特許第6963652号(P6963652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6963652
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】制御回路
(51)【国際特許分類】
   B61L 29/28 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   B61L29/28 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-86501(P2020-86501)
(22)【出願日】2020年5月18日
【審査請求日】2020年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】関 貫造
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−199343(JP,A)
【文献】 特開2011−228110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/00−29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部入力される昇降制御指令信号に従って遮断かんの昇降動作を制御する踏切遮断機の制御回路であって、
所定の動作電圧で励磁される有極形の制御リレーと、
前記制御リレーの接点を介して入力される指令信号に基づいて、前記遮断かんを昇降動作させるモータの駆動制御を行う電子駆動制御部と、
前記昇降制御指令信号の電圧が前記制御リレーの前記動作電圧より高い所定の閾値以上であるか否かを示す制御信号を出力する制御入力変換部と、
前記制御信号に基づき、前記制御リレーを励磁させる場合には負電圧のリレー動作制御信号を前記制御リレーの負極端子に出力する動作電圧生成部と、
を備え
前記制御入力変換部は、
前記昇降制御指令信号が入力される入力端子間に、第1抵抗子と、当該第1抵抗子に共通接続する2つの並列電流路として、(1)第2抵抗子、第1ホトカプラの第1ホトダイオード、および、第2ホトカプラの第2ホトトランジスタによる直列接続と、(2)第3抵抗子、前記第2ホトカプラの第2ホトダイオード、および、第3ホトカプラの第3ホトトランジスタによる直列接続と、を有するとともに、
前記第3ホトカプラの第3ホトダイオードに接続された交番照査信号を発生する矩形波発生回路と、
前記第1ホトカプラの第1ホトトランジスタを介して前記制御信号を出力する出力端子と、
を有し、前記第1抵抗子、前記第2抵抗子および前記第3抵抗子が、前記交番照査信号がHレベルであり、且つ、前記昇降制御指令信号の電圧が前記閾値以上である時に、前記第1ホトトランジスタを導通させるための電流が前記第1ホトダイオードに流れる抵抗値に定められていることで、前記交番照査信号に同期した交番信号を前記制御信号として前記出力端子から出力する、
制御回路。
【請求項2】
前記昇降制御指令信号は、前記閾値以上の所定の正電圧により上昇動作を指令する信号であり、
前記動作電圧生成部は、前記制御信号が、前記閾値以上の前記昇降制御指令信号であることを示す信号である場合に負電圧の前記リレー動作制御信号を出力する、
請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記動作電圧生成部は、前記制御信号が前記交番信号である場合に負電圧の前記リレー動作制御信号を出力する、
請求項1又は2に記載の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降制御指令信号に従って遮断かんの昇降動作を制御する踏切遮断機の制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
踏切遮断機は、踏切道近傍に設置された踏切制御装置等の外部装置から入力される昇降制御指令に応じて遮断かんの昇降動作が制御される。つまり、昇降制御指令の信号(以下適宜「昇降制御指令信号」ともいう。)を踏切遮断機内の制御リレーCR1で受信し、その制御リレーCR1の接点でモータ(交流電動機)を駆動して遮断かんの昇降動作を制御するとともに、制御リレーCR1の接点と遮断かんの検出位置とを照合して制御リレーCR2を動作させ、その接点でモータへの電源供給及び遮断かんを保持するブレーキ(制動電磁石)の作動・緩解を制御する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−100495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、モータの駆動制御として電力用半導体素子を使用した電子駆動制御が一般的になりつつあり、制御リレーCR1を、電子駆動制御に適した小形リレーに置き換えたいという要望がある。つまり、従来では、制御リレーCR1の接点によりモータ電流をオンオフ制御していたため、制御リレーCR1として重負荷用接点のリレーが用いられていた。しかし、モータを電子駆動制御とする場合、制御リレーCR1はその電子駆動制御部への昇降制御指令信号の入力に用いられるため、制御リレーCR1を、接点に流れる電流が小さい軽負荷用接点の小形リレーに置き換えたいという要望である。また、制御リレーCR1を小形リレーに置き換えることで、従来と比較して、制御回路全体の小形化を図ることもできる。
