(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カートリッジチューブが、前記エンドキャップによって前記カートリッジチューブが覆われる領域に設けられ、注封用樹脂が前記カートリッジチューブを介して前記カートリッジチューブの外面と前記エンドキャップの内面との間の空間に達するように構成された少なくとも1つの開口部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジエレメント。
前記エンドキャップを前記カートリッジチューブの外面又は内面にスライド嵌合させた後に、前記中空糸膜束の端部を越えて延在し、注封用樹脂の貯槽/容器を形成する第3の部分(c)を含み、前記エンドキャップの軸方向において前記第2の部分を介在して前記第1の部分と前記第3の部分が位置している、及び/又は
注封用樹脂の供給源に接続することができる入口開口部を含む、
及び/又は
前記エンドキャップが、注封後の切断位置を示す少なくとも1つのマークを含むことを特徴とする、請求項7に記載のエンドキャップ。
前記エンドキャップが、ポリフェニレンスルフィド、又はポリフェニレンオキシドとポリスチレンのブレンド、又は他のポリマー、又はポリマーブレンド、ポリマー混合物から選択され、以下の特性の少なくとも1つを有するポリマー、ポリマーブレンド又はポリマー混合物からなることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載のエンドキャップ。
・射出成形が可能。
・最大熱膨張係数が1×10−41/K
・熱たわみ温度(材料が形状を保持する最大温度)が少なくとも140℃。
・エンドキャップが、1%未満の収縮を示すポリマーからなる。
単一又は複数のカートリッジのハウジングと、前記カートリッジの各エンドキャップと前記カートリッジハウジングとの間に配置され、供給成分と透過成分を分離するOリングと、をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の膜分離装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態に係るカートリッジエレメントは、カートリッジチューブ内に配置された中空糸膜束と、カートリッジチューブの両端に設けられたエンドキャップと、を含む。本発明のカートリッジエレメントは、
カートリッジチューブが、エンドキャップ間に配置された少なくとも1つの流体入口/出口開口部を含み、
エンドキャップがポリマー材料からなり、エンドキャップがカートリッジエレメントに固定されており、
中空糸膜束の両端においてチューブシートがカートリッジエレメントに接合されていることを特徴とする。
【0030】
上述したように、本発明のカートリッジエレメントは膜分離モジュールとは異なる。カートリッジエレメント及び膜分離モジュールは膜分離プラントにおいて使用されるが、膜分離モジュールの場合には、膜が消耗した場合や、その他の理由で交換が必要な場合にはモジュール全体を交換する。一方、カートリッジハウジング及びカートリッジエレメントを含む膜分離装置の場合には、通常は装置全体を交換することはない。通常は、カートリッジエレメントのみを交換し、カートリッジハウジングは膜分離プラントにおいてそのまま使用する。そのため、カートリッジエレメントの交換はモジュールの交換と比較して低コストであり、実施も容易である。
【0031】
本発明のカートリッジエレメントは、カートリッジチューブと、カートリッジチューブに直接又は間接的に(例えば、接合層又はチューブシートを介して)固定され、カートリッジエレメントを交換する際に交換されるその他の部品を含む。本発明のカートリッジエレメントは、中空糸膜束と、カートリッジチューブに固定されたその他の部品、特に、チューブシート及びエンドキャップ(7a,7b)と、を含むことが好ましい。中空糸膜束、カートリッジチューブ、エンドキャップ及びチューブシートは、カートリッジエレメントの一体化された部分であり、カートリッジエレメントを交換する際に交換される。
【0032】
「カートリッジチューブに固定された」という表現並びにカートリッジエレメントに関連して使用する「固定された」という表現は、「固定された」部品がカートリッジエレメントに密着(付着)していることを意味する。通常は、「固定された」部品は、カートリッジエレメント及び/又は接合層及び/又は固定された部品の少なくとも1つを破壊することなく、カートリッジエレメントから分離することはできない。
【0033】
カートリッジハウジング及び/又は膜分離装置に固定され、カートリッジエレメントを交換する際に交換されない部品は、本発明のカートリッジエレメントの部品ではない。また、カートリッジエレメント又はカートリッジハウジングに固定されておらず、カートリッジエレメントを交換する際に交換されない膜分離装置の部品は、本発明のカートリッジエレメントの部品ではない。カートリッジハウジングに固定されており、カートリッジエレメントを交換する際に交換されない部品及びカートリッジエレメントを交換する際に交換されない膜分離装置の部品としては、米国特許第4,480,683号において使用されている中間リングが挙げられる。
【0034】
カートリッジエレメントは、モジュール又はカートリッジハウジングとは異なり、供給−排出ラインに対する接続部(ポート)を有していない。カートリッジエレメントの膜分離プラントへの設置に関して上述したように、カートリッジエレメントは、そのような接続部(ポート)を含むカートリッジハウジング内に配置する必要がある。様々なカートリッジハウジングが使用されている。例えば、カートリッジエレメントを完全に取り囲む閉鎖型ハウジングが知られている(
図5を参照)。また、カートリッジエレメントを完全に取り囲まないカートリッジハウジングもある。これらのハウジングは、例えば、カートリッジエレメントに対して取り外し可能に接続でき、供給−排出ラインに対する接続部(ポート)を含む2つのアダプタキャップからなることができる。そのようなハウジングの例は、米国特許出願公開第2012/0304856号(
図13)に開示されている。また、カートリッジハウジングに対する適当な変形は公知である。
【0035】
本発明のプラスチック製エンドキャップは、カートリッジエレメントの少なくとも1つのその他の部分に固定される。通常、エンドキャップは、エンドキャップ及び/又はカートリッジエレメントの少なくとも一部(特に、カートリッジエレメントとエンドキャップとの間の接合層)を破壊することなく、カートリッジエレメントから分離することはできない。
【0036】
図2〜
