(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
交流の全波整流電圧が入力される場合に力率の良好なスイッチング電源として、絶縁型ではフライバック方式が、非絶縁型では昇圧コンバータが採用される。一方、スイッチング電源の大出力化を実現するためには、スイッチングのオン期間もオフ期間も電流を出力可能なフォワード方式が適している。しかしながら、フォワード方式のスイッチング電源では、オン期間に二次コイルに生じる起電力が、出力端子に並列接続された平滑コンデンサCの電圧を超えるときにのみ負荷電流を出力することができる。従って、交流の全波整流電圧が入力される場合、入力電圧の小さい範囲では二次側に負荷電流が流れないため、それと対になる一次側の入力電流も流れない。この結果、力率が悪化する。
【0007】
以上の現状から、本発明は、三相交流用スイッチング電源において、大出力化を実現すると共に力率を良好とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。
・ 本発明の第1の態様は、3つの脚の各々にそれぞれ重ね巻きされた一次コイルと二次コイルとを有し、三相交流の各相の入力端子に各一次コイルの一端がそれぞれ接続された三相トランスと、
各相の前記一次コイルにそれぞれ直列接続された各相のスイッチング素子と、
各相の前記二次コイルにそれぞれ接続された各相の整流部及び平滑部と、を有する三相交流用スイッチング電源において、
各相の前記スイッチング素子は、各相の前記一次コイルに印加される入力電圧が正電圧のときに同じPWM信号によりオンオフ制御されると共に入力電圧が負電圧のときはオフ状態に保持され、
各相の前記一次コイルにオン期間に流れる電流とは逆方向の電流を阻止するための各相の逆流防止ダイオードを有することを特徴とする。
・ 上記第1の態様において、オンオフ制御のオン期間において、
オンオフ制御されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記一次コイルに入力電流が流れ、かつそれに重ね巻きされた前記二次コイルにはフォワード電流が流れると共に、
オフ状態に保持されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記一次コイルには入力電流が流れず、かつそれに重ね巻きされた前記二次コイルには、入力電流が流れる他相の一次コイルからの磁束により生じた起電力によりフォワード電流が流れるように構成されていることが、好適である。
・ 上記第1の態様において、オンオフ制御のオフ期間において、
オンオフ制御されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記一次コイルには前記逆流
防止ダイオードにより電流が流れず、かつそれに重ね巻きされた前記二次コイルにはフライバック電流が流れると共に、
オフ状態に保持されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記一次コイルには前記逆流
防止ダイオードにより電流が流れず、かつそれに重ね巻きされた前記二次コイルにはフライバック電流が流れるように構成されていることが、好適である。
・ 上記第1の態様において、前記整流部が、2対の直列接続された正側ダイオードと負側ダイオードを有し、直列接続された各対のダイオードの接続点が二次コイルの各端とそれぞれ接続されており、
2つの前記正側ダイオードの各々のカソードに2つのリアクトルの各々の一端がそれぞれ接続されると共に、2つの該リアクトルの各々の他端が前記
平滑部の平滑コンデンサの正極端に接続されており、かつ、
2つの前記負側ダイオードの各々のアノードが前記
平滑部の平滑コンデンサの負極端に接続されていることが、好適である。
・ 上記第1の態様において、前記整流部が、2対の直列接続された正側ダイオードと負側ダイオードを有し、直列接続された各対のダイオードの接続点が二次コイルの各端とそれぞれ接続されており、