【0005】
しかしながら、小形リレーは、動作電圧(動作電流ともいえる)や復帰電圧(復帰電流ともいえる)が従来の制御リレーCR1と比較して低いため、踏切制御装置等の外部装置と踏切遮断機内の制御回路をつなぐ外線ケーブルに対する雑音の影響を受け易く、従来に比較して制御回路の安全性が低くなるという問題がある。具体例を挙げる。従来の制御リレーCR1としては、例えば、定格電圧が直流24V、定格コイル電流が93mA、動作電流が69mA、復帰電流が28mAのリレーが知られている。鉄道信号で用いられる一般的な小形リレーは、定格電圧は同じく直流24Vであるが、定格コイル電流が50mA、動作電流が25mA、復帰電流が5mAである。両者を比較すると、従来の制御リレーCR1は、動作し難く復帰し易い特性をもち、小形リレーは、逆に、動作し易く復帰し難い特性をもつといえる。制御リレーCR1の動作は遮断かんの上昇指令に、復帰は遮断かんの下降指令に相当するから、安全性の観点から、従来の制御リレーCR1を小形リレーに単純に置き換えるという設計は採用できない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、踏切遮断機の制御回路において小形化及び安全性を図ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、
外部入力される昇降制御指令信号に従って遮断かんの昇降動作を制御する踏切遮断機の制御回路であって、
所定の動作電圧で励磁される有極形の制御リレー(例えば、図1の制御リレーCR1)と、
前記制御リレーの接点を介して入力される指令信号に基づいて、前記遮断かんを昇降動作させるモータの駆動制御を行う電子駆動制御部(例えば、図1の電子駆動制御部18)と、
前記昇降制御指令信号の電圧が前記制御リレーの前記動作電圧より高い所定の閾値以上であるか否かを示す制御信号を出力する制御入力変換部(例えば、図1の制御入力変換部12)と、
前記制御信号に基づき、前記制御リレーを励磁させる場合には負電圧のリレー動作制御信号を前記制御リレーの負極端子に出力する動作電圧生成部(例えば、図1の負電圧生成部16)と、
を備える制御回路である。
【0008】
第1の発明によれば、小形化及び安全性を図った踏切遮断機の制御回路を実現することができる。つまり、外部入力される昇降制御指令信号の電圧が制御リレーの動作電圧より高い所定の閾値以上であるか否かを示す制御信号に基づいて、制御リレーが励磁される。これは、制御リレーを実際に動作させる電圧を、便宜上、制御リレーの本来の動作電圧よりも高い電圧とみなしていることに相当する。したがって、制御リレーとして動作電圧が低い小形リレーを用いることが可能となり、制御回路の小形化を図ることが可能となる。また、外部入力される昇降制御指令信号が雑音の影響を受けてその電圧が上昇したとしても、閾値に達しなければ制御リレーは励磁されない(動作しない)ので、小形リレーを用いたとしても雑音に対する高い安全性が担保される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
前記昇降制御指令信号は、前記閾値以上の所定の正電圧により上昇動作を指令する信号であり、
前記動作電圧生成部は、前記制御信号が、前記閾値以上の前記昇降制御指令信号であることを示す信号である場合に負電圧の前記リレー動作制御信号を出力する、
制御回路である。
【0010】
第2の発明によれば、故障に対する制御回路の安全性を向上させることができる。故障として、例えば、回路素子の短絡故障によって外部入力された昇降制御指令信号がそのまま制御リレーに印加される事態が想定される。しかし、制御リレーは負電圧で励磁されるので、このような事態において、昇降動作を指令する正電圧の昇降制御指令信号が入力されたとしても、制御リレーは励磁されない。制御リレーが励磁されないときは遮断かんを下降動作させることになり、安全側の動作となる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記制御入力変換部は、前記昇降制御指令信号の電圧が前記閾値以上の場合に所与の交番照査信号に同期した交番信号を前記制御信号として出力し、
前記動作電圧生成部は、前記制御信号が前記交番信号である場合に負電圧の前記リレー動作制御信号を出力する、
制御回路である。
【0012】
