(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の接触部は、前記破砕部に外力が作用せず、径方向の外側へ拡張された自然状態において前記第2の接触部よりも前記破砕部の径方向の外側に位置する請求項1に記載の医療デバイス。
前記拡張した状態において、前記第1の接触部は、前記第2の接触部よりも前記破砕部の軸方向中心部の近くに位置する請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
【0013】
第1実施形態に係る医療デバイス10は、深部静脈血栓症において、血管内に挿入され、血栓を破壊して除去する処置に用いられる。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。なお、除去する物体は、必ずしも血栓に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。
【0014】
医療デバイス10は、
図1に示すように、長尺であって回転駆動されるシャフト部20と、シャフト部20を収容できる外シース90と、シャフト部20に対してスライド可能なスライド部50と、シャフト部20によって回転する破砕部60とを備えている。医療デバイス10は、さらに、シャフト部20を回転させる回転駆動部70と、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤ用管体40と、ガイドワイヤ用管体40の近位側端部に設けられるハブ80と、外シース90の近位側の側管91に連結されるシリンジ100とを備えている。
【0015】
シャフト部20は、近位側端部が回転駆動部70に位置している。シャフト部20は、回転駆動部70によって周方向に沿って往復動可能とされている。ただし、シャフト部20は往復動するものに限られず、一方向に回転するものであってもよい。
【0016】
ガイドワイヤ用管体40は、シャフト部20の中空内部に、遠位側端部からハブ80にわたって設けられる。ガイドワイヤ用管体40は、ガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメンを有している。
【0017】
外シース90は、シャフト部20の外側に同軸的に配置される。外シース90の内腔は、破砕部60を収納するだけでなく、負圧状態となって吸引力を生じさせる吸引ルーメンとしての機能も有する。外シース90の近位側端部は、Y字型に分岐しており、分岐の一方には、シャフト部20が回転駆動部70まで伸びている。分岐のもう一方である側管91には、シリンジ100を接続できる。シリンジ100を接続することによって、外シース90の内腔を吸引し、負圧状態とすることができる。また、側管91にシリンジ100を接続することによって、シリンジ100から血栓溶解剤を外シース90の内腔に注入することもできる。
【0018】
破砕部60は、シャフト部20の遠位部に設けられている。破砕部60は、複数(本実施形態では6本)の線材61を備えている。各々の各線材61は、3次元的に湾曲している。なお、線材61の数は、特に限定されない。各々の線材61は、シャフト部20の軸方向に沿っていずれも同じ周方向に向かう捻りを施されている。各線材61の近位側端部は、シャフト部20に対してスライド可能なスライド部50に固定されている。各線材61の遠位側端部は、シャフト部20に対して固定されている固定部51に固定されている。固定部51およびスライド部50に対する各線材61の固定位置は、周方向に並んでいる。また、各線材61の湾曲する軸方向の略中央部は、シャフト部20から径方向に離れた位置で、周方向に並んでいる。これにより、破砕部60は、全体としては周方向に均一な膨らみを有している。シャフト部20が回転すると、それに伴い破砕部60も回転し、血管内の血栓を破壊したり、あるいは破壊した血栓を撹拌したりすることができる。破砕部は、線材だけでなくステントのようなレーザーカットされたパイプでもよい。
【0019】
破砕部60は、径方向外側へ拡張され、外力が作用しない自然状態となる。自然状態とは、破砕部60が外力を作用しない状態で、破砕部60が外シース90の外部や、破砕部60より径が大きい血管の外に位置した状態をいう。破砕部60の第1の接触部62が、第2の接触部63よりも破砕部60の径方向の外側へ位置した状態を拡張状態という。自然状態は、拡張状態の中の一部で、破砕部60が外力を作用していない状態である。破砕部60は、自然状態において、3次元の
図2、
図4(A)、
図5(A)に示すように、破砕部60の径方向の最も外側に、第1の接触部62が位置する。つまり、第1の接触部62は、破砕部60の軸方向の最大外径を有する部分に位置する。
図2、
図4(A)、
図5(A)では、第1の接触部62は、破砕部60の軸方向の略中央部に位置する。第1の接触部62は、拡張状態において、後述する破砕部60の第2の接触部63よりも径方向外側に位置する部位である。各線材61の拡張状態における形状は、外力が作用しない自然状態の形状と略一致する。すなわち、各線材61は、拡張状態における形状に、熱処理によって予め形状付けられている。なお、各線材61は、必ずしも、拡張状態における形状に予め形状付けられてなくてもよい。
【0020】
また、各線材61は、拡張状態における周方向展開図において、
図3に示すように、スライド部50または固定部51に固定される固定範囲Sを除く実質範囲Aにおいて、近位側に第1の凸部64A、第2の凸部64Bおよび第3の凸部64Cを有している。第1の凸部64A、第2の凸部64Bおよび第3の凸部64Cは、周方向展開図において曲率半径が等しい。第1の凸部64Aおよび第3の凸部64Cは、周方向の同一側に突出している。第1の凸部64Aおよび第3の凸部64Cは、
図3中で一点鎖線により示す基準線L(線材に凸部がない場合の線材の位置)から、3次元的に約1.5mm突出している。第2の凸部64Bは、第1の凸部64Aおよび第3の凸部64Cに対して、周方向の逆側に突出している。第2の凸部64Bは、基準線Lから、3次元的に約1.5mm突出している。各線材61は、第1の凸部64Aの遠位側に第1の変曲点66Aを有し、第1の凸部64Aと第2の凸部64Bの間に第2の変曲点66Bを有する。各線材61は、第2の凸部64Bと第3の凸部64Cの間に第3の変曲点66Cを有する。各線材61は、第3の凸部64Cの近位側に第4の変曲点66Dを有する。なお、各線材61は、さらに変曲点を有してもよい。また、各線材61は、第1の変曲点66Aよりも遠位側に、周方向展開図(2次元)において直線と曲線が交わる移行部68を有する。各線材61は、第1の凸部64Aから移行部68までの範囲に、拡張状態において最も外径が大きくなる頂点69を有している。シャフト部20の中心軸から線材61まで距離、すなわち破砕部60としての半径は、頂点69を含む軸方向の所定の範囲において均一、または線材に凸部がない場合の破砕部と比較して均一に近い。これにより、拡張状態において、各線材61の軸方向に広い範囲が、接触対象に均一に接触できる。
【0021】
第1の接触部62は、拡張状態において、第2の接触部63よりも径方向外側に位置し、周方向展開図において、曲線と直線を含む。第1の接触部62は、周方向展開図において曲線状の第3の接触部62Aと、直線状の第4の接触部62Bを有している。第3の接触部62Aは、移行部68から第3の変曲点66Cまでの範囲である。したがって、第3の接触部62Aは、第1の凸部64Aおよび第2の凸部64Bを有している。第4の接触部62Bは、移行部68よりも遠位側であって、かつ第2の接触部63よりも径方向外側の部位である。第2の接触部63は、第3の変曲点66Cから第4の変曲点66Dまでの範囲である。したがって、第2の接触部63は、第3の凸部64Cを有している。移行部68は、周方向展開図において、第2の凸部64Bが突出する側と同じ側へ、基準線Lから離れている。なお、周方向展開図において、第1の接触部は、曲線のみであっても、直線のみであってもよい。
