特許第6963659号(P6963659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963659
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】誘導電力送信器
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20211028BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20211028BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20211028BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20211028BHJP
【FI】
   H02J50/60
   H02J50/12
   H02J50/40
   H02J50/80
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-117886(P2020-117886)
(22)【出願日】2020年7月8日
(62)【分割の表示】特願2017-546143(P2017-546143)の分割
【原出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2020-184879(P2020-184879A)
(43)【公開日】2020年11月12日
【審査請求日】2020年7月31日
(31)【優先権主張番号】62/128,263
(32)【優先日】2015年3月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】アブドルカーニ, アリ
【審査官】 大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−206776(JP,A)
【文献】 特開2008−178234(JP,A)
【文献】 特開2008−167582(JP,A)
【文献】 特開2010−119251(JP,A)
【文献】 特開2012−060797(JP,A)
【文献】 特開2014−212603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0181110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力移送(IPT)フィールドを生成するように構成された電力送信コイルと、
生成された場合の前記IPTフィールドによって占められるスペース内のまたはそのスペースに隣接した物体を検出するように構成された物体検出システムと、
を備え、
潜在的受信体により磁気で誘導された電圧対時間波形又は電流対時間波形の形状と参照波形形状との相関をとることにより前記物体検出システムを用いて前記潜在的受信体の検出を実行し、
前記潜在的受信体を検出することに応じて前記潜在的受信体と通信するように試行し、
前記潜在的受信体との通信の失敗に応じて潜在的受信体の検出をさらに実行する、
ように構成された、
誘導電力送信器。
【請求項2】
前記潜在的受信体との通信の成功した試行に応じて前記電力送信コイルにエネルギを与えるようにさらに構成された、請求項1に記載の誘導電力送信器。
【請求項3】
前記潜在的受信体の検出に応じて前記電力送信コイルにエネルギを与えるようにさらに構成された、請求項2に記載の誘導電力送信器。
【請求項4】
前記潜在的受信体との通信の失敗に応じて前記電力送信コイルへの電力供給を停止するようにさらに構成された、請求項2又は3に記載の誘導電力送信器。
【請求項5】
前記物体検出システムは、ひとつ以上の磁性スイッチを含む、請求項1に記載の誘導電力送信器。
【請求項6】
前記ひとつ以上の磁性スイッチは、ホール効果スイッチ、リード(Reed)スイッチおよび三次元ホール効果センサからなる群から選択された部品を含む、請求項5に記載の誘導電力送信器。
【請求項7】
複数の電力送信コイルを備え、
前記物体検出システムは各電力送信コイルの周りに配置され、
前記誘導電力送信器は、前記潜在的受信体との相互作用を通じた対応する物体検出器の活性化に基づいて、対応する電力送信コイルにエネルギを与えるよう構成された、請求項1に記載の誘導電力送信器。
【請求項8】
複数の物体検出器は対応する電力送信コイルの間に設けられ、
前記誘導電力送信器は、前記潜在的受信体との相互作用を通じた前記対応する検出器の活性化に基づいて、前記電力送信コイルのうちのひとつ以上にエネルギを与えるよう構成される、請求項7に記載の誘導電力送信器。
【請求項9】
ある電力送信コイルに対応する全ての前記物体検出器は並列に接続される、請求項8に記載の誘導電力送信器。
【請求項10】
前記誘導電力送信器のコントローラの制御の下、潜在的受信体がそれに関連付けられた前記物体検出器によって検出されない限り、前記電力送信コイルにエネルギが与えられることはない、請求項7に記載の誘導電力送信器。
【請求項11】
前記物体検出システムは、前記誘導電力送信器との通信に成功する前記潜在的受信体である受信体と同時に、前記誘導電力送信器との通信に失敗する前記潜在的受信体である、隣接した非受信体を検出するよう構成される、請求項1に記載の誘導電力送信器。