2つの前記負側ダイオードの各々のアノードに2つのリアクトルの各々の一端がそれぞれ接続されると共に、2つの該リアクトルの各々の他端が前記
平滑部の平滑コンデンサの負極端に接続されており、かつ、
2つの前記正側ダイオードの各々のカソードが前記
平滑部の平滑コンデンサの正極端に接続されていることが、好適である。
・ 本発明の第2の態様は、3つの脚の各々にそれぞれ巻かれたリアクトルを有し、三相交流の各相の入力端子に各リアクトルの一端がそれぞれ接続された三相リアクトルと、
各相の前記リアクトルにそれぞれ直列接続された各相のスイッチング素子と、
各相の前記リアクトルの他端にそれぞれ接続された各相の整流ダイオードと、
各相の前記整流ダイオードに接続された平滑コンデンサと、を有する三相交流用スイッチング電源において、
各相の前記スイッチング素子は、各相の前記リアクトルに印加される入力電圧が正電圧のときに同じPWM信号によりオンオフ制御されると共に入力電圧が負電圧のときはオフ状態に保持され、
各相の前記リアクトルにオン期間に流れる電流とは逆方向の電流を阻止するための逆流防止ダイオードを有することを特徴とする。
・ 上記第2の態様において、オンオフ制御のオン期間において、
オンオフ制御されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記リアクトルには該スイッチング素子を通る電流が流れると共に、
オフ状態に保持されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記リアクトルには電流が流れないように構成されていることが、好適である。
・ 上記第2の態様において、オンオフ制御のオフ期間において、
オンオフ制御されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記リアクトルには電流が流れて前記整流ダイオードを通して出力され、
オフ状態に保持されている各相の前記スイッチング素子に直列接続された前記リアクトルには前記逆流
防止ダイオードにより電流が流れないように構成されていることが、好適であ
る。
【発明の効果】
【0009】
本発明による三相交流用スイッチング電源は、スイッチング素子に対し所定のオンオフ制御を行うと共に、スイッチング素子に対し逆流防止ダイオードを設けたことにより、入力側への還流を阻止して三相トランス又は三相リアクトルに可能な限り磁気エネルギーを蓄積し、蓄積された磁気エネルギーを出力することができる。また、三相トランス又は三相リアクトルに蓄積された磁気エネルギーをフライバック電流により出力させることにより、良好な力率を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例として示した図面を参照して、本発明の三相交流用スイッチング電源の実施の形態を説明する。
(1)第1実施形態(絶縁型)
(1−1)第1実施形態の回路例の構成
図1は、本発明の第1実施形態である絶縁型の三相交流用スイッチング電源の回路例を概略的に示した図である。
図1Aは、
図1の回路例において省略した点線囲みの部分の一例を詳細に示した回路例である。
【0012】
<三相トランスTの一次側の構成>
図1の三相交流用スイッチング電源は、三相交流電圧が入力端子R、S、Tに入力される。ここでの三相交流電圧は、例えば、系統電源の50Hz若しくは60Hz又は各種の発電装置で生成される数Hz〜数kHz程度の周波数を有する正弦波である。
【0013】
トランスTは、3つの脚を有する三相トランスである。3つの脚の各々に、一次コイルN1と二次コイルN2、一次コイルN3と二次コイルN4、及び、一次コイルN5と二次コイルN6がそれぞれ同極性に重ね巻きされている(コイルの巻き始端を黒丸で示す)。各相の一次コイルN1、N2、N3の一端は、各相の入力端子にそれぞれ接続されている。
【0014】
