【文献】
HUARD, Bertrand et al.,International Immunology,2004年,Vol. 16, No. 3,pp. 467-475
【文献】
YE, Qunrui et al.,European journal of immunology,2004年,Vol. 34,pp. 2750-2759
【文献】
HUARD, Bertrand et al.,The Journal of Immunology,2001年,Vol. 167,pp. 6225-6231
【文献】
Lai Guan Ng et al.,The Journal of Immunology,2004年,Vol. 173,pp. 807-817
【文献】
STRONCEK, David F et al.,Journal for ImmunoTherapy of Cancer,2013年04月,Vol. 1, Article No. 4,DOI: 10.1186/2051-1426-1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】siRNA遺伝子サイレンシングによるMSC-BAFFの下方調整を示す。BAFFレベルとT細胞分裂の相関関係。7つの異なるBAFF siRNA構築物をトランスフェクトした単一MSC株の代表的なグラフを示す。BAFFレベルはT細胞分裂と逆相関性を有した。相関係数は0.72−0.81の範囲であった。
【
図1B】siRNA遺伝子サイレンシングによるMSC-BAFFの下方調整を示す。MSCはまたIL-6を発現する。コントロールとして、IL-6レベルを各上清で分析し、前記レベルはT細胞分裂と相関関係を有した。IL-6発現はT細胞分裂の程度とは相関しなかった。
【
図2A】CD4+ T細胞分裂におけるBAFF受容体遮断の効果を示す。BAFF受容体BR3、TACI、及びBCMAとのリガンド(BAFF及びAPRIL)結合を遮断する抗体をPBL培養に添加した(前記培養でT細胞は抗CD3ε及び抗CD28により活性化される)。遮断抗体を0日目に添加し、抗CD4抗原提示細胞(APC)抗体を用いフローサイトメトリーによってT細胞分裂を4日目に分析した。ヤギIgGは、抗BR3及び抗BCMAに対するコントロール抗体である。マウスIgG1は抗TACIに対するコントロール抗体である。
図2A及び2Bは2つの異なるドナーPBLサンプルのデータを示す。
【
図2B】CD4+ T細胞分裂におけるBAFF受容体遮断の効果を示す。BAFF受容体BR3、TACI、及びBCMAとのリガンド(BAFF及びAPRIL)結合を遮断する抗体をPBL培養に添加した(前記培養でT細胞は抗CD3ε及び抗CD28により活性化される)。遮断抗体を0日目に添加し、抗CD4抗原提示細胞(APC)抗体を用いフローサイトメトリーによってT細胞分裂を4日目に分析した。ヤギIgGは、抗BR3及び抗BCMAに対するコントロール抗体である。マウスIgG1は抗TACIに対するコントロール抗体である。
図2A及び2Bは2つの異なるドナーPBLサンプルのデータを示す。
【
図3A】CD8+ T細胞活性化及び分裂におけるBAFF受容体遮断の効果を示す。BAFF受容体BR3、TACI、及びBCMAとのリガンド(BAFF及びAPRIL)結合を遮断する抗体をPBL培養に添加した(前記培養でT細胞は抗CD3ε及び抗CD28により活性化される)。遮断抗体を0日目に添加し、抗CD8 APC抗体を用いフローサイトメトリーによってT細胞分裂を4日目に分析した。ヤギIgGは、抗BR3及び抗BCMAに対するコントロール抗体である。マウスIgG1は抗TACIに対するコントロール抗体である。(A)BAFF受容体遮断下でのCD8+ T細胞の分裂。(B)PBL培養上清におけるIFN-γレベルのELISA分析。二人の別個のPBLドナーの弁別的レベルが示される。(C)PBL(活性化T細胞)培養上清におけるグランザイムBレベルのELISA分析。二人の別個のPBLドナーを用いて実験を実施した。
【
図3B】CD8+ T細胞活性化及び分裂におけるBAFF受容体遮断の効果を示す。BAFF受容体BR3、TACI、及びBCMAとのリガンド(BAFF及びAPRIL)結合を遮断する抗体をPBL培養に添加した(前記培養でT細胞は抗CD3ε及び抗CD28により活性化される)。遮断抗体を0日目に添加し、抗CD8 APC抗体を用いフローサイトメトリーによってT細胞分裂を4日目に分析した。ヤギIgGは、抗BR3及び抗BCMAに対するコントロール抗体である。マウスIgG1は抗TACIに対するコントロール抗体である。(A)BAFF受容体遮断下でのCD8+ T細胞の分裂。(B)PBL培養上清におけるIFN-γレベルのELISA分析。二人の別個のPBLドナーの弁別的レベルが示される。(C)PBL(活性化T細胞)培養上清におけるグランザイムBレベルのELISA分析。二人の別個のPBLドナーを用いて実験を実施した。
【
図3C】CD8+ T細胞活性化及び分裂におけるBAFF受容体遮断の効果を示す。BAFF受容体BR3、TACI、及びBCMAとのリガンド(BAFF及びAPRIL)結合を遮断する抗体をPBL培養に添加した(前記培養でT細胞は抗CD3ε及び抗CD28により活性化される)。遮断抗体を0日目に添加し、抗CD8 APC抗体を用いフローサイトメトリーによってT細胞分裂を4日目に分析した。ヤギIgGは、抗BR3及び抗BCMAに対するコントロール抗体である。マウスIgG1は抗TACIに対するコントロール抗体である。(A)BAFF受容体遮断下でのCD8+ T細胞の分裂。(B)PBL培養上清におけるIFN-γレベルのELISA分析。二人の別個のPBLドナーの弁別的レベルが示される。(C)PBL(活性化T細胞)培養上清におけるグランザイムBレベルのELISA分析。二人の別個のPBLドナーを用いて実験を実施した。
【
図4A】活性化マーカーと関係するCD4及びCD8 T細胞のBR3のフロー分析を示す。(A)抗BR3抗体クローン11C1を用いた、休止及び活性化ヒトT細胞のBR3パーセンテージ。T細胞サブセットを精製し、プレート結合抗CD3及び抗CD28で21時間刺激し、その後フローサイトメトリー分析のために前記を抗BR3-PEについて染色した。(B)CD25及びBR3の休止及び刺激ドットプロット。(C)活性化T細胞のBR3+ CD25とBR3- CD25発現。(D)BR3とIFN-ガンマのドットプロット。IFN-ガンマは細胞内フローサイトメトリーを用いて検出した。T細胞を上記のように18時間刺激し、ブレフェルジンAで6時間インキュベートした。続いて細胞を固定して透過性にし、抗BR3 PE及び抗IFN-ガンマAPCで染色した。
【
図4B】活性化マーカーと関係するCD4及びCD8 T細胞のBR3のフロー分析を示す。(A)抗BR3抗体クローン11C1を用いた、休止及び活性化ヒトT細胞のBR3パーセンテージ。T細胞サブセットを精製し、プレート結合抗CD3及び抗CD28で21時間刺激し、その後フローサイトメトリー分析のために前記を抗BR3-PEについて染色した。(B)CD25及びBR3の休止及び刺激ドットプロット。(C)活性化T細胞のBR3+ CD25とBR3- CD25発現。(D)BR3とIFN-ガンマのドットプロット。IFN-ガンマは細胞内フローサイトメトリーを用いて検出した。T細胞を上記のように18時間刺激し、ブレフェルジンAで6時間インキュベートした。続いて細胞を固定して透過性にし、抗BR3 PE及び抗IFN-ガンマAPCで染色した。
【
図4C】活性化マーカーと関係するCD4及びCD8 T細胞のBR3のフロー分析を示す。(A)抗BR3抗体クローン11C1を用いた、休止及び活性化ヒトT細胞のBR3パーセンテージ。T細胞サブセットを精製し、プレート結合抗CD3及び抗CD28で21時間刺激し、その後フローサイトメトリー分析のために前記を抗BR3-PEについて染色した。(B)CD25及びBR3の休止及び刺激ドットプロット。(C)活性化T細胞のBR3+ CD25とBR3- CD25発現。(D)BR3とIFN-ガンマのドットプロット。IFN-ガンマは細胞内フローサイトメトリーを用いて検出した。T細胞を上記のように18時間刺激し、ブレフェルジンAで6時間インキュベートした。続いて細胞を固定して透過性にし、抗BR3 PE及び抗IFN-ガンマAPCで染色した。
【
図4D】活性化マーカーと関係するCD4及びCD8 T細胞のBR3のフロー分析を示す。(A)抗BR3抗体クローン11C1を用いた、休止及び活性化ヒトT細胞のBR3パーセンテージ。T細胞サブセットを精製し、プレート結合抗CD3及び抗CD28で21時間刺激し、その後フローサイトメトリー分析のために前記を抗BR3-PEについて染色した。(B)CD25及びBR3の休止及び刺激ドットプロット。(C)活性化T細胞のBR3+ CD25とBR3- CD25発現。(D)BR3とIFN-ガンマのドットプロット。IFN-ガンマは細胞内フローサイトメトリーを用いて検出した。T細胞を上記のように18時間刺激し、ブレフェルジンAで6時間インキュベートした。続いて細胞を固定して透過性にし、抗BR3 PE及び抗IFN-ガンマAPCで染色した。
【
図5A】抗BR3媒介遮断は、CD25(IL2-R-アルファ)発現によって計測されるとおりT細胞活性化を増加させることを示す。(A)抗BR3で処理し21時間活性化したCD4+及びCD8+ T細胞におけるCD25発現増加のフローサイトメトリー。(B)CD4+及びCD8+ T細胞のCD25 mRNAの半定量PCR。CD25発現は、21時間活性化したT細胞サブセットのGAPDH発現について測定した。(C)CD25の細胞表面発現は、ナノグラム/mL濃度(腫瘍のミクロ環境で見いだされるレベル)で添加した外因性BAFFの存在下で抗BR3により増加する。
【
図5B】抗BR3媒介遮断は、CD25(IL2-R-アルファ)発現によって計測されるとおりT細胞活性化を増加させることを示す。(A)抗BR3で処理し21時間活性化したCD4+及びCD8+ T細胞におけるCD25発現増加のフローサイトメトリー。(B)CD4+及びCD8+ T細胞のCD25 mRNAの半定量PCR。CD25発現は、21時間活性化したT細胞サブセットのGAPDH発現について測定した。(C)CD25の細胞表面発現は、ナノグラム/mL濃度(腫瘍のミクロ環境で見いだされるレベル)で添加した外因性BAFFの存在下で抗BR3により増加する。
【
図5C】抗BR3媒介遮断は、CD25(IL2-R-アルファ)発現によって計測されるとおりT細胞活性化を増加させることを示す。(A)抗BR3で処理し21時間活性化したCD4+及びCD8+ T細胞におけるCD25発現増加のフローサイトメトリー。(B)CD4+及びCD8+ T細胞のCD25 mRNAの半定量PCR。CD25発現は、21時間活性化したT細胞サブセットのGAPDH発現について測定した。(C)CD25の細胞表面発現は、ナノグラム/mL濃度(腫瘍のミクロ環境で見いだされるレベル)で添加した外因性BAFFの存在下で抗BR3により増加する。
【