第3の発明によれば、制御回路の安全性を高めることができる。つまり、所与の交番照査信号に同期した交番信号を制御信号として出力するためには制御入力変換部の回路素子に故障(開放故障や短絡故障等)が生じていない健全であることが必要となる。故障が生じた場合には、出力される制御信号は交番信号とならないため、動作電圧生成部は負電圧を出力せずに制御リレーを励磁しないこととなる。制御リレーが励磁されないときは遮断かんを下降動作させることになり、安全側の動作となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】踏切遮断機の制御回路の構成図。
図2】制御入力変換部の回路構成図。
図3】負電圧生成部の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
【0015】
[回路構成]
図1は、本実施形態の踏切遮断機の制御回路10の構成図である。この制御回路10は、踏切遮断機内に設けられ、外部入力される昇降制御指令信号に従って遮断かんの昇降動作を制御する回路であり、制御入力変換部12と、負電圧生成部16と、制御リレーCR1,CR2と、電子駆動制御部18と、カムスイッチCS1,CS2とを有する。
【0016】
昇降制御指令信号は、所定の閾値以上の所定の正電圧により上昇動作を指令し、ゼロ電圧により下降動作を指令する信号である。昇降制御用のリレー接点を通じて、上昇動作を指令するときには正電圧(図1の例では、外部電源の24V)が、下降動作を指令するときにはゼロ電圧が、昇降制御指令信号として制御回路10に入力される。しかし、これは理想値であり、実際には、外部装置20から外線ケーブルを介して伝達される際にノイズが重畳することで、制御回路10へ入力される昇降制御指令信号の電圧が、この理想値から変動し得る。
【0017】
制御入力変換部12は、外線ケーブルが接続された入力端子a,b間に入力される昇降制御指令信号の電圧が所定の閾値以上であるか否かを示す制御信号を、出力端子cから出力する。つまり、図2において後述するように、昇降制御指令信号の電圧が所定の閾値以上ならば、所与の交番照査信号に同期した交番信号を制御信号として出力し、閾値未満ならば、Lレベルの信号を制御信号として出力する。閾値は、制御リレーCR1の動作電圧(例えば、約12V程度)より高く、昇降制御指令信号の上昇動作を指令する正電圧(図1の例では、24V)より低い値である。
【0018】
負電圧生成部16は、制御入力変換部12から入力端子dに入力される制御信号に基づき、制御リレーCR1を励磁させる場合には負電圧のリレー動作制御信号を制御リレーCR1の負極端子に出力する。つまり、図3において後述するように、制御信号が、所定の閾値以上の昇降制御指令信号であることを示す交番信号ならば、負電圧のリレー動作制御信号を出力し、閾値未満の昇降制御指令信号であることを示すLレベルの信号ならば、ゼロ電圧のリレー動作制御信号を出力する。
【0019】
制御リレーCR1は、所定の動作電圧(例えば、約12V程度)で励磁される有極形のリレーであり、負極端子(−)が負電圧生成部16の出力端子eに接続され、正極端子(+)が負電圧生成部16の出力端子fに接続されている。
【0020】
従って、制御回路10に入力される昇降制御指令信号の電圧が所定の閾値以上ならば、負電圧が制御リレーCR1の負極端子に出力されることで、制御リレーCR1の両端子間の電圧が動作電圧に達して制御リレーCR1が励磁される。そして、制御リレーCR1の動作接点が構成されることで電子駆動制御部18に上昇指令が入力され、閾値未満ならば、ゼロ電圧が制御リレーCR1の負極端子に出力されて制御リレーCR1は励磁されず、その復旧接点が構成されることで電子駆動制御部18に下降指令が入力される。
【0021】
電子駆動制御部18は、制御リレーCR1の動作接点及び復旧接点を介して入力される上昇指令又は下降指令(以下適宜包括して「指令信号」という。)に基づいて、遮断かんを昇降動作させるためのモータの駆動制御を行う。カムスイッチCS1は、遮断かんが上昇基準位置に達したことを検出し、カムスイッチCS2は、遮断かんが下降基準位置に達したことを検出する。制御リレーCR1の動作接点及び復旧接点を介して入力される指令信号と、カムスイッチCS1,CS2が検出した遮断かんの位置とが一致すると、制御リレーCR2が動作し、その接点(不図示)を介してブレーキ(不図示)が駆動制御される。
【0022】
図2は、制御入力変換部12の回路構成図である。図2によれば、制御入力変換部12は、抵抗子R1〜R6と、ダイオードD1,D2と、ホトカプラP1〜P3と、ドライバーT1,T2と、矩形波発生回路14とを有する。制御入力変換部12の入力端子aには外線ケーブルの正極(+)が、入力端子bには外線ケーブルの負極(−)がそれぞれ接続され、入力端子a,b間に昇降制御指令信号が入力される。制御入力変換部12は、入力端子a,b間に入力される昇降制御指令信号の電圧が所定の閾値以上ならば、矩形波発生回路14が発生する交番照査信号である矩形波信号に同期した交番信号を、閾値未満ならば、Lレベルの信号を、制御信号として出力端子cから出力する。
