特許第6963587号(P6963587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963587
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】アンカ送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   A61B17/04
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-102375(P2019-102375)
(22)【出願日】2019年5月31日
(62)【分割の表示】特願2017-989(P2017-989)の分割
【原出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2019-147012(P2019-147012A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】13/833,299
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508188581
【氏名又は名称】ネオトラクト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】カタネーゼ ジョセフ ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー セオドア
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】チェン フロリア
(72)【発明者】
【氏名】カッツ ジョリーン
(72)【発明者】
【氏名】トン リン−カン
(72)【発明者】
【氏名】ギアハート マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ニーダージョン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】タチバナ ブライアン ワイ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン ベン
【審査官】 高田 元樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−106755(JP,A)
【文献】 特表2011−529745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカ組立体を配備するためのシステムであって、該システムは、
前記アンカ組立体を運搬し、タブを含むカートリッジと、
ばねに連結された発射そりを含むハンドルと、含み、前記発射そりは、スロットを含み、前記ハンドルは、前記ハンドルの前記そり上の前記スロットが、前記カートリッジ上の前記タブと整列するように前記カートリッジと結合するように構成されており、前記スロットおよび前記タブは、前記ばねから前記発射そりを介して前記カートリッジにエネルギーを伝達することを可能にする相補的機構である、システム。
【請求項2】
前記カートリッジは、針を含み、前記針は、前記ばねから前記発射そりを介して前記カートリッジにエネルギーを伝達することによって発射される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記針が発射された後に前記ばねにエネルギーを負荷するように構成されている、前記ハンドル上のレバーをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハンドルに設けられたカムホイールをさらに含み、前記カムホイールは、前記レバーに連結されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記レバーおよびカムホイールは、前記レバーを引き絞ることによって前記カムホイールを回転させるように、前記ハンドルに構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カムホイールは、前記ばねから前記発射スレッドを介して前記カートリッジにエネルギーを伝達する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記針が発射された後に、前記カムホイールのさらなる回転によって、前記ばねにエネルギーが負荷される、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容、即ち本発明は、一般に、医療器具及び方法に関し、特に、疾患又は障害を治療する目的で患者としての人間又は動物の体の体内の組織及び解剖学的構造又は他の構造を操作し又はレトラクト(retract)するシステム及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理学的に拡大した組織を持ち上げ、圧縮し、又は違ったやり方で取り除くことが望ましい病態のうちの1つの例は、良性前立腺肥大症(BPH)である。BPHは、男性、特に高齢者を罹患させる最もありふれた医学的病態のうちの1つである。米国では、全男性の半分以上が60歳までにBPHの組織病理学的エビデンスを有し、85歳までに10人のうちのほぼ9人がこの病態を患うことが報告されている。さらに、BPHの発生率及び有病率は、先進国の人口の平均年齢が上がるにつれて増大することが見込まれている。
【0003】
前立腺は、男性の寿命全体を通じて肥大してゆく。何割かの男性では、前立腺周りの外科的被膜(単に「被膜」ともいう)は、前立腺がそれ以上肥大するのを阻止する場合がある。これにより、前立腺の内端部が尿道を狭窄する。尿道に加わるこの圧力は、前立腺によって包囲された尿道の端を通る尿の流れに対する抵抗を増大させる。かくして、膀胱は、抵抗が増大した尿道中に尿を流すために高い圧力を及ぼさなければならない。慢性過伸展により、膀胱の筋肉壁が作り直されて硬くなる。尿の流れに対する尿道抵抗の増大及び硬直度と膀胱壁の肥大のこの組み合わせにより、患者のクオリティオブライフ(QOL)を著しく損ねる場合のある種々の下部尿路症状(LUTS)が現れる。この症状としては、放尿の際の弱い又は間欠的な尿の流れ、放尿時の力み、尿の流れが開始する前のもじもじ感、放尿後であっても膀胱が完全には空になっていないという感覚(残尿感)、放尿の終わりにおける尿だれ(滴下)又は排尿後滴下(尿漏れ)、特に夜間の頻尿、尿意切迫感等が挙げられる。
【0004】
BPHのある患者に加えて、LUTSも又、前立腺癌、前立腺感染症、及び特に前立腺肥大のある男性に尿閉を引き起こす或る特定の薬剤(例えば、エフェドリン、シュードエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン等)の持続的使用のある患者に見られる場合がある。
【0005】
BPHが生命を脅かすことは稀であるが、これにより、多くの臨床上の病態が生じる場合があり、かかる病態としては、尿閉、腎不全、再発性尿路感染、失禁、血尿、及び膀胱結石が挙げられる。
【0006】
先進国では、患者人口の大きな割合がBPH症状のための治療を受けている。80歳までに、米国の男性人口の約25%が何らかの形のBPH治療を受けるということが推定されている。現時点では、BPHに有効な治療オプションとしては、待機療法、投薬法(植物療法及び処方箋による投薬法)、手術及び低侵襲手技が挙げられる。
【0007】
待機療法オプションを選択した患者の場合、患者には直ちに治療が施されず、患者がこの疾患の経過を観察するための定期的な検査を受ける。これは、通常、特に厄介であるということはない最小限の症状を備えた患者について行われる。
【0008】
BPH症状を治療する外科的処置としては、経尿道的前立腺切除術(TURP)、経尿道的前立腺電気蒸散術(TVP)、経尿道的前立腺切開術(TUIP)、レーザ前立腺切除術及び開放式前立腺切除術が挙げられる。
【0009】
BPH症状を治療する低侵襲手技としては、経尿道的マイクロ波高温度(温熱)療法(TUMT)、経尿道針アブレーション(TUNA)、組織内レーザ凝固術(ILC)、及び前立腺ステント留置術が挙げられる。
【0010】
BPHを治療する最も効果的な現行の方法には、副作用の高いリスクがある。これら方法及び装置は、全身麻酔か脊髄麻酔かのいずれかを必要とし、或いは、手技が外科手術室で実施され、次に患者にとっての入院が行われることを指示する潜在的な副作用を有する。副作用のリスクの低いBPHの治療方法は又、症状スコアの減少度が小さいことと関連している。これら手技のうちの幾つかは、診療所施設では局所麻酔を施した状態で実施される場合があるが、患者は、即時の免荷を経験することがなく、事実、体が治癒し始めるまで手技後数週間にわたって悪症状を経験する場合が多い。加うるに、器具を用いる全ての方式では、場合によっては数週間、膀胱内に尿道カテーテルを留置する必要がある。幾つかの場合、カテーテル挿入法が適応となる。というのは、この治療は、実際には、術後の期間に閉塞を生じさせるからであり、他の場合では、術後出血及び潜在的に閉鎖性の凝血塊生成のためにカテーテル挿入法が適応とされる。薬物療法を行うのが容易であるが、その結果は、最適以下であり、効果が出るのに相当長い時間を要し、しかも望ましくない副作用を伴う場合が多い。
【0011】
組織の持ち上げ及び再位置決めを行う低侵襲器具及び方法を開発する技術進歩があった。しかしながら、それ以上の技術的進歩を行うには、到達困難な身体構造に接近する能力を保証する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
多数のアンカを単一の送達器具から配備してユーザの手際を向上させると共に患者の不快感を最小限に抑えるために使用できる新規な器具及び方法の開発が要望されている。インターベンション手技を観察しながら低侵襲器械で解剖学的構造に接近できることも又望ましい。さらに、効果的なインターベンション手技を行う種々の構造体、例えば構造的記憶特性を備えたインプラントが或る特定の治療方式で有用であることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、これらの要望及び他の要望に取り組む。
【0014】
概要を述べると共に一般的に述べると、本発明は、インターベンション治療を行うためにアンカ組立体を患者の体内に配備する器械及び方法に関する。送達又は運搬器具がインターベンション手技のための標的となる解剖学的構造に接近するために用意される。送達器具の幾つかの実施形態は、送達器具をインターベンション部位から取り出すことなく、1つ又は2つ以上のアンカ組立体を配備するよう構成された機構体を有する。
【0015】