図6A】BR3が遮断された精製CD4+及びCD8+ T細胞サブセットのIFN-γの増加を示す。(A)抗BR3存在下及び非存在下における細胞内IFN-γ発現のドットプロット。(B)CD4+及びCD8+ T細胞のIFN-γ発現の21時間ELISA。(C)活性化後21時間の半定量PCR。ヤギIgGコントロール又は抗BR3で処理したCD4+及びCD8+ T細胞のIFN-γの相対的遺伝子発現を示す。
【
図6B】BR3が遮断された精製CD4+及びCD8+ T細胞サブセットのIFN-γの増加を示す。(A)抗BR3存在下及び非存在下における細胞内IFN-γ発現のドットプロット。(B)CD4+及びCD8+ T細胞のIFN-γ発現の21時間ELISA。(C)活性化後21時間の半定量PCR。ヤギIgGコントロール又は抗BR3で処理したCD4+及びCD8+ T細胞のIFN-γの相対的遺伝子発現を示す。
【
図6C】BR3が遮断された精製CD4+及びCD8+ T細胞サブセットのIFN-γの増加を示す。(A)抗BR3存在下及び非存在下における細胞内IFN-γ発現のドットプロット。(B)CD4+及びCD8+ T細胞のIFN-γ発現の21時間ELISA。(C)活性化後21時間の半定量PCR。ヤギIgGコントロール又は抗BR3で処理したCD4+及びCD8+ T細胞のIFN-γの相対的遺伝子発現を示す。
【
図7A】shRNAによる阻害はCD25及びIFN-γを増加させることを示す。(A)shRNAの使用はCD4+ T細胞のBR3発現を下方調整する。ダーマコン社(Dharmacon Inc.)のGIPZ BR3特異的shRNA構築物をGIPZコントロールベクターに加えて用いた。(B)shRNAによるT細胞の細胞表面CD25発現はBR3のダウンレギュレーションを高める。フローサイトメトリー分析は、ヌクレオポレーションとそれに続く21時間活性化期間の後の18時間T細胞休止後に実施した。(C)IFN-γの発現はBR3サイレント化CD4+ T細胞で増加した。細胞内フローサイトメトリーは、18時間の活性化とそれに続くブレフェルジンAの存在下での6時間インキュベーションの後に実施した。
【
図7B】shRNAによる阻害はCD25及びIFN-γを増加させることを示す。(A)shRNAの使用はCD4+ T細胞のBR3発現を下方調整する。ダーマコン社(Dharmacon Inc.)のGIPZ BR3特異的shRNA構築物をGIPZコントロールベクターに加えて用いた。(B)shRNAによるT細胞の細胞表面CD25発現はBR3のダウンレギュレーションを高める。フローサイトメトリー分析は、ヌクレオポレーションとそれに続く21時間活性化期間の後の18時間T細胞休止後に実施した。(C)IFN-γの発現はBR3サイレント化CD4+ T細胞で増加した。細胞内フローサイトメトリーは、18時間の活性化とそれに続くブレフェルジンAの存在下での6時間インキュベーションの後に実施した。
【
図7C】shRNAによる阻害はCD25及びIFN-γを増加させることを示す。(A)shRNAの使用はCD4+ T細胞のBR3発現を下方調整する。ダーマコン社(Dharmacon Inc.)のGIPZ BR3特異的shRNA構築物をGIPZコントロールベクターに加えて用いた。(B)shRNAによるT細胞の細胞表面CD25発現はBR3のダウンレギュレーションを高める。フローサイトメトリー分析は、ヌクレオポレーションとそれに続く21時間活性化期間の後の18時間T細胞休止後に実施した。(C)IFN-γの発現はBR3サイレント化CD4+ T細胞で増加した。細胞内フローサイトメトリーは、18時間の活性化とそれに続くブレフェルジンAの存在下での6時間インキュベーションの後に実施した。
【
図8A】抗BR3はT細胞傷害性を増大させることを示す。(A)
図9Aは、抗CD3/CD28活性化CD4+ T細胞のグランザイムB発現を抗BR3又はヤギIgGコントロールを用いて示す(発現はPCR及びELISAにより測定)。グランザイムBの増大は、BR3中和に特異的であり、TACI又はBCMA中和では増加しない。パーフォリンは抗BR3で増加しない。(B)CRTAMは細胞溶解性CD4+及び活性化CD8+細胞で発現される。フローサイトメトリーで測定したとき、抗BR3はCRTAM+細胞のCD25発現を増加させるが、抗TACI及び抗BCMA中和抗体は増加させない。CD25のメディアンチャネル蛍光における増加は、CRTAM+CD8+ T細胞の場合よりCRTAM+CD4+ T細胞でより大きい。(C)抗BR3遮断は、CD4+ T細胞によるメラノーマ細胞株U266の殺滅を増加させる。殺滅は細胞傷害性キット(Bio-Rad, Inc.)を用いLDHの遊離によって測定した。(D)抗BR3は、メラノーマ細胞株A375のT細胞殺滅を高める。抗CD3/CD28、ヤギIgGコントロール又は抗BR3で刺激したT細胞と3日間共同培養した後の接着性A375細胞の激減を示す。
【
図8B】抗BR3はT細胞傷害性を増大させることを示す。(A)
図9Aは、抗CD3/CD28活性化CD4+ T細胞のグランザイムB発現を抗BR3又はヤギIgGコントロールを用いて示す(発現はPCR及びELISAにより測定)。グランザイムBの増大は、BR3中和に特異的であり、TACI又はBCMA中和では増加しない。パーフォリンは抗BR3で増加しない。(B)CRTAMは細胞溶解性CD4+及び活性化CD8+細胞で発現される。フローサイトメトリーで測定したとき、抗BR3はCRTAM+細胞のCD25発現を増加させるが、抗TACI及び抗BCMA中和抗体は増加させない。CD25のメディアンチャネル蛍光における増加は、CRTAM+CD8+ T細胞の場合よりCRTAM+CD4+ T細胞でより大きい。(C)抗BR3遮断は、CD4+ T細胞によるメラノーマ細胞株U266の殺滅を増加させる。殺滅は細胞傷害性キット(Bio-Rad, Inc.)を用いLDHの遊離によって測定した。(D)抗BR3は、メラノーマ細胞株A375のT細胞殺滅を高める。抗CD3/CD28、ヤギIgGコントロール又は抗BR3で刺激したT細胞と3日間共同培養した後の接着性A375細胞の激減を示す。
【
図8C】抗BR3はT細胞傷害性を増大させることを示す。(A)
図9Aは、抗CD3/CD28活性化CD4+ T細胞のグランザイムB発現を抗BR3又はヤギIgGコントロールを用いて示す(発現はPCR及びELISAにより測定)。グランザイムBの増大は、BR3中和に特異的であり、TACI又はBCMA中和では増加しない。パーフォリンは抗BR3で増加しない。(B)CRTAMは細胞溶解性CD4+及び活性化CD8+細胞で発現される。フローサイトメトリーで測定したとき、抗BR3はCRTAM+細胞のCD25発現を増加させるが、抗TACI及び抗BCMA中和抗体は増加させない。CD25のメディアンチャネル蛍光における増加は、CRTAM+CD8+ T細胞の場合よりCRTAM+CD4+ T細胞でより大きい。(C)抗BR3遮断は、CD4+ T細胞によるメラノーマ細胞株U266の殺滅を増加させる。殺滅は細胞傷害性キット(Bio-Rad, Inc.)を用いLDHの遊離によって測定した。(D)抗BR3は、メラノーマ細胞株A375のT細胞殺滅を高める。抗CD3/CD28、ヤギIgGコントロール又は抗BR3で刺激したT細胞と3日間共同培養した後の接着性A375細胞の激減を示す。
【
図8D】抗BR3はT細胞傷害性を増大させることを示す。(A)
図9Aは、抗CD3/CD28活性化CD4+ T細胞のグランザイムB発現を抗BR3又はヤギIgGコントロールを用いて示す(発現はPCR及びELISAにより測定)。グランザイムBの増大は、BR3中和に特異的であり、TACI又はBCMA中和では増加しない。パーフォリンは抗BR3で増加しない。(B)CRTAMは細胞溶解性CD4+及び活性化CD8+細胞で発現される。フローサイトメトリーで測定したとき、抗BR3はCRTAM+細胞のCD25発現を増加させるが、抗TACI及び抗BCMA中和抗体は増加させない。CD25のメディアンチャネル蛍光における増加は、CRTAM+CD8+ T細胞の場合よりCRTAM+CD4+ T細胞でより大きい。(C)抗BR3遮断は、CD4+ T細胞によるメラノーマ細胞株U266の殺滅を増加させる。殺滅は細胞傷害性キット(Bio-Rad, Inc.)を用いLDHの遊離によって測定した。(D)抗BR3は、メラノーマ細胞株A375のT細胞殺滅を高める。抗CD3/CD28、ヤギIgGコントロール又は抗BR3で刺激したT細胞と3日間共同培養した後の接着性A375細胞の激減を示す。
【
図9】
図8Dに記載したT細胞-A375共同培養の上清のIFN-γレベルを示す。T細胞をA375細胞と1−0、1−1、及び1−0.1比で、無抗体下、ヤギIgGコントロール存在下、及び抗BR3存在下で培養した。A375細胞はT細胞活性化を抑制する。抗BR3は、A375によって媒介されるIFN-ガンマ生成抑制を克服する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に開示する方法は、少なくとも部分的には、本発明者らのT細胞抑制におけるBAFF(B細胞活性化因子)及びAPRIL(分裂誘発リガンド)の役割の発見に基づく。BAFFは、B細胞分化のための重要な調節因子であり、末梢B細胞集団の生存及び活性化の調節に必須である。BAFFは下記の3つのTNF受容体サブファミリーメンバーと結合する:B細胞成熟抗原(BCMA/TNFRSF17)、トランスメンブレンアクチベーター及びカルシウム調節因子及びシクロフィリンリガンドインターアクター(TACI/TNFRSF13B)、並びにBAFF受容体(BAFF-R/BR3/TNFRSF13C/BLyS受容体3及びTNFRSF13Cとしても知られている)。これらの受容体は、シグナルペプチドを欠くIII型トランスメンブレンタンパク質である。TACI及びBCMAはBAFF及び別のTNFスーパーファミリーリガンド、APRIL(分裂誘発リガンド)の両方と結合するが、一方、BAFF-Rは選択的にBAFFと結合する。
本明細書で初めて記載するように、MSC由来BAFF/APRIL又は組換えBAFF/APRILのインターフェロンガンマ活性化MSC培養への添加は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO1)酵素の発現及び活性を高めることができる(前記酵素は必須アミノ酸L-トリプトファンのN-フォルミルキヌレインへの分解を触媒する)。BAFF及びAPRILはIDO1発現のためのトグルスイッチとして機能するように思われる。いかなる特定の理論にも拘束されないが、発現を増大させるBAFF/APRIL受容体を特異的に遮断することによるIDO1のダウンレギュレーションは白血球機能を低下させ、エフェクターT細胞の分裂を高めるであろうと考える。
