(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963623
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】水ガラス鋳造用硬化剤
(51)【国際特許分類】
B22C 1/18 20060101AFI20211028BHJP
B22C 1/10 20060101ALI20211028BHJP
B22C 1/20 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
B22C1/18 B
B22C1/10 C
B22C1/20 Z
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-541789(P2019-541789)
(86)(22)【出願日】2018年1月18日
(65)【公表番号】特表2020-506061(P2020-506061A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】CN2018073201
(87)【国際公開番号】WO2018141211
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年9月30日
(31)【優先権主張番号】201710064176.7
(32)【優先日】2017年2月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】315007271
【氏名又は名称】済南聖泉集団股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】祝 建勲
(72)【発明者】
【氏名】姚 慧民
【審査官】
萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−532209(JP,A)
【文献】
特表2019−505392(JP,A)
【文献】
特開2013−094834(JP,A)
【文献】
特表2011−500330(JP,A)
【文献】
特開昭49−093216(JP,A)
【文献】
特開昭50−080218(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104493101(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0264469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00−3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水ガラス鋳造用硬化剤であって、エステル及びZrSiO4熱分解法による非晶質シリカを含み、かつ、この水ガラス鋳造用硬化剤には水が含まれておらず、前記エステルと前記ZrSiO4熱分解法による非晶質シリカとが撹拌された懸濁液であることを特徴とする水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項2】
さらにアルコールを含むことを特徴とする請求項1記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項3】
前記水ガラス鋳造用硬化剤の総量100の重量部に対して、
エステルを35-65重量部、
アルコールを5-20重量部、及び
ZrSiO4熱分解法による非晶質シリカ20-45重量部を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項4】
前記エステルと前記ZrSiO4熱分解法の非晶質シリカの重量比は0.78−3.2:1であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項5】
前記エステルと前記ZrSiO4熱分解法の非晶質シリカの重量比は1.0−2.5:1であることを特徴とする請求項4記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項6】
前記エステルは、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、または二塩基性エステルのいずれか1つまたは2つ以上から選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項7】
前記アルコールは、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールのいずれか1つまたは2つ以上から選択されることを特徴とする請求項2記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項8】
エステル、アルコール、及びZrSiO4熱分解法の非晶質シリカからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水ガラス鋳造用硬化剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の水ガラス鋳造用硬化剤の調製方法であって、
前記水ガラス鋳造用硬化剤の製造方法は、
(1)まず配合量のエステルを高速ミキサーに入れて、撹拌タンクに添加して撹拌するステップと、
(2)必要に応じて、一定の比率で計量したアルコールを投入するステップと、
(3)撹拌速度を800回転/分以上にし、一定の比率で計量したZrSiO4熱分解法の非晶質シリカを加え、10-20分間撹拌を継続し、懸濁液として作用させ、前記水ガラス鋳造用硬化剤を得るステップ
を含むことを特徴とする水ガラス鋳造用硬化剤の調製方法。
【請求項10】
砂型又は中子の製造に用いられ、前記砂型又は中子は金属鋳造に用いられ、前記金属鋳造は鋳鋼であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項の水ガラス鋳造用硬化剤の用途。
【請求項11】
水ガラスの自己硬化砂であって、前記水ガラスの自己硬化砂の総量100重量部に対して、
