特許第6963564号(P6963564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963564ミクロフィブリル化セルロースを含むUV遮蔽フィルム及び組成物、該フィルムの製造方法、及び該組成物の使用
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  • 特許6963564-ミクロフィブリル化セルロースを含むUV遮蔽フィルム及び組成物、該フィルムの製造方法、及び該組成物の使用 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963564
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ミクロフィブリル化セルロースを含むUV遮蔽フィルム及び組成物、該フィルムの製造方法、及び該組成物の使用
(51)【国際特許分類】
   D21H 11/18 20060101AFI20211028BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20211028BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20211028BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20211028BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20211028BHJP
   C09D 5/33 20060101ALI20211028BHJP
   D21H 11/10 20060101ALI20211028BHJP
   D21H 17/63 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   D21H11/18
   C08L1/00
   A61Q17/04
   C08J5/18CEP
   C09D201/00
   C09D5/33
   D21H11/10
   D21H17/63
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-557309(P2018-557309)
(86)(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公表番号】特表2019-526000(P2019-526000A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】IB2017052856
(87)【国際公開番号】WO2017199157
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2020年4月14日
(31)【優先権主張番号】1650690-9
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスカネン、イスト
(72)【発明者】
【氏名】リーティケイネン、カーチャ
(72)【発明者】
【氏名】サウッコネン、エサ
(72)【発明者】
【氏名】バックフォルク、カイ
【審査官】 南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−194192(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0017394(US,A1)
【文献】 特表2014−530946(JP,A)
【文献】 特表2015−518512(JP,A)
【文献】 特開2016−211116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00−1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00−9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00−7/00
G02B 5/20−5/28
A61K 8/00−8/99
C08B 1/00−37/18
C09D 1/00−201/10
C08J 5/18
C08J 5/04
C08L 1/00−1/32
A61Q 17/04
D04H 1/00−18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロフィブリル化セルロースを含むUV遮断フィルムであって、該ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一部が機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースであり、該フィルムが、フィルム全量に対して5〜40重量%の、機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料を含み、該機械パルプがケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、圧砕木材(PGW)パルプ及び/又は石材粉砕パルプ(SGP)であり、該フィルムが、フィルム全量に対して60〜95重量%の、化学パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料をさらに含む、上記UV遮断フィルム。