各相の一次コイルN1、N2、N3の他端には、直列接続された各相の逆流防止ダイオードD1、D2、D3とスイッチング素子Q1、Q2、Q3がそれぞれ接続されている。各相のスイッチング素子Q1、Q2、Q3は、各相の一次コイルN1、N2、N3に流れる電流を導通又は遮断するべく、各々の制御端子にPWM信号を入力されることによりオンオフ制御される。スイッチング素子Q1、Q2、Q3は、ここではnチャネルMOSFET(以下FETと称する)であり、制御端子はゲートである。PWM信号の周波数は、三相交流の周波数よりも高い数十kH〜数百kHである。
【0015】
なお、スイッチング素子は、MOSFET以外にIGBT又はバイポーラトランジスタでもよい(以下の実施形態においても同じ)。
【0016】
逆流防止ダイオードD1、D2、D3の極性は、FETQ1、Q2、Q3のボディダイオードのそれとは逆方向である。すなわち、図示の場合、アノードが各相の一次コイルN1、N2、N3の他端に、カソードがFETQ1、Q2、Q3のドレインに接続されている。各相の逆流防止ダイオードD1、D2、D3は、図示の位置に限らず、各相の入力端子R、S、Tから一次コイルN1、N3、N5を経由して接地端までの電流路上であれば挿入することができる。
【0017】
さらに、各相の入力端子と接地端の間には、還流ダイオードD16、D17、D18がそれぞれ接続されている。これらの還流ダイオードD16、D17、D18は、アノードが各相共通の接地端に接続され、カソードが各相の入力端子に接続されている。従って、トランスTの一次コイルN1、N2、N3への各相の入力電圧は、還流ダイオードD16、D17、D18により負電圧側をクランプされる。
【0018】
<スイッチング素子のオンオフ制御回路の構成>
図1Aは、
図1の回路における符号10、20、30の部分の一例を詳細に示した回路図である。これらの部分は同じ構成であるので、例としてR相の回路を説明する。図示しない制御部によりPWM信号Vgが生成される。PWM信号Vgは各相に共通の1つの電圧信号であり、所定の周波数とデューティ比をもつ。このPWM信号Vgの入力端は、p型トランジスタQ11のエミッタに接続されている。トランジスタQ11のコレクタはFETQ1のゲートに接続されている。一方、R相の入力電圧の分圧が、n型トランジスタQ12のベースに印加される。トランジスタQ12のコレクタは抵抗を介してトランジスタQ11のベースに接続され、エミッタは接地されている。
【0019】
R相の入力電圧が負電圧のとき、トランジスタQ11はオフ状態であり、よってトランジスタQ12もオフ状態である。このとき、PWM信号Vgは遮断されてFETQ1ゲートに印加されない。よって、R相の入力電圧が負電圧のとき、FETQ1はオフ状態に保持される。
【0020】
R相の入力電圧が正電圧のとき、トランジスタQ11及びトランジスタQ12がオン状態となることにより、PWM信号VgがFETQ1のゲートに印加される。よって、R相の入力電圧が正電圧のとき、FETQ1はPWM信号Vgによりオンオフ制御される。
【0021】
このように、本回路では、三相交流の各相の入力電圧が正電圧のときにのみ、各相のスイッチング素子がオンオフ制御され、各相の入力電圧が負電圧のときは各相のスイッチング素子はオフ状態に保持される。
【0022】
<三相トランスの二次側の構成>
三相トランスTの二次側には、整流部及びその後段の平滑部が各相毎に配置されている。各相の回路構成は同じであるので、R相を例として二次側の回路構成を説明する。整流部は、4つのダイオードD4、D5、D6、D7からなるブリッジ整流回路を基本とする形態である。第1の対の正側ダイオードD4と負側ダイオードD6が直列接続され、第2の対の正側ダイオードD5と負側ダイオードD7が直列接続されている。直列接続された第1の対のダイオードD4、D6の接続点は二次コイルN2の一端に接続され、直列接続された第2の対のダイオードD5、D7の接続点は二次コイルN2の他端に接続されている。
【0023】
