特許第6963565号(P6963565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963565アルケニル基含有樹脂、硬化性樹脂組成物およびその硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963565
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】アルケニル基含有樹脂、硬化性樹脂組成物およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/02 20060101AFI20211028BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20211028BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   C08G61/02
   C08L65/00
   C08K5/3445
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-559119(P2018-559119)
(86)(22)【出願日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】JP2017045930
(87)【国際公開番号】WO2018123806
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2020年7月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-250404(P2016-250404)
(32)【優先日】2016年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪木 健一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 一貴
【審査官】 岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−017423(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/002704(WO,A1)
【文献】 特開2014−169428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/02
C08L 65/00
C08K 5/3445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表され、複数存在するXとYにおけるアルケニル基の50%以上がプロペニル基(−CH=CH−CH3)であるアルケニル基含有樹脂。
【化1】

(式中、複数存在するZはそれぞれ独立して下記構造から選択される1種以上を表す。
【化2】

複数存在するXはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基(−CH2−CH=CH2)、プロペニル基(−CH=CH−CH3)又はグリシジル基を表す。但し、複数存在するXの全てが水素原子又はアリル基(−CH2−CH=CH2)の場合を除く。複数存在するYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基(−CH2−CH=CH2)又はプロペニル基(−CH=CH−CH3)を表す。nは繰り返し数を表し、平均値は1〜20の実数である。)
【請求項2】
前記式(1)において複数存在するXがアリル基(−CH2−CH=CH2)、プロペニル基(−CH=CH−CH3)又はグリシジル基を表し、全てのXがアリル基(−CH2−CH=CH2)であることはない請求項1に記載のアルケニル基含有樹脂。
【請求項3】
前記式(1)において複数存在するXのうち20%以上がアルケニル基である請求項1又は2に記載のアルケニル基含有樹脂。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のアルケニル基含有樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
ラジカル重合開始剤を含有する請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
マレイミド化合物を含有する請求項又はに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項乃至のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルケニル基含有樹脂、硬化性樹脂組成物およびその硬化物に関するものであり、半導体素子用封止材、液晶表示素子用封止材、有機EL素子用封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板などの電気・電子部品や、炭素繊維強化プラスティック、ガラス繊維強化プラスティックなどの軽量高強度構造材用複合材料に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
近年、電気・電子部品を搭載する積層板はその利用分野の拡大により、要求特性が広範かつ高度化している。例えば従来、半導体チップは金属製のリードフレームに搭載することが主流であったが、中央処理装置(以下、「CPU」と表す。)などの高度な処理能力のある半導体チップは高分子材料で作られる積層板に搭載されることが多くなっている。CPU等の素子の処理速度の高速化が進みクロック周波数が高くなるにつれ、信号伝搬遅延や伝送損失が問題となり、配線板に対して低誘電率化、低誘電正接化が求められるようになっている。同時に素子の処理速度の高速化に伴い、チップの発熱が大きくなっているため、耐熱性を高める必要性も生じている。
また、近年、スマートフォンなどのモバイル電子機器が普及してきており、精密電子機器が屋外環境や人体の極近傍で使用・携帯されるようになってきているため、外的環境(特に耐湿熱)に対する耐性が必要とされる。
更に自動車分野においては電子化が進み、エンジンの近くに精密電子機器が配置されることもあるため、耐熱・耐湿性がより高いレベルで要求されるようになっており、また、電車やエアコンなどにはSiC半導体が使用され始めており、半導体素子の封止材に高耐熱性が必要となり、従来のエポキシ樹脂封止材では対応できなくなっている。
