(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸気通路を画定するボディと、前記ボディに回転自在に支持された弁軸と、前記弁軸に固定されて前記吸気通路を開閉するスロットル弁と、前記弁軸に駆動力を及ぼす駆動源と、前記スロットル弁を全閉位置と全開位置の間のデフォルト位置に位置付けるデフォルト機構と、を備え、
前記デフォルト機構は、前記デフォルト位置を規定するべく前記ボディに設けられた規定部と、前記弁軸と一体的に回転する第1回転体と、前記弁軸と相対的に回転し得る共に前記規定部に係合して閉弁方向への回転が制限される第2回転体と、前記第1回転体と前記ボディの間に介在して前記第1回転体を閉弁方向に付勢する第1付勢バネと、前記第1回転体と前記第2回転体の間に介在して前記第1回転体を開弁方向にかつ前記第2回転体を閉弁方向に引き寄せて両者を係合させると共に前記駆動源の非作動時に前記両者の係合を維持するように付勢する第2付勢バネを含み、
前記第1回転体は、前記第1付勢バネの一端部を掛止する第1掛止部と、前記第2付勢バネの一端部を掛止する第2掛止部と、前記第2回転体と離脱可能に係合する第1係合部を含み、
前記ボディは、前記第1付勢バネの他端部を掛止する第3掛止部を含み、
前記第2回転体は、前記第2付勢バネの他端部を掛止する第4掛止部と、前記第1回転体の第1係合部と離脱可能に係合する第2係合部と、前記規定部に離脱可能に当接する当接部を含む、
ことを特徴とするスロットル装置。
前記第2付勢バネの付勢力は、前記第2回転体の回転が前記規定部により制限された前記デフォルト位置において、前記第1付勢バネの付勢力よりも大きく設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係るスロットル装置は、車両等に搭載されるエンジンの吸気系に組み付けられて吸気通路を流れる吸気量を調整するものであり、
図1ないし
図8に示すように、ボディ10、カバー20、軸線Sを有する弁軸30、弁軸30と一緒に回転して吸気通路を開閉するスロットル弁40、デフォルト機構M、駆動機構D、位置センサPSを備えている。
【0022】
デフォルト機構Mは、スロットル弁40を全閉位置と全開位置の間でかつアイドル位置よりも大きい開度のデフォルト位置に位置付けるものであり、第1回転体としての回転ギヤ50、第2回転体としての回転ホルダ60、第1付勢バネ70、第2付勢バネ80、規定部としての調整ネジ90を備えている。
駆動機構Dは、弁軸30に駆動力を及ぼすものであり、駆動源100、駆動歯車110、二段歯車120を備えている。
位置センサPSは、弁軸30の回転角度位置、すなわち、スロットル弁40の開度を非接触にて検出する磁気式のセンサであり、検出部PS1、ロータ部PS2を備えている。
尚、検出部PS1は、カバー20の円柱部24に埋設されたステータ及びホール素子を含む。ロータ部PS2は、回転ギヤ50の接合部59に接合される円筒状部材に埋設されたアマチャ及びヨークを含む。
【0023】
ボディ10は、樹脂材料又はアルミニウム等の金属材料により形成され、筒状部11、接続フランジ12a,12b、弁軸30を通す弁軸孔13、デフォルト機構M及び駆動機構Dの一部を収容する凹部14、駆動源110を収容する凹部15、規定部としての調整ネジ90を捩じ込むネジ孔16、全閉ストッパとしての調整ネジ91を捩じ込むネジ孔17、凹部14に固定された支軸18を備えている。
【0024】
筒状部11は、吸気が流れる円筒状の吸気通路11aを画定している。
接続フランジ12a,12bは、吸気通路11a内を吸気が流れるように、エンジンの吸気系を形成する通路部材の途中に連結される。
弁軸孔13は、弁軸30が回転自在に通される軸孔13a、弁軸30の外周をシールするシールSRが嵌合されるシール孔13b、弁軸30を回転自在に支持する軸受Bが嵌合される軸受孔13c、キャップCが嵌合される嵌合孔13dにより構成されている。
【0025】
凹部14は、筒状部11の外壁に隣接し軸線Sに垂直な平坦壁部14a、平坦壁部14aの周りを囲む環状壁部14b、軸線Sの周りにおいて平坦壁部14aの一部を肉抜きして形成された収容凹部14c及び環状凹部14d、端面14e、第3掛止部としての掛止部14f、嵌合穴14gを備えている。
【0026】
収容凹部14cは、軸線S方向において環状凹部14dよりも吸気通路11a寄りの内側に形成され、回転ホルダ60を軸線S方向の内側に寄せた状態で所定の角度範囲において軸線S回りに回転自在に収容する。
すなわち、回転ホルダ60がボディ10の収容凹部14cに配置されることにより、弁軸30の軸線S方向における部品の集約化、装置の幅狭化及び小型化を達成できる。
環状凹部14dは、第1付勢バネ70のコイル部71の一部を、軸線S方向の内側に寄せるように受け入れる。
すなわち、第1付勢バネ70のコイル部71の一部がボディ10の環状凹部14dに受け入れられることで、弁軸30の軸線S方向における装置の幅狭化を達成できる。
【0027】
端面14eは、弁軸30により回転自在に支持された回転ホルダ60と軸線S方向において対向するように形成されている。
掛止部14fは、第1付勢バネ70の他端部73を掛止するべく、環状凹部14dの周壁の一部に形成されている。