【0022】
拡張状態において、第3の接触部62Aおよび第4の接触部62Bは、第2の接触部63よりも径方向外側に位置する。第3の接触部62Aおよび第4の接触部62Bの径は、異なる部位と等しい部位が存在する。最も径方向外側の頂点69は、第3の接触部62Aに位置している。
【0023】
線材61は、形状や位置等の条件によって、接触対象に対する硬さが異なる。拡張状態において、破砕部60の端部に近くかつ曲線を有する第2の接触部63は、曲線を有する第3の接触部62Aよりも硬い。曲線を有する第3の接触部62Aは、曲線および直線を有する第4の接触部62Bよりも硬い。
【0024】
各線材61は、破砕部60が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した状態(収縮状態)において、
図4(B)、
図5(B)に示すように、径方向の最も外側に第2の接触部63が位置する。収縮状態とは、径方向の最も外側に第2の接触部63が位置するように、破砕部60が外シース90、破砕部60より径が小さい血管、破砕部60より径が小さくなるよう血栓によって詰まっている血管の内部に位置した状態をいう。第2の接触部63は、第3の凸部64C(
図3を参照)により構成される。収縮状態において、第1の接触部62は、第2の接触部63よりも径方向へ小さく収縮している。すなわち、第1の接触部62は、第2の接触部63よりも破砕部60の軸方向中央部の近くに位置するため、破砕部60が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部63よりも大きくシャフト部20の外表面に近づく。さらに、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部60の端部に第1の接触部62より近い第2の接触部63は、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。このため、破砕部60が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮しても、第2の接触部63はシャフト部20に近づき難いため、第1の接触部62よりも径方向の外側に位置することになる。したがって、拡張状態では、第1の接触部62は、第2の接触部63よりも径方向外側に位置するが、収縮状態では、第1の接触部62は、第2の接触部63よりも径方向内側に位置する。
【0025】
第2の接触部63は、第1の接触部62に含まれる第4の接触部62Bよりも曲率半径が小さい。このため、第1の接触部62および第2の接触部63は、接触対象に対して、異なる作用を生じさせることができる。本実施形態では、収縮状態で、第2の接触部63は、遠位側から見たとき、第2の接触部63に位置する第3の凸部64Cが、第1の接触部62の外径よりも大きいことによって、血栓や管腔組織に強く接触する。なお、第2の接触部63は、3次元的に湾曲しているため、見る方向によって形状が異なる。収縮状態で、第2の接触部63は、正面(遠位側)から見ると、線材61が軸方向に重なるために幅の狭い鋭利な突出部として観察される(
図5(B)を参照)。また、収縮状態で、第2の接触部63は、側方から見ると、正面から見る場合と比較して、幅の広いなだらかな突出部として観察される(
図4(B)を参照)。拡張状態で、第1の接触部62に含まれる第4の接触部62Bは、直線に近い形状で血栓や管腔組織に接触する。また、拡張状態で、第1の接触部62の外径は、頂点69を含む軸方向の所定の範囲において均一または均一に近い。そのため、拡張状態での第1の接触部62は、収縮状態での第2の接触部63よりも血栓や管腔組織に滑らかに接触する。
【0026】
3次元において、第2の接触部63は、第1の接触部62と同じ曲率半径であっても、接触対象に対して異なる作用を生じさせることができる。このとき、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部60の端部に第1の接触部62より近い第2の接触部63は、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。収縮状態で、第2の接触部63は、第1の接触部62よりも径方向外側に位置する。正面(遠位側)から見たとき、第2の接触部63に位置する第3の凸部64Cが、第1の接触部62の外径よりも大きいことによって、血栓や管腔組織に強く接触する。また、拡張状態で、第1の接触部62の外径は、収縮状態と異なり、第2の接触部63の外径よりも大きい。拡張状態で、第1の接触部62は、位置および傾きを変化できない破砕部60の端部から離れているため、収縮状態での第2の接触部63よりも血栓や管腔組織に滑らかに接触する。
【0027】
3次元において、第2の接触部63は、第1の接触部62(第4の接触部62B)よりも曲率半径が小さいため、第1の接触部62よりも、作用する力に対抗して変形し難い構造となっている。したがって、第2の接触部63は、第1の接触部62よりも硬い構造となり、接触対象に対する破壊力および撹拌力が高い。また、3次元において、第2の接触部63は、第1の接触部62と同じ曲率半径でもよい。このとき、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部60の端部に第1の接触部62より近い第2の接触部63は、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。したがって、第2の接触部63は、第1の接触部62よりも硬い構造となり、接触対象に対する破壊力および撹拌力が高い。
【0028】
また、第2の接触部63は、収縮状態において、第2の接触部63に位置する第3の凸部64Cが、正面から見て径方向外側へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部63は、収縮した状態において生体管腔内の物体に食い込みやすい。また、第2の接触部63は、収縮状態において、破砕部60の周方向(回転方向)へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部63は、回転することで生体管腔内の物体に強く食い込みやすい。
【0029】
破砕部60を構成する線材61は、可撓性を有する金属製の細線によって構成されている。破砕部60は、シャフト部20を目的部位に挿入するまで、外シース90の内部に納められた状態となっている。線材61を外シース90に収容する際には、外シース90をシャフト部20に対して遠位側へ移動させ、外シース90の遠位端部を破砕部60の近位部に押し付ける。これにより、スライド部50が、シャフト部20に沿って近位側へ移動し、線材61は、縮径されて外シース90の内部に収容される。シャフト部20を血管の目的部位まで挿入した後、外シース90をシャフト部20に対して近位側に移動させると、破砕部60は外シース90の外部に露出し、自己の弾性力により拡張する。このとき、スライド部50は、シャフト部20に沿って遠位側へ移動する。
【0030】
線材61は、弾性的に大きく変形できるように、形状記憶性を有した材料で構成されることが望ましい。線材61の構成材料は、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス、などが好適である。形状記憶合金としては、Ni−Ti系、Cu−Al−Ni系、Cu−Zn−Al系またはこれらの組み合わせなどが好適である。
【0031】
回転駆動部70は、
図1に示すように、駆動モータ71と、駆動モータ71をシャフト部20と連係させるギア部72とを有している。駆動モータ71を回転させることで、シャフト部20が周方向に回転する。本実施形態では、シャフト部20は周方向の正負二方向に向かって交互に回転するように、駆動モータ71によって駆動される。シャフト部20が、正負二方向に向かって交互に回転することで、血流が交互に反対方向を向くことができる。
