特許第6963559号(P6963559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963559ゴム製品を補強するためのm+nスチールコード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963559
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ゴム製品を補強するためのm+nスチールコード
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/06 20060101AFI20211028BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   D07B1/06 A
   B60C9/00 M
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-548691(P2018-548691)
(86)(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公表番号】特表2019-510141(P2019-510141A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2017056050
(87)【国際公開番号】WO2017157973
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2020年2月27日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/076572
(32)【優先日】2016年3月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502385850
【氏名又は名称】エンベー ベカルト ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】NV Bekaert SA
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100139549
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 泉
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チョウ
(72)【発明者】
【氏名】シェンユ チュー
(72)【発明者】
【氏名】ホンジャン チュー
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−249757(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/169521(WO,A1)
【文献】 特開2002−235289(JP,A)
【文献】 特開平08−158274(JP,A)
【文献】 特表2006−507414(JP,A)
【文献】 特開平06−073672(JP,A)
【文献】 特開2006−249635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0188525(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1646747(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B1/00−9/00
B60C1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
m本のコアフィラメントを有するコアフィラメントの第1の群と、n本のシースフィラメントを有するシースフィラメントの第2の群とを備え、前記mが3または4であり、
前記コアフィラメントが螺線を形成しており、前記コアフィラメントが一緒に撚り合わされておらず、略平行であり、または、300mmより大きい撚りピッチを有し、
前記第2の群および前記第1の群が互いに撚り合わされ、前記シースフィラメントが前記コアフィラメントの前記螺線の同じ方向において扁平な螺線を形成しており、前記シースフィラメントがコード撚りピッチを有し、
前記スチールコードの全ての断面において、互いに隣り合う2本のアフィラメント間に少なくとも1つの隙間が存在する
ことを特徴とする、ゴム補強のためのスチールコード。
【請求項2】
前記隙間が、前記互いに隣り合う2本のコアフィラメント間の最短距離Lで測定され、Lが0mmより大きく、かつ、0.1mmより小さいまたは0.1mmに等しい
ことを特徴とする、請求項1に記載のスチールコード。
【請求項3】
前記Lが、0.005mm<L≦0.08mmを満たす
ことを特徴とする、請求項2に記載のスチールコード。
【請求項4】
前記隙間の数がm−1である
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチールコード。
【請求項5】