凹部15は、駆動源100を収容するべく、軸線Sと平行に伸長すると共に平坦壁部14aにて開口する有底円筒状をなす。
【0028】
ネジ孔16は、調整ネジ90を外部から捩じ込んで調整できるように、ボディ10の外部から収容凹部14cの壁面に貫通する。
すなわち、規定部として調整ネジ90が採用されているため、調整ネジ90の捩じ込み量を適宜調整することにより、デフォルト位置を要求に応じた位置に容易にかつ精度よく設定することができる。
【0029】
ネジ孔17は、調整ネジ91を外部から捩じ込んで調整できるように、ボディ10の一部をなす環状壁部14bを貫通する。
すなわち、全閉ストッパとして調整ネジ91が採用されているため、調整ネジ91の捩じ込み量を適宜調整することにより、全閉位置の調整を容易に行うことができる。
【0030】
支軸18は、金属材料等により軸線Sと平行に伸長するように配置され、平坦壁部14aに設けられた嵌合穴14gに嵌合して固定されている。
そして、支軸18は、二段歯車120を回転自在に支持した状態で、その先端部がカバー20の嵌合穴23に嵌合されて堅固に保持されるようになっている。
【0031】
カバー20は、樹脂材料又はアルミニウム等の金属材料により形成され、ボディ10の環状壁部14bに接合されて凹部14を覆うようになっている。
カバー20は、駆動源100及び位置センサPSを外部と電気的に接続する端子を含むコネクタ21、コネクタ21から導かれ駆動源100に連結される二つの雌端子22、支軸18の先端部を嵌合する嵌合穴23、軸線S上に中心を有すると共に位置センサPSの検出部PS1が埋設された円柱部24を備えている。
二つの雌端子22は、凹部15に収容された駆動源100の二つの雄端子103に着脱自在に嵌合して電気的に接続されるようになっている。
【0032】
弁軸30は、金属材料等により円形断面で軸線S方向に伸長するように形成され、一端側において回転ギヤ50を固定する固定部31、略中央領域においてスロットル弁40を嵌め込むスリット32及びネジ孔33を備えている。
弁軸30は、ボディ10の弁軸孔13に通されて配置された状態で、スリット32に嵌め込まれたスロットル弁40がネジb1により締結されることにより、スロットル弁40を開閉自在に保持する。
【0033】
スロットル弁40は、金属材料等により略円板状に形成され、ネジb1を通す円孔41を備えている。
スロットル弁40は、弁軸30が弁軸孔13に通された後に、スリット32に通されてネジb1により弁軸30に固定され、吸気通路11aを開閉するように配置される。
そして、スロットル弁40は、弁軸30の回転に応じて、吸気通路11aを全閉及び全開すると共に、アイドル位置及びデフォルト位置に応じたそれぞれの開度に吸気通路11aを開放するようになっている。
【0034】
回転ギヤ50は、樹脂材料等により形成され、弁軸30と一体的に回転すると共に駆動機構Dにより駆動力が及ぼされるものである。
回転ギヤ50は、固定部51、凹部52、凹部53、第1掛止部としての掛止部54、第2掛止部としての掛止部55、第1係合部としての突起部56、伝達部としての歯列57、当接部58、位置センサPSのロータ部PS2を接合する接合部59を備えている。
【0035】
固定部51は、弁軸30の固定部31に嵌合して固定されるように形成されている。
凹部52は、歯列57に対して軸線S方向に凹むように形成され、軸線Sを中心とする円環状でボディ10側に対向するように形成され、第1付勢バネ70のコイル部71の一部を受け入れる。
凹部53は、歯列57に対して軸線S方向に凹むように形成され、軸線Sを中心とする円環状で回転ホルダ60に対向するように形成され、第2付勢バネ80のコイル部81の一部を受け入れる。
【0036】
このように、凹部52及び凹部53を設けたことにより、第1付勢バネ70のコイル部71が凹部52に受け入れられ、第2付勢バネ80のコイル部81が凹部53に受け入れられる。したがって、第1付勢バネ70及び第2付勢バネ80と回転ギヤ50を、弁軸30の軸線S方向においてオーバーラップさせて配置することができる。それ故に、弁軸30の軸線S方向における装置の幅狭化を達成できる。
【0037】
掛止部54は、第1付勢バネ70の一端部72を掛止するべく、凹部52を画定する外周壁52aの一部を切り欠いて形成されている。
掛止部55は、第2付勢バネ80の一端部82を掛止するべく、凹部53を画定する外周壁53aの一部を切り欠いて形成されている。
【0038】
突起部56は、回転ホルダ60の第2係合部としての突起部64と軸線S回りにおいて離脱可能に係合するべく、外周壁53aの外側に隣接すると共に軸線S方向に伸長するように形成されている。
そして、突起部56は、回転ギヤ50が開弁方向ORに回転するとき回転ホルダ60の突起部64に係合し得ると共に回転ギヤ50が閉弁方向CRに回転するとき回転ホルダ60の突起部64から離脱し得るようになっている。
【0039】
歯列57は、所定の角度範囲に亘って円弧状に形成され、二段歯車120の小歯車122と噛合することで、駆動機構Dの駆動力が弁軸30に及ぼされるようになっている。
当接部58は、歯列57の端部に形成され、ボディ10に設けられた調整ネジ91と軸線S回りにおいて離脱可能に当接する。
