特許第6963610号(P6963610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963610
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】自己同期型クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/12 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   F16D41/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-526316(P2019-526316)
(86)(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公表番号】特表2019-535978(P2019-535978A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】US2017061309
(87)【国際公開番号】WO2018093722
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2020年1月22日
(31)【優先権主張番号】62/423,230
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511114014
【氏名又は名称】ワーナー エレクトリック テクノロジー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストルゼ、デビッド、ピアソン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャンセン、エリク、レイモンド
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02232090(US,A)
【文献】 米国特許第04350235(US,A)
【文献】 特開昭53−014260(JP,A)
【文献】 特開2011−102112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/12、43/202、43/208
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸の周りで回転するように構成され、第1の複数の歯を画定する第1の内輪と、
前記第1の内輪の放射方向外側に配置され、第2の複数の歯及び第1の複数のカム面を画定する第1の外輪と、
前記第1の内輪と共に回転するように前記第1の内輪に結合され、前記第1の回転軸の周りで回転するように構成された第2の内輪であって、第3の複数の歯を画定する第2の内輪と、
前記第1の外輪と共に回転するように前記第1の外輪と結合され、前記第2の内輪の放射方向外側に配置され、第4の複数の歯及び第2の複数のカム面を画定する第2の外輪と、
前記第1及び第2の内輪間に配置され、前記第1の内輪に支持された第1の爪であって、前記第1の回転軸に平行な第2の回転軸の周りで回転するように構成された第1の爪と、
前記第1の爪の放射方向外側に配置され、前記第1及び第2の外輪に対して回転するように構成されたシフトリングであって、放射方向内周に複数の爪係合面を画定し、第3の複数のカム面を画定するシフトリングと、
複数のピンであって、前記複数のピンのそれぞれは、前記第1の外輪の前記第1の複数のカム面の1つ、前記第2の外輪の前記第2の複数のカム面のうちの対応する1つ、及び、前記シフトリングの前記第3の複数のカム面のうちの対応する1つ係合する複数のピンと
を含むクラッチであって、
前記第1及び第2の外輪の回転速度よりも大きい回転速度による、前記第1の回転軸の周りでの第1の方向の前記第1及び第2の内輪の回転は、前記第1の爪が前記シフトリングの前記複数の爪係合面の1つと係合することを引き起こし、それにより、前記シフトリングと前記第1及び第2の外輪との間の相対的運動を引き起こし、前記複数のピンを前記第1、第2及び第3の複数のカム面に沿って放射方向内側方向に移動させ、前記第1及び第2の複数の歯の歯間と前記第3及び第4の複数の歯の歯間に前記ピンを置いて、前記第1及び第2の内輪と前記第1及び第2の外輪とを回転のために結合し、前記第1及び第2の内輪の前記回転速度よりも大きい回転速度による、前記第1の方向の前記第1及び第2の外輪の回転は、前記シフトリングと前記第1及び第2の外輪との間の相対的運動を引き起こし、それにより、前記複数のピンを前記第1、第2及び第3の複数のカム面に沿って、前記対応する歯から離れて放射方向外側方向に移動させて、前記第1及び第2の内輪と前記第1及び第2の外輪との結合を解き、前記第1の爪との前記シフトリングの係合を解き、前記第1及び第2の外輪が前記第1及び第2の内輪をオーバーランすることを可能にする、クラッチ。