また、近年、省エネの必要から飛行機、自動車、列車、船舶等の軽量化が進んでいる。従来は金属材料を用いていたものを、軽量で高強度な炭素繊維複合材料に置き換える検討が乗物分野で特に行われている。例を挙げれば、ボーイング787においては複合材料の比率を上げることで軽量化を行い、燃費効率を大幅に改善している。自動車分野では一部ではあるが複合材料製のシャフトを搭載しており、また高級車向けに車体を複合材料で作る動きもある。これらの要求に対して、主としてエポキシ樹脂及びこれを含有する樹脂組成物について多くの提案がなされてきたが、次第にエンジン周りにも複合材料の適用要求が始まってきているため、マレイミド樹脂などが検討され始めている(特許文献3、特許文献4)。特許文献1にはマレイミド樹脂とプロペニル基含有フェノール樹脂との樹脂組成物が開示されている。特許文献2にはマレイミド樹脂と無置換のアリルエーテル変性フェノール樹脂や全てアリル基で置換されたフェノール樹脂との樹脂組成物が開示されている。
【0003】
【特許文献1】日本国特開平04−359911号公報
【特許文献2】国際公開2016/002704号
【特許文献3】日本国特開2009−001783号公報
【特許文献4】日本国特開平01−294662号報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は全てプロペニル基で置換されたフェノール樹脂を用いているため吸湿性が悪く、それに伴い電気特性が不十分である。また特許文献2は全てアリル基で置換されたフェノール樹脂を用いているため反応性が悪く、また吸湿性が悪く、性能として未だ十分とはいえず、更なる改良が求められている。そこで、本発明は、その硬化物において優れた低吸湿性(低吸水性)、耐熱性を示すアルケニル基含有樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は、
【0006】
[1]下記式(1)で表され、複数存在するXとYにおけるアルケニル基の20%以上がプロペニル基であるアルケニル基含有樹脂、
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、複数存在するZはそれぞれ独立して炭素数6〜15の炭化水素基を表す。複数存在するXはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、プロペニル基又はグリシジル基を表す。但し、複数存在するXの全てが水素原子又はアリル基の場合を除く。複数存在するYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基又はプロペニル基を表す。nは繰り返し数を表し、平均値は1〜20の実数である。)
[2]前記式(1)において複数存在するXがアリル基、プロペニル基又はグリシジル基であり、全てのXがアリル基であることはない、前項[1]に記載のアルケニル基含有樹脂、
[3]前記式(1)において複数存在するXのうち20%以上がアルケニル基である前項[1]又は[2]に記載のアルケニル基含有樹脂。
[4]前記式(1)においてZが芳香族含有炭化水素基である前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のアルケニル基含有樹脂、
[5]前記式(1)においてZが炭素数10〜15の炭化水素基である前項[1]乃至[4]のいずれか一項に記載のアルケニル基含有樹脂、
[6]前項[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のアルケニル基含有樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、
[7]ラジカル重合開始剤を含有する前項[6]に記載の硬化性樹脂組成物、
[8]マレイミド化合物を含有する前項[6]又は[7]に記載の硬化性樹脂組成物、
[9]前項[6]乃至[8]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物、
を、提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアルケニル基含有樹脂を用いた樹脂組成物の硬化物は、優れた低吸湿性(低吸水性)、耐熱性(耐半田リフロー性)を示す。そのため、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、液晶封止材、EL封止材、接着剤(導電性接着剤など)やCFRPを始めとする各種複合材料用、塗料等の用途に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明のアルケニル基含有樹脂は、下記式(1)で表される。
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、複数存在するZはそれぞれ独立して炭素数6〜15の炭化水素基を表す。複数存在するXはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、プロペニル基又はグリシジル基を表す。但し、複数存在するXの全てが水素原子又はアリル基の場合を除く。複数存在するYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基又はプロペニル基を表す。nは繰り返し数を表し、平均値は1〜20の実数である。)
【0013】
本発明のアルケニル基含有樹脂は、アリル基の一部または全てをより反応性の高いプロペニル基に変換しており、その結果、硬化過程において、プロペニル基同士の反応がおこるため、架橋密度が上がり耐熱性(ガラス転移温度)が向上する。一方、マレイミド基やアクリレート基などの反応性オレフィン樹脂と混合した場合も、アリル基よりもプロペニル基の方が、反応が進み易い。また、エポキシ基の反応と異なり極性基が発生しないため、耐熱性の向上に伴う吸水(湿)性の増加が少なくて済む。
【0014】
本発明のアルケニル基含有樹脂は、前記式(1)中、Xはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基(−CH−CH=CH)、プロペニル基(−CH=CH−CH)又はグリシジル基を表し、Yはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基(−CH−CH=CH)又はプロペニル基(−CH=CH−CH)を表し、耐熱性、吸湿性の観点から全アルケニル基(すなわちアリル基とプロペニル基の合計)中の20%以上がプロペニル基であり、より好ましくは40%以上であり、特に好ましくは50%以上である。また、アルケニル基の全てがプロペニル基であっても構わない。
全アルケニル基中のプロペニル基の割合は核磁気共鳴(以下、「NMR」と表す。)により測定することができる。
【0015】
但し、式(1)中の複数存在するXの全てが水素原子又はアリル基の場合を除かれる。例えば、前記式(1)中複数存在するXの全てが水素原子であり、かつ複数存在する全てのYがプロペニル基である化合物の場合、硬化物中に水酸基がそのまま残るか、エポキシと反応させてアルコール性水酸基が生成されるため、吸湿性が高く、それに伴い電気特性の悪化の恐れもある。
また、前記式(1)中複数存在するXの全てがアリル基であり、かつ複数存在する全てのYが水素原子であるアリルエーテル変性ビフェニルアラルキルノボラック樹脂の場合、アリルエーテル基は非常に反応性が悪いため、硬化が遅くなり、生産性が悪くなる恐れがある。また、硬化に高温が必要である為、硬化中にアリルエーテル基が転位して水酸基が生成し、低吸湿性に悪影響を及ぼす可能性がある。