図4は、本発明のカートリッジチューブ及びカートリッジエレメントの好ましい例を示す。流体入口/出口開口部(1)は、カートリッジチューブ(4)から液体を排出すると共にカートリッジチューブ(4)内に液体を導入するために使用される。好ましくは、本発明のカートリッジエレメントは、「インサイドアウト」カートリッジとして使用される(すなわち、中空糸膜が中空供給膜(bore feed membrane)として使用される)。この場合、少なくとも2種類の異なる成分を含む混合物が膜の中空部に供給される。高い透過性を有する成分は膜を透過し、膜とカートリッジチューブ(4)の内壁との間の空間及びカートリッジチューブの開口部(1)(透過成分がカートリッジチューブ(4)の壁部を通過してカートリッジチューブの外面とカートリッジハウジングとの間の空間及びカートリッジハウジングの透過成分出口に入るための出口開口部)に達する。低い透過性を有する成分は、膜の中空部を流れて膜の他端に達し、膜分離装置の未透過成分出口又はさらなる処理工程に供給される。
【0037】
ただし、本発明のカートリッジエレメントを逆方向に使用することも可能である。この場合、少なくとも2種類の異なる成分を含む混合物がカートリッジチューブの開口部(1)を通過してカートリッジチューブ(4)の内壁と中空糸膜の外面との間の空間に供給される。高い透過性を有する成分は膜を透過して膜の中空部に入り、膜の中空部の端部まで輸送され、さらに処理されるか、透過成分流として取り出される。低い透過性を有する成分は、カートリッジチューブ(4)の内壁と中空糸膜の外面との間の空間で濃縮され、好ましくはカートリッジチューブの第2の開口部(図示せず)を介して取り出される。
【0038】
複数の入口/出口開口部(1)を使用することができる。当業者であれば、最適な入口/出口開口部(1)の数を容易に決定することができる。
【0039】
開口部(1)の形成方法は特に限定されない。開口部(1)は、穿孔、プレス加工又はその他の方法で形成することができる。開口部の形状も特に限定されない。ただし、開口部は大きな圧力低下を生じさせないように十分に大きく形成することが好ましい。
【0040】
カートリッジチューブ(4)の壁部には、金属やプラスチック等の各種材料を使用することができる。プラスチック製のカートリッジチューブは軽量だが、高い圧力を印加する場合には壁厚を大きくしなければならない。そのため、金属チューブ、特に(ステンレス)鋼又はアルミニウム製のチューブを使用することが好ましい。このような材料により、必要な圧力範囲に対応しながら、チューブの壁厚を非常に小さくすることができる。金属製カートリッジチューブの壁厚は、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは0.5〜8mm、さらに好ましくは1〜5mm、特に好ましくは1〜3mmである。
【0041】
カートリッジチューブ(4)は、様々な形状及び形態を有することができる。カートリッジチューブ(4)は円筒形状を有することが好ましい。
【0042】
カートリッジチューブ(4)の内径は、好ましくは10〜250mm、特に好ましくは30〜150mm、さらに好ましくは50〜110mmである。具体的には、本願発明者らは、直径を大きくすると、発熱性の注封用樹脂の硬化反応が著しく生じ、過度の熱的変動及び/又は収縮が生じる場合があることを見出した。また、直径を非常に小さくすると、経済的効率が悪化する。
【0043】
本発明のカートリッジエレメントは、カートリッジチューブ(4)と共に中空糸膜束を含む。中空糸膜は特に限定されない。原則として、任意の高分子膜を使用することができる。
【0044】
また、中空糸の直径も特に限定されない。ただし、チューブシート内の充填密度が少なくとも40%以上となるようすることが好ましい。
【0045】
使用する中空糸膜の種類は、分離対象等に応じて選択することができる。本発明の膜は、液体及び気体に使用することができる。いくつかの種類の膜が公知であり、市販されている。
【0046】
気体の分離の場合には、ポリイミドからなる気体分離膜が特に有用であることが判明している。特に好ましいポリイミドは、3,4,3’,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、スルホニルジフタル酸二無水物及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデンジフタル酸二無水物からなる群から選択される少なくとも1種の二無水物と、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート及び2,3,4,5−テトラメチル−1,4−フェニレンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種のジイソシアネートと、を反応させて得られるポリイミドである。
【0047】
特に好ましいポリイミドを以下に示す。
【化1】
【0050】
式中、0≦x≦0.5及び1≧y≧0.5であり、Rは、L1基、L2基、L3基及びL4基からなる群から選択される1以上の同一又は異なる基である。
【0051】
x=0又はy=1であり、Rが、64モル%のL2基、16モル%のL3基及び20モル%のL4基からなるポリマーが最も好ましい。このようなポリマーは、P84又はP84 Typ 70としてEvonik Fibres社から市販されている(CAS登録番号:9046−51−9)。また、x=0.4又はy=0.6であり、Rが、80モル%のL2基及び20モル%のL3基からなるポリマーも最も好ましい。このようなポリマーは、P84HT又はP84 HT 325として市販されている(CAS登録番号:134119−41−8)。
【0052】
本発明のカートリッジエレメントは、プラスチック製エンドキャップを含む。通常は、2種類のエンドキャップを使用することができる。第1の種類のエンドキャップ(好ましいンドキャップ)は、カートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる。第2の種類のエンドキャップは、カートリッジチューブの内面にスライド嵌合させる。第2の種類のエンドキャップは省スペース型だが、第1の種類のエンドキャップと比較して膜の分離面が小さくなる。
【0053】
本願発明者らは、エンドキャップ材料と接着剤(接着剤としては好ましくは注封用樹脂を使用する)の最適な組み合わせを選択することにより、カートリッジの性能を大きく向上させることができることを見出した。すなわち、材料は互いに対して良好な親和性を有しており、十分な物理的密着性(「付着性」)を有すると共に、熱膨張係数(CTE)が大きく異なっていないことが好ましい。エンドキャップ材料は、接着剤(好ましくは注封用樹脂)の熱膨張係数以下の熱膨張係数を有していることが好ましい。接着剤として使用するポリマー、好ましくは注封用樹脂の熱膨張係数は、エンドキャップを構成するポリマーの熱膨張係数よりも、3倍以下、特に好ましくは2倍以下、最も好ましくは1.5倍以下であることが特に好ましい。
【0054】
本発明の好適な実施形態においては、エンドキャップは、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシドとポリスチレンのブレンド及び同様な特性を有するポリマーから選択されるポリマー、ポリマーブレンド又はポリマー混合物からなる。
【0055】
特に好ましいポリマー、ポリマーブレンド又はポリマー混合物は、以下の特性の1つ、好ましくは少なくとも1つ、特に好ましくは全てを有する。