すなわち、回転ギヤ50が閉弁方向CRに回転して、当接部58が調整ネジ91に当接することで、回転ギヤ50及び弁軸30の回転が制限され、スロットル弁40が全閉位置に位置決めされる。
接合部59は、カバー20の円柱部24と対向する側において、位置センサPSのロータ部PS2を嵌合して固定するように形成されている。
【0040】
回転ホルダ60は、樹脂材料等により形成され、弁軸30と相対的に回転し得ると共に閉弁方向CRへの回転時に規定部としての調整ネジ90に係合して閉弁方向CRへのそれ以上の回転が制限されるものである。
回転ホルダ60は、円筒孔61、環状溝62、第4掛止部としての掛止部63、第2係合部としての突起部64、端面65、規定部としての調整ネジ90に当接する当接部66を備えている。
【0041】
円筒孔61には、弁軸30が回転自在に嵌め込まれる。
すなわち、回転ホルダ60は、円筒孔61に弁軸30が通されることにより弁軸30に対して相対的に回転自在に支持される。
環状溝62は、円筒孔61の周りにおいて、第2付勢バネ80のコイル部81の一部を受け入れるように形成されている。
掛止部63は、第2付勢バネ80の他端部83を掛止するべく、環状溝62の外側周壁の一部を溝状に肉抜して形成されている。
【0042】
突起部64は、回転ギヤ50の第1係合部としての突起部56と軸線S回りにおいて離脱可能に係合するべく、軸線S方向に伸長するように形成されている。
そして、突起部64は、回転ホルダ60が閉弁方向CRに回転するとき回転ギヤ50の突起部56に係合し得ると共に回転ホルダ60が開弁方向ORに回転するとき回転ギヤ50の突起部56から離脱し得るようになっている。
端面65は、ボディ10に嵌合された軸受Bの内輪に接触するようになっている。
当接部66は、調整ネジ90と軸線S回りにおいて離脱可能に当接する。
【0043】
すなわち、回転ホルダ60は、弁軸30に回転自在に支持されると共にボディ10の収容凹部14cに収容され、環状溝62に第2付勢バネ80を収容して保持するようになっている。
これによれば、回転ホルダ60がボディ10の収容凹部14cに配置されることにより、弁軸30の軸線S方向における部品の集約化、装置の幅狭化及び小型化を達成できる。
また、第2付勢バネ80のコイル部81が回転ホルダ60の環状溝62に受け入れられるため、弁軸30の軸線S方向において第2付勢バネ80と回転ホルダ60をオーバーラップさせて配置することができ、弁軸30の軸線S方向における幅狭化を達成できる。
【0044】
第1付勢バネ70は、回転ギヤ50とボディ10の間に介在する大径の捩りコイルバネであり、コイル部71、一端部72、他端部73を備えている。
そして、第1付勢バネ70は、弁軸30の周りでかつ回転ホルダ60に保持された第2付勢バネ80の周りに配置され、コイル部71がボディ10の環状凹部14d及び回転ギヤ50の凹部52に受け入れられた状態で、一端部72が回転ギヤ50の掛止部54に掛止され、他端部73がボディ10の掛止部14fに掛止される。
これにより、第1付勢バネ70は、ボディ10に対して回転ギヤ50及び弁軸30を閉弁方向CRに回転付勢する。
【0045】
第2付勢バネ80は、回転ギヤ50と回転ホルダ60の間に介在する小径の捩りコイルバネであり、コイル部81、一端部82、他端部83を備えている。
そして、第2付勢バネ80は、弁軸30の周りでかつ回転ホルダ60に保持されるように配置され、コイル部81が回転ホルダ60の環状溝62及び回転ギヤ50の凹部53に受け入れられた状態で、一端部82が回転ギヤ50の掛止部55に掛止され、他端部83が回転ホルダ60の掛止部63に掛止される。
【0046】
これにより、第2付勢バネ80は、回転ギヤ50を開弁方向ORにかつ回転ホルダ60を閉弁方向CRにそれぞれ引き寄せて、回転ギヤ50の突起部56と回転ホルダ60の突起部64を係合させるように回転付勢する。
また、第2付勢バネ80は、駆動源100の駆動力が及ぼされない非駆動時において、突起部56と突起部64の係合を維持するように回転付勢力を及ぼす。
【0047】
上記第1付勢バネ70及び第2付勢バネ80によれば、第1付勢バネ70により回転ギヤ50が閉弁方向CRに回転付勢されるため、回転ギヤ50と係合して一緒に回転する回転ホルダ60は、閉弁方向CRに回転してその当接部66がボディ10の調整ネジ90に当接するように回転付勢される。
このように、当接部66が調整ネジ90に当接することで、スロットル弁40がデフォルト位置に位置決めされる。
【0048】
駆動源100は、弁軸30に回転駆動力を及ぼすものであり、例えば、DCモータ等が適用される。
駆動源100は、本体101、回転軸102、二つの雄端子103を備えている。
そして、駆動源100は、本体101がボディ10の凹部15に嵌め込まれてネジb2により固定される。
回転軸102には、駆動歯車110が嵌合して固定される。
二つの雄端子103は、カバー20がボディ10に連結されることにより、二つの雌端子22に連結される。
【0049】
駆動歯車110は、小径の歯車であり、駆動源100の回転軸102に嵌合固定されることにより、ボディ10の凹部14に配置された状態となる。
二段歯車120は、同軸上において、駆動歯車110に噛合する大径歯車121、駆動ギヤ50の歯列57に噛合する小径歯車122を備えている。
