのいずれかによるエクソフコシル化後24時間目に、一貫して80%を超えていた。
図29(A)〜
図29(C)および
図30(A)〜
図30(E)を参照されたい。
(実施例4)
ヒト調節性T細胞(Treg)の初代培養物のアルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ処理は、細胞上の高レベルE−セレクチンリガンド活性を誘導し、HCELLの発現を強制する;HCELL+Treg投与は、自家細胞によって誘導される異種間GVHDを抑制する
【0197】
炎症部位への免疫調節細胞(MSCおよびTreg等)の送達を増大する能力は、免疫性疾患(例えば、GVHD、関節リウマチ等)および感染に対する過剰増殖性炎症性応答(例えば、敗血症、劇症ウイルス肝炎等)における組織損傷を弱める養子細胞療法の潜在力を改善するよう機能するであろう。この目的のため、本発明者らは、ヒト−マウスGVHDモデルに対する異種間移植片対宿主病を処置する血管内投与された初代ヒトTregの能力におけるα(1,3)−エクソフコシル化の効果を調査した。本発明者らは、GVHDを誘導した自家リンパ球供給源に由来するTregの能力を評価しようと試みたが、その理由として、この戦略が、臨床造血幹細胞移植に関連する(すなわち、Tregは、ドナー造血/免疫細胞接種材料から増大され、したがって、ドナーTregは、ドナー免疫細胞によって誘導されたGVHDの処置に使用される)ことが挙げられる。この目的のため、健常ヒトドナーの全血のフィコール勾配遠心分離によって末梢血単核細胞(PBMC)を得た。負の選択の磁気イムノビーズシステム(Miltenyi)を使用して、CD4−high/CD127−low T細胞を単離し、IL−2を補充した抗CD3/抗CD28 mAb存在下の培養において増大させて、CD4+/FoxP3+/CD25+細胞(Treg)を産生した。同じドナー対象由来の未分画PBMCを、NSG宿主マウスの腹腔内にIP注射した(10
7細胞/マウス)。注射から14日後に(したがって、Treg増大の14日目に)、増大されたTreg細胞を採取し、続いて、20ug/mlのフコシルトランスフェラーゼVII(FTVII;R&D Systemsによって、二価カチオンを含まない懸濁液中に調製)でまたはフコシルトランスフェラーゼVI(60mU/ml(R Sacksteinら、Nature Medicine 14巻:181〜187頁(2008年)))で処理し、いずれの場合でも、二価カチオンを含まず、10mM HEPES、0.1%ヒト血清アルブミンおよび1mM GDP−フコース(Sigma)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中で60分間37℃で処理した一方、対照細胞(バッファー処理)は、FTVIIを含まないまたはFTVIを含まない同じバッファー中で処理した(ヨウ化プロピジウムおよびアネキシンV染色を使用したデュアルレーザーフローサイトメトリーにより、細胞生存率をルーチンに評価した;細胞生存率は、FTVIまたはFTVIIのいずれかによるエクソフコシル化後24時間目に、一貫して80%を超えていた)。次に、マウスに、2.5×10
5細胞/マウスの用量のバッファー処理(BT)Tregまたはエクソフコシル化Tregのいずれかを血管内注射した。次に、マウスを臨床的に経過観察し、初回PBMC注射後から50日間マウスの体重をモニターした。図に示すデータは、ヒトTregのFTVII処理が、HCELLを含むE−セレクチンリガンドの発現を誘導することを明らかにする。異種間GVHD(自家PBMCの事前の投与によって誘導)を有するマウスへのエクソフコシル化された自家由来Tregの注射は、体重減少の回復によって証明される通り、GVHDの弱まりをもたらす;エクソフコシル化Tregは、未フコシル化TregよりもGVHDの回復において3倍強力である。
図31〜
図34を参照されたい。
(実施例5)
MSCおよびヒト血液白血球のアルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ処理は、スタンパーウッドラフリンパ球附着性アッセイによって評価される通り、細胞上のL−セレクチンリガンド活性を誘導する
【0198】
スタンパーウッドラフリンパ球附着性アッセイは、L−セレクチンリガンド活性を評価するための従来のツールである(R. Sackstein、Immunol. Rev.230巻:140〜163頁(2009年))。リンパ節高内皮細静脈へのリンパ球結合の分子基盤を評価するために1970年代半ばに考案されたこのアッセイは、関連する細胞の表面に発現されたその同族リガンド(単数または複数)に取り付くL−セレクチン(生きているリンパ球の表面において元々発現されている)の能力を測定する。本アッセイは、回転性剪断条件下で行われ、これにより、結合相互作用に別々の生物物理学的制限を設ける:最も強力なL−セレクチンリガンド(ガラスに取り付いている細胞の表面に提示)のみが、回転するリンパ球懸濁液上に呈示されたL−セレクチンの附着性を支持し得る。実際に、このアッセイにおけるリンパ球のL−セレクチン媒介性結合の支持に十分なほど頑強な唯一のL−セレクチンリガンドは、リンパ節高内皮細静脈において呈示されたHCELLおよび「内皮」L−セレクチンリガンド(まとめると、これらのL−セレクチンリガンドは、「アドレシン」と呼ばれる)である(R. Sackstein、Immunol. Rev.230巻:140〜163頁(2009年))。
【0199】
α(1,3)−エクソフコシル化によって誘導されるL−セレクチンリガンド活性の発現を評価するために、天然細胞、バッファー処理細胞およびα(1,3)−エクソフコシル化細胞のサイトスピン調製物に対してスタンパーウッドラフを行った。簡潔に説明すると、ヒト血液から新鮮に調製されたリンパ球懸濁液(RPMI 1640培地中に10
7/mlリンパ球)により、細胞遠心分離(cytocentrifugation)によってスライド上に置かれた関連する細胞の調製物を含有するガラス製スライドの表面を覆った。剪断(80rpm)下、4℃で30分間のインキュベーションのため、回転プラットフォームにスライドを置いた。次に、スライドをPBSでリンスして、非附着性リンパ球を除去し、3%グルタルアルデヒドにおいて固定し、メチルグリーン−チオニンで染色した。光学顕微鏡により、細胞遠心分離された細胞へのリンパ球附着性に関してスライドを検鏡した。250×拡大率下で接眼グリッド(ocular grid)を使用して、細胞遠心分離した細胞のコンフルエント区域に附着性のリンパ球の数を計数することにより、L−セレクチンリガンド活性を測定した。附着性リンパ球(lymphcyte)を有する細胞遠心分離した細胞をスコア化し、細胞遠心分離した細胞の総細胞叢(lawn)内の斯かる細胞のパーセンテージを定量化する(表1のキーに示す通り)。
【表1】
【0200】
表1に示す通り、天然MSCは、L−セレクチン結合活性がないが、MSCのα(1,3)−エクソフコシル化は、著しいL−セレクチン結合活性を誘導し、L−セレクチン媒介性リンパ球結合が、本質的に全てのエクソフコシル化細胞において観察される。ヒトCD4 T細胞、ヒト単球およびヒト樹状細胞はそれぞれ、中程度のL−セレクチン結合活性を呈示するが、これらの細胞は、α(1,3)−エクソフコシル化後に頑強なL−媒介性リンパ球附着性を支持する。ヒトTreg、B細胞およびCD8細胞は、L−セレクチンリガンド活性を元々保持しないが、各細胞型は、α(1,3)−エクソフコシル化によってL−セレクチンに結合するように誘導することができ、エクソフコシル化Tregは、L−セレクチン附着性の著しい増加を示す。よって、L−セレクチン結合は、α(1,3)−エクソフコシル化後に本質的に全てのヒト白血球において増大され、特に、L−セレクチンリガンド活性は、α(1,3)−エクソフコシル化によってヒトMSC、CD4 T細胞、単球、樹状細胞およびTregにおいて著しく誘導され得る。いずれの場合でも、このL−セレクチン結合活性は、強制されたHCELL発現の反映であり、
図25、
図28(A)〜
図28(C)、
図30(A)〜
図30(E)および
図33に表示されているsLex/E−Igを染色するウェスタンブロットデータによって示される通り、これらの細胞上のHCELL発現の結果と釣り合っている。
(実施例6)
マウスMSC上のHCELL発現は、NODマウスにおける向膵臓性(Pancreatotropism)を認可し、自己免疫性糖尿病の耐久性のある回復を付与する
(序文)
【0201】
糖血症管理の薬物療法における有意な進歩にもかかわらず、1型糖尿病(T1D)は依然として、有意な罹患率および死亡率を伴い、革新的処置戦略を要求する主要な公衆衛生上の負担を課し続ける[1、2]。細胞に基づく免疫調節療法が、T1Dの処置における有望なアプローチとして登場した[3]。それらの免疫調節特性、安全性プロファイル、容易な取得および頑強なex vivo増大のため、間葉系幹細胞(MSC)は、T1Dを含む様々な難治性免疫媒介性疾患の処置のための最も急速に成長している細胞療法になった[4〜7]。NODマウスを使用した前臨床モデルにおいて、本発明者らおよび他の研究者らは近年、全身投与されたMSCが、自己免疫性糖尿病の減弱において有用性を有することを報告した[8〜13]。しかし、高血糖の回復におけるMSC治療法の利益は一時的なものであり、T1Dに対するMSCに基づく治療法の有効性を改善するための戦略を開発する差し迫った必要を強調する[6]。
【0202】
免疫調節細胞療法の効力は、炎症組織へと輸送する注入された細胞の能力に密接に関係している[14、15]。一部の器官(例えば、心臓)に関して、罹患部位への細胞の直接(局所)注射は、生理的利益に必要な定着を達成することができる[16]。しかし、T1Dの処置に関して、膵臓実質への細胞の直接注射は、著しい生命にかかわる膵臓炎症を誘導し得るプロテアーゼおよび他の酵素の放出を誘発しかねないため、細胞送達の血管経路が義務付けられる。組織への血液由来の細胞の遊走は、標的組織内皮上の係留/ローリング接着性相互作用によって惹起される。このような結合相互作用の最も強力なメディエータは、それらのそれぞれのリガンド上に発現されたシアロフコシル化グリカン決定基に結合する、3種のCa
++依存性レクチンのファミリーであるセレクチン(E−、P−およびL−セレクチン、それぞれCD62E、CD62PおよびCD62Lとしても公知)である[17]。重要なことに、あらゆる炎症性部位の微小血管系内において、内皮セレクチンであるE−セレクチンは、TNF−α等、炎症性サイトカインに応答して誘導的に発現される[17、18]。E−セレクチンは、「シアル酸付加されたルイスX」(sLex)として公知のシアロフコシル化四糖を原型において呈示する循環細胞上の膜糖タンパク質および/または糖脂質に結合する。しかし、MSCは、E−セレクチンリガンドを元々発現しない[19]。このような輸送上の欠損は、静脈内投与後に炎症末梢組織におけるMSCの生着を限定し[17、20]、MSCに基づく治療法の有用性を制約する。したがって、本発明者らは、炎症した膵臓へのMSC輸送が、E−セレクチンリガンド発現を強制するための細胞表面グリカン修飾により認可され得るか、また、これが、NODマウスの新たに発症した自己免疫性糖尿病におけるMSC治療効果(単数または複数)に影響するか調査しようと試みた。本発明者らの知見は、糖尿病におけるMSC効果の生物学に関する新たな洞察を提供し、糖尿病NODマウスにおける高血糖を回復するマウスMSCの能力の増大における、E−セレクチンリガンドHCELLの強制発現の特有かつ卓越した役割を強調する。
(材料と方法)
(マウス)
【0203】
C57BL/6、B6.129(Cg)−Cd44
tm1Hbg/J(CD57BL/6遺伝的背景におけるCD44
−/−;CD44−ノックアウト(「CD44−KO」))、BALB/cおよびNODマウスは、Jackson Laboratoriesから購入し、ハーバード・メディカル・スクールの動物管理収容施設(Harvard Medical School Facilities for Animal Care and Housing)において病原体を含まない環境で収容および/または飼育した。マウスの使用を必要とする実験は、施設内実験動物委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認された。
(MSC培養)
【0204】
以前に記載された通りに骨髄MSCを得た[9、10]。手短に説明すると、C57BL/6(野生型)またはCD44−KOマウスから単離された骨髄細胞を、10%ウシ胎仔血清(Lonza)、10ng/ml線維芽細胞増殖因子(PeproTech)、100U/mlペニシリンおよび100ug/mlストレプトマイシン(Gibco)を含むダルベッコ変法イーグル培地からなる培養培地においてフラスコ内に播種した。培養継代4〜6におけるMSCを実験に使用した。
(MSC特徴付けおよび分化)
【0205】
関連するアイソタイプ対照と共に、細胞表面マーカーSca1、CD44、CD73、CD45、CD29およびCD105に対する抗マウス抗体(全てeBioscience製)を使用したフローサイトメトリーによってMSCを特徴付けた。組換えマウスE−セレクチン(CD62E)−ヒトFcキメラは、R&D Systemsから購入した。以前に記載された通り、様々な中胚葉系列へと分化するそれらの能力に関してMSCを検査した[21、22]。簡潔に説明すると、培養培地におけるアスコルビン酸(50μg/ml)およびTGFβ1(1ng/ml)により、MSCの軟骨形成分化を誘導した。培養3週間後に、プレートをPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、光学顕微鏡による軟骨可視化のために0.05%アルシアンブルーで染色した。培養培地におけるアスコルビン酸(50μg/ml)、β−グリセロリン酸ナトリウム(10mM)およびデキサメタゾン(10nM)により、骨形成分化を誘導した。2週間後、プレートを洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、特徴的なカルシウム沈着物の可視化のために2%アリザリンレッドで染色した。1%ウシ胎児血清、1%グルタミン、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを補充したF12培地におけるデキサメタゾン(100nM)およびインスリン(6ng/ml)の添加により、脂肪形成分化を誘導した。細胞を4%パラホルムアルデヒド(parafomaldehyde)において固定し、60%イソプロパノール中0.3%オイルレッド溶液で染色して、脂質を含んだ液胞を評価した。