・射出成形が可能。
・最大熱膨張係数が1×10
−41/K、特に好ましくは5×10
−51/K以下及び/又は熱たわみ温度(材料が形状を保持する最大温度)が少なくとも140℃、好ましくは140℃超〜300℃。
・得られるエンドキャップが最小の収縮を示す。収縮は、好ましくは1%未満、特に好ましくは0.5未満である。
【0056】
エンドキャップの材料の選択に関する別の好ましい基準は、ポリマーからなる型が炭化水素及び水蒸気を含むガス流に接触した場合に寸法安定性を有することが挙げられる。
【0057】
寸法安定性を向上させるために、30重量%以下のガラス繊維又はその他の補強材をポリマーに添加することができる。ガラス繊維による補強が好ましい。
【0058】
上述したように、エンドキャップを構成するポリマー及び接着剤として使用するポリマー、好ましくは注封用樹脂は、互いに対する良好な親和性を有すると共に大きく異ならない熱膨張係数(CTE)を有していることが好ましい。
【0059】
従って、注封用樹脂は、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及び同様な特性を有する樹脂からなる群から選択されることが特に好ましい。
【0060】
注封用樹脂は、以下の特性の1つ、好ましくは少なくとも1つ、特に好ましくは全てを有することが特に好ましい。
・ガラス転移温度が80℃超、好ましくは80〜250℃。
・注封用樹脂からなる平坦な試験棒(ASTM D648−07に準拠)が、室温において70MPa超、好ましくは70MPa超〜200MPaの曲げ強度を有する。
・注封用樹脂からなる平坦な試験棒(ASTM D648−07に準拠)が、8%超、好ましくは8〜40%の破断伸びを有する。
・30℃未満、好ましくは15〜25℃の温度で硬化が開始する。
・110mmの内径を有し、約500gの樹脂及び任意の繊維を充填した型内において、注封用樹脂からなる完全に硬化した樹脂が、0.5%未満、好ましくは0〜0.3%の収縮を示す。
・ゲル化時間が1時間超。
・樹脂と硬化剤を混合した後の粘度が2000cPs又はmPas未満。
・樹脂が充填剤を含む場合に、20〜40Gの遠心操作によって充填剤が分離しない。
【0061】
適切な注封用樹脂を選択するためのさらなる基準は以下のとおりである。
・硬化樹脂が、(例えば、IRランプ又は温風ガンを使用した)後処理前にナイフカットに適している。
・樹脂が、50℃以下においてCO
2耐性(少量のCO
2及びH
2Oを除く)を有する。
・樹脂の硬化後温度が140℃未満(好ましくは80〜100℃)である。
・樹脂が安価であって、入手が容易である。
【0062】
本願発明者らは、エンドキャップによって形成されたキャップ層と、エンドキャップとカートリッジチューブとの間の固定層と、カートリッジチューブによって形成されたチューブ層と、必要に応じて、樹脂と中空糸束によって形成されたチューブシート層と、を含む多層複合構造を形成することによってエンドキャップをカートリッジエレメントに固定することにより、エンドキャップがカートリッジエレメントに対してより良好な密着性を有することを見出した。
【0063】
上記基準に適合する適当な注封用樹脂としては、Hexion社製のエポキシ樹脂(硬化剤「EPIKURE3055」を含む樹脂「エピコート828LVEL」)及びEbalta社製のエポキシ樹脂(樹脂「LH1000」と硬化剤の混合物(5/1)(W400/W15))が挙げられる。
【0064】
エンドキャップをカートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる好適な実施形態では、キャップ層はカートリッジの第1の層(outset layer)を構成する。
【0065】
エンドキャップをカートリッジチューブの内部又は外部に配置する本発明の好適な実施形態において、固定層及びチューブシートには同一又は異なる材料を使用することができる。エンドキャップをチューブに接合するために、任意のペースト状接着剤(例えば、ポリウレタン接着剤、エポキシ接着剤、ホットメルト接着剤、シリコーン接着剤)を使用することができる。
【0066】
ただし、同一の樹脂を使用して固定層及びチューブシートを製造することが好ましい。この場合、材料数を減らし、製造プロセスを簡略化できるという利点がある。固定層及びチューブシートに異なる材料を使用する場合であっても、全ての材料を固定層に適した材料から選択することが好ましい。
【0067】
固定層は、好ましくは0.5〜3mm、特に好ましくは0.8〜2mmの厚みを有する。固定層は、同一又は異なる接着剤からなる複数の層で構成されていてもよい。固定層は単一の層であることが好ましい。
【0068】
エンドキャップをカートリッジチューブの外面又は内面に配置する前に、エンドキャップ(エンドキャップのカートリッジチューブと重なる部分)を接着することができる。これは、エンドキャップをカートリッジチューブの内面に配置する場合に特に好ましい。
【0069】
エンドキャップをカートリッジチューブ上に配置する場合には、エンドキャップによって覆われる領域に開口部を有していないカートリッジチューブを使用することができる。ただし、カートリッジチューブは、エンドキャップによって覆われる領域に設けられ、注封用樹脂が円筒チューブを介してカートリッジチューブの外面とエンドキャップの内面との間の空間に達するように構成された少なくとも1つの開口部(
図2の開口部(2)及び(3)を参照)を含むことが好ましい。このような設計とすることにより、以下に説明するように非常に単純で効率的な製造プロセスとすることができる。また、上記設計により、チューブシートと固定層が接続されるようになる。すなわち、チューブの両側が同一の樹脂で被覆され、チューブはチューブシート及びエンドキャップと確実に一体化される。
【0070】
開口部(2)及び(3)の数、形状及びサイズは、樹脂がチューブとエンドキャップとの間を自由に流動することができれば、特に限定されない。本願発明者らは、少なくとも4mmの直径を有する少なくとも4つの穴を、1つのエンドキャップによって覆われるようにカートリッジチューブの周囲に配置することにより、良好な結果が得られることを見出した。
【0071】
特に好ましい設計では、
図1に示すように、本発明のエンドキャップはカートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる。
【0072】
エンドキャップは、カートリッジチューブの外径よりも大きな内径を有する第1の部分(
図1の(a))と、第1の部分(a)の内径及びカートリッジチューブ(4)の外径よりも小さな内径を有する第2の部分(
図1の(b))と、を含む。より小さな内径を有する第2の部分(b)は、カートリッジチューブの外面にスライド嵌合させることはできない。直径の変化点の位置により、カートリッジチューブ上におけるエンドキャップのスライド距離が決まる。
【0073】
エンドキャップの第1の部分(a)の内径はカートリッジチューブの外径よりも大きいため、エンドキャップの内面とカートリッジチューブの外面との間には好ましくは空間が形成される。当該空間は、固定層を形成するために使用することができる。