前記mが3であるとき前記nが2〜7であり、または、前記mが4であるとき前記nが2〜8である
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチールコード。
【請求項6】
前記コード撚りピッチが8〜20mmである
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチールコード。
【請求項7】
前記コアフィラメントが、前記シースフィラメントと撚り合わされる前に予備形成される
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスチールコード。
【請求項8】
前記コアフィラメントが略平行に配置され、断面において、左のコアフィラメントの中心点と右のコアフィラメントの中心点との間に直線を引くとき、残りの各コアフィラメントの中心点と前記直線との間の最短距離が前記コアフィラメントの直径の0.5倍より小さいことを意味する
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスチールコード。
【請求項9】
残りのコアフィラメントに対する前記コアフィラメントのうちの1本からの少なくとも1つの交差が、前記スチールコードの長さに沿って存在し、前記交差の数が、100の前記コード撚りピッチ内で20より少ない
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスチールコード。
【請求項10】
前記交差の数が、100の前記コード撚りピッチ内で10より少ない、または、さらには5より少ない
ことを特徴とする、請求項9に記載のスチールコード。
【請求項11】
i)コアフィラメントの第1の群およびシースフィラメントの第2の群を提供するステップと、
ii)前記第1の群に撚りを与えるステップと、
iii)前記第1の群に対する前記撚りと反対の撚り方向に、前記第2の群を前記第1の群と撚り合わせ、それによって、略円形の断面を有するm+nスチールストランドを形成するステップであって、前記コアフィラメントが互いに撚り合わされない、または、300mmより大きい撚りピッチを有する、かつ、前記シースフィラメントがコード撚りピッチを有する、ステップと、
)前記スチールコードを形成するために、ローラによって前記スチールストランドを平らにするステップと
を含む、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のスチールコードの作製方法。
【請求項12】
前記コアフィラメントがステップi)の前に予備形成される
ことを特徴とする、請求項11に記載のスチールコードの作製方法。
【請求項13】
前記コアフィラメントが、ステップi)とステップii)との間で均等に分離される
ことを特徴とする、請求項11に記載のスチールコードの作製方法。
【請求項14】
タイヤを補強するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載のスチールコードの使用。
【請求項15】
タイヤのベルト層が、請求項1〜10のいずれか一項に記載のスチールコードによって補強される
ことを特徴とする、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム製品を補強するためのスチールコードに関する。本発明はまた、スチールコード、およびスチールコードによって補強されるタイヤの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
環境に対する汚染を低減するために、現在、環境に優しいタイヤが望まれている。その1つの方向性は、より軽量のタイヤの開発である。解決策の1つは、タイヤのベルト層のゴム量の低減である。ベルト層の厚さが減少すると、タイヤの重量は減少する。しかしながら、これは、隣接するベルト層を容易に分離させ、タイヤの損傷につながる。別の解決策は、タイヤのスチールコードの重量の低減である。より軽いスチールコードによって補強されたタイヤは、より軽くなる。
【0003】
ゴム製品、たとえばタイヤを補強するためのスチールコードは常に、良好な、さらには完全なゴム浸透性を有することが必要とされる。
【0004】
上記の要求事項を達成するために、m+nフラットコードが開発された。
【0005】
欧州特許第2689939号明細書は、2+nの構造を有するスチールコードを開示しており、2本のコアフィラメントは互いに接触し、n本のシースフィラメントは2本のコアフィラメントと撚り合わされ、コアフィラメントはシースフィラメントより大きな直径を有する。
【0006】
特開2007−063706号公報は、2+nの構造を有するスチールコードを開示しており、nは1〜3であり、2本のコアフィラメントは互いに接触し、n本のシースフィラメントは2本のコアフィラメントと撚り合わされる。
【0007】
米国特許第6748731号明細書は、m+nの構造を有するスチールコードを開示しており、コアフィラメントは並列構成で配置され、空隙はコアフィラメント間に形成されない。
【0008】