そして、二段歯車120は、ボディ10に固定された支軸18に回転自在に嵌め込まれて支持される。
【0050】
上記駆動源100、駆動歯車110、二段歯車120を含む駆動機構Dによれば、駆動源100が一方向に回転すると、駆動歯車110、大径歯車121、小径歯車122及び歯列57を介して、駆動ギヤ50及び弁軸30が閉弁方向CRに回転させられ、スロットル弁40が吸気通路11aを閉じる方向に回転する。
一方、駆動源100が他方向に回転すると、駆動歯車110、大径歯車121、小径歯車122及び歯列57を介して、駆動ギヤ50及び弁軸30が開弁方向ORに回転させられ、スロットル弁40が吸気通路11aを開く方向に回転する。
【0051】
上記スロットル装置のデフォルト機構Mにおいて、第1付勢バネ70及び第2付勢バネ80は、弁軸30に対して、
図9に示すような付勢力F1,F2をそれぞれ及ぼす。
第1付勢バネ70は、弁軸30に対して、常に閉弁方向CRに付勢力F1を及ぼすようになっている。
すなわち、第1付勢バネ70は、弁軸30に対して、全閉位置cpで最も小さい付勢力f1c、全開位置opで最も大きい付勢力f1o、アイドル位置ipで付勢力f1i(>f1c)、デフォルト位置dpで付勢力f1d(f1i<f1d<f1o)を及ぼす。
【0052】
第2付勢バネ80は、弁軸30に対して、デフォルト位置dp〜全開位置opの間において付勢力を及ぼさず、デフォルト位置dpよりも小さい開度位置において開弁方向ORに付勢力F2を及ぼすようになっている。
すなわち、第2付勢バネ80は、弁軸30に対して、全閉位置cpで最も大きい付勢力f2c、アイドル位置ipで付勢力f2i(<f2c)を及ぼし、デフォルト位置dp〜全開位置opの間で付勢力を及ぼさない。
【0053】
したがって、弁軸30に対しては、全閉位置cp〜デフォルト位置ipの間において、付勢力(F2−F1)が開弁方向ORに作用し、デフォルト位置dp〜全開位置opの間において、付勢力F1が閉弁方向CRに作用する。
【0054】
また、第2付勢バネ80は、回転ホルダ60の回転が調整ネジ90により制限されたデフォルト位置dpにおいて、第1付勢バネ70の付勢力f1dよりも大きい付勢力f2dを回転ギヤ50に及ぼして、回転ギヤ50を回転ホルダ60に引き寄せるように設定されている。
これによれば、駆動源100が非作動の状態で、吸気圧等により回転ギヤ50が閉弁方向CRに回転しようとしても、第2付勢バネ80の付勢力f2dが第1付勢バネ70の付勢力f1dよりも大きいため、回転ギヤ50の突起部56と回転ホルダ60の突起部64の係合が維持され、スロットル弁40をデフォルト位置dpに確実に停止させて位置決めすることができる。
尚、付勢力f2dと付勢力fd1とが同一の値で拮抗しても、回転ギヤ50の突起部56と回転ホルダ60の突起部64の係合状態を維持することはできる。
【0055】
上記デフォルト機構Mによれば、全閉位置〜デフォルト位置の領域において、駆動源100の駆動力が作用するとき、回転ギヤ50は、
図10及び
図11に示すように、回転ホルダ60の回転が調整ネジ90により制限されかつ第2付勢バネ80の付勢力F2から第1付勢バネ70の付勢力F1を差し引いた付勢力(F2−F1)が開弁方向ORに作用する状態で、駆動源100の駆動力により回転させられる。
また、デフォルト位置〜全開位置の領域において、駆動源100の駆動力が作用するとき、回転ギヤ50は、
図11及び
図12に示すように、第2付勢バネ80の付勢力F2が作用せずかつ第1付勢バネ70の付勢力F1が閉弁方向CRに作用する状態で、駆動源100の駆動力により回転ホルダ60と一緒に回転させられる。
【0056】
一方、デフォルト位置〜全開位置の領域において、駆動源100の駆動力が作用しないとき、回転ギヤ50は、
図11及び
図12に示すように、第1付勢バネ70の付勢力F1が作用して回転ホルダ60と一緒に閉弁方向CRに回転させられ、回転ホルダ60の回転が調整ネジ90により制限されることによりデフォルト位置に停止する。
また、全閉位置〜デフォルト位置の領域において、駆動源100の駆動力が作用しないとき、回転ギヤ50は、
図10及び
図11に示すように、第2付勢バネ80の付勢力F2から第1付勢バネ70の付勢力F1を差し引いた付勢力(F2−F1)が開弁方向ORに作用し、調整ネジ90により制限された回転ホルダ60と係合してデフォルト位置に停止する。
このように、回転ギヤ50に駆動源100の駆動力が作用しなくなると、
図11に示すように、回転ギヤ50すなわちスロットル弁40が自動的にデフォルト位置に位置付けられる。
【0057】
上述のように、デフォルト機構Mにおいては、第1付勢バネ70及び第2付勢バネ80が弁軸30の周りに配置されているため、部品の集約化、装置の小型化を達成できる。
また、第1付勢バネ70と第2付勢バネ80は、弁軸30の軸線S周りにおいて入れ子状に配置されている。
これにより、部品の集約化、弁軸30の軸線S方向における装置の幅狭化及び小型化を達成できる。
さらに、第1付勢バネ70及び第2付勢バネ80は、回転ギヤ50とボディ10の壁部の間において覆われるように配置されているため、他の部品との干渉や異物の噛み込み等が防止され、所定の付勢力を発揮することができる。
【0058】