(MSCエクソフコシル化)
【0206】
懸濁液におけるMSC(反応液200ul当たり10×10
6個)を、20mM HEPES、0.1%ヒト血清アルブミンおよび1mM GDP−フコースを含有するCa
2+およびMg
2+不含ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)からなる反応バッファーにおける60mU/mLフコシルトランスフェラーゼVI(FTVI)により(「FTVI修飾されたMSC」)、または反応バッファー単独により(未修飾MSC)、90分間37℃で処理した。処理後に、0.2%HSAおよび20mM HEPESを含有するHBSSでMSCを洗浄した。トリパンブルー排除およびヨウ化プロピジウム染色により細胞生存率を評価した(剥離および処理24時間後に一貫して>85%生存率)。フローサイトメトリーによってFTVI修飾を評価した。FTVI酵素は、Roland Wohlgemuth博士(Sigma Chemical Corporation)によって提供された。
(ウェスタンブロット解析)
【0207】
バッファーA(150mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH7.4、20mg/mLフッ化フェニルメチルスルホニル、0.02%アジ化ナトリウムおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Molecular Biochemicals))における2%Nonidet P−40(NP−40)とのインキュベーションにより、FTVI修飾および未修飾MSC溶解物を調製した。ホールセル溶解物または免疫沈降されたタンパク質のウェスタンブロットは全て、以前に記載された通りに7.5%SDS−PAGEゲルにおいて還元条件下で行った[19]。各レーンにおける溶解物の量は、行ったウェスタンブロット毎に細胞数に対して正規化した。Lumi−Lightウェスタンブロッティング基質(Roche)を使用したケミルミネッセンスによりブロットを可視化した。
(フローサイトメトリーおよび免疫沈降研究)
【0208】
フローサイトメトリーは、以前に記載された通りに行った[19]。さらなる詳細については、補足方法セクションを参照されたい。
(平行平板型フローチャンバー接着アッセイ)
【0209】
以前に記載された通りに[19]、平行平板型フローチャンバー(250μmチャネル深さ×5.0mmチャネル幅)を使用して動的流動接着アッセイを行って、刺激されたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)上のE−セレクチン媒介性MSC結合を評価した。さらなる詳細については、補足方法セクションを参照されたい。
(hGHウイルスベクターによるMSCの形質導入)
【0210】
以前に記載された通りに[21]、hGHプラスミド構築物を含有するレンチウイルスによりMSCを形質導入した。MSC上清および注射された動物の血清において、酵素結合免疫吸着アッセイ(Roche Diagnostics)によってhGHのレベルを測定した。
(GFPウイルスベクターによるMSCの形質導入)
【0211】
以前に記載された通りに[21]、GFPを含有するレトロウイルスプラスミドによりMSCを形質導入した(GFP−MSC)。形質導入されたMSCを、蛍光顕微鏡によりGFPの核周囲発現に関して評価した。GFP−MSCを使用してホーミングを評価するための補完的アプローチにおいて、MSC(非GFP形質導入)を蛍光色素CFSEで標識した。
(免疫蛍光)
【0212】
膵臓をTissue Tek OCTに包埋し、凍結し、クライオミクロトーム(cryomicrotome)において切片作製した。Nikon E−1000落射蛍光顕微鏡(×400総拡大率)を使用して、免疫蛍光像を取得した。特異的染色に関するさらなる詳細については、補足方法セクションを参照されたい。
(マイトジェン刺激CD3/CD28 T細胞増殖アッセイ)
【0213】
抗CD3および抗CD28刺激を使用したT細胞増殖アッセイを使用して、MSCの免疫調節能力におけるFTVI修飾の効果を評価した。簡潔に説明すると、1×10
5個のNOD脾細胞を、10%ウシ胎仔血清(Gemini Bio−Products)、1%ペニシリンストレプトマイシン(Lonza)および1%グルタミン(Lonza)を補充したRPMI培地(Lonza)において、用量設定濃度(5×10
2〜5×10
4)の放射線照射された(3000rad)未修飾およびFTVI修飾されたMSCの存在下、精製されたマウス抗CD3eおよび抗CD28(ウェル当たり各1μg;eBioscience)により72時間刺激した。72時間インキュベーション期間の最後の12時間において、細胞に、1μCiのトリチウム標識チミジンを瞬間適用し、シンチレーション計数によりリンパ球増殖(
3H−チミジン取込み)を測定した。3回複製試料の平均として(平均cpm±SEM)結果を報告する。
(NODマウスにおける新たに発症した高血糖の回復の研究)
【0214】
高血糖(>250mgグルコース/dL)2日目に、ならびに高血糖発病後の7日目および30日目に、未修飾およびFTVI修飾されたMSC(200ulにおける0.5×10
6細胞)を雌NODマウスに麻酔なしの尾静脈経由で静脈内注射した。高血糖におけるMSC投与の効果を評価するために、以前に記載された通りに[9、10]尾静脈より血液を得て、グルコースを測定した。
(統計学)
【0215】
スチューデントt検定およびマン・ホイットニーの検定を使用して、実験的アッセイおよび免疫組織学的実験のデータを解析した。カプラン・マイヤー解析を使用して生存データを評価した。解析を行い、グラフを作成するために、Prismソフトウェアを使用した(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)。P値<0.05を有意と考慮した。データは、平均±SEMを表す。
(補足方法)
(フローサイトメトリーおよび免疫沈降研究)
【0216】
ビオチン化mAb HECA452(抗ヒト皮膚リンパ球抗原、sLexを認識;ラットIgM(BioLegend))および抗マウスCD44 mAb(KM114;ラットIgG1)、精製された抗マウスCD44 mAb(IM7;ラットIgG2b)およびフィコエリトリン(PE)標識されたストレプトアビジン(全てBD Pharmingenから入手)を使用して、以前に記載された通りに
19フローサイトメトリーを行った。ウェスタンブロッティングのため、抗CD44免疫沈降抗体(KM114/IM7)または適切なアイソタイプ対照と共にMSC溶解物をインキュベートし、続いてプロテインG−アガロース(Invitrogen)により採取した。2%NP−40、1%SDSを含有するバッファーAを使用して、免疫沈降物を十分に洗浄し、続いてSDS−PAGEに付し、二フッ化ポリビニリデン膜へと転写し、HECA452または抗マウスCD44抗体(KM114/IM7)で免疫染色し、続いて、Lumi−Lightウェスタンブロッティング基質(Roche)を使用したケミルミネッセンスによる可視化のために適切なHRPコンジュゲート二次抗体とインキュベーションした。
(平行平板型フローチャンバー接着アッセイ)
【0217】
コンフルエントなHUVECを、TNF−α(40ng/ml)で6時間刺激して、E−セレクチン発現を上方調節した。野生型(WT)およびCD44KO MSCを0.005%トリプシン/EDTAにより収集し、90分間37℃でFTVI修飾したか、またはバッファー単独で処理した(対照)。次に、1mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、5mM HEPESおよび1mg/ml BSAを補充したハンクス平衡塩類溶液に、10
6細胞/mlとなるようMSCを再懸濁した。HUVEC単層上にMSCを0.5ダイン/cm
2で灌流し、続いて、3分間間隔で1.0、2.0、5.0、10.0、20.0および30.0ダイン/cm
2の剪断応力レベルに付した。HUVECと相互作用したMSC(視野においてローリングした、または10秒間の時間枠内で視野にローリングした細胞)をチャンバー中央に見て、各剪断応力レベルにつき最小で6視野を用いた。刺激されたHUVECへのE−セレクチン結合の特異性を評価するための対照として、FTVI修飾されたMSCをVibrio cholerae由来のシアリダーゼ(0.1U/ml;Roche)で処理して、sLexから末端シアル酸を切断し、また、機能遮断抗ヒトE−セレクチンmAb(10ug/ml)(BD Pharmingen)の存在下での附着性も評価した。
(免疫蛍光)
【0218】
組織をクリオスタットで10um厚に切片作製し、冷アセトンにおいてスライド上で5分間固定した。乾燥させた後に、切片を1%BSAでブロッキングし、一次抗体において一晩インキュベートした。切片をTris緩衝食塩水(TBS)において3回洗浄し、二次抗体と1時間インキュベートした。一次ラット抗マウスCD62E(R&D Systems、1:100)および二次PEコンジュゲートヤギ抗ラットIgG(Southern Biotech、1:500)を使用してE−セレクチン(CD62E)染色を行った。アイソタイプマッチしたラットmAbを染色対照として使用した。ラット抗マウスCD31(Biocare、1:200)および二次PEコンジュゲートヤギ抗ラットIgG(Southern Biotech、1:500)を使用してCD31染色を行った。CD31およびE−セレクチン同時局在化の評価を連続切片において行った。精製されたモルモット抗インスリン(Dako、1:5)およびAPCコンジュゲートロバ抗モルモットIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch、1:200)を使用してインスリン染色を行った。HECA452 mAb(ラット抗CLA IgM mAb(Biolegend、1:200))およびFITCコンジュゲートマウス抗ラットIgM(Biolegend、1:500)を使用して、組織切片内のFTVI修飾されたMSCを検出した。マウント用培地単独で、または指示される場合はDAPI(Vector Labs)を含有するマウント用培地で切片の表面を覆い、カバーガラスをかけ、続いて免疫蛍光顕微鏡によって可視化した。
(結果)
(FTVI修飾されたMSCの発現および機能解析)
【0219】
糖尿病抵抗性系統であるC57BL/6マウス(「野生型」)、およびCD44−KOマウス(C57BL/6バックグラウンドにおけるCD44
−/−)由来の骨髄由来MSCは、特徴的な小型の紡錘状線維芽細胞様パターンを示し、中胚葉細胞型へと分化させることができた(
図7)。MSCは、MSCに特徴的な細胞表面マーカーを発現した(
図1(A))。MSCは、mAb HECA452(正準シアロフコシル化E−セレクチン結合決定基(シアル酸付加されたルイスX(sLe
x)等)を認識する)との反応性の非存在、およびE−セレクチンリガンド活性のプローブとして機能するE−セレクチン−Ig キメラ(E−Ig)への結合の非存在によって示される通り、E−セレクチンリガンドを元々発現しなかった(
図1(B))。
【0220】
ヒトMSCに関する先の研究は、α−(1,3)−フコシルトランスフェラーゼVI(FTVI)を使用した細胞表面糖鎖工学的操作(すなわち、グリコシルトランスフェラーゼプログラム化立体置換(GPS))が、天然膜CD44から、E−セレクチンに強力に結合するCD44のフコシル化シアリルラクトサミニルグリコバリアント(sialyllactosaminyl glycovariant)である造血細胞E−/L−セレクチンリガンド(HCELL)として知られる分子への変換によりE−セレクチン附着性を誘導することを示した[19]。細胞表面エクソフコシル化が、マウスMSC上のE−セレクチンリガンド活性をプログラムすることができるか決定するために、細胞生存率を保存するように最適化された反応条件を使用して、FTVIで細胞を処理した。MSCのFTVI修飾は、mAb HECA452による染色と共に、マウスE−セレクチン−Igキメラ(mE−Ig)との結合を顕著に誘導した(
図1(B))。注目すべきことに、FTVI修飾に先立つMSCのプロテアーゼ消化は、mE−Ig反応性を顕著に低減し、糖脂質ではなく糖タンパク質が、E−セレクチン結合決定基の優勢な担体であることを示す(
図1(B))。マウスMSCのエクソフコシル化後に、ホールセル溶解物(
図1(C))および免疫沈降されたCD44(
図1(D))のウェスタンブロットは、E−IgおよびHECA−452によって認識されるシアロフコシル化でデコレートされた主要な膜糖タンパク質が、CD44の「標準」(すなわち、スプライスバリアントエクソンを含有しない)形態である(ほぼ100kDa)ことを明らかにした。これらのデータは、FTVI修飾が、マウスMSC表面CD44をHCELLに変換することを示す。
(FTVI修飾マウスMSCは、生理的剪断応力条件下でE−セレクチンへの結合増加を有する)
【0221】
生理的剪断応力条件下でE−セレクチンに結合するFTVI修飾マウスMSCの能力を評価するために、本発明者らは、未修飾およびFTVI修飾されたMSCの両方の平行平板型フローチャンバーアッセイを行った。この目的のため、先ずHUVEC単層をTNF−αで刺激して、E−セレクチン発現を上方調節した。
図2に示す通り、FTVI修飾は、0.5ダイン/cm
2から20ダイン/cm
2もの強さの剪断応力レベルにおけるHUVECへのMSC接着を可能にした。フローチャンバー研究において、機能遮断E−セレクチンmAbとHUVECとのインキュベーションおよびMSCのシアリダーゼ処理(sLe
x呈示を排除するため)はそれぞれ、未修飾MSCと同様のレベルまで、FTVI修飾されたMSCの接着を著しく低減したため、刺激されたHUVECへのMSC附着性は、E−セレクチン受容体/リガンド相互作用に厳密に依存した(
図2)。まとめると、これらの知見は、マウスMSCのFTVI修飾が、強力なE−セレクチン結合活性を誘導し、後毛細細静脈に典型的なものを優に越えた血行動態剪断応力レベルにおいてE−セレクチン附着性を持続することができることを示す[17]。
(全身投与されたFTVI修飾されたMSCは、NODマウスにおける新たに発症した高血糖を強力に回復させる)
【0222】