上記の従来技術のスチールコードは、タイヤの重量の低減、および、ゴム浸透性の改善に資することができる。しかしながら、タイヤ重量を低減させるためのスチールコードの新しい解決策がさらに望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、ゴム製品の重量を低減させるためのスチールコードを提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、ゴム製品を補強するためのスチールコードの作製方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、軽量のタイヤを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、扁平な断面を有するスチールコードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、スチールコードが提供され、スチールコードは、m本のコアフィラメントの第1の群と、n本のシースフィラメントの第2の群とを備え、mは3または4である。コアフィラメントは螺線を形成し、さらに、コアフィラメントは、互いに撚り合わされておらず、互いに対して略平行であり、または、コアフィラメントは300mmより大きい撚りピッチを有する。第2の群および第1の群は互いに撚り合わされており、シースフィラメントは、コアフィラメントによって形成される螺線の同じ方向において扁平な螺線を形成している。シースフィラメントは、コード撚りピッチを有する。スチールコードの任意の断面において、2本の隣接するコアフィラメント間に少なくとも1つの隙間が存在する。
【0014】
2本の隣接するコアフィラメント間に隙間を作ることによって、2本の隣接するコアフィラメントは必ずしも互いに接触せず、その結果、2本の隣接するコアフィラメントに接触によって生じる摩耗は避けられる。したがって、スチールコードの寿命は向上する。
【0015】
本発明によると、コアフィラメントは螺線構成であり、さらに、コアフィラメントは、互いに撚り合わされておらず、略平行な関係で配置され、または、そのコアフィラメントは300mmより大きい撚りピッチを有する。「略平行な関係」は、コアフィラメントが1本ずつ配置されることを意味し、それによって、コアフィラメントのうちの1本は左に位置し、コアフィラメントのうちの1本は右に位置し、そして、残りの1本または2本のコアフィラメントは中央にあり、「略平行な関係」は、螺旋状の略平行な関係であり、平面状のものではない。
【0016】
おそらく、一方の左および/または右のコアフィラメントと他方の中央の隣接するコアフィラメントとの間に、あるいは、コアフィラメントの数が4本であるときは中央の隣接する2本のコアフィラメントの間に、隙間が存在する。
【0017】
本発明によると、コアフィラメントは略平行に配置される。これは、スチールコードの任意の断面において、左のコアフィラメントの中心点と右のコアフィラメントの中心点との間に直線を引くとき、残りの各コアフィラメントの中心点とその直線との間の最短距離はコアフィラメントの直径の0.5倍より小さいことを意味し、それによって、スチールコードの細長い平坦形状を適切に形成して、維持する。
【0018】
好適には、任意の断面において、任意の2本の隣接するコアフィラメントは互いに接触していない、換言すれば、任意の2本の隣接するコアフィラメントの間に隙間が存在し、隙間の数はm−1である。それによって、コアフィラメントの摩耗は減少し、スチールコードのゴム浸透性は高められ、スチールコードの寿命は向上する。
【0019】
好適には、スチールコードの任意の1つの断面における、隣接する2本のコアフィラメントの間の最短距離Lによって、隙間は測定される。Lは0mmより大きく、かつ、0.1mmより小さいまたは0.1mmに等しい。Lはあまり大きくすることはできず、そうでなければ、コアフィラメントは平行を維持することが難しい。より好ましくは、Lは、0.005mm<L≦0.08mmの式に適合する。
【0020】
コアフィラメントの形状を維持して、高いゴム浸透性を得るために、シースフィラメントの数nは、あまり大きくないように、または、あまり小さくないようにするべきである。完全ゴム浸透性を有するスチールコードを作るために、nはコアフィラメントを完全に囲むことができる数より小さい。好適には、mが3であるときnは2〜7であり、または、mが4であるときnは2〜8である。したがって、スチールコードの好ましい構造は、3+2、3+3、3+4、3+5、3+6、3+7、4+2、4+3、4+4、4+5、4+6、4+7、4+8である。
【0021】
コアフィラメントおよびシースフィラメントは同じ直径を有する、あるいは、コアフィラメントの直径はシースフィラメントの直径より大きい、または、コアフィラメントの直径はシースフィラメントの直径より小さい。
【0022】
