特許第6963557号(P6963557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許69635574−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及び調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963557
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】4−((6−(2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロピル)ピリジン−3−イル)オキシ)ベンゾニトリル及び調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20211028BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20211028BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20211028BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20211028BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   C07D401/06
   A01N43/653 C
   A01P3/00
   A61K31/4439
   A61P31/04
【請求項の数】24
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-545129(P2018-545129)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-535263(P2018-535263A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】US2016062447
(87)【国際公開番号】WO2017087619
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】62/256,486
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】コルテバ アグリサイエンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・クネッペル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ティー・サレンバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ハオ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェロッド・パッツナー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ホワイトカー
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−517068(JP,A)
【文献】 特表2004−521077(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/043376(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/193974(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/037534(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/049304(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/007910(WO,A1)
【文献】 特表2018−522821(JP,A)
【文献】 特表2018−533635(JP,A)
【文献】 特表2018−538366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/08
A01N 43/653
A01P 3/00
A61K 31/4439
A61P 31/04
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
の化合物の製造方法であって、
(i) 式VII:
【化2】
の化合物を、マグネシウム-ハロゲン交換試薬、ホウ酸エステル、および酸化剤と接触させて、式VIの化合物を調製する工程;
(ii) 式VI:
【化3】
の化合物を、4-フルオロベンゾニトリルまたは4-ニトロベンゾニトリル、および塩基と接触させて、式Vの化合物を調製する工程
(iii) 式V:
【化4】
の化合物を、エチル2-ブロモ-2,2-フルオロアセテート及び金属と接触させて、式IVの化合物を調製する工程;
(iv) 式IV:
【化5】
の化合物を、1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンと金属または有機金属試薬とを混合することによって生成される混合物及び酸と接触させて、式IIIの化合物を調製する工程;
(v) 式III:
【化6】
の化合物を、
ハロゲン化トリアルキルスルホキソニウム及び塩基と接触させて、式IIの化合物を調製し、単離する工程;及び
(vi)式II:
【化7】
の化合物を、
1H-1,2,4-トリアゾール及び塩基と接触させて、式Iの化合物を調製する工程を含む方法。
【請求項2】
工程(vi)における前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸セシウム、及びナトリウムtert-ブトキシドのうち一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(vi)に、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、テトラヒドロフラン、水、N-メチル-2-ピロリドン、及びこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(vi)における前記接触が、20℃と100℃との間で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(v)における前記ハロゲン化トリアルキルスルホキソニウムが、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム、臭化トリメチルスルホキソニウム、および塩化トリメチルスルホキソニウムのうちの1つである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(v)における前記塩基が、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、およびナトリウムtert-ブトキシドを含む群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(v)に、DMSO、DMF、THF、水、NMP、およびこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(v)における前記接触が、-20℃から100℃の間で実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(iv)に、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、トルエン、ジオキサン、メチルt-ブチルエーテル、及びこれらの混合物を含む群から選択される非プロトン性溶媒をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(iv)における前記金属がマグネシウムであり、前記有機金属試薬がアルキルリチウムまたはハロゲン化アルキルマグネシウムである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキルリチウムがn-ブチルリチウムであり、前記ハロゲン化アルキルマグネシウムが塩化イソプロピルマグネシウムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)における前記接触が、-80℃から50℃の間で実施される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(iv)における前記酸が、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4、HNO3、酢酸、及びトリフルオロ酢酸を含む群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(iii)における前記金属が銅である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(iii)に、DMSO、DMF、THF、NMP、およびこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(iii)における前記接触が、20℃と100℃との間で実施される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(ii)における前記塩基が、炭酸セシウムおよび炭酸カリウムから選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
式VIの化合物を、4-フルオロベンゾニトリルまたは4-ニトロベンゾニトリル、および塩基と接触させる前記工程が、さらに溶媒を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程(ii)における前記溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、およびこれらの混合物を含む群から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
式VIの化合物を4-フルオロベンゾニトリルまたは4-ニトロベンゾニトリルおよび塩基と接触させる前記工程を、20℃と120℃の間で実施する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(i)における前記マグネシウム-ハロゲン交換試薬が、塩化iso-プロピルマグネシウムである、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程(i)における前記ホウ酸エステルが、B(OMe)3、B(OEt)3およびB(Oi-Pr)3を含む群から選択される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
工程(i)における前記酸化剤が、過酸化水素、過酢酸、および過酸化水素と酢酸との混合物を含む群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程(i)に、THF、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルt-ブチルエーテル、ジオキサン、およびこれらの混合物を含む群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参照によりその全体を本明細書中に援用することとする、2015年11月17日に出願された米国仮出願第62/256,486号に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書に提供されるのは、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリルおよび調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願第13/527,387号、同第13/527,426号、および同第13/528,283号には、とりわけ所定の金属酵素阻害剤化合物および殺菌剤としてのこれらの使用が記載されている。各出願の開示は、参照により明示的に本明細書中に組み込まれる。これらの特許出願の各々は、金属酵素阻害性殺菌剤を生成するための様々な経路を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第13/527,387号
【特許文献2】米国特許出願第13/527,426号
【特許文献3】米国特許出願第13/528,283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、改善された時間およびコスト効率を提供する試薬および/または化学中間体の使用によって、金属酵素阻害性殺真菌剤および関連化合物の製造のための、より直接的かつ効率的な方法を提供することは有益であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に提供されるのは、化合物4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)およびその調製方法である。一実施形態では、本明細書中に提供されるのは、式I:
【化1】
の化合物の調製方法であって、式II:
【化2】
の化合物を、1H-1,2,4-トリアゾール及び塩基と接触させる工程を含む方法である。
【0007】
別の実施態様では、式IIの化合物は、式III:
【化3】
の化合物を、ハロゲン化トリアルキルスルホキソニウム及び塩基と接触させることによって、調製しうる。
【0008】
別の実施態様では、式IIIの化合物は、式IV:
【化4】
の化合物を、1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼンと金属または有機金属試薬とを混合することによって生成される混合物及び酸と接触させることによって、調製しうる。
【0009】
別の実施態様では、式IVの化合物は、式V:
【化5】
の化合物を、エチル2-ブロモ-2,2-フルオロアセテート及び金属と接触させることによって、調製しうる。
【0010】
別の実施態様では、式Vの化合物は、式VI:
【化6】
の化合物を、4-フルオロベンゾニトリルまたは4-ニトロベンゾニトリル及び塩基と接触させることによって、調製しうる。
【0011】
別の実施態様では、式VIの化合物は、式VII:
【化7】