【請求項2】
フィルムが、ナノ充填材をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
ナノ充填材が、ナノ沈降炭酸カルシウム(PCC)、ベントナイトからのナノ充填材、二酸化チタンからのナノ充填材、酸化亜鉛からのナノ充填材、ナノタルク、ナノクレイ及び/又は他のナノサイズの充填剤である、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
フィルムが、50g/m未満、又は35g/m未満、又は25g/m未満の坪量を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
フィルムが、400nm未満の波長を有する放射線に対して70%未満の透過率を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項6】
UV遮断特性を有するフィルムを製造する方法であって、
機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む第1の懸濁液を提供するステップと、
化学パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む第2の懸濁液を提供するステップと、
第1の懸濁液と第2の懸濁液とを混合することにより混合物を得るステップと、
混合物をワイヤーに導いて、混合物を脱水してフィルムを形成するステップであって、該フィルムが、フィルム全量に対して5〜40重量%の、機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料、及びフィルム全量に対して60〜95重量%の、化学パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料を含み、該機械パルプがケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、圧砕木材(PGW)パルプ及び/又は石材粉砕パルプ(SGP)であるステップと
を含む、上記方法。
【請求項7】
ミクロフィブリル化セルロースが87SR°を超えるショッパー・リーグラー(Schopper Riegler)値(SR°)を有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
ナノ充填材が、第1の懸濁液及び/又は第2の懸濁液に添加される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ナノ充填材が、ナノ沈降炭酸カルシウム(PCC)、ベントナイトからのナノ充填材、二酸化チタンからのナノ充填材、酸化亜鉛からのナノ充填材、ナノタルク、ナノクレイ及び/又は他のナノサイズ充填剤である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
UV遮断特性を有する組成物であって、該組成物が機械パルプ及び化学パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースを含み、該機械パルプがケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、圧砕木材(PGW)パルプ及び/又は石材粉砕パルプ(SGP)であり、該組成物が、組成物全量に対して5〜40重量%の、機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料、及び組成物全量に対して60〜95重量%の、化学パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料を含む、上記組成物。
【請求項11】
組成物が塗料である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が日焼け止め剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が塗料用着色剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
組成物がサイジング組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
組成物が木材含浸溶液である、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
組成物がポリマーを含む複合材である、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
スクリューキャップの製造のための、請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項18】