本発明によると、コアフィラメントは螺線を形成しており、第2の群および第1の群は互いに撚り合わされ、シースフィラメントは、コアフィラメントによって形成される螺線の同じ方向において扁平な螺線を形成しており、結果として、スチールコードの断面は主に平坦なまたは卵形の形状のように見える。ゴム製品を補強するためにスチールコードを適用するとき、ゴム製品の厚さは減少させることができ、同時に、同じまたはほぼ同じ強度を得ることができる。特に、タイヤが本発明によるスチールコードによって補強されるとき、ゴム製品の厚さは減少するので、ゴム材料の適用量および重量は減少し、スチールおよびゴムの重量比は改善し、それによって、タイヤの操縦安定性は向上し、タイヤの重量は減少し、さらに、スチールコードの摩擦抵抗が減少するので、タイヤの寿命は向上する。
【0023】
コアフィラメントから形成される螺線は、コアフィラメントが互いに撚り合わされることを意味せず、その代わりに、コアフィラメントは略平行に配置され、これは、スチールコードの任意の2つの断面において、コアフィラメントの並びが互いに略平行であることを意味する。
【0024】
特開2001−011782号公報は、2本のコアフィラメントおよび4〜7本のシースフィラメントからなるスチールコードを開示しており、2本のコアフィラメントが互いに撚り合わされ、その後、コアフィラメントは、スチールコードの長軸またはスチールコードの短軸と平行であるように整列させることができる。コアフィラメントがスチールコードの長軸と平行であるように整列するとき、隙間は2本のコアフィラメントの間にのみあり、隙間は2本のコアフィラメントの間に必ずしも存在しない。これらは本発明と異なる。
【0025】
コアフィラメントは300mmより大きい撚りピッチを有するが、コアフィラメントは螺線構成を有する。シースフィラメントは好ましくは、シースフィラメントがコアフィラメントと撚り合わされるように、8〜20mmのコード撚りピッチを有する。
【0026】
好適には、コアフィラメントは、シースフィラメントと撚り合わされる前に予備形成され、それによって、より隙間を得やすくなる。予備形成は、当該技術分野において知られている任意の種類の既存の予備形成作業である可能性がある。
【0027】
m+nコードを作る従来技術においては、コアフィラメントのうちの1本が残りのコアフィラメントに対して交差する、いわゆる「交差」現象のエラーがあまりに頻繁に発生している。結果として、コアフィラメントの配置の順序は変更される。ゴム層を作るためにスチールコードをゴムに組み込むとき、「交差」現象はゴム層の厚さの均一性を失わせる。本発明は、交差の頻度を減少させるという点で、この問題を解決する。本発明によると、交差現象は適切に制御され、そのような交差の数は、100のコード撚りピッチ内で20より少ない。好適には、交差の数は、100のコード撚りピッチ内で10より少ない、または、さらには5より少ない。結果として、本発明のスチールコードによって補強されるゴム層は、改善された均一な厚さを有する。
【0028】
本発明の第2の目的により、方法が提供される。方法は、i)コアフィラメントの第1の群およびシースフィラメントの第2の群を提供するステップと、ii)第1の群に撚りを与えるステップと、iii)第1の群に対する撚りと反対の撚り方向に、第2の群を第1の群と撚り合わせ、それによって、略円形の断面を有するm+nスチールストランドを形成するステップであって、コアフィラメントは互いに撚り合わされない、または、300mmより大きい撚りピッチを有する、かつ、シースフィラメントはコード撚りピッチを有する、ステップと、iii)スチールコードを形成するために、ローラによってスチールストランドを平らにするステップとを含む。
【0029】
ローラの平坦化力は適切に制御され、結果として、スチールコードのコアフィラメントは略平行な関係で配置され、2本の隣接するコアフィラメントの間の隙間は、スチールコードの任意の断面に存在する。ローラは、2組以上のローラとすることができ、さらには、いくつかまたは多数の組のローラとすることができる。
【0030】
好適には、方法は、ステップi)の前に、予備形成作業でコアフィラメントを提供するステップを含む。この予備形成は、コアフィラメントに単一の折り目、二重の折り目、または多角形の予備形成を与えることを含んでもよい。結果として、2本の隣接するコアフィラメントの間の隙間は、ますます顕著になる。
【0031】
好適には、ステップi)の前に、方法は、たとえば、分配ディスクでコアフィラメントを分離する工程と、たとえば、圧縮金型において、安定した均一な分布状態、たとえば、略正三角形または正方形の形態にあるようにコアフィラメントを形作る工程とを含む。その結果、交差問題は、最終的なスチールコードではかなり減少する。
【0032】
本発明のスチールコードは、タイヤなどのゴム製品を補強するために使用することができる。
【0033】
本発明の第3の目的により、軽量のタイヤが提供され、タイヤのベルト層は、本発明の第1の目的によるスチールコードによって補強される。タイヤは、乗用車用タイヤおよびトラック用タイヤなどの、既存の種類による任意のタイヤである可能性がある。タイヤは、改善された摩擦抵抗、およびより長い寿命を有する。さらに、ゴム材料の適用量は、本発明によるスチールコードの提供のため、減少させることができ、それによって、タイヤの重量は減少する。さらに、タイヤは、改善された操縦安定性、およびより良好なゴム浸透性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明によるスチールコードを説明する。