FTVI修飾が、NODマウスにおける糖尿病をモジュレートするMSCの能力に影響したか否かを評価するために、新たに発症した糖尿病NODマウスに、細胞を与えなかった(未処置対照)、または5×10
5個のFTVI修飾もしくは5×10
5個の未修飾C57BL/6 MSCを高血糖(グルコース>250mg/dL)2日目に静脈内で(尾静脈経由)与え、続いて高血糖発病後7および30日目に静脈内注射した。
図3(A)に示す通り、未処置NODマウスは、その血中グルコースレベルの急速な増加を示し、1匹の動物を除いて、高血糖発病の数週間以内に死亡した。自己免疫性糖尿病の一時的な回復(すなわち、9匹のマウスのうち3匹が、3週間目に正常血糖であり、9匹の動物のうち2匹が、6週間目に正常血糖であり、全動物が12週間目までに高血糖になった)をもたらす未修飾MSCの投与と比較して(
図3(B))、FTVI修飾されたMSCの注入は、高血糖を頑強かつ永続的に回復させた(
図3(C))。際だったことに、8匹のマウスのうち7匹が、3週間正常血糖であり、8匹のマウスのうち6匹が、6週間正常血糖を維持し、8匹のマウスのうち5匹は、初回処置後12週間を超えて糖尿病がなかった(
図3(C))。600mg/dlを超える血中グルコースレベルを有する未修飾およびFTVI修飾されたMSC群におけるマウスの大部分は、最大90日間生存したが、未処置群(すなわち、MSCを与えなかった)において1匹のみ(7匹のマウスのうち)が90日間生存した。
(NODマウスの膵臓におけるE−セレクチン発現およびMSC局在化)
【0223】
膵臓へのMSC輸送におけるFTVI修飾の効果を調べるために、本発明者らは先ず、免疫蛍光顕微鏡を使用して、14週齢NODマウスの膵臓の微小血管系内のE−セレクチンの発現を評価した。膵島周囲微小血管は、膵島炎をもたらす炎症性細胞輸送の原発部位であると報告されている[23、24]。糖尿病抵抗性マウスの膵臓にはE−セレクチン発現がなかった(
図4(A))一方、NODマウスの膵臓の膵島周囲微小血管は、E−セレクチンを発現し(
図4(B))、これは、連続切片においてCD31染色と同時局在化した(
図4(C)および
図4(D))。糖尿病発病におけるNOD膵臓のCD3染色によって、糖尿病性膵島周縁部へのT細胞の浸潤が確認された(
図4(E))。NODマウスにおける全身投与されたFTVI修飾されたMSCの膵臓浸潤を評価するために、本発明者らは、膵臓の凍結切片を抗体HECA452で染色した。
図4(F)および
図4(G)に示す通り、移植1日後に、E−セレクチン発現微小血管系の近傍内の膵島周囲区域において、HECA452
+MSCが観察され、(E−セレクチン発現)血管周囲領域および(L−セレクチン発現)T細胞浸潤の区域に定着する。全身投与後のFTVI修飾および未修飾MSCのホーミングの程度を評価するために、GFP形質導入されたFTVI修飾および未修飾MSCをNODマウスに静脈内注射し、その膵臓、膵および腸間膜リンパ節ならびに脾臓を注射後4日目に収集し、切片作製し、蛍光顕微鏡によってMSCの存在を評価した。FTVI修飾されたMSCは、未修飾MSCと比較して膵臓の3倍高い浸潤を示した一方、注入されたFTVI修飾および未修飾MSCの膵臓浸潤における差は、糖尿病抵抗性BALB/cマウスにおいて観察されなかった(
図4(H))。しかし、処置したNODマウスのリンパ系組織へのFTVI修飾および未修飾MSCのホーミングの程度における差は示されなかった。
(エクソフコシル化は、MSC免疫抑制能力またはin vivo生存に効果がない)
【0224】
本発明者らは、hGH形質導入MSCによって産生されるヒト成長ホルモン(hGH)の測定が、投与されたMSCの長寿命を確かめるための高感度な方法であることを以前に報告した[21]。投与されたFTVI修飾されたMSCの高血糖の回復増大が、生存利点の結果であるか評価するために、高血糖の発病後2および7日目に、5×10
5個のhGH形質導入されたFTVI修飾および未修飾MSCをNODマウスに注射し、注射後の様々な時点で血清hGHを測定した。
図5(A)に示す通り、hGH産生のパターンに差はなく、FTVI修飾が、in vivoにおけるMSC持続に影響しなかったことを示す。エクソフコシル化が、MSC免疫調節能力を修飾するか評価するために、本発明者らは、同時培養T細胞抑制アッセイを行った。T細胞増殖は、FTVI修飾および未修飾MSCによって等しく弱められ(
図5(B))、エクソフコシル化が、MSCに追加的な免疫調節特性を付与しないことを示す。
(MSC CD44発現の非存在は、FTVI修飾されたMSCの抗糖尿病効果を抑止する)
【0225】
CD44発現が、FTVI修飾されたMSCの増大された抗糖尿病性効力に必要であるか否か調べるために、本発明者らは、CD44 KOマウス(C57BL/6遺伝的背景におけるCD44
−/−)からMSCを作製した。CD44を除いて、CD44 KOマウスの骨髄から作製されたMSCは、同一レベルの細胞表面接着分子を示した。フローサイトメトリーによって、エクソフコシル化CD44 KO MSCは、エクソフコシル化野生型MSCのものと等価なHECA452反応性を示し(
図8)、シアロフコシル化決定基が、代替(すなわち、非CD44)骨格上に作製されたことを示す。CD44 KO MSCの投与が、抗糖尿病活性を付与したか否かを評価するために、それぞれ5×10
5個の細胞のFTVI修飾および未修飾CD44 KOならびにC57BL/6野生型MSCを、高血糖発病後2、7および30日目に新たに発症した糖尿病NODマウスに注射した。未修飾CD44 KO MSCを与えた6匹のマウスのうち5匹、およびFTVI修飾CD44 KO MSCを与えた7匹のマウスのうち6匹における自己免疫性糖尿病の回復失敗によって実証される通り、野生型MSCと比較して、MSCのCD44欠乏は、その抗糖尿病効果に有意な損壊をもたらした(それぞれ
図6(A)および
図6(B))。NODマウスにおける注射後に、CFSE標識したFTVI修飾および未修飾CD44 KO MSCは、膵臓への輸送に差を示さず(
図6(C))、野生型MSCに観察されるものと同様のレベルであった(
図4(H))。in vitroにおけるMSC抑制能力は、MSC CD44発現の欠如によっても、CD44 KO MSCのエクソフコシル化によっても抑止されず(
図6(D))、投与されたFTVI処理CD44
−/−MSCの正常血糖効果(単数または複数)の非存在が、免疫調節における固有の欠損に起因し得ないことを示唆する。注目すべきことに、エクソフコシル化が、CD44 KO MSC上のHECA452によって認識可能な細胞表面シアロフコシル化の発現をもたらすにもかかわらず、斯かる細胞が、糖尿病NODマウスにおける意図される生物学的成果を実現しないという知見は、細胞表面グリカン操作によって生じる強制されたセレクチン結合の生物学的影響の規定/予測における、誘導されるE−IgおよびHECA452免疫反応性を評価するためのごく単純なフローサイトメトリー研究を越えた、生化学的研究(例えば、ウェスタンブロット解析)の重要性を明らかに強調する。
(考察)
【0226】
それらの免疫調節特性、安全性プロファイルおよび頑強なex vivo増大のため、MSCは、T1Dを含む様々な難治性免疫媒介性疾患を処置するためのいくつかのヒト治験の焦点となった[6]。MSCは、T1Dの発生に決定的な病原体構成成分における多面的な免疫調節効果により膵島炎および自己免疫性糖尿病を抑制することが判明した[25、26]。これらの効果は、炎症性サイトカイン対調節性サイトカインの発現をモジュレートし、これにより、調節性DCおよびT細胞の増大を促進する能力、ならびに自己反応性T細胞を直接阻害することができる負の同時刺激分子(例えば、PDL−1)のMSC発現を含む[8〜10、13]。したがって、MSC治療法は、T1D処置にとって興味深い特有の戦略となる優れた潜在力を有する。にもかかわらず、T1DにおけるMSCに基づく治療法の効力を改善するための研究の差し迫った必要がある[6]。
【0227】
先の研究において、本発明者らは、完全同種異系MSCの静脈内投与が、糖尿病NODマウスにおける高血糖の一過性回復を伴ったことを観察した[9]。本発明者らは、より頑強な抗糖尿病効果の実現における直近のハードルが、炎症した膵臓へのMSCホーミングの相対的な不足であると仮定した。そこで、本発明者らは、強制されたHCELL発現により増大されたホーミング能力を有するMSCの全身投与が、NODモデルにおける糖尿病の回復に影響を与えるか評価しようと試みた。この目的のため、本発明者らは、MSCの同種異系間供給源としてC57BL/6系統を利用した。これは、CD44 KO表現型をこの遺伝的背景において利用できるからである。本発明者らは、MSCの抗糖尿病効果を媒介する免疫機構を以前に調べたことがあるため[9、10]、MSC治療法の効力を評価するための一次エンドポイントとして代謝制御に着目した。
【0228】
相対的に短い期間(代表的には<30日間)で抗糖尿病介入の効果を特徴的に評価する他の研究とは対照的に、本研究においては、延長された観察期間(90日間)にわたって自己免疫性糖尿病の回復におけるMSCの効果を評価した。すると本発明者らのデータは、細胞表面α−(1,3)−エクソフコシル化(「FTVI修飾」)による天然膜CD44からHCELLへの変換が、E−セレクチンへの高効率マウスMSC結合を付与することを示す。本発明者らは、膵島炎を有するNODマウスの膵臓の膵島周囲区域におけるE−セレクチン発現を観察したが、糖尿病抵抗性マウスの膵臓においては観察されなかった。これらの知見と整合することには、本発明者らは、糖尿病抵抗性マウス(BALB/c宿主)の膵臓への、注射された同種異系間C57BL/6 FTVI修飾および未修飾MSCのホーミングのレベルにおける差を観察しなかったが、未修飾MSCと比較して、糖尿病NODマウスにおいて全身投与されたC57BL/6(同種異系間)FTVI修飾されたMSCの高められた膵臓浸潤が見られ、耐久性のある糖尿病回復が付随した。注目すべきことに、本発明者らは、FTVI修飾および未修飾MSCを与えた動物の間にリンパ系組織の浸潤における差を観察しなかったが、E−セレクチン発現微小血管の血管周囲領域内および白血球のクラスター内における細胞の付着/生着の著しい増加が見られた。まとめると、これらのデータは、自己免疫性糖尿病の抑制におけるMSC膵臓定着の主要な役割に注目を促すが、MSCの膵外効果の潜在的な寄与を除外しない。
【0229】
本研究および先の研究[9]における、静脈内投与された完全に同種異系間の未修飾MSCを使用して観察される抗糖尿病効果と比較して、本明細書で観察される完全に同種異系のFTVI修飾(HCELL)MSCを使用したT1D回復における著しい改善は、糖鎖工学的操作されたMSCそれ自体の増大された免疫抑制能力に、またはMSCの糖鎖工学的操作によって賦与されるin vivo生存利点に起因し得るとは思われない。先の研究において、本発明者らは、NORマウスから得られる半同種異系MSCの静脈内投与後に、NODマウスにおける改善された抗糖尿病効果を観察した[10]。これはおそらく、細胞のin vivo組織定着/持続改善を生じる半同種異系MSCの拒絶減少を反映したものである。しかし、臨床適用において、特に、製造および規制上の課題は、「すぐに入手可能な(off-the-shelf)」(すなわち、培養により増大され、プールされた)同種異系MSC製品の使用を支持するため、完全に同種異系供給源MSCの能力を増強するための戦略を用いることが有利となるであろう。HEC452反応性によって検出可能なFTVI依存性表面シアロフコシル化決定基が明らかに作製されたにもかかわらず、エクソフコシル化CD44 KO MSCが、高血糖の耐久性のある回復を誘導する能力を欠くという知見は、CD44骨格に明確に呈示されるE−セレクチン結合決定基(すなわち、HCELLの発生)が、強力な抗糖尿病効果の達成に必要とされることを示す。これは、必要な組織ホーミングおよび血管外遊出を成就するためのHCELL発現の重要な役割に関係している可能性があり[27]、そして/または関連する微小環境部位における適切な付着を達成するためのHCELL/CD44発現の要求を反映し得る[28]。MSC効果(単数または複数)を達成するためのin situ組織付着の役割は、免疫特権ゾーンを生じる膵島同種異系移植片とのMSC同時移植の研究によって強調されてきた[29〜31]。この点について、膵島血管周囲区域内および膵島白血球浸潤内のHCELL
+MSCの観察される局在化は、免疫調節のライセンス化におけるHCELLの作動的役割を強調する:E−セレクチンは、罹患組織の内皮床内で発現され、白血球は、L−セレクチンを特徴的に発現するため、強力なE−セレクチンおよびL−セレクチンリガンドであるHCELLの発現は、最も激しい免疫反応性の微小環境内で明確に組織付着を促進するように機能する。in vivoにおけるMSCの免疫調節効果のさらなる研究が正当化されるが、本明細書におけるデータは、T1Dの治療法におけるHCELL
+MSCの全身投与による増大された向膵臓性の潜在力を強調する。より広範には、E−セレクチンが、あらゆる炎症性部位における内皮床内でTNFおよびIL−1等のサイトカインによって上方調節されるという事実[17、18]は、多種多様な炎症性状態のためにMSCに基づく治療法の効力を改善するために強制されたMSC HCELL発現を活用する機会を提供する。
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(実施例7)
神経幹細胞の細胞表面グリカン操作は、向神経性を増強し、多発性硬化症のマウスモデルにおける回復を改善する
(序文)
【0261】
自然は、循環細胞を炎症および傷害の部位に送達するための極度に効率的な機構を発達させた。このプロセスは、分子相互作用の高度に秩序立てられたカスケードによって制御される(Butcher, E.C.、1991年;Sackstein, R.、2005年;Springer, T.A.、1994年)。細胞動員における第1の必須事象は、内皮表面上の流動細胞の剪断抵抗性接着が関与し、これは、それぞれの対応する受容体に結合する、3種のCa
2+依存性レクチンのファミリーであるセレクチン(E−、P−およびL−セレクチンで構成される)によって最も効率的に媒介されるプロセスである。このような相互作用は、最初に血管壁へと細胞を係留し、血管剪断流の文脈において、一般的な血行動態流を下回る速度において内皮表面に沿って細胞をローリングさせる(ステップ1)。このプロセスは、血管周囲区域に存在する適切なケモカインへの特異的細胞由来のケモカイン受容体の会合を容易にし、これにより、インテグリンファミリーメンバーの接着性増加をもたらす内側から外側へのシグナル伝達事象を誘発する(ステップ2)。次に、活性化された細胞インテグリンと、その対応する内皮細胞カウンター受容体との間の接着性相互作用は、ローリングの静止および血管壁への細胞の堅固な接着をもたらし(ステップ3)、最終的に、経内皮遊走(血管外遊出、ステップ4)をもたらす。
