特許第6963612号(P6963612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

特許6963612可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル
<>
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000002
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000003
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000004
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000005
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000006
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000007
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000008
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000009
  • 特許6963612-可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963612
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】可変なステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリング用ハンドルバーを備えるモータサイクル
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/08 20060101AFI20211028BHJP
   B62K 5/05 20130101ALI20211028BHJP
   B62K 5/10 20130101ALI20211028BHJP
【FI】
   B62K5/08
   B62K5/05
   B62K5/10
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-527822(P2019-527822)
(86)(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公表番号】特表2019-535584(P2019-535584A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】IB2017057653
(87)【国際公開番号】WO2018104862
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2020年10月1日
(31)【優先権主張番号】102016000123275
(32)【優先日】2016年12月5日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ラッファエッリ
【審査官】 中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−127981(JP,A)
【文献】 特開2010−052624(JP,A)
【文献】 特開昭58−071283(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0931524(KR,B1)
【文献】 特開2002−096788(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0329164(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02836447(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0183484(US,A1)
【文献】 特開2009−241874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/08
B62K 5/05
B62K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの後輪(8)と、
少なくとも2つのステアリング用前輪(12,16)と、
ハンドルバー(20)とを備えるモータサイクル(4)であって、
前記前輪(12,16)は、側方ステアリング角度(α1,α2)に応じて、それぞれの側方ステアリング軸(L1,L2)周りに回転し、
前記ハンドルバー(20)は、中心ステアリング角度(β)に応じて、中心ステアリング軸(C)周りに回転し、
前記前輪(12,16)は、前記側方ステアリング角度(α1,α2)と前記中心ステアリング角度(β)との間の比率により定まる伝達比(T)を実現する伝達手段(36)により、前記ハンドルバー(20)に運動学的に接続されており、