本発明の送達器械は、アクチュエータにより又は他の手作業で接近可能な構造体により動かされる種々のサブアセンブリを有する。サブアセンブリの作用は、アンカ組立体の正確且つ適格な植え込みを保証するよう協調されると共に同期される。一実施形態では、送達器具は、BPHを治療するために構成された組織近似組立体内に埋め込まれる。
【0016】
特定の一観点では、患者の体内の第1の場所への第1又は遠位のアンカ組立体コンポーネントの送達及び患者の体内の第2の場所への第2又は近位のアンカ組立体コンポーネントの送達を達成する送達器具に関する。さらに、送達器具は、アンカ組立体を効果的に再装填して患者の不快感を最小限に抑えると共に使用のしやすさを高める機構体を有するのが良い。送達器具は又、送達中、張力をコネクタに及ぼしてコネクタを保持する一方で、近位アンカを本来の位置に取り付けるのを達成することができる。送達器具内に挿入されたスコープを用いてこの手技を観察することができる。スコープは種々の形態を取ることができ、相補形の構造体が観察機能を助けた状態でスコープを採用することができる。また、送達器具は、最大24Fまでのシース、好ましくは19F又は20F以下のシース内に使えるよう寸法決めされると共に形作られるのが良い。
【0017】
アンカ組立体は、患者としての人間又は動物の体内の組織に近似し、これをレトラクトし、持ち上げ、圧縮し、支持し、作り直し、又は再位置決めするよう構成されるのが良い。さらに、器械は、アンカ組立体を配備するよう構成されると共に、アンカ組立体はそれ自体、体の解剖学的構造を補完すると共にこれと協働するよう構成される。
【0018】
一観点では、前立腺を治療するシステムがカートリッジ、カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドル、及び送達組立体を含む。カートリッジは、遠位アンカ、コネクタ、及び近位アンカを有し、ハンドルは、アクチュエータ、機械的エネルギーが加えられたばね機構体を有する。送達組立体は、機械的エネルギーをばね機構体からカートリッジに伝達するようカートリッジと嵌合する部材を含み、アクチュエータは、機械的エネルギーを再び加えるよう動作する。
【0019】
一観点では、アンカ組立体を配備するシステムは、アンカ組立体を運ぶカートリッジ及びカートリッジと結合するよう構成されたハンドルを含み、ハンドル内の少なくとも1つのばね機構体に加えられている機械的エネルギーがカートリッジに伝達されてアンカ組立体を配備するようになっている。このシステムは、機械的エネルギーの伝達を開始させて機械的エネルギーの大部分をばね機構体に戻すよう構成されたアクチュエータを含む。
【0020】
一観点では、複数個のアンカ組立体を送達する方法がカートリッジをハンドル組立体中に挿入するステップを含む。ハンドル組立体は、アクチュエータ及び全エネルギーが貯蔵されている第1の負荷形態と無負荷形態とを備えた駆動機構体を含む。カートリッジは、少なくとも1つのアンカ組立体及び穿通部材を有する。少なくとも1つのアンカ組立体及び穿通部材は、カートリッジの遠位部分から前進するよう構成される。本方法は、カートリッジの遠位部分を前立腺に隣接して位置するインターベンション部位のところに位置決めするステップと、アクチュエータを作動させて駆動組立体を負荷形態から無負荷形態に、そして全エネルギーが貯蔵される第2の負荷形態にサイクル動作させるステップとを含む。アクチュエータを作動させると、それと同時に、駆動機構体からの荷重をカートリッジに伝達することによって少なくとも1つのアンカ組立体が前立腺に送達される。本方法は、カートリッジを取り外すステップを含む。
【0021】
種々の別の使用方法が想定される。開示する器械は、体内管腔を通る体液の流れを促進し、体内管腔又は腔の寸法又は形状を改変し、前立腺肥大を治療し、失禁を治療し、組織の位置決めを支援し又は維持し、組織創部、器官又はグラフトを閉じ、美容的持ち上げ又は再位置決め手順を実施し、吻合連結部を形成すると共に/或いは生まれつき備わった又は病理学的組織又は器官が隣接の解剖学的構造を圧迫し又はこれを邪魔している種々の他の障害を治療するために使用できる。また、本発明は、例えば組織、器官、グラフト又は他の物体が近似、レトラクト、持ち上げ、再位置決め、圧縮又は支持を必要とする数え切れないほど多くの他の潜在的外科的、治療的、美容的又は再建的用途を有する。
【0022】
本発明の他の特徴及び他の利点は、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を読むと、明らかになろう。なお、添付の図面は、本発明の原理を例示として示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】BPHを患っている男性の下腹部の冠状断面図であり、肥大状態の前立腺を示す図である。
図1B】BPHを患っている男性の下腹部の冠状断面図であり、本発明の器具の実施形態により治療されている肥大状態の前立腺を示す図である。
図1C図1Bに示されているリテーナの実施形態の側面図である。
図1D図1Cに示されているリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図1E図1Cに示されたリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図1F図1Cに示されたリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図1G図1Cに示されたリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図1H図1Cに示されたリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図1I図1Cに示されたリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図1J図1Cに示されたリテーナによる前立腺の治療方法の種々のステップを示す図である。
図2】アンカ送達システムの一実施形態を示す斜視図である。
図3図2のアンカ送達システムを示す右側面図である。
図4】針組立体の部分的前進状態を示す部分断面斜視図である。
図5】送達器具が仕舞い込み状態にある間、ばねにエネルギーをあらかじめ加えていないアンカ送達システムのためのハンドル組立体の実施形態を示す図である。
図6】送達器具が仕舞い込み状態にある間、ばねにエネルギーをあらかじめ加えていないアンカ送達システムのためのハンドル組立体の実施形態を示す図である。
図7A】損傷した針を検出する特徴部の断面図である。
図7B】損傷した針を検出する特徴部の断面図である。
図8】アンカ送達システムのための細長い部材の一区分の2つの実施形態の断面図である。
図9】或る特定の実施形態としてのスコープロックの斜視図である。
図10】送達器具のカッタ組立体の一実施形態の特徴部を示す斜視図である。
図11】送達器具のカッタ組立体の一実施形態の特徴部を示す斜視図である。
図12】送達器具のカッタ組立体の一実施形態の特徴部を示す斜視図である。
図13】カッタ組立体内のアンカの位置決め状態を示す断面図である。
図14】カッタ組立体の別の特徴部を示す種々の図である。
図15】カッタ組立体の別の特徴部を示す種々の図である。
図16】カッタ組立体の別の特徴部を示す種々の図である。
図17】カッタ組立体の別の特徴部を示す種々の図である。
図18】カッタ組立体の別の特徴部を示す種々の図である。
図19】縫合糸案内の特徴部を示す斜視図である。
図20】縫合糸案内の特徴部を示す斜視図である。
図21】プッシャ組立体の特徴部を示す斜視図である。
図22】プッシャ組立体の特徴部を示す斜視図である。
図23】プッシャ組立体の特徴部を示す斜視図である。
図24A】プッシャ組立体及びカッタ組立体として働く単一組立体の特徴部及び作用を示す斜視図である。
図24B】プッシャ組立体及びカッタ組立体として働く単一組立体の特徴部及び作用を示す斜視図である。
図24C】プッシャ組立体及びカッタ組立体として働く単一組立体の特徴部及び作用を示す斜視図である。
図24D】プッシャ組立体及びカッタ組立体として働く単一組立体の特徴部及び作用を示す斜視図である。
図24E】プッシャ組立体及びカッタ組立体として働く単一組立体の特徴部及び作用を示す斜視図である。
図25A】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの図である。
図25B】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25C】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25D】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25E】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25F】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25G】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25H】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25I】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図25J】カートリッジを受け入れるよう構成されたハンドルを含むアンカ送達システムの別の図である。
図26A】アンカ送達システムの細長い部材の遠位端部のところに配置されるよう構成されたカートリッジを含むアンカ送達システムの図である。
図26B】アンカ送達システムの細長い部材の遠位端部のところに配置されるよう構成されたカートリッジを含むアンカ送達システムの別の図である。
図26C】アンカ送達システムの細長い部材の遠位端部のところに配置されるよう構成されたカートリッジを含むアンカ送達システムの別の図である。
図26D】アンカ送達システムの細長い部材の遠位端部のところに配置されるよう構成されたカートリッジを含むアンカ送達システムの別の図である。
図26E】アンカ送達システムの細長い部材の遠位端部のところに配置されるよう構成されたカートリッジを含むアンカ送達システムの別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
今、例示として提供されており、本発明を限定するものではない図を参照すると、本発明は、治療目的で多数のアンカ組立体を患者の体内に送達するよう構成された器具に関する。開示する器械は、種々の医学的目的のために利用でき、かかる目的としては、組織、器官、解剖学的構造、グラフト又は患者の体内に見受けられる他の物体のレトラクト、持ち上げ、圧縮、近似、支持、作り直し又は再位置決めが挙げられるが、これらには限定されない。かかる組織の操作は、疾患又は障害の治療、例えば体内組織の変位、圧縮及び/又はレトラクトを容易にするようになっている。
