特許第6963567号(P6963567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963567
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】血管内プロセスにおける位置検知
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】21
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-560556(P2018-560556)
(86)(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公表番号】特表2019-516487(P2019-516487A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】US2017033331
(87)【国際公開番号】WO2017201287
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2020年5月18日
(31)【優先権主張番号】62/338,895
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508286762
【氏名又は名称】アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】トロイ マーシャル クーリッジ
(72)【発明者】
【氏名】デレク プフェッファー
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−271124(JP,A)
【文献】 特表2011−519678(JP,A)
【文献】 特表2015−520641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内システムであって、
基端と、先端と、前記先端に配置されたセンサと、カテーテルの前記基端から前記カテーテルの前記先端まで延在し且つ前記先端において前記センサに動作可能に接続されたケーブルと、を含むカテーテルであって、前記センサが患者の1つ以上の血管内特性を表す血管内信号を提供するように構成されたカテーテルと、
前記ケーブルの先端方向および基端方向の動きが少なくとも1つの摩擦ホイールの回転を引き起こすように、前記カテーテルの前記ケーブルに動作可能に係合する少なくとも1つの摩擦ホイールと、
基準要素と複数の検出可能要素とを含む位置センサであって、前記基準要素と前記複数の検出可能要素の内の第1検出可能要素との間の関係に基づいて位置信号を生成するように構成され、前記複数の検出可能要素が前記少なくとも1つの摩擦ホイールの回転に応じて前記基準要素に対して移動するように構成されており、前記第1検出可能要素は、前記複数の検出可能要素の内の第2検出可能要素の磁気特性とは異なる磁気特性を有し、前記第1検出可能要素と前記第2検出可能要素の磁気特性は、磁気の強さ及び磁気の方向の内の一つ以上を備えている、位置センサと、
前記カテーテルの前記センサおよび前記位置センサと通信し、前記カテーテルの前記センサからの血管内信号および前記位置センサからの位置信号を受信するように構成された血管内処理エンジンと、を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの摩擦ホイールが、前記カテーテルの前記ケーブルが第1摩擦ホイールと第2摩擦ホイールの間に延在するように、互いに対向して配置された第1摩擦ホイールおよび第2摩擦ホイールを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1摩擦ホイールが、前記複数の検出可能要素が前記第1摩擦ホイールの回転に基づいて前記基準要素に対して移動するように、前記位置センサの前記複数の検出可能要素を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2摩擦ホイールが、前記カテーテルのケーブルに対してバネ付勢されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の検出可能要素が、複数の磁気的に検出可能な要素を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カテーテルが、血管内超音波(IVUS)カテーテルを備え、前記カテーテルの前記センサが、IVUSトランスデューサを備え、前記ケーブルが、駆動ケーブルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記血管内処理エンジンが、長手方向IVUS画像を生成するために、前記IVUSトランスデューサからの画像情報および前記位置センサからの位置情報を受信するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記カテーテルが、基端部を有するモノレール圧力センサ(MPS)カテーテルを備え、前記センサが、圧力センサを備え、前記ケーブルが、センサ送達装置の基端部を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記血管内処理エンジンが、患者内の複数の位置における前記圧力センサからの圧力情報および前記複数の位置のそれぞれにおける前記圧力情報に関連付けられた前記位置センサからの位置情報を受信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記血管内処理エンジンが、前記少なくとも1つの摩擦ホイールのうちの少なくとも1つの回転方向を示す前記位置センサからの信号を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
さらに、前記カテーテルに動作可能に結合され、且つ前記患者に対する前記カテーテルの前記ケーブルの並進を促進するように構成された並進機構を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
血管内カテーテルの位置検知システムであって、
第1表面と、前記第1表に対向する第2表面と、前記第1表面と前記第2表面の間に延びる周縁と、を有する少なくとも1つの摩擦ホイールと、
前記少なくとも1つの摩擦ホイールのうちの少なくとも1つを前記血管内カテーテルのケーブルに押し付けるように付勢されたバネ機構と、
前記少なくとも1つの摩擦ホイールの少なくとも第1の摩擦ホイール上に配置された複数の検出可能領域であって、前記複数の検出可能領域の内の第1検出可能領域は、前記複数の検出可能領域の内の第2検出可能領域の磁気特性とは異なる磁気特性を有し、前記第1検出可能領域と前記第2検出可能領域の磁気特性は、磁気の強さ及び磁気の方向の内の一つ以上を備えている、複数の検出可能領域と、
前記第1の摩擦ホイールに近接して配置された検出器であって、前記複数の検出可能領域の内の第1検出可能領域の相対移動を検出するように構成された検出器と、を備える、位置検知システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの摩擦ホイールが、第1摩擦ホイールおよび第2摩擦ホイールを備え、前記第1摩擦ホイールが、前記複数の検出可能領域のうちの少なくとも前記第1検出可能領域を含む、請求項12に記載の位置検知システム。
【請求項14】
前記バネ機構が、前記第2摩擦ホイールに動作可能に結合され、前記第1摩擦ホイールに向かって前記第2摩擦ホイールを付勢するように構成されている、請求項13に記載の位置検知システム。
【請求項15】
前記複数の検出可能領域が、複数の磁気的に検出可能な領域を備える、請求項12に記載の位置検知システム。
【請求項16】
さらに、前記複数の検出可能領域のうちの少なくとも1つの検出可能領域の相対位置を示す前記検出器からの位置情報を受信するように構成された血管内処理エンジンを備える、請求項12に記載の位置検知システム。
【請求項17】
前記血管内処理エンジンが、さらに、(i)血管内センサから血管内信号を受信し、(ii)前記血管内信号が取得された相対位置に対応する位置情報と前記受信した血管内信号を組み合わせるように構成されている、請求項16に記載の位置検知システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの摩擦ホイールのうちの少なくとも1つの摩擦ホイールの周縁まわりに前記ケーブルの摩擦係数よりも高い摩擦係数を有する摩擦材料を含む、請求項12に記載の位置検知システム。
【請求項19】
さらに、前記少なくとも1つの摩擦ホイール、前記バネ機構、および前記検出器を囲むハウジングを備える、請求項12に記載の位置検知システム。
【請求項20】
血管内システム用の位置検知アセンブリであって、
カテーテルのアンカー部を受け入れるための溝を含むハウジングと、
前記ハウジングに結合され且つ複数の検出可能要素および基準要素を含む位置センサであって、前記基準要素が、前記複数の検出可能要素の内の少なくとも第1検出可能要素の相対位置および相対運動の少なくとも1つを示す信号を出力するように構成されており、前記第1検出可能要素は、前記複数の検出可能要素の内の第2検出可能要素の磁気特性とは異なる磁気特性を有し、前記第1検出可能要素と前記第2検出可能要素の磁気特性は、磁気の強さ及び磁気の方向の内の一つ以上を備えている、位置センサと、
前記ハウジングに結合され且つ前記位置センサの前記複数の検出可能要素を備える第1の摩擦ホイールと、
前記ハウジングに結合され且つ付勢バネに動作可能に結合された第2の摩擦ホイールと、を備え、
前記第1摩擦ホイールおよび前記第2摩擦ホイールが、前記溝がカテーテルのアンカー部を受け入れるときに、カテーテルケーブルが前記第1摩擦ホイールおよび前記第2の摩擦ホイールの間に延び、前記付勢バネが、前記カテーテルケーブルが前記第1摩擦ホイールと前記第2摩擦ホイールの間に延びるときに、前記第2摩擦ホイールを前記カテーテルケーブルに押し付ける、位置検知アセンブリ。
【請求項21】
前記システムは、前記少なくとも1つの摩擦ホイールの第1の摩擦ホイールと同軸で位置合わせされたディスクをさらに備え、前記ディスクは、前記第1の摩擦ホイールと同じ方向に前記第1の摩擦ホイールと共に回転するように構成されており、前記ディスクは、前記第1の摩擦ホイールの半径よりも大きな半径を有し、
前記複数の検出可能要素は、前記ディスクの周囲に配置されており、
前記複数の検出可能要素は、前記ディスク及び前記第1の摩擦ホイールの回転に応じて前記基準要素に対して移動するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年5月19日に出願された米国仮特許出願第62/338,895号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、血管内システムおよびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
イメージングプロセスまたは他の生理学的測定値(例えば、血圧、酸素飽和レベル、血液pHなどの血液パラメータの測定値)を受信するような血管内プロセスは、大抵の場合、血管の診断上重要な特性を識別するために使用される。例えば、血管内イメージングシステムは、医療専門家によって使用されて、血管内の閉塞または病変の特定および配置に役立つことができる。一般的な血管内イメージングシステムは、血管内超音波(IVUS)システムならびに光干渉断層撮影(OCT)システムを含む。
【0004】