さらに、前記式(1)中複数存在するXの全てが水素原子であり、かつ複数存在する全てのYがアリル基である化合物の場合、アリル基は反応性が悪いため、硬化が遅くなり生産性が悪くなる恐れがある。また、硬化物中に水酸基がそのまま残るか、エポキシと反応させてアルコール性水酸基が生成されるため、吸湿性が高く、それに伴い電気特性の悪化の恐れもある。
以上の理由より、X、Yはアルケニル基であることが好ましい。X、Yにおけるアルケニル基はそれぞれ20%以上であることが好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
【0016】
前記式(1)中、複数存在するXとYにおけるアルケニル基の20%以上がプロペニル基であれば、複数存在するXとYの一部が、炭素数1〜6のアルキル基であってもよい。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等の直鎖、分岐鎖または環状構造を有するアルキル基が挙げられる。
【0017】
式(1)中、複数存在するZはそれぞれ独立して炭素数6〜15の炭化水素基を表す。芳香族炭化水素基が好ましく、特に炭素数10〜15の炭化水素基が好ましい。
前記式(1)中のZは具体的に下記の構造が例示されるが、これらに限定されない。
【0018】
【化3】
【0019】
また、前式(1)中、nの平均値は1〜20であり、1〜10が好ましく、特に1〜6が好ましい。
【0020】
前記式(1)中、Xがグリシジル基を含む場合、本発明のアルケニル基含有樹脂のエポキシ当量は210〜5000g/eq.が好ましく、より好ましくは、210〜3000g/eq.である。エポキシ当量が5000g/eq.以下であると単位構造当たりのエポキシ基の量が少なくならないことを示し、エポキシ基の数が少なくならないことを意味する。したがって耐熱性の面で好ましい。
【0021】
本発明のアルケニル基含有樹脂に残存している全塩素量としては1500ppm以下が好ましく、より好ましくは1000ppm以下であり、特に500ppm以下であることが好ましい。
【0022】
次に、本発明のアルケニル基含有樹脂の製造方法について説明する。
まず、本発明のアルケニル基含有樹脂は下記式(2)のフェノール樹脂を原料として使用する。
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、複数存在するZはそれぞれ独立して炭素数6〜15の炭化水素基を表す。複数存在するYはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基又はプロペニル基を表す。nは繰り返し数を表し、平均値は1〜20の実数である。)
【0025】
本発明のアルケニル基含有樹脂は、以下の反応工程を2種以上組み合わせることで製造することができる。
a)式(2)中の水酸基のアリル化反応(アリルエーテル体の合成)
b)式(2)中の水酸基のグリシジル化反応
c)アリルエーテル体のプロペニルエーテル体への転位反応
d)アリルエーテル体のクライゼン転位反応(アリル化フェノール樹脂の合成)
e)アリル基のプロペニル基への転位反応
【0026】
以下、それぞれの反応工程について詳述する。
a)水酸基のアリル化反応(アリルエーテル体の合成)
前記式(2)で表されるフェノール樹脂の水酸基をアリル化(アリルエーテル化)する反応は公知の方法で行うことができ、一般的にアルカリ金属水酸化物等の塩基を用いて塩化アリルや臭化アリル、ヨウ化アリルなどのハロゲン化アリルを反応させてアリルエーテル化する。
この際、メタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等の極性の高い溶剤を使用することが好ましい。極性溶剤の使用量は、通常原料フェノール樹脂100質量部に対して50〜400質量部、好ましくは70〜300質量部である。またこれらは単独で用いても併用しても良く、またトルエン、キシレンなどの極性の低い溶剤を併用しても良い。
ハロゲン化アリル及び塩基の使用量はフェノール樹脂の水酸基1当量に対し通常0.1〜2.0モル、好ましくは0.2〜1.5モルであり、使用量の調整により、アリル基の付加率を調整することができる。
例えば、より詳細には、フェノール樹脂を前記のイソプロパノールやジメチルスルホキシドなどに溶解後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を添加し、50〜100℃でアルカリ金属水酸化物を溶解後、30〜50℃で塩化アリルや臭化アリルを2〜5時間で添加し、その後30〜70℃で1〜10時間反応させる。反応終了後、トルエン、メチルイソブチルケトンなどを加え、副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、さらに加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を留去することによりアリルエーテル体を得ることができる。
【0027】
b)式(2)中の水酸基のグリシジル化(エポキシ樹脂の合成)
式(2)中のフェノール樹脂の水酸基をグリシジル化する反応は公知の方法であり、一般的にアルカリ金属水酸化物等の塩基を用いてエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、などのエピハロヒドリンを反応させてグリシジルエーテル化する。
例えばフェノール樹脂とエピハロヒドリン類の混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括または徐々に添加しながら20〜120℃で1〜20時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物は水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応系内から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ更に分液し水は除去しエピハロヒドリン類は反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
上記の方法においてエピハロヒドリン類の使用量はフェノール樹脂の水酸基1当量に対して通常0.5〜20モル、好ましくは0.7〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール樹脂の水酸基1当量に対し通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルの範囲である。