【0025】
本発明の一観点では、送達器具は、細長い部材を支持したハンドル組立体を有する。細長い部材は、インターベンション部位に達するよう体内解剖学的構造をナビゲートするのに適した低プロフィールを備える。下部構造が細長い部材の長手方向プロフィールを維持するよう設けられており、その結果、インターベンション手技が意図したように進行することができるようになっている。
【0026】
別の観点では、アンカ組立体又はインプラントの一部分が解剖学的構造の第1の区分に当てて位置決めされた状態で植え込まれる。次に、アンカ組立体又はインプラントの第2の部分が解剖学的構造の第1の区分に対して解剖学的構造の第2の区分をレトラクトし、持ち上げ、圧縮し、近似させ、支持し、作り替え又は再位置決めする目的でしかも解剖学的構造の第2の区分に対して解剖学的構造の第1の区分をレトラクトし、持ち上げ、圧縮し、近似させ、支持し、作り替え又は再位置決めする目的で解剖学的構造の第2の区分に隣接して位置決めされた状態で植え込まれる。また、アンカ組立体の第1の部分と第2の部分の療法は、アンカ組立体又はインプラントの第1及び第2の部分に取り付けられたコネクタ組立体により送達中に及ぼされる張力に起因して解剖学的構造の所望のレトラクト、持ち上げ、圧縮、近似、支持、作り替え又は再位置決めを達成するよう構成されるのが良いことは、認識されるべきである。送達器具は、インターベンション手技を観察することができる内視鏡を有するのが良い。
【0027】
図1Aは、BPHを患っている男性の下腹部の冠状断面図(即ち、ほぼ冠状縫合の平面内又はこれに平行に切断した断面)であり、肥大状態の前立腺を示す図である。図1Aに示されているように、膀胱UBは、一時的に尿を溜める中空の筋器官である。膀胱は、恥骨PBの後ろに位置している。膀胱の下部領域は、膀胱頸と呼ばれる細い筋開口部を有し、この筋開口部は、尿道UTと呼ばれる軟質柔軟性の管状器官中に開口している。膀胱頸の周りの筋肉は、内尿道括約筋と呼ばれている。内尿道括約筋は、通常、尿の漏れを防止するよう収縮する。膀胱は、尿で次第に満たされ、ついには、完全な容量に達し、その時点で、括約筋が弛緩する。これにより、膀胱頸が開き、それにより膀胱内に蓄えられた尿を尿道中に放出する。尿道は、尿を膀胱から体外に導く。尿道は、膀胱頸のところで始まり、陰茎の終わりのところで終端している。前立腺PGは、尿道と膀胱との結合部のところで尿道周りに位置している。図1Aでは、前立腺は、肥大状態(拡張状態)にある。これにより、前立腺は、尿道の一領域を圧迫している。これにより、尿道を通る尿の流れに対して望ましくない閉塞が生じる。
【0028】
図1Bは、BPHを患っている男性の下腹部の冠状断面図であり、本発明の器具の実施形態により治療されている肥大状態の前立腺を示す図である。肥大した前立腺は、圧縮性であり、尿道から圧力を除くよう引っ込み可能である。本発明の一実施形態によれば、保持器具が尿道にかかる圧力を除くために前立腺を貫通して配置されるのが良い。図1Bでは、リテーナ10が前立腺中に植え込まれる。リテーナ10は、遠位アンカ12及び近位アンカ14を有している。遠位アンカ12と近位アンカ14は、コネクタ16によって連結されている。尿道から遠位アンカ12までの半径方向距離は、尿道から近位アンカ14までの半径方向距離よりも長い。アンカ相互間の距離又は張力は、遠位アンカ12と近位アンカ14との間の解剖学的領域を圧縮し、変位させ又はその向きを変えるのに十分である。コネクタ16は、近位アンカと遠位アンカとの間の一定の力又は距離を維持するよう非弾性であっても良く、或いは、近位アンカと遠位アンカを互いに近くに引き寄せるよう弾性であっても良い。図1Bに示された実施形態では、遠位アンカ12は、前立腺の被膜CPの外面上に配置され、この遠位アンカは、被膜アンカとして働く。変形例として、遠位アンカ12は、前立腺PGの組織内に又は前立腺周りの構造、例えば恥骨の骨膜内、骨自体内、骨盤筋膜内、クーパー靱帯内、骨盤又は膀胱壁を横切る筋肉内に埋め込まれても良い。また、図1Bに示されている実施形態では、近位アンカ14は、尿道UTの内壁上に配置され、この近位アンカは、尿道アンカとして働く。変形例として、近位アンカ14は、前立腺PGの組織内又は上述したような周りの構造内に埋め込まれても良い。遠位アンカ12及び近位アンカ14は、所望の距離又は張力がコネクタ16内に生じるよう解剖学的構造内に埋め込まれる。これにより、遠位アンカ12及び近位アンカ14は、前立腺PGの一領域を引っ込め又は圧縮して図1Aに示されている閉塞を緩和する。図1Bでは、2つのリテーナ10が前立腺PB内に埋め込まれている。各リテーナ10は、前立腺PGの側葉(サイドローブ)内に埋め込まれている。本明細書において開示する種々の方法および器具は、前立腺の単一の葉若しくは多数の葉又は他の解剖学的構造を治療するために使用できる。同様に、本明細書において開示する2つ又は3つ以上の器具は、単一の解剖学的構造を治療するために使用できる。例えば、前立腺PGの側葉は、2つのリテーナ10を用いて治療できる。1つ又は2つ以上のリテーナは、前立腺の1つ又は2つ以上の側葉及び/又は中葉を標的にするよう尿道の軸線に対して特定の角度をなして配備されるのが良い。一実施形態では、リテーナ10は、前立腺の左側葉を標的とするよう尿道の軸線に対して1時の位置と3時の位置との間に配備される。別の実施形態では、リテーナ10は、前立腺の右側葉を標的とするよう尿道の軸線に対して9時の位置と11時の位置との間に配備される。別の実施形態では、リテーナ10は、前立腺の中葉を標的とするよう尿道の軸線に対して4時の位置と8時の位置との間に配備される。
【0029】
図1Cは、図1Bに示されたリテーナの一実施形態の側面図である。図1Cは、遠位アンカ12及び近位アンカ14を有するリテーナ10を示している。遠位アンカ12と近位アンカ14は、コネクタ16によって連結されている。図1Cに示された実施形態では、遠位アンカ12は、ルーメンを備えた管18を有する。管18を適当な弾性又は非弾性材料で作ることができ、かかる材料としては、金属、ポリマー等が挙げられる。かかる材料の代表的な例としては、ステンレス鋼304、ステンレス鋼316、ニッケル‐チタン合金、チタン、ピーバックス(Pebax )、ポリイミド、編組ポリイミド、ポリウレタン、ナイロン、PVC、ハイトレル(Hytrel)、HDPE、PEEK、PTFE、PFA、FEP、ePTFE、形状記憶ポリマー、例えばポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルポリエステル、ポリエーテルポリアミド又はオリゴe‐カプロラクトンジオールとオリゴp‐ジヘキサノンジオールポリマーの組み合わせ等が挙げられるが、これらには限定されない。コネクタ16は、管18に取り付けられている。一実施形態では、コネクタ16は、USPサイズ0ポリプロピレンモノフィラメント縫合糸である。図1Cに示されている実施形態では、コネクタ16の遠位領域は、コネクタ16の遠位先端部が管18のルーメンの一端部から現れ出るよう管18のルーメン内に配置されている。コネクタ16の遠位先端部は、拡大されており、その結果、コネクタ16の拡大遠位先端部の直径は、管18の内径よりも大きい。一実施形態では、コネクタ16の直径は、0.014インチ(0.356mm)であり、コネクタ16の拡大遠位先端部の直径は、0.025インチ(0.635mm)である。一実施形態では、コネクタ16の拡大遠位先端部は、コネクタ16の遠位先端部の制御された溶融によって作られる。これにより、コネクタ16は管18に取り付けられる。管18は、コネクタ16の遠位領域を管18に取り付けるための1つ又は2つ以上の追加の取り付け機構体を有するのが良い。一実施形態では、コネクタ16の遠位領域は、適当な生体適合性接着剤によって管18に取り付けられている。図1Cに示されている実施形態では、コネクタ16の遠位領域は、1つ又は2つ以上の内方に開口したフラップ20によって管18に取り付けられており、フラップ20は、管18の材料に切り込まれている。フラップ20は、コネクタ16を掴み、かくして、コネクタ16と管18の相対運動を阻止する。フラップ20のうちの1つとコネクタ16とのなす角度は、1°から90°までの範囲内にあるのが良い。管18は、長手方向スロット22を更に有している。長手方向スロット22は、管18の一端部からほぼ中間区分まで延びている。コネクタ16は、この長手方向スロット22から現れ出ている。かくして、コネクタ16を近位側の方向に引くと、遠位アンカ12は、遠位アンカ12を解剖学的構造に固着するのを助けるT字形の形状を取る。遠位アンカ12は、遠位アンカ12が解剖学的構造中に穿通するのを助けるよう鋭利なエッジを有するのが良い。好ましい実施形態では、遠位アンカ12は、50.8%ニッケル及び49.2%チタンで作られたニッケル‐チタン合金(例えば、ニチノール)管をレーザ切断して電解研磨することによって構成されている。好ましい実施形態では、管18の外径は、0.026インチ(0.660mm)であり、管18の内径は、0.015インチ(0.381mm)であり、管18の長さは、0.315インチ(8.001mm)であり、長手方向スロット22の長さは、0.170インチ(4.318mm)である。
【0030】
図1Cに示された実施形態では、近位アンカ14は、ルーメンを備えた管24を有する。管24を適当な弾性又は非弾性材料で作ることができ、かかる材料としては、金属、ポリマー等が挙げられるが、これらには限定されない。かかる材料の代表的な例としては、ステンレス鋼304、ステンレス鋼316、ニッケル‐チタン合金、チタン、ピーバックス(Pebax)、ポリイミド、編組ポリイミド、ポリウレタン、ナイロン、PVC、ハイトレル(Hytrel)、HDPE、PEEK、PTFE、PFA、FEP、ePTFE、例えばポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルポリエステル、ポリエーテルポリアミド又はオリゴe‐カプロラクトンジオールとオリゴp‐ジヘキサノンジオールポリマーの組み合わせ等が挙げられるが、これらには限定されない。外方に開いたフラップ26が管24の材料に切り込まれている。フラップ26は、図1Cに示されているように管18の外面上に折り返されている。これにより、折り返しフラップ26の無傷性エッジによって内張りされた開口部が管24のルーメンに作られる。コネクタ16は、管24のルーメンのこの開口部を通って管24に入る。近位アンカ14は、コネクタ16を管24に取り付けるための取り付け機構体を更に有する。コネクタ16を適当な弾性又は非弾性材料で作ることができ、かかる材料としては、金属、ポリマー等が挙げられるが、これらには限定されない。近位アンカ及び遠位アンカに関する他の概念、例えばコネクタに圧力嵌めされるV字形近位アンカは、本発明の範囲に含まれる。かかる材料の代表的な例としては、ステンレス鋼304、ステンレス鋼316、ニッケル‐チタン合金、縫合糸材料、チタン、シリコーン、ナイロン、ポリアミド、ポリグリコール酸、ポリプロピレン、ピーバックス、PTFE、ePTFE、絹、ガット、又は任意他の編組又はモノフィラメント材料が挙げられるが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、管24は、0.236インチ(5.994mm)の長さ、0.027インチ(0.686mm)の外径及び0.020インチ(0.508mm)の内径を有する。管24のルーメンの開口部の長さは、約0.055インチ(1.397mm)である。好ましい実施形態では、取り付け機構体は、コネクタ16を管24に摩擦の作用で取り付けるロックピンを含む。ロックピン及び管24は、ステンレス鋼316Lで作られている。好ましい実施形態では、管24は、レーザカットされ又はスタンピングされ、次に電解研磨される。ロックピンは、EDM(放電加工)を用いて構成され、次に不動態化される。