【0262】
多発性硬化症(MS)およびその動物モデル、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において、免疫性エフェクターの動員は、血管セレクチン、E−およびP−セレクチンの上方調節によって媒介される。E−およびP−セレクチンは、LPSまたはTNF−αによるin vivo活性化後に脳内皮において発現されるが、マウスEAEにおいて、P−セレクチンは、一過性にしか発現されない(Piccio, L.、Rossi, B.ら、2002年)。注目すべきことに、E−セレクチンは、血管が枝分かれする部位においてパッチ状分布で炎症性期間を通じて発現され、優先的動員区域の存在を示唆する(Piccio, L.、Rossi, B.ら、2002年)。E−セレクチンは、MS患者における急性プラーク由来の血管においても特徴的に見出される(Lee, S.J.およびBenveniste, E.N.、1999年;Washington, R.、Burton, J.ら、1994年)。これらの知見は、E−セレクチンが、炎症性疾患における脳への循環細胞の動員において支配的な役割を果たすことを示唆する。
【0263】
全3種のセレクチンは、末端四糖シアリルルイスX(sLe
x)として原型において呈示される、ガラクトースにおけるα(2,3)−結合型シアル酸置換およびN−アセチルグルコサミンにおけるα(1,3)−結合型フコース修飾を含有するシアロフコシル化で構成された特殊な炭水化物決定基に結合する(Polley, M.J.、Phillips, M.L.ら、1991年;Sackstein, R.、2005年)。「CD15」としても公知のこの構造は、タンパク質骨格(すなわち、糖タンパク質)または脂質骨格(すなわち、糖脂質)のいずれかに呈示されている可能性があり、CSLEX−1およびHECA−452等のmAbによって認識される(Alon, R.、Feizi, T.ら、1995年;Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2001年;Fuhlbrigge, R.C.、Kieffer, J.D.ら、1997年;Gadhoum, S.Z.およびSackstein, R.、2008年;Merzaban, J.S.、Burdick, M.M.ら、2011年)。硫酸化に主に関与する追加的な構造修飾は、sLe
xへのP−およびL−セレクチンの結合親和性を増加させるが、斯かる修飾のいずれも、E−セレクチンの最適な結合に必要とされない(Leppanen, A.、White, S.P.ら、2000年;Rosen, S.D.、2004年)。
【0264】
神経幹細胞(NSC)に基づく治療法は、CNS炎症性および/または変性疾患における疾患進行の停止および/または回復に対する大きな希望を生んだ(Ben-Hur, T.、Einstein, O.ら、2003年;Einstein, O.、Fainstein, N.ら、2007年;Einstein, O.、Grigoriadis, N.ら、2006年;Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年;Lee, S.T.、Chu, K.ら、2008年;Pluchino, S.、Quattrini, A.ら、2003年;Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2005年;Ziv, Y.、Avidan, H.ら、2006年)。NSCが、それぞれCXCR4(Bezzi, P.、Domercq, M.ら、2001年;Flax, J.D.、Aurora, S.ら、1998年;Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年)およびVLA−4(Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2005年;Rampon, C.、Weiss, N.ら、2008年)等、ステップ2およびステップ3/4エフェクターを発現することが周知であるが、NSCがステップ1エフェクターを元々発現するか否かに関するデータはない。したがって、本発明者らは、マウスNSCにおけるステップ1エフェクターの発現を調べ、このような細胞が、ステップ1エフェクター、特に、E−セレクチンリガンドを顕著に欠くことを見出した。EAEモデルを使用して、本発明者らは、細胞表面グリカン操作による強制されたE−セレクチンリガンド活性が、投与されたNSCの遊走およびより重要なことに、投与された細胞の治療効果(単数または複数)に影響を与えるか解析した。この目的のため、本発明者らは、グリコシルトランスフェラーゼプログラム化立体置換(GPS)と呼ばれる技術を利用して、関連するセレクチン結合グリカン決定基を細胞表面に作製した(Sackstein, R.、Merzaban, J.S.ら、2008年)。本明細書において、本発明者らは、2種の神経幹細胞膜糖タンパク質であるCD44およびNCAMのグリカンを修飾し、それぞれE−セレクチンリガンドHCELL(造血細胞E−/L−セレクチンリガンド)およびNCAM−Eを作製することにより、GPSが、NSC上のE−セレクチンリガンドの発現を強制することを報告する。NSC E−セレクチンリガンド活性の糖鎖工学的操作は、向神経性の増加をもたらし、検出可能な長期生着の非存在下でEAEにおける臨床転帰の改善を生じ、このような組織特異的幹細胞が、直接的な再生効果ではなく、回復効果を生じたことを示す。重要なことに、GPS操作されたマウス造血幹/前駆細胞(HSPC)の投与は、EAE臨床経過を改善しなかったため、この神経回復効果は、成体幹細胞の普遍的な特性ではない。これらの知見は、細胞遊走のエフェクターを作製するための細胞表面糖鎖工学的操作が、幹細胞に基づく治療法の効力を改善し得ることの最初の直接的な証拠の提供において、著しい臨床意義を有し、また、神経炎症性疾患の処置におけるNSCの使用に関する新たな展望も提供する。
(結果)
(神経幹細胞上の細胞遊走の分子エフェクターの発現)
【0265】
細胞遊走のステップ1、ステップ2およびステップ3/4の分子エフェクターの発現を解析するために、マウスNSCの初代培養物においてフローサイトメトリーを行った。NSCは、E−セレクチン−Igキメラ(E−Ig)およびP−セレクチン−Igキメラ(P−Ig)との反応性を欠き、炎症性メディエータの存在下であっても(
図15)、E−およびP−セレクチンリガンドの非存在を示す(
図9(A));これらはまた、mAb CSLEX1、KM93またはHECA452(これらはそれぞれ、sLe
xを識別する)によって染色されなかった。NSCは、CD44ならびにインテグリンVLA−4(CD49d/CD29)およびVLA−5(CD49e/CD29)と共にケモカイン受容体CXCR4を発現した;NSCマーカー発現のこのパターンは、他の研究者らによって観察されている(Back, S.A.、Tuohy, T.M.ら、2005年;Campos, L.S.、Decker, L.ら、2006年;Campos, L.S.、Leone, D.P.ら、2004年;Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年;Ji, J.F.、He, B.P.ら、2004年;Leone, D.P.、Relvas, J.B.ら、2005年;Pluchino, S.、Quattrini, A.ら、2003年;Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2005年)(
図9(B))。NSCは、十分に説明されたポリシアル酸(PSA)に加えて、神経細胞接着分子(NCAM)も特徴的に発現した(Vitry, S.、Avellana-Adalid, V.ら、2001年)(
図9(B))。NSCは、PSGL−1、CD43、LFA−1(CD11a(α
1)およびCD18(β
2)鎖の両方を欠く)およびLPAM−1(α
4β
7)を発現しなかった(
図9(B))。これらの結果は、NSCが、細胞遊出の多段階カスケードのステップ1エフェクターの発現を欠損しているにもかかわらず、血管外遊出におけるステップ2〜4を媒介し、放射状遊走による脳の発達におけるその動員にも関与するケモカイン受容体および関連するインテグリンエフェクターを発現することを示す(Imitola, J.、Comabella, M.ら、2004年)。
(GPSは、神経幹細胞上のE−セレクチンリガンド活性を強制する)
【0266】
NSC(Deboux, C.、Ladraa, S.ら、2013年)および脳がん幹細胞(Fu, J.、Yang, Q.Y.ら、2013年)の遊走に関与する分子CD44は、培養中のNSCの間で強く発現される(
図9(B))。しかし、NSCが、E−セレクチン結合を欠くという知見(
図9(A))は、これらの細胞が、HCELLとして公知のCD44のE−セレクチン結合グリコフォームを元々発現しないことを示す(Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2000年;Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2001年;Sackstein, R.、2004年)。よって、本発明者らは、CD44グリカンのグリコシルトランスフェラーゼプログラム化立体置換(GPS)を使用した非遺伝的操作が、HCELL発現を強制するか決定しようと試みた(Sackstein, R.、Merzaban, J.S.ら、2008年)。この目的のため、本発明者らは、α(1,3)−結合特異的フコシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼVI(FTVI)でNSCを処理した。この酵素は、末端2型−ラクトサミン単位にフコースを特異的に配置する;該ラクトサミンが、α(2,3)−結合型シアル酸によりキャッピングされる場合、sLe
xが作製される。NSCのFTVI処理後に(GPS−NSC)、mAbであるCSLEX1、KM93およびHECA452との反応性を誘導したところ、sLe
xエピトープの強い発現(
図10(A))、関連するE−Ig結合(
図10(A))と一貫したが、P−Ig結合の誘導(
図10(A))はなかった。注目すべきことに、CD15(SSEA−1またはLe
xとしても公知)の発現は、NSCにおいて高く(
図10(A))、FTVIは、シアル酸付加されていない末端ラクトサミンをフコシル化し、これにより、CD15(SSEA−1)を得ることができるが、CD15の発現は、強制されたフコシル化の後に変化しなかった(
図10(A))。まとめると、これらのデータは、α(1,3)−エクソフコシル化が、シアル酸付加されたラクトサミニル(lactosaminyl)グリカンにおいてのみ生じたことを示す。GPS処理に先立つNSCのブロメライン消化は、HECA452反応性を顕著に低減した(
図10(B))。これは、糖脂質ではなく糖タンパク質が、シアロフコシル化決定基の優勢な担体であることを実証する。ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC(PI−PLC)によるGPS−NSCの処理は、FACSによるHECA452シグナルの中程度の、ただし有意な減少をもたらした(
図10(C))。これは、sLe
xデコレートされた糖タンパク質の少集団が、グリコホスファチジル(GPI)−結合型であることを示す。
【0267】
GPS−NSC由来の細胞溶解物および免疫沈降されたCD44のウェスタンブロットは、HECA452によって認識される必須シアロフコシル化でデコレートされた糖タンパク質の1種が、CD44の標準のスプライシングされていない型(ほぼ100kDa;
図11(A))であり、CD44が、E−Igとも反応した(
図11(A))ことを明らかにした。しかし、CD44の徹底的免疫沈降後に、他の候補糖タンパク質E−セレクチンリガンド(単数または複数)が、残渣上清画分におけるE−IgおよびHECA452との反応性の証拠によって識別された。ほぼ120およびほぼ140kDaに2本のバンドが見えた。これらのバンドの分子量プロファイル(
図11(A))およびE−セレクチン結合の部分的PI−PLC感受性(
図10(C))、NCAMの特徴的な120kDa型(Gascon, E.、Vutskits, L.ら、2007年;Maness, P.F.およびSchachner, M.、2007年;Rutishauser, U.、2008年)に基づき、本発明者らは、NCAMが、追加的なE−セレクチンリガンドとして機能していた可能性を推測した。よって、本発明者らは、汎NCAM mAbによる免疫沈降を行い、CD44の徹底的免疫沈降後に持続する残渣バンドが実際に、NCAMのものであったことを観察した(
図11(B))。NCAM上の関連するシアロフコシル化が、N−グリカンにおいて呈示されたか否かを決定するために、本発明者らは、N−グリコシダーゼFによる消化後のGPS−NSCの溶解物のウェスタンブロットにおけるE−Ig反応性を検査した(
図11(A));消化後のE−Igによる明らかな染色は観察されず、関連するE−セレクチン結合決定基(単数または複数)が、N−グリカンに呈示されることを示す(indicBing)。PI−PLC処理後のHECA452シグナル(およびE−Igシグナル−データ図示せず)の僅かな減少によって示される通り、NSCの強制されたフコシル化後の全体的なsLe
x発現に対するNCAM−EのGPIアンカー型の寄与は、中程度である(
図10(C))。したがって、マウスNSCの強制されたα(1,3)−フコシル化は、HCELLと共に、本発明者らが「NCAM−E」と命名した神経前駆体分子NCAMの特有のE−セレクチンリガンド反応性型を作製した。興味深いことに、ヒトNSC(CC−2599)は、GPS処理後にHCELLのみを発現し、NCAM−Eを発現しない(
図16(A)〜
図16(C))。
【0268】
NSC上のGPS操作されたE−セレクチンリガンド活性の安定性を評価するために、本発明者らは、強制されたエクソフコシル化後に24時間間隔でフローサイトメトリーによりE−Ig反応性を測定した。E−セレクチンリガンド活性は、最大24時間安定的であり、その後、72時間までに検出不能レベルに減退し、これはおそらく、表面タンパク質のターンオーバーによるものと思われる(