血管内イメージングは、受信された電気信号に基づいてエネルギーを放射および/または受信し、様々な血管内構造によって反射された信号に基づいて戻り電気信号を送信する1つ以上のトランスデューサを含む。血管内イメージングは、大抵の場合、画像を生成するために使用される。場合によっては、高解像度ディスプレイを備えたコンソールは、リアルタイムで血管内画像を表示することができる。このようにして、冠動脈管腔、冠状動脈壁形態、および冠状動脈壁の表面またはその近傍のステントなどの装置を含む血管構造および管腔の体内視覚化を提供するために血管内イメージングが使用可能である。血管内イメージングは、冠状動脈疾患を含む罹患した血管を視覚化するために使用されることができる。場合によっては、トランスデューサは、血管内イメージングカテーテルの先端近傍に担持されることができる。いくつかの血管内イメージングシステムは、360度視覚化のために血管内イメージングカテーテル(例えば、機械的、位相的アレイ)を回転させることを含む。
【0005】
多くの血管内イメージングシステムは、カテーテルのイメージング構成要素が画像を取得しながら患者の血管を通って並進移動される並進動作を実行するように構成される。その結果、長手方向成分を持つ360度の画像が得られる。並進動作を実行する場合、360度画像を正確に構築するために、カテーテルのイメージング構成要素の少なくとも相対的な並進量を正確に判定することが重要であり得る。
【0006】
他の血管内プロセスでは、狭窄病変が血流予備量比測定(FFR)などの血管を通る流れを妨げる程度を評価するために、血管内血圧測定値が使用されることができる。所与の狭窄に対するFFRを計算するために、モノレール圧力センサ(MPS)などの圧力センサを用いて2つの血圧読み取り値が取得される。狭窄部の先端側(例えば、狭窄部の下流側)で1回の圧力読み取りが行われ、他の圧力読み取りは、狭窄部の基端側(例えば、狭窄部の上流側から大動脈側)で行われる。FFRは、病変部から先端側に取られた狭窄動脈における最大血流と正常最大流との比として定義され、典型的には、基端圧力までの先端圧力の測定された圧力勾配に基づいて計算される。したがって、FFRは、先端および基端圧力の無単位の比である。狭窄病変を横切る圧力勾配または圧力降下は、狭窄の重症度の指標であり、FFRは、圧力降下を評価するのに有用なツールである。狭窄がより限定的であるほど、圧力降下が大きくなり、結果として生じるFFRは低下する。FFRの測定は、有用な診断ツールであり得る。
【0007】
病変を横切る圧力勾配を測定する1つの方法は、血圧測定センサに接続された小さなカテーテルを使用することである。カテーテルは、既に病変を横切って配置されたガイドワイヤ上を通過する。カテーテルは、カテーテルの先端が病変を横切るまでガイドワイヤの下方を前進する。病変の先端側の血圧が記録される。この圧力は、大動脈に記録された圧力値で除算される。この方法を使用することの欠点は、カテーテルの横断面サイズのために何らかの誤差が導入され得ることである。カテーテルが病変を横切るとき、病変自体によって引き起こされるものに加えて、カテーテル自体が閉塞を導入する。したがって、測定された先端圧力は、追加の流れの妨害がない場合よりもいくらか低くなり、これは、病変を横切って測定された圧力勾配を誇張することがある。
【0008】
圧力降下はまた、心臓弁を横切って測定されることもできる。心臓弁が逆流すると、最適ではない圧力降下が典型的に観察される。カテーテルを使用して圧力降下を測定することは、心臓弁全体にわたって共通である。しかしながら、カテーテルのサイズのために、心臓弁は、カテーテルの周りをうまくシールすることができない。漏出はまた、カテーテルの存在に起因し、不正確な圧力降下読み取りに寄与することがある。これが起こる可能性のある1つの例は、僧帽弁(例えば、僧帽弁逆流)である。
【0009】
患者の血圧を測定する1つの方法は、圧力検知ガイドワイヤを使用することである。そのような装置は、ガイドワイヤ自体内に埋め込まれた圧力センサを有する。圧力検知ガイドワイヤは、血管形成バルーンまたはステントなどの介入装置の展開に使用されることができる。介入の前に、圧力検知ガイドワイヤは、狭窄病変を横切って展開され、その結果、検知要素は病変の先端側にあり、先端血圧が記録される。そして、ガイドワイヤは後退されることができ、その結果、検知要素は病変の基端側にある。そして、狭窄部全体にわたる圧力勾配および得られたFFR値が計算されることができる。
【0010】
特定の用途においてガイドワイヤベースの圧力センサを使用するには、例えば、ガイドワイヤが再配置される必要があり、その結果、ガイドワイヤの検知要素が狭窄病変に対して正確に配置される。例えば、FFRを計算するための血圧測定は、一般に、所与の狭窄部の両側で行われるので、ガイドワイヤは、典型的には、上流測定を行うために狭窄部を横切って後退される。基端の圧力測定(大動脈圧または冠状動脈上部圧力)を行うためにガイドワイヤを後退させた後、例えば、介入装置が配備されるべきであると(例えば、FFR計算に基づいて)判定された場合、ガイドワイヤは、病変の下流に再配置されることができる。複数の病変がある場合、圧力検知ガイドワイヤの検知要素は、複数の病変全体にわたって前進および後退される必要があり、潜在的に、そのような病変毎に前進および再配置されなければならない。例えば、狭窄病変および脈管構造を介して圧力検知ガイドワイヤを前進させて操作することは、困難でありおよび/または時間のかかる作業であり得る。
【0011】
既存のシステムでは、血管内カテーテル構成要素の並進または操作量は、大抵の場合、特定時間にわたって特定速度でカテーテルの部分を並進するように試みることによって評価される。カテーテルの構成要素が特定時間にわたって特定速度で並進された場合、並進された距離が計算されることができる。しかしながら、例えば、実際の並進速度が指令された速度と同じでない場合や、信頼性の高い測定もしくは生成が不可能な場合は、並進量の判定が不正確になる可能性がある。不正確な並進の判定は、患者の脈管構造の位置依存情報を判定する際に誤りを引き起こす可能性がある。追加的または代替的に、いくつかの処置では、固定速度でカテーテルを引き戻すことが必要でないかまたは望ましくないことがある。例えば、オペレータは、関心のある領域を分析するためにより多くの時間を費やすこと、または反対方向にカテーテルを誘導することによって関心のある領域に戻ることを望むことがある。さらなる例では、速度は測定されず、距離がシステムオペレータによって単に推定されることがある。したがって、より信頼性の高い位置検知機構は、位置敏感な血管内プロセスを実行するのに有用であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示の態様は、カテーテルの1つ以上の構成要素の位置を監視するためのシステムおよび方法を含む。いくつかの例示的なシステムは、基端、先端、先端に配置されたセンサ、およびカテーテルの基端からカテーテルの先端まで延びるケーブルを有するカテーテルを含む。ケーブルは、先端でセンサに動作可能に接続されることができ、センサは、患者の1つ以上の血管内特性を表す血管内信号を供給するように構成されることができる。例示的なセンサは、超音波トランスデューサ、圧力センサなどを含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
例示的なシステムは、カテーテルのケーブルに動作可能に係合する少なくとも1つの摩擦ホイールを含むことができる。少なくとも1つの摩擦ホイールとケーブルとの間の係合は、ケーブルの先端および基端の動きが少なくとも1つの摩擦ホイールの回転を引き起こすようなものとすることができる。いくつかの例では、システムは、カテーテルのケーブルが第1および第2の摩擦ホイールの間に延びるように、互いにほぼ対向して配置された第1の摩擦ホイールおよび第2の摩擦ホイールを含むことができる。いくつかのそのような例では、第1および第2の摩擦ホイールのうちの少なくとも1つは、カテーテルケーブルに対してバネ付勢されることができる。
【0014】
システムは、位置センサを含むことができる。例示的な位置センサは、基準要素と可動要素とを含むことができ、基準要素と可動要素との間の関係に基づいて位置信号を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、可動要素は、少なくとも1つの摩擦ホイールの回転に応答して基準要素に対して移動するように構成される。
【0015】
システムは、カテーテルセンサおよび位置センサと通信する血管内処理エンジンを含むことができる。血管内処理エンジンは、カテーテルのセンサからの血管内信号を、また位置センサからの位置信号を受信するように構成されることができる。いくつかの例では、血管内信号の受信データは、受信した位置信号の位置と関連付けられることができる。
【0016】
本開示の態様は、さらに、血管内システム用の位置検知システムを含む。そのようなシステムは、少なくとも1つの摩擦ホイールと、血管内システムのケーブルに対して少なくとも1つの摩擦ホイールを押圧するように付勢されたバネ機構とを含むことができる。例示的な検知システムは、少なくとも1つの摩擦ホイール上に配置された少なくとも1つの検出可能領域と、検出可能領域の相対移動を検出するように構成された検出器とを含むことができる。いくつかの実施形態では、位置検知アセンブリは、血管内システムのカテーテルなどのカテーテルとインターフェース接続するように構成されたハウジングを含む。例えば、いくつかの例では、位置検知アセンブリハウジングは、カテーテルのアンカー部分を受け入れるように構成された溝を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、例示的な血管内システムである。
図2図2は、例示的なIVUSシステムで使用される例示的なカテーテルの先端の図である。
図3図3は、1つ以上のIVUSディスプレイが生成されることができる方法を概説するステップフロー図である。
図4図4は、血管内イメージングシステムの実施形態によって構築されることができる例示的な長手方向画像を示している。
図5A図5Aは、患者の生理学的パラメータを測定するためのセンサ送達装置の斜視図である。
図5B図5Bは、患者の生理学的パラメータを測定するためのセンサ送達装置の斜視図である。
図6図6は、MPSシステムの例示的な動作を示すプロセスフロー図である。
図7図7は、患者の血管内の様々な対応する位置に関連付けられた様々な圧力測定値を示す例示的なプロットである。
図8図8は、位置センサを含む血管内システムの実施形態のシステムレベルブロック図である。
図9図9は、複数の摩擦ホイールを含む例示的な位置センサ構成の図である。
図10図10は、複数の摩擦ホイールを含む例示的な血管内カテーテルシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明は本質的に例示的なものであり、決して本発明の範囲、適用性、または構成を限定するものではない。むしろ、以下の説明は、本発明の実施例を実装するためのいくつかの実用的な例示を提供する。構成、材料、寸法、および製造プロセスの例は、選択された要素に対して提供され、他のすべての要素は、本発明の分野の当業者に知られている要素を用いる。記載された例の多くが様々な好適な選択肢を有することを当業者は認識するであろう。
【0019】
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して読まれるべきであり、同様の符号は同様の要素を示す。必ずしも縮尺通りではない図面は、本発明の選択された実施形態を描写している−他の可能な実施形態は、これらの教示の恩恵を受けて当業者にとって容易に明らかになり得る。したがって、添付の図面に示されて以下に記載される実施形態は、説明のために提供され、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0020】
