(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の前記第1の部分が、生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の全部の総重量を基準にして40%〜60%である、請求項1又は2に記載の方法。
脂肪酸の塩が、ステアリン酸マグネシウム;ステアリルフマル酸ナトリウム;ステアリル乳酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸マグネシウムからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の前記第1の部分が、生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の全部の総重量を基準にして40%〜60%である、請求項9又は10に記載の粉末製剤。
ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の極微細粒子分画が20〜35%で含まれ、臭化グリコピロニウムの極微細粒子分画が20〜30%で含まれる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の粉末製剤。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
呼吸器疾患は、世界中で疾病及び死亡の一般的かつ重要な原因である。実際、多くの人々が、炎症性疾患及び/又は閉塞性肺疾患(炎症を起こした易破壊性気道、気流の閉塞、呼気困難及び頻繁な診療所訪問及び入院を特徴とするカテゴリー)に罹患する。炎症性疾患及び/又は閉塞性肺疾患の種類としては、喘息、気管支拡張症、気管支炎及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)が挙げられる。
【0004】
特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気流制限及び気道炎症を特徴とする複数要素疾患である。COPDの増悪は、患者の生活の質、日常活動及び一般的健康問題にかなりの影響を与え、医療制度に対する大きな負担となっている。したがって、COPD管理の目的は、症候の軽減及び疾患進行の予防だけではなく、病気の悪化の予防及び治療も含む。
【0005】
利用可能な治療は臨床症候を改善し、気道炎症を減少させるが、それらは、長期進行を明らかに遅延させるか、又は全ての疾患要素に対処するものではない。COPDの負担が増加し続けることにより、薬物療法を最適化する改善された新たな処置戦略、特に、複数の疾患要素への対処を可能にする相補的な作用様式を目的とした併用療法への研究が進行中である。最近の臨床試験の証拠は、抗コリン作用薬と吸入コルチコステロイド及び長時間作用型β
2−アドレナリンレセプターアゴニストとを組み合わせた3剤療法が、より重症のCOPDを有する患者において、単独の各処置に関連するものに加えて臨床的利益を提供し得ることを示している。
【0006】
現在のところ、いくつかの推奨クラスのCOPD療法があり、そのうち、β
2−アゴニスト及び抗コリン作用薬などの気管支拡張薬は、軽症及び中等度の疾患における症候管理の主力であり、軽症COPDの場合には必要に応じて処方され、中等度COPDの場合には維持療法として処方される。
【0007】
前記気管支拡張薬は、吸入によって効率的に投与されるので、治療指数を増加させ、活性物質の副作用を減少させる。
【0008】
より重症のCOPDの処置の場合、ガイドラインは、吸入コルチコステロイド(ICS)を長時間作用型気管支拡張薬治療に追加することを推奨している。複数の疾患要素への対処を可能にする相補的な作用様式を目的として、併用療法が検討されている。最近の臨床試験のデータは、抗コリン作用薬と長時間作用型β
2アゴニスト(LABA)及びICSとを組み合わせた3剤療法が、中等度〜重症型の呼吸器疾患、特に中等度〜重症のCOPDを有する患者において、単独の各処置に関連するものに加えて臨床的利益を提供し得ることを示している。
【0009】
現在検討中の興味深い3剤併用は、
i)ホルモテロール、特にそのフマル酸塩(以下、FFと示される)(喘息、COPD及び関連障害の処置において臨床的に現在使用されている長時間作用型β2−アドレナリン作用性レセプターアゴニスト)、
ii)臭化グリコピロニウム(COPDの維持療法について最近承認された抗コリン作用薬(抗ムスカリン薬))、
iii)ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)(喘息及び他の呼吸器障害の予防及び/又は治療のために多数のブランドの下で入手可能な強力な抗炎症性コルチコステロイド)、
を含む。
【0010】
国際公開公報第2011/076843号には、加圧定量吸入器(pMDI)による投与のための溶液製剤が開示されている。
【0011】
前記製剤は、気管支樹全体にわたって高い肺沈着及び均一分布を提供し、3つの有効成分全てについて、2.0ミクロン以下の直径を有する粒子の高分画を送達することができるという事実を特徴とする(以下、極微細分画と定義される)。
【0012】
前記製剤の主な利点は、呼吸樹の細気管支肺胞遠位部(炎症が喘息症候の自然悪化において役割を果たすことが公知であり、β−2アドレナリン作用性レセプターの密度が特に高いことが公知である場所)への改善された浸透に関する。
【0013】
しかしながら、その高い評判にもかかわらず、主にデバイスの作動と吸気との同期の困難性により、pMDI製剤は、特に高齢患者及び小児患者においていくつかの不利益を有し得る。
【0014】
乾燥粉末吸入器(DPI)は、気道への薬物投与のための有効なMDI代替手段を構成する。
【0015】
他方、乾燥粉末としての吸入を目的とする薬物は、微粉化粒子の形態で使用されるべきである。それらの体積寄与は、薬物が液滴の形態で送達されるものと治療的に同等の製剤を設計するために障害となり得る。
【0016】
国際公開公報第2015/004243号には、一定の組み合わせで前記3つの有効成分全てを含有する吸入用粉末製剤が開示されている。前記製剤は、国際公開公報第01/78693号に開示されている技術プラットフォームを利用して、粗賦形剤粒子の画分と、微細賦形剤粒子及びステアリン酸マグネシウムから作られた画分とから構成される担体の使用を必然的に伴う。
【0017】
特に、国際公開公報第2015/004243号の教示では、全ての有効成分が非常に小さな粒径を有し、呼吸樹の遠位管に深く到達する「極微細」粉末製剤を提供することに主に焦点が合わせられている。
【0018】
他方、上記製剤は、NEXThaler(極微細粒子を生成するように特別に設計された乾燥粉末吸入器)を用いた投与のために調整されているので、特に効率的である(Corradi M et al Expert Opin Drug Deliv 2014, 11(9), 1497-1506)。
【0019】
したがって、高性能乾燥粉末吸入器にロードされた国際公開公報第2015/004243号の製剤は、非常に効率的であるために、溶液形態の対応するpMDI製剤の性能及びそれ故にその治療特徴にマッチすることができない可能性がある。
【0020】
したがって、本発明の目的は高性能乾燥粉末吸入器(DPI)に適切な粉末製剤であって、組み合わせでフマル酸ホルモテロール、臭化グリコピロニウム及びBDPを含み、上記問題を克服する粉末製剤を提供すること、特に、溶液形態の対応するpMDI製剤のものにマッチする治療特徴を有する粉末製剤を提供することである。
【0021】
前記問題は、本発明の製剤及びその調製方法によって解決される。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、乾燥粉末吸入器における使用のための吸入用粉末製剤を調製するための方法であって、前記粉末が、
(A)