【0074】
エンドキャップは、カートリッジチューブと中心合わせした状態で配置されることが好ましい。そのために、エンドキャップ及び/又はカートリッジチューブは、カートリッジチューブに対してエンドキャップを中心合わせすると共に、カートリッジチューブの外面とエンドキャップの第1の部分(a)の内面との間に空間を形成するスペーサー(
図1の(e))を含むことができる。エンドキャップがそのようなスペーサーを含む場合には、コストを低下させることができ、特に好ましい。スペーサーは特に限定されない。スペーサーは、カートリッジチューブと交差するか、カートリッジチューブと平行な隆起部であってもよい。また、棚部又は溝を使用することもできる。
【0075】
エンドキャップは、第1の部分(a)及び第2の部分(b)に加えて、第3の部分(c)を含む。第3の部分(c)はカートリッジチューブの外面にスライド嵌合させることはできないが、カートリッジチューブから突出する中空糸束の少なくとも一部上をスライドさせることができる。第3の部分(c)の少なくとも一部は、第2の部分(b)よりも小さな内径又は第2の部分(b)と同一の内径又は第2の部分(b)よりも大きな内径を有することができる。好ましくは、
図1に示すように、第3の部分(c)は第2の部分(b)よりも大きな内径を有し、最適な直径を有するチューブシートを形成することができるようになっている。
【0076】
エンドキャップをカートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる場合に、エンドキャップの第3の部分(c)の外径は第1の部分(a)の外径よりも小さいことが好ましい。エンドキャップの第3の部分(c)は、好ましくは1以上のシール部材(好ましくはOリング)を配置するために使用される。
【0077】
エンドキャップは、必要に応じて、第3の部分(c)に続く第4の部分(d)を含む。第4の部分(d)は、カートリッジチューブ及び中空糸膜を覆わない。従って、第4の部分(d)は、注封処理時に注封用樹脂を充填することができる自由空間(容器)を形成する。第4の部分(d)は、注封用樹脂の貯槽/容器を形成し、注封処理の調節に使用される。従って、エンドキャップは第4の部分(d)を含むことが好ましい。
【0078】
エンドキャップ(エンドキャップ、中空糸束及びカートリッジチューブの組立物)に注封用樹脂を充填するために、エンドキャップは、注封用樹脂の入口開口部を含むことが好ましい(
図1の(f)を参照)。入口開口部は、例えばホースによって注封用樹脂の供給源に接続することができるように設計されていることが好ましい。充填済み使い捨てプラスチックバッグ、中央スリンガープレート(central slinger plate)等の、エンドキャップに注封用樹脂を充填するための技術的手段は公知である。
【0079】
さらに、エンドキャップは、注封後の切断位置を示す少なくとも1つのマーク(
図1では図示せず)を含むことが好ましい。エンドキャップの第1の部分(a)及び第2の部分(b)の遷移点によってカートリッジチューブの外面におけるエンドキャップのスライド距離が決まり、中空糸膜がカートリッジチューブから突出する距離は予め決めることができるため、マークにより、エンドキャップの一部を切断して中空糸膜の中空部を開口させる正しい位置を正確に決定することができる。
【0080】
エンドキャップが上述したように設計されている場合には、エンドキャップは、カートリッジエレメントを膜分離装置に導入した後に、透過成分と未透過成分を分離するための一体化されたシール部材を通常は含まない。ただし、本発明は、Oリング(例えば、
図4を参照)等の一体化されたシール部材や、シール部材を固定するための溝等を含むプラスチック製エンドキャップも範囲に含む。
【0081】
別の好ましい設計では、
図4a及び
図4bに示すように、本発明のエンドキャップはカートリッジチューブの内面にスライド嵌合させる。
【0082】
エンドキャップは、カートリッジチューブ(4)の内径よりも大きな外径を有する第1の部分(
図4bの(A))と、第1の部分(A)に続いて設けられ、カートリッジチューブによって覆われない第2の部分(
図4bの(B))と、を含む。第1の部分(A)及び第2の部分(B)は同一の外径を有する。第2の部分(B)は、必要に応じて、第1の部分(A)よりも大きな外径を有していてもよい。この場合、より大きな外径を有する第2の部分(B)は、カートリッジチューブの内面にスライド嵌合させることはできない。直径の変化点の位置により、カートリッジチューブ内におけるエンドキャップのスライド距離が決まる。
【0083】
エンドキャップの第1の部分(A)の外径は、カートリッジチューブの内径よりも小さい。エンドキャップの第1の部分(A)の外径は、エンドキャップの第1の部分(A)の外面とカートリッジチューブの内面との間に空間が形成される程度にカートリッジチューブの内径よりも小さいことが好ましい。当該空間は、固定層を形成するために使用することができる。
【0084】
固定層として使用する注封用樹脂を前記空間に流れ込ませるために、注封用樹脂の液面はエンドキャップの端部又は最も低い開口部よりも高くなければならない。注封用樹脂が漏れることを防止するために、注封前にペースト状接着剤でエンドキャップをチューブに接合してシールすることが好ましい。あるいは、エンドキャップとカートリッジチューブとの間の空間に注封用樹脂の注入するための少なくとも1つの開口部を有するエンドキャップを使用することができる。
【0085】
エンドキャップは、カートリッジチューブと中心合わせした状態で配置されることが好ましい。そのために、エンドキャップ及び/又はカートリッジチューブは、第1の部分(A)において、カートリッジチューブに対してエンドキャップを中心合わせすると共に、カートリッジチューブの内面とエンドキャップの第1の部分(A)の外面との間に空間を形成するスペーサー(
図4では図示せず)を含むことができる。エンドキャップがそのようなスペーサーを含む場合には、コストを低下させることができ、特に好ましい。スペーサーは特に限定されない。スペーサーは、カートリッジチューブと交差するか、カートリッジチューブと平行な隆起部であってもよい。また、棚部又は溝を使用することもできる。
【0086】
上述したエンドキャップ(すなわち、カートリッジチューブの外面にスライド嵌合させるエンドキャップ)と同様に、カートリッジチューブの内面にスライド嵌合させるエンドキャップは、注封処理時に注封用樹脂で充填することができる自由空間(容器)を形成する部分(C)(
図4では図示せず)及び/又は注封用樹脂の入口開口部及び/又は注封後の切断位置を示す少なくとも1つのマークを含むことができる。部分(C)、注封用樹脂及びマークは、カートリッジチューブの外面にスライド嵌合させるエンドキャップに関連して上述したように構成することができる。
【0087】
エンドキャップが上述したように設計されている場合には、エンドキャップは、カートリッジエレメントを膜分離装置に導入した後に、透過成分と未透過成分を分離するための一体化されたシール部材を通常は含まない。ただし、本発明は、Oリング(例えば、