したがって、本開示は、養子細胞療法の細胞集団及び組成物を調製するための方法、細胞、及び組成物に関する。特に、遺伝子操作及び養子T細胞免疫療法のためのT細胞集団を確実に拡張及び活性化する効率的で効果的な方法を提供する。本発明の方法は、特定のT細胞集団を選択的に活性化することによって治療的方法で使用されるT細胞を提供する。さらにまた、前記方法によって作製される細胞及び組成物、並びにそれらを使用する方法が提供される。本開示はまた、T細胞のin vivo活性化及び拡張の刺激、及び抗BAFF-R剤のin vivo投与のための方法に関する。
【0007】
方法
第一の特徴では、ex vivoでT細胞を拡張及び活性化することによる、T細胞の集団を調製する確実な方法が本明細書で提供される。本明細書で用いられるように、“ex vivo”という用語は生物の外部で生じる状態を指す。本開示の関係では、免疫細胞のex vivo処置は、そのような細胞をある種の生物学的分子(例えばアゴニスト、アンタゴニスト)にin vitro(すなわち生物の外部)で、好ましくは無菌的条件下で暴露することを意味する。いくつかの事例では、ex vivo方法は、人間から単離した免疫細胞を同じ人間の対象者に投与し直す前に培養する工程を追加的に含む。
第一の工程では、BAFF受容体はT細胞の集団でダウンレギュレート又は遮断され、それによってBAFF受容体の活性は消失又は低下する。BAFF受容体は、当業界で公知の適切な方法又は技術によってダウンレギュレート又は遮断され得る。遺伝子発現のダウンレギュレーション又は受容体活性の低下のための公知の方法には、CRISPR、ミクロRNA、shRNA、RNAi、中和抗体、小分子阻害因子、下流のシグナリング経路を遮断する化学的阻害因子などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、BAFF受容体活性又は遺伝子発現は、1%−100%の間で(すなわち、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、100%)低下する。ある実施態様では、T細胞はBAFF受容体アンタゴニストの存在下で培養される。ある実施態様では、T細胞をBAFF-R特異的shRNAと接触させてBAFF-R遺伝子発現を低下させる。
ある実施態様では、T細胞はBAFF受容体アンタゴニストの存在下で培養される。例示的な実施態様では、BAFF受容体アンタゴニストは、B細胞活性化因子受容体(BAFF-R)と反応する中和抗体である。ヒト抗BAFF-R抗体は、市場の供給業者(例えばR&D Systems及びInvitrogen)から入手できる。
【0008】
好ましくは、T細胞は白血球含有細胞混合物又は精製T細胞集団に存在する。いくつかの事例では、白血球含有細胞混合物又は精製T細胞集団は、例えば人間の対象者の末梢血のアフェレーシス又は人間の対象者の末梢血単核球から入手される。本明細書で用いられるように、“白血球含有細胞混合物”は、白血球細胞タイプ(顆粒球、リンパ球及び単球を含む)を含む細胞集団又は細胞組成物を指す。白血球含有細胞混合物は、好ましくは1つ以上の特異的な白血球細胞タイプを含む。好ましい細胞タイプは、リンパ球(特にT-リンパ球(“T細胞”)である。本明細書で用いられるように、“精製T細胞集団”は、血液又は白血球環境(例えば白血球アフェレーシスによって得られる)から単離、分離、或いは除去されたT細胞を指し、それにより単離/分離されたT細胞は、それらがin vivoで存在する環境とは異なる生理的環境に存在する。前記用語はいかなる特定の純度も示唆せず、さらに純度の絶対的レベルは必須ではない。当業者は、本明細書で提供する方法にしたがって使用される適切な純度レベルを容易に決定できる。
ある実施態様では、T細胞をBAFF-R特異的shRNAと接触させてBAFF-R遺伝子発現を低下させる。本発明に適するshRNAは、相補性BR3 mRNAの切断及びその後の分解を指令できるものである。適切なshRNA構築物はダーマコン社から購入できる。
【0009】
次の工程では、BAFF受容体がダウンレギュレート又は遮断されたT細胞は、抗CD3抗体又はそのCD3結合フラグメント及び抗CD28抗体又はそのCD28結合フラグメントの存在下で約3日から約14日間(例えば約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日)、T細胞の活性化のために適切な条件下で培養される。この約3から14日培養工程を用いるin vitroのT細胞拡張はそのような培養T細胞を活性化し分裂を誘発して、治療法で使用するために十分な数の活性化された細胞傷害性T細胞を含む拡張集団を生じる。前記拡張T細胞集団はCD4陽性T細胞又はCD8陽性T細胞を含むことができる。いくつかの事例では、細胞傷害性CD8
+ T細胞が前記活性化T細胞集団から優先的に拡張される。
T細胞の活性化のために適切な条件は、T細胞の生存能力の維持に適する任意の培地、並びに抗CD3抗体及びCD28抗体をT細胞と接触させることができる前記抗体の任意の処方を含む。いくつかの実施態様では、抗CD3及び抗CD28抗体は固体基材(例えばビーズ又はプレート表面)に固定できる。いくつかの実施態様では、抗CD3及び抗CD28抗体は可溶性である。ある実施態様では、白血球培養の例示的培養液はRPMI1640細胞培養液又は同様な細胞培養液である。場合によって、培地は約25%までの熱不活化ヒト血清アルブミンを含むことができる。BAFF-Rアンタゴニストを培養液に添加し、任意の適切な温度(例えば4℃、25℃又は37℃)でBAFF-Rアンタゴニストとのインキュベーションを実施することができる。好ましくは、BAFF-Rアンタゴニストインキュベーションは37℃で実施される。便利には当業者が適切な処置時間を最適化することができる。好ましくは、処置時間は約1時間から約24時間である。白血球との接触のための例示的BAFF-Rアンタゴニスト量には約0.1μg/mLから約100μg/mLが含まれる。当業者は有用なBAFF-Rアンタゴニスト量を容易に決定してBAFF-R活性を低下又は消失させることができる。
【0010】
T細胞は、その表面にCD4を発現する細胞(CD4陽性細胞とも称される)及びその表面にCD8を発現する細胞(CD8陽性細胞とも称される)におおまかに分けられる。本明細書で提供する方法にしたがって使用するために適切なT細胞は、人間のドナーの骨髄(BM)又は末梢血(PB)に由来する単核リンパ球(PBL)である。これらの細胞は、BM又はPBから直接採集するか、又は他家もしくは自家ドナーへの増殖因子及び/又はサイトカイン(例えば顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)又は顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))の投与により動員又は刺激した後で採集できる。末梢血から末梢血単核球(PBMC)を単離する確立された多くのプロトコルが存在することは当業者には理解されよう。静脈穿刺により簡便に人間の末梢血を採集することができる。PBMCの単離は密度勾配分離プロトコルによって補助され、血液中の他の成分からリンパ球を分離するために通常は密度勾配遠心分離技術を利用し、フィコール-ハイパーク(Ficoll(商標)-Hypaque)又はヒストパーク(Histopaque(商標))を用いることができる。好ましくは、PBMC単離は無菌条件下で実施される。また別には、細胞エルトリエーション法を利用して、単核球集団を分離することができる。細胞エルトリエーション法の利点には無菌性及び効率性が含まれる。
【0011】
例示的な実施態様では、本明細書で提供する方法は、T細胞活性化を誘発する刺激でBAFF-R接触白血球を活性化する工程を含む。例示的な刺激には、分裂促進因子(例えばコンカナバリンA)、IL-2、及び抗CD2-、抗CD3-又は抗CD28-ビーズが含まれるが、ただしこれらに限定されない。CD28(T90/44抗原又はTp44としても知られている)はT細胞表面発現抗原であり、前記はT細胞上で働く共刺激タンパク質の受容体である。CD3は、成熟Tリンパ球の少なくとも5つの膜結合ポリペプチドの複合体であり、前記ポリペプチドは互いにさらにT細胞受容体と非共有結合により結合する。CD3複合体は、ガンマ、デルタ、エプシロン、ゼータ及びエータサブユニットを含む。抗原がT細胞受容体に結合するとき、CD3複合体は活性化シグナルをT細胞の細胞質に形質導入する。例えば、T細胞受容体と抗CD3モノクローナル抗体(mAb)との架橋は、T細胞の活性化、分裂、サイトカイン合成、及び腫瘍標的に向けられる非特異的細胞傷害性を生じる。これらの活性化T細胞は、IL-2生成増加を特徴とし、非MHC拘束細胞傷害性を示し、さらにIFNγ、TNFα及びGM-CSFを生成する。
【0012】
いくつかの事例では、本開示の方法は、遺伝子操作受容体又はキメラ抗原受容体を活性化T細胞に導入する工程を含み、それによって前記方法は、前記遺伝子操作又はキメラ抗原受容体を発現するCD4
+ T細胞及びCD8
+ T細胞を含む拡張集団を生じる。キメラ抗原受容体(CAR)(キメラT細胞受容体、人工T細胞受容体及びキメラ免疫受容体としても知られる)は操作された受容体であり、前記は特異性を免疫エフェクター細胞に移植する。一般的に、キメラ抗原受容体は標的抗原結合ドメインを有するトランスメンブレンタンパク質であり、前記結合ドメインはスペーサー及びトランスメンブレンドメインを介してシグナリングエンドドメインに融合される。CARがその標的抗原と結合するとき、活性化シグナルがT細胞に伝達される。ある実施態様では、キメラ抗原受容体又は遺伝子操作受容体がT細胞に導入される。ある実施態様では、キメラ抗原受容体又は遺伝子操作受容体をコードする核酸ベクターがT細胞にトランスフェクトされ、それによってT細胞はキメラ抗原受容体を発現する。
ex vivo操作手順の間に用いられる試薬及び他の物質(例えば抗体、サイトカイン、血清、他の化学品、又は固体支持体(例えばビーズ))及び特にウイルス系遺伝子ベクターは、治療用細胞プロダクトの無菌的製造に適合していなければならない。
【0013】
本明細書で提供する方法にしたがって入手される拡張T細胞集団は、細胞免疫療法(T細胞療法、養子細胞療法(ACT)及びCAR T細胞療法を含む(ただしこれらに限定されない))で有用である。本明細書で用いられるように、“養子細胞療法”という用語は、エフェクター機能を媒介するリンパ球の移転を指す。例えば、本明細書の記載にしたがって入手される拡張T細胞集団をACT方法で用いて、癌(例えばリンパ腫)患者の機能的T細胞欠損をin vivo及びin vitroで逆転させることができる。養子T細胞療法は、キメラ抗原受容体を発現するように操作したT細胞の投与、遺伝子改変されていない腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の投与、及びT細胞受容体(TCR)操作を実施したT細胞の投与を含む。T細胞チェックポイント療法及びTIL療法は、T細胞区画の本来備わっている腫瘍認識能力を活用する。遺伝子改変T細胞による養子療法は、他の状況では患者に存在しない腫瘍特異的T細胞区画を作り出すことによって完全に異なる要求を満たす潜在能力を有する。したがって、遺伝子改変ACTは、T細胞チェックポイント療法又はTIL療法に応答し得ない腫瘍タイプ(例えば小児に生じる大半の癌及び多くの血液学的悪性疾患)に対して潜在能力を有する。加えて、T細胞チェックポイント療法及び遺伝子改変ACTは相乗的に機能する潜在能力を有する。したがって、本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞を用いる養子細胞療法は、追加の治療技術(例えばチェックポイント遮断抗体、ワクチン及び標的誘導下薬剤療法)と組合わせ得ることが意図される。