(a)担体の総重量を基準にして80〜95重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の、少なくとも175μmの平均粒径を有する粗粒子;及び
(b)担体の総重量を基準にして19.6〜4.9重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の微粉化粒子、及び担体の総重量を基準にして0.1〜0.4重量パーセントの脂肪酸の塩
を含む担体;並びに
(B)有効成分として、抗ムスカリン薬、長時間作用型β
2アゴニスト及び場合により吸入コルチコステロイドの微粉化粒子
を含み、
前記方法が、
(i)生理学的に許容し得る賦形剤の前記粗粒子の全部と、脂肪酸の前記塩の全部と、生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の第1の部分と、前記長時間作用型β
2アゴニスト、前記抗ムスカリン薬及び場合により前記吸入コルチコステロイドの前記微粉化粒子の全部とを、シェーカーミキサーの容器中、16r.p.m.以上の回転速度で60分間以上混合して、第1の混合物を得ること;並びに
(ii)生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の残存部分を前記第1の混合物に追加して第2の混合物を得て、前記第2の混合物を16rpm以上の回転速度で少なくとも120分間混合すること
を含む、方法を対象とする。
【0023】
好ましい実施態様では、抗ムスカリン薬は臭化グリコピロニウムであり、ICSはジプロピオン酸ベクロメタゾンであり、LABAはフマル酸ホルモテロール二水和物であり、添加物はステアリン酸マグネシウムである。
【0024】
したがって、第2の態様では、本発明は、乾燥粉末吸入器における使用のための吸入用粉末製剤であって、
(A)
(a)担体の総重量を基準にして80〜95重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の、少なくとも175μmの平均粒径を有する粗粒子;及び
(b)担体の総重量を基準にして19.6〜4.9重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の微粉化粒子、及び担体の総重量を基準にして0.1〜0.4重量パーセントのステアリン酸マグネシウム
を含む担体;並びに
(B)有効成分として、臭化グリコピロニウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の微粉化粒子
を含み、
ここで、前記製剤が、
(i)生理学的に許容し得る賦形剤の前記粗粒子の全部と、前記ステアリン酸マグネシウムの全部と、生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の第1の部分と、臭化グリコピロニウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の前記微粉化粒子の全部とを、シェーカーミキサーの容器中、16rpm以上の回転速度で60分間以上混合して、第1の混合物を得ること;並びに
(ii)生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の残存部分を前記第1の混合物に追加して第2の混合物を得て、前記第2の混合物を16
rpm以上の回転速度で少なくとも120分間混合すること
を含む方法によって得ることができ、
それにより、各有効成分の極微細粒子分画が20〜35%で含まれる吸入用粉末製剤を対象とする。
【0025】
第3の態様では、本発明は、上記乾燥粉末製剤が充填された乾燥粉末吸入器デバイスに関する。好ましくは、乾燥粉末吸入器は、高性能乾燥粉末吸入器である。
【0026】
第4の態様では、本発明は、炎症性疾患及び/又は閉塞性気道疾患、特に喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防及び/又は治療における使用のための、特許請求の範囲に記載されている製剤について言及する。
【0027】
第5の態様では、本発明は、炎症性疾患及び/又は閉塞性気道疾患、特に喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を予防及び/又は治療するための方法であって、吸入による投与によって、有効量の本発明の製剤を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法について言及する。
【0028】
第6の態様では、本発明は、炎症性疾患及び/又は閉塞性気道疾患、特に喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、特許請求の範囲に記載されている製剤の使用について言及する。
【0029】
定義
本明細書で使用される「粉末吸入器(DPI)」という用語は、乾燥粉末DPIの形態で薬品を肺に送達するデバイスを指し、2つの基本型に分けられ得る:
i)予め細分された単回用量の活性化合物の投与のための単回投与吸入器;
ii)予め細分された単回用量を有するか、又は複数回投与に十分な量の有効成分がプレロードされた複数回投与乾燥粉末吸入器(MDPI);各用量は、吸入器内の計量ユニットによって作られる。
【0030】
必要な吸入流量(l/分)(そしてこれは、それらの設計及び機械的特徴に厳密に依存する)に基づいて、DPIもまた:
i)低抵抗デバイス(>90l/分);
ii)中抵抗デバイス(約60〜90l/分);
iii)中高抵抗デバイス(約50〜60l/分);
iv)高抵抗デバイス(30l/分未満).
に分類される。
【0031】
報告されている分類は、European Pharmacopoeia (Eur Ph)にしたがって、4KPa(キロパスカル)の圧力低下を生じさせるために必要な流量に関して作成される。
【0032】
本明細書で使用される「高性能乾燥粉末吸入器(DPI)」という用語は、マウスピースを有する本体であって、ボルテックスチャンバー(サイクロン)を含む、粉末医薬を脱凝集するための脱凝集システムを備える本体を有する中抵抗性又は高抵抗性の呼吸作動性複数回投与乾燥粉末吸入器を指し、医薬の送達のための気流は20l/分以上であり、好ましくは25〜40l/分の範囲内である。
【0033】
「ムスカリン性レセプターアンタゴニスト」、「抗ムスカリン薬」及び「抗コリン作用薬」という用語は、同義語として使用され得る。
【0034】
「グリコピロラートの薬学的に許容し得る塩」という用語は、約1:1ラセミ混合物の化合物(3S,2’R),(3R,2’S)−3−[(シクロペンチルヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウムの塩(グリコピロニウム塩としても公知である)を指す。
【0035】
「ホルモテロールの薬学的に許容し得る塩」という用語は、化合物2’−ヒドロキシ−5’−[(RS)−1−ヒドロキシ−2{[(RS)−p−メトキシ−α−メチルフェネチル]アミノ}エチル]ホルムアニリドの塩を指す。
【0036】
「ジプロピオン酸ベクロメタゾン」という用語は、化合物(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16S,17R)−9−クロロ−11−ヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−17−[2−(プロピオニルオキシ)アセチル]−6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−ドデカヒドロ−3H−シクロペンタ[α]フェナントレン−17−イルプロピオナートを指す。
【0037】
「薬学的に許容し得る塩」という用語は、無機及び有機塩を含む。有機塩の例としては、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、キシナホ酸塩、パモ酸塩及び安息香酸塩が挙げられ得る。無機塩の例としては、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、リン酸塩、硝酸塩及び硫酸塩が挙げられ得る。