前記伝達手段(36)は、運動学的中心機構部(62)により前記ハンドルバー(20)に運動学的に接続されているステアリングバー(40)を備えており、
前記ステアリングバー(40)は前記前輪(12,16)を共に直接繋げており、
前記ハンドルバー(20)の前記中心ステアリング角度(β)が変わるにつれて、前記前輪(12,16)と前記ハンドルバー(20)との間の前記伝達比(T)は変動し、
前記運動学的中心機構部(62)は、前記中心ステアリング角度(β)が変わるにつれて、中心ステアリングアーム(72)の長さを変化させるように形成され、長手方向ヒンジ部(100)を備えており、
前記長手方向ヒンジ部が前記中心ステアリングアーム(72)に平行な長手方向回転軸(R)を定めることにより、
前記ステアリングバー(40)が前記長手方向回転軸(R)周りに回転できることを特徴とする、モータサイクル(4)。
【請求項2】
前記伝達比(T)は、前記ハンドルバー(20)の中心位置の近傍において、前記中心ステアリング角度(β)が無効な値であるため、最大であり、前記ハンドルバー(20)の回転が前記中心位置に対して増加するにつれて減少する、ことを特徴とする請求項1に記載のモータサイクル(4)。
【請求項3】
前記伝達比(T)は、40°よりも大きい前記中心ステアリング角度(β)に対して、実質的に単一である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータサイクル(4)。
【請求項4】
前記伝達手段(36)は、対応する前記前輪(12,16)に運動学的にそれぞれ接続されている2つの側方ステアリング支持部(44,48)を備えており、
前記ステアリングバー(40)は、
側方ヒンジ部(52,56)に対して、前記側方ステアリング支持部(44,48)に回転軸を設けられており、
中心線(M)に対して中心ヒンジ部(60)を備えており、
前記中心ヒンジ部を通る運動学的中心機構部(62)により、前記ハンドルバー(20)に回転可能に接続されるステアリングチューブ(64)に回転軸を設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータサイクル(4)。
【請求項5】
前記側方ステアリング支持部(44,48)は、互いに同一の側方ステアリングアーム(68,70)を形成しており、
前記ステアリングバー(40)は、前記側方ステアリングアーム(68,70)に対して小さい長さを有する前記中心ステアリングアーム(72)を遮るように形成されており、
前記側方ステアリングアーム(68,70)は、前記側方ステアリング軸(L1,L2)と、対応する前記側方ヒンジ部(52,56)との間のそれぞれの距離であり、
前記中心ステアリングアーム(72)は、前記中心ヒンジ部(60)と前記中心ステアリング軸(C)との間の距離であり、
前記側方ステアリングアーム(68,70)は、真っすぐな前記ステアリング用前輪(12,16)の配置において、前記中心ステアリングアーム(72)よりも大きい、ことを特徴とする請求項4に記載のモータサイクル(4)。
【請求項6】
前記運動学的中心機構部(62)は、偶発する実際の前記中心ステアリング角度(β)に前記中心ステアリングアーム(72)の長さを応じさせるように、前記中心ステアリングアーム(72)の長さ(76)を変えることに適した手段を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータサイクル(4)。
【請求項7】
前記中心ステアリングアーム(72)の前記長さ(76)を変化させる前記手段は、前記中心ステアリングアーム(72)に平行な長手方向(F)に沿ってステム(84)上を摺動する長手方向のブッシュ(80)を備える、ことを特徴とする請求項6に記載のモータサイクル(4)。
【請求項8】
前記中心ステアリングアーム(72)の前記長さ(76)を変化させる前記手段は、前記中心ステアリングアーム(72)の前記長さを前記ハンドルバー(20)の回転に応じて伸ばす、及び/又は縮め得るように、前記中心ステアリングアーム(72)に平行な長手方向(F)に沿って弾性的に変形する伸縮手段(88)を備える、ことを特徴とする請求項6に記載のモータサイクル(4)。
【請求項9】
前記中心ステアリングアーム(72)の前記長さ(76)を変化させる前記手段は、機械式及び/又は電気式作動部を有する作動手段を備えており、
前記中心ステアリングアーム(72)の回転に応じて、前記中心ステアリングアーム(72)に平行な長手方向(F)に沿って前記中心ステアリングアーム(72)の前記長さを選択的に変更する、ことを特徴とする請求項6に記載のモータサイクル(4)。
【請求項10】
前記中心ステアリングアーム(72)の前記長さ(76)を変化させる前記手段は、前記中心アーム(72)の長さをいずれかの所望の値に選択的に定めることに適したロック装置を備える、ことを特徴とする請求項6に記載のモータサイクル(4)。
【請求項11】
前記側方ステアリング軸(L1,L2)は、互いに平行である一方、前記中心ステアリング軸(C)に対して異なる傾斜を有しており、
前記運動学的中心機構部(62)は、前記中心ステアリングアーム(72)自体に直交する垂直方向に従って、前記中心ステアリングアーム(72)を移動できるようにすることに適した浮動手段(96)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータサイクル(4)。