【請求項2】
前記第1及び第2の外輪のそれぞれは、複数の凹部を画定し、前記第1の外輪の前記複数の凹部のそれぞれは、前記第2の複数の歯の1つに対して前記第1の複数のカム面の1つの反対側の端部に配置され、前記第1及び第2の外輪が前記第1及び第2の内輪をオーバーランする場合に前記複数のピンの1つを受けるように構成され、前記第2の外輪の前記複数の凹部のそれぞれは、前記第4の複数の歯の1つに対して前記第2の複数のカム面の1つの反対側の端部に配置され、前記第1及び第2の外輪が前記第1及び第2の内輪をオーバーランする場合に前記複数のピンの1つを受けるように構成される、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項3】
前記第1及び第2の内輪間に配置され、前記第1の内輪に支持された第2の爪をさらに備え、前記第2の爪は、前記第1の回転軸に平行な第3の回転軸の周りで回転するように構成され、前記第1及び第2の外輪の回転速度よりも大きい回転速度による、前記第1の回転軸の周りでの前記第1の方向の前記第1及び第2の内輪の回転は、前記第2の爪が前記シフトリングの前記複数の爪係合面の別の1つと係合することを引き起こし、前記第1及び第2の内輪の前記回転速度よりも大きい回転速度による、前記第1の方向での前記第1及び第2の外輪の回転は、前記シフトリングが前記第2の爪との係合を解くことを引き起こす、請求項1又は2に記載のクラッチ。
【請求項4】
前記第1の爪は、前記第2の内輪にさらに支持される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチ。
【請求項5】
前記シフトリングは、複数の開口を画定し、前記複数の開口の各開口は、前記複数のピンの対応するピンを受けるように構成され、各開口の縁は、前記第3の複数のカム面の対応する1つによって画定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクラッチ。
【請求項6】
前記第1及び第2の外輪のそれぞれは、複数の凹部を画定し、前記第1の外輪の前記複数の凹部のそれぞれは、前記第2の複数の歯の1つに対して前記第1の複数のカム面の1つの反対側の端部に配置され、前記第1及び第2の外輪が前記第1及び第2の内輪をオーバーランする場合に前記複数のピンの1つを受けるように構成され、前記第2の外輪の前記複数の凹部のそれぞれは、前記第4の複数の歯の1つに対して前記第2の複数のカム面の1つの反対側の端部に配置され、前記第1及び第2の外輪が前記第1及び第2の内輪をオーバーランする場合に前記複数のピンの1つを受けるように構成され、前記第1及び第2の外輪の前記複数の凹部のそれぞれは、前記第1及び第2の外輪が前記第1及び第2の内輪をオーバーランする場合に前記複数の開口の対応する開口の放射方向外側部分と整列される、請求項5に記載のクラッチ。
【請求項7】
前記第1及び第2の内輪間に配置され、前記第1及び第2の内輪と共に回転するように前記第1及び第2の内輪に結合された爪引掛けリングをさらに備え、前記爪引掛けリングは、前記第2の回転軸の周りでの第1の回転方向における前記第1の爪の回転を制限するように構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクラッチ。
【請求項8】
前記爪引掛けリングは、前記第2の回転軸の周りでの前記第1の回転方向とは反対の、前記第2の回転軸の周りでの第2の回転方向における前記第1の爪の回転を制限するように構成される、請求項7に記載のクラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クラッチに関する。特に、本開示は、クラッチの入力部材及び出力部材のいずれもクラッチの回転軸に沿った軸方向の移動なしに同期させることができる自己同期型クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自己同期型クラッチは、様々な用途に有用である。1つの例示的な用途では、自己同期型クラッチを使用して、動力をスタータからタービンに伝達することができる。タービンは、通常、産業及び製造設備並びに大型船舶で電力を発生させるために使用される。スタータは、通常、タービンの回転構成要素の回転を開始させ、これらの構成要素を自己持続性速度にするために使用される。タービンは、完全に停止させるのに比較的長時間を要するため、モータからタービンに動力を供給するために又はタービンが動作しているときでもタービンを再始動させるためにクラッチと係合できることが望ましい。結果として、クラッチは、係合時、望ましくない騒音及びクラッチ部材の摩耗を回避し、効率的なトルク伝達のための完全な係合を保証するように、クラッチの入力部材及び出力部材を同期させることができなければならない。