【請求項12】
前記物体検出システムは、物体の検出に対する前記物体検出システムの応答がしきい値よりも小さい参照応答との相関を有するか否かを決定するように構成された、請求項1に記載の誘導電力送信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に誘導電力送信器に関し、特に、しかしながら非排他的に、誘導電力移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IPTシステムはよく知られ、確立された技術領域(例えば、電動歯ブラシの無線給電)であると共に、進展している技術(例えば、「充電マット」上での携帯デバイスの無線給電)でもある。典型的には、電力送信器は伝送コイルまたは複数の伝送コイルから時間変化する磁場を生成する。この磁場は電力受信器内の適切な受信コイルに交流電流を誘起し、次いでこの交流電流を用いて電池を充電したり、デバイスまたは他の負荷に給電することができる。
【0003】
特に携帯デバイスの無線給電のためのIPTシステムについて、無線電力が受信デバイスのみに移送され、いわゆる異物には移送されないことが重要である。異物は、充電マット(例えば、インタフェース面)上に置かれてはいるが受信デバイスの一部ではない物体として定義できる。そのような異物の典型的な例は、硬貨や鍵やクリップなどの金属含有寄生要素である。例えば、寄生金属がアクティブなIPT領域の近くにある場合、それは、電力移送中に、振動する磁場に起因する渦電流により熱せられうる。そのような寄生金属の温度が許容できないレベルまで上昇するのを防ぐために、電力送信器は電力受信器と異物とを区別し、タイミングよく電力移送を中止することができるべきである。
【0004】
インタフェース面上の異物の加熱を検出する従来手法は、電力損失方法を用いる。この方法では、電力送信器によって生成された磁場に起因して、携帯デバイス内に含まれる電力受信器内で消費された総電力量を表すのに受信電力PPRを用いる。受信電力は、電力受信器の出力から利用可能な電力とその出力電力を生成する際に失われた電力とを足し合わせたものに等しい。電力受信器はそのPPRを電力送信器に伝達し、これにより電力送信器は電力損失が許容可能な設定限度内にあるか否かを決定することができ、もし否であれば電力送信器は異物の存在を示すかもしれない異常な振る舞いを決定し、電力伝送を中止する。しかしながら、この電力損失説明方法は、それ自体、異物の実際の検出を提供せず、ただ予期せぬ振る舞いの発生を提供するだけである。
【0005】
これに対して、国際特許出願公開第WO2014/095722号は、送信器内にあり、プライマリIPT送信コイルとは別の励起コイルおよび検出コイルを用いる異物検出方法を提案する。その場合、検出巻き線の出力電圧の変化または検出巻き線のインダクタンスの変化のいずれかを用いて物体の存在可能性を決定する。しかしながら、このシステムは、ベースのインダクタンスを決定するために複雑な較正を必要とする。それはまた、鉄製物体または磁性物体との比較で金属物体に対して感度が低く、したがって異物と好ましい物体、例えば磁束制御のためのフェライトを典型的には含む受信器デバイス、とを区別する手段を提供しない。プライマリIPTフィールドの動作が検出に及ぼす望まれない効果は考慮されておらず、また特徴付けられてもいないので、提案された方法は信頼性に欠ける虞がある。
【0006】
既存の方法では、充電パッドの上に何かが置かれているかを監視し続ける必要がある。これはシステムの消費電力を増大させ、また必要な処理に複雑さを追加しうる。
【0007】
本発明の目的は、公衆に、便利な選択を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
ある例示的な実施の形態によると、以下を備える誘導電力送信器が提供される。
誘導電力移送(IPT)フィールドを生成するよう構成された少なくともひとつの電力送信コイルと、
生成された場合の前記IPTフィールドによって占められるスペース内のまたはそのスペースに隣接した物体を検出するよう構成された物体検出システム。
前記物体検出システムは、受信体に関連付けられたタグに基づいて該受信体を検出するよう構成される。
【0009】
「comprise」、「comprises」および「comprising」という用語には、種々の法域の下、排他的な意味または包括的な意味のいずれかが与えられてもよいことは理解される。本明細書の目的のために、およびそうでないと記載されない限り、これらの用語は包括的な意味を有することが意図される。すなわち、これらの用語は、直接的に参照されるリストされたコンポーネントと、潜在的に他の非特定コンポーネントまたは要素と、を含むことを意味するものとしてとらえられるであろう。
【0010】
本明細書における文書への参照は、それが先行技術であるとの認定も、それが技術常識の一部を形成するとの認定も、構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面は本明細書に組み入れられ本明細書の一部を形成する。添付の図面は本発明の実施の形態を説明し、上述の本発明の概括的な説明および後述の実施の形態の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を有する。
図1】誘導電力移送システムの模式図である。