また、上記スロットル装置によれば、デフォルト機構Mとして、回転ギヤ50、回転ホルダ60、第1付勢バネ70、第2付勢バネ80、ボディ10の規定部としての調整ネジ90を採用するため、デフォルト位置の設定及び調整を容易に行え、部品の集約化、装置の小型化等を達成できる。
【0059】
さらに、デフォルト機構Mは、ボディ10の凹部14に配置され、又、位置センサPSは、凹部14及び凹部14を覆うカバー20に配置されている。
すなわち、デフォルト機構D及び位置センサPSは、ボディ10の一側部に配置されている。これにより、部品の集約化、装置の輪郭の簡素化、装置の小型化等を達成できる。
【0060】
次に、上記スロットル装置を備えたエンジンを搭載した車両の運転について説明する。
先ず、駆動源100が駆動力を及ぼさない非作動時において、回転ギヤ50及び弁軸30は、第1付勢バネ70の付勢力により回転ホルダ60と一緒に閉弁方向CRに回転させられ、
図14に示すように、回転ホルダ60の当接部66が調整ネジ90に当接して、それ以上の回転が制限される。これにより、スロットル弁40は、デフォルト位置に位置決めされている。
【0061】
この停止状態で、エンジンのスイッチが入れられると、エンジンはスムーズに始動し、車両側のアクセル又はスロットル操作に応じて、エンジンがアイドル運転の状態とされるときは、駆動源100が一方向に回転して、スロットル弁40は、
図14に示すデフォルト位置よりも小さくかつ
図13に示す全閉位置よりも大きい開度のアイドル位置に位置付けられる。
このとき、回転ホルダ60は、当接部66が調整ネジ90に当接して回転が制限され、回転ギヤ50は、突起部56が突起部64から離脱して、第2付勢バネ80の付勢力に抗して閉弁方向CRに回転し、アイドル位置に保持される。
【0062】
一方、車両側のアクセル又はスロットル操作に応じて、エンジンが高負荷運転の状態とされるときは、駆動源100が他方向に回転して、スロットル弁40は、アイドル位置からデフォルト位置を経て、全開位置に向けて回転させられる。
このとき、回転ギヤ50が開弁方向ORに回転し、
図14に示すように、デフォルト位置にて突起部56が突起部64に係合し、デフォルト位置〜全開位置の間において、
図15に示すように、回転ギヤ50と回転ホルダ60は、一緒に開弁方向ORに回転する。
【0063】
また、車両側のアクセル又はスロットル操作に応じて、全開位置〜デフォルト位置の間で、エンジンが低負荷運転の状態とされるときは、駆動源100が一方向に回転して、スロットル弁40は、
図15→
図14に示すように、全開位置からデフォルト位置に向けて回転させられる。
このとき、回転ギヤ50と回転ホルダ60は、突起部56と突起部64の係合が維持された状態で一緒に閉弁方向CRに回転する。
【0064】
ところで、デフォルト位置〜全開位置の間の運転状態において、仮に駆動源100が故障して駆動力を及ぼさなくなった場合、
図15→
図14に示すように、回転ギヤ50及び弁軸30は、第1付勢バネ70の付勢力F1が作用して、回転ホルダ60と一緒に閉弁方向CRに回転させられ、回転ホルダ60の当接部66が調整ネジ90に当接して、それ以上の回転が制限される。
これにより、スロットル弁40が、デフォルト位置に停止して位置決めされ、車両の自走が可能な運転状態となり、安全な退避運転を行うことができる。
上記のデフォルト機構Mによれば、特に、デフォルト位置を予め設定された所定位置に高精度に維持できるため、デフォルト位置のバラツキが懸念される従来技術に比べて、より安全性を高めることができる。
【0065】
一方、アイドル位置〜デフォルト位置の間の運転状態において、仮に駆動源100が故障して駆動力を及ぼさなくなった場合、
図13→
図14に示すように、回転ギヤ50及び弁軸30は、第2付勢バネ80の付勢力F2から第1付勢バネ70の付勢力F1を差し引いた付勢力(F2−F1)が作用して、回転ギヤ50及び弁軸30が開弁方向ORに回転させられ、突起部56が突起部64に係合して、回転ギヤ50及び弁軸30のそれ以上の回転が制限される。
これにより、スロットル弁40が、デフォルト位置に停止して位置決めされ、車両の自走が可能な運転状態となり、安全な退避運転を行うことができる。
【0066】
図16ないし
図18は、本発明のスロットル装置に含まれるデフォルト機構の他の実施形態を示すものであり、前述の一実施形態と同一の構成及については、同一の符号を付して説明を省略する。また、デフォルト機構の作用も基本的に前述の一実施形態と同様であるため説明を省略する。
この実施形態に係るデフォルト機構M1は、第1回転体としての回転ギヤ150、第2回転体としての回転ホルダ160、第1付勢バネ170、第2付勢バネ180、規定部としての調整ネジ90を備えている。
【0067】
回転ギヤ150は、樹脂材料等により形成され、弁軸30と一体的に回転すると共に駆動機構Dにより駆動力が及ぼされるものである。
回転ギヤ150は、固定部151、凹部152、凹部153、第1掛止部としての掛止部154、第2掛止部としての掛止部155、第1係合部としての突起部156、伝達部としての歯列157、当接部158、位置センサPSのロータ部PS2を接合する接合部159を備えている。
【0068】