【0032】
次に、第1実施形態に係る医療デバイス10の使用方法を、
図11に示すフローチャートを参照しつつ、血管内の血栓を破壊して吸引する場合を例として説明する。
【0033】
第1実施形態に係る医療デバイス10のシャフト部20を挿入する前に、血管内の血栓よりも下流側(血流が向う側)に、血管における流体の流通を制限するフィルタやバルーン等の保護部材を配置しておくことが望ましい。本実施形態では、
図6(A)に示すように、シース等から押し出すことで、自己の弾性力により拡張する線材からなる弾性体111と、弾性体111の外周面に配置される網状または膜状のフィルタ112と、弾性体111に連結されるワイヤ部113を備えるフィルタデバイス110を用いる。シース等から押し出された弾性体111が拡張してフィルタ112が血管に接触すると、フィルタ112が血液の流通を制限する。これにより、破壊した血栓が、血管内を流れて他の箇所に移動することを防止できる。
【0034】
次に、破砕部60を含むシャフト部20の遠位部が、外シース90に納められた状態の医療デバイス10を準備する。次に、医療デバイス10のガイドワイヤ用管体40のガイドワイヤルーメンにワイヤ部113の近位側端部を挿入する。次に、ワイヤ部113をガイドとして、医療デバイス10を血栓Bの遠位側へ到達させる(ステップS10)。この後、外シース90をシャフト部20に対して近位側へ移動させると、
図6(B)に示すように、破砕部60が外シース90の外部に露出し、自己の弾性力により拡張する。このとき、スライド部50は、シャフト部20に対して遠位側へ移動する。
【0035】
次に、破砕部60が血栓Bに接する状態または血栓Bに近接した状態で、回転駆動部70(
図1を参照)によりシャフト部20を回転させると、破砕部60もそれに伴って回転する(ステップS11)。このとき、破砕部60が拡張状態であるため、線材61の柔らかい第1の接触部62が、最も外側に位置している。このため、破砕部60が回転しても、柔らかい第1の接触部62が正常な血管(生体管腔組織)に接触し、硬い第2の接触部63が正常な血管に接触し難いため、血管の損傷を抑制できる。
【0036】
破砕部60が開存率の低い血栓Bの隙間に入り込むと、破砕部60は、血栓Bにより押圧されて収縮状態となる。これにより、
図7(A)に示すように、第1の接触部62よりも第2の接触部63が径方向の外側へ突出する。このため、破砕部60が回転すると、破砕部60が変形して、第1の接触部62よりも硬い第2の接触部63が血栓Bに接触し、血栓Bを効果的に破壊できる(ステップS12)。そして、第2の接触部63が破砕部60の近位部に位置するため、破砕部60が近位側へ移動することで、第2の接触部63が血栓Bに接触しやすい。このため、血栓Bを効率よく破壊できる。なお、血栓Bを破壊する部位は、第2の接触部63のみに限定されない。
【0037】
血栓Bの隙間の内部で破砕部60が正負二方向の往復回転を繰り返すと、
図8(A)に示すように、破砕部60が回転している状態から、
図8(B)に示すように、破砕部60の回転が停止した状態となる瞬間がある。回転方向を変更するために回転が停止、または低速となることで、回転する際に血栓Bから受ける反力が減少するために線材61が広がり、線材61の第2の接触部63が血栓Bに食い込む。このとき、第2の接触部63は、収縮状態において径方向外側へ凸状に湾曲しているため、血栓Bに食い込みやすい。このため、第2の接触部63が血栓Bに食んだ後に回転することで、
図8(C)、(D)に示すように、第2の接触部63が血栓Bをかきとり、血栓Bを効果的に破壊できる。また、第2の接触部63は、収縮状態において、破砕部60の周方向(回転方向)へ向かって凸状に湾曲している。このため、第2の接触部63は、回転することで血栓Bに強く食い込み、血栓Bを効果的に破壊できる。破砕部60は、回転および停止を繰り返すことで、停止時に血栓Bに食い込み、回転によって血栓をかきとる動作を繰り返す。これにより、破砕部60は、大量の血栓Bを速くかきとることができる。なお、破砕部60は、往復回転ではなく、一方向へのみ回転および停止を繰り返してもよい。この場合であっても、破砕部60は、停止時に血栓Bに食い込み、回転によって血栓をかきとる動作を繰り返すことができる。破砕部60が一方向へのみ回転する場合、回転は、完全に停止するのではなく、減速するだけでもよい。
【0038】
また、第2の接触部63は、周方向(回転方向)へ向かって突出しているため、
図9(A)に示すように、突出方向に回転すると、
図9(B)に示すように、破砕部60が拡張しながら血栓Bに食い込む。食い込みことで、撹拌により血栓Bを多くかきとることができる。また、第2の接触部63は、周方向(回転方向)へ向かって突出しているため、
図10(A)に示すように、突出方向の逆方向に回転すると、
図10(B)に示すように、破砕部60が収縮する。これにより、第2の接触部63が血栓Bから離れやすくなり、破砕部60を軸方向へ移動させることが容易となる。このように、破砕部60の往復回転を繰り返すことで、血栓Bのかきとりと軸方向への移動を効果的に繰り返すことが可能となる。
【0039】
破砕部60の往復回転を繰り返しつつ、軸方向へ繰り返し往復動をすることで、血管内の血栓Bを、第2の接触部63により徐々に破壊できる。血栓Bが徐々に削り取られて、血管の開存率が高くなると、破砕部60が徐々に拡張する。破砕部60が徐々に拡張状態に近づくと、所定の段階で、第1の接触部62が、第2の接触部63よりも径方向外側に位置することになる。したがって、血栓Bが除去されて血管が損傷する可能性が高くなるにつれて、柔らかい第1の接触部62が径方向外側に位置し、血管の損傷を抑制できる。
【0040】
血栓を破砕するために、破砕部60を回転および軸方向へ移動させる際には、外シース90の手元側の側管91に、血栓溶解剤を収容したシリンジ100を接続することができる。そして、破砕部60による血栓Bの破壊と同時に、シリンジ100の押し子を押し、外シース90の遠位側端部から血栓溶解剤を噴出させることも可能である。血栓溶解剤の噴出は連続的、断続的のいずれでもよく、噴出速度、噴出量も任意に変更可能である。血栓溶解剤を断続的に噴出する場合は、噴出を停止している間に吸引することも可能である。
【0041】
破砕部60による血栓の破砕と同時に溶解剤を噴出することで、破砕部60の破砕効果により発生した血栓の隙間に、効率的に溶解剤をしみ込ませることが可能となる。このため、破壊前の血栓を柔らかくしたり、溶解により血栓の体積を減少させたりすることが可能である。また、破砕された血栓を溶解することは、後に血栓を排出するための吸引量を減少させる効果もある。
【0042】
破壊された血栓Bは、フィルタデバイス110により止められる。この後、吸引用のシリンジ100(
図1を参照)の押し子を引いて、外シース90の内部を負圧状態とする。これにより、外シース90の遠位側の開口部から、破壊された血栓Bを吸引し、血管外へ排出できる。
【0043】
血栓Bの吸引が完了した後、シャフト部20の回転動を停止する(ステップS13)。次に、破砕部60を外シース90に収容し、医療デバイス10を血管から抜去する。この後、フィルタデバイス110をシース等に収容して血管から抜去し、処置が完了する(ステップS14)。
【0044】
以上のように、実施形態に係る医療デバイス10は、生体管腔に挿入されて当該生体管腔の血栓B(物体)を破壊するためのデバイスであって、回転駆動される長尺なシャフト部20と、シャフト部20に連結されて回転可能であり、シャフト部20に沿って延在する変形可能な破砕部60と、を有し、破砕部60は、第1の接触部62と、第2の接触部63と、を有し、第1の接触部62は、破砕部60が径方向の外側へ拡張した状態において破砕部60の径方向の最も外側に位置し、第2の接触部63は、拡張した状態よりも収縮した状態において第1の接触部62よりも破砕部60の径方向の外側に位置する。
【0045】
上記のように構成した医療デバイス10は、破壊対象である血栓Bが多く開存率が低い場合に、破砕部60が収縮して第2の接触部63が外側に位置して血栓Bに接触し、血栓Bを効率よく破壊できる。そして、破壊対象である血栓Bが少なく開存率が高い場合に、破砕部60が拡張状態となって第1の接触部62が最も外側に位置し、破砕部60の回転による血管の負担を低減できる。
【0046】
また、第1の接触部62は、破砕部60に外力が作用せず、径方向の外側へ拡張された自然状態において第2の接触部63よりも破砕部60の径方向の外側に位置する。このように、自然状態のときに、第1の接触部62が第2の接触部63よりも破砕部60の径方向の外側に確実に位置するため、破砕部60が径方向の外側へ拡張した状態において、第1の接触部62が第2の接触部63よりも破砕部60の径方向の外側に位置することができる。
【0047】
また、第2の接触部63は、第1の接触部62よりも硬い。これにより、破壊対象である血栓Bが多く開存率が低い場合に、破砕部60が収縮して第1の接触部62よりも硬い第2の接触部63が外側に位置する。このため、硬い第2の接触部63が血栓Bに接触し、血栓Bを効率よく破壊できる。そして、破壊対象である血栓Bが少なく開存率が高い場合に、破砕部60が拡張状態となって第2の接触部63よりも柔らかい第1の接触部62が最も外側に位置する。このため、硬い第2の接触部63が血管に接触することが抑制され、破砕部60の回転による血管の負担を低減できる。
【0048】
また、第1の接触部62は、第2の接触部63と形状が異なる。これにより、第1の接触部62および第2の接触部63は、接触対象に対して、異なる力を作用させことができる。
【0049】
また、拡張した状態において、第1の接触部62は、第2の接触部63よりも破砕部60の軸方向中心部の近くに位置する。これにより、収縮した状態において、第2の接触部63が破砕部60の径方向の最も外側に位置する構造であっても、拡張した状態において、線材61が撓むことで第2の接触部63よりも中央部に近い第1の接触部62が、最も外側に移動することができる。
【0050】
また、拡張した状態において、第2の接触部63は、第1の接触部62に含まれる第4の接触部62Bよりも小さい曲率半径で湾曲している。これにより、第2の接触部63は、第1の接触部62よりも、作用する力に対抗して変形し難い構造となり、血栓Bを効率よく破壊できる。
【0051】
また、第2の接触部63は、収縮した状態において、径方向外側へ向かって凸状に湾曲している。これにより、第2の接触部63は、収縮した状態において血栓Bに食い込みやすくなるため、回転することで物体を効果的に破壊できる。
【0052】
また、第2の接触部63は、収縮した状態において、回転方向へ向かって凸状に湾曲している。これにより、第2の接触部63は、回転することで物体に強く食い込み、血栓Bを効果的に破壊して掻き取ることができる。
【0053】
また、線材61のシャフト部20に対して連結される遠位側の連結部および近位側の連結部の位置が、周方向に異なる。これにより、線材61は全体として螺旋状となるため、生体管腔組織に対する接触面積が増加し、柔らかい第1の接触部62が生体管腔組織に対して滑らかに接触できる。また、線材61が螺旋状となることで、回転方向から作用する力に対抗しやすくなるため、硬い第2の接触部63により、生体管腔組織を効果的に破壊できる。
【0054】
また、線材61は、拡張した状態において、第1の接触部62と第2の接触部63の間に変曲点66を有する。これにより、第1の接触部62および第2の接触部63は、異なる方向へ湾曲するため、接触対象に対して、異なる作用を生じさせることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る医療デバイス10は、生体管腔に挿入されて当該生体管腔の血栓B(物体)を破壊するためのデバイスであって、回転駆動される長尺なシャフト部20と、シャフト部20に連結されて回転可能であり、シャフト部20に沿って延在しつつ周方向に並ぶ変形可能な複数の線材61を備える破砕部60と、を有し、複数の線材61は、第1の接触部62と、第1の接触部62よりも硬い第2の接触部63と、を有する。上記のように構成した医療デバイス10は、破壊対象である血栓Bを、第1の接触部62よりも硬い第2の接触部63により効率よく破壊できる。そして、第2の接触部63よりも柔らかい第1の接触部62により、破砕部60の回転による血管の負担を低減できる。
【0056】
また、本発明は、前述の医療デバイス10を使用して生体管腔内の血栓B(物体)を破壊するための処置方法をも提供する。当該方法は、シャフト部20を生体管腔に挿入して破砕部60を血栓Bの近傍に送達するステップS10と、破砕部60を血栓Bの隙間に挿入し、血栓Bの隙間の大きさに応じて破砕部60を自己の弾性力により変形させ、血栓Bに接する位置を第1の接触部62または第2の接触部63で径方向に変化させつつ、シャフト部20により破砕部60を回転させて血栓Bを破壊するステップS12と、を有する。上記のように構成した処置方法は、血栓Bを破壊するステップにおいて、血栓Bが多く開存率が低い場合に、破砕部60が収縮して第1の接触部62よりも硬い第2の接触部63が最も外側に位置して血栓Bに接触し、生体管腔内の血栓Bを効率よく破壊できる。そして、破壊対象である血栓Bが少なく開存率が高い場合に、破砕部60が拡張状態となって第1の接触部62が最も外側に位置し、破砕部60の回転による管腔組織の負担を低減できる。
<第2実施形態>
【0057】
第2実施形態に係る医療デバイスは、破砕部200のみが、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
破砕部200は、複数(本実施形態では6本)の線材201を備えている。なお、線材201の数は、特に限定されない。各線材201は、破砕部200が径方向外側へ拡張した拡張状態において、
図12、
図14(A)、
図15(A)に示すように、径方向の最も外側に第1の接触部202が位置する。第1の接触部202は、破砕部200の軸方向において最大外径を有する部分に位置する。第1の接触部202は、拡張状態において、後述する破砕部200の第2の接触部203よりも径方向外側に位置する部位である。第1の接触部202は、第2の接触部203よりも、破砕部200の軸方向の中央部の近くに位置する。各線材201の拡張状態における形状は、外力が作用しない自然状態の形状と略一致する。したがって、各線材201は、拡張状態における形状に、熱処理によって予め形状付けられている。
【0059】
また、線材201は、拡張状態における周方向展開図において、
図13に示すように、スライド部50または固定部51に固定される固定範囲Sを除く実質範囲Aにおいて、近位側に1つの凸部205を有している。凸部205は、3次元的に約6mm突出している。各線材201は、凸部205の遠位側に第1の変曲点206Aを有し、凸部205の近位側に第2の変曲点206Bを有する。なお、各線材201は、さらに変曲点を有してもよい。また、各線材201は、第1の変曲点206Aよりも遠位側に、周方向展開図において直線と曲線が交わる移行部207を有する。各線材201は、移行部207よりも遠位側に、拡張状態において最も外径が大きくなる頂点208を有している。
【0060】
第2の接触部203は、第1の変曲点206Aから第2の変曲点206Bまでの範囲である。したがって、第2の接触部203は、凸部205を有している。移行部207は、基準線Lから周方向へ離れている。第1の接触部202は、拡張状態において、第2の接触部203よりも径方向外側に位置し、周方向展開図において直線である。なお、第1の接触部は、周方向展開図において、曲線のみであっても、曲線および直線であってもよい。