【0038】
「生理学的に許容し得る賦形剤」という用語は、担体として使用すべき薬理学的に不活性な物質を指す。本発明との関連では、生理学的に許容し得る賦形剤でもある脂肪酸の塩は、添加剤として定義される。
【0039】
「シェーカーミキサー」という表現は、調整可能な広範囲の速度の回反サイクルを有する多用途ミキサーを指す。前記ミキサーでは、混合容器は、ジンバル搭載されている。2つの回転軸は互いに垂直に配置され、独立して電力供給される。両軸の回転方向及び回転速度は、連続的かつ独立した変化を受ける。これらの種類の混合プロセスパラメータの設定は、混合効率の高い値を保証することができる。典型的なシェーカーミキサーは、dyna-MIX(商標)(Willy A. Bachofen AG, Switzerland)又は3D.S mixer (Erhard Muhr GmbH, Germany)として市販されている。
【0040】
「タンブラーミキサー」という表現は、異なる混合時間及び混合速度で作動するが、回転、並進及び反転の相互作用を特徴とする典型的な運動を伴うミキサーを指す。典型的なタンブラーミキサーは、Turbula(商標)(Willy A. Bachofen AG, Switzerland)として市販されている。
【0041】
インスタントミキサー又は高剪断ミキサーという表現は、混合すべき粉末を含有するタンクにおいて、ステーターとして公知の固定要素と一緒にローター又はインペラを使用して、剪断を作り出すミキサーを指す。
【0042】
典型的な高剪断ミキサーは、P 100及びP 300 (Diosna GmbH, Germany)、Roto Mix (IMA, Italy)並びにCyclomix(商標)(Hosokawa Micron Group Ltd, Japan)である。「微粉化」という用語は、数ミクロンのサイズを有する物質を指す。
【0043】
「粗」という用語は、百又は数百ミクロンのサイズを有する物質を指す。
【0044】
一般用語では、粒子の粒径は、レーザー回折によって、体積径として公知の特徴的な球相当径を測定することによって定量される。
【0045】
粒径はまた、例えば篩分析器などの適切な公知の機器を用いて質量径を測定することによって定量され得る。
【0046】
体積径(VD)は、粒子の密度による質量径(MD)に関係する(粒子の密度はサイズの影響を受けないと仮定)。
【0047】
本出願では、有効成分及び微細粒子画分の粒径は体積径で表され、粗粒子は質量径で表される。
【0048】
粒子は、粒子の50重量パーセントの体積径又は質量径に相当する体積中央径又は質量中央径(VMD又はMMD)で、並びに場合により粒子の10%及び90%の体積径又は質量径でそれぞれ定義される正規(ガウス)分布を有する。
【0049】
粒径分布を定義する別の一般的なアプローチは、3つの値:i)分布の50%がそれを超えるものであり、50%がそれ未満である直径である中央径d(0.5)、ii)分布の90%がこの値未満であるd(0.9)及びiii)分布の10%がこの値未満であるd(0.1)を引用することである。
【0050】
スパンは、10%、50%及び90%分位点に基づく分布の幅であり、式
【数1】
にしたがって計算される。
【0051】
一般用語では、同じ又は類似のVMD又はMMDを有する粒子は、異なる粒径分布、特にd(0.1)及びd(0.9)の値によって表されるガウス分布の異なる幅を有し得る。
【0052】
エアロゾル化により、粒径は空気動力学的粒子径(MAD)として表され、粒径分布は空気動力学的中央粒子径(MMAD)及び幾何学的標準偏差(GSD)で表される。MADは、気流で浮遊輸送される粒子の能力を示す。MMADは、粒子の50重量パーセントの空気動力学的粒子径に相当する。
【0053】
最終製剤では、有効成分の粒径は、当業者に公知の方法にしたがって走査電子顕微鏡法によって決定され得る。
【0054】
「ハードペレット」という用語は、そのコアが粗賦形剤粒子から作られた球形単位又は半球形単位を指す。
【0055】
「球形化」という用語は、処置中に起こる粒子を丸くするプロセスを指す。
【0056】
「良好な流動性」という用語は、製造プロセス中に取扱容易な製剤であって、治療有効用量の正確かつ再現可能な送達を保証することができる製剤を指す。
【0057】
流動特徴は、静止角、カール指数、ハウスナー比又はオリフィスへの通過流量などの異なる試験によって評価され得る。
【0058】
本出願との関連では、European Pharmacopeia (Eur. Ph.) 8.6, 8
th Editionに記載されている方法にしたがってオリフィスへの通過流量を測定することによって、流動特性を試験した。
【0059】
「良好な均一性」という表現は、相対標準偏差(RSD)としても公知の変動係数(CV)として表される成分の分布の均一性が混合時に5.0%未満である粉末を指す。それは、通常、公知の方法にしたがって、例えば、粉末の異なる部分からサンプルを採取し、HPLC又は他の同等の分析方法によって成分を試験することによって決定される。
【0060】
「吸入性画分」という表現は、患者の肺に到達する活性粒子の割合の指標を指す。
【0061】
吸入性画分は、一般的な薬局方、特にEuropean Pharmacopeia (Eur. Ph.) 8.4, 8
th Editionに報告されている手順にしたがって、Andersen Cascade Impactor (ACI)、Multi Stage Liquid Impinger (MLSI)又はNext Generation Impactor (NGI)などの適切なin vitro装置を使用して評価される。
【0062】
それは、送達用量に対する微細粒子質量(以前は、微細粒子用量)の%割合によって計算される。
【0063】
送達用量は、装置内の累積沈着から計算され、微細粒子質量は、5.0ミクロン未満の直径を有する粒子の沈着から計算される。
【0064】
本発明との関連では、製剤は、吸入により、20%以上の2.0ミクロン以下の粒径を有する粒子の分画と共に有効成分が送達される。
【0065】
「中FPF」という用語は、2.0〜5.0ミクロンに含まれる粒径を有する送達用量の分画として定義される。
【0066】
「使用前にデバイス内で物理的に安定」という表現は、乾燥粉末の製造中及び使用前の送達デバイス内の両方において、活性粒子が担体粒子の表面から実質的に分離及び/又は剥離しない製剤を指す。分離傾向は、Staniforth et al. J. Pharm. Pharmacol. 34,700-706, 1982にしたがって評価され得、相対標準偏差(RSD)として表される試験後の粉末製剤中の有効成分の分布が、試験前の製剤のものに対して有意に変化していない場合、それは許容し得るとみなされる。
【0067】
「化学的に安定」という表現は、保存時に、‘Stability Testing of Existing Active Substances and Related Finished Products’に関するEMEAガイドラインCPMP/QWP/122/02の要件を満たす製剤を指す。
【0068】
「表面コーティング」という用語は、前記粒子の周囲にステアリン酸マグネシウムのフィルムを形成することによって、担体粒子の表面をカバーすることを指す。フィルムの厚さは、X線光電子分光法(XPS)よって約10nm未満であると推定されている。表面コーティングの割合は、ステアリン酸マグネシウムが全ての担体粒子の表面をコーティングする程度を示す。
【0069】
「予防」という用語は、疾患の発症のリスクを減少させるためのアプローチを意味する。
【0070】