【0003】
別の例示的な用途では、モータ、タービン又は他の動力源と、同期コンデンサとして使用する発電機との間で動力を伝達するために自己同期型クラッチを使用することができる。同期コンデンサは、電力を吸収するか又は発生させることにより、電力伝送網に作用する電圧を調整するために使用される。同期コンデンサでは、クラッチは、発電機の速度を、発電機と伝送網とを同期させるのに必要な速度まで引き上げるために、最初に係合してタービン又は他の動力源から発電機に動力を伝達する。その時点で、クラッチは、係合を解いて発電機を動力源から切り離し、発電機は、伝送網からの電力によって駆動されるモータとして機能する。発電機の回転速度が動力源の回転速度未満に低下すると、クラッチは、再度係合する。
【0004】
従来の自己同期型クラッチは、クラッチを係合させ係合を解くために、クラッチの回転軸に沿った入力部材又は出力部材の一方の移動を必要とする。結果として、クラッチは、複数の自由度に従って移動を制御されるように構成されなければならない。クラッチは、回転軸の方向に余分な空間も必要とし、この空間は、(例えば、同期発電機が同期コンデンサとして使用するために改造される場合に)クラッチを既存のシステムに設置することを困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明者は、上記に示した1つ以上の欠陥を最小限にし、及び/又はなくすクラッチの必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
クラッチが提供される。特に、クラッチの入力部材及び出力部材のいずれもクラッチの回転軸に沿った軸方向の移動なしに同期させることができる自己同期型クラッチが提供される。
【0007】
本発明の一実施形態によるクラッチは、第1の回転軸の周りで回転するように構成され、第1の複数の歯を画定する内輪を含む。クラッチは、内輪の放射方向外側に配置され、第2の複数の歯及び第1の複数のカム面を画定する外輪をさらに含む。クラッチは、内輪の第1の軸方向側で支持され、第1の回転軸に平行な第2の回転軸の周りで回転するように構成された爪をさらに含む。クラッチは、爪の放射方向外側に配置され、外輪に対して回転するように構成されたシフトリングをさらに含む。シフトリングは、放射方向内周に複数の爪係合面を画定し、第2の複数のカム面を画定する。クラッチは、複数のピンをさらに含む。複数のピンのそれぞれは、第1及び第2の複数のカム面の対応する1つと係合するように構成される。外輪の回転速度よりも大きい回転速度による、第1の回転軸の周りでの第1の方向の内輪の回転は、爪がシフトリングの複数の爪係合面の1つと係合することを引き起こし、それにより、シフトリングと外輪との間の相対的運動を引き起こし、複数のピンを第1及び第2の複数のカム面に沿って放射方向に内側方向に移動させて、第1及び第2の複数の歯から対応する歯間にピンを置き、内輪と外輪とを回転のために結合する。内輪の回転速度よりも大きい回転速度による、第1の方向の外輪の回転は、シフトリングと外輪との間の相対的運動を引き起こし、それにより、複数のピンを第1及び第2の複数のカム面に沿って、対応する歯から離れて放射方向に外側方向に移動させて、内輪と外輪との結合を解き、爪とのシフトリングの係合を解き、外輪が内輪をオーバーランすることを可能にする。
【0008】
本発明の別の実施形態によるクラッチは、第1の回転軸の周りで回転するように構成され、第1の複数の歯を画定する第1の内輪と、第1の内輪の放射方向外側に配置され、第2の複数の歯及び第1の複数のカム面を画定する第1の外輪とを含む。クラッチは、第1の内輪と共に回転するように第1の内輪に結合され、第1の回転軸の周りで回転するように構成された第2の内輪をさらに含む。第2の内輪は、第3の複数の歯を画定する。クラッチは、第2の内輪の放射方向外側に配置され、第4の複数の歯及び第2の複数のカム面を画定する第2の外輪をさらに含む。クラッチは、第1及び第2の内輪間に配置され、第1の内輪に支持された爪をさらに含む。爪は、第1の回転軸に平行な第2の回転軸の周りで回転するように構成される。クラッチは、爪の放射方向外側に配置され、第1及び第2の外輪に対して回転するように構成されたシフトリングをさらに含む。シフトリングは、放射方向内周に複数の爪係合面を画定し、第3の複数のカム面を画定する。クラッチは、複数のピンをさらに含む。複数のピンのそれぞれは、第1、第2及び第3の複数のカム面の対応する1つと係合するように構成される。