本発明の実施形態は、一般に、例えばモノレール圧力センサ(MPS)を使用する血管内超音波(IVUS)イメージングおよび他のパラメータ検知用途などの血管内プロセスにおける位置検知を対象としている。そのようなプロセスは、典型的には、診断および/または治療処置を行うために患者の血管系にカテーテルを挿入することを含む。医療従事者にとって、患者内のカテーテルに取り付けられた診断要素または治療要素の少なくとも相対位置を知ることが大抵の場合に有利である。例えば、狭窄病変にわたる圧力勾配を判定するなどの診断処置は、医師が診断処置に基づいて行われるべき1つ以上の処置を推奨することにつながる可能性がある。そのようないくつかの例では、推奨処置は、測定された圧力勾配の領域に近接して患者の血管構造内にステントを配置するなど、領域特有である。IVUSシステムなどの他の例では、患者の血管構造のある長さに関連する一連の超音波測定が実施されることができる。そのような例では、少なくとも様々な画像データが関連する血管に沿った相対位置を知ることが有利であり得る。したがって、多くの状況において、少なくとも血管内で実施される測定および処置に関連する相対位置を知ることが有利であり得る。
【0021】
図1は、血管内処置を実行するように構成されることができるシステム100の実例である。システム100は、カテーテル102、インターフェース要素110、および処理エンジン112を含むことができる。カテーテル102は、患者118の血管に挿入されるように構成された基端104および先端106を含むことができる。示されるように、患者118は、外科用マット119を備えることができる手術台上に配置される。一例では、カテーテル102は、大腿動脈を介して患者118内に挿入され、患者118内の関心領域に案内されることができる。図1の破線は、患者118内のカテーテル102の部分を表している。
【0022】
いくつかの例では、カテーテル102は、患者の血管構造内の環境を示す情報を提供するように構成された先端106にセンサ108を含むことができる。例えば、システム100がIVUSシステムである場合、センサ108は、超音波エネルギーを放射して受信して超音波データを生成するように構成された超音波トランスデューサを備えることができる。他のイメージングの例では、システム100は、OCTシステムであり、センサ108は、光を放射して受光してOCTデータを生成するように構成されたOCTトランスデューサを備えることができる。カテーテル102は、画像情報を生成し、その画像情報をイメージング処置において送信するように構成されることができる。さらなる例では、センサ108は、例えば、患者の血圧を表す信号を提供するための圧力変換器を含むことができる。
【0023】
図1に戻ると、血管内イメージングシステム100のインターフェース要素110は、カテーテル102と係合させることができ、電気的インターフェース、機械的インターフェースまたはその双方などのインターフェースをカテーテル102に提供することができる。いくつかの実施形態では、インターフェース要素110は、引き戻しまたは他の並進動作中に患者118内の制御された距離だけカテーテル102の少なくとも一部を並進させるように構成された並進機構を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル102は、シース内に収容されたセンサ108に取り付けられた駆動ケーブルまたはガイドワイヤを備える。いくつかのそのような構成では、インターフェース要素110は、シースを実質的に所定位置に固定したままにしながらシースを介した駆動ケーブルおよびセンサ108を並進させるように作用することができるまたは並進を容易にすることができる。
【0024】
いくつかの例では、処理エンジン112は、センサ108およびインターフェース要素110の一方または双方と通信することができる。例えば、いくつかの例では、インターフェース要素110は、処理エンジン112と通信し、カテーテル102に電気機械的インターフェースを提供する。いくつかのそのような例では、インターフェース要素110は、処理エンジン112とカテーテル102またはその要素(例えば、センサ108)との間の通信を容易にする。
【0025】
いくつかの例によれば、処理エンジン112は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを備えることができる。いくつかの例では、処理エンジン112は、システムユーザ116からコマンドを受信し、および/またはユーザインターフェース120を介してカテーテル102から取得したデータを表示するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコンピューティングマシンを備えることができる。コンピューティングマシンは、システムユーザ116からの入力を受信し、カテーテル102から受信したシステム情報および/または信号(例えば、レンダリングされた画像、データ曲線など)を出力するコンピュータ周辺機器(例えば、キーボード、マウス、電子ディスプレイ)を含むことができる。ユーザインターフェース120は、血管内イメージングシステム100の他の構成要素と通信するように構成されたソフトウェアを備えた従来のPCまたはPCインターフェースを含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース120は、システム情報および/またはカテーテル102からの信号の表示(例えば、血管内画像、圧力曲線など)を表示するように構成されたディスプレイ114を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース120は、システムユーザ116からのコマンドを受信し、カテーテル102からの血管内イメージングデータを表示するように作用することができるタッチスクリーンディスプレイを含む。いくつかの例では、処理エンジン112は、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令またはソフトウェアを記憶するためのメモリモジュールを含むことができる。
【0026】
図2は、IVUSシステムで使用される例示的なカテーテルの先端の図である。図2のカテーテル202は、上述したカテーテル102と同様であってもよい。図示の実施形態では、カテーテル202は、IVUSカテーテルを備える。IVUSカテーテル202は、患者の血管234の内部構造を示す信号を生成するために超音波パルスを放射および受信するように構成されたトランスデューサなどのセンサ208を含む。いくつかの例では、センサ208は、超音波パルスを放射および受信するように構成された単一のトランスデューサ素子またはトランスデューサ素子のアレイを含むことができる。図示のように、センサ208は、患者の血管234内で先端方向または基端方向にトランスデューサを回転および/または移動させることができる駆動ケーブル268に結合される。いくつかの例では、カテーテル202は、患者の血管234内に静止したままとすることができるとともに駆動ケーブル268がシース209および血管234内のセンサ208を先端方向または基端方向に移動させるシース209を含む。
【0027】
図3は、1つ以上のIVUSディスプレイが生成されることができる方法を概説するステップフロー図である。カテーテルがシステムオペレータによって患者に挿入された後、本明細書に記載されるような血管内処理エンジンは、ステップ300において血管内イメージング機能を実行するようにコマンドを受信することができる。コマンドは、イメージング機能のパラメータおよびスケジューリングを含むことができる。ユーザは、イメージング機能を実行するように処理エンジンに命令することができる。ユーザは、イメージング機能のための所望のパラメータを手動でプログラムすることができる。
【0028】
ステップ302において、処理エンジンは、血管内イメージングカテーテルで指令されたイメージング機能を開始することができる。これは、カテーテルとのインターフェース接続、カテーテルへの制御信号および/または電力の送信、カテーテルおよび/またはカテーテル内のトランスデューサの回転、またはイメージング機能を実行するための任意の他の開始プロセスを含むことができる。いくつかの実施形態では、任意の単一のまたは組み合わせの開始プロセスは、ユーザインターフェースを介して手動で開始されることができる。例えば、イメージング機能を開始することは、トランスデューサに電気信号を導き、IVUSトランスデューサから超音波信号を放射することを含むことができる。
【0029】
イメージング機能を開始した(例えば、ステップ302)後、ステップ304において、処理エンジンは、実行されたイメージング機能に基づいて、カテーテルから画像情報を受信することができる。画像情報は、カテーテルおよび/またはトランスデューサからの電気信号または他の信号の形態とすることができる。ステップ308において、処理エンジンは、受信した情報に基づいてディスプレイを生成することができる。ディスプレイは、システムユーザによって見ることができるディスプレイ上に提示されることができる。生成されたディスプレイは、例えば、患者内の複数の位置からの画像情報を含む長手方向画像および/または患者内の単一のトランスデューサ位置に対応する断面画像を含むことができる。いくつかのシステムでは、生成されたディスプレイは、リアルタイムで処理エンジンによって生成され、ディスプレイ上にライブ画像として示されることができる。いくつかの実施形態では、生成されたディスプレイは、ユーザによってトリガされた患者の血管構造の断面の単一のスナップショットを含むことができ、画像情報は、単一のトランスデューサ位置について一度に捕捉される。いくつかの実施形態では、様々な生成されたディスプレイが可能である。いくつかのシステムでは、ユーザは、使用されるディスプレイのモード(例えば、リアルタイム、スナップショットなど)を選択することができる。
【0030】
ステップ310において、処理エンジンは、受信されたコマンド(例えば、ステップ300)およびメモリに基づいて、より多くの情報が取得されるべきかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、より多くの情報が取得されるかどうかを決定することができる。もしそうであれば、処理エンジンは、ステップ312と同様に、患者内のトランスデューサの並進を開始することができる。例えば、いくつかのシステムでは、より多くの情報が取得されるべきかどうかを判定するために、リアルタイム表示またはスナップショット表示などの選択されたディスプレイモードがステップ310において使用されることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、血管内イメージングシステムは、並進機構を備える。並進機構は、モータおよび/または手動操作による自動並進のために構成されることができる。いくつかのそのような実施形態では、ステップ312において、処理エンジンは、並進機構とインターフェース接続し、モータを介して直接並進を開始することができる。血管内イメージングシステムのいくつかの実施形態は、トランスデューサの手動並進のために構成されている。そのような実施形態では、処理エンジンは、トランスデューサを並進するようにユーザに促すことができる。
【0032】
トランスデューサが並進された後、ステップ302が繰り返され、イメージング機能が再び開始されることができる。プロセスは、追加の画像情報が患者内の異なる位置で取得されることができるように繰り返されてもよい。ステップ310において、追加の情報が取得されないと判定されると、ステップ314において、生成されたディスプレイまたは他の関連する画像情報がメモリに保存されることができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、手動で情報をメモリに保存することができる。追加的にまたは代替的に、システムは、システム動作に関連する1つ以上の情報片を自動的に保存することができる。カテーテルを利用する全ての操作が完了している場合、様々な実施形態では、ステップ316において、カテーテルは、手動または自動のいずれかで患者から引き出されることができる。
【0033】