また、上記反応においてジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を添加することにより加水分解性ハロゲン濃度の低いエポキシ樹脂が得られる。例えば全塩素濃度で1500ppm以下が好ましく、より好ましくは1000ppm以下である。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリン類の質量に対し5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部の範囲である。また、前記の溶媒以外にもメタノール、エタノール等のアルコール類を添加することによっても反応が進み易くなる。またトルエン、キシレン、ジオキサン等も使用することができる。
通常、これらの反応物は水洗後、または水洗無しに加熱減圧下で過剰のエピハロヒドリン類を除去した後、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行う。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール樹脂の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.15モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、さらに加熱減圧下トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を留去することにより加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂を得ることができる。
【0028】
c)アリルエーテル体のプロペニルエーテルへの転位反応
アリルエーテル基のプロペニルエーテル基への転位反応は公知の方法で行うことができ、一般的に極性溶媒中で強塩基を用いて反応させる。用いられる極性溶媒は、メタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。ケトン系の溶剤は強塩基を触媒として用いるので適当ではない。極性溶剤の使用量は通常原料100質量部に対して20〜400質量部、好ましくは50〜300質量部であり、またこれらは単独で用いても併用しても良く、またトルエン、キシレンなどの溶剤を併用しても良い。強塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。強塩基の使用量は使用する溶剤の種類、塩基の種類等によって大きく変わってくるが、通常アリルエーテル基1モルに対して、0.1〜3.0モル、好ましくは0.2〜2.0モルの範囲である。
例えば、より詳細には、アリルエーテル基を有する化合物をジメチルスルホキシドなどに溶解後、カリウム−tert−ブトキシドを添加し、30〜80℃で2〜10時間反応させる。反応終了後、中和し、トルエン、メチルイソブチルケトンなどを加え、水洗などにより中和塩を除去し、さらに加熱減圧下、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を留去することによりプロペニルエーテル体を得ることができる。強塩基の種類や量、反応温度、反応時間の調整により、プロペニルエーテル基への変換率を調節することもできる。
【0029】
d)アリルエーテル体のクライゼン転位反応(アリル化フェノール樹脂の合成)
クライゼン転移反応は常法に従って行えばよく、例えばアリルエーテル基を有する化合物をカルビトール、パラフィンオイル、N,N’−ジメチルアニリン等の高沸点溶媒の存在下または無溶剤下において、150〜230℃で0.5〜100時間加熱する。溶媒は、アリルエーテル100質量部に対して、10〜200質量部必要に応じて使用する。反応終了後、必要により使用した溶媒を除去し、アリル化フェノール樹脂を得ることができる。
クライゼン転位反応においては、真空中あるいは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で反応を行うことが好ましく、生成物の着色も防ぐことが出来る。しかしながら、完全な真空や不活性ガス雰囲気を保つことは難しく、微量の酸素の系中への混入は避けられない。このため、酸化防止剤を添加してクライゼン転位を行うことが好ましい。酸化防止剤はアリルエーテル100質量部に対して10質量部程度使用するのが好ましい。フェノール系酸化防止剤としてはメチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、tert−ブチル化ビスフェノールA、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−エチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらは単独でも2種以上併用しても良いが、1分子あたりフェノール性水酸基を2個以上有する化合物を用いることが好ましい。反応温度、反応時間の調整により、プロペニル基への変換率を調節することもできる。
【0030】
e)アリル基のプロペニル基への転位反応
アリル基のプロペニル基への転位反応は公知の方法で行うことができ、一般的に極性溶媒中で強塩基を用いて反応させる。用いられる極性溶媒は、メタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられるがこれらに限定されない。ケトン系の溶剤は強塩基を触媒として用いるので適当ではない。極性溶剤の使用量は通常原料100質量部に対して20〜400質量部、好ましくは50〜300質量部であり、またこれらは単独で用いても併用しても良く、またトルエン、キシレンなどの溶剤を併用しても良い。強塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。強塩基の使用量は使用する溶剤の種類、塩基の種類等によって大きく変わってくるが、通常アリルエーテル基1モルに対して、0.1〜3.0モル、好ましくは0.2〜2.0モルの範囲である。
例えば、より詳細には、アリル基を有する化合物をメタノール、ジメチルスルホキシドなどに溶解後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを添加し、50〜150℃で2〜10時間反応させる。反応終了後、中和し、トルエン、メチルイソブチルケトンなどを加え、水洗などにより中和塩を除去し、さらに加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を留去することによりプロペニル基を有する化合物を得ることができる。強塩基の量、反応温度、反応時間の調整により、プロペニルエーテル基への変換率を調節することもできる。
【0031】
以上のa)〜e)の反応工程を2種以上組み合わせることにより、本発明のアルケニル基含有樹脂を製造することができる。
【0032】
また、本発明のグリシジル基を有するアルケニル基含有樹脂はエポキシアクリレート樹脂の原料としても使用することができる。