ここで、固定部151は前述の固定部51と同様であり、歯列157は前述の歯列57と同様であり、当接部158は前述の当接部58と同様であり、接合部159は前述の接合部59と同様である。
【0069】
凹部152は、歯列157に対して軸線S方向に凹むように形成され、軸線Sを中心とする円環状で回転ホルダ160の円筒部162を受け入れる。
凹部153は、歯列157に対して軸線S方向に凹むように形成され、軸線Sを中心とする円環状でボディ10側に対向するように形成され、第2付勢バネ180のコイル部181の一部を受け入れる。
【0070】
このように、凹部152及び凹部153を設けたことにより、第1付勢バネ170のコイル部171を収容する円筒部162が凹部152に受け入れられ、第2付勢バネ180のコイル部181が凹部153に受け入れられる。したがって、第1付勢バネ170及び第2付勢バネ180と回転ギヤ150を、弁軸30の軸線S方向においてオーバーラップさせて配置することができる。それ故に、弁軸30の軸線S方向における装置の幅狭化を達成できる。
【0071】
掛止部154は、第1付勢バネ170の一端部172を掛止するべく、凹部152を画定する外周壁152aの一部を切り欠いて形成されている。
掛止部155は、第2付勢バネ180の一端部182を掛止するべく、軸線S方向に突出して形成されている。
【0072】
突起部156は、回転ホルダ160の第2係合部としての突起部164と軸線S回りにおいて離脱可能に係合するべく、軸線S方向に伸長するように形成されている。
そして、突起部156は、回転ギヤ150が開弁方向ORに回転するとき回転ホルダ160の突起部164に係合し得ると共に回転ギヤ150が閉弁方向CRに回転するとき回転ホルダ160の突起部164から離脱し得るようになっている。
【0073】
回転ホルダ160は、樹脂材料等により形成され、弁軸30と相対的に回転し得ると共に閉弁方向CRへの回転時に規定部としての調整ネジ90に係合して閉弁方向CRへのそれ以上の回転が制限されるものである。
回転ホルダ160は、円筒孔161、円筒部162の内側に画定される環状溝162a、第4掛止部としての掛止部163、第2係合部としての突起部164、切り欠き165、規定部としての調整ネジ90に当接する当接部166を備えている。
【0074】
円筒孔161には、弁軸30が回転自在に嵌め込まれる。
すなわち、回転ホルダ160は、円筒孔161に弁軸30が通されることにより弁軸30に対して相対的に回転自在に支持される。
円筒部162は、回転ギヤ150の凹部152に受け入れられるように形成され、その内側でかつ円筒孔161の周りにおいて環状溝162aを画定している。
環状溝162aは、第1付勢バネ170のコイル部171の一部を受け入れるように形成されている。
掛止部163は、第2付勢バネ180の他端部183を掛止するべく、軸線S方向に突出して形成されている。
【0075】
突起部164は、回転ギヤ150の突起部156と軸線S回りにおいて離脱可能に係合するべく、軸線S方向に伸長するように形成されている。
そして、突起部164は、回転ホルダ160が閉弁方向CRに回転するとき回転ギヤ150の突起部156に係合し得ると共に回転ホルダ160が開弁方向ORに回転するとき回転ギヤ150の突起部156から離脱し得るようになっている。
切り欠き165は、第1付勢バネ170の一端部172を通すと共に軸線S回りの所定範囲で移動自在に受け入れ、回転ギヤ150の掛止部154に導くように形成されている。
当接部166は、前述の当接部66と同様である。
【0076】
すなわち、回転ホルダ160は、弁軸30に回転自在に支持されると共にボディ10の収容凹部14cに収容され、環状溝162aに第1付勢バネ170を収容して保持するようになっている。
これによれば、第1付勢バネ170のコイル部171が回転ホルダ160の環状溝162aに受け入れられるため、弁軸30の軸線S方向において第1付勢バネ70と回転ホルダ160をオーバーラップさせて配置することができ、弁軸30の軸線S方向における幅狭化を達成できる。
【0077】
第1付勢バネ170は、回転ギヤ150とボディ10の間に介在する小径の捩りコイルバネであり、コイル部171、一端部172、他端部173を備えている。
そして、第1付勢バネ170は、弁軸30の周りでかつ回転ホルダ160の円筒部162の周りに配置された第2付勢バネ180の内側に配置され、コイル部171が回転ホルダ160の環状溝162aに収容された状態で、一端部172が回転ギヤ150の掛止部154に掛止され、他端部173がボディ10の掛止部14fに掛止される。
これにより、第1付勢バネ170は、ボディ10に対して回転ギヤ150及び弁軸30を閉弁方向CRに回転付勢する。
【0078】
第2付勢バネ180は、回転ギヤ150と回転ホルダ160の間に介在する大径の捩りコイルバネであり、コイル部181、一端部182、他端部183を備えている。
そして、第2付勢バネ180は、コイル部181が弁軸30の周りでかつ回転ホルダ160の円筒部162の周りに配置され、一端部182が回転ギヤ150の掛止部155に掛止され、他端部183が回転ホルダ160の掛止部163に掛止される。
【0079】
これにより、第2付勢バネ180は、回転ギヤ150を開弁方向ORにかつ回転ホルダ160を閉弁方向CRにそれぞれ引き寄せて、回転ギヤ150の突起部156と回転ホルダ160の突起部164を係合させるように回転付勢する。