窓フィルムとしての又は紙又は板紙製品の表面上での、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好なUV耐性及び良好な酸素透過率(OTR)値を有するフィルムに関する。本発明はさらに、前記フィルムを製造する方法及びUV遮断特性を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球の表面に到達する太陽からのUV放射線の量は、地球の周りと時間の経過とともに変化する。この変化には雲による覆い又はオゾン層等、いくつかの要因がある。UV(紫外線)放射線は、人間の目に見えるものよりも短い波長の光である。UV放射線は、UVA(320−400nm)、UVB(290−320nm)及びUVC(100−290nm)と、波長による3つのカテゴリに分類される。UVAの波長はUVBよりも長く、我々の皮膚の層により深く浸透する可能性がある。UVA放射線は、皮膚老化、光化学スモッグ、木材、プラスチック、塗料、及び布の褪色及びダメージに寄与する。太陽放射のわずか1%がUVB帯域内にあり、そのほとんどはオゾン層によって遮断される。それにもかかわらず、UVB波長は、人間の皮膚に最も大きな損傷を与え得る波長である。UVC放射線は、大気中のオゾン及び他のガスによって完全にブロックされ、地球の表面には到達しない。
【0003】
UV放射線は、肯定的及び否定的な両方の効果を有する。しかしながら、UV放射線が時には負の影響を及ぼすため、UV照射が損傷を引き起こすのをどのようにして防ぐかの解決策を見つけることが重要である。最も一般的な解決策は、UV放射線を遮断し、したがって露出した材料のUV劣化を低減するUVブロッカーを使用することである。紫外線ブロッカーは、窓フィルム、塗料、コーティング、プラスチック又はプラスチックフィルム、日焼け止め、及び紙又は板紙製品の添加物としてしばしば使用される。UVA/UVBブロッカーとして使用される成分は、例えば、アボベンゾン、オキシベンゾン、二酸化チタン及び酸化亜鉛であり、それらは、例えば、皮膚又は材料がUV放射線によって悪影響を受けるのを防ぐ。しかし、今日使用されているUVブロッカーは、費用がかかり、環境に悪影響を及ぼすこともあり、特定の用途に使用するにあたり承認されないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、より環境にやさしく費用効果の高いUVブロッカーが必要とされている。
【0005】
本発明の目的は、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースを含むフィルムを提供することであり、このフィルムは、酸素透過率(OTR)値が高い水分含量で特に良好であると同時に、良好なUV遮断特性を有している。本発明の別の目的は、UV遮断特性を有するフィルムを良好に製造することである。本発明のさらに別の目的は、化学修飾されていないリグノセルロース系材料を含むUV遮断特性を有する組成物、並びに前記組成物の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、添付の独立請求項によって定義される。好ましい実施形態は、添付の従属請求項及び以下の説明及び図面に記載されている。
【0007】
本発明は、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含むUV遮断フィルムに関し、ミクロフィブリル化セルロースの少なくとも一部は、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、低量のメカニカルMFCを含むフィルムの透過率がUV領域内で低く、UV領域外、例えば可視光領域で高いことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
驚くべきことに、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースを含むUVフィルムは、MFCフィルムが透明であるか又は少なくとも半透明であるか又は透光性であると同時に良好なUV遮断特性をMFCフィルムに与えるために使用することができる。すなわち、化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCの存在は、高い水分含量でも良好なOTR値を有する透明フィルムを製造することを可能にする。UVブロッカーとして化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCの使用には多くの利点がある。まず、化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCは、今日最も一般的に使用されているUVブロッカーと比較して、はるかに環境に優しい再生可能な材料である。さらに、化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCは非常に費用効率が高く、取り扱いが安全な材料でもある。すなわち、製造及び使用中に化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCを取り扱う際の健康上のリスクはない。今日、例えば食品用途又は直接の皮膚接触用途のために承認された化学修飾されていないリグノセルロース系材料が既に存在する。すなわちそれは安全な材料と考えられる。また、化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCは、水の吸収がより少なく、フィルムをより耐湿性にする傾向がある。
【0010】
化学修飾されていないMFCは、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、加圧式砕木(PGW)パルプ及び/又は石材砕木パルプ(SGP)であり得る機械パルプから製造されることが好ましい。