【0014】
ドナーリンパ球輸液(DLL)は直接的でかつ強力な移植片対腫瘍(GVT)効果を誘発する。前記はドナー移植片の同種異系幹細胞移植(SCT)後に再発する患者に特に有効である。Ex vivo活性化DLI(aDLI)の使用はいくつかの白血病の患者で有益であり得る。そのような事例では、活性化ドナーT細胞は、抗CD3(OKT3)及び/又は抗CD28被覆磁性ビーズへの暴露に続いて共同刺激及び拡張することによって得られる。一般的には、CD3及びCD28によるT細胞の共同刺激は活性化T細胞を生成することができ、前記T細胞は、疾患誘発アネルギーを克服し、CD4機能を保全及び増大させ、さらにGVT活性を強化することができる。本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞は、対象者(例えば同種異系SCT後に再発を示す対象者)に輸液できる。
いくつかの事例では、PBMC物からT細胞を同時に単離及び活性化(刺激)するのが有利であり得る。例えば、抗CD3及び抗CD28被覆磁性ビーズ(すなわちCTSダイナビーズCD3/CD28)を大きな磁石と一緒に用いて、磁性ビーズ結合細胞を磁性ビーズに結合しないものから分離することができる。
さらにまたT細胞をin vivoで活性化及び拡張するために、対象者に抗BAFF-R剤を投与する方法が本明細書で意図される。本明細書で用いられるように、“抗BAFF-R剤”は、BAFF-R受容体の活性又は遺伝子発現を阻害し又は低下させるものを指す。抗BAFF-R剤には、阻害性抗BAFF-Rモノクローナル抗体、小分子阻害剤、shRNA、shRNAベクター、ミクロRNA、ミクロRNAベクターなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない。本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞の拡張集団を利用する治療手段は、T細胞のin vivo活性化のための補充となるか、又は代用となり得る。
【0015】
本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞の拡張集団は、多様な疾患、例えば癌(血液の悪性疾患(例えばリンパ腫又は白血病)又は固形腫瘍(例えばメラノーマ又は腎癌))又は感染症(例えばHIV)の治療もしくは予防に有用である。本明細書で用いられるように、“治療する”又は“治療”は、治療的及び予防的又は防止的手段の両方を指し、この場合、目標は望ましくない生理学的変化又は病理学的異常を防止するか又は遅らせる(減少させる)ことである。本発明の目的のためには、癌の治療には、1つ以上の臨床指標の緩和、腫瘍の成長又は腫瘍細胞分裂の減少、癌の様態の1つ以上の臨床指標の重篤度の低下、前記様態の程度の軽減、対象者の病期の安定化(すなわち悪化しないこと)、癌進行の遅延、停止又は逆転、及び部分的又は完全な緩解の発生が含まれるが、ただしこれらに限定されない。癌の治療にはまた、本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞を取り入れない標準的医療で治療した場合の予後と比較して日数、週数、月数又は年数による生存延長が含まれる。治療を必要とする対象者には、すでに癌であるか又は癌と診断された人々とともに、癌に罹患しやすいもしくは癌発生の蓋然性が高い、又は癌(例えばリンパ腫又は多発性骨髄腫)もしくは感染症が疑われる人々が含まれ得る。いくつかの事例では、対象者は自己免疫疾患を有することがある。本明細書で用いられるように、“防止する”及び“防止”という用語は、望ましくない生理学的変化又は異常もしくは様態の発生の阻害を意図する予防的又は防止的手段を指す。例示的実施態様では、疾患又は様態の予防は、前記疾患又は様態(又はその症状)が出現もしくは存在する以前の時点で本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞の投与を開始することを含み、したがって、前記疾患もしくは様態、又はその症状、病理学的特色、結果、又は有害作用は出現しない。
【0016】
本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞は、癌(血液類リンパ系悪性疾患(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫)を含む悪性疾患を含む)の治療のために養子細胞療法の方法で用いることができる。本明細書に記載する治療に適する癌には、血液学的悪性疾患、例えば急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄腫、非ホジキン及びホジキンリンパ腫(例えば再発性、難治性、又は化学療法耐性非ホジキンリンパ腫)、及び脊髄形成異常症候群(MDS)が含まれる。“癌”及び“腫瘍”という用語は本明細書では互換的に用いられる。治療に適する他の癌には固形腫瘍(例えばメラノーマ、腎癌、結腸癌、肺癌、脳の癌、及び肝癌)が含まれる。
本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞は、感染の治療のために養子細胞療法の方法で用いることができる。本明細書で用いられるように、“感染”という用語は、微生物又は他の感染性因子が健康な細胞に侵入する病的状態を指し、細菌性、ウイルス性又は寄生性(例えば原生動物)感染因子によって引き起こされる任意の様態又は病的状態が含まれる。例えば、“ウイルス感染”という用語は健康な細胞のウイルス(例えばHIV)による侵入を指し、この場合、ウイルスは細胞の増殖機構を使用して増加又は複製し、最終的には細胞を溶解させて細胞死、ウイルス粒子の放出、及び新規生成子孫ウイルスによる他の細胞の感染をもたらす。感染に関しては、“治療”という用語はさらに治療薬の適用又は投与を指し、この場合、その目的は、治癒(cure, heal)、緩和、軽減、改変、修復、好転、改善、又は前記感染、前記感染に関係する任意の症状もしくは感染発症素因に影響を与えることである。
【0017】
本明細書で用いられるように、“対象者”又は“患者”という用語は互換的に用いられ、任意の脊椎動物(人間、哺乳動物、爬虫類、両生動物及び魚類を含む(ただし前記に限定されない))を包含する。しかしながら、有利には対象者又は患者は、例えば人間のような哺乳動物、又は哺乳動物(例えば飼い慣らされた哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ)又は家畜(例えば乳牛、ヒツジ、ブタなど))である。例示的な実施態様では、対象者は人間である。本明細書で用いられるように、“その必要がある”という語句は、治療的又は予防的手段が所望される対象者の状態を指す。そのような状態には、疾患又は様態(例えば癌)を有する対象者が含まれ得る(ただし前記に限定されない)。
いくつかの事例では、本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞を医薬組成物として投与することができ、前記組成物は、治療薬剤として(すなわち治療的な適用のために)有効な量のT細胞を含む。本明細書で用いられるように、“医薬組成物”という用語は、哺乳動物への投与に適する化学的又は生物学的組成物を指す。そのような治療的な適用に適する組成物の例には、非経口投与、皮下、経皮、皮内、筋肉内、冠状動脈内、心筋内、脳内、腫瘍内、腹腔内、静脈内(例えば注射可能)、又は気管内投与のための調製物(例えば無菌的懸濁物、乳濁液及びエーロゾル)が含まれる。気管内投与は、治療的に有効な量のT細胞を含む医薬組成物に肺組織(例えば肺胞)を接触又は暴露する工程を必要とする。いくつかの事例では、治療的な適用に適した医薬組成物は、1つ以上の医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤又は担体(例えば滅菌水、生理学的食塩水、グルコースなど)との混合物中に存在し得る。例えば、本明細書に記載するT細胞は、食塩水溶液を含む医薬組成物として対象者に投与され得る。例示的な実施態様では、本明細書で提供する方法にしたがって拡張されるT細胞は、対象者に投与されるとき所望の治療的又は予防的効果を誘発することができる。
【0018】
処方物は、経口投与、直腸、鼻内、局部又は経粘膜投与(頬用、舌下用、眼用、膣用及び直腸用を含む)、及び非経口投与(皮下用、筋肉内用、静脈内用、皮内用、腹腔内用、眼内用及び硬膜外用を含む)のために設計又は提供され得る。一般的には、水性もしくは非水性液状又はクリーム状処方物が非経口、経口又は局部ルートによってデリバリーされる。他の実施態様では、組成物は水性もしくは非水性液状処方物又は固形処方物として存在でき、前記処方物は、任意のルート(例えば経口、局部、頬、舌下、非経口)、エーロゾル、デポ剤(例えば皮下デポ剤又は腹腔もしくは筋肉内デポ剤)による投与に適切である。いくつかの事例では、医薬組成物は凍結乾燥される。他の事例では、本明細書で提供する医薬組成物は、所望される投与ルート及び調製に応じて、補助物質(例えば湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化もしくは粘性強化添加物、保存料、香料、着色剤など)を含む。医薬組成物は、通常の製薬慣行にしたがって処方することができる(例えば以下を参照されたい: Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed.A.R.Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia;及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York)。
好ましいルートは、例えば、対象者の病理学的状態もしくは体重、又は対象者の治療方法に対する応答、又は状況に見合う治療方法により変動し得る。処方物はまた2つ以上のルートによって投与することが可能であり、この場合、デリバリーの方法は本質的に同時であるか、或いは組成物が対象者に投与される時間において本質的に時間的オーバーラップがほとんどないかもしくは全くない。
最初の投与及び更なる投与のための又は連続投与のための適切なレジメンもまた変動可能であり、最初の投与とその後に投与が続くレジメンが含まれ得るが、それにもかかわらず、当業者は、本開示、本明細書に引用する資料及び当業界の知識から適切なレジメンを確認することができる。