通常のブリッジ整流回路とは異なり、
図1の構成では、正側ダイオードD4、D5のカソードが互いに接続されていない。一方の正側ダイオードD4のカソードは、第1のリアクトルL1の一端に接続され、他方の正側ダイオードD5のカソードは、第2のリアクトルL2の一端に接続されている。第1のリアクトルL1と第2のリアクトルL2の各々のインダクタンスは、実質的に同じ値とする。
【0024】
第1のリアクトルL1及び第2のリアクトルL2の各々の他端は、平滑コンデンサCの正極端に接続されており、この点は正の出力端子pでもある。
【0025】
また、2つの負側ダイオードD6、D7の各々のアノードは、平滑コンデンサCの負極端に接続されており、この点は負の出力端子nでもある。
【0026】
<三相トランス二次側の別の実施形態>
図1Bは、
図1の回路における二次側の整流部及び平滑部の別の構成例である。R相の部分のみについて示すが、他の2相についても同じ構成である。
図1Bの構成における整流部も、
図1と同様に4つのダイオードD4〜D7からなるブリッジ整流回路を基本とする形態である。第1の対の正側ダイオードD4と負側ダイオードD6が直列接続され、第2の対の正側ダイオードD5と負側ダイオードD7が直列接続されている。直列接続された第1の対のダイオードD4、D6の接続点は二次コイルN2の一端に接続され、直列接続された第2の対のダイオードD4、D6の接続点は二次コイルN2の他端に接続されている。
【0027】
図1Bの構成では、負側ダイオードD6、D7のアノードが、通常のブリッジ整流回路とは異なり互いに接続されていない。一方の負側ダイオードD6のアノードは、第1のリアクトルL1の一端に接続され、他方の負側ダイオードD7のアノードは、第2のリアクトルL2の一端に接続されている。第1のリアクトルL1と第2のリアクトルL2の各々のインダクタンスは、実質的に同じ値とする。
【0028】
第1のリアクトルL1及び第2のリアクトルL2の各々の他端は、平滑コンデンサCの負極端に接続されており、この点は負の出力端子nでもある。
【0029】
また、2つの正側ダイオードD4、D5の各々のカソードは、平滑コンデンサCの正極端に接続されており、この点は正の出力端子pでもある。
【0030】
三相交流用スイッチング電源の第1の実施形態の二次側回路は、
図1及び
図1Bに示した回路以外にも多様に構成することができる。二次側回路は、基本的にフォワード形式で構成することが好適である。オン期間にフォワード電流が流れ、オフ期間に外付けリアクトルの磁気エネルギーを放出するリアクトル電流が流れると共に、二次コイルに生じる逆起電力によりフライバック電流が流れることができる構成を備えていればよい。二次コイルにフライバック電流が流れる動作については、以下で説明する。
【0031】
(1−2)第1実施形態の動作
図2〜
図5を参照して、第1の実施形態の回路例の動作を説明する。
図5(a)は、三相トランスTへの三相交流の入力電圧波形を示している。
図5(a)の通り、3つの相のうち2相が正電圧で1相が負電圧の期間と、3つの相のうち1相が正電圧で2相が負電圧の期間がある。これらの2つの期間の動作について本質的な相違はなく、いずれか一方の期間について説明すれば、他方の期間の動作も理解できる。
【0032】
以下では、3つの相のうち2相が正電圧で1相が負電圧の期間を例として、
図5(a)に点線で示した範囲の動作について説明する。すなわち、R相とS相が正電圧、T相が負電圧のときである。
図5(b)〜(m)は、この範囲を拡大して模式的に示したタイミング図である。この範囲では、R相とS相のスイッチング素子が同じPWM信号によりオンオフ制御される一方、T相のスイッチング素子は常にオフ状態に保持される。以下、R相及びS相のオンオフ制御におけるオン期間とオフ期間の動作について説明する。
【0033】
<R相、S相:オン期間(T相はオフ状態に保持)の動作>
図2は、R相及びS相のFETQ1、Q2のオン期間において、