【0061】
各線材201は、破砕部200が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、
図14(B)、
図15(B)に示すように、径方向の最も外側に第2の接触部203が位置する。第2の接触部203は、凸部205(
図9を参照)により構成される。3次元において、第2の接触部203の曲率半径は、第1の接触部202よりも小さい。第2の接触部203は、第1実施形態における第2の接触部63よりも突出量が大きい。収縮状態において、第1の接触部202は、第2の接触部203よりも径方向へ小さく収縮している。すなわち、第1の接触部202は、破砕部200の軸方向中央部の近くに位置するため、破砕部200が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部203よりも大きくシャフト部20の外表面に近づく。さらに、第2の接触部203の曲率半径が第1の接触部202の曲率半径よりも小さいため、第2の接触部203は第1の接触部202よりも直線状に伸び難い。さらに、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部200の端部に近い第2の接触部203は、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。このため、破砕部200が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部203は湾曲が残り、かつシャフト部20に近づき難いため、第1の接触部202よりも径方向の外側に位置することになる。
【0062】
第1の接触部202および第2の接触部203は、3次元において、異なる方向へ湾曲し、かつ曲率半径が異なる。このため、接触対象に対して、異なる作用を生じさせることができる。本実施形態では、収縮状態で、第2の接触部203は、遠位側から見たとき、第2の接触部203に位置する凸部205が、第1の接触部202の外径よりも大きいことによって、血栓Bまたは管腔組織に強く接触する。なお、第2の接触部203は、3次元的に湾曲しているため、見る方向によって形状が異なる。収縮状態で、第2の接触部203は、正面から見ると、線材201が軸方向に重なるために幅の狭い鋭利な突出部として観察される(
図15(B)を参照)。また、収縮状態で、第2の接触部203は、側方から見ると、正面から見る場合と比較して、幅の広いなだらかな突出部として観察される(
図14(B)を参照)。拡張状態で、第1の接触部202は、直線に近い形状となって血栓Bまたは管腔組織に滑らかに接触する。
【0063】
3次元において、第2の接触部203は、第1の接触部202よりも曲率半径が小さいため、第1の接触部202よりも、作用する力に対抗して変形し難い構造となっている。また、第2の接触部203は、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部200の端部に第1の接触部202より近いため、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。したがって、第2の接触部203は、第1の接触部202よりも硬い構造となり、破壊力および撹拌力が高い。なお、3次元において、第1の接触部は、第2の接触部と同じ曲率半径であっても、接触対象に対して異なる作用を生じさせることができる。
【0064】
また、第2の接触部203は、収縮状態において、正面から見て径方向外側へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部203は、収縮した状態において生体管腔内の血栓Bに食い込みやすい。また、第2の接触部203は、収縮状態において、破砕部200の周方向(回転方向)へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部203は、回転することで生体管腔内の血栓Bに強く食い込みやすい。
【0065】
第2実施形態に係る医療デバイスは、第1実施形態における第2の接触部63よりも大きな第2の接触部203を有している。このため、第2の接触部203が第1の接触部202よりも径方向外側に位置する収縮状態において、高い破壊力および撹拌力を備えている。
<第3実施形態>
【0066】
第3実施形態に係る医療デバイスは、破砕部300のみが、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0067】
破砕部300は、複数(本実施形態では6本)の線材301を備えている。なお、線材301の数は、特に限定されない。各線材301は、破砕部300が径方向外側へ拡張した拡張状態において、
図16、
図18(A)、
図19(A)に示すように、径方向の最も外側に第1の接触部302が位置する。第1の接触部302は、破砕部300の軸方向において最大外径を有する部分に位置する。第1の接触部302は、拡張状態において、後述する破砕部300の第2の接触部303よりも径方向外側に位置する。第1の接触部302は、第2の接触部303よりも、破砕部300の軸方向の中央部の近くに位置する。各線材301の拡張状態における形状は、外力が作用しない自然状態の形状と略一致する。したがって、各線材301は、拡張状態における形状に、熱処理によって予め形状付けられている。
【0068】
また、線材301は、拡張状態における周方向展開図において、
図17に示すように、スライド部50または固定部51に固定される固定範囲Sを除く実質範囲Aにおいて、近位側に第1の凸部305と、第1の凸部305と反対側へ湾曲するように突出する第2の凸部306を有している。第1の凸部305は、3次元的に約6mm突出している。各線材301は、第1の凸部305と第2の凸部306の間に、変曲点307を有する。なお、各線材301は、さらに変曲点を有してもよい。また、各線材301は、変曲点307よりも遠位側に、周方向展開図において直線と曲線が交わる移行部308を有する。各線材301は、移行部308よりも遠位側に、拡張状態において最も外径が大きくなる頂点309を有している。
【0069】
第2の接触部303は、変曲点307から移行部308までの範囲である。したがって、第2の接触部303は、第1の凸部305を有している。なお、第2の接触部303は、変曲点307から移行部308までと定義したが、これに限定されず、例えば第1の凸部305および第2の凸部306を含む範囲で定義することもできる。第1の接触部302は、拡張状態において、第2の接触部303よりも径方向外側に位置し、周方向展開図において直線である。なお、第1の接触部は、周方向展開図において、曲線のみであっても、曲線および直線であってもよい。
【0070】
各線材301は、破砕部300が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、
図18(B)、
図19(B)に示すように、径方向の最も外側に第2の接触部303が位置する。第2の接触部303は、第1の凸部305(