【0011】
化学修飾されていないリグノセルロース系材料は、ココナッツ殻からの繊維であってもよい。
【0012】
フィルムは、好ましくは、2.5〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、さらにより好ましくは5〜20重量%の、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料を含む。驚くべきことに、MFCフィルムは、フィルムが良好なUV遮断特性を有するために、化学修飾されていないリグノセルロース系材料、好ましくはメカニカルMFCからの少量のMFCを含むことで十分であることが見出された。MFCを含むフィルムを製造する場合、良好なUV遮断特性を有するフィルムを製造することが望ましく、これはUV領域で低い透過率(%)と見ることができる。フィルムは、同時に透明又は少なくとも半透明でなければならず、これは可視光領域、すなわちUV波長に比べてより高い波長で高い透過率(%)と見なすことができる。これは、通常、達成するのは容易ではなく、簡単でコスト効率のよい、環境にやさしい方法で達成するのは決して容易ではないのである。
【0013】
フィルムはまた、化学修飾されたリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロース、好ましくは化学パルプからのMFCを含むことができる。
【0014】
フィルムは、化学修飾されたリグノセルロース系材料、好ましくは化学パルプからのMFCから製造されるミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料を、50〜97.5重量%、好ましくは60〜95重量%又はさらにより好ましくは80〜95重量%の量で含む。ケミカルMFCは、MFCフィルムに良好な遮断特性、特に良好な酸素遮断特性を与えるという利点を有する。また、ケミカルMFCの存在は、フィルムのフィルム形成特性を改善する。さらに、ケミカルMFCを使用すると、メカニカルMFCを使用した場合と比較してMFCフィルムがより透明になる。本発明のさらに別の利点は、ケミカルMFCの製造が非常に費用効果的であることである。
【0015】
フィルムはまた、ナノ充填剤、好ましくはナノ沈降炭酸カルシウム(PCC)、ベントナイトからのナノ充填剤、二酸化チタンからのナノ充填剤、酸化亜鉛からのナノ充填剤、ナノタルク、ナノクレイ及び/又は他のナノサイズ充填剤を含むことができる。
【0016】
フィルムは、好ましくは、50g/m未満、又は35g/m未満、又は25g/m未満の坪量を有する。
【0017】
フィルムは400nmを超える波長を有する放射線に対して少なくとも70%の透過率を有することが好ましく、これはフィルムが人間の目にとって(可視光領域において)半透明又は透明であることを意味する。フィルムは、好ましくは、400nm未満の波長を有する放射線に対する透過率が70%未満であり、これはフィルムがUV領域内の放射線を遮断することを意味する。
【0018】
本発明はまた、UV遮断特性を有するフィルムを製造する方法であって、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む第1の懸濁液を提供するステップ、第1の懸濁液をワイヤーに導くステップ、第1の懸濁液を脱水してフィルムを形成するステップを含む上記方法に関する。
【0019】
この方法は、化学修飾されたリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む第2の懸濁液を提供するステップ、混合物が得られるように第1及び第2の懸濁液を混合するステップ、その後に混合物をワイヤーに導くステップ、その後に混合液を脱水してフィルムを形成するステップを含むこともできる。第1の懸濁液は、こうして第2の懸濁液とともに混合物としてワイヤーに導かれる。
【0020】
ミクロフィブリル化セルロースは、好ましくは87SR°を超える、好ましくは90SR°を超える、93SR°を超える、又は95SR°を超えるショッパー・リーグラー(Schopper Riegler)値(SR°)を有する。
【0021】
本発明による方法で得られた混合物は、好ましくは、混合物の全重量の2.5〜50重量%の量の第1の懸濁液と、混合物の全重量の50〜97.5重量%の量の第2の懸濁液とを含む。
【0022】
ナノ充填剤、好ましくはナノ沈降炭酸カルシウム(PCC)を第1懸濁液及び/又は第2懸濁液に添加する。ベントナイトからのナノ充填材、二酸化チタンからのナノ充填材、酸化亜鉛からのナノ充填材、ナノタルク、ナノクレイ及び/又は他のナノサイズの充填材のような他のナノ充填材も添加することができる。
【0023】
本発明はまた、UV遮断特性を有する組成物に関し、該組成物は化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む。驚くべきことに、化学修飾されていないリグノセルロース系材料、好ましくはメカニカルMFCからのMFCを組成物に使用し、組成物にUV遮断特性を与えることができることが見出された。
【0024】