図2図2は、本発明によるスチールコードを説明する。
図3図3は、本発明によるスチールコードを製造するための機器を説明する。
図4図4は、本発明によるスチールコードの「交差」現象を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
スチールコードのためのスチールフィラメントは、ワイヤロッドから作られる。
【0036】
ワイヤロッドは最初に、表面に存在する酸化物を除去するために、メカニカルデスケーリングによって、および/あるいは、HSOまたはHCl溶液での化学的酸洗浄によって洗浄される。次いで、ワイヤロッドを水ですすぎ、乾燥させる。次いで、乾燥されたワイヤロッドは、直径を第1の中間直径まで縮小させるために、第1の一連の乾式伸線作業を受ける。
【0037】
この第1の中間直径d1、たとえば、約3.0〜3.5mmにおいて、乾式伸線されたスチールワイヤは、パテンチングと呼ばれる、第1の中間熱処理を受ける。パテンチングは、約1000℃の温度までの第1のオーステナイト化と、それに続く、約600〜650℃の温度でのオーステナイトからパーライトへの変換フェーズを意味する。次いで、スチールワイヤは、さらなる機械的変形の準備ができている。
【0038】
その後、スチールワイヤは、第2の数の直径縮小ステップにおいて、第1の中間直径d1から第2の中間直径d2まで、さらに乾式伸線される。第2の直径d2は通常、1.0mm〜2.5mmである。
【0039】
この第2の中間直径d2で、スチールワイヤは、第2のパテンチング処理、すなわち、約1000℃の温度での再度のオーステナイト化を受け、その後、パーライト変態を可能にするために600〜650℃の温度に急冷する。
【0040】
第1および第2の乾式伸線ステップの合計縮小があまり大きくない場合、直接伸線作業を、ワイヤロッドから直径d2まで行うことができる。
【0041】
この第2のパテンチング処理の後、スチールワイヤには通常、黄銅コーティングが設けられる。銅がスチールワイヤ上にメッキされ、亜鉛が銅上にメッキされる。黄銅コーティングを形成するために、熱拡散処理が加えられる。
【0042】
次いで、黄銅コートスチールワイヤは、湿式伸線機によって、最終的な一連の断面縮小処理を受ける。最終製品は、0.60重量パーセントを上回る、たとえば、0.70重量パーセントを超える、または、0.80重量パーセントを超える、または、0.90重量パーセントをも超える炭素含有量を有し、通常は2000MPaを上回る、たとえば、4080〜2000dMPaを上回る、または、4400〜2000dMPaを上回る(dはスチールフィラメントの直径である)引張強さを有し、エラストマー製品の補強に適したスチールフィラメントである。
【0043】
タイヤの補強に適したスチールフィラメントは通常、0.05mm〜0.60mm、たとえば、0.10mm〜0.40mmの最終直径を有するフィラメントを有する。フィラメント径の例は、0.10mm、0.12mm、0.15mm、0.175mm、0.18mm、0.20mm、0.22mm、0.245mm、0.28mm、0.30mm、0.32mm、0.35mm、0.38mm、0.40mmである。
【0044】
次いで、スチールフィラメントは、スチールコードを形成するための工程を受ける。
【0045】
図3は、スチールフィラメントからスチールコードを作るための機器を示す。機器は、回転部分と固定部分とを備える。回転部分は、軸A−A’のまわりを同じ向きに、同じ角速度で回転している。回転部分は、図3には示されていないが、当該技術分野においてよく知られているクレードルに配置される。固定部分は、回転部分以外の他の部分である。回転部分は、案内ホイール335、340、345、350と、回転ストランドガイド355、360と、バンドリング金型365とを含む。回転部分の内側に、それぞれのボビン320を有する複数のボビンホルダ(図示せず)が設けられ、回転部分の内側のボビン320の数はシースフィラメントの数と同じである。機器は、回転部分の外側に、それぞれのボビン305を有する複数のボビンホルダ(図示せず)(ボビン305の数はコアフィラメントの数と同じである)と、一連のローラ325と、巻取リール330とを備える。好適には、機器は、複数の予備形成装置310と、フィラメント分配ディスク315と、圧縮金型370とをさらに備える。
【0046】