【0023】
抵抗子R1,R3は、矩形波発生回路14が発生する矩形波信号がHレベルであるときに、入力端子a,b間の入力電圧が閾値以上であるかを判定する閾値回路を形成する。抵抗子R1,R2,R3の抵抗値は、入力電圧が閾値以上である場合に、ホトカプラP1のホトトランジスタQp1を導通させるための電流がホトダイオードDp1に流れるとともに、入力電圧がゼロ電圧より大きい場合に、ホトカプラP2のホトトランジスタQp2を導通させるために必要な電流がホトダイオードDp2に流れるような値に定められる。抵抗子R4は、制御入力変換部12の入力インピーダンスを下げるためである。ダイオードD1は、ホトダイオードDp1及びホトトランジスタQp2の直列回路に対する逆電圧保護用のダイオードであり、ダイオードD2は、ホトダイオードDp2及びホトトランジスタQp3の直列回路に対する逆電圧保護用のダイオードである。矩形波発生回路14は、HレベルとLレベルとを周期的に繰り返す交番照査信号である矩形波信号を発生する。
【0024】
制御入力変換部12の動作を説明すると、入力端子a,b間の入力電圧が閾値未満である場合、出力端子cの出力は、Lレベルで固定となる。すなわち、矩形波発生回路14が発生する矩形波信号がLレベルのときは、ドライバーT2の出力がHレベルとなり、ホトカプラP3のホトダイオードDp3には電流が流れず、ホトトランジスタQp3は非導通となる。このことから、入力端子a,b端子間の入力電圧に関わらず、ホトカプラP2のホトダイオードDp2に電流が流れずにホトトランジスタQp2は非導通となり、ホトカプラP1のホトダイオードDp1に電流が流れずにホトトランジスタQp1が非導通となる。そして、ドライバーT1の出力はLレベルとなることから、出力端子cの出力はLレベルとなる。
【0025】
また、矩形波発生回路14が発生する矩形波信号がHレベルの時は、ドライバーT2の出力がLレベルとなり、ホトダイオードDp3に電流が流れてホトトランジスタQp3が導通する。ホトトランジスタQp3が導通することで、電流がホトダイオードDp2に流れてホトトランジスタQp2が導通するが、ホトダイオードDp1に電流が流れないので、ホトトランジスタQp1は非導通となる。従って、ドライバーT1の出力はLレベルとなることから、出力端子cの出力はLレベルとなる。
【0026】
また、入力端子a,b間の入力電圧が閾値以上である場合、出力端子cの出力は、矩形波信号に同期した交番信号となる。すなわち、矩形波がLレベルのときは、上述のように、入力端子a,b間の入力電圧に関わらず、出力端子cの出力はLレベルとなる。
【0027】
また、矩形波信号がHレベルのとき、ドライバーT2の出力がLレベルとなり、ホトダイオードDp3に電流が流れてホトトランジスタQp3が導通する。ホトトランジスタQp3が導通することで、ホトダイオードDp2に電流が流れてホトトランジスタQp2が導通し、ホトダイオードDp1に電流が流れてホトトランジスタQp1が導通する。そして、ホトトランジスタQp1が導通することで、ドライバーT1の出力がLレベルとなり、出力端子cの出力がHレベルとなる。
【0028】
このように、制御入力変換部12が出力する信号は、入力端子a,b間の入力電圧が所定の閾値以上ならば、矩形波発生回路14が発生する交番照査信号である矩形波信号のHレベル及びLレベルの変化に同期してそのレベルが変化する交番信号となり、閾値未満ならば、Lレベルの信号となる。
【0029】
また、閾値回路である抵抗子R1,R3が短絡故障又は開放故障した場合には、出力が交番信号とならず、Hレベル或いはLレベルに固定された信号となる。つまり、抵抗子R1,R3が短絡故障した場合には、抵抗子R1,R3での電圧降下が生じないことからホトダイオードDp1に流れる電流が増加し、ホトトランジスタQp1が導通することから、出力がHレベルとなる。また、抵抗子R1,R3が開放故障した場合には、入力電圧に関わらず、ホトダイオードDp1,Dp2に電流が流れずホトトランジスタQp1が非導通となることから、出力がLレベルとなる。
【0030】
図3は、負電圧生成部16の回路構成図である。図3によれば、負電圧生成部16は、抵抗子R11〜R13と、トランジスタQ1,Q2と、ダイオードD11,D12と、コンデンサC1,C2とを有する。入力端子dには、制御入力変換部12から、制御信号として、昇降制御指令信号が閾値以上ならば交番信号が、閾値未満ならばLレベルの信号が入力される。出力端子eは制御リレーCR1の負極端子に接続され、出力端子fは制御リレーCR1の正極端子に接続されている。負電圧生成部16は、入力端子dに入力される制御信号が交番信号ならば、出力端子eから負電圧を出力し、Lレベルの信号ならば、出力端子eからゼロ電圧を出力する。
【0031】
