(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る締結システムについて、
図1〜
図8を参照して説明する。
本実施形態の締結システム1は、複数の部材をファスナーサイズの異なる複数のファスナーで締結するためのものである。
【0017】
(構成)
図1に示すように、締結システム1は、集中ポンプユニット10と、複数の加圧部20と、供給系統30と、リターン系統40と、を備える。締結システム1は、複数の部材である複数の複合材50を締結する。
【0018】
集中ポンプユニット10は、加圧ポンプ11と、加圧ポンプ11’と、リターンポート12と、を備える。
加圧ポンプ11及び加圧ポンプ11’は、供給系統30に接続されている。加圧ポンプ11及び加圧ポンプ11’は、流体として油を設定された所定圧力Pdに加圧することができる。加圧ポンプ11及び加圧ポンプ11’は、油を所定圧力Pdで供給系統30に供給することができる。
集中ポンプユニット10は、供給圧ポンプモータ2個仕様である。リターン系統40は、無負荷にて集中ポンプユニット10に戻る。また、加圧ポンプ11と加圧ポンプ11’とは、それぞれ切替えバルブ33にて、
図1に示すように、組立冶具#1及び組立冶具#2の双方への圧力供給も可能である。これは、一方がトラブルにて動作不可となった場合の、他方の生産を止めない工夫である。
リターンポート12は、リターン系統40に接続されており、集中ポンプユニット10に回収することができる。
以下、加圧ポンプ11及び加圧ポンプ11’のうち、加圧ポンプ11について説明するが、加圧ポンプ11’についても同様である。
【0019】
供給系統30は、基端31と複数の分岐端32とを有する。
基端31は、加圧ポンプ11に接続されている。分岐端32は、対応する各加圧部20にそれぞれ接続されている。
供給系統30は、XY平面に広がって延びている。供給系統30は、基端31から各分岐端32へ向かって分岐している。加圧ポンプ11は、所定圧力Pdに加圧した油を、基端31から各分岐端32に亘って、供給可能に構成されている。
【0020】
リターン系統40は、基端41と複数の分岐端42とを有する。
基端41は、リターンポート12に接続されている。分岐端42は、対応する各加圧部20にそれぞれ接続されている。
リターン系統40は、XY平面に広がって延びている。リターン系統40は、基端41から各分岐端42へ向かって分岐している。
【0021】
複数の加圧部20は、各ファスナー60を加圧可能な位置にそれぞれ配置される。
図2に示すように、各加圧部20は、受圧面21を有する駆動部22と、筐体23と、把持部22bと、をそれぞれ有する。各受圧面21は、それぞれ受圧面積Srを有する。各受圧面21は、対応するファスナーサイズに応じてそれぞれ個別の受圧面積Srを有する。
【0022】
把持部22bは、下方向Ddに延びる凹部22aを有する。把持部22bは、凹部22aに嵌められたピン61の先端61tを掴み、駆動部22の駆動により、ピン61の先端61tを下方向Ddに引っ張る。
把持部22bは、割ピン、又は凹部22aをねじ形状とすることで、ピン61の先端61tを掴むことができる。
本実施形態では、
図2に示すように、把持部22bは、ピンクランプ22cを有する。ピンクランプ22cは、クランプ爪となっており、凹部22aに嵌められたピン61の先端61tを掴むことができる。
【0023】
図2に示すように、複合材50は、第一複合材51と第二複合材52とを有する。本実施形態において、複合材50は、航空機の翼部や本体を構成する部材である。
第一複合材51は、板形状を有する。第一複合材51は、一対の板面を貫通する第一孔51hを有する。
第二複合材52は、板形状を有する。第二複合材52は、一対の板面を貫通する第二孔52hを有する。
【0024】
ファスナー60は、ピン61とカラー62とを有する。
ピン61は、基部61bから先端61tに向かう軸方向に延びる形状を有している。
カラー62は、ピン61に嵌められる。ピンクランプ22cが、ピン61をクランプし、受圧面21に圧力が加えられ、駆動部22が動作するに連れ、その反力で筐体23(後述の当接面23a)が、ピン61に嵌まっているカラー62を、第二複合材52へ密着するように絞り、カラー62をピン61に加締める。