図17を参照)により構成される。第2の接触部303の曲率半径は、第1の接触部302の曲率半径よりも小さい。第2の接触部303は、第1実施形態における第2の接触部63よりも突出量が大きい。収縮状態において、第1の接触部302は、第2の接触部303よりも径方向へ小さく収縮している。すなわち、第1の接触部302は、破砕部300の軸方向中央部の近くに位置するため、破砕部300が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部303よりも大きくシャフト部20の外表面に近づく。さらに、第2の接触部303の曲率半径が第1の接触部302の曲率半径よりも小さいため、第2の接触部303は第1の接触部302よりも直線状に伸び難い。さらに、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない端部に近い第2の接触部303は、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。このため、破砕部300が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部303は湾曲が残り、かつシャフト部20に近づき難く、第1の接触部302よりも径方向の外側に位置することになる。
【0071】
第1の接触部302および第2の接触部303は、3次元において、異なる方向へ湾曲し、かつ曲率半径が異なる。このため、接触対象に対して、異なる作用を生じさせることができる。本実施形態では、収縮状態で、第2の接触部303は、遠位側から見たとき、第2の接触部303に位置する凸部305が、第1の接触部302の外径よりも大きいことによって、血栓Bまたは管腔組織に強く接触する。なお、第2の接触部303は、3次元的に湾曲しているため、見る方向によって形状が異なる。収縮状態で、第2の接触部303は、正面から見ると、線材301が軸方向に重なるために幅の狭い鋭利な突出部として観察される(
図19(B)を参照)。また、収縮状態で、第2の接触部303は、側方から見ると、正面から見る場合と比較して、幅の広いなだらかな突出部として観察される(
図18(B)を参照)。拡張状態で、第1の接触部302は、直線に近い形状となって血栓Bまたは管腔組織に滑らかに接触する。なお、第2の接触部の凸部は、1つの曲線ではなく、複数の異なる曲線を有してもよい。また、第2の接触部の凸部は、例えば曲線と直線を有してもよい。
【0072】
3次元において、第2の接触部303は、第1の接触部302よりも曲率半径が小さいため、第1の接触部302よりも、作用する力に対抗して変形し難い構造となっている。また、第2の接触部303は、スライド部50に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部300の端部に第1の接触部302より近いため、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。したがって、第2の接触部303は、第1の接触部302よりも硬い構造となり、破壊力および撹拌力が高い。なお、3次元において、第1の接触部は、第2の接触部と同じ曲率半径であっても、接触対象に対して異なる作用を生じさせることができる。
【0073】
また、第2の接触部303は、収縮状態において、正面から見て径方向外側へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部303は、収縮した状態において生体管腔内の血栓Bに食い込みやすい。また、第2の接触部303は、収縮状態において、破砕部300の周方向(回転方向)へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部303は、回転することで生体管腔内の血栓Bに強く食い込みやすい。
【0074】
第3実施形態に係る医療デバイスは、第1実施形態における第2の接触部63よりも大きな第2の接触部303を有している。このため、第2の接触部303が第1の接触部302よりも径方向外側に位置する収縮状態において、高い破壊力および撹拌力を備えている。
<第4実施形態>
【0075】
第4実施形態に係る医療デバイスは、破砕部400のみが、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
破砕部400は、複数(本実施形態では6本)の線材401を備えている。なお、線材401の数は、特に限定されない。各線材401は、破砕部400が径方向外側へ拡張した拡張状態において、
図20(A)に示すように、径方向の最も外側に第1の接触部402が位置する。第1の接触部402は、破砕部400の軸方向において最大外径を有する部分に位置する。第1の接触部402は、拡張状態において、後述する破砕部400の第2の接触部403および第3の接触部404よりも径方向外側に位置する。第1の接触部402は、第2の接触部403よりも、破砕部400の軸方向の中央部の近くに位置する。各線材401の拡張状態における形状は、外力が作用しない自然状態の形状と略一致する。したがって、各線材401は、拡張状態における形状に、熱処理によって予め形状付けられている。
【0077】
また、線材401は、拡張状態における周方向展開図において、
図21に示すように、スライド部50または固定部51に固定される固定範囲Sを除く実質範囲Aにおいて、近位側に第1の凸部405Aと、第1の凸部405Aと反対側へ湾曲するように突出する第2の凸部405Bを有している。また、線材401は、実質範囲Aにおいて、遠位側に第3の凸部405Cと、第3の凸部405Cと反対側へ湾曲するように突出する第4の凸部405Dを有している。第1の凸部405Aと第4の凸部405Dは、周方向展開図において、周方向の同じ側へ突出している。第2の凸部405Bと第3の凸部405Cは、周方向展開図において、周方向の同じ側へ突出している。各線材401は、第1の凸部405Aと第2の凸部405Bの間に、第1の変曲点406Aを有する。また、各線材401は、第3の凸部405Cと第4の凸部405Dの間に、第2の変曲点406Bを有する。なお、各線材401は、さらに変曲点を有してもよい。また、各線材401は、第1の凸部405Aの遠位側に、周方向展開図において直線と曲線が交わる第1の移行部407Aを有する。また、各線材401は、第3の凸部405Cの近位側に、周方向展開図において直線と曲線が交わる第2の移行部407Bを有する。各線材401は、第1の移行部407Aと第2の移行部407Bの間に、拡張状態において最も外径が大きくなる頂点408を有している。
【0078】
第2の接触部403は、第1の変曲点406Aから第1の移行部407Aまでの範囲である。したがって、第2の接触部403は、第1の凸部405Aを有している。なお、第2の接触部403は、第1の変曲点406Aから第1の移行部407Aまでと定義したが、これに限定されず、例えば第1の凸部405Aおよび第2の凸部405Bを含む範囲で定義することもできる。
【0079】
第3の接触部404は、第2の変曲点406Bから第2の移行部407Bまでの範囲である。したがって、第3の接触部404は、第3の凸部405Cを有している。なお、第3の接触部403は、第2の変曲点406Bから第2の移行部407Bまでと定義したが、これに限定されず、例えば第3の凸部405Cおよび第4の凸部405Dを含む範囲で定義することもできる。
【0080】
第1の接触部402は、拡張状態において、第1の移行部407Aと第2の移行部407Bの間に位置し、周方向展開図において直線である。なお、第1の接触部は、周方向展開図において、曲線のみであっても、曲線および直線であってもよい。
【0081】
各線材401は、破砕部400が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、