【0033】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明のアルケニル基含有樹脂を含有し、更に、加熱により反応する官能基を有する化合物を含有することができる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物におけるアルケニル基含有樹脂の含有量は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、40%以上であることが特に好ましい。
【0034】
本発明の硬化性樹脂組成物においてはマレイミド化合物を含有させても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物に配合し得るマレイミド化合物としては、従来公知のマレイミド化合物を使用することができる。マレイミド化合物の具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2’−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。マレイミド化合物の配合量は、質量比で好ましくは5倍以下、より好ましくは2倍以下の範囲である。
また、日本国特開2009−001783号公報(特許文献3)や、日本国特開平01−294662号公報(特許文献4)に記載されているマレイミド化合物は、低吸湿性、難燃性、誘電特性に優れているためマレイミド化合物として特に好ましい。
【0035】
本発明の硬化性樹脂組成物において、本発明のアルケニル基含有樹脂のアルケニル基同士や、アルケニル基とマレイミド基を反応させるためにラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。用い得るラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物の公知の硬化促進剤が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。硬化性樹脂組成物の質量100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部が特に好ましい。
【0036】
本発明の硬化性樹脂組成物においてはエポキシ樹脂を含有させても良い。本発明の硬化性樹脂組成物に配合し得るエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂のいずれも使用することができる。エポキシ樹脂の具体例としては、フェノール類と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類とケトン類との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物及びアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシドや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシラートなどを代表とする脂環式エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)やトリグリシジル−p−アミノフェノールなどを代表とするグリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく2種以上を用いてもよい。
また、フェノール類と前記のビスハロゲノメチルアラルキル誘導体またはアラルキルアルコール誘導体とを縮合反応させることにより得られるフェノールアラルキル樹脂を原料とし、エピクロルヒドリンと脱塩酸反応させることにより得られるエポキシ樹脂は、低吸湿性、難燃性、誘電特性に優れているためエポキシ樹脂として特に好ましい。
【0037】
本発明の硬化性樹脂組成物にエポキシ樹脂を含む場合、必要に応じてエポキシ樹脂硬化用の触媒(硬化促進剤)を配合することができる。例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等のアミン類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどのホスフィン類などが挙げられる。硬化用の触媒の配合量は、硬化性樹脂組成物の合計100質量部に対して好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下の範囲である。
【0038】
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明のアルケニル基含有樹脂にグリシジル基が含まれる場合や、前述のエポキシ樹脂を含有する場合、その好ましい実施態様において様々なエポキシ樹脂硬化剤を含有する。
エポキシ樹脂硬化剤としてはアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが使用できる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノール類及びこれらの変性物、イミダゾール、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤の使用量は、エポキシ基(またはグリシジル基)1当量に対して0.5〜1.5当量が好ましく、0.6〜1.2当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量以上、あるいは1.5当量以下であれば、いずれも硬化がより確実なものとなりより良好な硬化物性が得られる。
【0039】
本発明の硬化性樹脂組成物においてはシアネートエステル樹脂を含有させても良い。本発明の硬化性樹脂組成物に配合し得るシアネートエステル化合物としては従来公知のシアネートエステル化合物を使用することができる。シアネートエステル化合物の具体例としては、フェノール類と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類とケトン類との重縮合物及びビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物などをハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネートエステル化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく2種以上を用いてもよい。
上記フェノール類としては、フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
上記各種アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
上記各種ジエン化合物としては、ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
上記ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