【請求項12】
前記側方ステアリング軸(L1,L2)は、互いに平行である一方、前記中心ステアリング軸(C)に対して異なる傾斜を有しており、
前記ステアリングバー(40)は、前記側方ステアリング支持部(44,48)に対する前記ステアリングバーの接続端の近傍において、回転接合部(98)を備えており、
前記回転接合部(98)は玉軸受(99)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータサイクル(4)。
【請求項13】
前記運動学的中心機構部(62)が、前記中心ステアリングアーム(72)に平行な長手方向の回転軸(R−R)を定める長手方向のヒンジ部(100)を備えることにより、
前記ステアリングバー(40)が前記長手方向の回転軸(R−R)周りに回転できる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータサイクル(4)。
【請求項14】
前記前輪(12,16)は支持ブラケット(104)により支持されており、
前記支持ブラケット(104)は、前記ハンドルバーを支持する横断四角形構造(106)に運動学的に接続されており、
前記横断四角形構造(106)は、ロール回転方向(S−S)に従って互いに平行なロール回転ヒンジ部を形成しており、
前記ステアリングバー(40)は、前記ロール回転方向(S−S)に平行な側方ヒンジ部(52,56)により、前記支持ブラケット(104)に回転軸を設けられている、ことを特徴とする請求項13に記載のモータサイクル(4)。
【請求項15】
前記長手方向の回転軸(R−R)は前記ロール回転方向(S−S)に平行である、ことを特徴とする請求項14に記載のモータサイクル(4)。
【請求項16】
前記機械式作動部は液圧式作動部である、ことを特徴とする請求項9に記載のモータサイクル(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変ステアリング比を有する2つのステアリング用前輪とステアリングハンドルバーを備えるモータサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
既に知られているように、ステアリング比はモータサイクルのハンドルバーの回転とステアリング用前輪の回転の比である。
【0003】
単一のステアリング比の場合、直接の繋がりがハンドルバーと車輪との間にある。この車輪は、常に、同じ角度のハンドルバーと共に互いに回転する。
【0004】
単一のステアリング比は、直接的なステアリング、及びドライバの操縦に対するモータサイクルの優れた応答性を保証する一方、特に低車速のときの操縦において、回転するとき、固く、重いハンドルバーを生じることが多い。
【0005】
ステアリング角度を縮小させる比率は、車輪のステアリング角度がハンドルバーの回転角よりも著しく小さくなるため、使用者によりハンドルバーに与えられる力を大幅に軽減する一方、ステアリング角度が縮小する車輪のステアリングを行うため、同じハンドルバーをかなり回転させる必要があることは同様に事実である。
【0006】
この低いステアリング比は、ハンドルバーの低い応答性、及びハンドルバーの操作における不快感、並びにステアリングの移動端に達するとき、ハンドルバーがフェアリング自体に干渉することを防ぐため、車両のフェアリングに対する変化を予測する必要性をもたらす。
【0007】
したがって、この問題は、ハンドルバー自体に与えられる回転又はステアリング角度の大きさにより変化するハンドルバーに与えられる力を設定する方法から生じる。
【0008】
例えば、ハンドルバーが、零点の周辺(すなわち、車輪とハンドルバーが真っすぐであるときの位置の周辺)において、ステアリング角度を拡大して操舵されるように強いることができると、より操作し辛くなる一方、車両の応答をより良くし得る。または、反対に、零点の周辺において、ステアリング角度を縮小してハンドルバーを操舵すると、運転の軽さを強調する。
【0009】
ハンドルバーの操作のし辛さの問題は、2つのステアリング用前輪を備えるモータサイクルの場合、さらに強調される。この種類の車両の場合、1つのステアリング用前輪を備えるモータサイクルより、前軸が大きな荷重を与えられることは明らかである。また、2つのステアリング用車輪を備える前軸は、タイヤと地面との間において交わされる摩擦力を2倍にする。この摩擦力により、特に車両が静止している、又は低速であるとき、ハンドルバーは固くなる。
【発明の概要】
【0010】
上述の問題を解決するため、これまで、複数の解決手段が従来技術において導入されている。
【0011】