【0025】
第一複合材51と第二複合材52とを結合する場合、ファスナー60が、第一孔51h及び第二孔52hに亘って貫通するように、第一複合材51側からピン61、第二複合材52側からカラー62を嵌める。これにより、ピン61とカラー62とで、第一複合材51と第二複合材52とを両側から挟みつつ、ピン61をカラー62に嵌めることによって、ファスナー60は、第一複合材51と第二複合材52とを締結する。
このとき、ピン61の基部61bは拡径しているので、第一複合材51の上から下方向Ddに向かって、ピン61をカラー62に嵌めると、ピン61は、第一複合材51を上から押さえる。他方、カラー62は、第二複合材52を下から上方向Duに向かって、押さえつける。
さらに、カラー62に対し、カラー62の基部62bから突出しているピン61の先端61tを下方向Ddに向かって引っ張ると、第一孔51h及び第二孔52hとピン61との隙間にカラー62が変形しながら食い込む。これにより、ファスナー60は、第一複合材51と第二複合材52とを締結することができる。
ピン61は、先端61tに破断部を有しており、第一複合材51と第二複合材52とを締結するのに必要な推力以上となると、ピン61の先端61tがちぎれるように構成されている。
【0026】
加圧部20の構成について詳しく説明する。
加圧部20は、スイッチ24と、供給バルブ25と、リターンバルブ26と、をさらに備える。
供給バルブ25には、供給系統30の分岐端32が接続されている。リターンバルブ26には、リターン系統40の分岐端42が接続されている。
【0027】
スイッチ24は、ONとOFFとを切り替えることができる。
スイッチ24をONにすると、供給バルブ25とリターンバルブ26とが開放される。供給バルブ25が開放されると、所定圧力Pdに加圧されている油が分岐端32から加圧部20に供給され、受圧面21に油が所定圧力Pdで供給される。リターンバルブ26が開放されると、受圧面21への油の供給に伴い加圧部20から排出される油を、基端41へ排出する。
スイッチ24をOFFにすると、供給バルブ25とリターンバルブ26とが閉鎖される。
【0028】
筐体23は、当接面23aを有する本体部23bを備える。
本体部23bは、内部に駆動部22を収容している。
当接面23aは、本体部23bの上端に形成される端面である。当接面23aは、カラー62の基部62bに当接される。
【0029】
加圧部20の駆動部22及び筐体23の構成について、
図3を参照してさらに詳しく説明する。
駆動部22は、第一面22fと、第二面22sと、をさらに有する。第一面22f及び第二面22sは、筐体23内に形成されている。
第一面22fは、加圧部20の受圧面21として機能する。したがって、第一面22fは、上方向Duを向く面であり、受圧面積Srを有する面である。
第二面22sは、第一面22fの裏面を形成する面であって、下方向Ddを向いている。
【0030】
筐体23は、第一開口部23fと、第二開口部23sと、をさらに有する。
第一開口部23fは、本体部23b内部に設けられた駆動部22の第一面22fに向かって開口している。
第一開口部23fは、供給系統30の分岐端32と接続されている。このため、第一開口部23fには、所定圧力Pdで油が注入される。
【0031】
第一開口部23fと駆動部22の第一面22fとの間において、加圧部20は密封構造となっている。このため、第一開口部23fから油を加圧注入すると、油が受圧面21として機能する第一面22fを押すことによって、駆動部22は、
図4に示すように、下方向Ddに駆動する。
このとき、油を所定圧力Pdで注入すると、駆動部22は、受圧面21(第一面22f)の面積と所定圧力Pdとの積に相当する推力で下方向Ddに駆動する。
【0032】
第二開口部23sは、本体部23b内部に設けられた駆動部22の第二面22sに向かって開口している。第二開口部23sと駆動部22の第二面22sとの間において、加圧部20は密封構造となっている。
【0033】
(ファスナーサイズ、受圧面積及び推力の関係)
本実施形態の場合、
図5に示すように、各受圧面21は、対応する各ファスナー60のファスナーサイズに応じて、それぞれ個別の受圧面積Srを有する。