石英砂95-98重量部、
水ガラス1.8-366重量部、及び
水ガラス鋳造用硬化剤0.2-1.4重量部を含む
前記水ガラス鋳造用硬化剤は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水ガラス鋳造用硬化剤であることを特徴とする水ガラスの自己硬化砂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳造硬化剤の改良技術分野に関し、特に水ガラス鋳造用硬化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造は機械製造業の中で汚染が最も深刻な産業の1つであり、中子形成用のバインダーが主な汚染源となっている。現在、鋳造工場はフラン樹脂、ウレタン樹脂などの有機バインダーを広く採用している。液体金属を砂型に流し込む時、燃焼分解してトルエン、キシレン、フェノール、一酸化炭素、浮遊物などの有毒ガスと有害物質を放出する可能性がある。鋳造プロセス中に分解生成物の排出を回避するため、無機バインダーを採用することが考慮される場合がある。
【0003】
通常、水ガラスは珪砂と純アルカリから合成される無機バインダーであり、地球上で最も資源が豊富な物質の一つであり、環境への影響が最も小さい鋳造用樹脂である。しかし、同じ添加量では、水ガラスのバインダーの機械的性質は有機樹脂より低く、水ガラス砂の崩壊性に加えて、その普及と応用を妨げている。そのため、水ガラス強化剤(水ガラス鋳造用硬化剤)を加えることで、水ガラスの比強度を向上させている。
【0004】
非晶質シリカは前記の水ガラス強化剤として使用できる。例えば、中国特許公開号CN101027147Aは、耐火性の成形ベース材料と水ガラスベースのバインダーを含む金属加工用砂型の成形材料混合物を公開している。この成形材料混合物は成型後の砂型の強度を大幅に高めることができるが、強化剤としての粒状非晶質シリカは固体粉末であり、その連続添加性が悪く、計量と添加が不便である。添加時に粉塵が舞い上がって作業環境が悪化する。特にエステル硬化水ガラス砂で使用する場合、複数の成分を追加すると作業の複雑さが増し、工業用途には不利である。
【0005】
一方、ZrSiO
4熱分解法により作製した非晶質シリカ(ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ)は他の非晶質シリカ源と比較して、添加量が同じである場合、より高いコア重量が得られるので、このことは、砂粒子がより密に堆積していることを示している。さらに混合物を作製するとき、ZrSiO
4熱分解法で作製した非晶質シリカは、混合物の粘度がより低く、流動性がより良く、添加がより便利である。
【0006】
しかし、前記のZrSiO
4熱分解法の非晶質シリカは、液体中に3ヶ月以上保存すると、水ガラス硬化剤として使用する場合、接着強度が急激に低下し、自己硬化効果を果たすことができなくなることがある。
【0007】
そのため、上述のZrSiO
4熱分解法の非晶質シリカを液体形式の水ガラス強化剤として調製すると、この水ガラス強化剤が依然として強い接着増強作用を発揮できるか否かの懸念がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の従来技術に存在する技術的課題に鑑みて、本発明は、接着性増大効果が高く、保存期限が長く、操作性が良好な水ガラス鋳造用硬化剤を提供することと、この水ガラス鋳造用硬化剤の製造方法及びその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述の技術的課題を解決するために研究を重ねた結果、ZrSiO
4熱分解法の非晶質シリカをエステルに存在させて作製した水ガラス鋳造用の無水硬化剤によって前記の技術的課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接着性増大効果が高く、保存期限が長く、操作性が良好な水ガラス鋳造用硬化剤、この水ガラス鋳造用硬化剤の製造方法とその用途を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体的な実施形態に関連して詳細く説明する。矛盾がない場合、本明細書の科学用語は当業者によって一般的に理解される意味を有し、矛盾がある場合は本明細書の定義が優先する。
【0012】
まず、一態様において、本発明は、水ガラス鋳造用硬化剤(本発明の硬化剤)を提供する。前記水ガラス鋳造用硬化剤は、エステル及びZrSiO
4熱分解法による非晶質シリカを含み、かつ、この水ガラス鋳造用硬化剤には水が含まれていない
【0013】
本明細書では、用語「エステル」は、アルコールとカルボン酸または無機含酸素酸とのエステル化反応により生成されるものを指し、好ましくはアルコールと有機カルボン酸とのエステル化反応により生成されるものを指す。このエステルを形成するアルコールとしては、エチレングリコールまたはグリセリン(グリセロール)が好ましい。このエステルを形成するカルボン酸としては、酢酸または無機含酸素酸(例えば、炭酸)が好ましい。本発明の硬化剤に含まれるエステルは、通常の条件下で液状であるべきである。このエステルの具体例としては、例えば、グリセリンモノアセテート(モノアセチン)、グリセリンジアセテート(ジアセチン)、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、エチレングリコールジアセテート、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトンまたは二塩基性エステルのいずれか1つまたは2つ以上から選択することができる。
【0014】
好ましくは、本発明の硬化剤にはアルコールを含んでも良い。アルコールを添加していない硬化剤は輸送中に凝固しやすく、分散するのにより大きな速度が必要となるため、硬化剤の移動と使用が困難になる。多くの探索実験により、一定量のアルコールを含むことは、本発明の硬化剤に適切な粘度を持たせるだけでなく、輸送または長時間放置した後に生じる凝集沈殿が、わずかな撹拌後に元の効果を達成でき使用が便利であることを示した。