「処置」という用語は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを意味する。有益な又は所望の臨床結果としては、限定されないが、検出可能又は検出不可能にかかわらず、1つ以上の症候又は症状の軽減又は改善、疾患の程度の縮小、疾患状態の安定化(すなわち、非悪化)、疾患拡大の防止、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的又は完全にかかわらず)が挙げられ得る。この用語はまた、処置を受けない場合の予想生存と比較して生存を延長することを意味し得る。
【0071】
喘息に関する国際指針(GINA)によれば、「コントロール不良の持続性喘息」は、日常的症候、頻繁な増悪、頻繁な夜間喘息症候、身体活動の制限、30%超の変動性で予想の80%以下の1秒間努力呼気容量(FEV
1)を特徴とする形態として定義される。喘息に関する国際指針(GINA)ガイドライン2014によれば、「部分的にコントロール不良の喘息」は、週2回未満の日常症候と、月2回未満の夜間喘息症候と、20〜30%に含まれる変動性で80%超の1秒間努力呼気容量(FEV
1)とを特徴とする形態として定義される。
【0072】
慢性閉塞性肺疾患に関する国際指針(GOLD)ガイドラインによれば、「重症COPD」は、FEV
1と強制肺活量(FVC)との比が0.7未満であり、予想FEV
1が30%〜50%であることを特徴とする形態である。非常に重症型は、慢性呼吸不全をさらに特徴とする。
【0073】
「治療有効用量」は、吸入器の作動時に吸入によって一時に投与される有効成分の量を意味する。前記用量は、吸入器の1回以上の作動、好ましくは1回の作動(ショット)で送達され得る。「作動」という用語は、単回起動(例えば、機械的又は呼吸)によるデバイスからの有効成分の放出を指す。
【0074】
数値範囲が本明細書に記述される場合、終点が含まれる。
【0075】
発明の詳細な説明
本発明は、乾燥粉末吸入器(DPI)における使用のための乾燥粉末製剤であって、担体と、有効成分として抗コリン作用薬、長時間作用型β
2アゴニスト(LABA)及び場合により吸入コルチコステロイド(ICS)の微粉化粒子とを含む乾燥粉末製剤を調製するための方法を対象とする。
【0076】
薬学的に許容し得る塩及び/又はその溶媒和物の形態で存在し得るLABA有効成分は、限定されないが、ホルモテロール、サルメテロール、インダカテロール、オロダテロール、ビランテロール及びコードAZD3199で引用される超長時間作用型β2−アドレナリンレセプターアゴニスト(uLABA)化合物を含む群から選択され得る。
【0077】
薬学的に許容し得る無機塩の形態で通常存在する抗コリン作用薬は、限定されないが、臭化グリコピロニウム又は塩化グリコピロニウム、臭化チオトロピウム、臭化ウメクリジニウム、臭化アクリジニウム及びコードGSK233705で引用される化合物を含む群より選択され得る。
【0078】
無水物であり得るか又は水和物の形態で存在し得るICSは、限定されないが、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びその一水和物形態、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン及びフロ酸モメタゾンを含む群より選択され得る。
【0079】
好ましくは、LABAはフマル酸ホルモテロール二水和物であり、ICSはジプロピオン酸ベクロメタゾンであり、抗コリン作用薬は臭化グリコピロニウムである。
【0080】
担体A)は、粗賦形剤粒子の画分a)と、微粉化賦形剤粒子及び脂肪酸の塩(吸入性画分の改善に寄与する添加剤として)から構成される画分b)とから構成される。
【0081】
粗賦形剤粒子は、175ミクロン以上の質量中央径を有する80〜95重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の粒子からなる。
【0082】
有利には、粗粒子は全て、100〜600ミクロンの範囲内の質量径を有する。
【0083】
本発明の特定の実施態様では、前記粗粒子の質量径は、150〜500ミクロン、好ましくは200〜400ミクロンであり得る。
【0084】
本発明の好ましい実施態様では、粗粒子の質量径は、210〜360ミクロンに含まれる。
【0085】
一般に、当業者であれば、市販されている場合には、又は適切な分離器を使用して篩分けすることによって、最も適切なサイズの粗賦形剤粒子を選択するであろう。
【0086】
有利には、粗賦形剤粒子は、比較的多くの亀裂表面を有し得る(すなわち、その上には、本明細書では亀裂と総称される裂け目及び窪み及び他の凹領域がある)。「比較的多くの亀裂」粗粒子は、国際公開公報第01/78695号及び国際公開公報第01/78693号(これらの教示は、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている亀裂指数及び/又は凹凸度係数の観点から定義され得、それらは、そこに報告されている説明にしたがって特性評価され得る。有利には、前記粗粒子の亀裂指数は、少なくとも1.25、好ましくは少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2.0である。
【0087】
前記粗粒子はまた、国際公開公報第01/78695号に報告されているように測定されたタップ密度又は全細孔容積によって特性評価され得る。
【0088】
前記粗粒子のタップ密度は、有利には、0.8g/cm
3未満、好ましくは0.8〜0.5g/cm
3であり得る。全細孔容積は、少なくとも0.8cm
3、好ましくは少なくとも0.9cm
3であり得る。
【0089】
微粉化粒子b)の画分は、19.6〜4.9重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の粒子を含み、前記粒子の少なくとも90%は、15ミクロン未満、好ましくは12ミクロン未満の体積径を有する。有利には、前記粒子の体積中央径は、3〜7ミクロン、好ましくは4〜6ミクロンに含まれ、前記粒子の10%以下は、2.5ミクロン未満、好ましくは2.0ミクロン未満の直径を有する。
【0090】
有利には、微細賦形剤粒子及び粗賦形剤粒子は、薬理学的に不活性な生理学的に許容し得る材料又はそれらの組み合わせのいずれかからなり得る;好ましい賦形剤は、結晶糖、特にラクトースから作られたものである;最も好ましいものは、α−ラクトース一水和物から作られたものである。
【0091】
好ましくは、粗賦形剤粒子及び微細賦形剤粒子は両方とも、α−ラクトース一水和物からなる。
【0092】
前記画分b)は、0.1〜0.4重量パーセントの脂肪酸の塩、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸又はそれらの誘導体(例えば、エステル及び塩)をさらに含む。このような脂肪酸の塩の具体例は、ステアリン酸マグネシウム;ステアリルフマル酸ナトリウム;ステアリル乳酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムである。
【0093】
好ましい脂肪酸の塩は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0094】
有利には、添加剤として使用される場合、ステアリン酸マグネシウムは、表面コーティングの程度が少なくとも5%、より有利には10%超となるように粗賦形剤粒子及び微粉化賦形剤粒子a)及びb)の表面をコーティングする。
【0095】
ステアリン酸マグネシウムが賦形剤粒子の表面をコーティングする程度は、X線光電子分光法(XPS)(他の物質の表面上の特定の要素の分布の程度及び均一性を決定するための周知のツール)によって決定され得る。XPS機器では、サンプルの表面下で原子の電子状態を励起するために、特定のエネルギーの光子が使用される。規定のエネルギーの強度が検出器によって記録される前に、表面から放出された電子は、半球型分析器(HAS)を介してエネルギーフィルタ処理される。固体状態原子における内殻準位電子は量子化されるので、得られるエネルギースペクトルは、サンプル表面における原子の電子構造に特徴的な共鳴ピークを示す。
【0096】