図1の回路に流れる電流を矢印付き実線で示している。
図3は、このオン期間の三相トランスTの状態を模式的に表した図である。
【0034】
図2に示すように、FETQ1がオンになると、R相の一次コイルN1に電流i1が流れる(
図5(c)参照)。この電流i1は、逆流防止ダイオードD1の順方向に流れ、還流ダイオードD18を介して入力端子Tに還流する。一次コイルN1に電流i1が流れる結果、相互誘導により二次コイルN2に起電力(電圧を意味する)が発生し、電流i2が流れる。電流i2は、ダイオードD7→二次コイルN2→ダイオードD4→リアクトルL1の経路で流れ、出力端子pから出力され負荷に供給される(
図5(d)(e)参照)。電流i2は、トランスTの相互誘導によるフォワード電流である。電流i2により第1のリアクトルL1は励磁されて磁気エネルギーが蓄積される。ダイオードD5、D6は逆バイアスとなるため電流が流れない。
【0035】
ここで、定常状態における平滑コンデンサCは、リップル変動を除いてほぼ一定の電圧で充電されている。従って、電流i2は、二次コイルN2の起電力が平滑コンデンサCの電圧を超えたときにのみ流れることができる。R相の入力電圧の小さい範囲では、二次コイルN2の起電力も小さいため、フォワード電流i2は出力端子に出力されない。これはフォワード動作の特徴であり、力率を低下させることとなる。
【0036】
S相についても、R相と同様の動作となる。一次コイルN3に電流i3が流れ(
図5(g)参照)、還流ダイオードD18を介して入力端子Tに還流する。二次コイルN4にはフォワード電流i4が流れ、第1のリアクトルL3を通って出力端子pに出力される(
図5(h)(i)参照)。
【0037】
ここで、
図3を参照すると、三相トランスTにおいて一次コイルN1、N3に電流i1、i3が流れることにより磁束φ1、φ2が生じ、コアを介してT相の一次コイルN5及び二次コイルN6の巻かれた脚に流れ込む。この結果、一次コイルN5には逆流防止ダイオードD3の順バイアスとなる起電力が生じるが、FETQ3がオフであるので一次コイルN5に電流は流れない(
図5(k)参照)。一方、二次コイルN6に生じた起電力により、
図2に示す電流i5が流れる。電流i5は、ダイオードD14→二次コイルN6→ダイオードD13→リアクトルL6の経路で流れ、出力端子pから出力され負荷に供給される(
図5(l)(m)参照)。電流i5はフォワード電流である。
【0038】
<R相、S相:オフ期間(T相はオフ状態に保持)の動作>
次に、
図4は、R相及びS相のFETQ1、Q2のオフ期間において、
図1の回路に流れる電流を矢印付き点線で示している。
【0039】
R相については、FETQ1がオフになると、一次コイルN1の電流i1が遮断され、一次コイルN1及び二次コイルN2に逆起電力がそれぞれ発生する。一次コイルN1の逆起電力は、FETQ1のボディダイオードに対して順バイアスであるが、逆流防止ダイオードD1が電流路に挿入されているため電流は流れない(
図5(c)参照)。すなわち、入力側への還流は阻止される。この結果、仮に逆流防止ダイオードD1がない場合には入力側に戻されるエネルギーが、三相トランスTに留まる。
【0040】
一方、二次コイルN2の逆起電力により、巻き始端が低電位、巻き終端が高電位となる。第1のリアクトルL1はオン期間と同方向の電流を維持しようとするので、ダイオードD6→ダイオードD4→リアクトルL1の経路で電流i6が流れ、出力端子pに出力され負荷に供給される(
図5(e)参照)。これにより、オン期間に第1のリアクトルL1に蓄積された磁気エネルギーが放出される。ダイオードD7は逆バイアスとなる。
【0041】
さらに、二次コイルN2の逆起電力により、ダイオードD6が順バイアスとなり、ダイオードD6→二次コイルN2→ダイオードD5→リアクトルL2の経路で電流ifbが流れ、出力端子pに出力され負荷に供給される(