【0019】
いくつかの事例では、T細胞は場合によって1つ以上の活性な薬剤と組合わせて投与され得る。そのような活性な薬剤には、抗炎症剤、抗サイトカイン剤、鎮痛剤、解熱剤、抗生物質及び抗ウイルス剤とともに増殖因子並びに免疫調節薬剤のアゴニスト、アンタゴニスト及び調節物質が含まれる(例えば、BAFF、APRIL、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IL-18、IL-21、IL-35、IFN-α、IFN-γ、CXCL13、IP-10、VEGF、EPO、EGF、HRG、肝細胞増殖因子(HGF)、ヘプシジン、前述のいずれかに対して反応する抗体、及びそれらの受容体のいずれかに対して反応する抗体)。そのような活性薬剤の任意の適切な組み合わせもまた意図される。1つ以上の活性薬剤と組合わせて投与されるとき、T細胞は他の活性薬剤と同時に又は連続して投与され得る。例えば、対象者には、回復を支援しさらに疾患もしくは様態を治療し緩和し又は重篤度を軽減するために十分な期間又は投薬レジメンにしたがって、T細胞及び本明細書に記載の薬剤の1つ以上を同時に投与できる。
いくつかの実施態様では、T細胞は、その必要がある対象者に輸液、局部適用、外科的移植又は埋め込みを用いて投与される。例示的な実施態様では、投与は全身性である。そのような事例では、T細胞は、その必要がある対象者に静脈内投与に適合させた医薬組成物として対象者に投与される。典型的には、静脈内投与用組成物は無菌的な等張水性緩衝液中の溶液である。そのような緩衝液及び希釈剤の使用は当業界で周知である。必要な場合には、組成物はまた局所麻酔剤を含み、注射部位のいずれの痛みも緩和することができる。一般的には、成分は別々に供給されるか、又はユニット投薬形として(例えば密閉容器(例えば活性薬剤の量を示すアンプル)中の冷凍保存濃縮物として)一緒に混合される。組成物が輸液によって投与される場合、組成物は無菌的な医薬等級水又は食塩水を含む輸液瓶に分注できる。組成物が注射によって投与される場合は、注射用滅菌水又は食塩水のアンプルを提供し、組成物を投与前に混合することができる。いくつかの事例では、本発明のT細胞を含む組成物は投与前には冷凍保存される。
【0020】
本明細書で提供するT細胞の治療的に有効な量がその必要のある対象者に投与される。本明細書で用いられるように、“治療的に有効な用量”という用語は、進行を防ぐために、又は問題の疾患もしくは様態の軽減を引き起こすために十分な任意の用量を指すか、又は、治療的に有効な量は、前記疾患もしくは様態によって引き起こされる症状(例えば痛み又は腫脹)を緩和することができる。有効な用量又は量(前記は1回以上の投与で投与することができる)は、T細胞が投与される対象者で治療的効果を引き出すために十分なヒトT細胞の量である。治療的に有効な量は、ex vivoで拡張したT細胞培養の約50x10
6細胞から約700x10
6細胞の量であり得る。いくつかの事例では、有効な量は、レシピエントの体重1キログラム(kg)につき少なくとも1x10
6細胞を含む投薬量として投与される。例えば、有効な量は、少なくとも1x10
6細胞/kg、少なくとも10x10
6細胞/kg、少なくとも30x10
6細胞/kg、少なくとも100x10
6細胞/kg、又は少なくとも1000x10
6細胞/kgを含む用量で対象者に投与され得る。
有効な量は、投与に際して細胞の作用を改変する多様な要因及び細胞に対する対象者の生物学的応答(例えば患者の年齢、性別及び食事、炎症の重篤度、投与時期、並びに他の臨床的要因)によって影響を受けるであろう。本明細書で提供する方法にしたがって入手されるT細胞の治療的に有効な量を対象者に投与することができる。
【0021】
人間の対象者への投与のために治療的に有効な量は、動物試験及び動物に対して有効と決定される量を人間の投与のための目盛りとする任意の業界許容方法で決定することができる。例えば、最初に動物モデルで(例えば有益な又は所望の臨床結果を達成するために)有効な量を測定することができる。動物モデルから得られた量を、当業界で公知の変換係数を用いることによって人間のために有効な量の処方に用いることができる。ある動物モデルで得られた有効な量はまた、適切な変換係数(例えば体表面積係数)を用いることによって別の動物のために変換することができる。
個々の任意の対象者について、規定の投薬レジメンは、各個体の必要性及びT細胞を投与する者又は投与を監督する者の専門的な判断にしたがって時間をかけて調整されねばならないことは理解されるべきである。例えば、個々の対象者のT細胞投薬量は、より低い用量が検出可能な又は十分な改善を引き出さない場合には増加させることができる。
いくつかの事例では、T細胞の治療的に有効な量は、所望の症候緩和レベルに達するまで投薬量を徐々に増加させることにより治療薬の効果を対象者で測定することによって決定できる。持続投与又は反復投与レジメンもまた、所望の結果の達成又は維持のために用いることができる。当業界で公知の任意の他の技術も同様に用いて有効な量の範囲を決定することができる。もちろんのこと、規定の有効量は、治療される個々の様態、対象者の生理的様態、治療される動物のタイプ、治療期間、及び任意の同時実施療法の性質のような要件により変動するであろう。本明細書に記載の疾患もしくは様態の影響下にあるか、又はそれら疾患もしくは様態を発生させやすいか又は発生の蓋然性が高い個々の対象者へのT細胞の投与に続いて、臨床症状又は前記疾患もしくは様態の特質における正又は負の変化について前記対象者を観察及び評価する。例えば、対象者で癌を治療する方法の場合、治療の間又は治療後の正又は負の変化は、当業者に公知の任意の手段(腫瘍サイズの変化の測定を含むが、ただし前記に限定されない)によって決定され得る。
【0022】
本発明の方法のいずれにおいても、T細胞のドナーとレシピエントは同じ個体でも又は異なる個体でもよい。本明細書で用いられるように、“自家”という用語は、ある個体から入手され同じ個体に移植し直される細胞又は組織を指す。本明細書で用いられるように、“同種異系”という用語は同じ種の異なる個体から入手された細胞又は組織を指し、この場合ドナー及びレシピエントは遺伝的に同一ではない。本開示に関しては、同種異系細胞移植又は組織移植は、ドナーとレシピエントが同じ種の異なる個体である細胞又は組織の移植を必要とする。“異種間”という用語は、どちらかが異なる種の生物に由来するか又は異なる種の生物から入手されることを意味する。本開示に関しては、異種間細胞移植又は組織移植は、ドナーとレシピエントが異なる種の異なる個体である細胞又は組織の移植を必要とする。
対象者への投与は、局所注射もしくは全身注射によるか、又は局部適用によることができる。例えば、T細胞は、静脈内注射(例えば点滴輸液)、筋肉内注射、腹腔内注射、器官内注射、又は皮下注射によって投与され得る。いくつかの事例では、対象者は、組織の維持、組織の修復もしくは機能、又は全体的な様態に関して観察もしくは評価される。
【0023】
製造物品
別の特徴では、本発明は養子細胞療法に有用な製造物品を提供する。いくつかの事例では、本発明のキットは人間のT細胞を収納する1つ以上の容器を含む。具体的な実施態様では、本明細書で提供する方法にしたがって拡張及び活性化される細胞がキットとして提供され、いくつかの事例では、前記細胞がキットの唯一の成分であり得る。キットは追加的に試薬及び材料を含むことができ、前記は、本明細書で提供するT細胞を拡張及び活性化して所望の細胞プロダクトを得るために有用である。例えば、キットは1つ以上のBAFF-Rアンタゴニストを含むことができる。
場合によって、キットはさらに1つ以上の試薬又は他の成分を含むことができ、前記は、本発明の方法にしたがってT細胞をその必要がある人間の対象者に投与するために必要である。いくつかの事例では、医薬的に許容できる冷凍保存料中の冷凍アリコットとしてT細胞を提供することは適切であり得る。
いくつかの事例では、本明細書で提供するT細胞に加えて、キットはまた第二の治療薬(例えば化学療法剤、ホルモン治療剤及び/又は免疫治療剤)を含む。キットは、ある個体の特定の癌に合わせて仕立て直し、前記個体のために対応する第二の治療薬を含むことができる。いくつかの事例では、キットはさらに、1つ以上の活性薬剤(例えば抗炎症剤、抗サイトカイン剤、鎮痛剤、解熱剤、抗生物質及び抗ウイルス剤)とともに増殖因子並びに免疫調節薬剤のアゴニスト、アンタゴニスト及び調節物質を含む(例えば、TNF-α、インターロイキン2(IL-2)、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IL-18、IFN-α、IFN-γ、BAFF、CXCL13、IP-10、VEGF、EPO、EGF、HRG、肝細胞増殖因子(HGF)、ヘプシジン、(前述のいずれかに対して反応する抗体、及びそれらの受容体のいずれかに対して反応する抗体を含む))。癌治療に有用な医薬クラスには以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):グルココルチコイド(例えばプレドニソロン)、免疫抑制剤(例えばシクロスポリン、メトトレキセート、タクロリムス、ピメクロリムス、シロリムス、ミコフェノレート、モフェチル、ビジリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン(ATG))、抗新生物剤(例えばペントスタチン)、及び抗リウマチ剤(例えばヒドロキシクロロキン、インフリキシマブ、エタネルセプト)。そのような活性な薬剤の適切な組合せを含むキットもまた意図される。そのような容器とともに、人間への投与のための指示及び生物学的製剤の製造、使用又は販売に関する規制庁の所定の形式の通知が提供される(前記通知は人間への投与について官庁の製造、使用又は販売の承認を示す)。
本発明は、以下の非限定的な実施例を考慮するときより完全に理解されるであろう。本明細書に開示する全ての成書、論文及び特許は参照によってその全体が本明細書に含まれる。
実施例
以下の例についてこれから述べる。これらの例は、上記の説明と一緒になって本発明を非限定的な態様で解説するであろう。
【実施例1】
【0024】
BAFFはMSC媒介T細胞抑制をin vitroで妨げる
我々は、間葉系幹細胞(MSC)由来BAFFがMSC媒介T細胞抑制をin vitroで妨げるか否かを決定するために、健康なドナーの骨髄由来MSCを調べてきた。我々は、‘免疫潜在能アッセイ’を設計し(Bloom et al., 2015.Cytotherapy 17:140-151)、健康なドナーから入手してカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した末梢血白血球(PBL)を滴定数のMSCと共培養した。PBL環境内のT細胞を可溶性抗CD3/抗CD28で刺激した。T細胞サブセットの分裂をフローサイトメトリーで測定した。MSC非存在下の活性化T細胞の陽性コントロールに対してMSC媒介阻害を計測した。TACI-Fc(Atacicept)は、BAFF及びAPRILと効果的に結合する可溶性TACI受容体である。PBL:MSC共培養に添加したとき、TACI-FcはCD4