上述のように、いくつかの例では、トランスデューサは、患者内の複数の位置から画像データを取得するために患者内で移動される。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、手動で、または並進機構の助けを借りて再配置されることができる。いくつかの例では、そのような並進機構は、ユーザが所望の距離、所望の方向、および所望の速度のいずれか1つでトランスデューサを手動で移動するのを支援することができる。追加的または代替的に、並進機構は、患者内でトランスデューサを動かすことができるモータを含むことができる。モータは、処理エンジンからのプログラム命令にしたがって、手動または自動で制御されることができる。例示的な並進機構は、本出願の譲受人に譲渡され、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2013年5月14日に出願された、「装置係合を監視するためのシステムおよび方法」と題された米国特許出願第13/894,045号においてさらに記載される。
【0034】
追加の画像情報の取得のためにトランスデューサが異なる位置に移動されるいくつかの実施形態では、処理エンジンは、ステップ306のように位置センサから位置情報をさらに受信することができる。位置情報は、関連付けられた画像情報とともにメモリに表示および/または保存されることができる。様々な例において、ステップ304におけるような画像情報の受信およびステップ306におけるような位置情報の受信は、位置センサの可動要素の任意数の異なる位置から任意数の組の画像および位置情報を受信することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ304におけるような画像情報の受信およびステップ306におけるような位置情報の受信は、第1および第2の位置が互いに異なるように、トランスデューサの第1の位置に対応する第1の組の画像および位置情報ならびにトランスデューサの第2の位置に対応する第2の組の画像および位置情報の受信を含むことができる。
【0035】
いくつかの例では、位置情報は、位置センサによって生成されることができる。例示的な位置情報は、位置センサの基準要素と位置センサの可動要素との相対位置に関する情報を備えることができる。いくつかの構成では、位置センサの基準要素および可動要素のうちの1つの位置は、トランスデューサの位置に対応する。したがって、位置センサの要素の相対運動は、患者内のトランスデューサの相対運動に対応することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、位置センサの可動要素の位置が患者の血管構造におけるトランスデューサの位置と相関することから、受信された画像および位置情報の組は、トランスデューサの異なる位置に対応することができる。いくつかの実施形態では、画像および位置情報が受信される可動要素の位置のいずれかにおいて、画像および位置情報は、共通のトランスデューサ位置で受信されると互いに関連付けられることができる。各組の画像情報は、患者の血管構造内の固有の位置から生成された画像情報に対応することができる。位置情報の組は、固有の位置間の空間的関係に関する詳細を提供することができる。これは、複数の可動要素の位置からの画像および位置情報の組み合わせと、組み合わせられた画像の構築を可能にする。
【0037】
いくつかの実施形態では、画像および位置情報は、引き戻し操作(例えば、全て患者の血管内の関心領域を横切って)を実行することによって一連のトランスデューサ位置から受信される。引き戻しは、カテーテルを患者の血管構造内に挿入することと、患者を介してトランスデューサを後退しながらイメージング機能を実行することによって複数のトランスデューサ位置に対応する画像および位置情報を取得することとを備えることができる。引き戻しは、モータによって実行されることができ、血管内処理エンジンのユーザインターフェースを介してユーザによって開始されることができる。所定の引き戻し操作が実行されることができ、モータは、トランスデューサを所定の方法で引き戻す。いくつかの実施形態では、ユーザは、手動でモータの動作を制御し、引き戻し動作を制御することができる。モータ制御された引き戻しは、メモリに記憶されたイメージングスケジュールの一部として自動的に実行されることができる。自動引き戻しは、位置センサから血管内処理エンジンへ位置情報を提供するように構成されたフィードバック要素を含むことができ、血管内処理エンジンは、位置情報に基づいてモータを制御することができる。いくつかの構成では、引き戻しは、完全に手動で実行されることができ、ユーザは、イメージング機能を実行しながら患者内のトランスデューサを手動で並進する。引き戻しイメージング動作の実行は、位置情報の組間の相対的な空間的関係が分かっている複数組の位置および対応する画像情報をもたらすことができる。
【0038】
複数の可動要素の位置(複数のトランスデューサ位置に関連する)からの画像および位置情報は、3次元ボリュームの画像情報を生成するために組み合わせられることができる。受信した位置および画像情報の各組の相対的なトランスデューサの位置が分かっている場合、画像情報の各組は、適切な順序で適切な空間的な分離をもって配置されることができる。いくつかの実施形態では、血管内処理エンジンによって受信される画像データの単一の組は、トランスデューサに近接する患者の血管系の断面画像を含む。位置情報の単一の組は、患者の血管系内のトランスデューサの相対的な長手方向の位置を含むことができる。第2の位置から受信した画像および位置情報の第2の組は、第2の断面画像と、画像が撮像されたときのトランスデューサの相対的な長手方向の位置とを含むことができる。第1および第2のトランスデューサの位置の間の相対的関係は、第1および第2の位置情報の組によって判定されることができる。したがって、第1および第2の組の画像情報は、既知の距離だけ離れた長手方向の位置で撮像された断面画像を表すことができる。断面は、長手方向軸に沿って組み合わせられ、2組の情報の3次元表現を形成するように適切に離間されている。
【0039】
一般に、任意数の組の画像および位置情報(すなわち、固有の断面)は、このように患者の血管系などのトランスデューサの周囲の3次元表現を構築するように組み合わせられることができる。そのような表現は、長手方向画像と呼ぶことができる。図4は、血管内イメージングシステムの実施形態によって構築されることができる例示的な長手方向画像を示している。図4は、例えば、図1のディスプレイ114上に示されることができるようなディスプレイ420を示している。再び図4を参照すると、ディスプレイ420は、特定のトランスデューサ位置に対応する画像情報422の組を表示するように構成された断面画像424を含むことができる。ディスプレイ420は、それぞれが特定のトランスデューサ(例えば、センサ108)の位置からの関連する位置情報にしたがって配置された一連の画像情報の長手方向配置を示すように構成された長手方向画像426を含むことができる。長手方向画像426は、長手方向軸が患者の体内のトランスデューサの並進方向を表すようなものとすることができる。したがって、長手方向画像426の水平軸に沿った各データポイントは、対応する断面画像424と関連付けられることができる。なお、図4は、トランスデューサの動きを表す軸が水平軸であることを示しているが、そのような特性は、代替的に垂直軸または任意の他の方向を表すことができ、いくつかの実施形態では、一般に長手方向軸とすることができる。いくつかの実施形態では、長手方向画像426は、本質的に、互いに積み重ねられ且つそれらの相対位置にしたがって配置された複数の断面画像の側面図である。いくつかの実施形態では、断面画像のそれぞれは、画像情報が受信されたトランスデューサ位置の間の間隙を埋めるために使用されることができる少量の長手方向情報を含むことができる。
【0040】
図4に示されるディスプレイ420は、画像データ428を含むことができる。画像データ428は、断面画像424、長手方向画像426、イメージングされる患者、他のシステム情報などに関する様々な情報片を含むことができる。いくつかの例では、画像データ428は、患者名、患者ID番号、日時、フレーム番号、および/またはイメージング周波数などの画像情報取得パラメータを含むことができる。様々な実施形態において、画像データ428は、ディスプレイ420上の単一の位置にまとめて表示されることができ、または様々な位置に表示されることができる。図4の例では、画像データ428は、複数の位置に配置される。いくつかの実施形態では、ディスプレイ420は、1つ以上のイメージング機能を連続的に実行しながらリアルタイム表示を含むことができる。ディスプレイ420は、コマンドおよび制御機能をユーザに提供するためのユーザインターフェース430を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、図4に示されるディスプレイ420は、血管内処理エンジンの一部である。ディスプレイ420は、ユーザ入力および操作のためのタッチスクリーンを備えることができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、生成されたディスプレイ420に関して様々な機能を実行することができる。いくつかの例では、ユーザは、ディスプレイ420の輝度および/またはコントラストを操作し、スクリーンショットをメモリに保存し、引き戻し動作などのイメージング機能を開始し、イメージング機能を終了させるなどすることができる。長手方向画像426の場合、いくつかの実施形態では、ユーザは、対応するトランスデューサ位置の関連する断面画像424を表示するために、長手方向画像426内の長手方向軸に沿った点を選択することができる。
【0042】
位置センサを含む例示的な血管内システムおよび方法は、本出願の譲受人に譲渡され、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2013年12月30日に出願された、「血管内イメージングにおける位置検知」と題された米国特許出願第14/143,801号に記載されている。
【0043】
図1に示されるシステム100などの他の例示的なシステムは、MPSシステムを含むことができる。図5Aは、センサ送達装置510を含む例示的なMPSシステムである。図5AのMPSシステムは、医療用ガイドワイヤ530を摺動可能に受け入れるためのガイドワイヤ管腔522を有する先端スリーブ520を含む。センサ508は、先端スリーブ520に結合されており、センサ508は、患者の生理学的パラメータを検知および/または測定し、生理学的パラメータを表す信号を生成することができる。したがって、先端スリーブ520、ひいてはセンサ508は、先端スリーブ520を医療用ガイドワイヤ530の上法を所望の位置まで摺動させることによって患者内(例えば、静脈、動脈、または他の血管内などの患者の解剖学的構造内、または心臓弁を横切って)に配置されることができる。
【0044】
図5Aのセンサ送達装置510はまた、先端スリーブ520に連結される基端部550を含む。基端部550は、センサ508からの信号を患者外の位置(例えば、図1の処理エンジン112もしくはディスプレイ114、または他のコンピュータ、モニタ、または他の医療器具)に通信するための通信チャネル560を含む。通信チャネル560は、センサ508が光ファイバ圧力センサである場合など、特定の好ましい実施形態では、光ファイバ通信チャネルを備えることができる。あるいは、通信チャネル560は、1つ以上の導電性ワイヤなどの導電性媒体を備えることができる。もちろん、通信媒体の他の多くの形態は、センサ508によって生成された信号を患者外の場所に送信するのに適することができる。本発明のいくつかの実施形態では、通信チャネル560は、可能な例として、無線通信リンク、赤外線機能、または超音波などの音響通信などの様々な流体および/または非流体通信媒体のいずれかを備えることができる。
【0045】