図5(d)(f)参照)。電流ifbは、三相トランスTの相互誘導によるものではなく、一次側の逆流防止ダイオードD1により還流が阻止されたために三相トランスTに留められた磁気エネルギーの放出によるものである。従って電流ifbは、フライバック電流である。
【0042】
フライバック電流ifbは、フォワード電流i2とは異なり、入力電圧が小さく二次コイルN2に発生する逆起電力が小さいときであっても、逆起電力の大きさに応じた大きさで出力端子pへ出力される。従って、正弦波の入力電圧においては、入力電圧が小さい範囲においてもフライバック電流ifbが流れることによって力率が改善される。本回路は、基本的にフォワード形式であるが、フライバック電流ifbも流れることができるので力率改善機能を備えている。これは、一次側に逆流防止ダイオードD1を設けたことにより実現されている。
【0043】
また、本回路では入力側への還流が無い替わりに二次コイルN2にフライバック電流ifbが流れることにより、三相トランスTの磁気リセットが行われる。従って、本回路においても三相トランスTの磁気飽和を回避することができる。
【0044】
S相についても、R相と同様の動作となる。一次コイルN3の電流が遮断されると、一次コイルN3に逆起電力が生じるが、逆流防止ダイオードD2により還流が阻止される(
図5(g))。一方、二次側では、第1のリアクトルL3の磁気エネルギーを放出する電流i7が流れ(
図5(i)参照)、一方、二次コイルN4に生じた逆起電力によりフライバック電流ifbが流れ、第2のリアクトルL4を通って出力端子pに出力される(
図5(h)(j)参照)。
【0045】
T相については、
図3に示したオン期間に他の相の脚から流れ込んでいた磁束φ1、φ2が消失することにより、一次コイルN5及び二次コイルN6に逆起電力を生じる。一次コイルN5に生じる逆起電力は、逆流防止ダイオードD3の逆バイアスであるため電流は流れない(
図5(k)参照)。一方、二次コイルN6に生じた逆起電力によりフライバック電流ifbが流れ、第1のリアクトルL5を通って出力端子pに出力される(
図5(l)(n)参照)。
【0046】
以上の
図1の回路の動作において、オフ期間に各相の二次コイルN2、N4、N6にそれぞれ流れるフライバック電流ifbは、一次側に逆流防止ダイオードD1、D2、D3を設けたことにより三相トランスTに留められた磁気エネルギーが放出されることによるものである。これにより二次側への電力の伝達効率が向上する。また、フライバック電流ifbは、二次コイルN2、N4、N6の逆起電力の大きさによらず出力されるため、力率が改善される。
【0047】
なお、3つの相のうち1相が正電圧で2相が負電圧の期間、例えばR相が正電圧でS相及びT相が負電圧の期間については、S相の動作が上述した負電圧のT相の動作と同様になる。R相の動作及びT相の動作はそれぞれ上述した通りである。
【0048】
(2)第2実施形態(非絶縁型)
(2−1)第2実施形態の回路例の構成
図6は、本発明の第2実施形態である非絶縁型の三相交流用スイッチング電源の回路例を概略的に示した図である。
図6では省略しているが、点線囲みの符号10、20、30で示した部分は、
図1Aに示した回路と同じ構成を有する。
【0049】
図6の三相交流用スイッチング電源は、三相交流電圧が入力端子R、S、Tに入力される。三相リアクトル3φRは、3つの脚を有する。3つの脚の各々に、リアクトルL11、L12、L13がそれぞれ巻かれている。各相のリアクトルL11、L12、L13一端は、各相の入力端子R、S、Tにそれぞれ接続されている。各相のリアクトルL11、L12、L13の他端には、直列接続された各相の逆流防止ダイオードD21、D22、D23とスイッチング素子Q21、Q22、Q23がそれぞれ接続されている。
【0050】
各相のスイッチング素子Q21、Q22、Q23は、各相のリアクトルL11、L12、L13に流れる電流を導通又は遮断するべく、各々の制御端子にPWM信号を入力されることによりオンオフ制御される。スイッチング素子Q21、Q22、Q23は、ここではnチャネルMOSFET(以下FETと称する)であり、制御端子はゲートである。