ボビン305から送り出されたコアフィラメント(例として3本のコアフィラメント)は、回転部分に導かれる。好適には、回転部分に入る前に、予備形成作業を得るために、予備形成装置310を通して、ならびに/または、次いで、均一に分配して、安定した分布形態、たとえば、略正三角形の形態で形作るために、分配ディスク315および圧縮金型370を通してコアフィラメントは導かれる。次いで、コアフィラメントは、案内ホイール335を通して、さらに、回転ストランドガイド355上を案内ホイール345の方へ導かれ、その後、コアフィラメントは、S方向に、2倍のコード撚りピッチで、一緒に撚り合わされる。案内ホイール345上で、コアフィラメントの進行方向は、案内ホイール340の方に向くように逆転する。次いで、コアフィラメントはバンドリング金型365を通して導かれ、バンドリング金型365で、コアフィラメントは、ボビン320からの送り出されるシースフィラメント(例として4本のシースフィラメント)を受け、それによって、略円形の断面を有するストランドを形成する。コアフィラメントとシースフィラメントとを備えるストランドは、案内ホイール340上に導かれ、その進行方向を逆転させる。案内ホイール340を出るコアフィラメントは、S方向の撚り、および同じ2倍のコード撚りピッチ、たとえば16mmをまだ有する。シースフィラメントは、Z方向の撚りおよび2倍のコード撚りピッチを有する。案内ホイール340を出たストランドは、S方向に撚られたコアフィラメントと、Z方向に撚られたシースフィラメントとを備え、さらに、回転ストランドガイド360およびガイドホイール350の上を一連のローラ325の方へ導かれ、その後、コアフィラメントは撚り合わされず、略平行にある、または、コアフィラメントは300mmより大きい撚りピッチを有し、シースフィラメントはZ方向に撚り合わされ、たとえば8mmのコード撚りピッチを有する。ガイドホイール350を出たストランドは、一連のローラ325によって平らにされ、その後、ストランドの断面は、もはや略円形ではなく、主に平坦なまたは卵形の形状のように見え、その後、本発明のスチールコードが形成される。最後に、スチールコードは巻取リール330上に巻き取られる。
【0047】
図1は、本発明によるスチールコードを示し、正面図および断面図を含む。スチールコード100は、3本のコアフィラメント105と、4本のシースフィラメント110とを備える。スチールコード100の長さに沿った異なる場所の断面を検出することによって、コアフィラメント105のうちの隣接する2本は間に隙間を有し、コアフィラメント105は略平行で、略直線状であることは明らかである。図2は、隣接する2本のコアフィラメント105の間の最短距離Lを測定する方法を示す。2本の隣接するコアフィラメント105の表面間の最短距離である最短距離Lは0.04mmであり、コアフィラメント105が略平行で、略直線状であるかどうかを測定する方法は、スチールコードの1つの断面の両側に配置される2本のコアフィラメント105の中心点の間に直線B−B’を引く。コアフィラメント105の直径が0.23mmであるとき、残りのコアフィラメント105の中心点と直線B−B’との間の最短距離Hは0.08mmである。
【0048】
図4は「交差」現象を示す。スチールコード400に沿って、1本のコアフィラメント415はその位置を変え、残りのコアフィラメント405、410を横切って進む。結果として、コアフィラメント405、410、415の配置の順序は変更され、コアフィラメントの断面の上から下の方向に、415−405−410が、405−410−415に変わる。
【0049】
本発明の別の実施形態は4+3である。スチールコードのスチールフィラメントは0.35mmの直径を有する。コアフィラメント間の隙間は0.08mmより小さい。スチールコードのゴム浸透性は100%である(空気低下試験による)。
【0050】
本発明の第3の実施形態は4+5である。スチールコードのスチールフィラメントは0.35mmの直径を有する。コアフィラメント間の隙間は0.07mmより小さい。スチールコードのゴム浸透性は100%である。
【0051】
本発明の第4の実施形態は3+2である。スチールコードのコアフィラメントは0.18mmの直径を有し、スチールコードのシースフィラメントは0.30mmの直径を有する。コアフィラメント間の隙間は0.05mmである。スチールコードのゴム浸透性は100%である。
【0052】
いくつかの他の実施形態は、3+2スチールコードであり、コアフィラメントおよびシースフィラメントは、0.23mm、0.28mm、または0.30mmの直径を有する。あるいは、3+5スチールコードであり、コアフィラメントおよびシースフィラメントは0.32mmの直径を有する。あるいは、3+5スチールコードであり、コアフィラメントは0.35mmの直径を有し、シースフィラメントは0.32mmの直径を有する。上記のすべてのスチールコードは、2本の隣接するコアフィラメントの間に存在する少なくとも1つの隙間を有し、100%であるゴム浸透性を有する。
【0053】
図5は、1つの撚りの軸方向長さの中におけるいくつかの断面でのコアフィラメントの並びを図示する。すべての断面におけるコアフィラメント105の並びは互いに略平行であり、コアフィラメント105は互いに撚り合わされていないことは明らかである。コアフィラメント105は螺線を形成し、シースフィラメント110はコアフィラメント105と撚り合わされ、それによって、コアフィラメント105の螺線の同じ方向において扁平な螺線を形成する。
図1
図2
図3
図4
図5