図20(B)に示すように、第1の接触部402よりも径方向の外側に、第2の接触部403および第3の接触部404が位置する。第2の接触部403は、第1の凸部405Aを有している。第2の接触部403の曲率半径は、第1の接触部402の曲率半径よりも小さい。第3の接触部404は、第3の凸部405Cを有している。第3の接触部403の曲率半径は、第1の接触部402の曲率半径よりも小さい。収縮状態において、第1の接触部402は、第2の接触部403および第3の接触部404よりも径方向へ小さく収縮している。すなわち、第1の接触部402は、破砕部400の軸方向中央部の近くに位置するため、破砕部400が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部403および第3の接触部404よりも大きくシャフト部20の外表面に近づく。さらに、第2の接触部403および第3の接触部404の曲率半径が第1の接触部402の曲率半径よりも小さいため、第2の接触部403および第3の接触部404は第1の接触部402よりも直線状に伸び難い。さらに、破砕部400の端部に近い第2の接触部403および第3の接触部404は、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。このため、破砕部400が軸方向へ延伸することで径方向へ収縮すると、第2の接触部403および第3の接触部404は湾曲が残り、かつシャフト部20に近づき難く、第1の接触部402よりも径方向の外側に位置することになる。
【0082】
第1の接触部402、第2の接触部403および第3の接触部404は、3次元において、異なる方向へ湾曲し、かつ曲率半径が異なる。このため、第1の接触部402、第2の接触部403および第3の接触部404は、接触対象に対して、異なる作用を生じさせることができる。なお、第2の接触部403および第3の接触部404は、曲率半径が同じでもよい。収縮状態で、第2の接触部403は、遠位側から見たとき、第2の接触部403に位置する第1の凸部405Aが、第1の接触部402の外径よりも大きいことによって、血栓Bまたは管腔組織に強く接触する。なお、第2の接触部403は、3次元的に湾曲しているため、見る方向によって形状が異なる。収縮状態で、第2の接触部403は、正面から見ると、線材401が軸方向に重なるために幅の狭い鋭利な突出部として観察される。また、収縮状態で、第2の接触部403は、側方から見ると、正面から見る場合と比較して、幅の広いなだらかな突出部として観察される(
図20(B)を参照)。また、収縮状態で、第3の接触部404は、遠位側から見たとき、第3の接触部404に位置する第3の凸部405Cが、第1の接触部402の外径よりも大きいことによって、血栓Bまたは管腔組織に強く接触する。なお、第3の接触部404は、3次元的に湾曲しているため、見る方向によって形状が異なる。収縮状態で、第3の接触部404は、正面から見ると、線材401が軸方向に重なるために幅の狭い鋭利な突出部として観察される。また、収縮状態で、第3の接触部404は、側方から見ると、正面から見る場合と比較して、幅の広いなだらかな突出部として観察される(
図20(B)を参照)。拡張状態で、第1の接触部402は、直線に近い形状となって血栓Bまたは管腔組織に滑らかに接触する。
【0083】
3次元において、第2の接触部403および第3の接触部404は、第1の接触部402よりも曲率半径が小さいため、第1の接触部402よりも、作用する力に対抗して変形し難い構造となっている。また、第2の接触部403および第3の接触部404は、スライド部50または固定部51に固定されて位置および傾きを変化できない破砕部400の端部に第1の接触部402より近いため、この端部の影響を受けて、変形し難く、シャフト部20の外表面に近づき難い。したがって、第2の接触部403および第3の接触部404は、第1の接触部402よりも硬い構造となり、破壊力および撹拌力が高い。なお、3次元において、第1の接触部、第2の接触部および第3の接触部は、同じ曲率半径であっても、接触対象に対して異なる作用を生じさせることができる。
【0084】
また、第2の接触部403および第3の接触部404は、収縮状態において、正面から見て径方向外側へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部403および第3の接触部404は、収縮した状態において生体管腔内の血栓Bに食い込みやすい。また、第2の接触部403および第3の接触部404は、収縮状態において、破砕部400の周方向(回転方向)へ向かって凸形状となり、凸形状は湾曲している。このため、第2の接触部403および第3の接触部404は、回転することで生体管腔内の血栓Bに強く食い込みやすい。
【0085】
第4実施形態に係る医療デバイスは、破壊対象である血栓Bが多く開存率が低い場合に、破砕部400が収縮して第1の接触部402よりも硬い第2の接触部403および第3の接触部404が外側に位置して血栓Bに接触し、血栓Bを効率よく破壊できる。そして、破壊対象である血栓Bが少なく開存率が高い場合に、破砕部400が拡張状態となって第1の接触部402が最も外側に位置し、破砕部400の回転による血管の負担を低減できる。そして、第2の接触部403は、第1の接触部402の近位側に位置し、第3の接触部404は、第1の接触部402の遠位側に位置する。このため、第4実施形態に係る医療デバイスは、破砕部400を近位側へ移動させる際に第2の接触部403によって血栓Bを破壊するだけでなく、破砕部400を遠位側へ移動させる際に、第3の接触部404によって血栓Bを破壊できるため、破壊および撹拌の性能が高い。
<第5実施形態>
【0086】
第5実施形態に係る医療デバイスは、破砕部500のみが、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0087】
破砕部500は、
図22に示すように、2種類の異なる第1の線材501および第2の線材502を備えている。第1の線材501および第2の線材502は、周方向に交互に配置されている。なお、第1の線材501および第2の線材502の数は、特に限定されない。第1の線材501は、第1の接触部501Aと、第2の接触部501Bを有している。破砕部500が径方向外側へ拡張した拡張状態において、第1の接触部501Aは、径方向の最も外側に位置する。第1の接触部501Aは、拡張状態において、第2の接触部501Bよりも径方向外側に位置する。破砕部500が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、第2の接触部501Bは、第1の接触部501Aよりも、径方向の外側に位置することができる。
【0088】
第2の線材502は、第1の接触部502Aと、第2の接触部502Bを有している。破砕部500が径方向外側へ拡張した拡張状態において、第1の接触部502Aは、径方向の最も外側に位置する。すなわち、第1の接触部502Aの径方向への長さは、第1の線材501の第1の接触部501Aの径方向への長さと一致する。なお、第1の接触部501Aの径方向への長さと第1の接触部502Aの径方向への長さは、異なってもよい。第1の接触部502Aは、拡張状態において、第2の接触部502Bよりも径方向外側に位置する。破砕部500が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、第2の接触部502Bは、第1の接触部502Aよりも、径方向の外側に位置することができる。拡張状態および収縮状態において、第2の接触部502Bの軸方向の位置P2は、第1の線材501の第2の接触部501Bの軸方向の位置P1よりも近位側に位置する。
【0089】
第5実施形態に係る医療デバイスは、異なる第1の線材501および第2の線材502を有し、第1の線材501の第2の接触部501Bの軸方向の位置P1が、第2の線材502の第2の接触部502Bの軸方向の位置P2と異なる。このため、医療デバイスは、軸方向の異なる位置P1、P2で、血栓等の物体を破壊または撹拌でき、高い破壊力および撹拌力を備えている。
<第6実施形態>
【0090】
第6実施形態に係る医療デバイスは、破砕部600のみが、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0091】
破砕部600は、