例示的なMPSシステムの動作中、基端部550はまた、先端スリーブ520およびセンサ508を患者の解剖学的構造(例えば血管)内に配置する際にオペレータ(例えば、医師または他の医療スタッフ)を支援するように構成される。これは、典型的には、オペレータが最初に「標準的な」医療用ガイドワイヤ530を患者の血管構造に挿入し、関心領域を越えてそれを前進させることによって達成される。そして、センサ送達装置510は、管腔522がガイドワイヤ530上を摺動するように、先端スリーブ520をガイドワイヤ530に「ねじ込む」ことによって展開され、センサ508が所望の位置に来るまで基端部550を移動させる(例えば、押すまたは引っ張る)ことによって先端スリーブ520(および関連するセンサ508)を前進させる。
【0046】
装置510およびガイドワイヤ530は、典型的には、関心のある解剖学的構造(例えば、血管)に配置されたガイドカテーテル502の内部で操作される。本発明の特定の好ましい実施形態では、ガイドワイヤ管腔522は、「標準的な」サイズの医療用ガイドワイヤ上を摺動するようなサイズにすることができる。例えば、多くの製造業者は、外径が約0.014インチ未満から外径が約0.038インチを超える範囲の、典型的にはこの範囲内の有限数の一般的なサイズを有する医療用ガイドワイヤを製造している。「標準的な」サイズの医療用ガイドワイヤは、例えば、0.010、0.014、0.018、0.021、0.025、0.028、0.032、0.035、0.038インチの外径を有することができる。したがって、本発明の特定の好ましい実施形態では、ガイドワイヤ管腔522は、特定の標準サイズの医療用ガイドワイヤ上を摺動するように適切にサイズ決めされることができる。したがって、本発明の好ましい実施形態にかかる装置は、標準的な医療用ガイドワイヤサイズに対応するサイズの範囲で利用可能にすることができる。
【0047】
本発明の実施形態にかかるセンサ送達装置510の1つの潜在的な利点は、医師がそれらの選択したガイドワイヤを使用することができることである。センサ送達装置510は、任意のガイドワイヤとともに使用されるようにサイズ決めされることができる。医師は、例えば、特定の処置のための独特な屈曲およびトルク特性に基づいて、特定のガイドワイヤを選択することができる。本発明の様々な実施形態にかかる送達装置510は、特定の用途に最も適していると考えられるガイドワイヤを使用する能力を医師に提供する。
【0048】
センサ送達装置510の他の潜在的な利点は、センサ読み取りを行うためにガイドワイヤの再配置を必要としないことである。例えば、ガイドワイヤが狭窄病変にわたって配置されると、センサ送達装置510は、ガイドワイヤ上に配置される(例えば、前進および/または後退される)ことができ、したがって、センサ508は、例えば、ガイドワイヤを動かすことなく、圧力読み取りを行うために病変にわたって前進および後退されることができる。医師はまた、そのような測定を行うために、病変または複数の病変にわたってガイドワイヤを再配置する必要がないことによって時間を節約することもできる。
【0049】
図5Aに示される例では、関心のある血管構造(この例では、患者の冠状動脈とすることができる血管534)内に配置されたガイドカテーテル502を使用して装置510が展開されている。本発明の特定の実施形態では、装置510のサイズまたは「フットプリント」(例えば、幅および/または断面積)は、特定の標準サイズのガイドカテーテル内に適合させることができる。例えば、特定の診断用途では、特定のサイズのガイドカテーテル(例えば、約5または5フレンチ(FR)よりも小さい)内に装置510が展開されることが望ましい。
【0050】
本発明の特定の実施形態では、装置の先端スリーブ520は、ガイドワイヤ530と略同心であってもよい。基端部550を先端スリーブ520に連結することは、ガイドワイヤ530を(例えば、「モノレール」カテーテル構成と呼ばれることもある)装置510の残りから分離することができ、これは、典型的には、ガイドカテーテル502の内部で生じる。ガイドワイヤ530および装置510は、双方とも、別個の装置として、ガイドカテーテル502の基端で患者を出る。装置510およびガイドワイヤ530を分離させることは、医師が必要に応じて装置510およびガイドワイヤ530を独立して制御するのを可能にする。医師は、カテーテル交換のためにより短いガイドワイヤを使用することもできる。例えば、モノレール型構成は、約170から200cmの長さのガイドワイヤの使用を可能にするが、「オーバー・ザ・ワイヤ」構成は、はるかに長い(例えば、最大500cmまたはそれ以上)のガイドワイヤの使用を必要とすることができる。装置510とガイドワイヤ530とを(先端スリーブ520を除いて)分離させることはまた、装置510とガイドワイヤ530とを一体として移動させなければならない場合よりも(例えば、ガイドカテーテル502内での)摩擦を少なくする。いくつかの実施形態では、親水性コーティングは、例えば装置510を前進または後退させるときに遭遇する摩擦量をさらに低減するために、装置の様々な部分に適用されることができる。
【0051】
本発明の様々な実施形態がうまく適合し得る1つの診断用途は、血流予備量比(FFR)の測定である。上述のように、FFR測定は、狭窄病変が例えば血管を通る流れを妨げる程度を定量化する。所与の狭窄に対してFFRを計算するために、以下の2つの血圧測定が必要とされる:一方の圧力読み取りは、狭窄部の先端側(下流側)で行われ、他方の圧力読み取りは、狭窄部の基端側(上流側)で行われる。したがって、FFRは、先端圧力と基端圧力との無単位の比である。狭窄病変にわたる圧力勾配は、狭窄の重症度の指標である。狭窄がより限定的であるほど、圧力降下はより大きくなり、FFRが低下する。
【0052】
図5Bは、本発明の実施形態にかかる患者の生理学的パラメータを測定するためのセンサ送達装置の斜視図である。図5Bに示される実施形態は、例えば、患者の血管内でFFR測定を行うために配置されてもよい。図5Bは、狭窄(例えば、狭窄病変536b)にわたって患者の血管(例えば、冠動脈534b)内に展開されるセンサ送達装置510bを示している。例えば、FFR測定を行うために、第1のセンサ540bは、関心のある位置(例えば、狭窄病変536b)の下流の位置531bで先端(下流)血圧Pを測定するように配置されてもよい。そして、第1のセンサ540bは、関心のある位置(例えば、狭窄病変536b)の上流の位置533bで基端(上流)血圧Pを測定するように配置されることができる。FFRは、単に先端圧力対基端圧力の比、またはFFR=(P/P)として計算される。用語「下流」および「上流」の使用は、図5Bに示されるように、血流の法線方向「D」に関するものである。
【0053】
図5Bにおいて、第1のセンサ540bは、先端スリーブ520bに結合される。図5Bに示される実施形態では、第1のセンサ540bは、先端スリーブ520bの外面に結合される。第1のセンサ540bは、血液パラメータ(例えば、血圧、温度、pH、血液酸素飽和度など)などの患者の生理学的パラメータを測定し、生理学的パラメータを表す信号を生成するように構成される。本発明の特定の好ましい実施形態では、第1のセンサ540bは、血圧を測定するように適合された光ファイバ圧力センサである。光ファイバ圧力センサの例は、市販のセンサであるファブリペロー光ファイバ圧力センサである。ファブリペロー光ファイバセンサの例は、Opsens(Quebec、Canada)製の「OPP−M」MEMSベースの光ファイバ圧力センサ(400ミクロンサイズ)であり、製造された「FOP−MIV」センサ(515ミクロンサイズ)Fiso Technologies、Inc.(ケベック、カナダ)。特定の代替実施形態では、第1のセンサ540bは、ピエゾ抵抗圧力センサ(例えば、MEMSピエゾ抵抗圧力センサ)であってもよく、他の実施形態では、第1のセンサ540bは、容量性圧力センサ(例えば、MEMS容量性圧力センサ)であってもよい。例えば、センサ540bで最も生理学的な測定を行うためには、(大気圧に対して)約−50mmHgから約+300mmHgの圧力検知範囲が望ましい。
【0054】
ファブリペロー光ファイバ圧力センサをセンサ540bとして使用する本発明の実施形態では、そのようなセンサは、ダイアフラムに対する圧力に応じてキャビティ長測定を変化させる反射ダイアフラムを有することによって機能する。光源からのコヒーレント光は、ファイバを伝播し、センサ端で小さなキャビティを横切る。反射ダイアフラムは、光信号の一部をファイバに戻して反射する。反射された光は、ファイバを通ってファイバの光源端部の検出器に戻る。2つの光波、すなわち光源光と反射光は、反対方向に進み、互いに干渉する。干渉量は、キャビティ長によって異なる。キャビティ長は、ダイアフラムが圧力を受けて撓むと変化する。干渉量は、干渉縞検出器によって記録される。
【0055】
図5Bは、先端スリーブ520bに連結された基端部550bを示している。基端部550bは、センサ540bから生理学的信号を患者外の位置(例えば、プロセッサ、ディスプレイ、コンピュータ、モニタ、または他の医療装置)に伝達するための通信チャネル560bを含む。基端部550bは、好ましくは、先端スリーブ520bおよびセンサ540bを患者の解剖学的構造(例えば、血管)内に配置する際にオペレータ(例えば、医師または他の医療スタッフ)を支援するために十分な剛性の材料から形成されることができる。
【0056】
基端部550bのための1つの適切な材料は、例えば、ステンレス鋼のハイポチューブであってもよい。用途に応じて、基端部550b(「送達管」とも呼ばれる)は、典型的には、患者内の関心のある生理学的位置に装置を押す、引っ張るおよび操作するための妥当な量の制御を提供するために先端スリーブ520bよりも堅く剛性がなければならない。介入心臓処置において、例えば、基端部550bの少なくとも一部は、大動脈内に配置された誘導カテーテル内で操作される。したがって、そのような用途の基端部550bは、大動脈のアーチを収容するのに十分なほど柔軟でなければならないが、装置を押したり引っ張ったりするのに十分な剛性を有するべきである。したがって、基端部550bに適した材料はまた、例えば、ニチノール、ナイロン、およびプラスチックなどの材料、または複数の材料の複合材料を含むことができる(前述したステンレス鋼ハイポチューブに加えて)。
【0057】
通信チャネル560bは、図5Bに示すように、基端部550bの外面に沿って配置されてもよく、または基端部550b内に形成されてもよい。例えば、通信チャネル560bは、いくつかの実施形態において、基端部550bを通って長手方向に延びる通信用管腔を備えることができる。通信チャネル560bは、特定の実施形態では、センサ540bが光ファイバ圧力センサである場合など、光ファイバ通信チャネルを備えてもよい。あるいは、通信チャネル560bは、導電性ワイヤなどの導電性媒体、またはセンサ540bによって生成された信号を送信するのに適した他の通信媒体を含むことができる。本発明の好ましい実施形態では、通信チャネル560bは、非流体通信媒体を含む。図5Bに示される実施形態では、通信チャネル560b(例えば、光ファイバケーブル)は、基端部550bを超えて先端方向に延び、センサ540bに結合される。そのような実施形態の通信チャネル560bは、基端部550b(例えば、ステンレス鋼ハイポチューブ)の通信管腔内に少なくとも部分的に収容される。
【0058】
図5Bはまた、第2のセンサ542bが装置510bに結合されることができる本発明の任意の実施形態を示している。例えば、第2のセンサ542bは、第1および第2のセンサ540b、542bが狭窄病変をまたぐように十分に離間されている(例えば、固定距離離れている)ように、基端部550bに結合されることができる。この実施形態は、第1のセンサ540bが狭窄病変536bの先端に配置されてPを測定することができ且つ第2のセンサ542bが狭窄病変536bの基端に配置されてPを測定することができるため、装置510bを再配置する必要なくFFRを測定する能力を提供することができる。第2のセンサ542bは、例えば、図5Bに示すように、基端部550b内に収容されることができるかまたは基端部550bの外面に沿って配置されることができる通信チャネル562bを有することができる。さらに、PおよびPを実質的に同時に測定する能力は、精度を改善することができ、および/または、本出願の譲受人に譲渡され、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2009年9月11日に出願された、「生理学的センサ送達装置および方法」と題された米国特許第8,298,156号明細書に図示されて記載された特定の種類のエラーの影響を低減することができる。