典型的には、XPS測定は、15mAの放出電流及び10kVのアノード電位(150W)で運転される単色Al Kα放射線(1486.6eV)を使用して、Kratos Analytical (Manchester, UK)から入手可能なAxis-Ultra機器によって行われる。絶縁体の充電を補償するために、低エネルギー電子フラッドガンが使用される。検出元素の定量が得られるサーベイスキャンは、160eVの分析器パスエネルギー及び1eVのステップサイズで取得される。C 1s、O 1s、Mg 2s、N 1s及びCl 2p領域の高解像度スキャンは、40eVのパスエネルギー及び0.1eVのステップサイズで取得される。試験領域は、サーベイスキャンの場合には約700μm×300μmであり、高解像度スキャンの場合には110μmの直径スポットである。
【0097】
本発明との関連では、ラクトース粒子の周囲のステアリン酸マグネシウムフィルムのコーティングの程度及び深さの両方をXPSによって計算することが可能である。ステアリン酸マグネシウム(MgSt)コーティングの程度は、以下の式:
%MgStコーティング=(%Mg
サンプル/%Mg
ref)×100
(式中、Mg
サンプルは、分析混合物中のMgの量であり;
Mg
refは、市販のMgStの参照サンプル中のMgの量である)
を使用して推定される。
【0098】
通常、値は、2つの異なる測定の平均として計算される。典型的には、ルーチンに実施されるXPS実験では、10%の精度が適用される。
【0099】
あるいは、賦形剤粒子がラクトース、好ましくはα−ラクトース一水和物から作られる場合、表面コーティングの程度は、水接触角を測定し、次いで、例えばColombo I et al Il Farmaco 1984, 39(10), 328-341の338ページに引用されている文献ではCassie及びBaxterとして公知の以下に報告されている式を適用することによって決定され得る。
cosθ
混合物=f
MgStcosθ
Mgst+f
ラクトースcosθ
ラクトース
(式中、f
MgSt及びf
ラクトースは、ステアリン酸マグネシウム及びラクトースの表面積分画であり;
θ
Mgstは、ステアリン酸マグネシウムの水接触角であり、θ
ラクトースは、ラクトースの水接触角であり;
θ
混合物は、実験接触角値である)。
【0100】
本発明の目的のために、接触角は、基本的にゴニオメーター測定に基づく方法を用いて決定され得る。これらは、試験中の固体基材と液体との間に形成された角度の直接的な観察である。したがって、それは非常に実行容易であり、操作者間変動に起因するバイアスの可能性に関する制限のみである。しかしながら、この欠点は、コンピューター補助画像分析などの完全自動化手順の採用によって克服され得ることに注目すべきである。特に有用なアプローチは、圧縮によって得られるディスク形態の粉末(圧縮粉末ディスク法)の表面上に液滴を乗せることによって典型的に行われる液滴法又は静滴法である。
【0101】
実験誤差の限界内で、XPS測定によって決定した場合のコーティングの程度の値と、Cassie及びBaxter式に基づいて理論的計算によって推定した場合の値との間には、良好な整合性が見られた。
【0102】
ステアリン酸マグネシウムが賦形剤粒子の表面をコーティングする程度もまた、走査電子顕微鏡法(SEM)(周知の汎用分析技術)によって決定され得る。
【0103】
このような電子顕微鏡は、特定の種類の原子、例えばマグネシウム原子に選択的な画像を生成し得るEDX分析器(電子分散X線分析器)を備え得る。このようにして、賦形剤粒子の表面上のステアリン酸マグネシウムの分布についてセットされた明確なデータを得ることが可能である。
【0104】
あるいは、SEMは、公知の手順にしたがってコーティングの程度を決定するために、IR又はラマン分光と組み合わされ得る。
【0105】
より有利には、粗粒子a)、微粉化賦形剤粒子及びステアリン酸マグネシウムの画分の間の比は、重量基準で85:14.7:0.3〜90:9.8:0.2に含まれ、好ましくは重量基準で90:9.8:0.2であろう。
【0106】
有利には、全量の粗粒子a)は、全量のステアリン酸マグネシウム及び微粉化賦形剤粒子の第1の部分と混合される。
【0107】
有利には、前記第1の部分は、全ての微粉化賦形剤粒子の総重量を基準にして40%〜60%、より有利には45%〜55%に含まれ、好ましくは50%である。
【0108】
混合は、任意の適切なミキサー、例えばTurbula(商標)などのタンブラーミキサーによって、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも2時間実施され得る。
【0109】
一般に、当業者であれば、混合の時間及びミキサーの回転速度を調整して、均一な混合物を得るであろう。
【0110】
上記に報告されている定義にしたがってハードペレットを得るために球形化粗賦形剤粒子が望まれる場合、混合の工程は、典型的には、少なくとも4時間行われる。
【0111】
混合工程は粒径を変化させないので、当業者であれば、分離器の使用による篩分けによって所望の粒径分布を達成することによって、粗賦形剤粒子、微粉化賦形剤粒子及びステアリン酸マグネシウムの適切なサイズを選択し、ブレンドの最終粒径は、開始点に確実に対応するであろう。
【0112】
所望の粒径分布の材料も市販されている。
【0113】
本発明の一実施態様では、粗賦形剤粒子a)、50%の微粉化賦形剤粒子及びステアリン酸マグネシウムの粒子からなる担体Aは、Turbula(商標)ミキサー又はdyna-MIXミキサーによって、11〜45rpm、好ましくは16〜32rpmで少なくとも30分間、好ましくは60〜300分間に含まれる期間混合することによって調製され得る。
【0114】
工程i)では、担体A)、ICSの微粉化粒子、LABA及び抗ムスカリン薬を、調整可能な広範囲の速度の回反サイクルを有するシェーカーミキサーの容器に注ぐ。
【0115】
前記タイプのミキサーは、それらの汎用性により特に適切であることが実際に見出されている。実際、前記ミキサーでは、混合内の粉体流を連続的に変化させ、ドラム内で粉体流パターンを作り出し、混合効果を増加させるために、回転サイクルの頻繁な変化が設定され得る。
【0116】
本発明の好ましい実施態様では、dyna-MIX(商標)ミキサーが利用される。
【0117】
工程i)のブレンドを、少なくとも16r.p.m.、好ましくは20〜28r.p.m.の回転速度で60分間以上、好ましくは60〜120分間に含まれる時間混合される。
【0118】
工程ii)では、生理学的に許容し得る微粉化賦形剤の残存部分を追加し、16rpm以上、好ましくは16〜32r.p.m.の回転速度で少なくとも120分間、好ましくは120〜180分間混合する。
【0119】
先行技術に報告されているものとは対照的に、有効成分を担体と混合した後に、賦形剤の微粉化粒子及びそれ故に微細粒子を追加することによって、前記有効成分の脱凝集を減少させること及びそれ故に吸入性画分を減少させることが可能であることが実際に見出された。
【0120】
理論によって制限されるものではないが、これは、微粉化賦形剤粒子が有効成分粒子をカバーしてそれらの脱凝集を部分的に防止することに起因し得る。
【0121】
また、微粉化賦形剤粒子の量を適切にコントロールすることによって、吸入性画分の減少程度を可能にし得る。
【0122】
場合により、得られた混合物は、篩を通して篩分けされる。当業者であれば、粗粒子の粒径に応じて、篩のメッシュサイズを選択するであろう。
【0123】
最後に、任意の適切なミキサーによって工程ii)のブレンドを混合して、有効成分の均一分布を達成する。
【0124】
当業者であれば、適切なミキサーを選択し、混合時間及びミキサーの回転速度を調整して、均一な混合物を得るであろう。
【0125】
有利には、各有効成分は、公知の方法にしたがって決定した場合に、より好ましくは95%超、特により好ましくは98%超の結晶化度を有する結晶形で本発明の製剤中に存在する。
【0126】