例えば、ステアリング角度を縮小して操舵することは、自動車において良く知られていて、用いられる。(自動車のステアリングホイールは、45°の車輪のステアリング角度を与えるため、およそ3周の回転を行う。)ドライバの腕により与えられる必要な力を減少させるため、そのようなステアリング角度を縮小して操舵することを達成するように、ハンドルバーの回転角度は車輪のステアリング角度よりも大きくなければならない。導入されるステアリング伝達システムに応じて、そのような比率は、動作の伝達の繋がりにおけるいずれかの位置において変わり得る。モータビークルの場合、ドライバにより与えられるステアリングホイールの過剰な操作力の問題を解決する電気式及び/又は液圧式サーボ機構が用いられるため、技術的問題を解決する可能性がより大きくなることは明らかである。また、モータビークルの場合、利用可能な多くの隙間を有するため、ステアリングホイールのすべての寸法と干渉の問題が容易に解決する。
【0012】
モータサイクルの場合、サーボ機構は、車両の重量とコストを過剰に増加させるため、用いられない。また、ステアリング装置の寸法を最小化させる必要がある。
【0013】
実際に、例えば、ステアリングに与えられる力を減少させるため、ステアリング角度をかなり縮小して操舵することから生じるハンドルバーの過剰な回転は、モータサイクルのハンドルバーの部品と、シャシ及び/又はフェアリングの部品との間の干渉の虞を伴う。
【0014】
したがって、自動車部門において用いられる、そのような従来技術の解決手段は上述の欠点を示す。
【0015】
したがって、従来技術に関して記載される欠点と制約を解決する必要性を示す。
【0016】
そのような必要性は、請求項1に記載のモータサイクルにより満足される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のさらなる特徴と利点が、好ましい非限定的な実施形態の以下の記載から明確に示される。
図1a図1aは、本発明の実施形態に記載のモータサイクルの斜視図である。
図1b図1bは、モータサイクルの複数の構成要素が良く見えるように、ハンドルバーと前輪が省略されている、図1aにおけるモータサイクルの斜視図である。
図2図2は、図1aにおける矢印IIから見た、図1aにおけるモータサイクルの正面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に記載のモータサイクルの前軸の複数の斜視図と側面図である。
図4図4は、図3の矢印IVから見た、拡大斜視図を示す。
図5図5は、本発明の別の実施形態に記載のモータサイクルの前軸の複数の斜視図と側面図である。
図6図6は、本発明の別の実施形態に記載のモータサイクルの前軸の複数の斜視図と側面図である。
図7図7は、本発明に記載のモータサイクルの前軸のステアリングが動作する運動学の概略平面図である。
図8図8は、ハンドルバーを通して与えられるステアリング角度に応じる、側方ステアリング角度と中心ステアリング角度との間の伝達比(T)のパターンの図表である。
【0018】
以下に記載される実施形態で共通の要素又は要素の一部は同じ符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述の図を参照して、符号4は、本発明に記載のモータサイクルの全体図を包括的に示す。
【0020】
モータサイクル4は、少なくとも1つの後輪と、ハンドルバー20に運動学的に繋がる少なくとも2つのステアリング用前輪12,16とを備える。
【0021】
モータサイクルは、ステアリング用前輪12,16を有する前軸26と、後輪8を支持する後部スイングアーム30を有する後軸28とを支持するシャシ24を備える。
【0022】
後部スイングアーム30とシャシ24は、どちらも、いかなる形状と大きさを有してもよく、例えば、格子型、略箱型、ダイキャストなどであってもよい。
【0023】
シャシ24は一体又は複数の部品である。スイングアーム30と結合するシャシ24の一部は、一般的に、ドライバ及び/又は乗員の座席を支持する。スイングアーム30は、少なくとも1つのヒンジピンに関して可動するように、モータサイクル4のシャシ24の上記一部に取り付けられ得る。スイングアーム30とシャシ24との間が、ヒンジ部を通して直接接続され得る、又はクランク機構及び/又は中間フレームの介在により接続され得ることが重要である。
【0024】
前軸26について、ステアリング用前輪12,16は、側方ステアリング角度α1,α2に応じて、それぞれの側方ステアリング軸L1,L2周りに回転し得る。ハンドルバー20は、中心ステアリング角度βに応じて、中心ステアリング軸C周りに回転し得る。
【0025】
ステアリング用前輪12,16は、側方ステアリング角度α1,α2と中心ステアリング角度βとの間の比率により定まる伝達比Tを実現する伝達手段36により、ハンドルバー20に運動学的に接続されている。
【0026】
有利なことに、伝達手段36は、ハンドルバー20に運動学的に接続されているステアリングバー40を備える。このステアリングバー40はステアリング用前輪12,16を直接繋げる。
【0027】
有利なことに、ハンドルバー20の中心ステアリング角度βが変わるにつれて、ステアリング用前輪12,16とハンドルバー20との間の伝達比Tは変動し得る。
【0028】
実施形態によれば、上記伝達比Tは、ハンドルバー20の中心位置の近傍において、中心ステアリング角度βが無効な値であるため、最大であり、ハンドルバー20の回転が上記中心位置に対して増加するにつれて減少する。
【0029】
実施形態によれば、上記伝達比Tは、40°よりも大きい中心ステアリング角度βに対して、実質的に単一である。