組成物は、好ましくは、2.5〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、さらにより好ましくは5〜20重量%の、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースの繊維系材料を含む。化学修飾されていないリグノセルロース系材料、好ましくはメカニカルMFCから少量のMFCを組成物に添加することで十分であり、組成物は依然として非常に良好なUV遮断特性を有することが見出された。
【0025】
組成物は、塗料、日焼け止め剤、塗料用着色剤、サイジング組成物、ヤーン、例えばスクリューキャップ又は木材含浸溶液に使用されるポリマーを含む複合体であってもよい。
【0026】
本発明はまた、窓フィルムとして、紙又は板紙製品の表面上に、又はマルチ(mulch)として、又はマルチ上にラミネートされて、上記フィルムを使用することにも関する。
【0027】
詳細な説明
UV遮断フィルムとは、フィルムがUV領域内の放射線、すなわちUVA及びUVB放射線の両方を含む100〜400nmの波長を有する放射線を遮断していることを意味する。本発明によるUV遮断フィルムは、約20μmの厚さでUV放射線の少なくとも65%を遮断する。
【0028】
リグノセルロース系材料とは、リグニン、セルロース及びヘミセルロースを含む材料を意味する。リグノセルロース系材料は、好ましくは、セルロース材料、すなわち硬材及び/又は軟材の木材である。リグノセルロース系材料は、バガス、竹、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、ココナッツ殻からの繊維又は他のリグノセルロース系材料であってもよい。
【0029】
化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたMFCは、MFCの製造が、MFC製造の前に化学的に改質されていないリグノセルロース系材料から行われることを意味し、リグノセルロース系材料が、パルプ製造に使用される通常の処理を除くリグノセルロース系材料を分解する任意の化学物質、すなわち消化、キレート化剤の使用及び/又は繊維の漂白で変性されていないことを意味する。次いで、化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCの製造は、任意の従来の物質、すなわち機械的、酵素的及び/又は化学的処理によって製造することができる。ここで化学的処理は繊維の機械的フィブリル化、例えば繊維の膨潤等を容易にするためにのみ行われる。
【0030】
化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたMFCは、機械パルプから製造されたMFCであることが好ましい。機械パルプとは、木質繊維を機械的エネルギーにさらして木材の繊維間の結合を破壊し、繊維と繊維の断片を放出させることによって生成されるパルプを意味する。機械パルプの定義では、砕木パルプ、例えば、石材砕木パルプ(SGP)又は圧砕木材(PGW)パルプ、並びにサーモメカニカルパルプ(TMP)又はケミメカニカルパルプ(CTMP)を含む。機械的セルロース系パルプからのMFCは、メカニカルMFCと呼ばれる。
【0031】
化学修飾されたリグノセルロース系材料とは、少なくとも1つの化学物質で化学的に修飾されたリグノセルロース系材料を意味し、前記化学物質はリグノセルロース系材料を分解する。化学修飾されたリグノセルロース系材料は、好ましくは化学パルプである。すなわち、化学修飾リグノセルロース系材料からのMFCは、好ましくは化学パルプ、例えば、任意の公知の方法で、例えば、酵素的、機械的及び/又は化学的処理によるクラフトパルプ又は亜硫酸塩パルプから製造されたMFCであり、これはまた化学的MFCとも呼ばれる。
【0032】
驚くべきことに、化学修飾されていないリグノセルロース系材料、好ましくは機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースがUV放射線を遮断する能力を有することが見出された。さらに驚くべきことに、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造された少量のミクロフィブリル化セルロースでも、例えばフィルム又は組成物に良好なUV特性を達成させるためには十分である。化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFCがUV遮断特性を有する理由は完全には理解されていない。1つの理論は、化学修飾されていないリグノセルロース系材料から製造されたミクロフィブリル化セルロースは、木材の全ての成分を含み、すなわち、化学MFCとは異なり成分が除去されておらず、これらの成分の1つ以上がメカニカルMFCUV遮断特性を与えるということである。また、リグニンのような木材のすべての成分は、メカニカルMFCのミクロフィブリルに結合している。このように、化学修飾されていないリグノセルロース系材料からのMFC、好ましくはメカニカルMFCは、UV遮断特性を与える成分が組成物又はフィルムに別々に添加された場合と比較して、UVブロッカーとして用いるのにはるかに安全な化合物である。
【0033】