図11(C))。NSC生存率(
図17)は、強制されたエクソフコシル化によって影響されず、クローン形成能アッセイまたはNSC分化におけるニューロスフェアの数または増殖に差はなかった(
図18(A)〜
図18(D))。よって、E−セレクチンリガンドの作製を除いて、NSCのGPS処理によって誘導される明らかな表現型の差はなかった。
【0269】
NSCは、in vitroでT細胞の増殖を阻害し(Einstein, O.、Fainstein, N.ら、2007年;Einstein, O.、Grigoriadis, N.ら、2006年;Martino, G.およびPluchino, S.、2006年)、特に、in vitroでT細胞の分裂促進的応答を弱めることが示されている。NSCのこの免疫調節機能が、強制されたE−セレクチンリガンド活性によって影響されるか否かを評価するために、本発明者らは、Con A活性化に応答してリンパ節細胞の増殖を抑制するGPS−NSCおよび対照バッファー処理NSC(BT−NSC)の能力を調べた。
図19(A)〜
図19(C)に表示される通り、GPS−およびBT−NSCは両者共に、T細胞増殖を減少させると共に、等しく炎症性サイトカイン産生のレベルを抑制することができ、NSC上のGPS処理それ自体によって提供される免疫調節上の利点または不利益がないことを示唆する。興味深いことに、本発明者らは、E−IgへのGPS処理細胞の結合の際に増大された、BT−およびGPS−NSCの両方に関して、炎症性サイトカイン処理の際のNSCからの白血病阻害因子(LIF)の等しい放出も観察した(
図19(C))。よって、NSCの強制されたエクソフコシル化は、in vitro研究によって決定される通り、NSC表現型または機能における望ましくない効果を伴うことなく一過性E−セレクチンリガンド活性を誘導した。
(GPS−NSCは、E−セレクチンとの頑強な生理的ローリング相互作用を呈示する)
【0270】
生理的血流条件下におけるGPS−NSCのE−セレクチンリガンド活性の効力を解析するために、E−セレクチンを発現するようサイトカイン(IL−1βおよびTNF−α)によって刺激されたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用して、平行平板型フローチャンバー研究を行った。
図12(A)に示す通り、GPS−NSCは、EDTAの存在下でまたは遮断抗E−セレクチンmAbの使用により完全に抑止される、卓越したE−セレクチンリガンド活性を示した。通常の後毛細細静脈剪断レベル(1〜4ダイン/cm
2)内で有意な剪断抵抗性ローリング相互作用が観察され、20ダイン/cm
2を超えて持続した(
図12(A))。グリカン操作されたE−セレクチンリガンドであるHCELLまたはNCAM−Eのうちどちらが、NSC上のより強力なE−セレクチンリガンドであるか解析するために、本発明者らは、ブロットローリングアッセイを使用した(Fuhlbrigge, R.C.、King, S.L.ら、2002年)。この技法は、SDS−PAGEによって分離された膜タンパク質に対する剪断依存性セレクチンリガンド相互作用の検出を可能にし、これにより、GPS−NSCのE−セレクチンリガンド活性に対するHCELLおよびNCAM−Eの個々の寄与の評価を可能にする。したがって、それぞれのE−セレクチン結合特性を評価するために、GPS−NSC溶解物のHECA−452免疫染色ブロット上に、E−セレクチントランスフェクトCHO細胞(CHO−E)を灌流した。
図12(B)に図解する通り、より多くのCHO−E細胞が、NCAM−Eの120kDまたは140kD型のいずれかと比較して、HCELLと相互作用および附着した。5mM EDTAを含有する流動培地に懸濁されたCHO−E細胞は、ブロットの任意の領域への無視できる接着を有し、セレクチンリガンド活性と一致したCa
2+依存性結合を確認した。
(GPS−NSCは、EAEにおいてin vivoで増加したホーミングおよび組織浸潤を示す)
【0271】
注射されたNSCが、CNS実質に浸潤したか否かを評価するために、本発明者らは、共焦点顕微鏡研究を行った。この目的のため、GPS−NSCおよびBT−NSCをPKH26色素で標識し、2回の別々のi.v.注射においてMOG誘導慢性EAEマウスへと静脈内注射した:疾患発病前(免疫化後(PI)9日目)および疾患発病時(PI 13日目)。これらの日数は、EAEの脳内皮上のE−セレクチン発現の先の研究に基づき選ばれた(Piccio, L.、Rossi, B.ら、2002年)。2回目のNSC注射から4日後に(PI 17日目)、腰部仙髄および脳を収集した。脳の共焦点解析は、脳におけるより多量のGPS−NSC(
図13(A))およびFlk−1
+血管外側の局在化(
図20(A)〜
図20(B))の両方を実証した。さらに、EAEにおける病理の大部分が生じる脊髄の並行して行った解析(
図13(B)〜
図13(D))は、PI 17日目までにBT−NSC浸潤よりも2倍多い数の血管外GPS−NSC浸潤を実証した(
図13(D))。これらのデータは、GPS−NSCが、脳および脊髄の両方において、BT−NSCよりも有意に有効にCNS実質に浸潤することを示す。本発明者らの共焦点データをさらに確認するために、本発明者らは、in vivoでのNSCの短期ホーミングにおけるGPS操作されたE−セレクチンリガンド活性の効果を研究した。蛍光色素追跡用色素、CFSA−SE(カルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルエステル)を使用してNSCを染色し、材料と方法に記載されている通りにMOGによるPI 9日目および13日目にC57BL/6マウスへと養子移入した。2回目の細胞注射後16時間以内に、本発明者らは、GPS−NSCが、BT−NSCよりも3〜5倍効率的に脳、脾臓および肝臓に蓄積したことを観察した(
図13(E))。脳、脾臓および肝臓への浸潤におけるGPS−NSCの相対的利点は、in situでのこれらの細胞の単純な優先的増大ではなく、輸送における真の差を反映したが、このことは、それらの平均CFDA−SE蛍光が、BT−NSCと比べて低減されなかったことから分かる(データ図示せず)。脾臓へと遊走した細胞から実際に、CD4
+ T細胞とNSCとの密接な相互作用が存在することが明らかである(
図13(F))。注射された細胞は、肺にも蓄積したが、GPS−およびBT−NSCの間に差はなく、おそらく、肺微小血管における立体的トラップの反映である(
図13(E))。よって、GPS処理後にNSCに形成されたsLe
x構造は、これらの器官へのこれらの細胞の遊走を認可し、in vivoでのNSCの組織特異的遊走の駆動におけるE−セレクチンリガンド活性の決定的役割を強調する。
(GPS−NSCは、EAEにおける内在性間接的神経再生の増大によって、神経病理学の寛解に繋がるホーミングを増加させた)
【0272】
NSCの改善された組織ホーミングが、増大された治療効果を有したか否かを取り扱うために、本発明者らは、MOG誘導慢性EAE後にNSC注射を与えたC57BL/6マウスの神経学的状態をモニターし、臨床パラメータならびに組織再建および病理を解析した。PI 9日目およびPI 13日目に2回の別々のi.v.注射において神経前駆体を投与した。EAEマウスの5群を検査した:(1)GPS−NSC;(2)BT−NSC;(3)HBSS(偽;すなわち、細胞なし);(4)BT−HSPC;および(5)GPS−HSPC。盲検法様式で個々のマウスにおける臨床スコアを毎日評価し(
図14(A))、疾患の累積的負担の線形回帰を計算した(
図14(B)および表2)。
【表2】
対照NSC(BT−NSC)の注射は、HSPCおよび偽処置動物と比較して、EAEの臨床重症度を減弱した(p=0.006)。しかし、GPS−NSCのi.v.注射(n=30)は、BT−NSC(n=30;p=0.006)、GPS−HSPC(n=30;p<0.0001)、BT−HSPC(n=30;p<0.0001)および偽(n=30;p<0.0001)処置動物と比較して、より有意に改善された臨床スコアを示した。GPS−HSPCの注射(顕著に増加されたE−セレクチンリガンド活性を呈示する、
図21(A)(Merzaban, J.S.、Burdick, M.M.ら、2011年)を参照)またはBT−HSPCの注射のいずれも、対照動物と比較して、MOG誘導動物の臨床スコアにおける改善を示さなかった(
図21(B)〜
図21(C)および表3)ため、疾患重症度のこの寛解が、NSCに特異的であることに留意することが重要である。
【表3】
実際に、GPS−またはBT−HSPCのいずれかの注射は、臨床転帰悪化に向かう傾向を示したが、これは、NSC注入の観察される有益な効果が、成体幹細胞の一般特性ではないことを示す。
【0273】
注目すべきことに、EAE誘導後30日目の神経病理学の検査は、BT−NSCおよび偽処置動物と比較して、GPS−NSCを与えたマウスにおける炎症および神経再生のいくつかのパラメータにおける統計的有意差を示した(
図14(C))。EAEの神経病理学におけるNSC注射の影響を決定するために、本発明者らは、多数の異なるマーカーを評価した。先ず、炎症の程度を評価するために、本発明者らは、マウスの各研究群由来の脊髄の切片を、浸潤するマクロファージおよびマイクログリアを識別するマーカーであるCD11bに関して染色した。HBSSバッファー単独を与えたEAEを有する動物は、高レベルのCD11b染色を呈示し、細胞は、活性化された表現型の形態的証拠である、増加した数の膜プロセスを示す(
図14(C))。CD11b染色細胞の数は、BT−NSCを与えたマウスにおいて有意に減少し(p<0.0001)、注目すべきことに、このようなレベルは、GPS−NSCを注射した動物においてさらになお減少した(p<0.005、BT−NSCと比較)。重要なことに、マクロファージ/マイクログリアは、活性化減少を示す、減少したCD11b染色と、さらに多くの別々の膜プロセスを呈示した(
図14(C))。加えて、異なる処置群における脳CD4+T細胞の定量化は、GPS−NSCを与えた動物における浸潤T細胞の有意な減少を明らかにした(
図14(D)および
図14(E))。神経再生を評価するために、本発明者らは、マーカーGAP−43およびSMI−32に関して脊髄の切片を染色した(
図14(F)〜
図14(I))。GPS−NSCを注射した動物において、BT−NSCまたはHBSSバッファー単独のいずれかを与えたマウスにおけるものと比較して、軸索統合性および再生に関連する分子であるGAP−43の発現増加が存在した(
図14(F)〜
図14(G))。逆に、軸索変性のマーカーであるSMI−32の発現の特異的低減が、BT−NSCまたはHBSSバッファーのいずれかを与えたマウスと比較して、GPS−NSCを与えた動物において観察された(
図14(H)〜
図14(I))。これらのデータは、BT−NSCを上回るGPS−NSCによって提供される改善された臨床効果が、神経保護増大を生じる組織特異的NSCの病変遊走増加に対し二次的なものであるという概念を支持する。
【0274】
GPS−NSCの観察された効果が、神経再生増加を反映するか否かをさらに評価するために、本発明者らは、CNPase、Olig−2およびSOX9を含む、オリゴデンドロサイト形成(oligodendrogenesis)および成熟オリゴデンドロサイトに関連するマーカーに関して染色した。本発明者らは、BT−NSCまたは偽対照と比較して、GPS−NSCを与えた動物におけるOlig−2、SOX9およびCNPase細胞の数における統計的に有意な増加を観察した(
図14(D)および
図14(E))。PI 17日目に注射されたNSCの証拠が存在したが(SOX−2
+細胞;
図20(A)〜
図20(B))、本発明者らは、注射群のいずれにおいても、PI 30日目にNSC(GFPをタグ付け)による持続性の定着を観察せず(
図22)、ホーミング改善に関連するNSC神経保護の機構が、投与されたNSCの、継続した存在も神経系列細胞に向けた分化も必要としないことを示唆する。まとめると、これらのデータは、GPS−NSCによるマウスの処置が、CNSへのNSCの送達を増大し、直接的神経再生(すなわち、細胞置き換え)ではなく、間接的神経再生効果により神経回復を提供したことを示す。
(考察)
【0275】
MSは、髄鞘の漸進的破壊を生じ、軸索傷害および損失をもたらす、多巣性炎症性病変によって特徴付けられるCNSの慢性脱髄性疾患である(Imitola, J.、Chitnis, T.ら、2006年)。幹細胞に基づく治療法は、罹患細胞を置き換えることにより(直接的再生)、および/または内在性細胞による組織再建を誘起する環境における支持的/栄養性(trophic)因子の産生により(間接的再生)、損傷/炎症組織の修復の見込みを提供する。MS等の播種性神経学的疾患の場合、組織特異的NSCの使用は、CNS快復の達成における臨床的有用性を立証することができるが、この目標を成し遂げるための直近のハードルは、神経傷害の部位に適切な数の細胞を送達することである。先の研究は、脳卒中、脊髄外傷およびMSの実験モデルにおける移植されたNSCの利益を示した(Ben-Hur, T.、Einstein, O.ら、2003年;Einstein, O.、Fainstein, N.ら、2007年;Einstein, O.、Grigoriadis, N.ら、2006年;Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年;Lee, S.T.、Chu, K.ら、2008年;Pluchino, S.、Quattrini, A.ら、2003年;Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2005年;Ziv, Y.、Avidan, H.ら、2006年)。これらの研究において送達経路として罹患部位への直接注射を使用したが、疾患のびまん性の性質およびそれに伴う解剖的制約を考慮すると、多巣性CNS疾患における罹患組織(単数または複数)内のNSCの適切な定着を成就するために、局所投与(すなわち、in situ注射)であることが要求される送達の血管経路は、非実用的である。今までに、NSC上の細胞遊走の分子エフェクターの発現を評価する研究はなく、より重要なことに、斯かるエフェクターの発現を最適化する仕方について取り組む研究のうち、NSC向神経性を増大できたものはなかった。
【0276】