本発明の方法を用いて得られた粉末製剤は、吸入によって肺に投与されるべきであるので、前記粒子の少なくとも99%[d(v,0.99)]は10ミクロン以下の体積径を有し、実質的に全ての粒子は、8〜0.4ミクロンに含まれる体積径を有する。
【0127】
有利には、呼吸樹の遠位管により良好に到達するために、ICS及びLABA有効成分の微粉化粒子の90%は、6.0ミクロン未満、好ましくは5.0ミクロン以下の体積径を有し、体積中央径は、1.2〜2.5ミクロン、好ましくは1.3〜2.2ミクロンに含まれ、前記の10%以下は、0.6ミクロン未満、好ましくは0.7ミクロン以下、より好ましくは0.8ミクロン以下の直径を有するであろう。
【0128】
その結果、スパンとして表されるISC及びLABA有効成分の粒子の粒径分布の幅は、有利には、1.0〜4.0、より有利には1.2〜3.5に含まれるであろう。Chew et al J Pharm Pharmaceut Sci 2002, 5, 162-168によれば、スパンは、[d(v,0.9)−d(v,0.1)]/d(v,0.5)に対応する。
【0129】
抗コリン作用薬の場合、呼吸樹の遠位管及び上部管の両方に到達するために、微粉化粒子の90%は、8.0ミクロン以下、好ましくは7.0ミクロン以下の体積径を有し、体積中央径は、1.2〜4.0ミクロン、好ましくは1.7〜3.5ミクロンに含まれ、前記ミクロンの10%以下は、0.5ミクロン未満、好ましくは0.6ミクロン以下、より好ましくは0.8ミクロン以下の直径を有する。
【0130】
その結果、スパンとして表される抗コリン作用薬の粒子の粒径分布の幅は、有利には、1.0〜5.0、より有利には1.2〜4.0に含まれるであろう。
【0131】
活性粒子のサイズは、レーザー回折によって、体積径として公知の特徴的な球相当径を測定することによって決定される。報告されている実施例では、Malvernデバイスを使用して、体積径を決定した。しかしながら、当業者であれば、他の同等の装置を使用し得る。
【0132】
好ましい実施態様では、Helos Aspiros機器(Sympatec GmbH, Clausthal-Zellerfeld, Germany)が利用される。典型的な条件は、Fraunhofer FREE若しくはFraunhofer HRLDアルゴリズム、R1(0.1/0.18−35ミクロン)又はR2(0.25/0.45−87.5ミクロン)レンズ、圧力1barである。
【0133】
粒径決定の場合のように、d(v0,1)については±30%のCV並びにd(v0,5)、d(v0,9)及びd(v0,99)については±20%のCVは、実験誤差内であるとみなされる。
【0134】
本発明の好ましい実施態様では、LABAはフマル酸ホルモテロール二水和物であり、ICSはジプロピオン酸ベクロメタゾンであり、抗コリン作用薬は臭化グリコピロニウムであり、添加剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0135】
したがって、特定の実施態様では、本発明は、乾燥粉末吸入器における使用のための吸入用粉末製剤であって、
(A)
(a)担体の総重量を基準にして80〜95重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の、少なくとも175μmの平均粒径を有する粗粒子;及び
(b)担体の総重量を基準にして19.6〜4.9重量パーセントの生理学的に許容し得る賦形剤の微粉化粒子、及び担体の総重量を基準にして0.1〜0.4重量パーセントのステアリン酸マグネシウム
を含む担体;並びに
(B)有効成分として、臭化グリコピロニウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の微粉化粒子
を含み、
前記製剤が、
(i)生理学的に許容し得る賦形剤の前記粗粒子の全部と、前記ステアリン酸マグネシウムの全部と、生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の第1の部分と、臭化グリコピロニウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の前記微粉化粒子の全部とを、シェーカーミキサーの容器中、16rpm以上の回転速度で60分間以上混合して、第1の混合物を得ること;並びに
(ii)生理学的に許容し得る賦形剤の前記微粉化粒子の残存部分を前記第1の混合物に追加して第2の混合物を得て、前記第2の混合物を16
rpm以上の回転速度で少なくとも120分間混合すること
を含む方法によって得ることができ、
それにより、各有効成分の極微細粒子分画が20〜35%で含まれる吸入用粉末製剤を対象とする。
【0136】
好ましい実施態様では、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の極微細粒子分画は20〜35%で含まれ、臭化グリコピロニウムの極微細粒子分画は20〜30%で含まれる。
【0137】
有利には、呼吸樹の遠位管により良好に到達するために、ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)及びフマル酸ホルモテロール二水和物の微粉化粒子の90%は、6.0ミクロン未満、好ましくは5.0ミクロン以下の体積径を有し、体積中央径は、1.2〜2.5ミクロン、好ましくは1.3〜2.2ミクロンに含まれ、前記の10%以下は、0.6ミクロン未満、好ましくは0.7ミクロン以下、より好ましくは0.8ミクロン以下の直径を有するであろう。
【0138】
その結果、スパンとして表されるBDP及びフマル酸ホルモテロール二水和物の粒子の粒径分布の幅は、有利には、1.0〜4.0、より有利には1.2〜3.5に含まれるであろう。
【0139】
臭化グリコピロニウムの場合、呼吸樹の遠位管及び上部管の両方に到達するために、微粉化粒子の90%は、8.0ミクロン以下、好ましくは7.0ミクロン以下の体積径を有し、体積中央径は、1.2〜4.0ミクロン、好ましくは1.7〜3.5ミクロンに含まれ、前記ミクロンの10%以下は、0.5ミクロン未満、好ましくは0.8ミクロン以下、より好ましくは1.0ミクロン以下の直径を有する。
【0140】
その結果、スパンとして表される抗コリン作用薬の粒子の粒径分布の幅は、有利には、1.0〜5.0、より有利には1.2〜4.0に含まれるであろう。
【0141】
より有利には、BDPの微粉化粒子は、5.5〜7.0m
2/g、好ましくは5.9〜6.8m
2/gに含まれる比表面積を有し、フマル酸ホルモテロール二水和物の微粉化粒子は、5〜7.5m
2/g、好ましくは5.2〜6.5m
2/g、より好ましくは5.5〜5.8m
2/gに含まれる比表面積を有し、臭化グリコピロニウムの微粉化粒子は、1.8〜5.0m
2/g、好ましくは2.0〜4.5m
2/gに含まれる比表面積を有することも好ましいであろう。
【0142】
比表面積は、公知の手順にしたがってブルナウアー・エメット・テラー(BET)窒素吸着法によって決定される。
【0143】
本発明の製剤において利用される全ての微細化有効成分は、公知の方法にしたがって適切なミル中で加工することによって調製され得る。
【0144】
本発明の一実施態様では、それらは、異なる直径の粉砕チャンバーを有する市販のジェットミル微粉化器などの従来の流体エネルギーミルを使用して粉砕することによって調製され得る。
【0145】
装置のタイプ及びバッチのサイズに応じて、当業者であれば、操作圧力、供給速度及び他の操作条件などのミルパラメータを適切に調整して、所望の粒径を達成するであろう。好ましくは、全ての微粉化有効成分は、微粉化プロセス中にいかなる添加剤も使用せずに得られる。
【0146】
本発明の一実施態様では、臭化グリコピロニウムの微粉化粒子は、国際公開公報第2014/173987号(この教示は、参照により本明細書に組み入れられる)に開示されている方法にしたがって調製され得る。
【0147】