本発明によるMFCフィルムは、透明又は半透明であり、多くの異なる最終用途に適している。いくつかの紙又は板紙製品、例えば、固形漂白硫酸塩(SBS)パルプから製造された製品では、製品のUV特性を改善して紙又は板紙そのもの及び/又は紙又は板紙によって製造された包装に梱包された製品のいずれかがUV放射線により影響を受けることを防ぐようにすることが必要である。かくして、メカニカルMFCを含む組成物を紙又は板紙完成紙料、塗料用着色剤、サイジング組成物に添加するか、又はメカニカルMFCを含むMFCフィルムを紙又は板紙の表面に積層又は押出し、紙又は板紙製品のUV遮断特性を改善することがいずれも可能となる。さらに、本発明のMFCフィルムは、高い水分含量であっても良好なOTR値を有し、高い水分環境での最終用途、例えば液体パッケージングボード又は高湿度の高温気候で使用されるパッケージに適している。
【0034】
フィルムは400nmを超える波長を有する放射線に対して少なくとも70%の透過率を有することが好ましく、これはフィルムが人間の目にとって(可視光領域において)半透明又は透明であることを意味する。フィルムは400nm未満の波長を有する放射線に対して70%未満の透過率を有することが好ましく、これはフィルムがUV領域内の放射線を遮断することを意味する。したがって、本発明により、UV放射線を遮断するが、依然として可視光領域で透明なフィルムを製造することが可能である。透過率は、任意の適切な分光計、例えば、DRA CA−301積分球を備えたCary 100 Conc分光光度計により、室温及び相対湿度50%で測定することができるであろう。
【0035】
ココナッツ繊維は、正規にFDAが承認した、すなわち食品包装に使用することが認可されていると同時に、非常に良好なUV遮断特性を有するので、ココナッツ殻からの化学修飾されていない繊維から製造されたMFCをフィルムに使用することが有利であることが判明した。
【0036】
UV遮断特性を有するMFCフィルムは、機械パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む第1の懸濁液を提供し、第1の懸濁液をワイヤーに導き、その後第1の懸濁液を脱水してフィルムを形成することによって製造される。脱水は、ワイヤー上で又はその後の従来の脱水装置で行うことができる。MFCフィルムは、化学MFCも含むことが好ましい場合がある。したがって、フィルムを製造する方法は、化学パルプから製造されたミクロフィブリル化セルロースを含む第2の懸濁液を提供するステップと、第1及び第2の懸濁液を混合して混合物を得るステップと、混合物をワイヤーに導き、その後に混合物を脱水してフィルムを形成するステップを含むこともできる。従って、メカニカルMFCを含む第1の懸濁液はワイヤーに導かれ、混合物として第2の懸濁液とともに脱水される。
【0037】
第1の懸濁液又は混合物は、ウェブを形成する製紙機械、すなわち紙、板紙、ティッシュ又は任意の類似の製品を製造するために使用される当業者に知られている任意の種類の製紙機械の多孔質ワイヤー上に提供されてもよい。形成されたウェブは次に脱水され、その後乾燥されてフィルムを形成することができる。任意の従来の脱水又は乾燥装置を使用することができる。
【0038】
次いで、形成されたフィルムをカレンダー処理することができる。したがって、最終密度、フィルム特性及び水分含量は、カレンダーで調整することができる。ハードニップ、ソフトニップ、ソフトハードニップ、シリンダ又はベルトなどの様々な形態及び組み合わせの公知の技術を使用することができる。
【0039】
MFCフィルムはまた、ベンゾトリアゾール系有機化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛などの他のUV遮断添加剤を含んでいてもよい。本発明によるMFCフィルムの最終用途に応じて、他の一般的に使用されているUV遮断添加剤を添加することにより、フィルムのUV遮断特性をさらに改善することが必要かもしれない。しかしながら、メカニカルMFCを使用することにより、他の添加剤の使用/必要性が低減され、よりコスト効率的であると共に環境に優しい他のUV遮断添加剤をより少ない量で使用することが可能となる。
【0040】
本発明によるMFCフィルムは、自立型パウチ、乳製品又は脂肪食品用パッケージに使用することができる。また、紙又は板紙製品のUV遮断特性を改善するために、紙又は板紙基材上の層として使用することもできる。窓からのUV放射線を減らすための窓フィルムとして使用することもできる。
【0041】
機械パルプから製造されるミクロフィブリル化セルロースを含む組成物は、塗料であってもよい。塗料とは、塗料の薄い層が基材に塗布された後に固体フィルムに変換する液体を意味する。プライマー、ラッカー、又は着色された塗料は、塗料の定義に含まれている。塗料中のメカニカルMFCの存在は、塗料にUV耐性特性を与えるだけでなく、塗料の粘度を増加させるという利点も有する。塗料が必要な粘度を得るためには、通常、粘度を改良するための添加剤が塗料組成物に添加される。メカニカルMFCを塗料の添加剤として使用することにより、改善されたUV耐性と粘度の両方が達成される。
【0042】
組成物は日焼け止め剤であってもよい。日焼け止め剤は、UV放射線の有害な影響を減らすために、皮膚に最も頻繁に使用されるクリームである。日焼け止め剤にメカニカルMFCを使用することにより、今日の日焼け止め剤で通常使用される他のUV遮断剤、例えば二酸化チタン又は酸化亜鉛を低減又は排除することさえ可能になる。
【0043】