【0051】
逆流防止ダイオードD21、D22、D23の極性は、FETQ21、Q22、Q23のボディダイオードのそれとは逆方向である。すなわち、図示の場合、アノードが各相のリアクトルL11、L12、L13の他端に、カソードが各相のFETQ21、Q22、Q23のドレインに接続されている。
【0052】
さらに、各相の入力端子と接地端の間には、還流ダイオードD27、D28、D29がそれぞれ接続されている。これらの還流ダイオードD27、D28、D29は、アノードが各相共通の接地端に接続され、カソードが各相の入力端子に接続されている。従って、リアクトルL11、L12、L13への各相の入力電圧は、還流ダイオードD27、D28、D29により負電圧側をクランプされている。
【0053】
さらに、各相のリアクトルL11、L12、L13の他端には、各相の整流ダイオードD24、D25、D26のアノードがそれぞれ接続されている。各相の整流ダイオードD24、D25、D26のカソードは、平滑コンデンサCの正極端に接続されており、この点は正の出力端子pでもある。各相のFETQ21、Q22、Q23のソースは、平滑コンデンサCの負極端に接続されており、この点は接地端であり負の出力端子nでもある。
【0054】
(2−2)第2実施形態の動作
図7〜
図10を参照して、第2の実施形態の回路例の動作を説明する。
図10(a)は、上述した
図5(a)と同じく三相リアクトル3φRへの三相交流の入力電圧波形を示している。3つの相のうち2相が正電圧で1相が負電圧の期間と、3つの相のうち1相が正電圧で2相が負電圧の期間があるが、これらの期間の動作に実質的な相違はない。
【0055】
以下、例として、
図10(a)に点線で示した範囲の動作について説明する。すなわち、R相とS相が正電圧、T相が負電圧のときである。
図10(b)〜(e)は、この範囲を拡大して模式的に示したタイミング図である。この範囲では、R相とS相のスイッチング素子が同じPWM信号によりオンオフ制御される一方、T相のスイッチング素子は常にオフ状態に保持される。以下、R相及びS相のオンオフ制御におけるオン期間とオフ期間の動作について説明する。
【0056】
<R相、S相:オン期間(T相はオフ状態に保持)の動作>
図7は、R相及びS相のFETQ21、Q22のオン期間において、
図6の回路に流れる電流を矢印付き実線で示している。
図8は、このオン期間の三相リアクトル3φRの状態を表した概略構成図である。
【0057】
図7に示すように、FETQ21がオンになると、R相のリアクトルL11に電流i1が流れる(
図10(c)参照)。この電流i1は、逆流防止ダイオードD21の順方向に流れ、還流ダイオードD29を介して入力端子Tに還流する。リアクトルL11は励磁されて磁気エネルギーが蓄積される。
【0058】
S相についても、R相と同様の動作となる。リアクトルL12に電流i2が流れ(
図10(d)参照)、還流ダイオードD29を介して入力端子Tに還流する。リアクトルL12は励磁されて磁気エネルギーが蓄積される。
【0059】
ここで、
図8を参照すると、三相リアクトル3φRにおいて、オン期間にリアクトルL11、L12に電流i1、i2が流れることにより磁束φ1、φ2が生じ、コアを介してT相のリアクトルL13の巻かれた脚に流れ込む。この結果、リアクトルL13には逆流防止ダイオードD23の順バイアスとなる起電力が生じるが、FETQ23がオフであるのでFETQ23には電流は流れない(
図10(e)参照)。その替わり、リアクトルL13に生じた起電力により、
図7に示す電流i5が流れる(
図8には電流i5は示していない)。電流i5は、ダイオードD29→リアクトルL13→ダイオードD26→の経路で流れ、出力端子pから出力され負荷に供給される(
図10(e)参照)。電流i5はフォワード電流である。これによりリアクトルL13に磁束が蓄積される。
【0060】