本発明者らの研究は、NSCが、関連するステップ2〜4エフェクターを発現するが、ステップ1エフェクターを顕著に欠損することを明らかにする:(1)これらは元々、E−セレクチンまたはP−セレクチンのリガンドを発現しない(炎症性サイトカインの存在下で成長した場合であっても(
図15));(2)これらは、正準セレクチン結合決定基であるグリカンsLe
xの発現を欠く;および(3)これらは、脳への輸送を媒介することが報告された、ミエリン特異的Th1細胞上のセレクチンリガンドである糖タンパク質PSGL−1を発現しない(Piccio, L.、Rossi, B.ら、2005年;Piccio, L.、Rossi, B.ら、2002年)。重要なことに、内皮セレクチン、特に、E−セレクチンの発現は、MSおよびEAEにおける免疫性エフェクターの動員に関係づけられてきた(Lee, S.J.およびBenveniste, E.N.、1999年;Piccio, L.、Rossi, B.ら、2002年)。よって本明細書において、本発明者らは、E−セレクチンリガンドの発現を強制するためのNSCのグリカン操作が、細胞の全身送達を増大し、結果として、MSモデルにおいて生物学的効果を有するか評価しようと試みた。
【0277】
本明細書におけるデータセットは、培養されたNSCが、2種の十分に特徴付けされた神経細胞表面分子であるCD44およびNCAM(Back, S.A.、Tuohy, T.M.ら、2005年;Pluchino, S.、Quattrini, A.ら、2003年)を発現することを示す。際だったことに、マウスNSCのエクソフコシル化は、顕著にこれらの糖タンパク質上のsLe
x決定基の高発現を生じ、CD44から強力なE−セレクチンリガンドHCELLへの変換をプログラム化し(Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2000年;Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2001年)、また、本発明者らが「NCAM−E」と命名した、ほぼ120kDaおよびほぼ140kDaのNCAMの2種のシアロフコシル化グリコフォームの発現を誘導する。ブロットローリングアッセイは、HCELLが、GPS−NSC上に発現される主要なE−セレクチンリガンドであることを明らかにした(
図12(B))。これらの知見は、PI−PLC消化によるNCAM−Eの除去後のフローサイトメトリーの結果によって裏づけされ、NSC sLe
x発現およびE−Ig反応性の相当な保持を示す(
図10(C))。
【0278】
免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであるNCAMは、ニューロンおよびグリアの両方において発現され、従来は、それらの環境への細胞の物理的つなぎ留めを確立する細胞間の相互作用のメディエータと見られている。NCAMタンパク質コアにおけるα−2,8−結合型ポリシアル酸(PSA)からなる翻訳後グリカン修飾は、神経遊走における特有の特性を提供し(Gascon, E.、Vutskits, L.ら、2007年;Maness, P.F.およびSchachner, M.、2007年;Rutishauser, U.、2008年)、PSA−NCAMは、脳における前駆体細胞遊走の媒介において決定的な役割を果たすものと思われる(Glaser, T.、Brose, C.ら、2007年;Lavdas, A.A.、Franceschini, I.ら、2006年;Zhang, H.、Vutskits, L.ら、2004年)。そこで、本発明者らのデータは、NCAMが、sLe
x決定基を作製するためのエクソフコシル化のアクセプターとして機能することができる関連する末端α−(2,3)−シアリルラクトサミニルグリカンを呈示することの最初の証拠を提供する。NSCの細胞表面糖鎖工学的操作後に、PSA発現レベルは変化せず、強制されたフコシル化の72時間以内にsLe
x発現の完全な損失があったため、誘導されたE−セレクチンリガンド活性は永続的なものではない(
図11(A)〜
図11(C))。よって、血管外遊出の後に、天然NCAMへの一時的な復帰が起こる筈であり、続いて浸潤NSCは、内在性NCAM媒介性実質内CNS遊走を起こすことができるのであろう。注目すべきことに、マウスNSCは、α−(2,3)−シアリルラクトサミニルグリカンを有するNCAMを発現するが、ヒトNSC(CC−2599)に関する本発明者らの研究は、このような細胞が、エクソフコシル化後にHCELLのみを発現し、NCAM−Eを発現しないことを示す(
図15);よって、ヒトNSCは、CD44のみにおける強制されたフコシル化のアクセプターとして機能する関連するシアロラクトサミニルグリカンを発現することができる。齧歯類系においてヒトNSCが使用される異種移植研究を解釈する際に、このような種の差について考慮するべきである(Goncharova, V.、Das, S.ら、2014年)。
【0279】
E−セレクチンリガンド活性の誘導は、細胞輸送のための著しい意義を有し、E−セレクチンを発現する内皮床に細胞遊走を方向づけるように機能する。他の研究者らによって示される通り、本発明者らは、NSCが、ケモカイン受容体CXCR4およびインテグリンVLA−4を呈示することを観察した(
図9(A)〜
図9(B)を参照)。ヒトNSC上のCXCR4の発現(Bezzi, P.、Domercq, M.ら、2001年;Flax, J.D.、Aurora, S.ら、1998年;Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年)が、対応するリガンドストロマ細胞由来因子1α(SDF−1α、CXCL12としても公知)を局所アストロサイトおよび内皮が上方調節するCNS傷害に向けたin vivoでの遊走を促進することが示されている(Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年)。これらの観察は、CNS傷害へのNSCホーミングの促進における卓越したステップ2エフェクターとしてCXCR4を規定する。VLA−4の対応する内皮受容体であるVCAM−1も、傷害に対する脳の炎症性応答において上方調節される(Justicia, C.、Martin, A.ら、2006年)。CXCR4に加えてVLA−4を構成的に発現するNSCのみが、EAEの罹患病変における炎症したCNS微小血管の周りに蓄積することができたという点において、VLA−4/VCAM−1軸は同様に、NSCの遊走において決定的な役割を果たすことが示された(Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2005年)。近年の異種移植研究は、インテグリンが、ラット脳卒中モデルにおけるヒトNSC上の遊走のステップ1メディエータとしての役割を果たし得ることを示唆し、セレクチン相互作用が、このモデル系に必ずしも必要ないことを示唆する(Goncharova, V.、Das, S.ら、2014年)。さらなる研究が正当化されるが、ステップ1相互作用のメディエータとしてのインテグリンの変動する役割(単数または複数)は、使用した炎症性モデル、宿主動物系、血管の透過性、該炎症部位における内皮接着分子の発現、部位における可溶性接着分子の存在、および流速を定める血管の物理的特性(すなわち、血管の直径)における差を反映している可能性がある(Berlin, C.、Bargatze, R.F.ら、1995年;Ding, Z.M.、Babensee, J.E.ら、1999年;Zarbock, A.、Kempf, T.ら、2012年;Zarbock, A.、Lowell, C.A.ら、2007年)。いずれの場合でも、NSCにおけるステップ1エフェクターとしてのE−セレクチンリガンドの発現は、CXCR4およびVLA−4の構成的発現を補完するように機能し、これにより、炎症性部位へのNSCの動員を最適化するであろう。したがって、本発明者らは、静脈内投与された(非修飾)BT−NSCが、EAEマウスの脳に浸潤することができることを観察したが(
図13(E))、糖鎖工学的操作による強制されたE−セレクチンリガンド発現は、脳へのNSCの顕著に増加された遊走を生じた。この増加された向神経性に伴って、CNS炎症は顕著に縮小された(
図14(A)〜
図14(I))。さらに、
図13(A)〜
図13(F)に示す通り、CNS実質におけるNSC蓄積は、注射後17日目までにBT−NSCよりもGPS−NSCの間で2倍高く、ステップ1エフェクターの強制発現が、血管外遊出を促進することを示す。
【0280】
増大された向神経性に加えて、短期ホーミングデータは、脾臓および肝臓における、BT−NSCよりも有意に高いGPS−NSC蓄積も明らかにした(
図13(E))。このような知見は、全身投与されたNSCが、EAEを有するマウスの脳と共に、脾臓および肝臓にも蓄積する傾向があることを報告する研究の結果と一致した(Politi, L.S.、Bacigaluppi, M.ら、2007年)。脾臓におけるE−セレクチン発現は、ヒト、非ヒト霊長類および齧歯類において記載されており(Alam, H.B.、Sun, L.ら、2000年;Drake, T.A.、Cheng, J.ら、1993年;Redl, H.、Dinges, H.P.ら、1991年;Schweitzer, K.M.、Drager, A.M.ら、1996年)、CNS炎症性状態で特徴的に発現される炎症誘発性サイトカインによって上方調節される(Emamgholipour, S.、Eshaghi, S.M.ら、2013年;Weishaupt, A.、Jander, S.ら、2000年);実際に、ポリマーへのsLe
xのコンジュゲーションは、脾臓内における斯かるポリマーの蓄積を顕著に増大することが示され(Horie, K.、Sakagami, M.ら、2000年;Horie, K.、Sakagami, M.ら、2004年)、sLe
x発現が、脾臓送達を促進することの直接的な証拠を提供する。NSCによる脾臓の浸潤が、常在性脾臓細胞(例えば、マクロファージ)による炎症性サイトカインの産生を弱め、抗炎症性効果をもたらすことが報告された(Lee, S.T.、Chu, K.ら、2008年)。他の研究は、血管内投与されたNSCが、神経再生の増大による(Martino, G.およびPluchino, S.、2006年;Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2009年;Wang, L.、Shi, J.ら、2009年)のではなく、CNS傷害を制限する末梢免疫抑制(Einstein, O.、Fainstein, N.ら、2007年;Einstein, O.、Grigoriadis, N.ら、2006年)または局所免疫調節をもたらすことを報告した。よって、NSCにおけるE−セレクチンリガンド活性の強制発現による観察される脾臓ホーミング増加は、免疫細胞に対するNSCの組織比増加の理由から、免疫調節による神経保護に寄与する一因であり得る。この概念は、GPS−NSCが、対照NSCにより観察されるものと比較して免疫調節利点を付与しなかったが、脾細胞に対するインプットNSCの比が増加するにつれて、T細胞増殖が減少することを示す本発明者らのin vitroデータによって支持される(
図19(A))。
【0281】
細胞表面エキソグリコシル化に関する以前の研究は、異種移植モデルにおいてヒト間葉系幹細胞を利用し、炎症組織における治療的な影響、すなわち、糖鎖工学的操作された幹細胞が、炎症部位にホーミングするか否かについて、ならびに斯かる細胞が、所望の再生および/または組織保護効果(単数または複数)を有するか否かについては取り組まなかった。GPS−NSCの注入後に、CNSへのNSCの増大された動員が観察されたが、NSCの長期生着の釣り合った増加は見られなかった。よって、生理的細胞遊走を活用することにより(すなわち、CNS組織微小環境構築物を保存するであろう非浸潤性様式で)、増大されたCNS浸潤が達成されたが、本発明者らは、投与されたNSCが、in situで機能的CNS組織を再生する(すなわち、直接的再生により)後代へと分化することを観察しなかった。実際には、本発明者らは、GPS−NSCの投与が、オリゴデンドログリアになる内在性ニューロン前駆細胞の能力を改善したことを観察した(
図14(D)および
図14(E))。よって、本発明者らの知見は、直接的な神経再生のパラダイムを支持しないが、代わりに、CNS組織修復におけるNSCの優勢な役割が、内在性細胞による修復を支持する栄養性効果によるものであり(Caplan, A.I.、2009年;Hess, D.C.およびBorlongan, C.V.、2008年;Laterza, C.、Merlini, A.ら、2013年;Phinney, D.G.およびProckop, D.J.、2007年)、これにより、神経回復(すなわち、間接的な神経再生による)を生じることを示唆する。この概念と整合することには、未分化NSCは、LIF等のニューロトロフィンの分泌により、瘢痕形成を有意に低減し、内在性グリアおよびニューロン前駆細胞の生存および機能を増加することが報告された(Laterza, C.、Merlini, A.ら、2013年)。加えて、NSCは、内在性細胞による間接的神経再生を誘発する、BMP−4およびノギン等の分子の発現により傷害誘導性成長ニッチの形成を支持する(Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年;Pluchino, S.、Zanotti, L.ら、2005年)。
【0282】
まとめると、本発明者らのデータは、E−セレクチンリガンドの発現を強制するためのNSCのグリカン操作が、投与されたNSCの持続性/長期生着を必要とすることなく、組織定着を高め、免疫調節および組織修復を媒介するという機構を支持する。注目すべきことに、増大されたE−セレクチンリガンド活性にもかかわらず、GPS−HSPCの注入は、EAEの経過を改善せず(実際に、HSPCの注射は、疾患を悪化させる、
図21(A)〜
図21(B)および表3を参照)、GPS−NSCの観察される神経保護効果が、成体幹細胞の一般特性ではなく、NSCに固有の神経回復効果によるものであることを示す。成体幹細胞特異的生物学的効果(単数または複数)に関するこの知見と整合することには、ヒトHSPCは、先天性角膜疾患のマウスモデルにおける強い宿主免疫拒絶を惹起することが判明した一方で、間葉系幹細胞等、他の成体幹細胞は、宿主免疫応答を抑制する(Liu, H.、Zhang, J.ら、2010年)。NSCによる観察される神経保護を媒介する分子機構(単数または複数)に関するさらなる研究が正当化されるが、本発明者らの結果は、細胞表面グリカン操作が、神経幹細胞の自己再生能力、分化潜在力を変化させず、または先天性免疫調節能力を変更しなかったことを示す。まとめると、本明細書に提示されているデータから、本発明者らはモデル(