本発明の方法によって得られ得る、有効成分として臭化グリコピロニウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン及びフマル酸ホルモテロール二水和物の微粉化粒子を含む粉末製剤は、物理的及び化学的に安定であり、自由な流動性を有し、有効成分の良好な均一性を示す。
【0148】
また、高性能DPI、例えば国際公開公報第2004/012801号に開示されているものを介して送達された上記粉末製剤は、対応するpMDI製剤の溶液と治療的に同等であることが判明した。
【0149】
担体粒子と有効成分との比は、使用される吸入器の種類及び必要な用量に依存するであろう。
【0150】
本発明の粉末製剤は、吸入器の1回以上の作動(ショット又はパフ)で治療量の全ての有効成分を送達するために適切であり得る。
【0151】
有利には、本発明の製剤は、50〜600μg、好ましくは100〜500μgに含まれる治療有効用量の3つの有効成分全てを送達するために適切であろう。
【0152】
例えば、製剤は、作動当たり3〜15μg、有利には作動当たり5.5〜6.5μg又は10〜13μg、好ましくは作動当たり6又は12μgのホルモテロール(フマル酸塩二水和物として)、作動当たり25〜250μg、有利には作動当たり40〜60μg又は作動当たり80〜120μg又は作動当たり160〜240μgのジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)、及び作動当たり5〜65μg、有利には作動当たり5〜15μg又は作動当たり20〜30μg、好ましくは12.5μg又は25μgのグリコピロニウム(臭化物として)を送達するために適切であろう。
【0153】
特定の実施態様では、製剤は、作動当たり6μgのホルモテロール(フマル酸塩二水和物として)、100μgのジプロピオン酸ベクロメタゾン、及び作動当たり12.5μgのグリコピロニウム(臭化物として)を送達するために適切である。
【0154】
別の実施態様では、製剤は、作動当たり12μgのホルモテロール(フマル酸塩二水和物として)、200μgのジプロピオン酸ベクロメタゾン、及び作動当たり25μgのグリコピロニウム(臭化物として)を送達するために適切である。
【0155】
本発明の乾燥粉末製剤は、任意の乾燥粉末吸入器と共に利用され得る。
【0156】
乾燥粉末吸入器(DPI)は、2つの基本型に分けられ得る:
i)単回分割用量の活性化合物の投与のための単回投与吸入器;各単回用量は、通常、カプセルに充填される;
ii)より長期の処置サイクルに十分な量の活性成分がプレロードされた複数回投与吸入器。
【0157】
本発明の乾燥粉末製剤は、リザーバを含むボット複数回投与DPIと共に利用され得、個々の治療投与量は、デバイスの作動を介して又は単回投与吸入器を用いて、リザーバからオンデマンドで回収され得る
【0158】
使用され得る典型的な複数回投与デバイスは、例えば、GlaxoSmithKlineのDiskus(商標)、AstraZenecaのTurbohaler(商標)、ScheringのTwisthaler(商標)、InnovataのClickhaler(商標)、TevaのSpiromax(商標)、MedaのNovolizer(商標)及びAlmirallのGenuair(商標)である。
【0159】
販売されている単回投与デバイスの例としては、GlaxoSmithKlineのRotohaler(商標)、Boehringer IngelheimのHandihaler(商標)及びNovartisのBreezehaler(商標)が挙げられる。
【0160】
好ましくは、本発明の粉末製剤は、NEXTHaler(商標)、出願番号PCT/EP2015/063803(この教示は、参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているその変形物からなる群より選択される高性能複数回投与DPIに充填される。
【0161】
他の適切な高性能複数回投与DPIは、Novolizer(商標)及びGenuair(商標)である。
【0162】
水分が製剤に侵入しないようにDPIを保護するために、水分の侵入に耐えることができるフレキシブルなパッケージ、例えば欧州特許出願公開第1760008号に開示されているものなどでデバイスを覆うことが望ましい場合がある。
【0163】
本発明の方法にしたがって調製された製剤の投与は、全ての種類及び重症度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び/又は喘息の予防及び/又は治療のために示される。
【0164】
本発明の方法にしたがって調製された製剤はまた、炎症の結果としての末梢気道の閉塞及び粘液の存在を特徴とするさらなる呼吸器障害、例えば慢性閉塞性細気管支炎の予防及び/又は治療のために示される。
【0165】
特定の実施態様では、前記製剤は、重症型及び/又は非常に重症型のCOPDの予防及び/又は治療に、特に、症候、気流制限及び悪化の病歴を有するCOPD患者の維持療法に特に適切である。
【0166】
さらに、それは、LABAと組み合わせた中用量又は高用量のICSによってコントロールされない患者における持続性喘息及び喘息の予防及び/又は治療に適切であり得る。
【0167】
以下の実施例によって、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0168】
実施例1−担体の調製
以下の粒径を有する微粉化α−ラクトース一水和物(DFE Pharma, Germany)を使用した:d(v0.1)=1.5ミクロン;d(v0.5)=3.6ミクロン;及びd(v0.9)=7.5ミクロンを利用した。
【0169】
前記微粉化α−ラクトース一水和物 約1694gと、ステアリン酸マグネシウム(Peter Greven, Germany)約69.2gと、質量径 212〜355ミクロンを有するα−ラクトース一水和物の亀裂粗粒子 約31.13kg(比90:とをTurbula(商標)ミキサー(Willy A. Bachofen AG, Germany)の容器に供給し、混合した。混合を16r.p.mの回転速度で240分間行った。
【0170】
実施例2−乾燥粉末製剤の調製
以下の粒径を有する微粉化フマル酸ホルモテロール二水和物(FF)を使用した:d(v0.1)=0.9ミクロン;d(v0.5)=2.3ミクロン;及びd(v0.9)=4.2ミクロン。
【0171】
以下の粒径を有するジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)を使用した:d(v0.1)=0.7ミクロン;d(v0.5)=1.5ミクロン;及びd(v0.9)=2.8ミクロン。
【0172】
以下の粒径を有する臭化グリコピロニウム(GB)を使用した:d(v0.1)=0.4ミクロン;d(v0.5)=2.1ミクロン;d(v0.9)=5.5ミクロン。
【0173】
dyna-MIX(商標)ミキサーによって、2つの回転軸で代替的に24及び28r.p.mの回転速度で、実施例1で得られた担体をフマル酸ホルモテロール二水和物、臭化グリコピロニウム及びBDPと80分間混合した。
【0174】
次いで、微粉化α−ラクトース一水和物 1694gを追加し、2つの回転軸で代替的に16〜32r.p.mの回転速度で150分間混合した。
【0175】
得られた混合物を、600ミクロンメッシュサイズの篩を備えるFrewitt (Fribourg, Switzerland)から入手可能な篩分機に注いだ。
【0176】
篩分けの後、最後に、Dynamixミキサーによって、ブレンドを代替的に24及び32r.p.mの回転速度で60分間混合して、有効成分の均一分布を達成した。
【0177】
担体 10mgに対する有効成分の比は、FF二水和物 6マイクログラム(μg)(理論送達用量 4.5μg)、BDP 100マイクログラム(μg)及び臭化グリコピロニウム 12.5マイクログラム(μg)(理論送達用量 10.0μg)である。
【0178】
