特許第6963533号(P6963533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963533
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】車両用電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20211028BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20211028BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20211028BHJP
   H01R 13/52 20060101ALN20211028BHJP
【FI】
   F04B39/00 106A
   F04B39/00 104Z
   F04B51/00
   F04C29/00 T
   !H01R13/52 301A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-99099(P2018-99099)
(22)【出願日】2018年5月23日
(65)【公開番号】特開2019-203448(P2019-203448A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2021年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】515098886
【氏名又は名称】サンデン・オートモーティブコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】片桐 一重
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160077(JP,A)
【文献】 特開平8−136391(JP,A)
【文献】 特開2013−253587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 51/00
F04C 29/00
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、内蔵した電動モータによって駆動される圧縮機と、
前記圧縮機に設けられ、前記電動モータの駆動回路が収容される収容部と、
前記収容部の外壁に設けられ、車両側配線の先端に形成された車両側コネクタが差し込まれたときに、前記車両側配線と前記駆動回路とを電気接続する圧縮機側コネクタと、を備え、
前記圧縮機側コネクタは、前記収容部における気密性の検査を行なうために、前記収容部の内側と外側とを連通した連通路が形成され、前記車両側コネクタが差し込まれたときに前記連通路が封止されることを特徴とする車両用電動圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮機側コネクタは、
前記車両側コネクタの差し込み方向に延び、内周面における周方向の全てが前記車両側コネクタの外周面に密着可能な筒部と、
前記筒部における前記差し込み方向の奥側を閉塞した端板と、を備え、
前記連通路は、前記差し込み方向に沿って前記端板を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の車両用電動圧縮機。
【請求項3】
前記収容部は、外壁に開口部が形成され、
前記筒部は、前記開口部に対してシール部材を介して嵌め合わされていることを特徴とする請求項2に記載の車両用電動圧縮機。
【請求項4】
前記圧縮機側コネクタは、低電圧回路用であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される圧縮機のうち、インバータを内蔵した車両用電動圧縮機では、水分や異物の混入を防ぐ目的でインバータ室内の気密性が検査される。特許文献1では、気密性の検査を行なうために、ハウジングに専用の検査ポートを形成し、この検査ポートを開閉するバルブを設けることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5558537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハウジングに専用の検査ポートを形成し、さらにバルブを追加したり、新たな封止手段を追加したりすることは、部品点数や作業工程の増加を招き、品質にも影響を与える可能性がある。
本発明の課題は、部品点数や作業工程の増加を抑制し、品質の向上を図りつつ、気密性の検査を行なえるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る車両用電動圧縮機は、
車両に搭載され、内蔵した電動モータによって駆動される圧縮機と、
圧縮機に設けられ、電動モータの駆動回路が収容される収容部と、
収容部の外壁に設けられ、車両側配線の先端に形成された車両側コネクタが差し込まれたときに、車両側配線と駆動回路とを電気接続する圧縮機側コネクタと、を備え、
圧縮機側コネクタは、収容部における気密性の検査を行なうために、収容部の内側と外側とを連通した連通路が形成され、車両側コネクタが差し込まれたときに連通路が封止される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両側コネクタが差し込まれると連通路が封止される。すなわち、連通路の封止が、元々、コネクタに求められる耐気圧性の規格によって実現されるため、検査用のバルブを追加したり、新たな封止手段を追加したりする必要がない。したがって、部品点数や作業工程の増加を抑制し、品質の向上を図りつつ、気密性の検査を行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】圧縮機の外観図である。
図2】インバータ収容部の断面図である。
図3】圧縮機側のコネクタを示す。
図4】気密検査の概要を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《一実施形態》
《構成》
図1は、圧縮機の外観図である。