図23)を提唱するが、それによると、NSC表面のエクソフコシル化による強制されたE−セレクチンリガンド発現は、CNS炎症性部位における組織動員増加を生じ、これにより、それらが必要とされる場所へのNSC栄養性因子のペイロード送達を増大する。E−セレクチン発現は、ヒトにおけるあらゆる炎症部位の内皮床において顕著に上方調節されるため、本発明者らの知見は、MSと共に他の壊滅的多巣性炎症性疾患に対する幹細胞療法の効力を改善するために細胞表面グリカン操作を活用する、将来の臨床治験への橋渡しとしての著しい意義を有する。
(材料と方法)
【0283】
倫理に関する記載:全てのマウス実験は、動物の管理および使用のためのNIHガイドラインに従って、ハーバード・メディカル・スクールの施設内実験動物委員会の承認の下に行った。次の事項は、これらの実験におけるマウスの使用に関係した詳細である。
使用の正当化:EAEは、ヒト疾患多発性硬化症のための価値あるモデルである。in vivo疾患の代わりとなることができる数学的モデル、コンピュータシミュレーションまたはin vitro系は存在しない。MSおよび他の自己免疫性疾患に利用できる処置の多くを先ず検査し、EAEにおけるそれらの機構を調査した。そのバックグラウンドにおける多くのノックアウトおよびトランスジェニックマウスを利用できるため、C57/BL6マウスにおけるMOG誘導性EAEは価値がある。
獣医学的管理:マウスは、連邦、施設およびAAALACガイドラインに従って取り扱われ管理される。
有害効果を最小化するための手順:免疫化後に、毎日動物を調べる。EAEに罹患した動物は、だらりと垂れた(floppy)尾(グレード1)、部分的後肢(グレード2)、完全後肢麻痺(グレード3)、四肢不全麻痺(グレード4)、瀕死または動物死亡(グレード5)を発症する。大部分の動物は、グレード0〜3を有し、稀に、動物は、グレード4に達し、このような場合、安楽死が行われる。動物は、EAEに罹患した場合、液体への到達を確実にするためのゲルパックを与えられ、ケージ内で食物への到達手段を与えられる。施設ガイドラインに従って投与されるCO2吸入により安楽死が行われる。
【0284】
試薬:次の抗体は、BD Pharmingenから購入した:機能遮断マウス抗ヒトE−セレクチン(68−5H11;IgG1)、ラット抗ヒトCLA(HECA−452;IgM)、マウス抗ヒトsLe
x(CSLEX−1;IgM)、マウス抗ヒトCD15(IgM)、ラット抗マウスPSGL−1(2PH1および4RA10;IgG1)、マウス抗ヒトPSGL−1(KPL−1;IgG1)、ラット抗マウスCD44(KM114およびIM7;IgG1)、マウス抗ヒトCD44(515;IgG1)、ラット抗マウスCD43(S7;IgG2a)、マウス抗ヒトCD43(1G10;IgG1)、マウス抗(マウス抗成体および胚性汎N−Cam)CD56(NCAM13;IgG2b)、マウス抗ヒトCD56(NCAM16.2;IgG2b)、ラット抗ヒトCXCR4(2B11;IgG2b)、マウス抗ヒトCXCR4(12G5;IgG2a)、ラット抗マウスCD18(GAME−46;IgG1)、ラット抗マウスCD29(KM16;IgG2a)、ラット抗マウスCD49d(9C10;IgG2b)、ラット抗マウスCD11a(2D7;IgG2a)、ラット抗マウスCD11b(M1/70;IgG2b)、ラット抗マウスCD49e(MFR5;IgG2a)、マウスIgG1、κアイソタイプ、マウスIgG2aアイソタイプ、マウスIgMアイソタイプ、ラットIgGアイソタイプ、ラットIgMアイソタイプおよびヒトIgG
1アイソタイプ。次の二次抗体も、BD Pharmingenから購入した:PEストレプトアビジン、ビオチン抗ラットIgMおよびヤギ抗マウスIg−HRP。次の二次抗体は、Southern Biotechから購入した:ウサギ抗ヒトIgG−ビオチン、ヤギ抗マウスIgM−PE、ヤギ抗ラットIgG−PE、ヤギ抗マウスIg−ビオチン、ヤギ抗ラットIg−HRPおよびヤギ抗ヒトIg−HRP。組換えマウスE−セレクチン/ヒトIgキメラ(E−Ig)および組換えマウスP−セレクチン/ヒトIgキメラ(P−Ig)は、R&Dから得た。マウス抗ヒトsLe
x(KM93;IgM)は、Calbiochemから購入した。ラット抗マウスCD43(1B11;IgG2a)は、Biolegendから購入した。ラット抗マウスLPAM−1(DATK32;IgG2a)およびマウス抗SMI32(SMI−32;IgG1)は、Abcamから購入した。マウス抗ヒトCD15(80H5;IgM)は、Coulter−Immunotechから購入した。PNGase Fは、New England Biolabsから購入した。PI−PLC、ブロメライン、ダイズトリプシン阻害剤、DNase、マウス抗Map2(HM−2;IgG1)は、Sigmaから購入した。マウス抗GFP(B2、IgG
2a)は、Santa Cruz Biotechnology,Inc(Santa Cruz、CA)から購入した。To−pro3は、Invitrogenから購入した。マウス抗ヒトポリシアル酸(PSA;IgG2a)は、Nicholas Stamatos博士からのご厚意による贈答であった。フコシルトランスフェラーゼVI(FTVI)酵素は、Roland Wohlgemuth博士(Sigma−Aldrich)による贈答であった。
【0285】
細胞:以前に記載された通りにマウスNSCを単離および培養した(Imitola, J.、Comabella, M.ら、2004年;Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年)。簡潔に説明すると、マウス胎生期12日目の終脳VZから単離された、解離されたNSCの懸濁液(1ml当たり5×10
5細胞)を、コーティングされていない25cm
2フラスコ(Falcon)内で、98%DMEM/F12(GIBCO)、1%N2サプリメント(GIBCO)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO)、8mg/mlヘパリン(Sigma)、10ng/ml白血病阻害因子(LIF、Chemicon)、20ng/ml bFGF(Calbiochem)において37℃、5%CO
2にて培養した。大部分の実験に関して、2回目の継代後のNSCを使用した。ヴェルセン(Versene)(Life Technologies)におけるニューロスフェアの機械的解離により、神経幹細胞の単一細胞懸濁液を達成した。
【0286】
マウスHSPCの単離のため、C57BL/6マウスの大腿骨および脛骨から骨髄を収集し、単一細胞懸濁液を作製した。赤血球細胞溶解バッファー(Sigma)を使用して、赤血球細胞を溶解した。次に、Miltenyi Biotec製の系列細胞枯渇キットを使用した系列枯渇に先立ち、細胞を洗浄し、100μm細胞濾し器(BD Falcon)を通して濾過した。autoMACS(商標)分離器(Miltenyi Biotec.)を使用して、細胞調製物を枯渇させた。枯渇後に、CD117 MicroBeads(Miltenyi Biotec.)を使用して、細胞をc−kitに関して正の選択に付した。その結果得られる系列
negC−kit
pos集団(HSPCと称される)をin vivo EAEマウス研究に使用した。
【0287】
全長E−セレクチンをトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−E)を以前に記載された通りに維持した(Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2001年)。ヒトβFGF依存性NSC細胞株であるCC−2599を以前に記載された通りに培養し(Imitola, J.、Raddassi, K.ら、2004年)、
図16(A)〜
図16(C)に提示するデータに使用した。
【0288】
GPS処理、PI−PLCおよびブロメライン反応:マウスNSCのGPS処理の手順は、MSCについて以前に記載された通りであった(Sackstein, R.、Merzaban, J.S.ら、2008年)。簡潔に説明すると、先ずニューロスフェアを収集し、PBS/EDTA(0.02%)と15分間37℃でインキュベートすることにより単一細胞へと解離させた。次に、細胞をHBSSで洗浄し、計数し、20mM HEPES、0.1%ヒト血清アルブミンおよび1mM GDP−フコースを含有するHBSS(Ca
2+またはMg
2+なし)における60mU/ml FTVIに40分間37℃で再懸濁した。1時間0.1U/mlを使用して、37℃でPI−PLC反応を行った。HBSS+2%BSA+0.1%ブロメラインにおいて1時間37℃でブロメライン反応を行った。
【0289】
フローサイトメトリー:細胞のアリコート(2×10
5細胞)をPBS/2%FBSで洗浄し、一次mAbまたはアイソタイプ対照mAb(非コンジュゲートまたは蛍光色素コンジュゲートのいずれか)とインキュベートした。PBS/2%FBSにおいて細胞を洗浄し、間接免疫蛍光のために、適切な二次蛍光色素コンジュゲート抗アイソタイプ抗体とインキュベートした。細胞洗浄後に、Cytomics FC 500 MPLフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、Fullerton、CA)を使用して、FITCまたはPE蛍光強度を決定した。
【0290】
免疫沈降研究:BT−NSCまたはGPS−NSCの細胞溶解物を免疫沈降用抗体または適切なアイソタイプ対照とインキュベートし、続いてプロテインG−アガロースとインキュベートした。2%NP−40、1%SDSを含有するバッファーAを使用して、免疫沈降物を十分に洗浄した。一部の実験において、以前に記載された通りに免疫沈降物をN−グリコシダーゼF(New England Biolabs)で処理した(Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2001年)。ウェスタンブロット解析のため、全ての免疫沈降物を還元試料バッファーに希釈し、煮沸し、続いてSDS−PAGEに付し、PVDF膜へと転写し、HECA−452またはE−Igにより免疫染色した。
【0291】
ウェスタンブロット解析:バッファーA(150mM NaCl、50mM Tris−HCI、pH7.4、1mM EDTA、20μg/ml PMSF、0.02%アジ化ナトリウム;およびプロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Molecular Biochemicals))における2%NP−40を使用して、BT−およびGPS−NSCを溶解した。以前に記載された通りに、定量化されたタンパク質溶解物または免疫沈降されたタンパク質のウェスタンブロットを還元条件下で行った(Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2001年)。Lumi−Lightウェスタンブロッティング基質(Roche)を使用したケミルミネッセンスによりブロットを可視化した。
【0292】
平行平板型フローチャンバー接着アッセイ:平行平板型フローチャンバーアッセイ(Glycotech;Gaithersburg、MD)を使用して、BT−NSCおよびGPS−NSCのE−セレクチン結合能力を比較した。NSC(0.5×10
6細胞/ml、HBSS/10mM HEPES/2mM CaCl
2溶液に懸濁)で、コンフルエントなHUVEC単層を覆った。最初に、0.5ダイン/cm
2の剪断応力でNSCをHUVEC単層に接触させ、その後、0.5〜30ダイン/cm
2に及ぶ剪断応力を発揮するように流速を調整した。0.5、1、2、5、10、20および30ダイン/cm
2の剪断応力において、最終15秒間隔でHUVEC単層に附着性のBT−またはGPS−NSCの数を定量化した。各アッセイを少なくとも3回行い、値を平均した。アッセイバッファーに5mM EDTAを添加して、セレクチン結合に必要とされるCa
2+をキレート化することにより、または接着アッセイにおける使用に先立ち、HUVECを機能遮断抗ヒトE−セレクチンmAbで37℃にて15分間処理することにより、対照アッセイを行った。
【0293】
ブロットローリングアッセイ:ブロットローリングアッセイは、以前に記載されており(Dimitroff, C.J.、Lee, J.Y.ら、2000年;Fuhlbrigge, R.C.、King, S.L.ら、2002年;Sackstein, R.およびFuhlbrigge, R.、2006年)、本明細書において、SDS−PAGEによって分離されたNSC膜タンパク質のセレクチン結合活性の検出に使用した。NSC膜調製物のウェスタンブロットを抗CLA(HECA−452)で染色し、10%グリセロールを含有するDMEMにおける浸漬により半透明にした。2mM CaCl
2および10%グリセロールを含有するDMEMにおいてCHO−E細胞を再懸濁した(5×10
6/mL)。平行平板型フローチャンバー下にブロットを置き、1.0ダイン/cm
2の生理的に関連する剪断応力でCHO−E細胞を灌流し、流動培地における10%グリセロールの存在による粘性の増加を償うために容積測定流速における調整を行った。染色された目的のバンドの上におけるフローチャンバーの配置を助けるガイドとして分子量マーカーを使用した。1平方ミリメートル当たりの相互作用する細胞の数は、分子量領域の関数として作表し、接着ヒストグラムにコンパイルした。流動培地における5mM EDTAを含有するCHO−E細胞懸濁液を灌流することにより、非特異的接着を評価した。
【0294】
EAE誘導および神経幹細胞注射のための免疫化:NSCまたは骨髄HSPC(系列
negC−kit
pos)を、GPSで処理したまたは処理せず、MOG 35−55による免疫化(側腹部の皮下に;補足材料における詳細を参照)後(PI)9日目および13日目に1×10
6個の細胞をC57BL/6マウスの尾静脈に注射した。盲検法様式でEAEをスコア化した;研究者は、注射に関与しておらず、群の組成を認識していなかった。使用されている類別スケールの詳細については、補足材料に概要を述べる。HBSSの0.2mlの容量で、細胞懸濁液としてBT−NSC、GPS−NSC、BT−HSPCまたはGPS−HSPCをEAEマウスの尾静脈に注射した。HBSS単独を注射した偽処置マウス(NSCなし)を陰性対照として使用した。