ここで「個別」とは、各ファスナーサイズのファスナー60に対して、固有の受圧面積Srが設定されることをいい、少なくとも同じファスナーサイズに対して、同じ受圧面積Srが設定されることをいう。
図5に示す場合も、各ファスナーサイズのファスナー60に対して、固有の受圧面積が設定されている。
この場合、固有の受圧面積Srが設定されればよく、「ファスナーサイズ=A」と「ファスナーサイズ=B」とに対し、同じ受圧面積(=5.003cm
2)が設定されているように、異なるファスナーサイズのファスナー60に対して、同じ受圧面積Srが設定されてもよい。もちろん、異なる受圧面積が設定されてもよい。
なお、
図5においてファスナーサイズは、ファスナーの外径を示す。ファスナーサイズは、小さいものから順に、A、B、C、D、Eとなっている。
【0034】
各ファスナーサイズのファスナー60に対して、固有の受圧面積Srが設定されることより、
図5に示すように同じ所定圧力Pdを加圧するだけで、各受圧面積を有する受圧面21は、下方向Ddに個別の推力をそれぞれ受けることができる。
【0035】
さらに本実施形態の場合、上記のとおり、各加圧部20の中に、対応するファスナーサイズに応じて受圧面21の受圧面積Srが異なっている加圧部20がある。
図5に示す場合、例えば、「ファスナーサイズ=A」(又は「ファスナーサイズ=B」)であるファスナー60に対して、「受圧面積=5.003cm
2」である受圧面21を有する加圧部20が配置されており、「ファスナーサイズ=C」を有するファスナー60に対しては、「受圧面積=8.042cm
2」の受圧面21を有する加圧部20が配置されている。
【0036】
図5に示すように、本実施形態の締結システム1のポンプユニットは、各加圧部20のポンプユニットが統一された「統一圧力ポンプユニット」を採用している。このため、締結システム1のポンプユニットの台数は、集中ポンプユニット10の1台であり、ポンプユニットを固定したまま、締結作業を行うことができる。
比較例として、締結システムが各圧力部で個別のポンプユニットを有する「個別ポンプユニット」を採用している場合、
図6に示す台数のポンプユニットを作業者が持ち回り、締結作業を行う必要がある。
【0037】
本実施形態において、加圧部20は、
図2に示すようにストレートタイプのプルガンであるが、変形例として、
図7に示す加圧部20’のように、加圧部は、異なるタイプであるオフセットタイプのプルガンであってもよい。
【0038】
(締結方法)
締結システム1を用いた締結方法について
図8に沿って説明する。
【0039】
まず、締結システム1は、加圧ポンプ11で油を所定圧力Pdに加圧する(ST10:加圧するステップ)。すると、加圧された油は、供給系統30の基端31に供給される。本実施形態の場合、供給系統30の基端31に油が供給されると、供給系統30の基端31から各分岐端32に亘って油が所定圧力Pdで供給される。
【0040】
続いて、基端31から各受圧面21に亘って、油を所定圧力Pdで供給し、各ファスナー60で複数の複合材50を締結する(ST20:締結するステップ)。本実施形態の場合、各加圧部20において作業者がスイッチ24をONにすることによって、供給バルブ25が開放される。これにより、基端31から各受圧面21に亘って、各分岐端32に供給されている油が所定圧力Pdで供給される。
所定圧力Pdで受圧面21へ供給された油は、受圧面21を下方向Ddへ所定圧力Pdで押す。
受圧面21が所定圧力Pdで押されると、駆動部22は、受圧面21の面積と所定圧力Pdとの積に相当する推力で下方向Ddに駆動する。
図5に示すように受圧面積Srが異なると駆動部22の推力が異なるため、駆動部22は、ファスナー60のファスナーサイズに応じた推力で下方向Ddに駆動し、ピン61の先端61tを下方向Ddに引っ張る。このとき、カラー62は、筐体23の当接面23aに当接し、下方向Ddには動かない。
【0041】
カラー62に対し、ピン61の先端61tが下方向Ddに向かって引っ張られると、ファスナー60は、第一複合材51と第二複合材52とを締結する。
第一複合材51と第二複合材52とが締結されると、ピン61の先端61tは、加圧部20によってさらなる推力で引っ張られ、引きちぎられる。