の化合物を、マグネシウム-ハロゲン交換試薬、ホウ酸塩、及び酸化剤と接触させることによって、調製しうる。
【0012】
「ヒドロキシル」なる用語は、-OH置換基を指す。
「ハロゲン」または「ハロ」なる用語は、F、Cl、BrおよびIとして定義される1つ以上のハロゲン原子を指す。
「有機金属」なる用語は、金属を含む有機化合物、特に、金属原子が炭素原子に直接結合している化合物を指す。
室温(RT)は、本明細書中では約20℃から約25℃と定義される。
【0013】
本明細書全体を通じて、式I及びIIの化合物への言及は、光学異性体および塩もまた含むものと解釈される。具体的には、式I及びIIの化合物がキラル炭素を含む場合、こうした化合物は、その光学異性体およびラセミ体を含むと理解される。例示的な塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などが含まれる。
【0014】
本明細書に開示される所定の化合物は、1つ以上の異性体として存在しうる。ある異性体が他の異性体よりも活性であってよいことは、当業者には理解されるであろう。本明細書に開示される構造は、明示のために1つの幾何学的形態でのみ描示されているが、当該分子のすべての幾何および互変異性形態を表すことが意図されている。
【0015】
以上に説明される実施形態は単に例示的なものであって、当業者は、通常の実験を用いるのみで、特定の方法、材料および手順の多数の均等物を認識し、または確認することができるであろう。こうした均等物はすべて、本発明の範囲内であるとみなされ、添付の特許請求の範囲によって包含される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここに、4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)が提供され、実施例1から6に示されるように、2,5-ジブロモピリジン(VII)から調製することができる。
【化8】
【実施例】
【0017】
(実施例1:6-ブロモピリジン-3-オール(VI)の調製)
【化9】
【0018】
メカニカルスターラー、熱電対、および窒素注入口を備えた250mLの3つ口フラスコ中、窒素下にて、2,5-ジブロモピリジン(VII)(9.98g、42.1mmol)を53mLの無水THFに溶解させた。淡黄褐色の溶液が生成した。エーテル(23mL)中のi-PrMgClの2M溶液を、シリンジを介して3分間かけて添加した。このグリニャール溶液の約50%が添加された時点で、褐色懸濁液が形成された。Mg試薬の添加により、36℃の発熱が引き起こされた。90分間に亘る撹拌の後、懸濁液を2℃に冷却し、純粋なホウ酸トリメチル(B(OMe)3)をシリンジで迅速に添加した。反応物が6℃に発熱し、氷浴は除去した。一晩撹拌した後に氷酢酸(3.79g)を加えたところ、全ての固体が溶解し、暗褐色の溶液が生成した。溶液を氷浴で冷却し、30%過酸化水素(酸化剤)5.25gを、反応温度が12℃を超えないように維持される速度で滴下した。反応混合物を90分間撹拌し、次いでジエチルエーテル(150mL)および水(100mL)を添加した。水性層を分離し、エーテルで抽出した(2×100mL)。合わせた有機層を100mLの10%重亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いでブラインで洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO4)、ロータリーエバポレーターで蒸発させて褐色油状物を得たが、これを静置したところ黄褐色固体を形成した(7.95g)。粗製生成物をCelite(登録商標)15gに吸着させ、220gのシリカカラムおよびヘキサン/EtOAc勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。フラクションを蒸発させて4.81gのオフホワイトの固体を得た(収率66%)。NMRスペクトルは、6-ブロモ-3-ピリジノールの基準試料のものと同一であった。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.24 (s, 1H), 7.94 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 3.0, 8.6 Hz, 1H); 13C NMR (DMSO-d6, 101 MHz) δ 153.74, 138.13, 129.30, 128.14, 126.21.
【0019】
実施例1に例示される方法は、追加のグリニャール試薬、例えば、EtMgX、MeMgX、i-PrMgX、n-BuMgX、またはPhMgX(XはClまたはBrである)を用いて実施することができる。記載の方法はまた、グリニャール試薬、例えばn-BuMgXを用い、金属ハロゲン交換試薬、例えばn-BuLiの存在下で実施することができる。記載された方法はまた、別のホウ酸塩、例えばB(OEt)3またはB(Oi-Pr)3を用いて実施することもできる。この方法において使用する溶媒は、THF、2-MeTHF、MTBE、およびジオキサンから選択されるものを含んでよい。
【0020】
実施例1に例示される方法で使用される酸化剤は、過酸化水素、過酢酸、および過酸化水素と酢酸との混合物を含む群から選択することができる。
【0021】
(実施例2:4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(V)の調製)
【化10】
【0022】
方法A:250mLのフラスコに、6-ブロモピリジン-3-オール(VI)(10g、57.5mmol)、4-フルオロベンゾニトリル(8.35g、69.0mmol)、炭酸カリウム(15.89g、115mmol)、およびDMF(50mL)を仕込んだ。反応物を90℃で20時間加熱したところ、この時点でHPLC分析は反応が完了したことを示した。反応混合物を20℃まで放冷し、次いでさらに0℃にまで冷却した。内部温度を15℃未満に維持しつつ(水の添加中に発熱)、水(150mL)を添加した。得られた懸濁液を20℃で1時間撹拌し、濾過した。濾過ケークを水ですすぎ(2×25mL)、白色固体を得た。固体を95%エタノール(65mL)中に懸濁させ、75℃に加熱して透明な溶液を得た。1時間かけて20℃に放冷し、得られた白色懸濁液を20℃で2時間撹拌した。懸濁液を濾過し、この固体を95%エタノールですすいだ(2×10mL)。この固体を真空下で乾燥させて、所望の生成物を白色固体として得た(13.2g、収率83%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) 8.22 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.73 - 7.63 (m, 2H), 7.53 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.33 - 7.23 (m, 1H), 7.14 - 7.00 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) 160.13, 151.47, 142.54, 136.81, 134.47, 130.10, 129.12, 118.33, 118.23, 107.56; ESIMS: m/z 277.1 ([M+H]+).