図4を参照)等の一体化されたシール部材や、シール部材を固定するための溝等を含むプラスチック製エンドキャップも範囲に含む。
【0088】
本発明のカートリッジエレメントは、以下の工程を含む方法によって製造することが好ましい。
a)中空糸膜束と、好ましくは少なくとも1つの流体入口/出口開口部を有するカートリッジチューブと、を用意する工程。
b)中空糸膜束をカートリッジチューブ内に挿入する工程。
c)プラスチック製キャップ、好ましくは上述したエンドキャップを、工程b)で得られた組立物の両端に取り付ける工程。
d)工程c)で得られた組立物を、組立物が一体的に保持されるように遠心機内に配置する工程。
e)各エンドキャップ内を注封用樹脂で充填し、遠心操作を行って注封用樹脂を硬化させる工程。
f)各エンドキャップの端部を切断して中空糸膜の中空部を開口させる工程。
【0089】
工程a)では、中空糸膜束を用意する。中空糸膜束は、公知の方法によって製造(用意)することができる。上述したように、任意の中空糸膜を使用することができる。好ましい中空糸膜は上述したとおりである。
【0090】
中空糸膜の製造プロセスは、国際公開第2011/009919号及び/又は欧州特許出願公開第12183794号に開示されているように実施することが好ましい。これらの特許文献の開示内容は、本願明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0091】
工程a)では、上述したカートリッジチューブも用意する。カートリッジチューブは、上述した必要な開口部を含む。
【0092】
工程b)では、中空糸膜束をカートリッジチューブに充填する。中空糸膜束は、公知のプロセスによってカートリッジチューブに充填する。好ましくは、カートリッジの製造プロセスは、中空糸膜を束にし、中空糸膜束を所定の長さに切断し、切断した中空糸膜束をナイロンスリーブ又はソックス内に挿入することによって開始する。スリーブ(ストッキング)は、中空糸が取り扱い時に損傷することを防止するために使用する。中空糸膜束は、カートリッジチューブ内に挿入し、中心合わせする。
【0093】
カートリッジエレメントは、カートリッジチューブと中空糸束との間に多孔性材料を含むことが好ましい。多孔性材料は、注封用樹脂の分散を向上させ、注封時に中空糸束が移動することを防止するスペーサーとして使用する。上記要件を満たす任意の材料を使用することができる。ポリプロピレンメッシュを切断して折り曲げ、カートリッジチューブと中空糸束との間に配置することが好ましい。
【0094】
注封用樹脂が中空糸膜の中空部内を流動(上昇)することを防止するために、工程c)を実施する前に中空部の開口部をシール剤で閉じることが好ましい。シール剤としては、パラフィンろう又は(好ましくは迅速に硬化する)エポキシ又はポリウレタン樹脂を使用することが特に好ましい。
【0095】
工程c)では、プラスチック製エンドキャップを使用する。エンドキャップは公知の射出成形によって製造し、上述した材料からなり、上述した形状を有することが好ましい。
【0096】
カートリッジエレメントに取り付ける前にエンドキャップを予め処理することにより、エンドキャップとカートリッジエレメントとの接合を向上させることができる。カートリッジエレメントに対する密着性を向上させるために、エンドキャップ、特に、固定層と接触するエンドキャップの表面の少なくとも一部を、火炎処理、化学的処理(好ましくは酸処理)又は機械的処理(好ましくはサンドブラスト処理)によって予め処理し、エンドキャップの表面を清浄化(例えば、汚染物(例えば、指の脂)を除去)すると共にわずかに化学的に変性/活性化させ、及び/又はエンドキャップの表面を粗面化することが特に好ましい。なお、処理後には、エンドキャップの処理した表面に触ったり、汚したりしないようにしなければならない。
【0097】
第1の好適な実施形態では、エンドキャップをカートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる。好ましくは、上述したように、大きな内径を有する第1の部分と小さな内径を有する第2の部分とを有するエンドキャップを使用する。エンドキャップは、小さな直径を有する第2の部品(b)に達するまでカートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる。
【0098】
第2の好適な実施形態では、カートリッジチューブの内面にスライド嵌合させるエンドキャップを使用する。エンドキャップは、エンドキャップを適切に配置するためのマーク、溝又は棚部等を含むことが好ましい。
【0099】
上述したように、固定層に接触する表面の一部にスペーサーを含むエンドキャップを使用することが好ましい。スペーサーは、エンドキャップがカートリッジチューブに対して中心合わせされ、固定層を形成する樹脂がカートリッジチューブとエンドキャップとの間を均等に流動するように設計される。
【0100】
工程d)では、工程c)で得られた組立物を、組立物が一体的に保持されるように遠心機の固定具に配置する。遠心機の固定具は、遠心時の大きな重力によってエンドキャップがカートリッジチューブから滑り落ちることを防止する。固定具は、エンドキャップに好ましく設けられるスペーサーと共に、エンドキャップをカートリッジチューブに対して中心合わせする。
【0101】
工程e)では、注封を実施する。この際、注封用樹脂をエンドキャップに充填する必要がある。注封用樹脂は様々な方法で充填することができる。
【0102】
例えば、エンドキャップ及び遠心時に注封用樹脂を分散させる中央スリンガープレートにホースを取り付けることができる。あるいは、各エンドキャップの近くに充填済みの使い捨てプラスチックバッグを配置してもよい。また、注封前にエンドキャップの少なくとも一部に予め充填することもできる。さらに、当業者に公知のその他の技術的手段も採用することができる。
【0103】
遠心機内において、好ましくは10Gを超える重力によってカートリッジに対して注封を行う。遠心機の回転数は、好ましくは100〜500rpm、より好ましくは150〜400rpm、特に好ましくは200〜350rpmである。
【0104】
注封を開始する際の注封装置内の温度は、40℃未満、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃、特に好ましくは15〜25℃とする。特定の注封用樹脂による過度の発熱を防止するような温度を採用する必要がある。ただし、別の実施形態では、硬化を開始させるために加熱を必要とし、発熱を管理することができる注封用樹脂を使用することもできる。この場合にはより多くのエネルギーを供給する必要があるため、上記温度を採用することが好ましい。
【0105】
エンドキャップ内を注封用樹脂で充填するには数分間から数時間が必要である。充填時間は、好ましくは1分間〜1時間、より好ましくは5〜45分間、特に好ましくは10〜30分間である。
【0106】