【0059】
特定の実施形態は、3つ以上のセンサを有することができ、そのような実施形態における隣接するセンサ間の間隔は、可変のスペーシング能力を提供するように変更されることができることに留意すべきである。本発明の特定の代替実施形態では、例えば、先端スリーブ520b上にセンサが配置されていない状態で、1つ以上のセンサが基端部550bに配置されることができる。いくつかの代替実施形態では、基端部550bに沿って既知の固定距離だけ間隔を置いて配置された複数のセンサ(2つまたは3つまたは4つ以上のセンサ)を有することが望ましい場合がある。これは、例えば、PおよびP信号を取得するためにそこから病変部にわたって配置された(複数のセンサのうちから)センサの適切な対を選択することにより、病変長にかかわらず略同時にPおよびPを測定する能力を提供することができる。さらに、センサは、生理学的パラメータ(例えば、PおよびP)の測定と併せて病変サイズの視覚的評価を提供することができる何らかの形態の放射線不透過性マーキング(例えば、マーカーバンド)を組み込むことができる。
【0060】
本明細書に記載の装置および/または方法を用いて生理学的パラメータ測定が容易にされることができる他の用途があることが理解されるべきである。様々な例示的なMPSシステムの他の可能な実施形態および実装は、米国特許第8,298,156号明細書(上記参照)に記載されている。
【0061】
図6は、図5Aおよび図5Bに示されるようなMPSシステムの例示的な動作を示すプロセスフロー図である。図6に示される動作の順序は、例示的な目的のみのものである。いくつかの実施形態では、動力注入システムまたは診断監視システムなどのシステムは、本方法が制御パネル(または利用可能であれば2次パネル)上で手動起動を開始するようにオペレータが要求した後、自動的にまたは代替的に、図6に示される方法のステップのいくつかを実行することができる。
【0062】
図6のステップ600は、例えば、狭窄病変などの関心のある位置に、または心臓弁を横切って患者内にガイドワイヤを配置することを含む。いくつかの実施形態では、これは、診断用ガイドワイヤであってもよく、ガイドカテーテルはまた、ガイドワイヤとともに患者に挿入されてもよい。ステップ602は、センサが関心のある位置の上流に(例えば、狭窄病変の上流または弁の高圧側に)配置されるように、ガイドワイヤ上にセンサ送達装置を配置することを備える。いくつかの実施形態では、センサ送達装置は、ガイドワイヤ上を摺動する先端スリーブに取り付けられたセンサと、ガイドワイヤを移動させる必要なくガイドワイヤを介して先端スリーブを所望の位置に前進させるためにオペレータによって使用される基端部とを有する。ステップ604は、関心のある位置の上流の生理学的パラメータの値を測定するためにセンサ送達装置のセンサを使用することを備える。いくつかの実施形態では、生理学的パラメータは血圧であり、狭窄病変部の上流のセンサによって測定された圧力は基端圧力Pである。
【0063】
いくつかの例では、ステップ604で行われたものなどのP測定値は、独立したソースから得られた測定値に正規化されることができる。P測定値を「正規化する」とは、センサ送達装置のセンサで測定されたP値(例えば、下流側圧力)との後の比較または計算に使用されるP値を得るために独立したソース(例えば、処置中に患者の血圧を監視する流体センサ)が使用されるという事実を指す。正規化ステップは、基本的には、後続の下流圧力測定(例えば、P)が行われるときにエラーが導入されていない(または任意のエラーが最小となる)ように、センサを用いて測定されたP値が独立したソースを使用して測定されたP値に等しいことを保証する。必要に応じて、P値に調整されることができるが、センサベースのP値を独立したソースのP値に合わせるように調整する方が大抵の場合に簡単であり得る。
【0064】
ステップ606は、センサが関心のある位置の下流(例えば、狭窄病変の下流)にあるように、センサ送達装置をガイドワイヤ上に再配置することを備える。ステップ608は、生理学的パラメータの下流の値を測定するためにセンサ送達装置のセンサを使用することを備える。いくつかの実施形態では、このステップは、狭窄病変の下流の血圧Pを測定することを備える。ステップ610は、関心のある位置の下流の測定値(例えば、P、下流の血圧)を、独立したソースを使用して関心のある位置の上流で測定された値(例えば、P)と比較することを備える。いくつかの実施形態では、ステップ610で行われる比較は、2つの測定値の比を計算することを備えることができる。本発明のいくつかの実施形態では、ステップ610は、下流の血圧と上流の血圧の比P/PとしてFFRを計算することを備える。オプションのステップであってもよいステップ612は、ステップ610で行われた比較の結果の表示を提供することを備える。例えば、ステップ612は、計算されたFFR値の表示(例えば、数値またはグラフィック表示またはプロット)を提供すること、および/または他のキューがオペレータに提供されることができることを備えることができる。狭窄病変の重症度の色分けされた表示は、例えば、0.75未満のFFR値については赤色指標、および/または0.75以上のFFR値については緑色指標が提供されることができる。非視覚的指標を含む他の指標の例が可能である−例えばアラーム音などの可聴指標は、0.75未満のFFR値をオペレータに警告することができ、オペレータに治療決定を促すことができる。
【0065】
上述した例示的なIVUSシステムおよび方法と同様に、MPS処置は、患者内のセンサの位置に関連する位置情報を取得することを含むことができる。例えば、位置情報は、患者もしくは患者内の病変に対するセンサの位置を示すことができ、または上流および下流測定値の間の相対的位置差を示す相対位置情報を含むことができる。様々な例において、例えば可動要素および基準要素を含むIVUSシステムに関して上述したような位置センサが使用されてもよい。可動要素は、センサが患者内を移動するときに基準要素に対して移動するように構成されてもよい。
【0066】
いくつかの例では、びまん性に冒された冠状動脈の病変重症度の定量化は、血管内の圧力勾配を示す圧力引き戻し曲線を必要とすることがある。これは、例えば、定常状態の最大アデノシン充血中に、先端から基端位置に圧力センサ(例えば、MPS)を取り出す間に同時に圧力を読み取ることによって行うことができる。血管の全長にわたる圧力勾配を表す対応する圧力曲線を生成するために、得られた圧力データが使用可能である。そのような圧力曲線は、病変の正確な位置および重症度を示すことができる。いくつかの例では、この引き戻し曲線は、長くて散在した病変を有する血管においてスポットステント留置を誘導する際に非常に有用であり得る。
【0067】
したがって、いくつかの例では、患者の血管系内の複数の位置で複数の測定値(例えば、圧力測定値、圧力勾配など)が取得されることができる。そのような測定値が取得されるそのような相対位置は、例えば、位置センサからの位置情報を使用して判定されることができる。処理エンジン112は、測定情報と関連する位置情報とを効果的に組み合わせるように作用することができる。複数の測定は、ディスプレイ114上など、各測定が行われた相対位置を参照してともに表示されることができる。図7は、患者の血管内の様々な対応する位置に関連する様々な圧力測定値を示す例示的なプロットである。
【0068】
そのようなデータは、血管内の病変または他の圧力に影響を与える特徴の位置を特定するのに有用であり得る。例えば、いくつかの例では、圧力対位置の激しい勾配は、血管内の重度の病変を示している可能性がある。図7の例示では、第1の圧力勾配700は、血管内の重度の病変を示すことができる。第2のより緩やかな勾配702は、血管内のより小さな病変を示すことができる。したがって、図7に示すようなデータは、患者の血管内の病変の位置を突き止めるために使用されることができる。いくつかのそのような実施形態では、病変位置に効果的な治療を提供するために病変の位置を突き止めるために、圧力データに関連付けられた位置情報が使用されることができる。いくつかの例では、図7に示されるような所定距離にわたる圧力データの取得は、複雑な冠状動脈疾患を有するような患者の診断および治療に関する意思決定に有用であり得る。データは、患者内のどの病変が治療されるべきかおよびどの病変が治療される必要がないかを判定するために特に有用であり得る。
【0069】
いくつかの例では、圧力センサの引き戻しは、各位置での1つ以上の心拍の経過にわたって圧力の読取値を取得するために非常にゆっくりと行われる。いくつかの実施形態では、引き戻しを高速化するために、図5Bのセンサ540bおよび542bなどの複数のセンサからの短い間隔の瞬時圧力測定値が記録されることができる。各測定位置ではるかに短い時間間隔を使用して相対圧力勾配を得るために、複数の圧力読取値が読取値の1つに正規化されることができる。
【0070】
既に説明したように、多くの血管内処置において、システムの様々な態様の位置に関する少なくとも相対位置情報を知ることは有利であり得る。図8は、位置センサを含む血管内システムの実施形態のシステムレベルブロック図である。特に、図8の例示的なシステム800は、カテーテル802と、位置センサ822と、血管内処理エンジン812とを備える。カテーテル802は、センサ808を含むことができ、処理エンジン812と通信することができる。いくつかの実施形態では、処理エンジン812は、センサ808と直接通信する。図8の実施形態では、処理エンジン812は、ディスプレイ814、ユーザインターフェース820、メモリ/データ記憶装置830、およびプロセッサ/コントローラ832を備える。これらの構成要素は、例えば、タッチスクリーンディスプレイおよび/またはコンピュータに統合されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、カテーテル802またはカテーテル802内のセンサ808は、診断または治療機能を実行している間、患者の血管系内で並進されることができる。そのような場合、処理エンジン812は、センサ808から複数の位置で情報を受信することができる。いくつかの実施形態では、処理エンジン812は、複数のセンサ位置から情報を受信し、集約データ組を構築することができる。例えば、IVUSシステムの場合、複数の位置に関連する画像データは、図4のような図を構築するように集約されることができる。MPSシステムの場合、圧力または他のデータは、図7に示されるようなプロットを生成するように集約されることができる。そのような集約データ組は、複数のセンサ808の位置の少なくともサブセットからの情報を含み、ディスプレイ814上での提示のために処理されることができる。そのような情報の集約セットを構築するために、情報が受信された位置間の少なくとも相対的な関係を処理エンジン812が検出することが有用であり得る。したがって、血管内システム800のいくつかの実施形態は、位置センサ822を含む。
【0072】