【0015】
本明細書では、用語「アルコール」は、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素または芳香族炭化水素の側鎖上の水素原子をヒドロキシ基で置換した化合物を意味する。本発明の硬化剤に含まれるアルコールは、通常の条件下で液体状態である。このようなアルコールの具体的な例としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールのいずれか1つまたは2つ以上から選択することができる。アルコールの毒性は大きくなく、極性は水とエステルの間にある。特に好ましい例は、エタノールであり、エタノールを使用する場合、本発明の硬化剤の懸濁液をより均一に安定させることができるので、経済性、環境保護性の観点からエタノールが最適な選択である。
【0016】
前記ZrSiO
4熱分解法の非晶質シリカは、好ましくは50μmより小さい粒径であり、好ましくは10μmより小さい。特に好ましくは5μmより小さい。粒度は、10μmの篩目サイズを有する篩上のふるい分け残渣は、好ましくは7重量%より小さく、特に好ましくは4重量%未満である。
【0017】
本明細書では、用語「水を含まない」とは、本発明の硬化剤に少なくとも水を添加する意図がないことを意味する。本発明を構成する硬化剤の各成分(例えば、エステル、アルコール、ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ)には、通常許容される微量の水が含まれてもよいが、本発明の硬化剤を製造する前に、その中の少なくとも一部または全部の水を除去することが好ましい。本発明者は、水の存在が本発明の硬化剤の接着性増大効果を大きく損ない、長期保存後の接着性増大効果が著しく低下することを発見した。したがって、本発明の硬化剤の含水量は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.02重量%以下、より好ましくは0.01重量%未満である。
【0018】
本明細書では、用語「含有する」、「含む」は、構成要素に加えて他の構成要素を含み得ることを意味する。これらの他の成分としては、例えば、当業者が一般的に使用する添加剤、例えば、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、カーボネートエステルカップリング剤)などが挙げられる。また、本明細書では、一実施形態として、「含有する」、「含む」をclosed形式の「のための」または「…からなる」に置き換えてもよい。
【0019】
本発明者は、本発明の硬化剤の各成分の比が一定の範囲にあるとき、本発明の技術的効果をより良く実現することができることを発見した。したがって、本発明の硬化剤の総量100重量部に対して、本発明の硬化剤は、エステル35-65重量部、アルコール5-20重量部、及びZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ20-45重量部を含むことが好ましい。さらに、エステル及びZrSiO
4熱分解法による非晶質シリカの重量は、好ましくは0.78−3.2:1より1.0−2.5:1が好ましい。これにより、本発明の硬化剤は、接着性増大効果、保存期限、操作可能性のいずれにおいても優れている。
【0020】
他の一つの態様において、本発明は、本発明の硬化剤を調製するための調製方法(本発明の製造方法)を提供するものであり、以下のステップを含む:
(1)まず配合量のエステルを高速ミキサーに入れて、撹拌タンクに添加して撹拌する;
(2)必要に応じて、一定の比率で計量したアルコールを投入する;
(3)撹拌速度を800回転/分以上にし、一定の比率で計量したZrSiO
4熱分解法の非晶質シリカを加え、10-20分間撹拌を継続し、懸濁液として作用させ、前記水ガラス鋳造用硬化剤を得る。
【0021】
本明細書において、「配合比」とは、前記の本発明による硬化剤における重量比をいう。
【0022】
本発明の調製方法において、エステル及びアルコールの好適な例は、上述したとおりである。
【0023】
前記ステップ(3)の回転速度は、800回転/分以上に設定され、例えば、800-1000回転/分、好ましくは900-1000回転/分の範囲で適切に調整することができる。
【0024】
本発明の硬化剤が他の成分を含んでいる場合、本発明の調製方法は、他の成分を投入するステップをさらに含み、他の成分は単独で投入してもよいし、上述のエステルまたはアルコールと一緒に加入してもよいし、あるいは上記のエステルまたはアルコールに混入してもよい。好ましくは、まずエステルを加えて、他の成分を加える。
【0025】
本発明者は、前記の各成分を混合して、本発明の硬化剤を調製することにより、水ガラスの自己硬化砂の調製に適用することができ、水ガラス鋳造用硬化剤を一括添加して、粉体汚染がなく、操作が簡単で、計量、添加が便利で、工業的生産に有利であることを発見した。本発明の硬化剤は90日以上保存してから使用しても、接着性増大効果が弱まらず、水ガラス砂の強度を著しく増強し、成形後の砂型または中子の保時間が長いし、より高い強度を維持し、砂型または中子の機械的性質を大幅に改善することができる。
【0026】
本発明の作用機構はまだ明確ではないが、一つの解釈は、系に水が存在する場合、ZrSiO
4熱分解法による非晶質シリカと水が協働してエステルの分解を促進し、系が水を含まないことによりエステルの分解が抑制される、というものである。
【0027】
したがって、他の態様では、本発明は、砂型または中子を製造するための本発明の硬化剤の用途を提供する。砂型または中子は、好ましくは鋳鋼である金属鋳造に用いられる。
【0028】
さらに、もう一つの態様では、本発明は水ガラスの自己硬化砂を提供する。前記水ガラスの自己硬化砂は、前記水ガラスの自己硬化砂の総量100重量部に対して、石英砂95-98重量部、水ガラス1.8-366重量部、及び水ガラス鋳造用硬化剤0.2-1.4重量部を含み、前記水ガラス鋳造用硬化剤は本発明の硬化剤である。
【0029】