注封用樹脂の量は、エンドキャップの空間容積と正確に同一とすることが好ましい。これにより、入口/出口開口部がエンドキャップの近くに配置されている場合に、流体入口/出口開口部から注封用樹脂が溢れることを防止することができる。また、注封用樹脂を効率的に使用することができる。
【0107】
注封用樹脂を硬化させた後、カートリッジを遠心機から取り出し、冷却(好ましくは自然冷却)する。
【0108】
工程f)では、エンドキャップの端部とチューブシートを切断して中空糸膜の中空部を開口させる。上述したように、カートリッジの長さが同じになるように、注封後の切断位置を示すマークを有するエンドキャップを使用することが好ましい。
【0109】
カートリッジは、最初に切断ラインよりも下方において帯のこによって切断することが好ましい。そして、切断ラインに達するまでエンドキャップを切断する。適切に切断すると共にダメージが生じることを防止するために、エンドキャップ及びチューブシートの切断前及び/又は切断中に中空糸をガラス転移温度(Tg)よりもわずかに高い温度に加熱することが特に好ましい。切断前の加熱は少なくとも5分間行うことが好ましい。加熱、例えば、IRランプ又は温風ガンを使用して行うことができる。
【0110】
本発明のカートリッジエレメントは膜分離装置に使用される。膜分離装置は、単一又は複数のカートリッジハウジングを含むことが好ましい(例えば、
図5を参照)。カートリッジハウジングは、耐圧チューブからなり、供給成分−未透過成分キャップを含むことが好ましい。カートリッジハウジングのチューブの好ましい材料は、ステンレス鋼又はアルミニウムである。カートリッジハウジングの内形は、カートリッジエレメントの外形とできる限り同一であることが好ましい。カートリッジハウジングの内面とカートリッジエレメントの外面との間にシール手段(部材)(好ましくはOリング)を配置することができるように、カートリッジハウジングの内径は、カートリッジエレメントの外径よりも大きいことが好ましい。シール手段(部材)は、カートリッジエレメントの周囲において透過成分と未透過成分とを分離するために必要である。カートリッジハウジングは、様々な構成を有するように設計することができる。例えば、Oリングを配置することができる溝を有するカートリッジハウジングを使用することができる。あるいは、Oリングが一体化されたカートリッジハウジングを使用することもできる。また、Oリングが一体化された供給成分−未透過成分キャップを使用することもできる。当業者に公知のその他の技術的手段も採用することができる。
【0111】
なお、エンドキャップがカートリッジチューブに重なる領域の外径よりも小さな外径を有する部分を有するエンドキャップを含むカートリッジエレメント(
図3を参照)を使用することが最も好ましい。エンドキャップがカートリッジチューブに重なる領域の外径よりも小さな外径を有する部分は、エンドキャップの外面とカートリッジハウジングの内面との間にシール手段(好ましくはOリング)を配置するための空間を形成する。このような設計は、その他の設計に対していくつかの利点を有する。すなわち、エンドキャップが配置される領域の外径よりも小さな外径を有する部分により、Oリングはエンドキャップの外径が大きくなる部分を越えて(流体入口/出口開口部の後方まで)スライドすることはできなくなる。また、カートリッジエレメント上においてOリングを容易にスライドさせることができると共に単純なカートリッジハウジングを使用することができる。そのため、シール部材等が一体化された高価なハウジング又はハウジングキャップを使用する必要がない。さらに、本発明のプラスチック製エンドキャップを使用することにより、カートリッジエレメントの端部は正確な形状を有し、先行技術のようにダメージが生じることはない。そのため、カートリッジエレメントの外形とカートリッジハウジングの内形を正確かつ再現可能に同一とすることができる。これは、従来のカートリッジエレメントを使用する場合には非常に困難である。そのため、本発明のカートリッジエレメントによれば、非常に良好なシールを行うことができる。
【0112】
好適な実施形態では、カートリッジをハウジング内に配置した後にOリングをカートリッジの両端においてスライドさせることにより、カートリッジエレメントをハウジング内においてシールする。その後、供給成分/未透過成分キャップを取り付ける。通常は、全ての方向においてシールするために、2つのOリングが各端部に必要である。しかしながら、供給成分/未透過成分キャップの溝は、1つのOリングによって全ての方向においてシールすることができるように設計されている(
図6を参照)。Oリングは、クランプ又はフランジシステムを使用することによって圧縮する。各端部に1つのOリングを設ければよく、3方向においてシールすることができる。あるいは、射出成形型の設計を変更することによってOリングをエンドキャップに一体化することもできる。複雑度を最小化すると共にコストを削減するために、ハウジング内にOリング用の溝を設けることが好ましい。
【0113】
本発明の膜分離エレメントは、様々な流体混合物を分離するために使用することができる。本発明の膜分離エレメントは、水を含む液体−流体混合物を分離するために使用することができる。ただし、本発明の膜分離エレメントは、好ましくは気体又は蒸気混合物を分離するために使用される。本発明の膜分離エレメントは、バイオガスのアップグレーディング、He又はH
2の回収又はアップグレーディング、合成ガスの比率調節、N
2又はO
2の濃縮、ガス乾燥又は煙道ガス等のガス流のCO
2除去に使用することが特に好ましい。
【0114】
測定方法
A)熱膨張係数
熱膨張係数(CTE)は、ISO 11359−2に準拠して測定した。
【0115】
B)温度安定性
材料が変形を開始する温度(熱たわみ温度)は、ガラス転移温度を関連がある。熱たわみ温度は、ASTM D648に準拠して測定した。
【0116】
C)エンドキャップ用ポリマー及び硬化注封用樹脂の収縮
可塑性部品の成形寸法収縮は、成形サイクル時及び成形サイクル後の体積収縮による、射出成形プロセスに関連する典型的な現象である。収縮は、マイクロメーターを使用して、型の内径と完全に硬化させた注封用樹脂の外径との差として測定した。
【0117】
D)注封用樹脂のガラス転移温度
ガラス転移温度(ガラス転移点)は、DSC(ASTM E1356に準拠)又はDMA(ISO 6721:11に準拠)によって測定し、tan(δ)のピークをガラス転移点とみなした。
【0118】
E)注封用樹脂の曲げ強度
注封用樹脂の曲げ強度は、ISO 187に準拠して測定した。
【0119】
F)破断伸び
破断伸びは、ISO 187に準拠して測定した。
【0120】
G)注封用樹脂の硬化温度
注封用樹脂の硬化が開始した温度を測定した。
【0121】
H)注封用樹脂のゲル化時間
4cmの直径及び10cmの高さを有するカップに200gの注封用樹脂を入れ、棒を挿入した。5mmの厚み及び15cmの高さを有するガラスからなる棒が樹脂を保持している場合をゲル化が生じたとみなした。
【0122】
I)混合後の注封用樹脂の粘度