【0031】
図1D図1Jは、図1Cに示されているリテーナによって前立腺を治療する方法の種々のステップを示している。リテーナ又は圧縮器具を他の解剖学的構造内に配備するために同様な方法も又利用できる。図1Dに示されているステップでは、シース28、例えば標準型切除鏡(レゼクトスコープ)シースを尿道中に(経尿道的に)導入する。シース28を尿道UT内で前進させてシース28の遠位端部が肥大状態の前立腺PGによって閉塞されている尿道UTの領域の近くに位置決めする。遠位アンカ送達器具30をシース28中に導入する。遠位アンカ送達器具30をシース28の遠位端部が閉塞状態の尿道UTの領域の近くに位置決めされた後にシース28内に配置しても良く、或いは遠位アンカ送達器具30をシース28内に再び装填し、その後シース28を位置決めしても良い。遠位アンカ送達器具30をシース28中で前進させ、遠位アンカ送達器具30の遠位端部がシース28の遠位端部から現れ出るようにする。遠位アンカ送達器具30を遠位アンカ送達器具30の作業チャネル開口部が前立腺PGの側葉の方へ向くよう差し向ける。
【0032】
図1Eに示されているステップでは、針32を遠位アンカ送達器具30中に導入する。針32を遠位アンカ送達器具30がシース28を通って送り進められた後に遠位アンカ送達器具内に配置しても良く、或いは、針32を遠位アンカ送達器具30内にあらかじめ装填しても良い。一実施形態では、針32は、20ゲージ針である。針32を遠位アンカ送達器具30を通って前進させて針32が作業チャネル開口部を通って現れるようにする。針32を更に前進させてこの針が前立腺PGの組織を穿通し、針32の遠位端部が前立腺の被膜CPから現れ出るようにする。
【0033】
図1Fに示されているステップでは、コネクタ16に連結されている遠位アンカ12を針32中で前進させる。遠位アンカ12は、針32内にあらかじめ装填されても良く、或いは、針32が遠位アンカ送達器具30を通って送り進められた後に針32内に装填しても良い。遠位アンカ12を針32中で前進させて遠位アンカ12が針32の遠位端部から現れ出るようにする。変形実施形態では、針を引っ込めている間、遠位アンカをプッシャ又はコネクタによって定位置に保持しても良く、かくして、遠位アンカが露出する。
【0034】
図1Gに示されているステップでは、針32を近位側の方向に引くことによって針32を遠位アンカ送達器具30から抜去する。
【0035】
図1Hに示されたステップでは、遠位アンカ送達器具30を近位側の方向に引くことによって遠位アンカ送達器具30をシース28から抜去する。また、コネクタ16を引いて遠位アンカ12をコネクタ16に対して垂直に差し向ける。
【0036】
図1Iに示されているステップでは、コネクタ16を近位アンカ送達器具34上に配置された近位アンカ14に通す。近位アンカ送達器具34をシース28中で前進させて近位アンカ送達器具34の遠位端部がシース28の遠位端部から現れ出るようにする。所望の張力をコネクタ16に加えて遠位アンカ12が所望の力でコネクタ16によって引かれるようにする。変形例として、近位アンカを内視鏡により又はX線透視下で視覚化又は映像化しても良く、そしてコネクタに沿って前進させ、ついには、組織の所望引っ込みが達成されるようにする。他の実施形態では、近位アンカは、幾つかの場合高速でコネクタ上に押されてコネクタを固定的に係合するV字形又は洗濯ばさみ形の部品である。
【0037】
図1Jに示されているステップでは、コネクタ16を近位アンカ14に取り付ける。近位アンカ14も又、近位アンカ送達器具34から解除し、かくして近位アンカ14を解剖学的構造内に配備する。近位アンカ送達器具34及びシース28を解剖学的構造から抜去する。遠位アンカ12、近位アンカ14及びコネクタ16を有するリテーナ10は、遠位アンカ12と近位アンカ14との間に位置する前立腺PGの一領域をレトラクトし、持ち上げ、支持し、再位置決めし、又は圧縮するために用いられる。この方法は、前立腺PGの多数の領域又は葉をレトラクトし、持ち上げ、支持し、再位置決めし、又は圧縮するために利用できる。図1D図1Jに示されている方法では、遠位アンカ12を前立腺の被膜CPの外面上に配備する。かくして、遠位アンカ12は、被膜アンカとして働く。変形例として、遠位アンカ12を上述したように前立腺PGの組織内に又は前立腺を越えて配備しても良い。同様に、図1D図1Jに示されている方法では、近位アンカ14を尿道UTの内壁上に配備し、この近位アンカは、尿道アンカとして働く。変形例として、近位アンカ14を前立腺PGの組織内に配備しても良い。
【0038】
図1Cに示されている組織近似アンカは、送達通路を用いて医師の診療所環境(病院環境の必要とは対照的に)内で使用できるよう設計されている。送達ツールは、好ましい一実施形態では、19F又は20Fのシースを通って用いられる。加うるに、組織近似アンカの材料選択及び構成により、依然として、必要ならば次のTURP手技を前立腺に対して実施することができる。この縫合糸を利用した組織近似技術では、針運搬機構体がアンカ組立体を植え込むために用いられる。
【0039】
次に図2図4を参照すると、送達器具100の一実施形態が示されている。この器具は、インターベンション部位への接近を得ると共に1つ又は2つ以上のアンカ組立体又はインプラントを組み立ててこれらを患者の体内に植え込むことができる構造体を有するよう構成されている。送達器具100は、単一のアンカ組立体を組み立てて植え込み、単一本体型のアンカ若しくは多数のアンカ又は別の組立体を植え込むよう構成されるのが良い。この器具は更に、19F又は20Fシースと共に用いるのに適合性があるよう想定されている。この器具は、従来型遠隔観察器械(例えば、内視鏡)を受け入れるよう構成された構造体を更に有し、従って、インターベンション部位のところで実施されているステップを観察することができるようになっている。
【0040】
本発明のこの器具100の使用に先立って、患者は代表的には、治療手順として5日間の抗生物質の投与を受ける。インターベンション手技のために局所麻酔を採用することができる。経口鎮痛薬と鎮静又は睡眠成分の組み合わせを患者によって摂取されるのが良い。さらに、局所麻酔、例えばリドカイン液又はゲルを膀胱及び尿道に塗布するのが良い。
【0041】
アンカ送達器具100は、細長い部材104に連結されたハンドル組立体102を有する。細長い部材104は、アンカ組立体を構成するために用いられるコンポーネントを収容するのが良く、この細長い部材は、患者が全身麻酔を受けるのではなく、目が覚めている手技中、患者の耐容性(許容度)が得られるよう19F又は20F膀胱鏡検査用シース中に嵌め込まれるよう寸法決めされている。この組立体は、解剖学的構造内におけるその位置決め状態を維持する構造体を含むようになっている。
【0042】
アンカ送達器具100は、多数のサブアセンブリを更に有する。ハンドル組立体102の一部をなす嵌合ハンドル部分を含むハンドルケース組立体106が提供される。ハンドル組立体102は、オペレータの手の中に快適に収まるように寸法決めされると共に形作られており、かかるハンドル組立体を従来型材料で作ることができる。アンカ送達器具の内部機構体への接近を可能にするために窓がハンドルケース組立体106に形成されるのが良く、その結果、インターベンション手技をあきらめることが必要になった場合、手作業のオーバーライドがオペレータに利用できるようになっている。
【0043】
一実施形態では、送達器具100は、インターベンション部位でのアンカ組立体の送達を容易にする種々の起動を可能な部材を備えている。針アクチュエータ108が設けられており、この針アクチュエータは、以下に詳細に説明するように、インターベンション部位までの針組立体の前進を行わせる。一方式では、針組立体は、湾曲した軌道を通って動き、そしてハンドル要素と整列状態にある、特定の実施形態では、グリップと整列状態にある針ハウジングから出る。種々の他の実施形態では、針ハウジングは、針が垂直であるハンドルグリップに対して2時の位置か10時の位置かのいずれかでハウジングから出るようになっている。針レトラクトレバー組立体110も又設けられ、この針レトラクトレバー組立体は、作動時、針組立体を引っ込めてアンカ組立体を露出させる。
【0044】
前立腺を治療する際の特定の1つの非限定的な使用にあたり、送達器具の細長い部材104を患者の膀胱(UB)に通じる尿道(UT)内に配置する。一方式では、配備器具を尿道内にあらかじめ配置された導入器シース(図示せず)内に配置するのが良く、或いは、変形例として、送達器具を尿道内に直接挿入しても良い。導入器シースを用いる場合、シースをシャフトマウント組立体(以下において説明する)に取り付けるのが良い。患者を結石摘出術で取られるべき姿勢にする。細長い部材104を患者の体内で前進させ、ついには、その先導端部が前立腺(PG)に達するようにする。特定の方式では、送達器具が膀胱を通って延びてこの送達器具をそれに応じて回しながら治療されるべき前立腺の側部(又は葉)を選択する。アデノーマ(腺腫)を含む前立腺の内側は、スポンジ状であって圧縮性であり、前立腺の被膜を含む外面は、堅い。医師が内視鏡を用いて観察することによって、医師は、尿道を前立腺内に押し込むのが良く、それによりアデノーマを圧縮して尿道を通る所望の開口部を作る。これを達成するため、医師は、ツールを回転させる。次に、医師は、ツールを患者の中線に対して恥骨結合PS回りに外側に回動させる。
【0045】
送達器具は、この段階では、準備状態に構成される。針アクチュエータ108及び針レトラクトレバー110は、不起動位置にある。