シアネートエステル化合物の具体例としては、ジシアナートベンゼン、トリシアナートベンゼン、ジシアナートナフタレン、ジシアナートビフェニル、2、2’−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(4−シアナートフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−シアナートフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−シアナートフェニル)ヘキサフロロプロパン、ビス(4−シアナートフェニル)スルホン、ビス(4−シアナートフェニル)チオエーテル、フェノールノボラックシアナート、フェノール・ジシクロペンタジエン共縮合物の水酸基をシアネート基に変換したもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、日本国特開2005−264154号公報に合成方法が記載されているシアネートエステル化合物は、低吸湿性、難燃性、誘電特性に優れているためシアネートエステル化合物として特に好ましい。
【0040】
本発明の硬化性樹脂組成物には、シアネート樹脂を含む場合、必要に応じてシアネート基を三量化させてsym−トリアジン環を形成するために、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、鉛アセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート等の触媒を含有させることもできる。触媒は、熱硬化性樹脂組成物の合計質量100質量部に対して通常0.0001〜0.10質量部、好ましくは0.00015〜0.0015質量部使用する。
【0041】
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて溶融シリカ、結晶シリカ、多孔質シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、石英粉、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、グラファイト、フォルステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、酸化鉄アスベスト、ガラス粉末等の粉体、またはこれらを球形状あるいは破砕状にした無機充填材を添加することができる。また、特に半導体封止用の硬化性樹脂組成物を得る場合、上記の無機充填材の使用量は硬化性樹脂組成物中、通常80〜92質量%、好ましくは83〜90質量%の範囲である。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、シリコーンゲル、シリコーンオイル、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。これら添加剤の配合量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して好ましくは1,000質量部以下、より好ましくは700質量部以下の範囲である。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られ、通常130〜180℃で30〜500秒の範囲で予備硬化し、更に、150〜200℃で2〜15時間、後硬化することにより充分な硬化反応が進行し、本発明の硬化物が得られる。又、硬化性樹脂組成物の成分を溶剤等に均一に分散または溶解させ、溶媒を除去した後硬化させることもできる。
【0044】
こうして得られる本発明の硬化物は、耐湿性、耐熱性、高接着性を有する。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐湿性、耐熱性、高接着性の要求される広範な分野で用いることが出来る。具体的には、絶縁材料、積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、封止材料、レジスト等あらゆる電気・電子部品用材料として有用である。又、成形材料、複合材料の他、塗料材料、接着剤等の分野にも用いることが出来る。特に半導体封止においては、耐ハンダリフロー性が有益なものとなる。
【0045】
半導体装置は前記の本発明の硬化性樹脂組成物で封止されたもの等の本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物を有する。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物に有機溶剤を添加してワニス状の組成物(以下、単にワニスという)とすることができる。用いられる溶剤としては、例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。溶剤は、得られたワニス中の溶剤を除く固形分濃度が通常10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%となる範囲で使用する。
【0047】
本発明の硬化性樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、各成分を均一に混合するだけでも、あるいはプレポリマー化してもよい。例えばアルケニル基含有樹脂とマレイミド樹脂を触媒の存在下または不存在下、溶剤の存在下または不存在下において加熱することによりプレポリマー化する。同様に、アルケニル基含有樹脂とマレイミド樹脂と、必要によりエポキシ樹脂、アミン化合物、マレイミド系化合物、シアネートエステル化合物、フェノール樹脂、酸無水物化合物及びその他添加剤を追加してプレポリマー化してもよい。各成分の混合またはプレポリマー化は溶剤の不存在下では、例えば、押出機、ニーダ、ロールなどを用い、溶剤の存在下では攪拌装置つきの反応釜などを使用する。
【0048】
本発明の硬化性樹脂組成物を加熱溶融し、低粘度化してガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維などの強化繊維に含浸させることによりプリプレグを得ることができる。
また、前記ワニスを、強化繊維に含浸させて加熱乾燥させることによりプリプレグを得ることもできる。
上記のプリプレグを所望の形に裁断、必要により銅箔などと積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながら硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることにより電気電子用積層板(プリント配線板)や、炭素繊維強化材を得ることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、エポキシ当量、溶融粘度、軟化点、全塩素濃度は以下の条件で測定した。
エポキシ当量:JIS K−7236に準じた方法で測定。
溶融粘度:コーンプレート法における溶融粘度。
軟化点:JIS K−7234に準じた方法で測定。
全アルケニル基中のプロペニル基の割合:NMRにより測定。