組成物は塗料用着色剤であってもよい。顔料、充填剤などを含む塗料用着色剤は、例えば紙又は板紙製品の印刷特性を改善するために使用される。塗料用着色剤にメカニカルMFCを加えることによって、塗料用着色剤の粘度も改善される。従って、本発明により、改善されたUV耐性及び粘度の両方を有する塗料用着色剤を提供することが可能である。本発明によるメカニカルMFCを含む塗料用着色剤は、任意の公知の従来のコーティング技術によって紙又は板紙製品に添加することができる。
【0044】
組成物はサイジング組成物であってもよい。サイジング組成物は、通常、水を吸収する製品の能力を低下させるために、紙又は板紙製品に使用される。サイジング組成物は、内部サイジングとして使用することができる。すなわち、サイジング組成物は、紙又は板紙製品の製造中に完成紙料に添加することができ、又は表面サイジングとして使用することができる。すなわち、サイジング組成物を紙又は板紙製品の表面に添加することができる。サイジング組成物は、任意の従来のサイジング装置を用いて添加することができる。
【0045】
組成物は、木材含浸溶液であってもよい。木材含浸溶液は木材の特性を改善するため、例えば、強度を上げ、水、水分又は化学物質に対する耐性を向上させ、及び/又は木質腐敗又は他の生物学的劣化に対する耐性を向上させるために使用することができる。木材含浸溶液にメカニカルMFCを加えることによってもまた、処理された木材はUV耐性が改善され、木材が漂白されるのを防止するか、又はUV放射線によって悪影響を受ける他のどのような態様からも防止される。木材含浸溶液は、任意の従来の方法、例えば、溶液を木材に噴霧し、木材を溶液に浸すなどして添加することができる。
【0046】
組成物はヤーンであってもよい。良好なUV遮断特性を有する糸を製造することができることは、いくつかの分野において大きな利点である。
【0047】
組成物は、ポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、エチレンビニルアセテート及び/又はそれらの誘導体、及び/又は共重合体、及び/又は混合物を含む群から選択される熱可塑性ポリマー材料を含む複合材であることができる。組成物のポリマー含量は、好ましくは、前記繊維材料と前記ポリマー材料との懸濁液の乾燥重量の10〜80重量%である。例えばUV遮断特性を有するスクリューキャップに使用される複合材料を提供することが重要である。
【0048】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、特許出願の文脈において、100nm未満の少なくとも1つの寸法を有するナノスケールセルロース粒子繊維又はフィブリルを意味するものとする。MFCは、部分的又は完全にフィブリル化されたセルロース又はリグノセルロース繊維を含む。遊離されたフィブリルは、100nm未満の直径を有するが、実際のフィブリルの直径又は粒度分布及び/又はアスペクト比(長さ/幅)は、供給源及び製造方法に依存する。最も小さいフィブリルは基本フィブリルと呼ばれ、約2〜4nmの直径を有するが(例えばChinga−Carrasco,G.,Cellulose fibres,nanofibrils and microfibrils,:The morphological sequence of MFC components from a plant physiology and fibre technology point of view(セルロース繊維、ナノフィブリル及びミクロフィブリル、:植物生理学及び繊維技術の点からのMFC成分の形態学的配列)、Nanoscale research letters 2011、6:417参照)、微小フィブリルとしても定義されている基本フィブリルの凝集形態(Fengel,D.,Ultrastructural behavior of cell wall polysaccharides(細胞壁多糖類の超構造的挙動), Tappi J.,March 1970,Vol 53,No.3.)は、MFCを製造する際に、例えば拡張精製プロセス又は圧力降下崩壊プロセスを使用することによって得られる主な製品であることは一般的である。供給源及び製造プロセスに依存して、フィブリルの長さは、約1から10マイクロメートル超まで変化し得る。粗いMFCグレードは、フィブリル化された繊維のかなりの部分、すなわち仮道管(セルロース繊維)からの突出フィブリル、及び仮道管(セルロース繊維)から遊離されたある量のフィブリルを含むことができる。
【0049】
セルロースミクロフィブリル、フィブリル化セルロース、ナノフィブリル化セルロース、フィブリル凝集体、ナノスケールセルロースフィブリル、セルロースナノファイバー、セルロースナノフィブリル、セルロースミクロファイバー、セルロースフィブリル、ミクロフィブリル状セルロース、ミクロフィブリル凝集体及びセルロースミクロフィブリル凝集体のようなMFCの様々な頭字語がある。MFCは、水中に分散されたときに、大きな表面積又は低い固体(1〜5重量%)でゲル状材料を形成する能力などの様々な物理的又は物理化学的特性によっても特徴付けられ得る。セルロース繊維は、BET法で凍結乾燥材料について測定した場合、好ましくは、形成されたMFCの最終比表面積が約1〜約200m/g、より好ましくは50〜200m/gである程度にフィブリル化される。。
【0050】