【0295】
短期ホーミング研究:BT−NSCおよびGPS−NSCを、10%FBSを含有するRPMIにおいて5mM CFDA−SE(Invitrogen)で5分間、室温で標識し、免疫化後(PI)9日目および13日目に、MOG処置C57BL6マウスに静脈内注射した。0.2mLの容量のHBSSにおける2百万個のNSCを各マウスに毎日注射した。HBSSバッファー単独を使用して、バックグラウンドシグナルを決定した。BT−NSCおよびGPS−NSCは、MOGで免疫化されていない動物にも注射し、アッセイした各組織において観察されるシグナルの標準化に使用した。2回目のNSC移入から16時間後に、マウスを屠殺し、Ca
2+およびMg
2+を含まない1×PBSを灌流した。脳、脊髄、リンパ節、脾臓、肝臓および肺を単離した。脳および脊髄をホモジナイズした。その結果得られるペレットを0.25%トリプシン−EDTA(Invitrogen)に再懸濁し、37℃で10分間インキュベートした。0.01%SBTI、0.001%DNaseおよび0.075%BSAを含有するDMEMを使用して、消化プロセスを停止した。リンパ節、脾臓および肝臓を機械的に解離させ、その結果得られる単一細胞懸濁液をFL1チャネルにおけるフローサイトメトリーによってCFDA−SE陽性細胞の頻度に関して評価した。フローサイトメトリーデータを解析し、NSCを含むように設定された狭いゲート内にスキャンされた200,000個の細胞において検出されたCFDA−SE陽性事象のパーセントとして表現した。検査された各組織(脳、脊髄、リンパ節、脾臓、肝臓および肺)から単離された細胞の懸濁液と培養されたNSCとの混合に基づきこのゲートを決定した。
【0296】
CNSへのNSC遊走の解析:BT−NSC、GPS−NSCをPKH26色素(Invitrogen)で標識し、免疫化後(PI)9日目および13日目にMOG処置C57BL6マウスに静脈内注射した。0.2mLの容量のHBSSにおける百万個のNSCを各マウスに毎日注射した。HBSSバッファー単独を使用して、バックグラウンドシグナルを決定した。2回目のNSC移入から4日後に、マウスを屠殺し、Ca
2+およびMg
2+を含まない1×PBSを灌流し、腰部仙髄を収集した。B6モデルにおいて、より予測可能な位置(腰仙部領域)と共により過剰増殖性の病理を保持する脊髄と比較して(Chitnis, T.、Najafian, N.ら、2001年;Rasmussen, S.、Wang, Y.ら、2007年;Wang, Y.、Imitola, J.ら、2008年)、前脳のCNS病変はサイズおよび位置が非常に可変的であるため、脊髄を選んだ。FACS解析のため、次に脊髄をホモジナイズし、その結果得られるペレットを0.25%トリプシン−EDTA(Invitrogen)に再懸濁し、37℃で10分間インキュベートした。0.01%SBTI、0.001%DNaseおよび0.075%BSAを含有するDMEMを使用して、消化プロセスを停止した。組織学解析のため、脳および脊髄を液体窒素中で手早く凍結し、切片作製まで−80℃で貯蔵した。腰部仙髄または前、中および後脳のクリオスタット切片(20μm)を4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、続いて目的の抗体で染色した。血管を抗Flk−1(VEGFR2、Sigma)によって可視化し、NSCを抗sox−2(Millipore)で染色した、またはPKH26色素により赤色に可視化した。続いて、脊髄をホモジナイズし、その結果得られるペレットを0.25%トリプシン−EDTA(Invitrogen)に再懸濁し、37℃で10分間インキュベートした。0.01%SBTI、0.001%DNaseおよび0.075%BSAを含有するDMEMを使用して、消化プロセスを停止した。Flk−1(VEGFR2)染色によって血管を可視化した。
【0297】
EAE誘導のための免疫化およびNSC/HSPC注射:NSCまたはHSPC(系列
negC−kit
pos)をGPSで処理したまたは処理せず、MOG 35−55による免疫化後(PI)9日目および13日目に、C57BL/6マウスの尾静脈に1×10
6個の細胞を注射した。マウス配列に対応するMOG 35−55(M−E−V−G−W−Y−R−S−P−F−S−R−
V−V−H−L−Y−R−N−G−K)は、QCB Inc. Division of BioSource International(Hopkinton、MA)によって合成され、HPLCによって>99%まで精製される。0.1ml PBSおよび0.4mg Mycobacterium Tuberculosis(H37Ra、Difco、Detroit、Michigan)を含有する0.1ml CFAにおける150〜200μgのMOGペプチドにより、側腹部の皮下にマウスを免疫化し、免疫化当日および2日後に、200ngの百日咳毒素(List Laboratories、Campbell、California)を腹腔内注射する。盲検法様式でEAEをスコア化した;研究者は、注射に関与しておらず、群の組成を認識していなかった。次のグレードを使用した:グレード1、ぐったりした尾またはぐったりした尾を伴わない単離された歩調の弱さ;グレード2、部分的後肢麻痺;グレード3、全後肢または部分的後および前肢麻痺;グレード4、全後肢および部分的前肢麻痺;グレード5、瀕死または死んだ動物。0.2mlの容量のHBSSにおいて、細胞懸濁液としてBT−NSC、GPS−NSC、BT−HSPC、GPS−HSPCをEAEマウスの尾静脈に注射した。HBSS単独を注射した偽処置マウス(NSCなし)を陰性対照として使用した。
【0298】
免疫組織学的染色:屠殺する前に、50mlの通常の生理食塩水でマウスを灌流して、あらゆる血管内PBMCを除去した。共焦点イメージングのため、PBS中10mlの4%パラホルムアルデヒドにより動物を心臓内に灌流した。脳および脊髄を除去し、O.C.T.に包埋し、液体窒素中で急速凍結し、切片作製まで−70℃に保った。脊髄のクリオスタット切片(10μm)をアセトンまたは4%パラホルムアルデヒドで固定し、続いて目的の抗体で標識した。アイソタイプマッチしたIgおよび一次抗体省略を陰性対照とした。最小で3枚の異なるレベルの切片作製において各検体を評価した。組織切片全体(長軸方向の脊髄切片)を所定の細胞マーカーに関して40×拡大率で評価した。切片当たり10個の40×(高倍率視野)視野において、所定のマーカーが陽性に染色された細胞の数を計数した。1枚の切片の結果を集計し、切片間の結果を平均した。
【0299】
共焦点顕微鏡のための染色:パラホルムアルデヒド固定された切片(40μm)をPBSにおいて洗浄し、4%ヤギ血清、0.3%BSAおよび0.3%トリトンを含有するPBSにおいてブロッキングし、その後、ブロッキング溶液において一次抗体と一晩、二次抗体と2時間インキュベートした。本発明者らは、交差反応性を回避するために高度に交差吸着された二次抗体を使用した(Alexa 488およびAlexa 594)。2種の蛍光色素の潜在的な重複を回避するために、マルチトラック取得プロトコールによりZeissレーザー走査型顕微鏡3D解析ソフトウェア(Zeiss、Thornwood、NY)を使用して共焦点顕微鏡検査を行った。
【0300】
in vitroでのNSC分化、自己再生能力および免疫抑制効果におけるGPS処理の効果:マウスNSCのGPS処理の手順は、MSCについて以前に記載された通りであった(Sackstein, R.、Merzaban, J.S.ら、2008年)。自己再生する、ニューロスフェアを形成する、MAP2
+ニューロンに分化する、およびConA活性化リンパ節細胞の増殖を阻害するその能力に関して、in vitroでBT−およびGPS−NSCを比較した。NSC分化および自己再生能力:FGF/EGF含有培地において最初に培養されたニューロスフェアを、ポリ−D−リシン(PDL)コーティングされたガラス製カバーガラスに蒔いて増殖させ、続いて収集し、バッファー(対照)で1時間処理し、またはFTVI(60mU/mL)で酵素処理し、その後、その結果得られるBT−NSCおよびGPS−NSCを1μl当たり20個の細胞のクローン密度で蒔いて、ニューロスフェアとして96時間から5日間増殖させた。Axiovision顕微鏡(NY)によりニューロスフェアイメージングを捕捉した。ニューロン、アストロサイトおよびオリゴデンドロサイト分化のため、24ウェルプレート内のPLコーティングされたガラス製カバーガラス上に解離されたニューロスフェアを蒔き、FGF/EGFなしで、ただし1%Glutamax、1%抗生物質/抗真菌薬および2%B27−サプリメントを含有するニューロベーサル(neurobasal)培地の存在下で培養した。5日目まで1日おきに新鮮培地を添加し、続いて細胞を、MAP2(ニューロン)、GFAP(アストロサイト)およびNG2(オリゴデンドロサイト前駆体)による免疫蛍光染色に付した。処理に関して盲検化された研究者による標準立体解析学的技法を使用して、MAP2
+、GFAP
+およびNG2
+細胞を計数した。神経幹細胞およびリンパ節細胞の同時培養:ナイーブC57BL/6マウスからリンパ節を単離した。以前に記載された通りに、ウェル当たり2×10
5個の細胞で、96ウェルプレートにおいて単一細胞懸濁液としてリンパ節細胞(LNC)を培養した(Einstein, O.、Fainstein, N.ら、2007年)。培養培地は、2.5μg/mlコンカナバリンA(ConA、Sigma)ありまたはなしで、10%ウシ胎仔血清、L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、2−メルカプトエタノール、HEPESおよび抗生物質(BioWhittaker)を補充したRPMI−1640からなった。ニューロスフェアを解離させ、先ず、GPSで処理しまたは処理せず(BT)、その後、3,000ラドで放射線照射した。放射線照射後に、解離されたNSCを、ConA刺激LNCと異なる比でLNC培養培地に直接添加した。NSC数対LNC数の検査した比は:1:4、1:2、1:1、2:1および4:1であった。次に、チミジンを添加する前に細胞を48時間培養した。16時間後にチミジン取込みアッセイを行った。
【0301】
炎症性サイトカインによるNSCの処理後のE−セレクチンリガンドの評価:ウェル当たり3mlの増殖培地を含有する6ウェルプレートに1.5×10
6細胞/ウェルを播種し、10ng/mlのTNFα(R&D;410−TRNC)、10ng/mlのIL−1β(R&D;401−ML)、10ng/mlのIFNγ(R&D;485−MI)のいずれかで独立してまたは組み合わせて(全3種を10ng/mlで)刺激した。24時間および48時間後に、ニューロスフェアを遠心分離により収集し、フローサイトメトリー解析のためE−Igで染色した。
【0302】
LIF mRNAの測定:炎症性サイトカイン(10ng/mlのIFN−γおよび15ng/mlのTNF−α)ありまたはなしで、1×10
6個のマウス胚性NSCを24時間処理した。次に、トリゾール試薬を使用して全RNAを抽出し、Agilent 2200 Tab station systemを使用して、抽出されたRNAの質を測定した。高性能(high capacity)cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)およびランダムヘキサマーを使用してcDNA合成を行った。RT−PCRを使用してmRNAレベルを測定し、2
−ΔΔCT方法を使用して遺伝子発現の倍数変化を計算した。LIF遺伝子のフォワードプライマー配列は、CCTACCTGCGTCTTACTCCATCAであり、リバースプライマーは、CCCCAAAGGCTCAATGGTT(Sigma)である。フォワードプライマーとしてTGCACCACCAACTGCTTAGCおよびリバースプライマーとしてGGCATGGACTGTGGTCATGAGを使用したGAPDHハウスキーピング遺伝子と比べて、LIF mRNAの相対的発現をアッセイした。
【0303】
CNSへのNSC遊走の解析:BT−NSC、GPS−NSCをPKH26色素(Invitrogen)で標識し、免疫化後(PI)9日目および13日目に、MOG処置C57BL6マウスに静脈内注射した。百万個のNSCを各マウスに毎日注射した。HBSSバッファー単独を使用して、バックグラウンドシグナルを決定した。2回目のNSC移入から24時間後または4日間後のいずれかに、マウスを屠殺し、灌流し、腰部仙髄を収集した。B6モデルにおいて、より予測可能な位置(腰仙部領域)と共により過剰増殖性の病理を保持する脊髄と比較して(Chitnis, T.、Najafian, N.ら、2001年;Rasmussen, S.、Wang, Y.ら、2007年;Wang, Y.、Imitola, J.ら、2008年)、前脳におけるCNS病変は、サイズおよび位置が非常に可変的であるため、脊髄を選んだ。フローサイトメトリー解析のため、続いて脊髄をホモジナイズし、その結果得られるペレットを0.25%トリプシン−EDTAに再懸濁し、37℃で10分間インキュベートした。0.01%SBTI、0.001%DNaseおよび0.075%BSAを含有するDMEMを使用して、消化プロセスを停止した。組織学解析のため、脳および脊髄を液体窒素中で手早く凍結し、切片作製まで−80℃で貯蔵した。腰部仙髄または前、中および後脳のクリオスタット切片(20μm)を固定し、続いて目的の抗体で染色した。抗Flk−1(VEGFR2)によって血管を可視化し、抗SOX−2でNSCを染色した、またはPKH26色素によって赤色で可視化した。神経病理学解析のため、異なる群における動物の立体解析学的解析によって細胞定量化を行った。脊髄および脳の切片を作製し、頸部および腰仙部領域の3枚毎の切片を染色し、3〜5枚の切片の細胞定量化を強拡大率で行った。電動式ステージを備えるLSM 510共焦点顕微鏡を使用して、染色強度および総細胞数/強拡大率を立体解析学的に計算した。
【0304】
統計的解析−データは、平均±SEMとして表現する。二元配置ANOVAにより平均の間の差の統計的有意性を決定した。平均が、有意に異なると示された場合、チューキー(Turkey)t検定により事後に多重比較を行った。統計的有意性は、p<0.05として規定した。
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