<R相、S相:オフ期間(T相はオフ状態に保持)の動作>
次に、
図9は、R相及びS相のFETQ21、Q22のオフ期間において、
図1の回路に流れる電流を矢印付き点線で示している。
【0061】
R相については、FETQ21がオフになると、リアクトルL11の電流i1が遮断され、逆起電力が発生する。リアクトルL11の逆起電力により、ダイオードD24を通してフライバック電流ifbが流れ、出力される。(
図10(c)参照)。これにより、オン期間にリアクトルL11に蓄積された磁気エネルギーが放出される。なお、第2の実施形態は非絶縁型であるが、絶縁型におけるフライバック電流に相当する電流を便宜上「フライバック電流」と称することとする。
【0062】
フライバック電流ifbは、入力電圧が小さくリアクトルL11に発生する逆起電力が小さいときであっても、逆起電力の大きさに応じた大きさで出力端子pへ出力される。従って、正弦波の入力電圧の場合、入力電圧が小さい範囲においてもフライバック電流ifbが流れるので力率は良好である。
【0063】
S相についても、R相と同様の動作となる。リアクトルL12の電流i2が遮断されると、リアクトルL12に逆起電力が生じ、ダイオードD25を通してフライバック電流ifbが流れ、出力される。(
図10(d)参照)。これにより、オン期間にリアクトルL12に蓄積された磁気エネルギーが放出される。
【0064】
T相については、
図8に示したオン期間に他の相の脚から流れ込んでいた磁束φ1、φ2が消失することにより、リアクトルL13に逆起電力を生じる。リアクトルL13に生じる逆起電力は、逆流防止ダイオードD3の逆バイアスであるため電流は流れない(
図10(e)参照)。これにより、リアクトルL13に磁気エネルギーが留められる。
【0065】
なお、オン期間にT相のリアクトルL13に蓄積された磁気エネルギー、及び、オフ期間にT相のリアクトルL13に留められた磁気エネルギーは、オフ期間にR相及びS相のリアクトルL11、L12からフライバック電流ifbが出力されることによって放出される。
【0066】
仮に逆流防止ダイオードD3がない場合、オフ時にリアクトルL13に還流が流れてしまうために三相リアクトル3φRの磁束が減少し難くなり、蓄積された磁気エネルギーを放出し難くなる。逆流防止ダイオードD3があることによって、三相リアクトル3φRに蓄積されたエネルギーをフライバック電流ifbにより放出し易くなる。
【0067】
(5)まとめ
本発明の三相交流用スイッチング電源は、絶縁型の場合、基本的にフォワード方式の動作を有することにより大出力に適用可能である。加えて、入力電圧が負電圧である相のスイッチング素子がオフに保持されると共にスイッチング素子と直列接続された逆流防止ダイオードを設けたことによって所定の電流が阻止され、それによってトランスに蓄積された磁気エネルギーがフライバック電流により放出される。フライバック電流が流れることにより力率が改善される。よって、大出力のワンコンバータ方式の絶縁型スイッチング電源として好適である。力率改善機能を備えかつ回路の構成を簡素化できると共に、絶縁型であるので安全性が確保される。
【0068】
また
図1及び
図1Bの回路に示したように、トランスの二次側において、通常のフォワード方式におけるリアクトルを並列な2回路に分割することにより、電流供給能力が増えると共に、一次側の駆動負担が軽減される。
【0069】
さらに本発明の三相交流用スイッチング電源は、非絶縁型の場合、入力電圧が負電圧である相のスイッチング素子がオフに保持されると共にスイッチング素子と直列接続された逆流防止ダイオードを設けたことによって所定の電流が阻止され、それによって三相リアクトルに蓄積された磁気エネルギーがフライバック電流により放出される。フライバック電流が流れることにより良好な力率が得られる。
【0070】
以上に説明した本発明の絶縁型スイッチング電源は、図示の構成例に限られず、本発明の主旨に沿う範囲において多様な変形が可能である。