第1及び第2の外輪の回転速度よりも大きい回転速度による、第1の回転軸の周りでの第1の方向の第1及び第2の内輪の回転は、爪がシフトリングの複数の爪係合面の1つと係合することを引き起こし、それにより、シフトリングと第1及び第2の外輪との間の相対的運動を引き起こし、複数のピンを第1、第2及び第3の複数のカム面に沿って放射方向に内側方向に移動させ、第1及び第2の複数の歯からの対応する歯間と第3及び第4の複数の歯からの対応する歯間にピンを置いて、第1及び第2の内輪と第1及び第2の外輪とを回転のために結合する。第1及び第2の内輪の回転速度よりも大きい回転速度による、第1の方向の第1及び第2の外輪の回転は、シフトリングと第1及び第2の外輪との間の相対的運動を引き起こし、それにより、複数のピンを第1、第2及び第3の複数のカム面に沿って、対応する歯から離れて放射方向に外側方向に移動させて、第1及び第2の内輪と第1及び第2の外輪との結合を解き、第1の爪とのシフトリングの係合を解き、第1及び第2の外輪が第1及び第2の内輪をオーバーランすることを可能にする。
【0009】
本教示によるクラッチは、クラッチの入力部材及び出力部材のいずれもクラッチの回転軸に沿った移動なしに部材の回転を同期させることができるため、従来のクラッチと比べて有利である。結果として、クラッチは、回転軸に沿って動作するように構成されることも、そのような動作を制御するように設計されることも必要でない。さらに、クラッチは、回転軸の方向により小さい空間のみを必要とし、(例えば、同期発電機が同期コンデンサとして使用するために改造される場合に)既存のシステムに後から取り付けることがより容易である。
【0010】
以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を読み、例として本発明の特徴を示す添付図面について検討することで本発明の上記及び他の態様、特徴、細部、実用性及び利点が明らかになるであろう。
【0011】
【0012】
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態によるクラッチの断面図である。
図2図1のクラッチの一部分の断面斜視図である。
図3A図1の3−3線に沿って切り取った図1〜2のクラッチの断面図であり、係合を解かれたクラッチを示す。
図3B図1の3−3線に沿って切り取った図1〜2のクラッチの断面図であり、係合したクラッチを示す。
図4A図1の4−4線に沿って切り取った図1〜2のクラッチの断面図であり、係合を解かれたクラッチを示す。
図4B図1の4−4線に沿って切り取った図1〜2のクラッチの断面図であり、係合したクラッチを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、図を参照すると、同じ参照数字は、様々な図における同一の構成要素を示すために使用され、図1〜2は、本発明の一実施形態によるクラッチ10を示す。クラッチ10は、入力部又は駆動部材から出力部又は被駆動部材にトルクを選択的に伝達し、出力部が入力部をオーバーランすることを可能にする機構を形成している。一実施形態では、クラッチ10は、始動モータからタービンにトルクを伝達するために使用することができる。別の実施形態では、クラッチ10は、タービンから同期コンデンサとして使用される発電機にトルクを伝達するために使用することができる。しかし、当然のことながら、クラッチ10は、様々な用途に使用することができる。クラッチ10は、ハウジング12、ハブ14、ベアリング16、18、内輪20、22、外輪24、26、爪28、爪引掛けリング30、シフトリング32及びピン34を含むことができる。
【0016】
ハウジング12は、クラッチ10の構成要素を異物及び汚物から保護し、クラッチ10の構成要素の位置及び向きを合わせるために設けられている。ハウジング12は、クラッチ10の係合時、トルクを被駆動部材又は出力部に伝達するためにも設けられている。ハウジング12は、複数の部材36、38、40、42、44を含むことができる。部材36、38、40、42、44は、従来の金属及び金属合金から作製することができる。各部材36、38、40、42、44は、環状の形状で、クラッチ10の回転軸46の周りに配置されるように構成されている。部材36は、クラッチ10の一方の軸端部から延び、ベアリング16の外輪に支持されている。部材36は、タービン又は同期コンデンサとして使用される発電機の回転要素などの出力部に連結するように構成されている。部材36の一部分は、外輪24、26の放射方向外側に配置することができ、潤滑剤をクラッチ10の内部構成要素に送達することができる1つ以上の開口48を画定することができる。部材38は、クラッチ10の反対側の軸端部から部材36に向かって延び、ベアリング18の外輪に支持されている。部材38は、ねじ又はボルトなどの従来の留め具50を使用して部材36に接合することができ、シール52は、異物の進入及び潤滑剤の消失を防止するために、部材36、38の一部分間で放射方向に配置することができる。