図8に示される位置センサ822は、可動要素826および基準要素824を含むことができる。位置センサ822は、例えば、ポテンショメータ、エンコーダ、線形可変差動変換器、または他の適切な位置センサを備えることができる。そのような位置センサ822は、血管内システム800に統合されることができ、処理エンジン812と通信状態に配置されることができる。位置センサ822の可動要素826は、センサ808の位置に相関がある可動要素位置を有することができる。センサ位置と可動要素826の位置との間の相関関係は、図8の破線828によって表されている。位置センサ822の基準要素824は、様々な血管内プロセス(例えば、超音波イメージング、圧力検知など)中にセンサ808の動きに対して実質的に固定されることができる。そのような実施形態では、センサ位置と可動要素位置との間の相関のために、位置センサ822は、位置センサ822の基準要素824に対するセンサ808の相対的な動きを判定するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、位置センサ822は、基準要素824に対するセンサ808の相対的な動きを判定することができ、位置センサ822は、処理エンジン812の他の構成要素と通信することができる。
【0073】
図8に示すように、位置センサ822は、処理エンジン812と通信することができる。いくつかの実施形態では、処理エンジン812は、位置センサ822から位置情報を受信するように構成されることができる。位置情報は、基準要素824に対する位置センサ822の可動要素826の位置に関する情報を含むことができる。位置情報は、エンコーダから受信した情報、ポテンショメータからの抵抗情報もしくは他の電気データ、または様々な種類の位置センサからの任意の他の信号もしくは情報を含むことができる。位置センサ822が基準要素824に対するセンサ808の相対的な動きを判定する実施形態では、位置センサ822は、その位置情報を処理エンジン812に提供することができる。いくつかの実施形態では、位置センサ822は、可動要素826および基準要素824に関する情報を処理エンジン812に提供することができ、処理エンジン812は、基準要素824に対するセンサ808の相対的な動きを判定することができる。上述したように、可動要素826の位置は、カテーテル802のセンサ808の位置と相関させることができる。いくつかの実施形態では、位置センサ822は、可動要素826の位置を基準要素824の位置と比較することができ、可動要素826の位置がセンサ808の位置とどのように相関するかを考慮することができ、基準要素824の位置に対するセンサ808の位置を判定することができる。そのような実施形態では、位置センサ822は、センサ808の位置を処理エンジン812に提供することができる。いくつかの実施形態では、位置センサ822は、基準要素824の位置に対する可動要素826の位置に関する情報を処理エンジン812に単に送信することができる。いくつかのそのような実施形態では、処理エンジン812は、可動要素826の位置を基準要素824の位置と比較することができ、可動要素826の位置がセンサ808の位置とどのように相関するかを考慮することができ、基準要素824の位置に対するセンサ808の位置を判定することができる。他の実施形態では、処理エンジン812は、基準要素824に対する可動要素826の動きを測定し、そこからセンサの動きを判定することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、処理エンジン812は、血管内カテーテル802からのセンサ情報(例えば、IVUSトランスデューサからの画像情報、MPSなどの圧力センサからの圧力情報など)および位置センサ822からの位置情報を双方とも受信するように構成されることができる。処理エンジン812は、特定の画像情報をセンサ808の相対位置に関連付けることができる。処理エンジン812は、センサ情報および位置情報に基づいて表示を生成するように構成されることができる。
【0075】
処理エンジン812は、分析されている血管内の複数の長手方向位置に対応するセンサ情報および位置情報を受信および処理することができる。いくつかの構成では、処理エンジン812は、それぞれ第1の可動要素位置に対応する第1の組のセンサ情報および第1の組の位置情報を受信することができる。処理エンジンは、さらに、それぞれが第2の可動要素の位置に対応する第2の組のセンサ情報および第2の組の位置情報を受信することができる。一般に、センサ情報および位置情報は、任意数の可動要素位置に対応する情報を含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、処理エンジン812は、分析される血管に関するリアルタイムデータを表示するためにセンサの並進中にいくつかの位置についてのセンサ情報および位置情報をリアルタイムで処理することができる。
【0076】
本明細書の他の箇所で説明するように、いくつかの実施形態では、可動要素の位置は、センサ808の位置と相関する。したがって、第1および第2の可動要素位置に対応する第1および第2の組のセンサおよび位置情報もまた、第1および第2のセンサ808の位置に対応することができる。可動要素826は、対応した基準要素824に対して移動することができるとともに、センサ808は、様々な位置に患者の血管系内で並進されることができる。センサ808は、いくつかの方法で患者の血管構造を通って並進させることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル802は、患者の血管構造を通って並進する。センサ808は、例えば、カテーテル802内、シース内で並進することができる。いくつかの実施形態では、血管内イメージングシステムは、カテーテル802および/またはカテーテル802内のセンサ808を並進させるように構成された並進機構を含むことができる。
【0077】
様々な実施形態において、位置センサ822の要素は、システムの様々な部分に配置されてもよい。例えば、いくつかの例では、可動要素826および基準要素824の一方または双方が並進機構に含まれてもよい。追加的にまたは代替的に、そのような要素の一方または双方は、カテーテル802上に配置されるかあるいはカテーテル内に一体化されることができる。いくつかの例では、システム800は、位置センサ822の少なくとも一部を収容するかまたは支持する専用の位置センサアセンブリ825を含むことができる。
【0078】
図9は、例示的な位置センサ構成の図である。図示された実施形態に示すように、摩擦ホイール970、972は、カテーテルのケーブル968に係合する。ケーブル968は、カテーテルのセンサ(例えば、図1の108)に対して移動するシステムの任意の要素を含むことができる。いくつかの例では、センサは、IVUSトランスデューサまたは圧力センサ(例えば、MPS)を含むことができる。いくつかのそのようなシステムでは、ケーブル968は、IVUSシステムカテーテルの駆動ケーブル(例えば、図2の268)またはMPSシステムにおけるセンサ送達装置(例えば、図5Aの510)の基端部(例えば、550)を含むことができる。カテーテルまたはシステムの他の可動部分は、ケーブル968として使用されることができる。
【0079】
様々な実施形態において、摩擦ホイール970、972は、手術中に患者に対して固定されるシステムの一部に固定されてもよい。例えば、摩擦ホイール970、972は、並進要素942のベース949に固定されることができる。いくつかの例では、システムは、位置センサ922の1つ以上の態様などの様々なシステム構成要素を支持するように構成された位置検知アセンブリを含むことができる。
【0080】
いくつかの例では、摩擦ホイール970、972は、対向する平坦エッジ990、991と、その間に延びる周縁992とを含む。いくつかのそのような実施形態では、摩擦ホイール970、972の周囲は、略円形であり、周縁992は、単一の連続エッジである。いくつかの実施形態では、摩擦ホイール970、972は、ケーブル968に対して高い摩擦係数を有する材料を含む。様々な実施形態では、摩擦ホイール全体が高摩擦材料から構成されていてもよい。他の実施形態では、摩擦ホイール970、972の残りの表面(例えば、990、991)はそうではないが、周縁992は高摩擦材料を含むことができる。
【0081】
動作中、センサ(例えば、108)が患者内を移動するときに、ケーブル968は同様に近位または遠位に動く。いくつかの例では、摩擦ホイール970および972の周縁992上の高摩擦材料とケーブル968との間の係合のために、ケーブル968の基端方向または先端方向の移動は、それぞれ、摩擦ホイール970および972を軸980および982の周りに回転させる。いくつかの実施形態では、摩擦ホイール970は、摩擦ホイール970をケーブル968に押し付けるように構成された付勢バネ974に取り付けられてもよい。バネ974によって引き起こされる摩擦ホイール970とケーブル968との間の増大した力は、基端方向または先端方向に移動するときにケーブル968が摩擦ホイール970、972に対して滑ることを防止することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、1つ以上の摩擦ホイールは、位置センサ922の少なくとも一部を含むことができる。図示された実施形態では、摩擦ホイール972は、位置センサ922の可動要素926を含む。可動要素926は、光学的または磁気的に検出可能な要素などの1つ以上の検出可能要素927を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、位置センサ922の基準要素924/924bは、摩擦ホイール972に近接して配置されてもよい。図9の図示された例は、摩擦ホイール972に近接して配置された基準要素924を示している。基準要素924は、例えば、検出可能要素927が基準要素924を通過したときに、可動要素926の動きを検出することができる磁気または光学検出器(例えば、エンコーダ)を含むことができる。追加的にまたは代替的に、基準要素924bは、可動要素926を検出するために、摩擦ホイール972の上方に配置されてもよい。基準要素(例えば、924または924b)の位置は、可動要素926上の検出可能要素927の種類(例えば、光学、磁気など)を最も良好に検出するために選択されることができる。例えば、いくつかの構成では、摩擦ホイール972の上方に配置された基準要素924bは、光学的に検出可能な可動要素926を検出するのに最も適している。
【0083】
そのような構成では、ケーブル968(およびそれに取り付けられたセンサ108など)が基端方向または先端方向に移動すると、可動要素926と基準要素924との間の動きは、摩擦ホイールが回転するときに監視されることができる。摩擦ホイールの回転量を判定するために可動要素926と基準要素924との間の検出された動きが使用可能である。ケーブル968は、滑ることなく摩擦ホイールを回転させるため、摩擦ホイールの回転量は、ケーブル968および同様にセンサによって基端方向または先端方向に移動される直線距離に直接相関する。したがって、前述のように、患者内のセンサの相対位置および動きを判定するために可動要素926と基準要素924との間の動きが検出されて使用可能である。
【0084】
いくつかの例では、可動要素926は、複数の検出可能要素(例えば、927)を備える。いくつかの実施形態では、複数の検出可能要素の少なくとも2つは、基準要素924の出力によって互いに区別可能である。例えば、複数の磁気的に検出可能要素は、磁化の強さまたは方向などの異なる磁化特性を有することができる。そのような差は、検出可能要素からの磁場出力を検知するエンコーダを介して検出可能とすることができる。特定の方法でこれらの検出可能要素を離間させることおよび/またはそれらを特定の順序で配列させることによって、基準要素924からの出力信号は、摩擦ホイールの回転方向、したがってセンサの運動方向を示すことができる。いくつかの例では、一対の摩擦ホイール(例えば、970、972)のそれぞれは、少なくとも1つの検出器によって検出可能な検出可能要素を含むことができる。別個の摩擦ホイール上の検出可能要素は、患者内のセンサの動きの方向の決定を可能にするために配置されてもよい。追加的または代替的に、位置センサ922は、摩擦ホイールの回転方向を判定するための他の方法を含むことができる。