+ T細胞阻害を
逆転させた。T細胞阻害に対するMSC-BAFF下方調整の効果を測定した。
PBL共培養を伴う5つの実験(5つの異なるMSC株を用いる)の各々で、7つの異なるBAFF特異的shRNAプラスミドを用いた。驚くべきことに、MSC-BAFFのサイレンシングはT細胞抑制を逆転させた。BAFFレベルはCD4
+ T細胞分裂と逆の相関性を示した(R
2=0.81、
図1A)。しかしながら、MSCによるIL-6の発現はBAFFの下方調整の影響を受けず(
図1B)、MSC生存率にも変化はなかった。IDO1(インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ)mRNAレベル及び酵素活性の低下は下方調整BAFFレベルと相関性を示し、BAFFがこのT細胞抑制因子の発現を調節することを示唆する。
次に、BR3中和抗体(R&D Systems, Inc.)を用いてBR3機能を遮断した。4日間の共培養アッセイで、我々は、抗BR3はMSC共培養でCD4
+ 分裂を増大させるが、MSC非存在下T細胞活性化PBLのCD4
+ 分裂もまたPBLドナーに応じて様々な程度で強化されることを見出した。これらのデータは、BR3は少なくとも1つのCD4
+ 細胞サブセットの正常な恒常的抑制を制御していることを示唆する。
【0025】
CD8
+細胞を調べているときに、一貫した分裂増加が抗BR3で観察されたが、抗BCMA又は抗TACI遮断では認められなかった(
図3A)。加えて、BR3遮断によりIFN-γ及びグランザイムBの発現は9−40倍及び3−7倍それぞれ増加した(
図3B−3C)。重要なことに、IFN-γ及びグランザイムB発現の増加は、無差別的T細胞刺激を媒介する抗BR3遮断抗体が原因ではなかった。対照的に、ヒトサイトカイン多重分析は、他のT細胞サイトカインレベルは低下するか又は変化しないことを示した。予備的評価では、上清のIDO活性/キヌレニンレベルは抗BR3処理培養(24時間)で低下することが示されている。重要なことに、抗TACIは反対の効果(T細胞分裂及びIFN-γ発現は顕著に低下する)を示し、これはBAFFのT細胞に対する二元的作用を説明することができる。
総合すれば、これらのデータは、BAFFはIDO1の発現を増大させること、さらにBR3は、細胞傷害性(CD4
+及びCD8
+)T細胞分裂、IFN-γ発現及びグランザイムB生成の主要な負の調節因子であることを強く示している。我々は、細胞傷害性T細胞活性化のBR3媒介抑制のメカニズムの1つはIDO1発現を強化するその能力であると仮説を立てる。我々のin vitroデータは、BAFFは免疫抑制因子発現を媒介するという仮説を支持する。末梢血リンパ球がT細胞刺激抗体(抗CD3及び抗CD28)で刺激されるとき、CD4
+ T細胞及びCD8
+ T細胞の両方の分裂が増加する。BAFF受容体BR3を特異的に中和する抗体を添加したとき、CD4
+ T細胞及びCD8
+ T細胞の両方の分裂が顕著に増加する。興味深いことに、データはまた、BR3の遮断はIFN-γ生成とともにCD8
+ T細胞毒素グランザイムBの生成及び/又は分泌を強化することを明示した。これらのデータは、BR3がCD8
+ 細胞傷害性T細胞活性化及び分裂の必須の抑制因子の1つであることを強く示唆する。
【0026】
方法及び材料
末梢血白血球の調製:健康な個体から採取した血液からPBLを単離した。アフェレーシスプロダクト又は全血を用いてもよい。細胞をフィコール-パークグラジエントに適用して、以前に記載されたように赤血球及び血小板夾雑物から白血球を精製する(Corkum et al., 2015.BMC Immunol.Aug 26;16:48)。PBLが生存可能なようにDMSOを用いてバイアルで凍結し液体窒素中で冷凍保存した。
抗体及び試薬:抗CD3εは、ヒトT細胞上のTCR複合体のエプシロン鎖を刺激するモノクローナル抗体である。クローンUCHT1をR&Dシステムズ社(cat# MAB100)から購入した。凍結乾燥生成物を500μg/mLでPBSに再懸濁し、適量ずつに分けて-20℃で長期間保存した。
抗CD28は、抗CD3εと一緒になってヒトT細胞を共刺激するモノクローナル抗体である。。クローン37407をR&Dシステムズ社(cat# MAB342)から購入した。凍結乾燥生成物を500μg/mLでPBSに再懸濁し、適量ずつに分けて-20℃で長期間保存した。
抗BAFF-R遮断抗体はヒトBR3を遮断する。前記はR&Dシステムズ社(cat# AF1162)から購入したヤギモノクローナル抗体である。凍結乾燥生成物を200μg/mLでPBSに再懸濁し、適量ずつに分けて-20℃で長期間保存した。
ヤギIgGコントロールはR&Dシステムズ社(cat# AB-108-C)から購入した。凍結乾燥生成物を200μg/mLでPBSに再懸濁し、適量ずつに分けて-20℃で長期間保存した。
完全RPMI培養液: 10%FBS(55℃で30分間熱不活化(Atlanta Biologicals))、グルタミン、非必須アミノ酸、HEPES、ピルビン酸ナトリウムを含むRPMI-1640。ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen/Strep)は決まって用いられるわけではなく、その添加は結果を左右しない。培養液を使用前にろ過滅菌した。
CFSE(カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル):DMSO中に1mMのストック濃度。蛍光色素はInvitrogenから購入した。
フローサイトメトリーのための抗huCD4 APC標識抗体及び抗huCD8 APC標識抗体はR&Dシステムズ社から購入した。
【実施例2】
【0027】
BR3遮断プロトコル
実施例2に記載する実験は、分裂アッセイで使用される非精製T細胞でBR3遮断を達成するために使用される方法を提示する。末梢血白血球(PBL)を含むバイアルを37℃の水浴で迅速に(約2分間)融解してPBLを無菌的に15mLの円錐状チューブに移し、完全RPMI(Roswell Park Memorial Institute)培養液に再懸濁した。チューブを1200rpmで10分間遠心分離した。上清を細胞ペレットから吸引除去した。Ca
2+又はMg
2+を含まないD-PBSの10mLを細胞ペレットに添加し細胞を洗浄した。この細胞を1200rpmで10分間遠心分離した。上清を細胞ペレットから吸引除去し、10x10
6細胞につき1mLを超えないPBSを添加した。細胞1mLにつき2μLのCFSE(1mM)を添加して混合し、暗所で10分間37℃にてインキュベートした。等体積の冷(4℃)PBSを添加してCFSE標識を停止した。細胞を洗浄し、約4x10
5細胞に対応する細胞懸濁物200μLが48ウェルプレートの各ウェルに添加できるように調製した。
抗BR3抗体又はコントロールヤギ抗IgG抗体を48ウェルプレートの各ウェルに添加した。5%のCO
2を含むインキュベーターで細胞と抗体を37℃で30分間インキュベートした。
抗BR3又はIgGコントロール抗体とともにインキュベートした後、抗CD3/CD28刺激抗体(好ましくは5:1の比)を前記細胞培養に添加し、培養を3−4日間インキュベートしてT細胞拡張を進行させた。分裂を分析するために、各ウェルから細胞を採集し遠心チューブに入れて上清を分離し、細胞ペレットを収集した。更なる分析のために上清を別々に-20℃で保存した。抗CD4 APC又は抗CD8 APCフロー抗体のどちらかにサンプルを導入し、FL1(CFSE)及びFL4(APC)チャネルを用いてフローサイトメーターで分析した。非刺激コントロール(すなわち細胞分割を経た細胞の全パーセンテージ)に対して細胞を全分裂について分析した。標準的フローサイトメトリーデータ分析及びモデリングソフト(FlowJo
TM又はModFit LT
TM)を用いて、細胞分裂を分析した。
【実施例3】
【0028】
ドナー白血球輸液(DLI)のためのT細胞ex vivo共刺激及び拡張
白血球アフェレーシスの1日目又は2日目に収集したドナー白血球プロダクトに由来する細胞のアリコットをDLIの前にex vivo拡張のために取り出す。コールターマルチサイザー3(Coulter Multisizer3(Beckman Coulter, Fullerton, CA))でゲートコントロールしたとき、単球が白血球(WBC)の20%以上を構成する場合、閉鎖系での単球の磁性ビーズ枯渇を用いて洗浄アフェレーシスプロダクトをリンパ球について濃縮する。適切なFDAガイドライン及び適正製造基準に合致する態様でT細胞を処理する。
以下を補充したX VIVO 15(Cambrex, Walkersville, MD)含む気体浸透性フラスコに細胞を播種する:5%正常ヒトAB血清(Valley Biomedical, Winchester, VA)、2mLのL-グルタミン(Cambrex)、及び20mM HEPES(Cambrex)。抗CD3(OKT3;Ortho Biotech, Bridgewater, NJ)及び抗CD28(クローン9.3)モノクローナル抗体を結合させた磁性ビーズ(Dynal, Brown Deer, WI)をビーズ/CD3
+細胞比3:1で添加し、輸液のために採集及び調製する前に12日まで前記培養を維持する。細胞培養完了後、磁性細胞分離系を用いて磁性ビーズを除去し、細胞を洗浄及び濃縮して100から250mLのプラズマライトA(PlasmaLyte A(Baxter Oncology))/5%デキストロース0.45%NaCl(1%のヒト血清アルブミン(Baxter Oncology)を含む)に再懸濁した。輸液される全てのT細胞プロダクトは、T細胞表現型、細胞生存率、発熱性、無菌性、及びビーズ夾雑フリーについて指定された放出基準に合致することが要求される。
【実施例4】
【0029】
T細胞上のBAFF-Rの遮断はそれらの活性化及び細胞傷害性を強化する
材料と方法
細胞培養及び精製:初代ヒトT細胞を以下の業者(AllCells, LLC(Alameda, CA)又はKey Biologics, LLC(Memphis, TN))から購入した白血球アフェレーシスから入手した。到着時に、PBLをフィコール分離により単離し、将来の使用に向けて生存可能なように凍結した。T細胞実験のために、融解したPBLを活性化アッセイに直接用いるか、又は磁性ビーズ仕分けによってT細胞サブセットを精製した。精製のために、CD4又はCD8ビーズ(Miltenyi Biotec, Inc.(San Diego, CA))を製造業者のプロトコルにしたがって用いた。ビーズ仕分けのためにオートマックスソーター(AutoMacs sorter(Miltenyi Biotec))を用いた。CD4及びCD8 T細胞集団は典型的には90−95%の純度であった。全てのT細胞アッセイをRPMI(10%FBS、グルタミン、HEPES、ピルビン酸ナトリウム、NEAA、及びPen/Strepを含む)で実施した。メラノーマ株U266をRPMI(10%FBS、グルタミン、HEPES、ピルビン酸ナトリウム、NEAA、及びPen/Strepを含む)で培養した。付着性メラノーマ株A375をアルファ-MEM(10%FBS、グルタミン、NEAA、及びPen/Strepを含む)で拡張した。A375細胞は継代前に70−80%コンフルエンシーまで増殖させた。