【0023】
方法B:250mLの丸底フラスコに、6-ブロモピリジン-3-オール(VI)(10g、57.5mmol)、4-ニトロベンゾニトリル(8.94g、60.3mmol)、炭酸カリウム(15.9g、114.9mmol)、およびDMF(30mL)を仕込んだ。反応物を90℃で18時間加熱したところ、その時点でのHPLC分析は反応の完了を示した。反応物を20℃に放冷し、50℃未満にて水(90mL)で希釈した。得られた懸濁液を1時間撹拌し、濾過した。濾過ケークを水ですすぎ(2×50mL)、オフホワイトの固体を得た。得られた固体をEtOH(40mL)中に懸濁させ、75℃に加熱して透明な溶液を得た。2時間かけて20℃まで放冷し、この温度で1時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケークをEtOHですすいだ(2×10mL)。濾過ケークを乾燥させ、所望の生成物を白色固体として得た(12.9g、収率82%);mp: 116〜119 °C. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.8 Hz, 2H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 160.13, 151.47, 142.55, 136.81, 134.48, 130.13, 129.13, 118.34, 107.55. ESIMS: m/z 277.0 ([M+H]+)。
【0024】
実施例2に例示される方法は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)のうちの1つ以上から選択される溶媒中で実施することができる。この方法で使用される塩基は、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムなどの金属炭酸塩、NaHなどの金属水素化物、NaOHおよびKOHなどの金属水酸化物、および金属重炭酸塩を含み得る。
【0025】
実施例2に例示される方法は、ほぼ室温から約120℃で実施することができる。
【0026】
(実施例3:エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(IV)の調製)
【化11】
【0027】
方法A:エチル2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート(12.27mL、94mmol)及び銅粉末(14から25μm、9.60g、151mmol)を、4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(V)(20g、72.0mmol)のDMF(140mL)中の溶液に、窒素下で加えた。得られた褐色懸濁液を、窒素下にて60℃で18時間加熱したところ、この時点でのHPLC分析は反応が完了したことを示した。混合物を20℃に冷却し、MTBE(280mL)を添加した。得られた混合物を10分間撹拌し、Celite(登録商標)パッドで濾過した。Celite(登録商標)パッドをMTBEですすいだ(2×140mL)。濾液を飽和NH4Cl(200mL)、ブライン(3×140mL)、および水(2×140mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮し、粗製生成物を、次の工程で直接使用するために十分な純度の淡褐色油状物(21g、92%)として得た。この粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(10から20%EtOAc/ヘキサン)によりさらに精製して、所望の生成物を白色固体として得た(16g、収率70%);mp 45〜48 °C. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.73 - 7.66 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.14 - 7.08 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H); ESIMS m/z 319.1 ([M+H]+)。
【0028】
方法B:15Lのジャケット付き反応器に、4-((6-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(900g、3173mmol)、エチル2-ブロモ-2,2-ジフルオロアセテート(541mL、4125mmol)、銅(423g、6664mmol)、およびDMSO(4500mL)を窒素下で添加して、褐色の懸濁液を得た。反応物を40℃で8時間加熱したところ、その時点でHPLC分析は反応の完了を示した。これを20℃に放冷し、MTBE(4000mL)を加えた。混合物を30分間撹拌し、Celite(登録商標)パッドで濾過した。フィルターパッドをMTBEですすぎ(2×1000mL)、合わせた濾液をブラインですすいだ(3×2000mL)。第1の水性層をMTBE(2×1000mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NH4Cl溶液(2×2000mL)およびブライン(3×2000mL)で洗浄し、濃縮して所望の生成物を褐色油状物として得た(1030g、収率96%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.73 - 7.66 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 8.6, 2.7 Hz, 1H), 7.14 - 7.08 (m, 2H), 4.40 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0029】
実施例3に例示される方法は、DMSO、DMF、THF、およびNMPの1つまたは複数から選択される溶媒中で、銅などの金属を用いて実施することができる。
実施例3に例示される方法は、ほぼ室温から約100℃で実施することができる。
【0030】
(実施例4:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(III)の調製)
【化12】
【0031】
方法A:THF(250mL)中のMgターニング(3.47g、143mmol)の懸濁液を窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(1mL、8.85mmol)の一部を反応器に加え、得られた混合物を35℃で30分間加熱して反応を開始させた。反応混合物を30℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(16.4mL、145.15mmol)を28℃から32℃で30分間かけて反応器に加えた。反応物を30℃で2時間撹拌したところ、この時点でMgの完全な消費が観察された。反応物を0℃未満に冷却し、エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(IV)(35g、110mmol)のTHF(100mL)中の溶液を5℃未満で30分かけて添加した。反応物を0℃で1時間撹拌し、10℃未満で2NのHCl溶液(150mL)中にクエンチした(pH=1から2)。反応物を20℃で18時間撹拌し、この時点でのHPLC分析は、依然として式IVaのヘミケタール中間体が約10%残っていることを示した。これを30℃でさらに5時間攪拌し、この時点でのHPLC分析は、ヘミケタール中間体が完全に消費されたことを示した。層を分離し、水性層をEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して淡黄褐色固体(45.6g)を得た。固体を60℃にてEtOAc(60mL)に溶解させ、ヘプタン(100mL)を加えた。混合物を播種し、20℃にて18時間撹拌して懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、固体を乾燥させて、所望の生成物を白色固体(25.5g)として得た。濾液を濃縮し、MTBE(50mL)およびヘプタン(100mL)から再結晶させて、乾燥後に淡褐色の固体(14.1g)を得た。合計の収率は90%であった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.37 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.08 (td, J = 8.4, 6.4 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.75 - 7.66 (m, 2H), 7.54 (dd, J = 8.6, 2.8 Hz, 1H), 7.17 - 7.08 (m, 2H), 7.01 (dddd, J = 8.6, 7.6, 2.5, 0.9 Hz, 1H), 6.84 (ddd, J = 11.0, 8.6, 2.4 Hz, 1H); ESIMS m/z 387.0 ([M+H]+).