図23に示すように、2種類の異なる第1の線材601および第2の線材602を備えている。第1の線材601および第2の線材602は、周方向に交互に配置されている。なお、第1の線材601および第2の線材602の数は、特に限定されない。第1の線材601は、第1の接触部601Aと、第2の接触部601Bを有している。破砕部600が径方向外側へ拡張した拡張状態において、第1の接触部601Aは、径方向の最も外側に位置する。第1の接触部601Aは、拡張状態において、第2の接触部601Bよりも径方向外側に位置する。破砕部600が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、第2の接触部601Bは、第1の接触部601Aよりも、径方向の外側に位置することができる。
【0092】
第2の線材602は、第1の接触部602Aと、第2の接触部602Bを有している。破砕部600が径方向外側へ拡張した拡張状態において、第1の接触部602Aは、径方向の最も外側に位置する。すなわち、第1の接触部602Aの径方向への長さは、第1の線材601の第1の接触部601Aの径方向への長さと一致する。なお、第1の接触部601Aの径方向への長さと第1の接触部602Aの径方向への長さは、異なってもよい。第1の接触部602Aは、拡張状態において、第2の接触部602Bよりも径方向外側に位置する。破砕部600が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、第2の接触部602Bは、第1の接触部602Aよりも、径方向の外側に位置することができる。拡張状態において、第1の線材601の第2の接触部601Bの径方向への長さD1は、第2の接触部602Bの径方向への長さD2よりも大きい。収縮状態において、第1の線材601および第2の線材602は全体的に径方向へ収縮する。このため、収縮状態におけるD1とD2の差は、拡張状態におけるD1とD2の差よりも小さくなる。第2の接触部601Bの軸方向の位置と、第2の接触部602Bの軸方向の位置は、略一致するが、一致しなくてもよい。
【0093】
第6実施形態に係る医療デバイスは、異なる第1の線材601および第2の線材602を有し、第1の線材601の第2の接触部601Bの径方向への長さD1が、第2の線材602の第2の接触部602Bの径方向への長さD2と異なる。そして、D1とD2の差は、破砕部600が拡張するほど大きくなる。このため、破砕部600が拡張するほど、径方向への長さの小さい第2の接触部602Bが血管に接触し難くなる。したがって、医療デバイスの安全性が向上する。
<第7実施形態>
【0094】
第7実施形態に係る医療デバイスは、破砕部700のみが、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0095】
破砕部700は、
図24に示すように、2種類の異なる第1の線材701および第2の線材702を備えている。第1の線材701および第2の線材702は、周方向に交互に配置されている。なお、第1の線材701および第2の線材702の数は、特に限定されない。第1の線材701は、第1の接触部701Aと、第2の接触部701Bを有している。破砕部700が径方向外側へ拡張した拡張状態において、第1の接触部701Aは、径方向の最も外側に位置する。第1の接触部701Aは、拡張状態において、第2の接触部701Bよりも径方向外側に位置する。破砕部700が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、第2の接触部701Bは、第1の接触部701Aよりも、径方向の外側に位置することができる。
【0096】
第2の線材702は、第1の接触部702Aを有している。破砕部700が径方向外側へ拡張した拡張状態において、第1の接触部702Aは、径方向の最も外側に位置する。すなわち、第1の接触部702Aは、第1の線材701の径方向への長さは、第1の接触部701Aの径方向への長さと一致する。なお、第1の接触部701Aの径方向への長さと第1の接触部702Aの径方向への長さは、異なってもよい。第2の線材702は、破砕部700が拡張状態よりも径方向内側へ収縮した収縮状態において、第1の接触部702Aよりも径方向の外側に位置する第2の接触部を備えていない。
【0097】
第7実施形態に係る医療デバイスは、異なる第1の線材701および第2の線材702を有し、第1の線材701のみが、収縮状態において第1の接触部702Aよりも径方向の外側に位置する第2の接触部701Bを有している。このため、破砕部700に設けられる第2の接触部701Bの数を適切に設定することが可能である。したがって、破砕部700の破壊力を望ましい値に設定できる。
【0098】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、医療デバイスが挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。したがって、破壊する物体は、血栓でなくてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態では、第1の接触部の近位側に第2の接触部が位置するが、第1の接触部が第2の接触部の遠位側に位置してもよい。また、第1の接触部の遠位側と近位側の両方に、第2の接触部が設けられてもよい。また、1つの線材に、複数の第2の接触部が並んで設けられてもよい。
【0100】
また、破砕部を構成する線材は、シャフト部に対して連結される遠位側の連結部および近位側の連結部の位置が、周方向に同じであってもよい。したがって、破砕部を構成する線材は、螺旋状でなくてもよく、例えば周方向展開図において軸方向に直線状であってもよい。
【0101】
また、柔らかい第1の接触部と硬い第2の接触部を構成する方法として、柔らかい第1の接触部における線材の線径を細くし、硬い第2の接触部における線材の線径を太くしてもよい。第1の接触部が設けられる線材と第2の接触部が設けられる線材は、同一であっても、異なってもよい。
【0102】
また、柔らかい第1の接触部における線材を柔らかい材料とし、硬い第2の接触部における線材を第1の接触部よりも硬い材料としてもよい。第1の接触部が設けられる線材と第2の接触部が設けられる線材は、同一であっても、異なってもよい。
【0103】
また、柔らかい第1の接触部が設けられる線材を単線とし、硬い第2の接触部が設けられる線材を撚り線としてもよい。また、線材の一部にコーティングを施し、その部位を硬い第2の接触部としてもよい。
【0104】
また、線材の一部を潰して(断面形状を変化させて)曲がりやすくして、第1の接触部としてもよい。また、線材の一部を潰して(断面形状を変化させて)曲がり難くして、第2の接触部としてもよい。また、線材に可動部(例えば、ユニバーサルジョイント)を設置して曲がりやすくすることで、第1の接触部を設けてもよい。
【0105】
また、線材の一部に焼き入れまたは焼きなましを施すことで、硬い第1の接触部または柔らかい第2の接触部を設けてもよい。また、線材の一部にコルゲート加工(螺旋状に削る加工)を施して、柔らかい第1の接触部を設けてもよい。
【0106】
また、線材を管体とし、管体にスパイラルカットを施すことで、柔らかい第1の接触部を設けてもよい。また、線材を管体とし、管体の一部に芯金を設置することで、硬い第2の接触部を設けてもよい。
【0107】
また、第1の接触部が設けられる線材と第2の接触部が設けられる線材が異なる場合、線材の数が異なってもよい。例えば、第2の接触部が設けられる線材を多くすることで、破壊力および撹拌力を増加できる。
【0108】
また、第1の実施形態では、破砕部60の近位部がシャフト部20に対してスライド可能なスライド部50に固定されているが、破砕部の遠位部がスライド部に固定されてもよい。
【0109】
さらに、本出願は、2016年8月23日に出願された日本特許出願番号2016−162423号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。