【0030】
実施形態によれば、伝達手段36は、対応する前輪12,16に運動学的にそれぞれ接続されている2つの側方ステアリング支持部44,48を備える。このとき、ステアリングバー40は、それぞれの側方ヒンジ部52,56に対して、上記側方ステアリング支持部44,48に回転軸を設けられており、中心線Mに対して中心ヒンジ部60を備えており、中心ヒンジ部60を通る運動学的中心機構部62により、ハンドルバー20に回転可能に接続されるステアリングチューブ64に回転軸を設けられている。
【0031】
側方ステアリング支持部44,48は互いに同一の側方ステアリングアーム68,70を形成する。このとき、ステアリングバー40は、側方ステアリングアーム68,70に対して小さい長さを有する中心ステアリングアーム72を妨げるように形成されている。
【0032】
側方ステアリングアーム68,70は、側方ステアリング軸L1,L2と、対応する側方ヒンジ部52,56との間のそれぞれの距離である。一方、中心ステアリングアーム72は、中心ヒンジ部60と中心ステアリング軸Cとの間の距離である。
【0033】
好ましくは、側方ステアリングアーム68,70は、真っすぐなステアリング用前輪12,16の配置において、中心ステアリングアーム72よりも大きい。
【0034】
これにより、伝達比Tは、ハンドルバー20の中心位置の近傍において、中心ステアリング角度βが無効な値であるため、最大であり、ハンドルバー20の回転が上記中心位置に対して増加するにつれて減少する状態になり得る。
【0035】
好ましくは、運動学的中心機構部62は、中心ステアリング角度βが変化するにつれて、中心ステアリングアーム72の長さを変化させるように形成されている。
【0036】
実施形態によれば、運動学的中心機構部62は、偶発する実際の中心ステアリング角度βに中心ステアリングアーム72の長さを応じさせるように、中心ステアリングアーム72の長さ76を変える手段を備える。
【0037】
例えば、中心ステアリングアーム72の長さ76を変化させる手段は、上記中心ステアリングアーム72に平行な長手方向Fに沿ってステム84上を摺動する長手方向のブッシュ80を備える(図4参照)。
【0038】
別の実施形態によれば(図5参照)、中心ステアリングアーム72の長さ76を変化させる手段は、中心ステアリングアーム72の長さをハンドルバー20の回転に応じて伸ばす、及び/又は縮め得るように、上記中心ステアリングアーム72に平行な長手方向Fに沿って弾性的に変形する伸縮手段88を備える。
【0039】
別の実施形態によれば、中心ステアリングアーム72の長さ76を変化させる手段は、中心ステアリングアーム72の回転に応じて、上記中心ステアリングアーム72に平行な長手方向Fに沿って中心ステアリングアーム72の長さを選択的に変更する、液圧式、機械式、及び/又は電気式作動部を有する作動手段(図示せず)を備える。
【0040】
実施形態によれば、中心ステアリングアーム72の長さ76を変化させる手段は、中心アーム72の長さをいずれかの所望の値に選択的に定めることに適したロック装置(図示せず)を備える。この方法において、いずれかの位置又はハンドルバー20の回転におけるステアリングロックの機能を実現することができる。
【0041】
実施形態によれば、側方ステアリング軸L1,L2は、互いに平行である一方、中心ステアリング軸Cに対して異なる傾斜を有する。そのような構成において、運動学的中心機構部62は、中心ステアリングアーム72自体に直交する垂直方向に従って、中心ステアリングアーム72を移動できるようにすることに適した浮動手段96を備えてもよい。例えば、そのような移動は、ステアリングバー40と中心ヒンジ部60との間における垂直方向の隙間Gを与えることにより得られてもよい。
【0042】
実施形態によれば(図5参照)、側方ステアリング軸L1,L2は、互いに平行である一方、中心ステアリング軸Cに対して異なる傾斜を有する。ステアリングバー40は、例えば上記側方ステアリング支持部44,48に対するステアリングバー40の接続端の近傍において、回転接合部98を備えてもよい。例えば、上記回転接合部98は玉軸受99を備える。
【0043】
実施形態によれば、運動学的中心機構部62が、中心ステアリングアーム72に平行な長手方向の回転軸Rを定める長手方向のヒンジ部100を備えることにより、ステアリングバー40が上記長手方向の回転軸R周りに回転できる。この実施形態により、ステアリングバー40は、傾斜する前軸のロール回転に従い得る。
【0044】
特に、上記ステアリング用前輪12,16は、ハンドルバー20を支持する横断四角形構造106に運動学的に接続されている支持ブラケット104により支持されている。この横断四角形構造106は、ロール回転方向S−Sに従って互いに平行なロール回転ヒンジ部108を形成している。
【0045】
好ましくは、ステアリングバー40は、上記ロール回転方向S−Sに平行な側方ロール回転ヒンジ部108により、上記支持ブラケット104に回転軸を設けられている。
【0046】
好ましくは、長手方向の回転軸Rは上記ロール回転方向S−Sに平行である。
【0047】
本発明に記載のモータサイクルの前軸の動作が特に記載される。
【0048】