【0032】
方法B:THF(6000mL)中のMgターニング(107g、4.3mol)の懸濁液を窒素下で35℃に加熱した。1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(32mL、0.28mol)の一部を35℃で反応器に加え、得られた混合物を35℃で30分間加熱して反応を開始させた。反応混合物を15℃に冷却し、残りの1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン(500mL、4.45mol)を80分間かけて15から20℃で反応器に加えた。反応物を20℃で1時間撹拌し、-20℃に冷却した。エチル2-(5-(4-シアノフェノキシ)ピリジン-2-イル)-2,2-ジフルオロアセテート(IV)(1052g、3.07mol)のTHF(100mL)中の溶液を-5℃未満で40分間かけて加えた。容器および添加漏斗をTHF(200mL)ですすぎ、すすぎ溶剤を反応物に添加した。反応物を-20℃で2時間撹拌し、10℃未満で4NのHCl溶液(1500mL)中にクエンチした。反応物が20℃に温まるに任せ、16時間撹拌したところ、この時点でのHPLC分析は反応が完了したことを示した。層を分離し、水性層をMTBEで抽出した(3×400mL)。合わせた有機層を飽和NaHCO3溶液(2×1000mL)、ブライン(2×1000mL)、および水(1000mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して、褐色固体(1264g)を得た。得られた固体を3:1のヘプタン/MTBE(1000mL)中に懸濁させ、60℃で1時間加熱した。得られた懸濁液を周囲温度に冷却し、濾過した。固体を3:1のヘプタン/MTBE(1000mL)中に懸濁させ、60℃で1時間加熱した。得られた懸濁液を周囲温度に冷却し、濾過して、所望の生成物を、乾燥後の黄褐色固体として得た(1080g、収率86%)。単離された生成物の分析は、従前に得られた試料のものと一致していた。
【0033】
実施例4に例示される方法は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、トルエン、ジオキサン、およびメチルt-ブチルエーテル(MTBE)の1つ以上から選択される非プロトン性溶媒である溶媒中で実施することができる。
【0034】
実施例4に例示される方法は、アリールグリニャール、または2,4-ジフルオロ-1-ブロモベンゼンとマグネシウムの1つとの反応によって形成されるアリールリチウム試薬、n-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム試薬、または塩化イソプロピルマグネシウムなどのグリニャール試薬のいずれかである有機金属試薬を用いて実施することができる。
【0035】
実施例4に例示される方法は、約-80℃から約50℃の間で実施することができる。
【0036】
式IVaのヘミケタールは、所定の反応条件下で式IIIの化合物を調製する方法において、中間体として単離することができる。式IVaのヘミケタールを含む反応混合物への酸の添加により、式IIIの所望の生成物への変換がもたらされる。
【0037】
実施例4に例示された方法での使用に適した酸は、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4、HNO3、酢酸、及びトリフルオロ酢酸を含む群から選択することができる。
【0038】
(実施例5:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)オキシラン-2-イル)ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)の調製
【化13】
【0039】
オーバーヘッドスターラー、窒素注入口、および熱電対を備えた3000mLの3つ口丸底フラスコに、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(46.4g、211mmol)、無水DMSO(270mL)、およびTHF(270mL)を加えた。内部温度を20℃未満に維持しつつ、NaH(7.13g、178mmol)を窒素下で少量ずつ加えた。反応混合物を20℃で1時間撹拌した。THF(270mL)中の4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-オキソエチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(III)(65.9g、162mmol)をゆっくりと添加して、温度を-10℃から0℃に維持した。反応物を-5℃から0℃で40分間撹拌したところ、この時点でのLCMSは生成物への完全な変換を示した。反応混合物をEtOAc(1000mL)で希釈した。飽和NaHCO3(30mL)をゆっくりと加えて反応をクエンチした。ブライン(300mL)を加え、混合物をEtOAcで抽出した。層を分離し、水性層をEtOAc(2×150mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2回)および水(1回)で洗浄した。有機物を無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、琥珀色のゴムとして粗製生成物を得た(72g、純度87%、補正収率97%)。