以下、実施例に関連して本発明をより具体的に説明する。以下に示す実施例は、本発明に対する限定ではなく、本発明の理解を容易にするためである。
【0030】
<実施例1>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート12
エチレングリコールジアセテート3
グリセリントリアセテート45
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ40
前記ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカは、蚌埠中恒新材料科学技術有限公司から、粒度0.5μm(D50)のものを購入した。以下同様である。
【0031】
<実施例2>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート10
エチレングリコールジアセテート9
グリセリントリアセテート51
ZrSiO4熱分解法非晶質シリカ30
【0032】
<実施例3>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート2
エチレングリコールジアセテート27
グリセリントリアセテート51
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ20
【0033】
<実施例4>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート10
エチレングリコールジアセテート2
グリセリントリアセテート28
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ40
エタノール20
【0034】
<実施例5>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート2
エチレングリコールジアセテート24
グリセリントリアセテート44
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ20
エタノール10
【0035】
<実施例6>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート10.8
エチレングリコールジアセテート2.4
グリセリントリアセテート46.8
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ30
エタノール10
【0036】
<実施例7>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート10.8
エチレングリコールジアセテート2.4
グリセリントリアセテート46.8
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ30
エタノール10
シランカップリングKH-5601.0
【0037】
<実施例8>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート9.1
エチレングリコールジアセテート1.8
グリセリントリアセテート25.5
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ36.4
N-プロパノール27.2
【0038】
各実施例では、まず、前記エステルを反応タンクに加えて、撹拌を開始し、その後、前記アルコールと他の成分を加えて、撹拌速度を900−100に調整し、前記非晶質シリカを加えて、20minを引き続き撹拌し、本発明の各実施例の水ガラス鋳造用硬化剤を得た。
【0039】
<比較例1>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート10
エチレングリコールジアセテート2
グリセリントリアセテート28
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ40
エタノール10
水10
【0040】
<比較例2>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート10
エチレングリコールジアセテート2
グリセリントリアセテート28
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ40
エタノール15
水5
【0041】
<比較例3>
配合比(質量/g)
グリセリンジアセテート7.2
エチレングリコールジアセテート1.6
グリセリントリアセテート31.2
ZrSiO
4熱分解法非晶質シリカ30
エタノール10
水20
各比較例の水ガラス鋳造用硬化剤の調製方法は、実施例の水ガラス鋳造用硬化剤と同じである。
【0042】
上記の実施例と比較例で調製した水ガラス鋳造用硬化剤については、水ガラスの自己硬化砂の調製に用いた。具体的な操方は以下のとおりである。各水ガラス鋳造用硬化剤を55℃のオーブンに保存して保存期間の加速試験を行い、18日(室温で6ヶ月の保存に相当)保存後、新たに調製したサンプルと強度の比較を行った。大林の標準砂1000gを秤量し、ブレード型実験用砂ミキサーに追加し、それぞれ上述の各水ガラス鋳造用硬化剤5.31gを加えて、1min撹拌して、水ガラス(モジュラス2.3、固形分40%)20gを添加して、1分間撹拌し、サンディングを行い、“8”形のテストブロックを作った。1h、4h、24hの引張強度を測定して、標準GB-2264を実行して、その結果を表1と表2に示す。「8」形のテストピースは20℃、40%(RH%)の恒温恒湿箱に保存した。
【0045】
表1の実施例に示すように、55°Cのオーブンで18日間焼いたサンプルと新たに調製したサンプルを比較すると、強度はわずかに変化したが、実際の使用に影響を与えない。しかし、表2の比較例の水ガラス鋳造用硬化剤を55℃のオーブンで18日間焼くと、その接着性増大効果は著しく低下し、使用できなかった。このことから、本発明の水ガラス鋳造用硬化剤は、長期間の保存後、その接着性増大効果が低下しないことがわかる。