図2】誘導電力送信器および隣接する受信コイルの模式図である。
図3】インバータおよび物体検出システムの回路図である。
図4】送信コイルのアレイの模式図である。
図5図4の送信コイルの物体検出システムの回路図である。
図6】受信器回路の回路図であり、受信器コイルは磁石を生成するために用いられる。
図7】外来磁石の存在を相互に関連付けるのに用いられる回路波形のグラフである。
図8a】代替的な受信器構成の模式図である。
図8b】代替的な受信器構成の模式図である。
図8c】代替的な受信器構成の模式図である。
図8d】代替的な受信器構成の模式図である。
図8e】代替的な受信器構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、誘導電力移送(IPT)システム1が概略的に示される。IPTシステムは、誘導電力送信器2と、誘導電力受信器3と、を含む。誘導電力送信器2は、適切な電源4(例えば、商用電源または電池)に接続される。誘導電力送信器2は、AC−DCコンバータ(用いられる電源のタイプによる)などのコンバータ5および例えばコンバータ5(もし存在すれば)と接続されるインバータ6のうちのひとつ以上を有する送信器回路を含んでもよい。インバータ6は伝送コイルまたは複数の伝送コイル7にAC信号を供給し、これにより伝送コイルまたは複数の伝送コイル7は交流磁場を生成する。ある構成では、伝送コイル7はインバータ5とは別体のものとみなされてもよい。伝送コイルまたは複数の伝送コイル7はキャパシタ(不図示)と並列または直列に接続されることで、共振回路を生成してもよい。
【0013】
コントローラ8は、誘導電力送信器2の各部と接続されてもよい。コントローラ8は、誘導電力送信器2の各部から入力を受け、各部の動作を制御する出力を生成する。コントローラ8は、例えば電力フロー、チューニング、伝送コイルへの選択的給電、誘導電力受信器検出および/または通信を含む誘導電力送信器2の能力に依存して、その誘導電力送信器2の種々の態様を制御するよう構成された単一のユニットまたは別個の複数のユニットとして実装されてもよい。
【0014】
誘導電力受信器3は受信コイルまたは複数の受信コイル9を含み、そのコイル9は受信回路と接続され、その受信回路は電力調整回路10を含んでもよく、その電力調整回路10は次いで負荷11に電力を供給する。誘導電力送信器2のコイルと誘導電力受信器3のコイルとが適切に結合した場合、伝送コイルまたは複数の伝送コイル7により生成された交流磁場が受信コイルまたは複数の受信コイル9に交流電流を誘起する。電力調整回路10は誘導電流を、負荷11にとって適切な形態に変換するよう構成され、例えば電力整流器または電力調節回路もしくはその両方の組み合わせを含んでもよい。受信コイルまたは複数の受信コイル9はキャパシタ(不図示)と並列または直列に接続されることで、共振回路を生成してもよい。ある誘導電力受信器では、受信器はコントローラ12を含んでもよく、そのコントローラ12は受信コイルまたは複数の受信コイル9のチューニング、電力調整回路10の動作、および/または通信を制御してもよい。
【0015】
「コイル」という用語は、電流が磁場を生成する導電性構造を含んでもよい。例えば、誘導「コイル(coils)」は、三次元形状または二次元平面形状の導電性ワイヤや、プリント回路基板(PCB)技術を用いて複数のPCB「層」の上の三次元形状や他のコイル状形状に加工された導電性物質であってもよい。「コイル」という用語の使用は、単数形であれ複数形であれ、この意味で限定的であるべきでない。アプリケーションに応じて他の構成を用いてもよい。
【0016】
IPT送信器のあるアプリケーションにおいて、関連する受信器デバイス(例えば、携帯電話、リモートコントロール、等)に選択的に電力を提供し、異物(例えば、紙クリップ、コイン、等)へは電力を供給しないようにすることが望ましい。この目的のため、IPT送信器は物体検出(OD)システムを含んでもよい。ODシステムは、送信器の近傍にある受信器デバイスを検出し、隣接する受信器デバイスがあるときにのみ送信コイルを活性化するかまたは活性化させてもよい。(例えば、充電マット上の)コイルアレイなどの複数の送信コイルがある場合には、ODシステムはひとつ以上の受信器デバイスに隣接するコイルの部分集合のみを活性化するかまたは活性化させてもよい。
【0017】
受信器デバイスは「受信器タグ」を含んでもよい。受信器タグはひとつ以上の一意な特性または特徴を含んでもよく、そのような一意な特性または特徴はODシステムによって検出可能であって、かつ、一般には異物には存在しない。ODシステムは、タグとの相互作用を通じて、受信器タグの存在および/または受信器タグが近いことを検出する(またはより正確には、受信器タグの所定の特性または特徴を検出する)ひとつ以上の物体検出器またはセンサを含んでもよい。これらのセンサはODシステムの一部として、専用要素として提供されてもよく、または送信器回路そのものがこれらのセンサとして用いられてもよい。同様に、送信器のコントローラはODシステムの一部または全てを形成してもよい。これにより、受信器タグは識別要素として機能し、該識別要素によって電力送信器は電力受信器が電力送信器の近傍にいる場合を特定することが可能となり、そのような場合とはより具体的には、送信器コイルの動作中に送信器コイルのひとつ以上により生成されるIPTフィールドが占めるスペース内に受信器タグしたがって受信器デバイスがある場合である。後に詳述されるように、これらの識別要素は単に受信器デバイスの存在が検知されうるように構成されてもよいし、または存在する受信器デバイスのタイプが確かめられるように構成されてもよく、後者の場合、電力送信器が、例えばマルチモードIPTシステムの場合にそうであるように、異なる受信器タイプに専用の電力移送モードを実行することが助けられる。
