(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963661
(24)【登録日】2021年10月19日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】手術器具の作動ロックアウト
(51)【国際特許分類】
A61B 17/068 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
A61B17/068
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-137081(P2020-137081)
(22)【出願日】2020年8月14日
(62)【分割の表示】特願2017-564682(P2017-564682)の分割
【原出願日】2016年6月29日
(65)【公開番号】特開2020-203097(P2020-203097A)
(43)【公開日】2020年12月24日
【審査請求日】2020年9月1日
(31)【優先権主張番号】14/755,347
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,ネイサン スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ラヌッチ,ケヴィン,ジェイ.
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05258010(US,A)
【文献】
特開2008−279255(JP,A)
【文献】
特開2003−210469(JP,A)
【文献】
特許第6751416(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
A61B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガと、前記トリガに作動可能に連結された留め具ドライバと、を含む動力伝達部であって、前記留め具ドライバは、前記留め具ドライバの長手方向軸周りで回転可能であり、第1構成から第2構成への前記トリガの作動が、少なくとも、前記留め具ドライバの前記長手方向軸周りの第1回転位置と前記留め具ドライバの前記長手方向軸周りの第2回転位置との間で前記留め具ドライバを移動させる、動力伝達部と、
前記動力伝達部に作動可能に関連し、ロック構成とロック解除構成との間を移動可能である作動ロックアウトシステムであって、前記作動ロックアウトシステムが前記ロック構成にあるとき、前記留め具ドライバが前記第1回転位置から前記第2回転位置へ移動するのを防ぐ作動ロックアウトシステムと、
前記動力伝達部に作動可能に関連する回転連結部であって、前記回転連結部は、前記トリガに作動可能に連結された第1連結具と、前記留め具ドライバに作動可能に連結された第2連結具と、を含み、前記第1連結具及び前記第2連結具は、前記留め具ドライバが前記トリガに連結される係合構成と、前記留め具ドライバが前記トリガから分断される係脱構成と、の間で互いに対して移動可能である、回転連結部と、を備える手術器具。
【請求項2】
前記トリガの前記第1構成が、作動されない構成であり、前記トリガの前記第2構成が、完全に作動された構成である、請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記作動ロックアウトシステムが、
前記留め具ドライバに関連する1つ又は複数のロッキング面と、
制御面であって、前記作動ロックアウトシステムが前記ロック構成にあるとき、前記1つ又は複数のロッキング面の移動経路に整列させられ、前記作動ロックアウトシステムを前記ロック構成から前記ロック解除構成に移動させることが、前記制御面を前記1つ又は複数のロッキング面の移動経路から外して移動させる、制御面と、を備える、請求項1に記載の手術器具。
【請求項4】
前記作動ロックアウトシステムが、
前記留め具ドライバに関連する1つ又は複数のロッキング面と、
制御面であって、前記作動ロックアウトシステムが前記ロック構成にあるとき、前記1つ又は複数のロッキング面の移動経路に整列させられ、前記作動ロックアウトシステムを前記ロック構成から前記ロック解除構成に移動させることが、前記ロッキング面を前記制御面との整列から外して移動させる、制御面と、を備える、請求項1に記載の手術器具。
【請求項5】
前記1つ又は複数のロッキング面は、前記留め具ドライバの軸方向に対して外側に延在し、前記制御面は、前記留め具ドライバの軸方向に平行な方向に移動する、請求項3又は4に記載の手術器具。
【請求項6】
前記1つ又は複数のロッキング面は前記第1連結具の周囲に分散される、請求項5に記載の手術器具。
【請求項7】
前記トリガに作動可能に連結された第1リンクをさらに備え、前記制御面が前記第1リンク上に配置される、請求項3又は4に記載の手術器具。
【請求項8】
前記第1構成から前記第2構成に向かう前記トリガの作動が、前記ロック構成から前記ロック解除構成へ前記制御面を移動させるために前記第1リンクを移動させる、請求項7に記載の手術器具。
【請求項9】
前記トリガ及び前記第1リンクに直接連結された第2リンクをさらに備え、前記第2リンクが、前記トリガの回転運動を前記留め具ドライバに対する前記第1リンクの運動に移す、請求項8に記載の手術器具。
【請求項10】
前記第1連結具は、前記第1連結具が前記第2連結具に対して近位及び遠位に摺動されるように構成されるように、摺動可能な連結を介して前記トリガに連結される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項11】
前記第1連結具及び前記第2連結具は連動刻み目構造を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項12】
前記回転連結部は、前記係合構成に向かって前記第1連結具及び前記第2連結具を付勢するように構成されたバネをさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項13】
前記バネは、前記第2連結具に向かって遠位方向に前記第1連結具を付勢するように構成される、請求項12に記載の手術器具。
【請求項14】