部材40、42は、ハブ14と、ベアリング16が置かれたハウジング12の部材36との間の空間を閉じるために、クラッチ10の一方の軸端部で端部キャップを形成している。部材40は、ねじ又はボルトなどの従来の留め具54、56を使用して、それぞれ部材36及び部材42に結合することができる。シール58、60、62は、異物の進入及び潤滑剤の消失を防止するために、部材36と部材40との間、部材40と部材42との間及び部材42とハブ14との間で放射方向に配置することができる。部材44は、ハブ14と、ベアリング18が置かれたハウジング12の部材38との間の空間を閉じるために、クラッチ10の反対側の軸端部で端部キャップを形成している。部材44は、ねじ又はボルトなどの従来の留め具64を使用して部材38に結合することができ、シール66、68は、異物の進入及び潤滑剤の消失を防止するために、部材38と部材44との間及び部材44とハブ14との間で放射方向に配置することができる。本明細書において、ハウジング12の特定の構成が説明されたが、当然のことながら、ハウジング12の構成は、ハウジング12内の構成要素の構成と、クラッチ10が採用されるシステムとに応じて変えることができる。
【0017】
ハブ14は、始動モータ又は同期コンデンサのタービンの要素などの駆動部材又は入力部とクラッチ10の入力輪20、22の間でトルクを伝達するために設けられている。ハブ14は、環状の形状で、軸46の周りに配置され、軸46を中心とすることができる。ハブ14は、ハブ14の一方の軸端部70で入力部のシャフト又は同様の要素を受けるように構成されている。ハブ14は、図示した実施形態では対称であり、ハブ14のいずれかの軸端部から軸方向中央部に位置を変えながら段階的に増大する外径を有する。ハブ14の軸方向中央部において、ハブ14は、内輪20、22及び爪引掛けリング30と係合し、これらを支持するように構成された直径を有する。図2を参照すると、ハブ14のこの部分は、放射方向外側面に複数のスプライン72を含むことができ、スプライン72は、輪20、22及びリング30をハブ14と共に回転するようにハブ14に結合するために、輪20、22及びリング30の放射方向内側面に形成された対応するスプラインと係合するように構成されている。輪20、22及びリング30をハブ14上の所定の位置に維持するロックリング74、76を支持するショルダ部を画定するために、ハブ14の直径は、ハブ14のこの部分のいずれか側で縮小することができる。各軸端部に向かって外側に位置を変えていくと、ハブ14の外径は、さらに縮小して、ベアリング16、18の内輪を支持するように構成された面を画定することができ、再度縮小して、ハブ14上のベアリング16、18の位置を維持するロックリング78、80を支持するように構成された面を画定することができ、さらに再度縮小してハウジング12の部材42、44を支持することができる。
【0018】
ベアリング16、18は、クラッチ10がオーバーラン状態のとき、ハウジング12がハブ14に対して回転することを可能にするために設けられている。ベアリング16、18は、球面ころベアリングを含むことができる。図示した実施形態では、ベアリング16、18は、共に球面ころベアリングを含むが、当然のことながら、ベアリング16、18の一方又は両方は、例えば、ボールベアリングを含む別の形態を取ることができる。ベアリング16は、ハブ14とハウジング12の部材36との間で輪20、22、24、26の一方の軸側に配置されている。ベアリング18は、ハブ14とハウジング12の部材38との間で輪20、22、24、26の反対の軸側に配置されている。
【0019】
内輪20、22は、クラッチ10の係合時のピン34のための係合面を形成している。内輪20、22は、環状の形状で、軸46の周りに配置され、軸46を中心とすることができる。図2を参照すると、内輪20、22は、ハブ14に支持され、各輪20、22の放射方向内側面は、ハブ14のスプライン72とかみ合うように構成された複数のスプライン82を画定することができる。再度図1を参照すると、輪20、22は、互いから軸方向に離間し、輪20、22間に爪引掛けリング30を受けるように構成されている。輪20、22は、輪20、22及び爪引掛けリング30を貫通する、ねじ、ボルト、又はピンなどの留め具84によって互いに結合することができる。図3A〜Bを参照すると、各内輪20、22の放射方向外側面は、複数の歯86を画定する。各歯86は、クラッチ10の係合時、対応するピン34と係合するように構成されている。
【0020】