【0046】
針アクチュエータ108を押すと、針230(図4参照)が細長い部材104の内部から送り進められる。針は、これを突き出しているときにこの針が湾曲してハンドルに向かって戻るよう構成されるのが良い。前立腺インターベンションにおける使用にあたり、針を前立腺(PG)を通って且つこれを越えて送り進める。ばねによる配備は、針が前立腺の丈夫な外側の被膜を「テント張り(tenting )」することがなく又は被膜を穿通し損なうことなく、前立腺の被膜を速やかに通るようにするのを助ける。一方式では、針は、ニチノールチューブで作られ、この針をパリレンNで被覆するのが良い。かかる被膜は、針穿通の有効性を損なう場合のある摩擦又は環境による消失(例えば、湿り気)を補償するのを助ける。
【0047】
或る特定のアンカ送出器具は、針又は穿通部材を駆動し、アンカを配備し、コネクタを切断し、又は器具送達に関連した他の機能を実行するばねを機構体の一部として有する。アンカ送達器具は、ユーザが送達器具を包装から取り出したときに潜在的エネルギーがあらかじめ加えられるばねを有するのが良い。あらかじめエネルギーが加えられたばねは、負荷状態(エネルギーが加えられた状態)が引張状態であれ圧縮状態であれいずれにせよ、負荷状態で貯蔵された場合に経時的に劣化を生じやすいと言える。ばねの劣化は、器具の保存寿命に悪影響を及ぼす場合がある。また、ばねの劣化は、ばね力が経時的に変わる場合があるので送達器具の首尾一貫性に悪影響を及ぼす場合がある。さらに、負荷状態のコンポーネントは、一定の応力に起因してクリープを起こす場合がある。
【0048】
図5は、送達器具が貯蔵状態にある間、ばねにエネルギーをあらかじめ加えないハンドル組立体の一実施形態を示している。ハンドル組立体600は、2つのばね、即ち、針駆動ばね610及びリセットばね620を含む。はり駆動ばね610もリセットばね620もこれらの貯蔵状態では潜在的エネルギーを蓄えることがない。すなわち、ばね及びコンポーネントは、送達器具の輸送又は貯蔵中、ばねの加重に起因する応力を受けることはない。
【0049】
ユーザは、レバー又はトリガであるのが良い第1のアクチュエータ650を用いて針駆動ばね610にエネルギーを加える。この実施形態では、ユーザは、トリガ(引き金)のように第1のアクチュエータ650を引き絞るのが良い。第1のアクチュエータ650は、ピボット点651のところで回動し、それにより針駆動トラベラ655は、針駆動ばね610とリセットばね620の両方を圧縮する。針駆動ばね610に針(図示せず)を駆動するのに十分なエネルギーを標的組織を介して加えると、針駆動ばね610は、針駆動トラベラ655の機械的作用によって解除される。例えば、傾斜路656が針駆動組立体660に設けられているラッチ662から離れることができ、それにより針駆動ばね610は、その蓄えられたエネルギーを放出して針を駆動する。他のラッチ止め機構体も又、本発明の範囲に含まれる。
【0050】
第1のアクチュエータ650がユーザによって起動されると、加重される戻しばね620は、針駆動組立体660をその原位置に押し戻すのに十分なエネルギーを有する。針駆動組立体660をその原位置に戻すには、ラッチ662をそのラッチ止め位置に押し戻す。さらに、針駆動組立体660をその原位置に戻すことは又、針を引っ込めるよう働く。図5は、針駆動ばね610及び戻しばね620を圧縮によって加重されたものとして示しているが、1本又は両方を張力によって加重しても良く、システムは、同じ結果を達成することができる。この実施形態は、(1)送達器具のばね内に蓄えられるエネルギーを回避し、(2)針駆動機構体をその初期位置に戻す(針を引っ込めることを含む)のためのシステムを提供する。
【0051】
別の実施形態では、針駆動組立体は、その初期状態に戻され、針は、戻しばねの作用によって引っ込められる。図6に概略的に示されているように配備ばね710は、ユーザが第1のアクチュエータ(図示せず)、例えばレバー又はトリガを起動することによって加重される。配備爪715が針駆動体760の動作を制限し、ついには、第1のアクチュエータは、これが配備爪715から離れるその動程中に達するようになる。配備爪715を種々の機械的方法によって離脱させることができ、かかる機械的方法としては、上述したラッチ止め/ラッチ外し機構体が挙げられる。配備爪715を離脱させると、針駆動組立体760は、針(図示せず)を駆動し、戻しばね720を加重する。さらに、針駆動組立体760が針を駆動すると、戻し爪725が針駆動組立体760の近位区分に係合し、配備ばね710をオプションとして針駆動組立体760から結合解除することができる。
【0052】
戻しばね720を加重するため、配備ばね710は、針を所望の力で駆動すると共に戻しばね720を加重するのに足る荷重を持たなければならない。有利には、針を引っ込めるために戻しばね720により必要とされる荷重は、駆動荷重よりも著しく小さいのが良い。というのは、針は、引っ込められているからである。すなわち、駆動荷重は、組織を当初穿通し、送達システムの遠位区分内の摩擦力に打ち勝つのに足るほど大きくなければならないと言える。しかしながら、戻しばね720は、組織を穿通する荷重を必要とせず、針の戻し時の摩擦力は、初期の駆動時の場合よりも小さい。
【0053】
戻し爪725は、ユーザによって又はオプションとして第1のアクチュエータにより促される機械的作用によって解除され、それにより戻しばね720の荷重を用いて針を引っ込める。幾つかの実施形態では、ユーザは、戻し爪725を解除することが望ましい場合があり、他の実施形態では、戻し爪725は、解除されて第1のアクチュエータの使用とは別個独立のステップでユーザに直接係合する。戻しばね720は、配備爪715を越えて針駆動組立体を戻すことができる。かくして、システムは、配備ばね710を第1のアクチュエータによって再び加重することができるその初期状態に戻される。
【0054】
アンカ送達システムは、アンカを組織内に配備するために針又は他の穿通部材を用いる。幾つかの配備例では、針は、骨組織、石灰化部又は他の物体若しくは表面に当たる場合があり、それにより針又は針先端部の損傷が生じる。多数回の針前進により多数個のアンカ組立体を配備するよう構成されたアンカ送達器具の場合、損傷した針により、配備の際に合併症が生じる場合がある。
【0055】
或る特定の実施形態では、多数回使用針の機械的健全性は、送達器具の遠位区分内に設けられた機構体によって評価される。図7Aは、針管235及び針管235内の針230の湾曲断面を示している。この実施形態では、針管235は、針管235の曲率の外側部分231に設けられた窓236を有している。針230は、針管235のその区分が針230を曲線周りに差し向けているときに曲率の外側部分231に係合するので、針230に生じる欠陥、例えば先端部が欠け、ねじれ、又は曲げられることにより、針230は、窓236に部分的に入って窓236の側部に係合することになる。図7Bは、曲率の外側部分231の内部に位置するリップ237が欠陥、例えば欠けた、ねじれた、又は曲げられた先端部を備える針230の端部に同様に係合することができる。かくして、欠けた、ねじれた、又は曲げられた先端部を備える針230は、前進するのが止められることになり、針の動きの停止は、ユーザに針に欠陥があることを警告することになる。
【0056】
或る特定の実施形態では、針の健全性を膀胱鏡により視覚的に評価することができる。配備後、針は、これが膀胱鏡の視野内に位置し、針の健全性をユーザによって直接観察することができるよう部分的に引っ込められるのが良い。
【0057】
或る特定の実施形態では、送達器具の細長い部材104の少なくとも一部を2部品クラムシェル形設計物を射出成形することによって形成されるのが良い。2部品を圧力嵌め、スナップ嵌め、接着剤、溶剤、複合成形、収縮管又は他の均等な手法によって互いに接合するのが良い。図8は、管及びチャネルから組み立てられた細長い部材104の断面と2部品(2材質)射出成形された細長い部材104′との比較を示している。両方の断面は、膀胱鏡ルーメン(104a,104a′)、針ルーメン(104b,104b′)、及びアンカルーメン(104c,104c′)を有する。クラムシェル形設計物を細長い部材104′の長さの何割か又は全てに沿って組み込むのが良い。射出成形断面材を接合を必要としない単一の部品で作ることができる。ルーメンは、金型内で交互に位置するシャットオフを備えた状態で作られるのが良く、或いは、変形例として、ルーメンは、閉鎖されたルーメンではない。これとは異なり、細長い部材104のルーメンは、完全な周囲ルーメンを用いないで、ルーメン内を通る部材に対して十分な拘束をもたらす。かかる実施形態は、複雑さの少ない金型の使用を可能にする。
【0058】
他の実施形態では、2部品設計例の部品のうちの1つ又は2つ以上がスタンピングされる。スタンピングされた部品を圧力嵌め、スナップ嵌め、接着剤、溶剤、被覆成形、収縮管、又は他の均等な手法によって互いに接合するのが良い。変形例として、細長い部材104全体は、閉じられてはいないが、これとは異なり、ルーメン内を通る部材に対してこれら部材をルーメン内に位置したままにするのに足るほどの拘束しかもたらさないルーメンを備え、単一のスタンピングされた部品であっても良いが、閉じられていないルーメンを用いることにより、複雑さの少ないスタンピングツールの使用が可能である。
【0059】
或る特定の実施形態では、細長い部材の3つのルーメンのうちの少なくとも1つの少なくとも一部をなくしても良い。一実施形態では、短い管セグメントが管セグメント全体に取って代わることができる。例えば、針管に代えて近位ハンドル内に且つ遠位端部のところに短い管セグメントを用いても良く、その結果、針は、その端部の近くで拘束されるが、針の中間区分の大部分についてルーメンを必要とすることはない。短い管に加えて又はこれに代えてクリップ又はフランジを用いることができる。変形例として、膀胱鏡管を不要にしても良く、これに代えて管又はクリップ若しくはフランジを用いることができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、細長い部材は、取り外し可能且つ再使用可能であり、これに対し、近位ハンドルは、1回使用である。近位ハンドルは、インプラントを収納することができると共に針を駆動し、アンカを送達し、コネクタを切断するのに必要な荷重を提供する。また、シャフトは、多数のアンカコンポーネントを収容することができると共に針を収容することができる。
【0061】
アンカ送達システムの使用方法は、膀胱鏡、内視鏡又は同様な視覚化又は映像化器械の使用を含むのが良い。幾つかの実施形態では、近位ハンドルは、本明細書において開示する治療の実施に先立って、膀胱鏡をハンドルにロックする可動部品のないスコープロックを有する。可動部品がないことにより、コストが減少すると共に信頼性及び使用のしやすさが向上する。