【0042】
なお、作業者がスイッチ24をONにすると、リターンバルブ26も開放される。第二面22sから第二開口部23sに亘って油が満たされている場合、リターンバルブ26も開放されると、駆動部22の下方向Ddへの駆動により、第二開口部23sからリターン系統40を介して、リターンポート12へ油が排出される。
【0043】
複合材50の締結後、作業者は、スイッチ24をOFFにし、作業を終了する。
【0044】
加圧ポンプ11は、供給系統30内を所定圧力Pdに一旦加圧した後は停止させてもよい。その場合、締結作業の中で供給系統30内の圧力が設定された所定圧力Pdより低下すると再び作動し、再び供給系統30内の圧力を所定圧力Pdに加圧する。
図5に示すように、本実施形態において、加圧ポンプ11は、所定圧力Pdを459kg/cm
2(45・0MPa)に設定している。
【0045】
(作用及び効果)
本実施形態の締結システム1は、各ファスナー60を締結可能な位置にそれぞれ配置されている複数の加圧部20の受圧面21に対し、油を所定圧力Pdで供給できる。さらに、各受圧面21は、対応するファスナーサイズに応じてそれぞれ個別の受圧面積Srを有し、供給系統30の基端31から各受圧面に亘って、油を所定圧力Pdで供給している。
このため、複数の部材をファスナーサイズの異なる複数のファスナー60で締結する場合においても、複数の加圧部20と加圧ポンプ11とをそれぞれ固定配置したまま複数のファスナー60で締結することができる。
したがって、各ファスナー60を締結可能な位置に加圧部20と加圧ポンプ11とを移動させる作業が軽減され、締結作業の負担を軽減することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、締結システム1は、加圧ポンプ11から各加圧部20の受圧面21に亘って、油を一律に所定圧力Pdで供給するものでありながら、各加圧部20の駆動部22を個別の推力で駆動することができる。
したがって、複数の部材をファスナーサイズの異なる複数のファスナー60で締結する場合においても、供給バルブ25で開放か、閉鎖かを選択するだけで、各加圧部20に供給する油の圧力を個別に調整する必要がなく、締結作業の負担を軽減することができる。
【0047】
<変形例>
上記実施形態では、複合材50の締結後(ST20の後)、作業を終了しているが、変形例として、供給系統30内の圧力が所定圧力Pdに維持されているなら、続けて他のファスナー60を締結してもよい。
【0048】
上記実施形態では、加圧ポンプ11は、所定圧力Pdを459kg/cm
2(45・0MPa)に設定している。
変形例として、加圧ポンプ11は、所定圧力Pdを、設定された下限値以上に維持するものであってもよい。その場合、加圧ポンプ11は、所定圧力Pdが設定された下限値より小さくなると加圧する。
他の変形例として、設定された下限値以上に維持することに加え、供給系統30内の圧力を一定範囲の圧力に維持するものであってもよい。例えば、加圧ポンプ11は、供給系統30内の圧力が所定圧力Pdを421〜459kg/cm
2(41.3〜45・0MPa)の範囲内となるように維持するものであってもよい。この場合、加圧ポンプ11は、供給系統30内の圧力を459kg/cm
2に一旦加圧した後は停止する。供給系統30内の所定圧力Pdが下限値である421kg/cm
2より小さくなると、加圧ポンプ11は再び作動し、供給系統30内の所定圧力Pdが再び459kg/cm
2となるまで加圧する。
【0049】
上記実施形態では、各受圧面21は、対応するファスナー60のファスナーサイズに応じてそれぞれ個別の受圧面積Srを有している。変形例として、各ファスナーサイズに応じて、加圧部20がそれぞれ異なる受圧面積を有してもよい。
【0050】
上記実施形態では、
図5に示すように、各受圧面21は、対応するファスナー60のファスナーサイズが大きい程、受圧面積Srが大きいものだけではなく、小さいものもある。変形例として、各受圧面21は、対応するファスナー60のファスナーサイズが大きい程、受圧面積Srが大きくなるように設定されてもよい。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。