再度図1〜2を参照すると、外輪24、26は、クラッチ10の係合時のピン34のための対向する係合面を形成している。外輪24、26は、環状の形状で、軸46の周りに配置され、軸46を中心とすることができる。外輪24、26は、それぞれ内輪20、22の放射方向外側に配置されている。図示した実施形態では、外輪26は、輪24よりも長い軸方向長さを有し、輪26の一部分は、シフトリング32の放射方向外側に配置することができる。外輪24、26は、ねじ、ボルト、又はピンなどの従来の留め具(図示せず)を使用して互いに結合することができる。再度図3A〜Bを参照すると、各外輪24、26の放射方向内側面は、複数の歯88を画定する。図3Bを参照すると、各歯88は、クラッチ10の係合時、対応するピン34と係合し、輪22、26(及び輪20、24)の対応する歯86、88間でピン34を捕捉するように構成されている。図3Aを参照すると、各輪24、26は、クラッチ10の係合解除時、対応するピン34を受けるように構成された凹部90又はポケットをさらに画定する。輪24、26は、各歯88と凹部90との間において、各歯88から対応する凹部90まで延びるカム面92を画定する。各カム面92は、軸46に対して斜めになった平面に沿って延び、面92の放射方向最内部分は、面92の放射方向最外部分よりも回転方向に前方である。クラッチ10が係合状態と係合解除状態との間を移行するとき、ピン34は、歯88と凹部90との間のカム面92に沿って進む。
【0021】
爪28は、入力部の回転速度が出力部の速度を超えたとき、シフトリング32を外輪24、26に対して回転させてクラッチ10を係合させるために設けられている。爪28は、内輪20、22間で軸方向に配置され、爪引掛けリング30とシフトリング32との間で放射方向に配置されている。図4A〜Bを参照すると、爪28は、軸46を中心として周方向に等間隔で配置することができる。図示した実施形態では、クラッチ10は、5つの爪28を含む。しかし、当然のことながら、爪28の数は、変えることができる。爪28は、各輪20、22の一方の軸側で支持され、輪20、22間に延びるピン94に取り付けることができる。爪28は、ピン94を貫通し、ピン94の中心に置かれ、軸46と平行に延びる回転軸の周りで回転するように構成されている。ねじりばねは、ピン94を中心として、爪28と内輪20、22との間で爪28の両側に配置することができる。ばねは、爪28を所定の位置に付勢し、輪20、22が、ばねの力に打ち勝つ遠心力を発生させるのに十分な所定の回転速度に達するまで爪28の回転を防止することができる。この速度を超えると、爪は、シフトリング32と係合するための準備として、その回転軸の周りで回転する。しかし、出力部の回転速度が入力部の回転速度を超えている場合、爪28は、シフトリング32との係合を解かれたままである。入力部の回転速度が出力部の回転速度を超えると、爪28は、下記にさらに詳細に説明するように、シフトリング32と係合して、外輪24、26に対するシフトリング32の動作を引き起こす。
【0022】
爪引掛けリング30は、爪28の、爪の回転軸の周りでの両回転方向の回転を制限する。リング30は、環状の形状で、軸46の周りに配置され、軸46を中心とすることができる。図1を参照すると、リング30は、内輪20、22間で軸方向に配置され、ハブ14の放射方向外側に配置されている。リング30は、ハブ14のスプライン72とかみ合うように構成された複数のスプラインを放射方向内側面に画定することができる。爪引掛けリング30は、留め具84によって内輪20、22に結合することができる。再び図4A〜Bを参照すると、リング30は、直径が変わる放射方向外側面を画定し、爪28の、爪の回転軸の周りでの各回転方向の回転を制限する、爪28の各端部のための一対の引掛け面96、98を画定する。
【0023】
シフトリング32は、ピン34をシフトさせて、それぞれ内輪20、22の歯86及び外輪24、26の歯88と係合させ、係合を解くために設けられている。シフトリング32は、環状の形状で、軸46の周りに配置され、軸46を中心とすることができる。リング32は、爪引掛けリング30(及び爪28)と外輪26との間で放射方向に配置されている。リング32は、外輪24、26の軸方向の間に捕捉することができる。図4A〜Bを参照すると、リング32は、放射方向内周に複数の爪係合面100を画定する。各爪係合面100は、軸46に対して斜めになった平面に沿って延び、面100の放射方向最内部分は、面100の放射方向最外部分よりも回転方向で前方である。入力部の回転速度が出力部の回転速度を超えると、爪28は、面100と係合し、それにより、下記に説明する目的のためにシフトリング32を外輪24、26に対して(図示した実施形態では反時計方向に)回転させる。シフトリング32は、シフトリング32を軸方向に貫通する複数の開口102をさらに画定する。各開口102は、対応するピン34を受けるように構成されている。図示した実施形態では、各開口102は、いずれかの長手方向端部が半円形で、いずれかの長手方向端部間に延びる平行なフラットエッジとを有する縁で細長くなっている。