注封用樹脂の粘度は、DIN 53211に準拠し、20℃で流出カップ(efflux cup)を使用して測定した。
【実施例】
【0123】
以下、実施例によって本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0124】
実施例1 カートリッジエレメントの製造
【0125】
Evonik Fibers社製のP84 HT−325中空糸膜の束を所定の長さに切断し、ナイロンスリーブ内に挿入した。中空糸膜束を約100mmの内径を有するステンレス鋼製カートリッジチューブ内に挿入し、中心合わせした。カートリッジチューブは、2.5mm未満の壁厚を有し、各端部に小さな穴(直径:8mm)を有していた(
図2の(2)及び(3)を参照)。これらの穴を介して注封用樹脂をカートリッジチューブ内に導入した。カートリッジチューブの一端には、エンドキャップの取り付け後にも外部から視認可能な第2列目の穴(
図2の(1)を参照)が形成され、カートリッジの使用時には透過ガスがこれらの穴から流出する。ポリプロピレンメッシュを切断して折り曲げ、カートリッジチューブと中空糸束との間に配置した。注封処理時に注封用樹脂が各中空糸の中空部内を流動することを防止するために、加熱したパラフィンによって各中空糸の端部を閉じた。
【0126】
Noryl(PPO/PS混合物)からなり、
図1に示すように設計されたエンドキャップを使用した。プラスチック製エンドキャップをカートリッジチューブに取り付ける前に、エンドキャップに対して火炎処理を行って汚染物(例えば、指の脂)を除去)すると共に表面をわずかに化学的に変性/活性化させて密着性を向上させた。
【0127】
次に、カートリッジ全体を遠心機の(組立物を保持する)固定具に配置した。
【0128】
注封用樹脂としては、エポキシ樹脂(硬化剤「EPIKURE 3055」を含む「EPIKOTE Resin 828LVEL」(Hexion社製))を使用した。エンドキャップにエポキシ樹脂を充填するために、エンドキャップ及び遠心時にエポキシ樹脂を分散させる中央スリンガープレートにホースを取り付けた。遠心機の回転数を200〜350rpmに設定し、室温(30℃未満)においてカートリッジに対して注封を行った。エポキシ樹脂はスリンガープレートに一度に添加し、エンドキャップの充填には約20分間を要した。エポキシ樹脂の量は、透過成分用の穴までの空間容積と正確に同一とした。遠心時にエポキシ樹脂を硬化させた後、カートリッジを遠心機から取り出して自然冷却させ、端部を切断した。
【0129】
カートリッジの長さが同じになるように、注封後の切断位置を示すマークを有するエンドキャップを使用した。カートリッジは、最初に切断ラインよりも下方において帯のこによって切断した。そして、切断ラインに達するまでエンドキャップを切断した。適切に切断すると共に切断時に中空糸が損傷することを防止するために、チューブシートをガラス転移温度(Tg)よりもわずかに高い温度に加熱した。得られたカートリッジはそのまま使用することができる。
【0130】
図3は、切断後のカートリッジを示す概略図である。斜線で示す領域(6)はチューブシートを示す。カートリッジチューブは、入口/出口開口部(1)の直下において樹脂で充填されている。両端部の樹脂充填高さは同一である。カートリッジチューブに形成され、エンドキャップの下側に位置する穴(5)により、エンドキャップとカートリッジチューブとの間の空間にエポキシ樹脂を流し込んだ。これにより、チューブの両側がエポキシ樹脂で被覆され、チューブはチューブシート及びエンドキャップと確実に一体化され、エンドキャップ、エポキシ樹脂、カートリッジチューブ及びエポキシ樹脂からなる多層構造を形成した。チューブに形成された穴(5)により、チューブの外部と内部を適切に接続することができる。
【0131】
実施例2
【0132】
使用試験
【0133】
実施例1で得たカートリッジに対して圧力サイクル試験を行った。1時間にわたって圧力を60バールに保持した後、0〜60バールの圧力で1000サイクルを行った(60バールで8秒間保持、サイクル時間:約20分間)(1時間にわたって圧力を60バールに保持した後に実施)。全てのカートリッジは圧力試験に合格した。
【0134】
以下に、特願2019−1306の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
カートリッジエレメントであって、
カートリッジチューブ内に配置された中空糸膜束と、
前記カートリッジチューブの両端に設けられたエンドキャップと、
を含み、
前記カートリッジチューブが、前記エンドキャップ間に配置された少なくとも1つの流体入口/出口開口部を含み、
前記エンドキャップがポリマー材料からなり、
前記エンドキャップが前記カートリッジエレメントに固定されており、
前記中空糸膜束の両端において、チューブシートが前記カートリッジエレメントに接合されていることを特徴とするカートリッジエレメント。
[2]
少なくとも1つの前記エンドキャップ、好ましくは各エンドキャップが、
前記エンドキャップによって形成されたキャップ層と、
前記エンドキャップと前記カートリッジチューブとの間に設けられ、好ましくはチューブシートと同一の樹脂によって形成された固定層と、
前記カートリッジチューブによって形成されたチューブ層と、
必要に応じて(好ましくは)、前記樹脂と前記中空糸束によって形成されたチューブシート層と、
を含む多層複合構造を形成することによって前記カートリッジエレメントに固定されていることを特徴とする、[1]に記載のカートリッジエレメント。
[3]
前記カートリッジチューブが、前記エンドキャップによって前記カートリッジチューブが覆われる領域に設けられ、注封用樹脂が前記カートリッジチューブを介して前記カートリッジチューブの外面と前記エンドキャップの内面との間の空間に達するように構成された少なくとも1つの開口部を含むことを特徴とする、[2]に記載のカートリッジエレメント。
[4]
少なくとも1つの前記エンドキャップ、好ましくは各エンドキャップを、前記カートリッジチューブの外面又は内面に部分的に(前記エンドキャップの全長の一部において)スライド嵌合させたことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のカートリッジエレメント。
[5]
前記エンドキャップが、前記カートリッジチューブの外径よりも大きな内径を有する第1の部分(a)又は前記カートリッジチューブの内径よりも小さな外径を有する第1の部分を含み、
前記エンドキャップの前記第1の部分が、前記カートリッジチューブに対して前記エンドキャップを中心合わせすると共に、前記カートリッジチューブの面と前記エンドキャップの前記第1の部分の面との間に、樹脂を充填することができる空間を形成するスペーサーを含むことを特徴とする、[4]に記載のカートリッジエレメント。
[6]
前記エンドキャップが、
前記カートリッジチューブの外径よりも大きな内径を有する第1の部分(a)と、前記第1の部分(a)の内径よりも小さな内径を有し、前記カートリッジチューブの外面にスライド嵌合させることのできない第2の部分(b)と、を含むか、