フローサイトメトリー:全てのフローサイトメトリー実験を、4色分析のために2つのレーザーを有するアクリC6(Accuri C6(BD Biosciences, Inc.))で実施した。用いた抗体は以下の通りであった:抗BR3 PE、クローン11C1(BD Biosciences);抗CD25 FITC-バイオレット及びAPC、クローン3H3(Miltenyi Biotec);抗IFN-g APC、クローンB27(BD Biosciences);抗Granzyme B PE、クローンGB11(BD Biosciences);抗CRTAM PE、クローンCr24.1(Biolegend, Inc.)。分析は、CFlowPlus(BD Biosciences)又はFlowJo(TreeStar, Inc.)ソフトを用いて実施した。
抗BR3中和アッセイ:BAFF受容体遮断抗体(抗BR3(cat# AF1162)、抗TACI(cat# AF174)及び抗BCMA(cat# AF193))は、R&Dシステムズ社(Minneapolis, MN)から購入した。3つはいずれもヤギポリクローナル抗体である。いずれも凍結製品として受け取った。全てを推奨濃度でPBSに再懸濁し、小分けし、製造業者の指示にしたがって凍結した。抗体製品の使用については1回だけ融解するように注意を払った。遮断アッセイのために、CD4及びCD8 T細胞サブセットをビーズ選別し完全RPMI(上記参照)に1x10e6/mLに再懸濁した。10μg/mLの各中和抗体又は正常ヤギIgGコントロール(cat# AB-108-C)とともに細胞を25℃で30分間予備インキュベートした。2x10e5細胞/ウェルを96ウェル平底組織培養処理プレートに添加し、2x10e5/mLを48ウェルプレートに添加した。1μg/mLの抗CD3e(クローンUCHT1、R&D Systems, Inc.)及び0.2μg/mLの抗CD28(クローン37407、R&D Systems, Inc.)でプレートを37℃で8時間予め被覆し、続いてPBSで洗浄した。繰り返せば、抗CD3/CD28抗体は1回だけ融解するように注意した。37℃のインキュベーターで21−24時間T細胞の活性化及びインキュベーションを5%CO
2下で実施した。内径が広いピペットチップを用いて細胞を穏やかに採集し、上清を収集して-20℃で保存した。
BR3 shRNA下方調整:ヒトBAFF-Rに特異的な4つのshRNAプラスミド構築物を業者(Dharmacon, Inc.)から購入した(GIPZ shRNAコントロールプラスミドを含む)。各プラスミドの1−2μgを2−4x10e6 CD4又はCD8 T細胞にアマクサ社(Amaxa)系ヌクレオフェクションを用いて導入した。ヒトT細胞トランスフェクションに特異的なアマクサキットは業者(Lonza, Inc.)から購入した。プログラムV24を製造業者の指示にしたがってエレクトロポレーションのために用い、その後で細胞を予め温めた完全RPMIを含む12ウェルプレートで養生させた。続いて細胞を穏やかに採集し、生死について分析し、さらに1x10e6生細胞/ウェルで12ウェルプレートに添加した(前記プレートは抗CD3/CD28(上記の通りそれぞれ1μg/mL及び0.2μg/mL)で予め被覆されている)。トランスフェクト細胞を21−24時間活性化した。続いて細胞を採集し、上記に記載したようにBR3、CD25及びIFN-gについて分析した。
細胞傷害性アッセイ:当業界で以前に記載されたCSFE/ヨウ化プロピジウムアッセイを用いて、細胞傷害性/標的殺滅を測定した。簡単に記せば、CFSE標識A375メラノーマ細胞を、精製したCD4+及びCD8+ T細胞と30:1−5:1の範囲のTeff:標的比で共培養した。続いて細胞を採集し、CFSE陽性ゲートで陽性PIパーセントについてフローサイトメトリーによって分析した。T細胞は抗CD2 APCでゲートアウトした。
【0030】
半定量PCR:抗BR3で21−24時間処理した活性化T細胞サブセット、或いは処理していないT細胞サブセットからRNAを単離した。RNAイージーキット(RNA Easy kits(Qiagen, Inc.))を用いて全mRNAを単離した。Verso cDNA合成キット(Thermo Fisher Scientific, Inc.)を用いてcDNAを作製した。GAPDH、CD25、CD69、IFN-g、IL-2、グランザイムB、グランザイムA、及びパーフォリンの増幅に用いたプライマーはいずれもキアゲン社(Qiagen, Inc.)のクォンティテックプライマー(Quantitect Primer)であった。SYBR系PCRキット(Applied Biosystems, Inc.)を用い、以前に確立されたプロトコル(Hope C., et al."TPL2 kinase regulates the inflammatory milieu of the myeloma niche," Blood, 2014, 123(21):3305-3315)にしたがい、ステップワンプラスサーモサイクラー(StepOnePlus thermocycler)でcDNAを増幅した。
ELISA:上記に記載したアッセイから21−24時間後に組織培養上清を採集し、-20℃で凍結した。上清は1か月以内に利用した。培養上清中のヒトIFN-g濃度をELISAキット(Thermo-Pierce, Inc.)により測定した。ヒトグランザイムBは以下の業者のELISAキットを用いて測定した(eBioscience, Inc.(Platinum ELISA)及びR&D Systems, Inc.(DuoSet))。
結果
BR3は休止T細胞及び抗CD3/CD28活性化T細胞で発現される:休止及び抗CD3/抗CD28活性化T細胞がそれらの細胞表面でBR3をどの程度発現するかを我々の系で調べることによって分析を開始した(BR3特異的抗体クローン1C11をフローサイトメトリーで用いた)。ビーズ選別によって精製したCD4+及びCD8+ T細胞を24時間休止させるか、又はプレート結合刺激抗体を用いて活性化させた。一連の異なる健康な血液ドナーを用い、我々は、休止CD4+ BR3+細胞では表面BR3レベルに顕著な変動性(10+/-8%)があるが、休止CD8+ BR3+細胞パーセンテージは変動性が顕著に低い(10+/-1%)ことを見出した(
図4A)。抗CD25(抗IL-2α)抗体クローン4E3(Miltenyi Biotec, Inc.)を用いたとき、BR3発現は休止CD4+ CD25hi細胞分画で検出されたが、全休止CD4+集団の1%を超えることはなかった(データは示されていない)。休止CD8+ CD25hi細胞は検出されなかった。プレート結合抗CD3/CD28で24時間刺激したとき、BR3発現は、CD4+ T細胞で平均25%、CD8+ T細胞で12%まで増加した。
CD25及びCD69は確立されたT細胞活性化マーカーである。我々の系では、プレート結合刺激抗体(1μg/mLの抗CD3及び0.2μg/mLの抗CD28)を用いたとき、30−50%のT細胞がCD25を24時間で発現した。CD25+細胞の90%を超えるものがCD69を同時発現した。しかしながら、BR3+細胞のきわめてわずかな部分がCD25+/CD69+であった。平均して、CD4+BR3+ T細胞の30%がCD25を同時発現し、一方、CD8+BR3+細胞の20%だけがCD25を発現した(代表的ドットプロットは
図4B、平均は
図4C)。これは、BR3は活性化T細胞で普遍的に発現されるわけではないことを示唆している。重要なことに、CD4+BR3+及びCD8+BR3+集団の大半がIFN-γを活性化24時間後に産生しなかった(細胞内フローサイトメトリーで決定)(
図4D)。IFN-γ+細胞の75−90%がCD25+BR3-であった。これは、我々の系では、BR3は最も機能的に活性なエフェクター細胞で発現されないことを示唆している。
重要なことに、我々は、活性化CD4+及びCD8+リンパ球でBAFF受容体BCMA及びTACIを検出できた。フローサイトメトリー分析は、刺激後24時間に10−20%のBCMA+ T細胞及び2−5%のTACI+細胞を示した(データは示されていない)。PCR分析は相対的なBCMA及びTACIタンパク質レベルを立証した(データは示されていない)。したがって、3つのBAFF受容体はいずれも本実験の活性化ヒトT細胞で発現された。
【0031】
抗BR3による中和はCD25発現を増加させる:他の研究で示唆されたようにBR3がヒトTリンパ球を共刺激するならば、BR3中和抗体はCD25発現を低下させ、TCR刺激T細胞でサイトカイン発現を減少させるはずであると我々は仮説を立てた。我々は、市場で入手可能なBR3遮断抗体(R&Dシステムズ社のヤギポリクローナル抗体)のみを我々の実験のために用いた。BR3のBAFF結合部位(アミノ酸71−121)を覆う組換えタンパク質を用いて遮断抗体が作製された。ヤギIgGとともに抗TACI及び抗BCMAヤギポリクローナル遮断抗体(前記もR&Dシステムズ社)がコントロールとして機能した。重要なことに、PBLミリュー内のB細胞は抗BR3抗体の存在下で生存の低下を示し(データは示されていない)、したがって我々は前記の適用をT細胞活性化に向けて推し進めた。
抗CD3/CD28で21−24時間刺激する前に、精製CD4+及びCD8+ T細胞を各中和抗体で30分間予めインキュベートした。CD25発現はフローサイトメトリー及び半定量PCRによって測定した。CD25発現のフロー分析は、抗BR3遮断はCD4+CD25+CD69+細胞及びCD8+CD25+CD69+細胞のパーセントを増加させ、CD25のメディアンチャネル蛍光(MCF)を顕著に増加させることを示した(
図5A)。ヤギIgGコントロール、抗TACI及び抗BCMAはCD25発現に顕著な影響を与えなかった。CD25 mRNA発現は、CD4+細胞については2−6倍、及びCD8+細胞については2−3倍増加した(
図5B)。CD69のMCFはCD69 mRNA発現と同様にBR3遮断で変化することはなかった(データは示されていない)。