【0018】
ODシステムのセンサは充電マットのひとつ以上の送信コイルに接続されてもよい。異物が送信器の上に置かれた場合、充電マットの送信コイルはそのような異物が「受信器タグ」を欠くので活性化されない。そのような異物(例えば、紙クリップやコイン等の金属物体)には、これ以外の場合では電力送信器によって生成される磁束によってエネルギが与えられうる。反対に、受信器デバイスが充電マットの上に置かれた場合、ODシステムは受信体の近傍受信器タグを検出し、その理由で、または他の条件設定と連携して、充電マットの送信コイルを活性化するかまたは活性化させる。
【0019】
図2は、隣接する受信体を検出するODシステムの一例を示す。送信コイル7は物体検出(OD)システムに関連付けられているか、または、IPTフィールド内のまたはそれに隣接する物体を検出するよう構成された電力送信器2の要素202に関連付けられる。
【0020】
受信コイル9は受信器タグまたは要素204に関連付けられるか、それに隣接する。受信コイル9は携帯電話やリモートコントロールやタブレットなどの任意の適切な受信器の一部であってもよい。受信器タグ204はひとつ以上の一意な特性または特徴を含んでもよく、そのような一意な特性または特徴はODシステム202によって検出可能であって、かつ、一般には異物には存在しない。
【0021】
受信器タグおよび対応するODシステムの非限定的例は以下を含む。
・永久磁石を含む受信器タグ、および該永久磁石に応答するよう構成され、かつ他の磁石には必ずしも応答しないよう構成された磁気センサを含むODシステム。
・電磁石などの非永久磁石を含む受信器タグ、および、受信器タグが送信器に近づいたときに該非永久磁石を活性化させるODシステムまたは送信器制御。この活性化は例えば送信器から受信器へ伝達されるある種の信号(例えば、変調IPT信号)を通じてなされ、または送信器のIPTコイルやODシステムの他の磁石からの磁束の受領を通じてなされる。これは、DC電圧でエネルギ付与される受信器コイルを用いて実装されてもよい。受信器がこれを用いていったん特定されると、受信器コイルからエネルギが取り去られ、その結果それは電力を受けることを開始できるようになり、ODシステム202は取り外しが決定されるまで受信器特定モードにある。受信器の取り外しは、電力移送、期間または他の通信チャネルを測定することにより決定されてもよい。
・受信器タグは符号化された反射性表面を含み、ODシステムは反射光パターンを測定するよう構成された光検出器を含む。
【0022】
前述の通り、受信器タグの特徴は、存在と共に受信器デバイスのタイプがODシステムによって確認可能なように構成されてもよい。例えば、上記例の永久磁石または非永久磁石の磁性体は、特異な磁束(例えば、所与の強度や質や他の特徴のもの)がODシステムのセンサに誘導されるように構成されてもよく、または他の例の反射性表面が受信器タイプに基づいて特異に符号化されてもよい。例えば、異なる受信器タイプは、受信器側負荷の効果的な給電/充電のために異なる電力レベルを必要とするものであってもよいし、特定の産業標準または異なる産業標準のバージョンのプロトコルに依拠するものであってもよいし、または携帯電話やウエアラブルデバイスなどの異なるデバイスのものであってもよい。そのような場合、ODシステムは、これらの異なる特徴を識別することができるセンサまたは制御を備えてもよいし、または個々の受信器タイプのための個々のセンサを備えてもよい。
【0023】
図6は、受信器コイルベースの「磁石」を実装するために使用可能な回路600の例を示す。デバイスの電池602における利用可能なDC電力を用いてRxコイル604を駆動し、センサを活性化するための静磁場を生成する。センサを活性化するために必要な静的磁束密度は意図的に非常に低く(〜数ミリテスラ)選択されてもよい。この場合、磁石を生成するために必要なDC電力量を最小化することができる。
【0024】
図6では、静磁場(電磁石)を提供するために電池を用いる場合、スイッチS1、S2は閉じられ、スイッチS3、S4は開かれ、受信器回路からコイルを隔離する。それは間欠的に電磁石モードで動作してもよいし、またはユーザが手動で無線充電モードを選択したときに電磁石モードで動作してもよい。同様に、Rxコイル604がその受電モードにあるとき、スイッチS3およびS4は閉じられ、上側のスイッチS1およびS2は開かれる。これにより、磁石を含むことによるスペースおよびコストの問題が低減され、生じうる干渉やその結果としてのシールドの必要性が低減されるという効果が奏される。
【0025】