特に、図7は、本発明に記載のモータサイクルの前軸の運動学的機構部の動作を概略的に示す。
【0049】
使用者は、ハンドルバー20に作用して、ステアリングバー40と、特に中心ステアリングアーム72とを回転させる。このとき、車輪が真っすぐであるときのハンドルバーの状態から始まると仮定する。
【0050】
中心ステアリングアーム72の長さは側方ステアリングアーム68,70の長さよりも小さい。中心ステアリングアーム72の長さ76を変化させる手段があるため、運動学的機構部は過剰に静止せず、操舵することができる。したがって、ハンドルバー20のステアリング角度を増加させると、中心ステアリングアーム72が伸びる。同様に、側方ステアリング角度α1,α2と中心ステアリング角度βとの間の伝達比Tが変化する。特に、そのような伝達比Tは徐々に減少する。この方法において、ハンドルバーは、最初、ステアリング角度を縮小して操舵されるため、非常に「軽い」一方、ステアリング角度が増加するにつれて、より固くなる。
【0051】
図7において、ステアリングの状態は、ハンドルバー20の回転により回転する、又は回転しながら平行移動するすべての要素に関して、添字「’」を有する符号により示される。
【0052】
図8において、横座標は、ハンドルバー20のステアリング角度(従って中心ステアリング角度β)を示す。一方、縦座標は、前輪12,16との間のステアリング角度の平均値、すなわち側方ステアリング角度α1,α2の平均値と、ハンドルバー20の中心ステアリング角度βとの間における比率を示す。ステアリング角度を縮小して操舵せず、運動学的に操舵しない場合、車輪は、ハンドルバー20と同じ角度で両方とも操舵され、比率は常に単一である。
【0053】
曲線Bは、固定されたステアリング角度に縮小させる比率を備える状況を示す。一方、曲線Aは、本発明に記載される、ステアリング角度を縮小して可変に操舵することによる解決手段のパターンを示す。このとき、異なる傾向が明らかになる。ハンドルバー20の中心ステアリング角度βが増加するにつれて、ステアリング用車輪が固定される場合(曲線B)、比率は1から逸れる一方、この比率は、可変な伝達比Tを含む場合(曲線A)、単一の値に達する。中心ステアリング角度βが増加するにつれて、2つの作用の間の差は増加する。
【0054】
本明細書から分かるように、本発明により、先行技術の欠点を克服し得る。
【0055】
特に、ステアリング比を変化させるすべての方法において、本発明は運動学的機構部を提案する。この運動学的機構部はステアリング比を所定の単位に近づける。(したがって、運動学的機構部を固くする一方、零点の周辺である、又は車輪が真っすぐであるとき、軟らかくする。)
【0056】
特に、これは、Uターンのとき、ハンドルバーが回転し過ぎないようにステアリング角度を縮小して操舵する場合、重要である。ハンドルバーが回転し過ぎることは、人間工学的に好ましくなく、車両のコーティング/フェアリングに制約を与え得る。
【0057】
操作するとき、ドライバは、ステアリング角度を縮小して操舵するモータサイクルの知覚される機敏さにおいて、大きな改善に気付く。ステアリング角度を縮小して操舵することにより、等しい車輪の回転角度を備えるハンドルバーに与えられる力を減少する。
【0058】
したがって、本発明は、高価且つ複雑な機構が実装されることなく、ハンドルバーのステアリング比を自動的且つ効率的に変え得る。
【0059】
これは、モータサイクルの前軸を重みで押し下げることも防ぐ。
【0060】
また、ステアリング角度を縮小して可変に操舵することは、ステアリング角度が大きくなるにつれて、ステアリング比を所定の単位に近づけるように、零点の周辺においてハンドルバーを軽くする。
【0061】
この方法において、零点に近いとき、すなわち、車輪が実質的に真っすぐであるとき、ステアリング用車輪を軽くすることが得られる。これにより、ハンドルバーに与えられる過剰な力を必要とせず、運転が快適になる。
【0062】
また、ハンドルバーの角度が中心位置に対して大きく増加するとき、ステアリング比の変化は、ハンドルバーと車両のシャシ及び/又は外殻の部品との間の干渉を避けるために、ほとんど正比例になるまで、ステアリング角度の縮小を減少させる。
【0063】
すなわち、本発明により、可変なステアリング比が達成される。これにより、ステアリング比の大きさに関する欠点を防ぐように、ステアリング角度を縮小して操舵することの快適さに関する利点を有してもよい。
【0064】
また、ステアリング角度が増加するにつれて、ステアリング角度の縮小は自動的に減少するため、同じ固さになる。この方法において、最も大きなステアリング角度を必要とするとき、すなわちカーブに対応するとき、ステアリングの感度と固さが増加する。
【0065】
本発明に記載のモータサイクルは、ステアリング装置のコスト、重量、及びすべての寸法を大きくしないように、快適さと運転の正確さを確実にする。
【0066】
当業者は、特定の付随する必要性を満たすため、上述の装置に複数の変更及び調整を加え得る。すべての変更及び調整は、以下の特許請求の範囲に定められている保護の範囲内にある。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8