【0062】
図9は、或る特定の実施形態としてのスコープロック800を示している。スコープロックは、約3時の位置及び約9時の位置に1対の停止部(810,812)を有している。スコープは、これら2つの停止部810,812がスコープロック円の12時の側に位置した状態でライトポスト(light post)と一緒に挿入され、その結果、スコープを停止部810,812に対して下方にねじることができず、ライトポストは、6時の位置寄りに位置するようになる。今や、スコープを12時の位置に向かってしかねじることができないようになる。スコープロックは、1対の可撓性傾斜路特徴部(820,822)を更に有する。膀胱鏡のライトポストは、これら傾斜路(820,822)のうちの1本又は他方を回転しながらのぼり、そして12時の位置にスナップ嵌め状態で位置する。スナップ嵌めは、ユーザがカメラスコープに対して回転させることができるが、傾斜路の停止部分に過剰な力を加えることができないほど強固である。
【0063】
幾つかの実施形態では、可動レンズ又は電子イメージセンサを硬性鏡(テレスコープ)が挿入される使い捨て器具のための内視鏡的硬性鏡中に組み込むのが良い。変形例として、2つ以上のレンズを硬性鏡上に位置決めしても良く、そして硬性鏡から種々のビューを提供するよう電子的に選択しても良い。可動レンズ又は2つ以上のレンズが有利には互いに異なる方向で、互いに異なる倍率でビューを提供することができ又は互いに異なるサイズの視野を提供することができる。かかるレンズ又はイメージセンサを種々の仕方で標準型硬性鏡に一体化することができる。例えば、硬性鏡は、標準型硬性鏡であって良く、可動レンズを送達器具上に設けて硬性鏡と送達器具を互いに嵌合させたときに、送達器具上のレンズを調節することにより種々の画像が硬性鏡に提供されるようになる。変形例として、送達器具上のレンズは、互いに異なるビューを提供するよう交換可能であって良い。別の実施例では、位置調節可能なイメージセンサを画像の捕捉のために送達器具と一体に用いることができる。最後に、多くのビューを硬性鏡に提供するためにプリズムを用いることができ、電子イメージ処理法を用いると、ユーザに立体的イメージング、複合イメージング、又は選択的部分イメージングを提供することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、ワイヤの端部のところに配置された針先端部を介して第1のアンカを送達する。針先端部を圧力嵌め、スナップ嵌め、接着剤、溶剤、被覆成形、収縮管又は他の均等な手法によりワイヤに取り付けることができる。コネクタは、アンカ送達ワイヤの側部に沿って延びるのが良い。変形例として、針管の大部分に沿って移動可能に針ではなくワイヤを用いることにより、針組立体のコストが減少する。針先端部だけが中空である。
【0065】
幾つかの実施形態では、針組立体にはテープ状又はリボン状針又はワイヤが用いられる。有利には、リボン状針は、一方向において別の方向の場合よりもきつい半径に合わせて優先的に曲がる。かくして、針は、組織を穿通するための十分な長柱強度を有する一方で、更に、可撓性が望まれる方向に十分な可撓性を有するのが良い。
【0066】
図10及び図11に最も良く示されているように、カッタ組立体514の実施形態が細長いカッタ管562を含む。カッタ管562の遠位端部568は、ブレード569を備えており、従って、カッタ組立体514をいったん引っ込めると、ブレードは、所望に応じてアンカ組立体のコネクタを切断することができるようになっている。特定の一実施形態では、カッタ514は、研削17‐4PHステンレス鋼ブランクで形成されるのが良い。コネクタの綺麗な切断を容易にすると共にアンカ組立体の近位コンポーネントをコネクタに組み付けるのを助けるようカッタ組立体中に組み込まれる種々の構造体が想定される。例えば、図11に最も良く示されているように、カッタブレード569は、公称0.015インチ(0.381mm)直径のコネクタを切断形成するよう約0.0035+0.0010インチ(0.089+0.025mm)だけ近位アンカの底側部からずらされるようになった圧印加工下側部を有する。このように、近位アンカは、縫合糸又はコネクタタグを変形させず又は圧縮させないでカッタからでることができ、コネクタとアンカの接続部の強度が維持される。変形例として、縫合糸を切断する特徴部は、鋭利ではない特徴部であるのが良い。したがって、ブレードによる切断ではなく、この特徴部は、剪断作用により縫合糸を切断することができ、この場合、2つの鋭利ではない要素が互いを越えて滑り、そして縫合糸に剪断作用を及ぼす。
【0067】
図12図14に示されているように、カッタ514は、スタンピング及び曲げによって形成できる全体として長方形の細長い単一の本体を備えるのが良い。本体の内部は、近位アンカコンポーネント550を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られている。カッタの近位端部分564は、耐座屈性タブ551及びカッタブロック(以下において説明する)にスナップ装着されるようになった延長部553を更に有するのが良い。シャフト組立体内におけるカッタ514の整列を容易にするランスアウト(切り欠き)構造体555も又、カッタ本体に沿って互いに間隔を置いて配置されることが想定されている。
【0068】
コネクタが動かなくなることがないようにするために、カッタ514に形成された針窓557を備えた壁がコネクタを縫合糸捕捉領域559内に適性に案内するのを助けるよう輪郭付けられているのが良い。図15に最も良く示されているように、針窓557の近位部分は、コネクタを捕捉領域559内に差し向けるための漸次勾配を備えている。関連方式(図16)では、コネクタ352を近位アンカコンポーネント555との係合のために適性に位置決めするのを更に助けるバンプ561がコネクタ案内構造体上に形成されるのが良い。
【0069】
さらに、図17及び図18に示されているように、カッタ214は、全体として管状のカッタ214の内部を延びる斜めの制限突出部563を更に有するのが良い。図18に最も良く示されているように、突出部563は、カッタ214内での近位アンカコンポーネント555の適正な位置決めを維持するのを助ける。
【0070】
図19及び図20に示されている別の観点では、送達器具は、カバー571の下を且つカッタ514の上を滑るよう構成された縫合糸整列スライダ570を有するのが良い。カバー571は、近位アンカ555の運動を制御すると共に案内するよう寸法決めされると共に形作られたフィンガ形突出部573を有している。整列スライダ570は、コネクタ352をカッタ514の中心線に割送りする。また、整列スライダは、近位アンカコンポーネント555内の割送りを可能にするようコネクタ352を近位側に引くよう動作し、かくして、コネクタ捕捉性をアンカコンポーネント555によって高める。他の実施形態では、針ハウジングの遠位端部は、それ自体、代替的に又は追加的に、器具使用中及び特に張力がコネクタに加えられているとき、コネクタを適性に位置合わせするためのスロット又はノッチを有するのが良い。
【0071】
コネクタ352への近位アンカ555の取り付けを達成するため、プッシャ組立体575がカバー571(図21図23参照)内を延びるよう構成されている。プッシャ組立体575は、器具のハンドル(以下に説明するようにプッシャブロックに連結されている)まで延びる近位部分577及び近位部分577に取り付けられた遠位部分579を含むのが良い。遠位部分579は、近位アンカ555の長さを受け入れるよう寸法決めされた延長部581を更に有するのが良い。延長部581の厚さは、カッタと近位アンカ555の底部分との間に0.004インチ(0.102mm)の隙間を生じさせるよう選択されており、コネクタタグがカッタによるその切断後に残るようになっている。カバー571は、アンカ停止部583を更に有するのが良く、このアンカ停止部は、カバー571の遠位端部のところに構成されている。アンカ停止部583は、近位アンカ555が近位アンカ555とのその係合後にカバー571内に捕捉状態になるのを阻止するような寸法形状のものである。プッシャ組立体575は、プッシャブロック604のプッシャへのその連結により、遠位側に送り進められ、その結果、近位アンカコンポーネント555がコネクタ352に係合する(図23も又参照されたい)。
【0072】
次に、プッシャブロック604は、カッタ爪608の第1の端部に接触し、それによりその第2の端部が回転してカッタブロック565との係合状態から外れる。注目されるべきこととして、最初に近位アンカコンポーネント555を前進させ、次にコネクタ352を所定の長さに切断するタイミングは、ばね606により加えられる力、プッシャブロック604の移動距離、及び/又はカッタ罪608の第1の端部の存在場所によって制御可能である。カッタ214の近位端部は、カッタブロック565に取り付けられている。カッタブロック565が近位側に動くと、カッタ214が引っ込められる。
【0073】
したがって、プッシャ組立体を解除することにより、アンカ組立体の第2のコンポーネント555が送り進められてアンカ組立体のコネクタとロック係合状態になる(図23参照)。かかる作用により、プッシャ575は、コネクタがツールによって十分な大きさの力で保持されている間、アンカコンポーネント555をコネクタ(例えば、縫合糸)上に前進させ、そしてアンカ555は、アンカ555を確実な保持力で着座させるのに十分な速度及び力で送り進められる。
【0074】
別の実施形態では、第2のアンカコンポーネント14を押すプッシャ組立体575は、第2のアンカ14をコネクタ352に係合させて更にコネクタ352を切断する単一の組立体を用いることによって不要になる。図24Aは、コネクタ352に張力を加えた後に第2のアンカ14に係合するよう定位置にある第2のアンカ14及びカッタブロック565を示している。図24Bは、カッタブロック565がアクチュエータによって遠位側に押されている状態を示している(アクチュエータは、本明細書において説明するばね又はガス若しくは他の加重方法によって供給される荷重を働かせる)。第2のアンカコンポーネント14を遠位側への駆動ステップ中、コネクタ352に係合させる。図24Cは、カッタブロック565が本明細書において説明した戻し又は引っ込み機構体のうちの任意のものによって遠位側に引かれている状態を示している。第2のアンカコンポーネント14は、カッタブロック565の運動に対して固定状態のままである。というのは、第2のアンカコンポーネント14は、コネクタ352に係合するからである。図24Dは、コネクタ352がカッタブロック565の鋭利なエッジによって切断された状態を示している。図24Eは、第2のアンカコンポーネント14がコネクタ352に取り付けられ、コネクタ352が切断された状態を示している。