図2を参照すると、受信器デバイスの受信コイル9は、永久磁石を含むかそれからなる受信器タグ204を有するように描かれている。受信器タグ204は実質的に受信コイル9の中央に位置する。あるいはまた、例えば受信器コイルが完全に巻かれた(中心まで巻かれた)らせんであることにより、またはコイル内に配置されたフェライト材を有することにより、またはそれ以外の理由により、受信器コイルが受信器タグの配置のためのスペースをその中に有さない場合、受信器タグ204は受信コイル9の外側ではあるが依然として検出を可能とする相対位置に配置されてもよい。あるいはまた、受信器コイル(または複数のコイルが受信器にある場合には複数のコイル)の中もしくは外、またはこれらの位置の両方の組み合わせに配置された複数のタグが提供されてもよい。タグは受信器コイルの面内に配置されてもよく、またはそれとは異なる面内に配置されてもよく、または面から突出してもよく、これらはタグとコイルとの相対寸法に依存する。
【0026】
受信器タグ204は永久磁石であり、磁場206を有する。受信器タグの永久磁石の磁場はODシステム202の要件およびアプリケーションにしたがい適合されてもよい。例えば、永久磁石の磁性体の密度は、所定の強度やボリュームの磁場を提供するよう選択されてもよい。
【0027】
電力送信器のIPTコイルとの大きな結合が生じる場合にはその結合は無線電力移送に影響を与えるが、そのような大きな結合を起こさせないために、関連する磁石204の磁場は送信コイル7の磁場よりも小さい。例えば、それは少なくとも百倍小さくてもよい。あるいはまた、受信器タグが非永久磁石であるODシステムの実施の形態では、電力送信器のIPTコイルは、非永久磁石が識別を提供するために一時的に活性化される場合に物体センサの少なくとも一部として用いられてもよく、この場合、非永久磁石の磁場強度は送信器コイルとの結合を引き起こすのに十分な程度である。
【0028】
送信器2のODシステム202は、受信器タグ204の磁場206によりそのなかに生成された磁束206を検出するひとつ以上の磁性スイッチ、センサまたはリレーを含んでもよい。
【0029】
図2の例では、ODシステム202は送信器2のコントローラ8に接続される別個のコンポーネントとして描かれており、したがって、ODシステム202が受信器タグを検出する場合、それはコントローラ8にインバータ6を活性化させ、それにより送信コイル7に電力を供給する。あるいはまた、ODシステムはコントローラ8に一体化された部分であってもよい。どちらの場合でも、ODシステム202は磁束の受領に応答する任意の適切なスイッチ、センサまたはリレーを含んでもよい。ある実施の形態では、これは、ホール効果スイッチ、リード(Reed)スイッチ、またはこれらもしくは他のタイプのスイッチの組み合わせなどの磁性スイッチであってもよい。磁性スイッチは、ノーマルオープン(磁場があるときに閉じる)であってもよいし、ノーマルクローズ(磁場があるときに開く)であってもよい。ODシステムの検出メカニズムのタイプの選択は多くのファクタにより支配されうるが、典型的な無線電力移送システムの場合には、ODシステムしたがってセンサメカニズムは広範囲の動作温度(例えば、約摂氏マイナス40度から約摂氏150度の範囲)に耐えうることが望ましい。受信器タグ204と同様に、ODシステムセンサは対応する送信コイル7の内または外に設けられてもよい。受信器タグが関連する受信器コイルの中にある場合、ODセンサを送信器コイルの中に設ける(送信器コイルがそのような配置を妨げる完全に巻かれたらせんでもなく、その中にフェライト材を有するわけでもないことを考慮すると)ことが有利であろうし、受信器タグがオフセットしている場合には、ODセンサを対応するように送信器コイルからオフセットさせることが有利であろう。タグとセンサとのこの相対配置はIPTシステムの実際の構成、および送信器コイルと受信器コイルとを電力移送のために揃える必要性に依存する。さらに、前記送信器コイルまたは各送信器コイルに対して複数のセンサを用いてもよい。これらの複数のセンサは、コイルの中または外に配置されてもよく、これらの相対位置の組み合わせに配置されてもよく、この場合、送信器に対する受信器デバイスの位置に依らない検出を提供できる。
【0030】
ODシステムが受信器タグ204の永久磁石または非永久磁石によってのみ活性化され、非磁性金属物体によっては活性化されないと、有利であろう。さらに、ODシステムは所定の磁束強度によってのみ活性化されるよう高度に調整されてもよく、この場合、単なる任意の磁石ではなく、対応する関連磁石を伴う受信体を選択的に検出することを確実にすることができる。しかしながら、高度の調整は、ある状況では非検出を引き起こす虞がある。所与のアプリケーションでは、設計上の考慮に従い、磁石と磁性スイッチとの間の特定の距離であってスイッチの状態が変わる特定の距離が特定されうる。例えば、送信器コイルと受信器コイルとはエネルギ供給される前に高度に結合しているべきではるが、同じく完全な整列は望まれてもおらず、必要でもない。距離はz高さやx/y距離やそれらの組み合わせで表されてもよく、スイッチの感度および/または磁石の強度を選択することによって調整されうる。
【0031】
一方、ODシステムが調整されない場合、受信器の一部ではない異物としての永久磁石によってODシステムが活性化されうるという難点が生じうる。それにもかかわらず、異物の磁石によって送信器が活性化されると、これは無負荷条件下でのものとなるので、無駄になる電力は最小である。さらに、無負荷条件の下では、動作中の送信器の磁石は熱せられない。動作中の送信器上に異物としての金属物体があると、そのような加熱が生じうる。したがって、異物としての磁石に伴う結果は無視できる程度のものである。さらに、送信器と受信器との間の通信を用いていわゆる「パワーコントラクト(power contracts)」を確立し、維持するIPTシステムにおいては、実際の電力移送は実際の受信器が存在する場合にのみ生じる。言い換えると、異物としての磁石が送信器を活性化したとすると、送信器はこの活性化を引き起こした物体/デバイスとの通信を試行する。物体が異物としての磁石の場合、それが応答することは無く、この場合送信器は充電を中止する。