MFCを製造するには、単一又は複数パス精錬、予備加水分解、その後の精製又は高剪断崩壊又は原繊維の遊離などの様々な方法が存在する。MFCの製造にエネルギー効率と持続可能性をもたらすためには、通常、1つ又は複数の前処理ステップが必要である。したがって、供給されるパルプのセルロース繊維は、例えばヘミセルロース又はリグニンの量を減少させるために、酵素的又は化学的に前処理されてもよい。セルロース繊維は、フィブリル化前に化学的に修飾されていてもよく、セルロース分子は元のセルロースに見出されるのとは他の(又はそれより多くの)官能基を含有している。そのような基は、とりわけ、カルボキシメチル(CMC)、アルデヒド及び/又はカルボキシル基(例えば、「TEMPO」のようなN−オキシル仲介酸化により得られるセルロース)、または第四級アンモニウム(カチオン性セルロース)を含む。上記の方法の1つで変性または酸化された後、繊維をMFC又はナノフィブリルサイズまたはNFCに分解することがより容易である。
【0051】
ナノフィブリル状セルロースは、いくつかのヘミセルロースを含み得る。その量は植物源に依存する。前処理された繊維、例えば加水分解された、予め膨潤させた、又は酸化されたセルロース原料の機械的崩壊は、精錬機(リファイナー)、粉砕機、ホモジナイザー、コロイド、摩擦粉砕機、超音波ソニケーター、マイクロフルイダイザー、マクロフルイダイザー又はフルイダイザー型ホモジナイザーなどのフルイダイザーなどの適切な装置を用いて実施する。MFC製造方法に依存して、生成物はまた、微粉、又はナノ結晶セルロース、又は例えば、木材繊維又は製紙プロセスに存在する他の化学物質を含んでいる可能性がある。生成物はまた、効率的にフィブリル化されていない様々な量のミクロンサイズの繊維粒子を含んでいる可能性がある。MFCは、木材セルロース繊維、硬材又は軟材繊維の両方から製造される。それは、微生物源、麦わらパルプ、竹、バガス、又は他の非木材繊維源のような農業繊維から作ることもできる。それは、好ましくは、未使用の繊維からのパルプ、例えば機械パルプ、化学パルプ及び/又はサーモメカニカルパルプを含むパルプから製造される。それは破損した紙や再生紙から作成することもできる。
【0052】
上記のMFCの定義には、結晶性及び非晶質領域の両方を有し、5〜30nmの幅で高いアスペクト比、通常は50を超えるアスペクト比を有する、複数の基本フィブリルを含むセルロースナノ繊維材料を定義するセルロースナノフィブリル(CMF)上の新しい提案されたTAPPI標準W13021が含まれるが、それには限定されない。
【0053】
一実施形態によれば、MFCは、87を超えるショッパー・リーグラー(Schopper Riegler)値(SR°)を有することができる。ショッパー・リーグラー値は、EN ISO 5267−1で定義されている標準的な方法によって得ることができる。この高いSR値は、追加の化学薬品の有無にかかわらず、再パルプ化された湿潤ウェブについて決定され、従って、繊維はフィルムに固結していないか、例えば、角質化を始めていない。
【0054】
この種のウェブの乾燥固形分は、分解しSRを測定する前に50%(w/w)未満である。ショッパー・リーグラー値を決定するには、湿潤ウェブのコンシステンシーが比較的低いワイヤーセクションの直後にサンプルを取ることが望ましい。
【0055】
当業者であれば、保持剤又は脱水剤などの製紙用化学物質がSR値に影響を及ぼすことを理解する。
【0056】
ここで指定されたSR値は、MFC材料自体の特性を反映するための指標として理解されるべきであるが、それに制限されるものではない。ただし、MFCのサンプリングポイントも測定されたSR値に影響する場合がある。例えば、完成紙料は分画又は未分画懸濁液であることができ、これらは異なるSR値を有する可能性がある。したがって、本明細書に示される特定のSR値は、粗フラクションと微細フラクションの混合物、又は所望のSR値を提供するMFCグレードを含む単一フラクションのいずれかである。
【実施例】
【0057】

化学機械針葉樹パルプをフルイダイザー(流動化装置)中で10回流動させてメカニカルMFCを製造した。
【0058】
異なる量のメカニカルMFCを含むMFCフィルムを製造した。メカニカルMFCをケミカルMFCと混合して、100%未満のメカニカルMFCを含むフィルムを形成した。ケミカルMFCは、クラフトパルプをエンドグルカナーゼ酵素で50℃で3時間酵素処理した後、添加した酵素を失活させるために温度を90℃まで上げることにより製造した。その後、酵素処理されたパルプを、ケミカルMFCを製造するために3%のコンシステンシーでフルイダイザーを用いてフィブリル化した。
【0059】
メカニカルMFC及びケミカルMFCを混合し、MFCフィルムに形成した。フィルムの透過率は、室温及び相対湿度(RH)50%でDRA CA−301積分球を備えたCary 100 Conc分光光度計を用いて測定した。
【0060】
試験の結果は図1で見ることができる。図1は、低量のメカニカルMFCを含むフィルムの透過率がUV領域内では低い透過率であり、UV領域外、例えば可視光領域では高い透過率であることを示している。紫外線領域での透過率が低く、可視光領域での透過率が高いことが理想である。このように、本発明により、メカニカルMFCの添加量を少なくしても良好なUV遮断特性を有する透明又は少なくとも半透明のフィルムを製造することが可能である。
【0061】
本発明の上記の詳細な説明を考慮して、当業者には他の変更及び変形が明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、そのような他の改変及び変形を行うことができることは明らかである。
図1