また、第2付勢バネ180は、駆動源100の駆動力が及ぼされない非駆動時において、突起部156と突起部164の係合を維持するように回転付勢力を及ぼす。
【0080】
上記第1付勢バネ170及び第2付勢バネ180によれば、第1付勢バネ170により回転ギヤ150が閉弁方向CRに回転付勢されるため、回転ギヤ150と係合して一緒に回転する回転ホルダ160は、閉弁方向CRに回転してその当接部166がボディ10の調整ネジ90に当接するように回転付勢される。
このように、当接部166が調整ネジ90に当接することで、スロットル弁40がデフォルト位置に位置決めされる。
【0081】
上記デフォルト機構M1を備えたスロットル装置によれば、軸線S周りにおいて、第1付勢バネ170が第2付勢バネ180の内側に入れ子状に配置されている。
したがって、軸線S方向において部品の集約化及び装置の小型化等を達成することができる。また、前述実施形態と同様に、デフォルト位置の設定及び調整を容易に行うことができ、部品の集約化、装置の小型化を達成することができる。
さらに、このスロットル装置を備えたエンジンを搭載した車両によれば、前述と同様に車両の自走が可能な運転状態となり、安全な退避運転を行うことができる。
また、前述同様に、デフォルト位置を予め設定された所定位置に高精度に維持できるため、デフォルト位置のバラツキが懸念される従来技術に比べて、より安全性を高めることができる。
【0082】
図19ないし
図21は、本発明のスロットル装置に含まれるデフォルト機構のさらに他の実施形態を示すものであり、前述の一実施形態と同一の構成及については、同一の符号を付して説明を省略する。また、デフォルト機構の作用も基本的に前述の一実施形態と同様であるため説明を省略する。
この実施形態に係るデフォルト機構M2は、第1回転体としての回転ギヤ250、第2回転体としての回転ホルダ260、第1付勢バネ270、第2付勢バネ280、規定部としての調整ネジ90を備えている。
【0083】
回転ギヤ250は、樹脂材料等により形成され、弁軸30と一体的に回転すると共に駆動機構Dにより駆動力が及ぼされるものである。
回転ギヤ250は、固定部251、凹部252、凹部253、第1掛止部としての掛止部254、第2掛止部としての掛止部255、第1係合部としての突起部256、伝達部としての歯列257、当接部258、位置センサPSのロータ部PS2を接合する接合部259を備えている。
【0084】
ここで、固定部251は前述の固定部51と同様であり、歯列257は前述の歯列57と同様であり、当接部258は前述の当接部58と同様であり、接合部259は前述の接合部59と同様である。
【0085】
凹部252は、歯列257に対して軸線S方向に凹むように形成され、軸線Sを中心とする円環状で回転ホルダ260の円筒部262を受け入れる。
凹部253は、歯列257に対して軸線S方向に凹むように形成され、軸線Sを中心とする円環状でボディ10側に対向するように形成され、第2付勢バネ280のコイル部281の一部を受け入れる。
【0086】
このように、凹部252及び凹部253を設けたことにより、回転ホルダ260の円筒部262が凹部252に受け入れられ、第2付勢バネ280のコイル部281が凹部253に受け入れられる。したがって、回転ホルダ260及び第2付勢バネ280と回転ギヤ250を、弁軸30の軸線S方向において近接させて又はオーバーラップさせて配置することができる。それ故に、弁軸30の軸線S方向における装置の幅狭化を達成できる。
【0087】
掛止部254は、第1付勢バネ270の一端部272を掛止するべく、軸線S方向に突出して形成されている。
掛止部255は、第2付勢バネ280の一端部282を掛止するべく、軸線S方向に突出して形成されている。
【0088】
突起部256は、回転ホルダ260の第2係合部としての突起部264と軸線S回りにおいて離脱可能に係合するべく、掛止部254と同様に軸線S方向に伸長するように形成されている。
そして、突起部256は、回転ギヤ250が開弁方向ORに回転するとき回転ホルダ260の突起部264に係合し得ると共に回転ギヤ250が閉弁方向CRに回転するとき回転ホルダ260の突起部264から離脱し得るようになっている。
【0089】
回転ホルダ260は、樹脂材料等により形成され、弁軸30と相対的に回転し得ると共に閉弁方向CRへの回転時に規定部としての調整ネジ90に係合して閉弁方向CRへのそれ以上の回転が制限されるものである。
回転ホルダ260は、円筒孔261、円筒部262、第4掛止部としての掛止部263、第2係合部としての突起部264、円筒部265、規定部としての調整ネジ90に当接する当接部266を備えている。
【0090】
円筒孔261には、弁軸30が回転自在に嵌め込まれる。
すなわち、回転ホルダ260は、円筒孔261に弁軸30が通されることにより弁軸30に対して相対的に回転自在に支持される。
円筒部262は、回転ギヤ250の凹部252に受け入れられる。
掛止部263は、第2付勢バネ280の他端部283を掛止するべく、軸線S方向に突出して形成されている。
【0091】
突起部264は、回転ギヤ250の突起部256と軸線S回りにおいて離脱可能に係合するべく、軸線S方向に伸長するように形成されている。