【0032】
受信器と送信器との間に金属体が配置された場合でも受信器によって送信コイルが活性化されることがあり、これは「介在する」または「重なる」異物と称される。これにより異物としての金属体が熱せられ、そのため寄生異物における損失を通じた電力移送効率の低減が生じ、また安全上の問題も生じうる。これへの潜在的な解は相関方法を含む。該方法では、センサが磁石のみにより活性化されたときのセンサの電圧波形または電流波形が、磁石+金属体についてのそれと比較される。センサが磁石のみにより活性化されたときのセンサの応答が、磁石+金属体によって活性化されたときのそれとは異なることが観察された。そのような情報は、ハードウエア、ファームウエアまたはソフトウエア手段を通じて、ODシステムまたは送信器コントローラ内にモデル化されるかまたはプログラムされ、例えばコントローラまたはODシステムに関連付けられたメモリ内のルックアップテーブルとしてモデル化されるかまたはプログラムされ、この場合、コントローラまたはODシステムは検出波形または信号の測定が可能なように構成される。動作中に測定された実際の波形は例示の/既知の波形のうちのひとつと相互に関連付けられ、そのような非給電イベントが区別される。他の解は、重なるFO/受信器シナリオを克服するために、永久磁石オプションを他のFOD方法(すなわち、電力損失計算等)と組み合わせることを含んでもよい。
【0033】
例えば、センサの電圧および/または電流を監視しているとき、受信器からの磁石が送信器に置かれると、図7に示されるように、VSまたはIS対時間の特徴的な波形が観測される。正当な磁石を伴うRxがTx上に置かれると、Rx磁石がTxセンサと揃っている場合には第一波形702となり、Rx磁石がオフセットする場合には第二波形704となる。第二波形704は第一波形702と同じ特徴形状であるが、Rx磁石がTxセンサからより離れていることに起因してより小さい振幅を伴う。コインなどの異物があるときの第三波形706は歪んでいるか、または異物がない場合の波形702および704と比べて異なる形状を有する。検出された形状と参照波形形状(702または704)との相関をとることによって、この異なる形状を検出することができ、それが十分に異なる場合には、異物の存在が宣言され、電力搬送が中止または中断されてもよい。参照波形形状は実験的に決定され、例えばTxのルックアップテーブルに含まれてもよい。検出された波形(702、704、706)の形状と参照波形との相関をとるための種々の統計的手法が用いられてもよく、所定のしきい値を超える差が計算されると、電力移送制御プロセスに対して異物の存在が宣言される。
【0034】
検出された波形と参照波形との相関をとるための例示的な統計的手法はクロス相関である。検出された波形の平均振幅を正規化し、次いでクロス相関関数を適用することにより、二つの波形の形状が比較されうる。二つの離散的なシーケンスx[n]およびy[n]のクロス相関は、式(1)に示されるように数学的に表されうる。
【数1】
(1)
【0035】
例えば、センサがRxのみによって活性化されるときのセンサの参照(正規化)電圧波形または電流波形(図7に示される702または704のうちのひとつとしよう)は、離散的なシーケンスx[n]によって表される。y[n]は、センサがRxおよび間に配置された金属体によって活性化されるときの検出された波形(706)を表す。
【0036】
シーケンスx[n](Rxのみによるセンサ活性化の参照電圧/電流)は、金属が間に配置されたときのセンサの正規化電圧/電流y[n]とクロス相関される。これは、しきい値よりも低いクロス相関積Rxy[l]を生じさせ、これは異物の存在を示す。一方、異物がないときに波形が検出されると、正規化されたクロス相関積はしきい値よりも大きくなり、したがって、Rxのみの存在を示す。当業者であれば、他の統計的またはパターン認識方法を代替的に用いることができることを理解するであろう。
【0037】
デジタルホール効果センサを用いることで、Rxを異物の金属体と共に配置すると、最小磁場強度を検出するときにそのようなセンサの通常の出力応答に測定可能な歪みが生じることが観測された。この実装において、正規化は不要であり、クロス相関計算のみが必要とされる。ふたたび、しきい値を上回るクロス相関はRxのみの存在を示し、しきい値を下回るクロス相関はRxおよび異物の金属体の存在を示す。
【0038】