全塩素:自動試料燃焼−イオンクロマトグラフ装置 AQF−2100H型 三菱化学(株)製 アルゴンガス流量を200ml/min、酸素ガス流量を400ml/minとして燃焼分解後、イオン分を測定。
【0050】
参考例1
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、下記式(3)で表されるフェノール樹脂(以下「BPN」と表す。軟化点74℃、溶融粘度0.16、水酸基当量210g/eq)210質量部、ジメチルスルホキシド380質量部、水30質量部、フレーク状の水酸化ナトリウム45質量部を仕込み、加熱、撹拌、溶解後、温度を40℃に保持しながら、塩化アリル102質量部を3時間かけて連続的に添加した。塩化アリルを添加終了後、45℃で1時間、60℃で1時間反応を行った。ついで加熱減圧下においてジメチルスルホキシドを留去し、残留物に250質量部のメチルイソブチルケトンを添加し残留物を溶解させた。このメチルイソブチルケトン溶液に水を加えて静置・分液によって副生塩を除去した後、廃液が中性になるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりBPNのアリルエーテル体(以下、「BPN−AE」と表す。)243質量部を得た。上記の反応は、前述の「a)式(2)中の水酸基のアリル化反応(アリルエーテル体の合成)」に相当する。また、得られたBPN−AEは、式(1)中のXがアリル基であり、Yが水素原子である。
【0051】
【化5】
【0052】
(式中、nは平均値であり1〜20の実数を表す。)
【0053】
参考例2
参考例1で得られたBPN−AE200質量部を反応容器に仕込み、撹拌しながら加熱し、200℃で5時間反応させることにより、アリル化されたBPN(以下、「BAPN」と表す。)199質量部を得た。上記の反応は、前述の「d)アリルエーテル体のクライゼン転位反応(アリル化フェノール樹脂の合成)」に相当する。また、得られたBAPNは、式(1)中のXが水素原子であり、Yがアリル基である。
【0054】
参考例3
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、参考例2で得られたBAPN227質量部、メタノール227質量部、トルエン35質量部を仕込み、撹拌しながら加熱し、溶解した。次いで、マーブル状水酸化カリウム(純度85%)90質量部を加え、メタノールおよびトルエンを留去しながら昇温し、100℃に到達した段階で還流ラインに切り替えて、同温度で20時間反応を行った。反応終了後、メタノール50質量部を加え、濃塩酸143質量部を添加して中和を行った。トルエン200質量部を加え、静置後、分液した下層の水層を除去し、その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりプロペニル化したBPN(以下、「BPPN」と表す。)228質量部を得た。上記の反応は、前述の「e)アリル基のプロペニル基への転位反応」に相当する。また、得られたBPPNは、式(1)中のXが水素原子であり、Yがプロペニル基である。
【0055】
参考例4
参考例1で得られたBPN−AE200質量部を反応容器に仕込み、撹拌しながら加熱し、200℃で2時間反応させることにより、部分的にアリル化されたBPN−AE(以下、「BAPN−AE−5050」と表す。)199質量部を得た。得られたBAPN−AE−5050の125℃における溶融粘度は0.20Pa・sであった。上記の反応は、前述の「d)アリルエーテル体のクライゼン転位反応(アリル化フェノール樹脂の合成)」に相当する。また、得られたBAPN−AE−5050は、式(1)中のXとYは、いずれも、一部が水素原子であり、その他がアリル基である。
【0056】
実施例1
参考例1で得られたBPN−AE240質量部、メタノール180質量部、イソプロパノール60質量部、トルエン120質量部、ジメチルスルホキシド120質量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解後、マーブル状水酸化カリウム63質量部添加して溶解した。メタノール、イソプロパノールおよびトルエンを留去しながら昇温し、120℃に到達した段階で還流ラインに切り替えて、同温度で20時間反応を行った。反応了後、メタノール120質量部とトルエン240質量部、水120質量部を加え、静置後、分液した下層の水層を除去し、その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてトルエンを留去することによりプロペニル化したBPN−AE(以下、「BPN−PE」と表す。)228質量部を得た。得られたBPN−PEの125℃における溶融粘度は0.08Pa・sであり、全アルケニル基中のプロペニル基の割合は98%であった。上記の反応は、前述の「c)アリルエーテル体のプロペニルエーテル体への転位反応」に相当する。また、得られたBPN−PEは、式(1)中のXがプロペニル基であり、Yが水素原子である。
【0057】
実施例2
参考例3で得られたBPPN227質量部、エピクロルヒドリン590質量部、ジメチルスルホキシド148質量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解後、温度を45℃に保持しながら、フレーク状水酸化ナトリウム38.7質量部を1.5時間かけて連続的に添加した。水酸化ナトリウム添加完了後、45℃で2時間、70℃で1時間反応を行った。ついで加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンとジメチルスルホキシドを留去し、残留物に500質量部のメチルイソブチルケトンを添加し残留物を溶解させた。このメチルイソブチルケトン溶液から水洗によって副生塩を除去した後、30%水酸化ナトリウム水溶液12質量部を添加し、70℃で1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりプロペニル基含有エポキシ樹脂(以下、「BPPN−GE」と表す。)253質量部を得た。得られたBPPN−GEのエポキシ当量は319g/eq、軟化点74℃、150℃における溶融粘度0.33Pa・s、全アルケニル基中のプロペニル基の割合は97%であった。上記の反応は、前述の「b)式(2)中の水酸基のグリシジル化反応」に相当する。また、得られたBPPN−GEは、式(1)中のXがグリシジル基であり、Yがプロペニル基である。
【0058】
実施例3
参考例3で得られたBPPN227質量部、ジメチルスルホキシド364質量部、トルエン136質量部を反応容器に仕込み、撹拌しながら加熱し、溶解した。次いで、フレーク状水酸化ナトリウム48質量部を加え、温度を40℃に保持しながら、塩化アリル91質量部を3時間かけて連続的に添加した。塩化アリル添加終了後、45℃で1時間、60℃で1時間反応を行った。ついで加熱減圧下においてジメチルスルホキシドを留去し、残留物に250質量部のメチルイソブチルケトンを添加し残留物を溶解させた。このメチルイソブチルケトン溶液に水を加えて静置・分液によって副生塩を除去した後、廃液が中性になるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりBPPNのアリルエーテル体(以下、「BPPN−AE」と表す。)240質量部を得た。全アルケニル基中のプロペニル基の割合は47%であった。上記の反応は、前述の「a)式(2)中の水酸基のアリル化反応(アリルエーテル体の合成)」に相当する。また、得られたBPPN−AEは、式(1)中のXがアリル基であり、Yがプロペニル基である。