国際公開公報第2004/012801号に記載されている複数回投与乾燥粉末吸入器にそれをロードした後、有効成分の分布の均一性及びエアロゾル性能の観点から、粉末製剤を特性評価した。
【0179】
ブレンドの異なる部分から10個のサンプルを回収し、HPLCによって評価することによって、有効成分の分布の均一性を評価した。
【0180】
結果(平均値±RSD)は、表1に報告されている。
【0181】
European Pharmacopeia 8.5th Ed 2015, par 2.9.18, pages 309-320に報告されている条件にしたがってNext Generation Impactor (NGI)を使用して、エアロゾル性能の評価を行った。吸入デバイスからの3用量のエアロゾル化後、NGI装置を分解し、溶媒混合物で洗浄することによって、ステージに沈着した薬物の量を回収し、次いで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量した。
【0182】
以下のパラメータを計算した:i)送達用量(これは、衝撃部材の全ての部分で回収されたデバイスから送達された薬物の量である);ii)微細粒子質量(FPM)(これは、5.0ミクロン以下の粒径を有する送達用量の量である);iii)極微細FPM(これは、2.0ミクロン以下及び/又は1.0ミクロン以下の粒径を有する送達用量の量である)及びiv)中FPM(これは、2.0〜5.0ミクロンに含まれる粒径を有する送達用量の量である)、v)微細粒子分画(FPF)(これは、微細粒子質量と送達用量との比である);vi)MMAD。
【0183】
結果(平均値±SD)は、表1に報告されている。
【表1】
【0184】
実施例3−国際公開公報第2015/004243号からの参考例
国際公開公報第2015/004243号の実施例1、3、4及び5の教示にしたがって、2つの粉末製剤を調製した。
【0185】
本出願の実施例2に報告されているように評価したそれらのエアロゾル性能は、表2に報告されている。
【0186】
MFはメカノフュージョン装置であり、CYはCyclomix(商標)装置である。
【表2】
【0187】
実施例4−国際公開公報第2011/076843号からの参考例
国際公開公報第2011/076843号の教示にしたがって、pMDI HFA溶液製剤を調製した。
【0188】
本出願の実施例2に報告されているように評価したそのエアロゾル性能は、表3に報告されている。
【表3】
【0189】
実施例5−本発明のFF/GB/BDP乾燥粉末製剤と、国際公開公報第2011/076843号の対応するpMDI溶液製剤との比較
国際公開公報第2004/012801号に開示されているDPIデバイスを介して送達した本発明のFF/GB/BDP乾燥粉末製剤 6/100/12.5μgは、参考実施例4の対応するpMDI HFA溶液製剤と治療的に同等であることを健常志願者において示すために、研究をデザインする。
【0190】
Aerochamber Plus(商標)Flow - Vu antistatic valved holding chamberを用いて又は用いずに、pMDI製剤を送達する。
【0191】
研究デザイン:
2つの並行コホート、非盲検、無作為化、5ウェイクロスオーバーデザイン。
【0192】
処置:FF 48マイクログラム、GB 100マイクログラム及びBDP 800マイクログラムの総用量を8回の単回投与吸入。
【0193】
評価可能な被験者 20人を得るために、健常志願者 約25人を無作為に分ける。
【0194】
研究は、各5つの処置期間の2つの並行被験者コホートからなり、2つの連続処置摂取の間において、単一用量の投与は、16±2日間のウォッシュアウトによって分離される。
【0195】
主目的:
・AUC
0−t及びC
maxとして17−BMP(BDPの活性代謝産物)、FF及びGBの総全身曝露を評価すること、
・胃腸炭閉塞時の全身曝露(AUC
0−t及びC
max)として評価した17−BMP(BDPの活性代謝産物)、FF及びGBの肺アベイラビリティを評価すること、
【0196】
副次的目的:
・投与後の胃腸炭閉塞時に評価したBDPの薬物動態プロファイル並びに17−BMP、FF及びGBのさらなるPKパラメータを評価すること
・活性炭有り及び無しの場合の一般的な安全性及び忍容性プロファイルを評価すること。
【0197】
エンドポイント:
主要PK変数
・17−BMP/FF/GB:AUC
0−t、C
max。
【0198】
副次PK変数
・17−BMP/FF/GB:AUC
0−∞、AUC
0−30min、t
max及びt
1/2
・BDP:AUC
0−t、C
max及びt
max。
【0199】
安全性変数
・有害事象及び有害薬物反応。
・収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数。
【0200】
測定及び記録:
薬物動態測定
・BDP/17−BMP:以下の時点において、10個の血液サンプルを採取する:投与前(投与より60分以内)、投与後10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間。
・FF:以下の時点において、10個の血液サンプルを採取する:投与前(投与より60分以内)、投与後10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間。
・GB:以下の時点において、13個の血液サンプルを採取する:投与前(投与より60分以内)、投与後10分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、32時間、48時間及び72時間。
【0201】
安全対策
・血圧及び局所安全ECG:以下において、記録を行う。
○被験者の組み入れを評価するためにスクリーニング時
○被験者の安全性を評価するために各期間、以下の時点:投与前(投与より60分以内)、投与後10分、1時間及び72時間。
・臨床化学及び血清学:スクリーニング時において、1個の血液サンプルを採取する(絶食条件で少なくとも10時間)。
・血液学:スクリーニング時において、1個の血液サンプルを採取する(絶食条件で少なくとも10時間)。
・被験者の組み入れを評価するために、スクリーニング時において、血清妊娠検査(妊娠の可能性がある女性についてのみ)を行う。
・尿検査:検尿、薬物パネル及びコチニン検査のために、スクリーニング時において、尿サンプルを採取する。
・(無作為化のみにおいて)被験者の組み入れ及び被験者の安全性を評価するために、各期間において、尿妊娠検査(妊娠の可能性がある女性についてのみ)を行う。
【0202】
統計的方法:
主要PK変数
・固定効果として順に処置、順序、期間及び被験者を含む線形モデルを使用して、17−BMP、FF及びGB C
max及びAUC
0−t(活性炭有/無)を対数変換及び分析する。全ての予見される比較について、90%両側信頼区間(CI)を用いて、調整幾何学的平均の比を計算する。
【0203】
副次PK変数
・固定効果として順に処置、順序、期間及び被験者を含む線形モデルを使用して、17−BMP、FF及びGB AUC
0−∞、AUC
0−30min及びt
1/2(活性炭有/無)、BDP C
max及びAUC
0−t(活性炭有/無)を対数変換及び分析する。全ての予見される比較について、90%両側信頼区間(CI)を用いて、調整幾何学的平均の比を計算する。
・全ての予見される比較について、未変換データに対するウィルコクソン符号付順位検定及び位置変化のホッジス・レーマンノンパラメトリック推定を使用して、17−BMP、BDP、FF及びGB t
max(活性炭有/無)を分析する。
【0204】
・安全性変数
少なくとも1つのTEAE、薬物関連TEAE、重篤なTEAE、重度のTEAE、試験薬物中止につながるTEAE、及び死につながるTEAEを経験する被験者の数及び割合並びに事象の数を処置ごとに及び全体的に要約する。
【0205】
95%CIを用いて、投与前(各処置期間における同じ日)から投与後の各時点までの血圧及び心拍数の平均絶対値及び平均変化を処置ごとに計算する。