これらのデータはBR3がT細胞活性化を抑制し続け得ることを示唆した。しかしながら、我々は、活性化T細胞によって発現され放出される内因性BAFFの結合を24時間にわたって遮断していた。したがって、可溶性BAFFレベルは比較的低かった(培養上清では10−30pg/mLの範囲)(データは示されていない)。我々は、CD25発現は、高濃度(2ng/mL)(前記濃度は自己免疫疾患及び腫瘍のミクロ環境で典型的に検出されるレベル)の可溶性組換えヒトBAFFの存在下でBR3遮断により低下するのではないかと考えた。T細胞を抗BR3遮断抗体で予備処理し、続いて1−2ng/mLのrhBAFFの存在下で抗CD3/CD28で刺激した。
図2Cに示すように、CD25発現は、CD4+細胞及びCD8+細胞でBR3中和により顕著に増加した。これらの実験は、BR3は高濃度の可溶性BAFFの存在下ですらT細胞活性化を抑制することを示唆する。
【0032】
BR3抗体による遮断はIFN-γの発現を増加させる:次に我々は、抗BR3がIFN-γ(T細胞活性化の開始時に発現される重要なサイトカイン)に対して影響を与えるか否かを調べた。上記のように、精製T細胞を一連の中和抗体とともにインキュベートし、続いて抗CD3/CD28で刺激した。続いて、IFN-γ発現を半定量PCR、細胞内フローサイトメトリー、及びELISAで分析した。活性化24時間後の培養上清のIFN-γレベルはPBLドナーに応じて抗BR3により2−5倍増加し(
図6A)、統計的に有意であった(p<0.05)。抗BCMA及び抗TACIはIFN-γ発現を増加させなかった。
図7Bに示されるように、抗BR3は、細胞内IFN-γ発現をCD4+サブセット及びCD8+サブセットについて2−3倍増加させた(代表的ドットプロットを参照)(
図6B)。PCR分析は、IFN-γmRNA発現もまた、Igコントロールと比較して抗BR3処理グループではCD4+細胞で2−10倍及びCD8+細胞で2−6倍増加した(
図6C)。この傾向に対してはいくつかの例外があり、6人のドナーのうち2人はIFN-γmRNA発現の増加を示さなかった。しかしながら、全ドナーが組織培養上清でIFN-γの増加を示した。これらのレベルは、2ng/mLのBAFFが抗BR3培養に添加されたときさらに増加した。
【0033】
BR3遺伝子発現サイレンシングもまた抗CD3/CD28媒介T細胞活性化を増加させる:我々は、抗BR3遮断抗体によるT細胞活性化は抗体そのものの付帯現象であるのか否かを調べようとした。CD3/CD28活性化T細胞上のBR3はT細胞活性化に対して阻害性であるという主張を強化するために、我々は、活性化T細胞でのBR3のshRNA遺伝子サイレンシングは、T細胞活性化増強の面から抗BR3抗体を模倣するものであるか否かを調べた。
3つのBR3特異的shRNA構築物(Dharmacon, Inc.)をコントロールshRNA GIPZプラスミドとともに試験した。簡単に記せば、精製T細胞をヌクレオポレーション(Amaxa, Inc.)を介してトランスフェクトし、20時間養生し、続いてプレート結合抗CD3及び抗CD28で24時間活性化した(材料と方法の項を参照されたい)。BR3 shRNA構築物のうち、2つが、フローサイトメトリーによる分析でコントロールshRNAと比較して70%を超える効果的なBR3発現低下を示した(
図7A)。BR3発現を低下させたこの2つのうち、構築物85のみがCD4+細胞及びCD8+細胞の両方でCD25発現を増加させた(
図7B)。BR3特異的shRNAをトランスフェクトした活性化細胞のフォワードスキャターもまた増加した(データは示されていない)。
我々は、IFN-γ発現についても同様にBR3 shRNA構築物を細胞内フローサイトメトリーを用いて分析した。トランスフェクトT細胞をブレフェルジンAの存在下で5時間活性化した。
図7Cに示すように、IFN-γ発現は、コントロールshRNAと比較して活性化BR3サイレンシングT細胞で顕著に増加した。これらのデータはさらに、BR3は抗CD3/CD28 T細胞活性化を阻害できるという仮説を支持する。
【0034】
BR3の遮断はグランザイムB発現及び細胞溶解性T細胞活性化を増加させる:IFN-γがBR3遮断によりCD8+ T細胞で増加したので、我々は、細胞傷害に必要とされる因子も同様に増大されるか否かと考えた。したがって、我々はグランザイムB及びパーフォリンの発現を、mRNA及びタンパク質レベルでCD4及びCD8サブセットの両方について観察した。パーフォリン発現は抗BR3で影響されなかった(
図8A)。しかしながら、グランザイムBレベルは、PCR及びELISAで示されるように、CD4+ T細胞とともにCD8+ T細胞で2−10倍増加した(
図8A)。
我々は次に細胞傷害性T細胞マーカーCRTAMを用い、活性な細胞溶解性T細胞がBR3中和により活性化を増加させるか否かを判定した。
図8Bに示すように、CRTAM+CD4+細胞及びCRTAM+CD8+細胞(ただしその程度は劣るが)の両方が、抗BR3の存在下でCD25発現を有意に増加させた。これは、BR3がT細胞の細胞溶解性機能を増大し得ることを示唆した。
抗BR3がT細胞の殺滅機能を増加できるか否かを判定するために、我々は、メラノーマ細胞株A375を活性化CD4及びCD8 Tエフェクター細胞の標的として用いた。A375細胞は内皮に由来する株であり、HLAクラスI及びクラスIIの両方を発現する。健康なドナーの精製Tエフェクター細胞(前記は抗CD3/抗CD28で活性化された総T細胞である)は、A375メラノーマ腫瘍細胞を殺滅することができた。抗BR3による予備インキュベーションとその後の総T細胞活性化は、A375殺滅をCFSE-ヨウ化プロピジウムアッセイで4倍強化した。培養4日後に、線維芽細胞様A375細胞は顕著に減少した(
図8D)。総合すれば、これらのデータは、抗BR3はCD4+及びCD8+の両細胞のT細胞細胞傷害性を強化することを示唆する。
図8Cはミエローマ株U266の溶解を示し、細胞溶解性CD4+ T細胞は抗BR3の存在下でU266をより効率的に殺滅できることを表している。これは、それが、抗BR3の使用及びBR3活性の低下は単に古典的CD8+ CTLだけでなくCD4+ CTLの殺滅機能を増大できることを示しているので重要である。U266の殺滅はそのよい例である。なぜならば、前記アッセイで、CD4+ CTLはおそらくU266 B細胞上のクラスII(HLA-DR)不適合分子を標的としているからである。おそらく、CD4+ CTLが標的とすることが可能なクラスIIによって提示される多くの腫瘍抗原が存在するであろう。抗BR3は、このT細胞サブセットの活性化及び殺滅機能を顕著に増大させる有益な治療薬となろう。
【0035】
考察
本明細書に提示したデータは、ヒトCD4及びCD8 T細胞で発現されるBAFF-R/BR3は抗CD3/CD28媒介活性化及び細胞傷害性を制限できることを示す。BAFFとBR3との結合の阻害又はその発現の下方調整はIFN-γ及びグランザイムBの発現を増大させる。加えて、抗BR3による中和は腫瘍細胞株A375の殺滅をin vitroで促進する。
我々は、リガンドBAFFはCD4+ T細胞分裂を強化し抑制しないということを示す以前の報告は知っている。例えば、BAFFは、いくつかの実験で、CD28シグナリングの非存在下でネズミ及びヒトT細胞の両方でTCR活性化を共刺激した。これらの報告は、いくつかの明確な様式で我々の実験と相違する。第一に、マイクログラムレベルのプレート結合BAFFが活性化アッセイで用いられ、一方、我々は、活性化T細胞そのものによって発現される膜結合及び可溶性BAFFに依拠した。したがって、可溶性BAFFレベルはピコグラムレベルであった(前記レベルは正常なヒト血清のものにより類似する)。さらにまた、活性化及び分裂は刺激後72時間で測定され、最適活性化時間の24時間よりはるかに後である。最後に、これらのグループは特異的にBR3を下方調整したわけではなかった。その代わりに、BR3は、TACI及びBCMAの非発現に基づいてT細胞の活性化/分裂の増大を媒介するBAFF受容体と称された。我々は、BCMA特異的mRNAを増幅して活性化T細胞の細胞表面でBCMAを検出することができた。加えて、低レベルのTACI mRNAもまた我々の活性化T細胞で検出され、TACIはCD4及びCD8細胞の両方で発現された。したがって、BR3がヒトT細胞活性化をin vitroで抑制し得ることを決定するために、BR3の下方調整と同様にその特異的遮断が要求される。
in vivo実験では、BAFF-/-マウスは、心臓移植モデルの同種異系移植の生存で控えめな延長を示した。さらに、ある種のTH1応答はBAFF及びBAFF-Rトランスジェニックマウスで強化される。しかしながら、BAFFは単にT細胞活性化を強化するだけであるという考えは確定的というには程遠い。なぜならば、BAFF-/-マウスもまた正常なTH1応答を示すからである。さらにまた、ネズミのEAEモデルでは、BAFF-R欠損は疾患重篤度の悪化をもたらした。さらに、自己免疫疾患(例えば多発性硬化症)のために抗BAFF治療薬を用いた臨床試験では、数症例を超える疾患重篤度の悪化が見られた。したがって、T細胞に対するBAFF作用の二元的な性質の可能性を再度精査することが重要であった。我々のデーターの主要部を考慮して、我々は、BAFF/BR3は細胞傷害性T細胞機能を抑制することを提唱する。我々の知るかぎりでは、これは、ヒト細胞溶解性CD4+及びCD8+細胞に対するBR3の機能に注目した最初の報告である、
シグナリングという観点から見れば、TACI及びBCMAを除いて何がBR3を規定するのであろうか。3つのBAFF受容体のいずれも直接的及び間接的NF-kB経路を介してシグナルを発するが、BR3のみはPKC-δシグナリングを抑制することが示されている。PKC-δ(BR3によって抑制される)が抗BR3媒介中和により増加することは可能であり得る。PKC-δはCTLでリソソーム活性を高めることが示された。したがって、これはこの遮断抗体の作用の1つの可能な態様であり得る。PKC-δシグナリングはBR3媒介Tc抑制と連携しているか否かを決定する実験は現在進行中である。
本発見に対し多くの治療的示唆が存在する。癌、自己免疫疾患、及び免疫不全におけるBAFFレベルの増加はCTLを抑制し得る。したがって、自己免疫疾患及び移植のいくつかの例では、治療薬BAFFリガンド競合物質はBR3機能を中和して、自己反応性及び他家反応性T細胞の活性の有害な増加をもたらし得る。しかしながら、いくつかの癌及び免疫不全(例えばエイズ)の例では、リガンド競合物質又はBR3標的抗体によるBR3の遮断は、CTL機能を高め、疾患の矯正を助けることができよう。
BR3中和のための1つの明確な適用は、CAR-T又はTIL系癌免疫療法のためのex vivo Tcリンパ球活性化の適用である。これまでは、キメラT細胞及び腫瘍浸潤T細胞の活性化及び拡張は、主として、抗CD3及び抗CD28で細胞を刺激し続いてIL-2による拡張を実施することによって実行される。低親和性IL-2鎖CD25の発現増加を示す我々のデータが与えられるならば、我々は、抗BR3中和抗体の添加は活性化CD4+及びCD8+ CTLの拡張を強化し得るという仮説を提示する。活性化T細胞への抗BR3の添加がより有効な腫瘍殺滅プロダクトを生じるか否かを試験する実験は現在進行中である。
【0036】
参考文献