この粗製生成物を次の工程で直接使用した。この粗製生成物の小試料(2.2g)をカラムクロマトグラフィー(溶出液:0から20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色固体として分析試料を得た。融点110から113℃。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.47 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.74 - 7.63 (m, 2H), 7.53 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.48 - 7.36 (m, 2H), 7.13 - 7.03 (m, 2H), 6.90 - 6.83 (m, 1H), 6.75 (ddd, J = 9.9, 8.8, 2.5 Hz, 1H), 3.46 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 2.99 (dt, J = 4.7, 2.0 Hz, 1H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 164.49 (d, J = 11.8 Hz), 162.40 (dd, J = 24.7, 12.0 Hz), 160.29 (d, J = 12.2 Hz), 159.67, 153.00, 147.70 (t, J = 28.8 Hz), 141.50, 134.54132.57 (dd, J = 10.0, 4.7 Hz), 126.90, 122.96 (t, J = 4.3 Hz), 118.85, 118.22, 117.31 (t, J = 249.5 Hz), 116.99 (dd, J = 14.9, 3.8 Hz), 111.40 (dd, J = 21.7, 3.6 Hz), 107.90, 103.87 (t, J = 25.3 Hz), 57.33 (t, J = 34.1 Hz), 50.10 (d, J = 3.9 Hz).
【0040】
実施例5に例示される方法は、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム、臭化トリメチルスルホキソニウム、および塩化トリメチルスルホキソニウムのうちの1つから選択されるハロゲン化トリアルキルスルホキソニウムを用いて実施することができる。この方法は、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、およびナトリウムtert-ブトキシドを含む群から選択してよい塩基、ならびにDMSO、DMF、THF、およびNMPのうちの少なくとも1つから選択される溶媒を含む。
【0041】
実施例5に例示される方法は、約-20℃から約100℃の間で実施することができる。
【0042】
(実施例6:4-((6-(2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(I)の調製
【化14】
【0043】
4-((6-((2-(2,4-ジフルオロフェニル)オキシラン-2-イル)ジフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)ベンゾニトリル(II)(10.2g、20.64mmol)の、マグネチックスターラーで攪拌した無水DMSO(103mL)中の混合物に、1H-1,2,4-トリアゾール(4.36g、61.9mmol)およびK2CO3(14.26g、103mmol)を窒素下で加えた。反応混合物を55℃で16時間撹拌し、常温に冷却した。反応混合物を氷/水(200mL)に注ぎ、オフホワイトの懸濁液を得た。この懸濁液を濾過し、粗製固形物をカラムクロマトグラフィー(シリカ330g、80%EtOAc/ヘキサン)で精製して、所望の生成物をオフホワイトの樹脂として得た(8.3g、収率83%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.36 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.78 - 7.67 (m, 3H), 7.58 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.51 - 7.36 (m, 2H), 7.14 - 7.04 (m, 2H), 6.79 - 6.68 (m, 2H), 6.29 (s, 1H), 5.40 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.88 (dd, J = 14.4, 1.6 Hz, 1H); ESIMS m/z 470.0 ([M+H]+).
【0044】
実施例6に例示される方法は、炭酸カリウム、炭酸セシウム、およびナトリウムt-ブトキシドから選択される塩基を用いて行うことができる。
【0045】
実施例6に例示される方法は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、およびN-メチル-2-ピロリドンのうちの少なくとも1つから選択される溶媒中で、およそ室温と約100℃との間の温度で実施することができる。