そして、突起部264は、回転ホルダ260が閉弁方向CRに回転するとき回転ギヤ250の突起部256に係合し得ると共に回転ホルダ260が開弁方向ORに回転するとき回転ギヤ250の突起部256から離脱し得るようになっている。
円筒部265は、その周りにおいて第1付勢バネ270のコイル部271が配置され、その端面がボディ10の収容凹部14cに臨むように形成されている。
当接部266は、前述の当接部66と同様である。
【0092】
すなわち、回転ホルダ260は、弁軸30に回転自在に支持されると共に、第1付勢バネ270を挟んでボディ10の収容凹部14cに収容されるようになっている。
これによれば、弁軸30の軸線S方向において第1付勢バネ270と回転ホルダ260を近接させて又はオーバーラップさせて配置することができ、弁軸30の軸線S方向における幅狭化を達成できる。
【0093】
第1付勢バネ270は、回転ギヤ250とボディ10の間に介在する所定径の捩りコイルバネであり、コイル部271、一端部272、他端部273を備えている。
そして、第1付勢バネ270は、コイル部271が弁軸30の周りでかつ回転ホルダ260の円筒部265の周りに配置され、一端部272が回転ギヤ250の掛止部254に掛止され、他端部273がボディ10の掛止部14fに掛止される。
これにより、第1付勢バネ270は、ボディ10に対して回転ギヤ250及び弁軸30を閉弁方向CRに回転付勢する。
【0094】
第2付勢バネ280は、回転ギヤ250と回転ホルダ260の間に介在すると共に第1付勢バネ270と同一径の捩りコイルバネであり、コイル部281、一端部282、他端部283を備えている。
そして、第2付勢バネ280は、コイル部281が弁軸30の周りでかつ回転ホルダ260の円筒部262の周りに配置され、一端部282が回転ギヤ250の掛止部255に掛止され、他端部283が回転ホルダ260の掛止部263に掛止される。
【0095】
これにより、第2付勢バネ280は、回転ギヤ250を開弁方向ORにかつ回転ホルダ260を閉弁方向CRにそれぞれ引き寄せて、回転ギヤ250の突起部256と回転ホルダ260の突起部264を係合させるように回転付勢する。
また、第2付勢バネ280は、駆動源100の駆動力が及ぼされない非駆動時において、突起部256と突起部264の係合を維持するように回転付勢力を及ぼす。
【0096】
上記第1付勢バネ270及び第2付勢バネ280によれば、第1付勢バネ270により回転ギヤ250が閉弁方向CRに回転付勢されるため、回転ギヤ250と係合して一緒に回転する回転ホルダ260は、閉弁方向CRに回転してその当接部266がボディ10の調整ネジ90に当接するように回転付勢される。
このように、当接部266が調整ネジ90に当接することで、スロットル弁40がデフォルト位置に位置決めされる。
【0097】
上記デフォルト機構M2を備えたスロットル装置によれば、第1付勢バネ170と第2付勢バネ180が、同一径でかつ軸線S方向において隣接して配置されている。
したがって、軸線Sに垂直な径方向の寸法を抑制して装置の小型化等を達成することができる。また、前述実施形態と同様に、デフォルト位置の設定及び調整を容易に行うことができ、部品の集約化、装置の小型化を達成することができる。
さらに、このスロットル装置を備えたエンジンを搭載した車両によれば、前述と同様に車両の自走が可能な運転状態となり、安全な退避運転を行うことができる。
また、前述同様に、デフォルト位置を予め設定された所定位置に高精度に維持できるため、デフォルト位置のバラツキが懸念される従来技術に比べて、より安全性を高めることができる。
【0098】
上記実施形態においては、デフォルト機構M,M1,M2を構成する第1付勢バネ及び第2付勢バネとして、捩りコイルバネを示したが、これに限定されるものではなく、所望の付勢力を発揮するものであればその他の付勢バネを適用してもよい。
また、第1回転体及び第2回転体として、回転ギヤ50,150,250及び回転ホルダ60,160,260を示したが、これに限定されるものではなく、その他の形態をなす回転体を採用してもよい。
また、車両が自走可能な開度位置をデフォルト位置と称し、デフォルト位置に位置付ける機構をデフォルト機構と称したが、この呼称に限定されるものではなく、デフォルト位置に相当する他の呼称としてリンプホーム位置やリンプホーム開度が使用され、デフォルト機構に相当する他の呼称としてリンプホーム機構が使用されてもよい。
【0099】
上記実施形態においては、駆動機構として、駆動源100、駆動歯車110、二段歯車120を含む駆動機構Dを示したが、これに限定されるものではなく、その他の駆動機構を採用してもよい。
また、位置センサとして、非接触式の位置センサPSを示したが、これに限定されるものではなく、接触式の位置センサでもよく、又、磁気式に限らず、その他の検出方式に基づく位置センサを採用してもよい。
【0100】
以上述べたように、本発明のスロットル装置は、デフォルト位置の設定及び調整を容易に行うことができ、部品の集約化、装置の小型化を達成することができるため、二輪車や自動車等に搭載されるエンジンのスロットル装置として適用できるのは勿論のこと、その他のエンジンを搭載する車両においても有用である。