負電圧生成部16の動作を説明すると、入力端子dに制御信号として交番信号が入力される場合、交番信号がHレベルのときに、トランジスタQ1が導通し、トランジスタQ2は非導通となる。すると、抵抗子R11、トランジスタQ1、コンデンサC1、ダイオードD11に電流が流れてコンデンサC1が充電される。
【0032】
次いで、入力端子dに入力される交番信号がHレベルからLレベルに変化すると、トランジスタQ2が導通し、トランジスタQ1は非導通となる。すると、コンデンサC1の放電電流が、トランジスタQ2、コンデンサC2、ダイオードD12,D11に流れてコンデンサC2が充電される。コンデンサC2が充電されると、その充電電圧がコンデンサC2の両端に接続された出力端子e,f間に発生し、コンデンサC2の放電電流が制御リレーCR1に供給される。つまり、グランドGNDに接続された出力端子fを基準として出力端子eに負電圧が発生する。交番信号のHレベル及びLレベルの変化に応じて上述の動作が繰り返されることで、コンデンサC2の充電電圧が上昇し、出力端子e,f間の電圧が制御リレーCR1の動作電圧に達すると、制御リレーCR1が励磁される。
【0033】
また、入力端子dに制御信号としてLレベルの信号が継続して入力される場合、トランジスタQ1は非導通、トランジスタQ2は導通となり、コンデンサC1が充電されず、コンデンサC2は充電されずその両端電圧はゼロであるので、出力端子e,f間の出力はゼロ電圧である。また、入力端子dに制御信号としてHレベルの信号が継続して入力される場合、トランジスタQ1は導通、トランジスタQ2は非導通となり、コンデンサC1が充電されるが、コンデンサC2は充電されずその両端電圧はゼロであるので、出力端子e,f間の出力はゼロ電圧である。
【0034】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、小形化及び安全性を図った踏切遮断機の制御回路10を実現することができる。つまり、外部装置20から外部入力される昇降制御指令信号の電圧が制御リレーCR1の動作電圧より高い所定の閾値以上であるか否かを示す制御信号に基づいて、制御リレーCR1が励磁される。これは、制御リレーCR1を実際に動作させる電圧を、便宜上、制御リレーCR1の本来の動作電圧よりも高い電圧とみなしていることに相当する。したがって、制御リレーCR1として動作電圧が低い小形リレーを用いることが可能となり、制御回路10の小形化を図ることが可能となる。また、外部入力される昇降制御指令信号が雑音の影響を受けてその電圧が上昇したとしても、閾値に達しなければ制御リレーCR1は励磁されない(動作しない)ので、制御リレーCR1として小形リレーを用いたとしても雑音に対する高い安全性が担保される。
【0035】
また、制御回路10の故障として、例えば、回路素子の短絡故障によって外部入力された昇降制御指令信号がそのまま制御リレーCR1に印加される事態が想定される。しかし、制御リレーCR1は負電圧で励磁されるので、このような事態において、昇降動作を指令する正電圧の昇降制御指令信号が入力されたとしても、制御リレーCR1は励磁されない。制御リレーCR1が励磁されないときは遮断かんを下降動作させることになり、安全側の動作となる。
【0036】
また、昇降制御指令信号の電圧が制御リレーCR1の動作電圧より高い所定の閾値以上であるか否かを判別するための回路素子に故障(開放故障や短絡故障等)が生じたかを照査するための交番照査信号を発生し、故障が生じた場合には、制御信号として交番信号を出力せず、制御リレーCR1を励磁しないようにしている。制御リレーCR1が励磁されないときは遮断かんを下降動作させることになり、これは安全側の動作となることから、制御回路10の安全性が図れる。
【0037】
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10…制御回路
12…制御入力変換部
R1〜R6…抵抗子
P1〜P3…ホトカプラ
Dp1〜Dp3…ホトダイオード
Qp1〜Qp3…ホトトランジスタ
D1,D2…ダイオード
T1,T2…ドライバー
14…矩形波発生回路
16…負電圧生成部
R11〜R13…抵抗子
Q1,Q2…トランジスタ
C1,C2…コンデンサ
D11,D12…ダイオード
CR1,CR2…制御リレー
18…電子駆動制御部
CS1,CS2…カムスイッチ
20…外部装置
【要約】
【課題】踏切遮断機の制御回路において小形化及び安全性を図ること。
【解決手段】制御回路10は、有極形の制御リレーCR1と、外部入力される昇降制御指令信号の電圧が制御リレーCR1の動作電圧より高い所定の閾値以上である場合に交番信号を制御信号として出力する制御入力変換部12と、制御信号が交番信号である場合に負電圧を制御リレーCR1の負極端子に出力する負電圧生成部16とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3