上記で得られたBPPN−AE227質量部、ジメチルスルホキシド364質量部、トルエン136質量部を反応容器に仕込み、撹拌しながら加熱し、溶解した。次いで、マーブル状水酸化カリウム15質量部を加え、トルエンを留去しながら昇温し、125℃に到達した段階で還流ラインに切り替えて、同温度で20時間反応を行った。反応終了後、トルエン240質量部、水100質量部を加え、静置後、分液した下層の水層を除去し、その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてトルエンを留去することによりプロペニルエーテル化したBPPN−AE(以下、「BPPN−PE」と表す。)220質量部を得た。得られたBPPN−PEの軟化点は84℃であり、全アルケニル基中のプロペニル基の割合は96%であった。上記の反応は、前述の「c)アリルエーテル体のプロペニルエーテル体への転位反応」に相当する。また、得られたBPPN−PEは、式(1)中のX及びYがプロペニル基である。
【0059】
実施例4
温度計、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、参考例4で得られたBAPN−AE−5050 250質量部、メタノール250質量部、トルエン50質量部を仕込み、撹拌しながら加熱し、溶解した。次いで、マーブル状水酸化カリウム(純度85%)90質量部を加え、メタノールおよびトルエンを留去しながら昇温し、100℃に到達した段階で還流ラインに切り替えて、同温度で20時間反応を行った。反応終了後、メタノール50質量部を加え、濃塩酸143質量部を添加して中和を行った。トルエン200質量部を加え、静置後、分液した下層の水層を除去し、その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりプロペニル化したBAPN−AE−5050(以下、「BPPN−PE−5050」と表す。)242質量部を得た。得られたBPPN−PE−5050の軟化点は52℃、全アルケニル基中のプロペニル基の割合は98%であった。上記の反応は、前述の「e)アリル基のプロペニル基への転位反応」に相当する。また、得られたBPPN−PE−5050は、式(1)中のXとYは、いずれも、一部が水素原子であり、その他がプロペニル基である。
【0060】
実施例5
実施例4で得られたBPPN−PE−5050 250質量部、エピクロルヒドリン590質量部、ジメチルスルホキシド148質量部を反応容器に仕込み、加熱、撹拌、溶解後、温度を45℃に保持しながら、フレーク状水酸化ナトリウム20質量部を1.5時間かけて連続的に添加した。水酸化ナトリウム添加完了後、45℃で2時間、70℃で1時間反応を行った。ついで加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンとジメチルスルホキシドを留去し、残留物に500質量部のメチルイソブチルケトンを添加し残留物を溶解させた。このメチルイソブチルケトン溶液から水洗によって副生塩を除去した後、30%水酸化ナトリウム水溶液6質量部を添加し、70℃で1時間反応させた後、反応液の水洗を洗浄液が中性となるまで繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することによりプロペニル基含有エポキシ樹脂(以下、「BPPN−GPE」と表す。)233質量部を得た。得られたBPPN−GPEのエポキシ当量は563g/eq、軟化点58℃、150℃における溶融粘度0.24Pa・s、式(1)における全アルケニル基中のプロペニル基の割合は98%であった。
上記の反応は、前述の「b)式(2)中の水酸基のグリシジル化反応」に相当する。また、得られたBPPN−GPEは、式(1)中のXの一部がグリシジル基であり、その他がプロペニル基であり、Yの一部が水素原子であり、その他がプロペニル基である。
【0061】
実施例6〜9、比較例1〜3
参考例および実施例で得られたアルケニル基含有樹脂、マレイミド化合物、硬化促進剤を表1の割合(質量部)で配合し、加熱・溶融混合後、ジクミルパーオキサイドを添加して組成物を調製し、粉砕、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、200℃で2時間硬化させた。このようにして得られた硬化物の物性を以下の項目について測定した結果を表1に示す。
【0062】
・耐熱性評価
ガラス転移温度:動的粘弾性試験機により測定し、tanδが最大値のときの温度。
・熱分解性評価
Td5(5%熱質量減少温度):得られた硬化物を粉砕し粉状にしたものの100メッシュパス、200メッシュオンのサンプルを用い、TG−DTAにより熱分解温度を測定。サンプル量10mg、昇温速度10℃/min、空気量200ml/hrで測定し、質量が5%減少した温度。
・吸湿性評価
吸湿率:85℃/85%および121℃/100%での24時間後の質量増加率。試験片は直径50mm×厚み4mmの円盤。
【0063】
【表1】
【0064】
注)
BMI:4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(東京化成工業社製)
DCPO:ジクミルパーオキサイド(化薬アクゾ社製)
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業社製)
【0065】
表1から、本発明のアルケニル基含有樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、比較例1(BPNのアリルエーテル体 式(1)中Xがアリル基で、Yが水素原子)、比較例2(アリル化されたBPN 式中(1)Yがアリル基で、Xが水素原子)、比較例3(プロペニル化したBPN 式(1)中Yがプロペニル基で、Xが水素原子)の硬化物に比べて、優れた低吸湿性(低吸水性)、高い耐熱性(耐半田リフロー性)を示すことが確認できる。
したがって、本件発明のアルケニル基含有樹脂は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、接着剤(導電性接着剤など)やCFRPを始めとする各種複合材料用、塗料等の用途に有用である。
【0066】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2016年12月26日付で出願された日本国特許出願(特願2016−250404)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。