図3は、インバータ5および物体検出システムの例示的実装を示す。ODシステムは二つのホール効果スイッチ302および304を含む。二つのホール効果スイッチ302および304のそれぞれは、送信コイル回路の対応する電力スイッチSを介して送信コイル(306および308のそれぞれ)に接続され、かつ、ジャンクション310を通じてインバータ5と接続され、これにより閉ループ制御が提供される。電力スイッチSは、インバータ5からの電力が送信コイル内を流れることを選択的に可能とするために用いられ(各回路内に平滑化キャパシタもまた示されている)、これにより電力を結合された受信器に移送するためにどの送信コイルを用いるかを選択することができる。各ホール効果スイッチを用いて、関連する電力スイッチSの動作を制御する。電力スイッチは例えば、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタや、その任意のバリエーションであってもよい。そのような例では、ホール効果スイッチは対応する電力スイッチトランジスタの制御端子、例えばFETのゲート、に接続される。
【0039】
デフォルトでホール効果スイッチ302および304はノーマルオープンであり、したがって電力スイッチSは開いており、インバータ5は送信コイル306および308のいずれにも電力を供給しない。近くの受信器の受信器タグによってスイッチ302または304が活性化されると、そのスイッチは閉じ、したがって関連する電力スイッチSが閉じられ、インバータ5からの電流が対応する送信コイル306または308に流れることが可能となる。この回路設計は、適切な送信コイルに電力を供給するための通信回路や制御回路の必要性を低減しうる。図示の例では、インバータ5はハーフブリッジ構成で描かれているが、当業者であればフルブリッジ構成もまた適用可能であることを理解するであろう。さらに、図示の例では、ODシステムの磁性スイッチは送信コイルに直接的に接続されていない。これは、典型的な磁性スイッチがインバータからの比較的大きな電流に耐えることができないからである。したがって、そのような大きな電流に対して定格な電力スイッチが用いられるのであり、磁性スイッチは比較的小さな電流で電力スイッチを制御することができる。しかしながら、アプリケーションに依存して、無線給電システムによって移送される電力のレベルが比較的低い場合、電力スイッチを省略し、磁性スイッチを送信コイルに直接接続するよう用いてもよい。
【0040】
伝送コイルのアレイの例が図4に示される。各送信またはIPTコイル402、404、406、408、410、412、414および416は、コイル内に、複数の規則的に配置されたIPTフェライト要素(不図示)を含んでもよく、その要素は、送信器のひとつ以上のインバータからのAC信号により誘導される磁場を強化/形付けするためのものである。IPTコイル402−416は矩形アレイ構造に配置されてもよく、リニア(2D)、重畳(図4に示されるように)または三次元的(3D)に配置されてもよい。
【0041】
例示的な構成では、IPTコイル402−416は磁性スイッチ(A1−H1)でインターリーブされる。図4の例示的な重複送信器コイル構成では、「下」層の各送信コイル402−412(すなわち、コイル402−412は「上」層のコイル414および416に重なっている)、複数の磁性スイッチまたは磁性スイッチのグループと関連付けられており、磁性スイッチは送信コイル502の中央および各辺上に設けられている。「上」層の送信コイル414および414はそれぞれひとつの磁性スイッチに関連付けられる。この説明では、「下」および「上」という用語は、電力送信器の充電マットのインタフェース面に対して用いられており、充電/給電対象の電力受信器はそのインタフェース面に置かれてもよく、ここで、「上」は「下」よりもインタフェース面に近い。
【0042】
さらに、コイル406はコイル402とコイル410との間にあり、コイル408はコイル404とコイル412との間にあるので、これらの「内側」コイル406および408はそれぞれ「外側」コイル402、402、410および412よりも大きなグループの磁性スイッチと関連付けられる。したがって、図4に示されるように、下層において、コイル402は三つの磁性スイッチA1−A3に関連付けられ、コイル404は三つの磁性スイッチB1−B3に関連付けられ、コイル406は四つの磁性スイッチC1−C4に関連付けられ、コイル408は四つの磁性スイッチD1−D4に関連付けられ、コイル410は三つの磁性スイッチE1−E3に関連付けられ、コイル412は三つの磁性スイッチF1−F3に関連付けられ、上層において、コイル414はひとつの磁性スイッチG1に関連付けられ、コイル416はひとつの磁性スイッチH1に関連付けられる。この構成は、ODシステムによる十分に精密な検出を実現しつつ、受信器が送信コイルの近くにいる場合に、受信コイルに給電するために送信コイルによってIPTフィールドが生成されうる拡張領域を提供するために給電可能な送信コイルの数を最大化することができる。
【0043】
特に、送信コイル402および関連する三つの磁性スイッチA1、A2およびA3の構成では、磁性スイッチA1はコイル402内(実質的にその中央に描かれている)にあり、磁性スイッチA2は隣のコイル404に対してコイル402の第一の「内側」辺(図4では右辺に描かれている)にあり、磁性スイッチA3は隣のコイル406に対してコイル402の第二の「内側」辺(図4では下辺に描かれている)にある。他の外側コイル404、410および412および関連する磁性スイッチB1−B3、E1−E3およびF1−F3について同様の構成が用いられ、この場合、磁性スイッチは関連する送信器コイル内にあるか、またはそのコイルとアレイにおける隣のコイル(またはより大きなアレイ内のコイル)との間にある。この構成では、受信器タグを含む受信体は、関連する磁性スイッチのうちのいずれかの近傍に置かれた場合、送信コイル402を活性化してもよい。