【0075】
変形実施形態では、第2のアンカを例えば比較的切れ味の鈍いエッジを備えたカッタの引っ込み中、張力により定位置に保持することができる。カッタは、コネクタが切断される前に、第2のアンカをコネクタ上に着座させるのを助ける。
【0076】
幾つかの実施形態では、1つ又は2つ以上のばねに代えてガス駆動式機構体が用いられる。この機構体は、ガスキャニスタ、例えばCO2キャニスタによって駆動されても良く或いは、圧縮ガスシステム、例えば圧縮空気ライン若しくは圧縮ガスタンク又は吸引力又は流体ラインによって駆動されても良い。針配備ステップ、コネクタ引張ステップ、第2のアンカコンポーネントの取り付けステップ及びコネクタの切断ステップのうちの1つ又は2つ以上は、ガス駆動式機構体の動力によって実施できる。ガス駆動式システムは、代表的にはガス動力式装置と関連したブリード弁、調整器、ピストン、及び他の流体制御装置を含むのが良い。
【0077】
或る特定の実施形態では、針管(又は本明細書において開示する種々の細長い部材の実施形態のその均等構造体)と針との間に働く摩擦力よりも針を駆動するエネルギーとしての荷重の方が大きくなければならない。特に針組立体の遠位区分の曲率のところで針の受ける摩擦を減少させることにより、針を前進させるのに必要な荷重を減少させることができる。或る特定の実施形態では、針がその遠位端部のところに湾曲部を備えているが、針組立体の遠位区分の曲率半径は、針の湾曲遠位区分の曲率半径よりも小さい。針の曲率は、前立腺被膜から前立腺尿道までの全体として直交した起動を提供するようきつさが小さい。針の遠位端部の曲線部が大きいと、遠位アンカを前立腺被膜上に着座させるのに困難が生じる場合がある。さらに、針組立体は、送達システムの低プロフィールに起因して、針の向きを比較的僅かな広さのスペース内で変えなければならない。かくして、その半径は、できるだけ小さいことが必要である。これら対立する要件のバランスを取る一方で半径を厳密に整列させることにより、針の受ける摩擦を減少させることができる。幾つかの実施形態では、針の半径は、約0.957インチ(24.308mm)であり、針管の内側半径及び外側半径は、それぞれ、0.805インチ(20.447mm)及び0.802インチ(20.371mm)である。
【0078】
図25A図25Hは、カートリッジ1200を受け入れるよう構成されたアンカ送達システムハンドル1000の種々の図である。各カートリッジ1200は、少なくとも1つのアンカ組立体を収容している。アンカ送達システムハンドル1000は、アンカ組立体を送達して負荷状態に戻るよう構成され、従って、使用済みのカートリッジを新品のカートリッジに交換することができ、ユーザが機械的エネルギーを送達器具内のばねに加える必要なく、配備プロセスを繰り返し実施することができる。
【0079】
好ましくは、送達器具は、ばねのうちの幾つか又は全てが機械的エネルギーを蓄えていない状態で貯蔵されると共に輸送される。取り外し可能なインサートがアンカ送達システムハンドル1000のカートリッジチャンバ1010内に設けられるのが良い。アンカ送達システムハンドル1000を収容したパッケージを開いた後、ユーザは、インサートを取り出さなければならず、その後、アンカ送達システムハンドル1000内には新たなカートリッジ1200を挿入するためのスペースが生じる。取り外し可能なインサート及びアンカ送達システムハンドル1000は、取り外し可能なインサートの取り出しによりシステム内のばね1050又はばね1050,1055には初期エネルギーとしての荷重が加えられると共に新たなカートリッジ1200を受け入れるようカートリッジチャンバ1010内の発射そり1060がカートリッジチャンバ1010内に位置決めされるようになる。例えば、ユーザは、取り外し可能なインサートに設けられたハンドルを近位側の方向に引くのが良く、ついには、インサートは、ユーザがインサートを取り出すことができるカートリッジチャンバ1010内の箇所に到達するようになる。取り外し可能なインサートをこれがアンカ送達システムハンドル1000内の突出部、切れ目又は他の構造的特徴部を超えたときに引き出すことができる。
【0080】
発射そり1060は、カートリッジ1200に設けられたプッシャタブ1012,1014と整列するスロットを有する。かかるスロットとプッシャタブは、カートリッジ1200内の針を発射するよう発射そり1060を介してばね1050からのエネルギーの伝達を可能にする相補形機構体である。カートリッジ1200は、スロットとプッシャタブを整列させた後にカートリッジチャンバ1010内の定位置にスナップ動作で嵌まり、又はチャンバドア又はラッチにより定位置にロックされる。
【0081】
針をカートリッジ1200の遠位端部から発射するため、ユーザが安全装置1085を握る。安全装置1085を握ることにより、カムホイール1100が回転することができる。カムホイール1100は、駆動歯車1150及びクラッチ1130を介してレバー1080に作動的に連結されている。レバー1080に設けられた歯が駆動歯車1150の歯と噛み合う。駆動歯車1150に設けられた特徴部がクラッチ1130に設けられた特徴部と噛み合う。クラッチ1030は、スプラインによりカムホイール1100に結合されるので、加えられる力が大きければ大きいほど、把持力がそれだけ一層大きくなるであろう。レバー1080をいったん完全に引き絞ると、レバーは、カムホイール1100を動かすことなく、その原位置に完全に引っ込むことができる。レバー1080がユーザによってその全移動ストロークまで内方に引き絞られると、カムホイール1100は、時計回りに180°回転する。カムホイール1100の回転により、最終的には、発射そり1060が解除され、その結果、ばね1050に蓄えられているエネルギーにより発射そり1060が迅速に前方に動いて針をカートリッジ1200の遠位端部から押し出して組織に打ち込む。図25Dは、針230内の前方位置にある発射そり1060がカートリッジ1200の遠位端部から送り進められた状態を示している。
【0082】
図25E及び図25Fに示されているように、ユーザが引き続きレバー1080を引き絞ると、カムホイール1100は引き続き回転し、そして発射そり1060を引き戻す。コネクタそり1020は、発射そり1060を近位側に引いているときに前方位置に位置したままであり、それにより遠位アンカが針230の端部から突き出る。レバー1080がユーザによって引き絞られているときのレバー1080の残りの移動により、コネクタそり1020は、回転カムホイール1100によって近位側に引かれ、それにより張力がコネクタに加えられる。今や、レバー1080を解除してこれをその初期位置に戻すことができ、他方、アンカ送達システムハンドル1010内のコンポーネントは、定位置に位置したままである。
【0083】
図25G及び図25Hに示されているように、レバー1080の2回目の引き絞りにより、カムホイール1100が回転し、ばね1055に連結されている第2のアンカそり1040に設けられているロックから離脱する。ばね1055にはカムホイール1100の回転によってエネルギーが蓄えられており、今や、このエネルギーは、第2のアンカそり1040が迅速に前方に動くことによって開放され、それにより第2のアンカを送り出してこれをコネクタに係合させる。第2のアンカそり1040を遠位側に発射するこのステップは又、本明細書において開示する機構体によるコネクタの切断を達成する。
【0084】
図25I及び図25Jに示されているように、ユーザが引き続きレバー1080を引き絞ると、カムホイール1100が引き続き回転し、そして第2のアンカそり1040を初期位置に戻す。レバー1080を2回目に放した後、アンカ送達システムハンドル1000は、この場合も又、使用済みカートリッジ1200を取り出すことができ、そして新品カートリッジ1200′をハンドル中に挿入することができるよう構成されている。回転カムホイール1100は又、安全装置1085をそのロックアウト位置に戻している。変形例として、レバー1080及びカムホイール1100は、カムホイールを各レバー引き絞りにより120°ずつ回転させるよう構成されているのが良く、配備順序を完了させて開始位置に戻るのにレバー1080を3回引くことが必要である。変形例として、桓武ホイール1100及びレバー1080(及び歯車)は、カムホイールを各レバー引き絞りにより等しくない量回転させるよう設計されても良い。例えば、レバーを3回引く形態では、この設計により、最初の2回のレバーの引きがカムホイールをそれぞれ90°回転させることができ(最初に2回引いた後180°の回転が達成される)、次に3回目のレバーの引きにより残りの180°の回転が完了する。
【0085】
図26A図26Eは、先端部カートリッジ2000を含むアンカ送達システムを示している。先端部カートリッジ2000は、針230と、第1のアンカ、コネクタ及び第2のアンカを含むアンカ組立てとを有する。発射シャフト2100がハンドルの細長い部材2200に設けられたルーメンと嵌合するよう構成されている。ロックアーム2010も又、ハンドルの細長い部材2200と嵌合して安定性をハンドルの細長い部材2200と先端部カートリッジ2000を連結している接合部にもたらす。アンカ送達システムのハンドルに設けられたアクチュエータを作動させることにより、発射シャフト2100が遠位側に押されて針230が前進する。同じ又は別のアクチュエータを作動させて遠位アンカ内のコネクタの位置を維持しながら針を引っ込め、その結果、両方が組織内に配備されるようになる。コネクタを引っ張り、同じ又は別のアクチュエータは、第2のアンカを発射してこれをコネクタに係合させる。有利には、この実施形態により、多数の先端部カートリッジを備えた単一ハンドルの再使用が可能である。この実施形態及びこれと均等な実施形態は、アンカ組立体を送達器具の遠位端部に効果的に提供する。
【0086】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、スコープの遠位端部又はシースの遠位端部に取り付け可能な細長いシャフト部分を有する。この遠位取り付け箇所は、カートリッジをハンドル内に挿入する前又は後に、カートリッジの細長いシャフト部分の遠位部分を安定化すると共に/或いは固定するのを助けることができる。幾つかの実施形態では、カートリッジは、シース内におけるカートリッジの断面位置を整列させる構造的特徴部、例えばスプライン、ボス、アーム、スタンドオフ、又は類似の特徴部を有する。好ましくは、かかる特徴部は、カートリッジの遠位端部をシースの遠位端部に整列させる。さらに、整列特徴部は、カートリッジ上への配置に加えて又はこれに代えて、スコープ上に設けられるのが良い。好ましくは、整列特徴部は、シースの長さを通る洗浄(潅注)液の流れを可能にする。幾つかの実施形態では、ハンドルは、カートリッジを取り外し又は取り付けるためにシースに対して分離される必要がなく又は調節される必要がない。幾つかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジの挿入又は取り出しによりハンドル内のばね機構体のうちの少なくとも1つのエネルギー状態が変化するよう構成されている。