開口102は、軸46に対して斜めになっており、開口102の放射方向最内部分は、開口102の放射方向最外部分よりもさらに回転方向で後方である。各開口102の縁は、シフトリング32が外輪24、26に対して動作している間、外輪24、26のカム面92と共にピン34に作用するように構成されたカム面104を画定する。入力部の回転速度が出力部の回転速度よりも大きい場合、爪28は、爪係合面100でシフトリング32と係合し、シフトリング32を外輪24、26に対して前方に押しやる。カム面92、104により、ピン34は、面92、104に沿って放射方向内側に移動して、開口102の放射方向内側端に配置され(図4B)、外輪24、26の凹部90(図3B)から出て、内輪20、22及び外輪24、26の歯86、88と係合する。出力部の回転速度が入力部の回転速度よりも大きい場合、外輪24、26は、シフトリング32に対して回転方向前方に移動し、それにより、ピン34は、面92、104に沿って、内輪20、22及び外輪24、26の歯86、88から離れて放射方向外側に移動して、開口102の放射方向外側端に配置され(図4A)、外輪24、26の凹部90(図3A)に移動する。同じ動作が爪28及び外輪24、26とのシフトリング32の係合を解き、シフトリング32は、外輪24、26と共に内輪20、22をオーバーランする。
【0024】
ピン34は、内輪20、22と外輪24、26との間でトルクを伝達するために設けられている。ピン34は、従来の金属及び金属合金から作製することができる。ピン34は、円形の断面とすることができ、図1を参照すると、内輪20、22と爪引掛けリング30との軸方向長さを合わせたものと同じ軸方向長さを有することができる。各ピン34の長手方向端部は、対応する内輪20、22と外輪24、26との間で放射方向に配置されている。各ピン34の中央部分は、シフトリング32の対応する開口102内に配置されている。ピン34は、ピン34を内輪20、22及び外輪24、26の歯86、88と係合させ、係合を解くために、シフトリング32及び外輪24、26の相対回転動作に応じて、外輪24、26及びシフトリング32のカム面92、104に沿って放射方向内側及び外側に移動する。
【0025】
図3A〜B及び図4A〜Bを参照すると、クラッチ10は、次の通りに動作するように構成されている。ハブ14及びハウジング12により、それぞれクラッチ10に結合された入力部(駆動部材)及び出力部(被駆動部材)は、図3A〜B及び図4A〜Bに曲線矢印で示す方向に回転するように構成されている。この方向の入力部の回転速度が出力部の回転速度を超えるたびに、図4Bに示すように、爪28は、シフトリング32の爪係合面100と係合する。この動作は、シフトリング32を内輪20、22と共に外輪24、26に対して前方に回転させる。図3Bに示すように、この相対的運動は、ピン34を外輪24、26及びシフトリング32のカム面92、104に沿って放射方向内側に押しやり、内輪20、22及び外輪24、26の歯86、88と係合させて、クラッチ10を係合させる。この場合、外輪24、26(及び出力部)は、内輪20、22(及び入力部)と同じ速度で回転する。図示した方向における出力部の回転速度が入力部の回転速度を超えると、シフトリング32は、外輪24、26の後につき始め、図3A及び図4Aに示すように、ピン34は、外輪24、26の凹部90とシフトリング32の開口102の放射方向外側端とが整列され、ピン34が凹部90及び開口102の放射方向外側端内に着座するまで、外輪24、26及びシフトリング32のカム面92、104に沿って放射方向外側に引き寄せられる。図4Aを参照すると、シフトリング32は、内輪20、22に対して前方に引き寄せられ、シフトリング32の爪係合面100は、爪28との係合を解かれ、クラッチ10の係合を解き、外輪24、26が内輪20、22をオーバーランすることを可能にする。
【0026】
本教示によるクラッチ10は、クラッチ10の回転軸46に沿った内輪20、22及び外輪24、26のいずれの移動もなしにクラッチ10の内輪20、22及び外輪24、26の回転を同期させることができるため、従来のクラッチと比べて有利である。結果として、クラッチ10は、軸46に沿って動作するように構成されることも、そのような動作を制御するように設計されることも必要でない。さらに、クラッチ10は、軸46の方向により小さい空間のみを必要とし、(例えば、同期発電機が同期コンデンサとして使用するために改造される場合に)既存のシステムに後から取り付けることがより容易である。
【0027】
本発明が1つ以上の特定の実施形態を参照して図示及び説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更形態及び修正形態がなされ得ることが当業者には分かるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B