【0044】
コイル402とコイル404との間に置かれた受信器(受信器タグを含む)は、磁性スイッチA2(コイル402に関連する)およびB2(コイル404に関連する)の両方を活性化してもよい。この場合、受信器コイルは送信コイル402および404の両方と結合されてもよい。送信器のコントローラは、そのような結合を用いることで、電力移送を実行するためにコイルの両方にエネルギを与えるかまたは一方にエネルギを与えるかを決定することができる(例えば、複数の送信器コイルを用いることで、移送される電力量を増やすことができ、それにより受信器の電力要件を満たすことができおよび/または電力受信器の再充電可能負荷の充電を迅速化することができる)。
【0045】
さらに、送信コイル406および関連する四つの磁性スイッチC1、C2、C3およびC4の構成では、磁性スイッチC1はコイル406内(実質的にその中央に描かれている)にあり、磁性スイッチC2はコイル406の第一の「内側」辺(図4では上辺に描かれている)にあり、磁性スイッチC3はコイル406の第二の「内側」辺(図4では右辺に描かれている)にあり、磁性スイッチC4はコイル406の第三の「内側」辺(図4では下辺に描かれている)にある。他の内側コイル408および関連する磁性スイッチD1−B4について同様の構成が用いられ、この場合、磁性スイッチは関連する送信器コイル内にあるか、またはそのコイルとアレイにおける隣のコイルとの間にある。充電マット上のうちこれらの磁性スイッチのいずれかの上に置かれた受信器タグを含む受信器は、送信コイル406を活性化するであろう。
【0046】
任意の数の送信コイルは、任意の適切な数の磁性スイッチと、任意の適切な構成で、関連付けられてもよい。
【0047】
図5は、送信コイル404の例示的な回路図を示す(他の外側コイルについて同様の構成が適用され、内側コイルについて同類の構成が適用される)。三つのホール効果スイッチB1−B3は並列に配置され、それぞれが送信コイル404とインバータとの間に直列に接続される。三つのスイッチB1−B3のうちのひとつ以上が活性化されると(適切な永久磁石または活性化された非永久磁石の接近により)、インバータは送信コイル404に電力を供給する。
【0048】
あるいはまた、三次元タイプのホール効果デバイスを用いることで、送信器コイルのアレイに対する受信器の場所をおおよそで決定し、受信器に結合するために最も適切な送信器コイルの組み合わせに電力を供給してもよい。そのようなデバイスを用いることで、同様なレベルの位置感度を維持しつつ図4に示されるスイッチの数を低減することができる。
【0049】
図8(a)−(e)に示されるさらなる代替例において、各受信器は複数のタグまたは永久磁石を備えうる。この場合、各Txコイルの中央にただひとつのセンサ(磁性スイッチ)が設けられる。異なるRx位置での検出を可能とするため、代わりに、いくつかの永久磁石がRx上に分散される。これにより、Txコイルと中心同士が対応するように配置されない場合、センサは中央磁石または側方磁石のいずれかによって活性化されうる。このアプローチは、必要なセンサの数と、必要なTxコイルの数またはTxコイルの層の数と、複雑さと、コストと、を低減する点で有利でありうる。
【0050】
例えば、図8aに示される受信器では、受信器コイル804の内部に、充電面に亘って7つの磁石802が分布している。送信器は矩形アレイに配列された6つのコイル806で構成される。各コイルはその中央に永久磁石808を伴う。図8aのRx位置では、活性化されるコイルはない。図8bでは、コイル2のみが活性化される。図8cでは、コイル1および2が活性化される。図8dでは、コイル1および3が活性化される。図8eでは、コイル1および4が活性化される。さらなる代替例では、Rxの下面の周りに磁性体のリボンが設けられてもよい。
【0051】
IPTシステムは送信器の不必要な電源オンを避けることができる。負荷が無い場合、デフォルトで送信器はスタンバイ電源としてオフのままでいるからである。送信器が送信コイルのアレイを有する場合、アレイ中の送信コイルのうち検出された受信器デバイスに対する位置にある送信コイルのみが電源オンされ、これにより無駄な電力を最小化し、および/またはユーザや他の物体の磁場への暴露を最小化することができる。さらに、充電パッド上またはその近くにおける異物(金属を含む)の存在に起因する送信コイルの活性化を防ぐことができる。さらに、送信器から電力を受ける受信器は、異物や他の物体が送信器インタフェース面の他の部分に置かれた場合でも、依然としてその電力を受けることができる。これらのファクタは、従来のODシステムと比べて、IPTシステムのライフスパンを増大させることができる。
【0052】
本発明の実施の形態の説明によって本発明を説明し、また実施の形態を詳細に説明したが、添付の請求項の範囲をそのような詳細に制限したり限定したりするような出願人の意図は全くない。当業者には、追加的な利点や変形例は容易に明らかであろう。したがって、より広い態様における本発明は、示され説明された具体的な詳細や代表的な装置および方法や説明的例示に制限されない。したがって、出願人の大きな発明概念の精神や範囲から逸脱することなしに、そのような詳細からの逸脱がなされうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e