【0087】
本明細書において説明した実施形態は、幾つかの利点をもたらし、かかる利点としては、多数のアンカ組立体を効果的に送達することができる一方で、患者の不快感を減少させると共に使用のしやすさを高めることができるということにあるが、これには限定されない。或る特定の実施形態では、単一レバー又は均等なアクチュエータにより、アンカ組立体を送達して蓄えたエネルギーを送達器具内に再び加えて送達器具が単に送達システム内のカートリッジを交換することによって別のアンカ組立体をいつでも送達できる状態にあり又はほぼいつでも送達できる状態にあるようにする機構体を提供する。
【0088】
したがって、本発明は、アンカ組立体のアンカ部分を直接押すと共にアンカ組立体のコネクタを直接押すことを想定している。さらに、上述したように、遠位又は第1のアンカコンポーネントを前進させて針組立体を通って配備することができ、近位又は第2のアンカコンポーネントを前進させて針又はアンカ配備器具のハウジング部分から配備する。さらに、単一アンカ組立体か多数のアンカ組立体かのいずれかを器具によって送達してインターベンション部位のところに配備することができる。加うるに、単一アンカ組立体コンポーネントを例えば前立腺又は尿道の一方の側に配置することができ、他方、多数のアンカ組立体コンポーネントをかかる解剖学的構造の反対側の又はずらされた位置に沿って位置決めすることができる。かくして、アンカ組立体の数及び配置場所は、等しく且つ/或いは対称であって良く、数が異なっていて非対称であっても良く、或いは、単に非対称に配置されても良い。前立腺治療との関係では、本発明は、前立腺の変位、圧縮及び/又はレトラクト及び前立腺尿道の開き、インターベンション部位へのインプラントの送達、インプラントの端部相互間への張力の印加に用いられる。さらに、薬剤投与は、BPHにおけるそれ以上の治療及び能動的膀胱治療についてしかも前立腺癌及び前立腺炎の治療として想定されると共に記載される。
【0089】
本発明のアンカ組立体は、いったん植え込まれると、所望の組織操作、近似、圧縮又はレトラクトを達成すると共に標的解剖学的構造と協働して無傷性支持構造体を提供する。好ましい一実施形態では、アンカ組立体の形状及び輪郭は、この組立体が標的組織、例えばアンカ組立体による尿道管腔の開きによって尿道内に形成された折り目内に嵌入するよう定められる。所望の配置では、この領域内のほっそりとした又は枕のような組織がアンカ構造体周りで潰れる。最終的には、生まれつき備わった組織は、アンカ組立体を覆って成長することができ、新たな細胞成長が経時的に起こる。標的組織とのかかる協働により、治癒が容易になると共に望ましくない副作用、例えばインターベンション部位のところの石灰化又は感染が回避される。
【0090】
インターベンション手技の次に、患者は、適当な薬剤又は治療薬、例えばアルファ遮断薬及び抗炎症薬を飲むよう指図される場合がある。
【0091】
さらに、生まれつき備わった組織解剖学的構造との協働する意図に加えて、本発明は又、治癒を促進し又は瘢痕化を引き起こすやり方を想定している。治癒を促進することができる仕方としては、研磨材料を用いること、表面模様付きコネクタを用いること、生物学的製剤及び薬剤を用いることが挙げられる。
【0092】
加うるに、アンカ組立体のコンポーネント又はその選択された部分(説明され又は想定されたアンカ組立体のうちの任意のものの)は、治療物質又は診断物質(例えば、薬剤又は治療薬)で被覆されるのが良く、又はアンカ組立体のコンポーネント又はその選択された部分(説明され又は想定されたアンカ組立体のうちの任意のものの)に治療又は診断物質(例えば、薬剤又は治療薬)を埋め込むのが良い。この場合も又、前立腺の治療との関係において、アンカ組立体は、例えば5‐アルファ‐レダクターゼのような物質で被覆されるのが良く又はアンカ組立体に例えば5‐アルファ‐レダクターゼのような物質を埋め込むのが良く、かかる物質により、前立腺のサイズが減少する。想定される他の物質としては、植物化学薬品一般、アルファ‐1a‐アドレナリン作動性受容体遮断薬、平滑筋弛緩薬、及びジヒドロテストステロンへのテストステロンの変換を阻害する薬剤が挙げられるが、これらには限定されない。特定の一方式では、コネクタは、例えば、治療又は診断物質を保持してその時効性の達成を容易にするポリマーマトリックス又はゲル被膜で被覆されるのが良い。加うるに、静菌性被膜並びに前立腺炎用の鎮痛薬及び抗生物質及び癌治療のための他の化学被膜を本明細書において説明したアンカ組立体の種々の部分に施すのが良いことが想定される。かかる被膜は、これがコネクタそれ自体と一緒になってコネクタに取り付けられたアンカ部材の円筒形部分のプロフィールにマッチするよう種々の厚さ又は特定の厚さを有するのが良い。さらに、インプラント配備器具又は別の医療器具(即ち、カテーテル)及びインプラント配備器具又は別の医療器具を含むアンカ組立体を通って治療若しくは診断ゲル又は他の物質を同時に投与することは、放射線をかける器具(例えば、癌又は他の治療モダリティ用のインプラントの被膜又は遠位端部)の場合と同様本発明の範囲に含まれる。かかる一方式では、配備器具は、ゲル物質を保持するリザーバを有し、かかるリザーバを通ってアンカ器具を前進させて所要の量の治療又は診断ゲル物質をピックアップするのが良い。
【0093】
さらに、或る特定の実施形態では、アンカ送達器具は、アンカ送達器具により又は他の環境条件によって加えられる力を検出することができる能力を有するのが良いことが想定される。送達器具の種々の区分は、かかる器具を含むのが良く、想定される一方式では、センサが針組立体に沿って配置されるのが良い。このように、オペレータは、例えば針がインターベンション部位のところで標的解剖学的構造を破ったかどうか及びかかる破れが生じた程度を検出することができる。特定の環境上の特徴を検出することができる他のセンサ、例えば血液又は他の化学又は成分センサも又用いることができる。さらに、1つ又は2つ以上の圧力センサ又は送達中又は植え込み後におけるアンカ組立体の配備状態に関するフィードバックを提供するセンサが想定される。例えば、張力及び深さフィードバックをこれらセンサによってモニタすることができる。さらに、かかるセンサをアンカ組立体それ自体の中、配備器具の他の構造体中又は解剖学的構造体中に組み込むことができる。
【0094】
さらに、認識されるべきこととして、上述の手順は、可逆性である。一方式では、アンカ組立体の接続部を切断することができ、そして近位(又は第2の)アンカコンポーネントを患者の体内から取り出すことができる。例えば、医師は、コネクタを切断し、それと同時に経尿道的前立腺切除術を実施する際に用いられる電気外科器械、外科器械又はレーザ外科器械を用いて患者の尿道内に先に植え込まれた第2のアンカを取り出すことができる。
【0095】
本発明の種々の実施形態が提供する観点は、カスタマイズ可能な長さを有するアンカ組立体を送達することができるということにあり、各アンカ組立体は、送達器具を患者から取り出す必要なく、異なる場所に植え込まれる。本発明の種々の実施形態の他の観点は、アンカ組立体の荷重を利用した送達、一体形コネクタ(例えば、縫合糸)を有する器具によるアンカ組立体の送達、切断及び内視鏡を器具内に設けた状態でのアンカ組立体の送達にある。送達器具は、送達中、縫合糸を張力で保持して第1のアンカコンポーネントが組織平面(例えば、前立腺の外側被膜)にしっかりと当たった状態で位置し、第2のアンカコンポーネントがコネクタ及び送達器具に取り付けられているときに比較的しっかりと保持されるようにするのを助けるよう独特の仕方で構成されている。この観点では、穿通部材として働く針組立体は、針組立体が引っ込められている間、アンカを引く機構体に協働的に連結される。
【0096】
認識されるべきこととして、開示した器具を製造する種々の材料は、本発明の範囲に含まれる。さらに、本明細書において開示した1つ又は2つ以上のアンカ器具の1つ又は2つ以上のコンポーネント、例えば、遠位アンカ、近位アンカ、及びコネクタは、全体的に又は部分的に生分解性又は生体内で砕けることができる(biofragmentable)。
【0097】
さらに、上述したように、本明細書において開示した器具及び方法を用いると、腔又は壁を有する種々の管腔又は器官内の種々の病理学的状態を治療することができる。かかる管腔又は器官の例としては、尿道、腸、胃、食道、気管、気管支、気管支通路、静脈(例えば、静脈瘤又は弁膜閉鎖不全を治療するため)、動脈、リンパ管、尿管、膀胱、心房又は心室、子宮、ファロピウス管等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0098】
最後に、理解されるべきこととして、本発明の或る特定の実施例又は実施形態を参照して本発明を上記において説明したが、本発明の意図した精神及び範囲から逸脱することなくこれら実施例及び実施形態の種々の追加、削除、変更及び改造を行うことができる。例えば、もしそのようにすることが実施形態又は実施例を不特許に又はその意図した使用について不適当であるようにしない限りにおいて、一実施形態又は一実施例の要素又は属性を別の実施形態又は実施例に組み込むことができ又はこれと共に使用することができる。また、例えば、方法のステップを特定の順序で説明し又は列記している場合、かかるステップの順序は、そのようにすることがこの方法をその意図した使用について特許を受けることができない又は不適切にするものでなければ、変更することができる。あらゆる妥当な追加例、削除例、改造例、及び変形例は、説明した実施例及び実施形態の均等例とみなされるべきであると共に特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【0099】
かくして、上述のことから明らかなように、本発明の特定の形態を図示すると共に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の改造を行うことができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
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図1F
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図1J
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