圧縮機11(車両用電動圧縮機)は、例えばカーエアコンの冷媒回路で用いられる電動型のスクロール圧縮機である。すなわち、車両に搭載され、内蔵した電動モータによって駆動されるときに、冷媒を吸入し、圧縮してから排出する。
軸方向の前側には、インバータ収容部12が形成されており、フロントカバー13によって封止されている。インバータ収容部12の外壁には、低電圧回路のコネクタ14(圧縮機側コネクタ)と、高電圧回路のコネクタ15と、が設けられている。
【0010】
図2は、インバータ収容部の断面図である。
インバータ収容部12の内部には、電動モータの駆動回路であるインバータ16が収容されている。
図中の(a)は、低電圧回路の車両側配線31を接続する前の状態を示す。コネクタ14は、差し込み方向に延びた筒部21と、筒部21における差し込み方向の奥側を閉塞した端板22と、を備える。端板22には、インバータ収容部12の気密性の検査を行なうために、インバータ収容部12の内側と外側とを連通する連通路23が形成されている。連通路23は、端子に接触しない部位に配置されている。連通路23は、差し込み方向に沿って端板22を貫通している。連通路23の断面形状は例えば円形であり、直径は0.3mm程度である。連通路23のサイズについては、気密検査の際に必要とされる流量に応じて設定される。
【0011】
インバータ収容部12の外壁には、差し込み方向に沿って貫通し、コネクタ14が嵌り合う開口部24が形成されている。コネクタ14の筒部21は、外周側がOリング25(シール部材)を介して開口部24に嵌め合わされている。
図中の(b)は、低電圧回路の車両側配線31を接続した後の状態を示す。車両側配線31の先端には、コネクタ32(車両側コネクタ)が形成されている。車両側のコネクタ32が圧縮機側のコネクタ14に差し込まれたときに、車両側配線31とインバータ16とが電気接続される。また、筒部21の内周面における周方向の全てが、車両側のコネクタ32の外周面に密着することにより、連通路23が封止される。
図3は、圧縮機側のコネクタを示す。
図中の(a)は斜視図であり、(b)は側面図であり、(c)は差し込み方向から見た平面図である。
【0012】
《作用》
次に、一実施形態の主要な作用効果について説明する。
インバータ16を内蔵した圧縮機11では、水分や異物の混入を防ぐ目的でインバータ収容部12内の気密性を検査する必要がある。この検査を行なうために、ハウジングに専用の検査ポートを形成し、さらにバルブを設けたり、新たな封止手段を設けたりすることが考えられる。しかしながら、部品点数や作業工程の増加を招き、品質にも影響を与える可能性がある。さらに、検査後に検査ポートの穴埋めを確実に行ない、シール性を保証する必要もある。
そこで本実施形態では、圧縮機側のコネクタ14に、インバータ収容部12の内側と外側とを連通した連通路23を形成し、これを気密性の検査(以下、気密検査と称する)で利用する。
【0013】
ここで、気密検査について説明する。
図4は、気密検査の概要を示した図である。
気密検査では、コネクタ14に検査用ホース35の一端側を接続することで、連通路23を介してインバータ収容部12の内部に検査用ホース35を連通させる。圧縮機11はチャンバ36の内側に配置され、チャンバ36を密閉した状態で、検査用ホース35の他端側をチャンバ36の外側へ引き出す。そして、チャンバ36内を予め定めた圧力まで加圧する。このとき、検査用ホース35の空気流量を検出することで、インバータ収容部12の気密性が検査される。すなわち、検査用ホース35の空気流量が予め定めた閾値未満であるときに、正常であると判断し、閾値以上であるときには異常があると判断する。
【0014】
気密性が保証された圧縮機11は出荷され、車両に搭載される。そして、圧縮機側のコネクタ14に、車両側のコネクタ32が差し込まれ、嵌合状態になると、気密検査に使用した連通路23が封止される。これは、コネクタ14の端板22に連通路23が形成されており、コネクタ14の筒部21において、内周面における周方向の全てが車両側のコネクタ32の外周面に密着するためである。こうして、連通路23の封止が、元々、コネクタに求められる耐気圧性の規格によって実現されるため、検査用のバルブを追加したり、新たな封止手段を追加したりする必要がない。したがって、部品点数や作業工程の増加を抑制し、品質の向上を図りつつ、気密性の検査を行なえるようになる。
また、連通路23のサイズについては、気密検査の際に必要とされる流量に応じて設定されている。このように、気密検査に設計上必要な検査用穴をコネクタ上に確保することで、検査品質を設計上保障することができ、検査品質が向上する。仮に、検査用の穴が小さ過ぎると、気密検査に必要な流量を確保できないため、異常があるのに正常であると誤判定してしまう可能性があるが、適正な大きさの連通路23を設定すれば、誤って判定することを避けられる。
【0015】
また、コネクタ14の筒部21は、インバータ収容部12の外壁に形成された開口部24に対して、Oリング25を介して嵌め合わされている。したがって、インバータ収容部12を封止することができる。
また、圧縮機11には、低電圧回路のコネクタ14と、高電圧回路のコネクタ15と、があり、連通路23は、低電圧回路のコネクタ14の側に形成してある。高電圧回路のコネクタ15は、絶縁のためのシールドが施されているため、一般に低電圧回路のコネクタ14の方がシンプルな構造である。したがって、低電圧回路のコネクタ14の方が連通路23を形成しやすい。
【0016】
《変形例》
一実施形態では、端板22に対して一つの連通路23を形成しているが、これに限定されるものではなく、複数の連通路23を形成してもよい。
一実施形態では、断面形状が円形となる連通路23を形成しているが、これに限定されるものではなく、四角形や多角形に形成してもよい。
一実施形態では、低電圧回路のコネクタ14に連通路23を形成しているが、高電圧回路のコネクタ15に連通路23を形成してもよい。
【0017】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0018】
11…圧縮機、12…インバータ収容部、13…フロントカバー、14…コネクタ、15…コネクタ、16…インバータ、21…筒部、22…端板、23…連通路、24…開口部、25…Oリング、31…車両側配線、32…コネクタ、35…検査用ホース、36…チャンバ
図1
図2
図3
図4