前記カートリッジチューブの内径よりも大きな外径を有する第1の部分(a)と、前記第1の部分(a)の外径よりも大きな外径を有し、前記カートリッジチューブの内面にスライド嵌合させることのできない第2の部分(b)と、を含むことを特徴とする、[4]又は[5]に記載のカートリッジエレメント。
[7]
前記エンドキャップが、前記カートリッジチューブの外面にスライド嵌合させる第1の部分(a)と、前記第1の部分(a)の外径よりも小さな外径を有する第3の部分(c)と、を含むことを特徴とする、[4]〜[6]のいずれか1項に記載のカートリッジエレメント。
[8]
前記カートリッジチューブが、
金属、好ましくはステンレス鋼又はアルミニウムからなり、及び/又は
0.5〜10mm、より好ましくは0.5〜8mm、特に好ましくは1〜5mm、さらに好ましくは1〜3mmの壁厚を有する、及び/又は
10〜250mm、好ましくは30〜150mm、特に好ましくは50〜110mmの内径を有することを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のカートリッジエレメント。
[9]
前記チューブシートを形成する樹脂及び/又は前記固定層を形成する樹脂が、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選択され、
以下の特性の1つ、好ましくは少なくとも1つ、最も好ましくは全てを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカートリッジエレメント。
・ガラス転移温度が80℃超、好ましくは80〜250℃。
・注封用樹脂からなる平坦な試験棒(ASTM D648−07に準拠)が、室温において70MPa超の曲げ強度を有する。
・注封用樹脂からなる平坦な試験棒(ASTM D648−07に準拠)が8%超の破断伸びを有する。
・40℃未満、好ましくは30℃未満、最も好ましくは15〜25℃の温度で硬化が開始する。
・110mmの内径を有し、約500gの樹脂及び任意の繊維を充填した型内において、完全に硬化した樹脂が、0.5%未満、好ましくは0〜0.3%の収縮を示す。
・1時間超のゲル化時間及び2000cPs又はmPas未満の混合後の粘度を有する。・樹脂が充填剤を含む場合に、20〜40Gの遠心操作によって充填剤が分離しない。
[10]
カートリッジチューブ内に配置された中空糸膜束を含むカートリッジエレメントを製造するためのエンドキャップであって、
前記エンドキャップは、ポリマー材料からなり、
前記エンドキャップは、第1の部分(a)と第2の部分(b)とを含み、前記第1の部分は、前記第2の部分の内径よりも大きな内径を有するか、前記第2の部分の外径よりも小さな外径を有し、前記第1の部分と前記第2の部分の直径の差は、好ましくは、前記第2の部分を前記カートリッジチューブの外面又は内面にスライド嵌合させることができないように選択され、
前記エンドキャップの前記第1の部分は、必要に応じて、前記カートリッジチューブに対して前記エンドキャップを中心合わせすると共に、前記カートリッジチューブの面と前記エンドキャップの前記第1の部分の面との間に、樹脂を充填することができる空間を形成するスペーサーを含むことを特徴とするエンドキャップ。
[11]
前記エンドキャップを前記カートリッジチューブの外面又は内面にスライド嵌合させた後に、前記中空糸膜束を越えて延在し、注封用樹脂の貯槽/容器を形成する第3の部分(c)を含む、及び/又は
例えばホースによって注封用樹脂の供給源に接続することができる入口開口部を含む、及び/又は
注封後の切断位置を示す少なくとも1つのマークを含むことを特徴とする、[10]に記載のエンドキャップ。
[12]
前記エンドキャップが、30重量%以下のガラス繊維又はその他の補強材が任意に添加され、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシドとポリスチレンのブレンド及び以下の特性の1つ、好ましくは少なくとも1つ、最も好ましくは全てを有するポリマー又はポリマーブレンドから選択されるポリマー、ポリマーブレンド又はポリマー混合物からなることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のカートリッジエレメント又は[10]又は[11]に記載のエンドキャップ。
・射出成形が可能。
・最大熱膨張係数が1×10−41/K、好ましくは5×10−51/K以下であって、熱たわみ温度(材料が形状を保持する最大温度)が少なくとも140℃、好ましくは140℃超〜300℃。
・エンドキャップが、1%未満、好ましくは0.5未満の収縮を示すポリマーからなる。
[13]
[1]〜[9]及び[12]のいずれか1項に記載のカートリッジエレメントを含むことを特徴とする膜分離装置。
[14]
単一又は複数のカートリッジのハウジングと、前記カートリッジの各エンドキャップと前記カートリッジハウジングとの間に配置され、供給成分と透過成分を分離するOリングと、をさらに含むことを特徴とする、[13]に記載の膜分離装置。
[15]
中空糸カートリッジエレメントの製造方法であって、
a)中空糸膜束と、好ましくは少なくとも1つの流体入口/出口開口部を有するカートリッジチューブと、を用意する工程と、
b)前記中空糸膜束をカートリッジチューブ内に挿入する工程と、
c)プラスチック製キャップ、好ましくは請求項9〜12のいずれか1項に記載のエンドキャップを、前記工程b)で得られた組立物の両端に取り付ける工程と、
d)前記工程c)で得られた組立物を、前記組立物が一体的に保持されるように遠心機内に配置する工程と、
e)各エンドキャップ内を注封用樹脂で充填し、遠心操作を行って前記注封用樹脂を硬化させる工程と、
f)各エンドキャップの端部を切断して前記中空糸膜の中空部を開口させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
[16]
以下の工程の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする、[15]に記載の方法。
・多孔性材料、好ましくはメッシュを、前記中空糸膜束の外面と前記カートリッジチューブの内面との間に配置する工程。
・注封前に、前記中空糸の端部をろう、エポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂で閉じる工程。
・前記注封用樹脂と接触する前記エンドキャップの表面の少なくとも一部を、火炎処理、化学的処理(好ましくは酸処理)又は機械的処理(好ましくはサンドブラスト処理)によって予め処理して前記エンドキャップの表面を清浄化すると共に必要に応じて粗面化して前記カートリッジエレメントに対する密着性を向上させる工程。
・遠心操作の開始前に前記エンドキャップに予め充填する工程。
・切断前又は切断時に、カートリッジを硬化させた前記注封用樹脂のTgよりも高い温度に加熱する工程。
[17]
遠心操作を200〜350rpmの回転数及び5〜40℃の温度で実施することを特徴とする、[15]又は[16]に記載の方法。