【0085】
いくつかの例では、位置センサは、972などの単一の摩擦ホイールを含むことができる。いくつかのそのような例では、単一の摩擦ホイール(例えば、972)は、ケーブル968に対して1つ以上のバネ(例えば、975)によって付勢されてもよい。ホイール972をケーブルに押し付けるバネ975の力は、ケーブル968の基端方向または先端方向の動きに応じて単一の摩擦ホイール972を回転させることができる。バネ975の代わりに、摩擦ホイール972とケーブル968との間に付加的な力を提供するために、974などのバネ付勢アームが使用されてもよい。
【0086】
検出可能要素927は、示されるように摩擦ホイール972上に直接配置する必要はないことが理解されよう。むしろ、いくつかの実施形態では、970、972などの1つ以上の摩擦ホイールは、追加の構成要素を含むことができ、そのような追加の構成要素を回転させることができる。そのようないくつかの例では、検出可能要素927は、1つ以上のそのような追加の構成要素を含むかまたはそのような追加の構成要素に含まれることができる。一般に、検出可能要素927を基準要素924に対して移動させる1つ以上の摩擦ホイールのネットワーク、ならびにそれに関連する任意の追加の構成要素は、可動要素926の一部と考えることができる。
【0087】
図10は、図9に示されるような摩擦ホイールを含む例示的な血管内カテーテルシステムの断面図である。上述したように、いくつかの例では、システムは、位置センサ1022を収容するように構成された専用の位置検知アセンブリ1080を含むことができる。そのようないくつかの例では、位置検知アセンブリ1080は、カテーテル1002のアンカー1003を受け入れるための溝1043を備えたハウジング1082を含むことができる。図示された実施形態では、カテーテル1002は、さらに、例えば血管内処理エンジンの取り付け点1056とインターフェース接続するために、基端方向に位置検知アセンブリ1080を通ってコネクタ1085まで延びるケーブル1068を含む。
【0088】
図示された実施形態では、ケーブル1068は、位置検知アセンブリ1080のハウジング1082内の摩擦ホイール1070、1072と係合する。摩擦ホイール1070は、摩擦ホイール1070、1072の間で駆動ケーブルを押圧する付勢バネ1074に取り付けられている。図9に関して先に説明したように、ケーブル1068の基端方向または先端方向の動きは、摩擦ホイールを回転させる。図示された実施形態では、摩擦ホイール1072は、ディスク1073を含む。ディスク1073は、ディスクの周囲に配置され且つエンコーダ1023によって検出されることができる複数の検出可能要素1027を含む。いくつかの例では、検出可能要素1027は、磁気的にまたは光学的に検出可能な要素を含むことができ、エンコーダ1023は、磁気的におよび光学的に検出可能な要素の一方または双方を検出する能力を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、エンコーダ1023の検出素子に対向するディスク1073に向けて光を放射するように構成された光源(図示せず)を含むことができる。そのようないくつかの例では、ディスク1073上の検出可能要素1027は、光がそこを通過できるようにディスク1073を通って延びる開口を含む。したがって、エンコーダ1023は、ディスク1073の開口を透過する光を検出するように構成されることができる。
【0089】
したがって、図示された実施形態では、ケーブル1068が基端方向または先端方向に移動する(同様にセンサを移動する)と、摩擦ホイール1070、1072は回転する。摩擦ホイール1072の回転は、ディスク1073の回転を引き起こし、エンコーダ1023は、検出可能要素1027の検出によってディスク1073の回転を検出する。そのような実施形態では、ディスク1073および検出可能要素1027を含む摩擦ホイール1072は、カテーテル1002のセンサの相対位置および動きを検出することができる位置センサの可動要素1026をともに構成することができる。位置センサの基準要素1024は、検出可能要素1027を検出することによってディスク1073の回転を検出するように構成されたエンコーダ1023を備えることができる。
【0090】
例示的な実施形態では、エンコーダ1023は、摩擦ホイール1072が回転するときに検出可能要素1027を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、エンコーダ1023は、検出可能要素1027の1つを検出すると信号(例えば、ハイ信号またはロー信号)を出力し、検出可能要素1027が検出されない場合に異なる信号(例えば、ロー信号またはハイ信号)を出力する。処理エンジンは、エンコーダ1023から信号を受信し、一連の信号を使用して摩擦ホイール1072の回転を判定することができる。例えば、処理エンジンは、摩擦ホイール1072の回転量および検出された検出可能要素1027の数を関連付ける情報を用いてプログラムされることができる。例えば、検出可能要素1027は、摩擦ホイール1072の一部(例えば、ディスク1073またはホイール1072自体)の周りに周期的に配置されてもよい。したがって、検出された各領域は、摩擦ホイール1072の回転の所定割合に対応する。摩擦ホイール1072の回転量は、ケーブル1068と係合するエッジなどの摩擦ホイール1072の特定の半径において、移動される直線距離を判定するために使用されることができる。したがって、ケーブル1068と摩擦ホイール1072との間に滑りがないと仮定すると、ケーブル1068によって移動される直線距離が判定されることができる。
【0091】
したがって、そのような実施形態では、エンコーダ1023によって検出された検出可能要素1027の数は、患者内のセンサの動きに対応するケーブル1068の直線的な動きに対応する。様々な実施形態において、処理エンジンは、任意の様々な較正された関係でプログラムされてもよい。例えば、処理エンジンは、検出された多数の検出可能要素1027を、摩擦ホイール1072の回転量またはケーブル1068および/またはそれに関連するセンサの直線運動量と関連付ける情報でプログラムされてもよい。したがって、エンコーダによって検出された検出可能要素1027の数は、患者の血管を通るセンサの動きの量を判定するために使用されることができる。
【0092】
いくつかの例では、位置センサ1022は、患者内のセンサの動きの方向に対応することができる摩擦ホイール1072の回転方向を示す信号を生成する。例えば、いくつかの実施形態では、いくつかの異なる検出可能要素1027は、処理エンジンに対して生成される出力などによって、互いに区別可能とすることができる。いくつかのそのような実施形態では、血管内処理エンジンは、エンコーダ1023によって検出された識別可能な検出可能要素1027の順序に基づいて、摩擦ホイール1072の回転方向を判定するための命令でプログラムされてもよい。いくつかの実施形態では、摩擦ホイール1070は、摩擦ホイール1070、1072の回転方向を判定するのを助けることができる1つ以上の検出可能要素を含むことができる。例えば、摩擦ホイール1070上の検出可能要素(図示せず)は、それらが回転方向に応じて摩擦ホイール1072上の検出可能要素1027の検出に対して異なる時間に検出されるように配置されてもよい。したがって、摩擦ホイールの回転方向、したがって患者の血管内のセンサの動きの方向を判定するために、異なる摩擦ホイールから検出された検出可能要素のタイミングが使用されることができる。追加的にまたは代替的に、位置センサ1022は、摩擦ホイール1070、1072の一方または双方の回転方向および/またはケーブル1068の動きの方向を判定するように構成された追加の検知要素(図示せず)を含むことができる。
【0093】
スタンドアローン位置検知アセンブリ1080に含まれるように示されているが、摩擦ホイール(例えば、1070、1072)および関連する構成要素(例えば、エンコーダ1023)は、血管内システムの様々な場所に一体化されてもよいことが理解される。例えば、そのような構成要素は、並進要素もしくは他のカテーテルインターフェース要素(例えば、図1の110)またはカテーテルの患者への挿入を容易にする弁(例えば、止血弁)に一体化されてもよい。
【0094】
様々な摩擦ホイール構成が記載されている。摩擦ホイールに関連付けられた位置センサから取得された位置情報は、対応する血管内データと関連付けるために処理エンジンによって取得されてもよい。様々な実施形態では、そのような位置データは、IVUSトランスデューサから取得した画像データまたは圧力センサ(例えば、MPS)から取得した圧力データに関連付けられることができる。IVUS長手方向画像(例えば、図4の426)または圧力・位置プロット(例えば、図7のプロット)などのデータの組を生成するために、得られた関連データの組(例えば、位置および画像データ、位置および圧力データなど)が使用されることができる。そのような情報は、患者の状態をより正確に分析するためにシステムオペレータによって使用されることができる。これは、より詳細な診断およびより正確に定義された治療計画を可能にする。いくつかの場合において、データは、患者内で最も有効な治療位置を判定するために使用され、いくつかのさらなる例では、判定された位置で治療を実行するために使用されることができる。
【0095】
本発明の様々な態様は、非一時的コンピュータ可読媒体において具体化されることができる。非一時的コンピュータ可読媒体は、血管内カテーテル(例えば、102)の先端(例えば、106)の近くに位置するセンサ(例えば、108)からセンサ情報、および(例えば、1つ以上の摩擦ホイールを含む)位置センサからの位置情報をプロセッサに受信させるための実行可能命令を含むことができる。位置センサは、可動要素および基準要素を備えることができ、位置情報は、基準要素に対する、およびセンサ位置と相関する可動要素の位置を表す可動要素位置を含むことができる。非一時的コンピュータ可読媒体は、さらに、プロセッサに、センサ情報が取得された位置に対応する位置情報とセンサ情報とを関連付けさせる実行可能命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、受信したセンサ情報および位置情報に基づいてディスプレイを生成することができる。例えば、IVUSカテーテルからの位置情報と対応する画像情報とを含む長手方向画像が生成されることができる。他の例では、圧力センサ(例えば、MPS)からの位置情報および対応する圧力情報を含む圧力対距離曲線が生成されることができる。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理エンジン112内で具体化されることができる。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、本明細書に記載された任意の方法をプロセッサに実行させるための実行可能命令を含むことができる。
【0096】
本発明の特定の実施形態に関して説明された構成要素は、さらなる実施形態を形成するために組み合わせられることができることが理解されるべきである。コンピュータ可読記憶媒体に埋め込まれまたは符号化された命令は、プログラム可能なプロセッサまたは他のプロセッサに、規定された命令に従わせることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、光媒体、または他のコンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0097】
様々な実施形態が記載された。そのような実施形態は、例示的なものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。むしろ、これらのおよび他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10