前記第1連結具は、前記第2連結具に対して近位に前記係脱構成に移動されられるように構成される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 開示された実施形態は、手術器具の作動ロックアウトに関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ヘルニア又は他の組織の欠陥の外科的修復の間、外科用メッシュファブリック又は他の補綴修復ファブリックがしばしば使用される。補綴修復ファブリックは、切開処置又は腹腔鏡下で取り付けられうる。修復ファブリックを所定の位置に固定するため、1つ又は複数の留め具が、補綴修復ファブリックを通して及び皮下組織内へ配置されうる。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 一実施形態では、手術器具は、トリガと、トリガに作動可能に連結された留め具ドライバと、を含む動力伝達部を有する。第1構成から第2構成へのトリガの作動が、留め具ドライバを少なくとも第1位置と第2位置との間で動かす。手術器具はさらに、動力伝達部に作動可能に関連する作動ロックアウトシステムを有する。作動ロックアウトシステムは、ロック構成とロック解除構成との間を移動可能である。作動ロックアウトシステムがロック構成にあるとき、作動ロックアウトシステムは留め具ドライバが第1位置から第2位置へ移動するのを防ぐ。トリガの第1構成から第2構成への作動が、作動ロックアウトシステムをロック構成からロック解除構成に動かす。
【0004】
[0004] 別の実施形態では、手術器具は、トリガと、トリガに作動可能に連結された留め具ドライバと、を含む動力伝達部を有する。第1構成から第2構成へのトリガの作動が、留め具ドライバを少なくとも第1位置と第2位置との間で動かす。手術器具はさらに、留め具ドライバに関連する1つ又は複数のロッキング面と、トリガが第1構成から第2構成へ作動されるときにロック構成とロック解除構成との間を移動可能な制御面を有する。制御面がロック構成のとき、制御面は、1つ又は複数のロッキング面のうち少なくとも1つの運動を阻止し、第1位置と第2位置との間の留め具ドライバの移動を妨げる。
【0005】
[0005] さらなる実施形態では、手術器具の操作方法は、最初に作動ロックアウトシステムを用いてトリガに作動可能に関連する留め具ドライバの移動を抑制することと、トリガを第1構成から第2構成へ作動させることと、前記トリガの作動に応え、作動ロックアウトシステムをロック構成からロック解除構成へ動かすことと、作動ロックアウトシステムがロック解除構成にあるとき、留め具ドライバを第1位置から第2位置へ移動させることと、を含む。
【0006】
[0006] 本開示はこの点に限定されないので、前述の概念及び後述のさらなる概念を、任意の適切な組み合わせで調整してもよいことを理解するべきである。さらに、本開示の他の利点及び新規の機能は、添付の図に関連して検討されたとき、種々の非限定の実施形態の後述の詳細な記載から明らかになる。
【0007】
[0007] 添付の図は、縮尺通りに描かれることを意図しない。図では、種々の図内でそれぞれの同一又はほぼ同一の構成要素は、同じ数字で表わされうる。明瞭にするため、全ての図において全ての構成要素を表示しない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】[0009]
図1の手術器具の遠位端部の分解図である。
【
図3】[0010]作動ロックアウトシステムを含む手術器具のハンドルの断面図である。
【
図4】[0011]作動ロックアウトシステムの分解図である。
【
図5】[0012]ロック構成の
図4の作動ロックアウトシステムの斜視図である。
【
図6】[0013]ロック構成の
図4の作動ロックアウトシステムの上面図である。
【
図7】[0014]ロック解除構成の
図4の作動ロックアウトシステムの斜視図である。
【
図8】[0015]ロック解除構成の
図4の作動ロックアウトシステムの上面図である。
【
図9】[0016]連結された構成の回転連結部の斜視図である。
【
図10】[0017]分断された構成の
図9の回転連結部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0018] 本発明者は、留め具の配置が所望されるまで留め具ドライバの移動を抑制及び/又は阻止する、作動ロックアウトシステムを有する手術器具の提供に関する利点を認識した。本発明者は、一般的な作動ロックアウトシステムがシステムをロック解除するのに、手術装置が作動可能になる前に個別の安全スイッチを切り替えるようなユーザからのアクティブステップを必要とすることを認識した。そのようなアクティブステップは、面倒で、分かりにくく及び/又は不便である。従って一部のケースで、ユーザからの個別のステップを必要とせずに作動ロックアウトシステムをロック解除するのが望ましい可能性がある。従って、本発明者は、トリガが作動されるときにロック構成からロック解除構成へ動く作動ロックアウトシステムに関連する利点を認識した。そのようなシステムは、ユーザが装置をロック解除するいずれかの追加行為の必要をなくし、それによって、操作がより容易及び/又はより直感的な、ユーザが作動ロックアウトシステムを係合/係脱するのを記憶しているかどうかにかかわらず機能を提供する手術器具をもたらす。
【0010】
[0019] いくつかの実施形態では、手術器具は、留め具ドライバに作動可能に連結されたトリガを持つ動力伝達部を有する。動力伝達部は、ユーザがトリガに加えた力を留め具ドライバに伝達し、留め具ドライバが手術器具の遠位端部から留め具を配置する。動力伝達部は、トリガと留め具ドライバとの間に任意の適切な方法で配置されたあらゆる数の構成要素を有してもよい。例えば、トリガと留め具ドライバとの間の動力伝達部内に含まれうる構成要素は、平歯車、はすば歯車、クラウン歯車、ウォーム歯車、遊星歯車システム、ベルト、クラッチインタフェース、リンケージ、又は1つの構成要素から他に力を伝達可能なあらゆる他の適切な構成要素を含む。さらに、開示はそのように限定されないので、トリガが留め具ドライバに直接連結された実施形態、並びに、トリガが留め具ドライバに連結されない実施形態(例えばモータ駆動の手術器具)もまた考えられる。
【0011】
[0020] さらに、本開示はいずれの特定のタイプの留め具ドライバにも限定されないことを理解するべきである。例えば、外科用留め具に配置の力を与えるのに、留め具ドライバは回転的及び/又は直線的に移動可能であってもよい。いくつかの実施形態では、留め具ドライバは、中空のチューブとして形成されたローテータであり、留め具ドライバの遠位端部の内側に配置された留め具を有する。代わりに、留め具ドライバは、硬いロッド又はシャフトであってもよく、留め具ドライバの回転及び/又は直線移動が留め具を移動させるように、留め具ドライバの外表面に配置された留め具を有してもよい。さらに他の実施形態では、留め具ドライバが回転及び/又は直線移動するとき、留め具ドライバの遠位端部が留め具と係合して留め具を配置するように、留め具を、留め具ドライバの遠位端部に対して遠位に位置付けてもよい。従って、本開示はあらゆる特定の配置に限定されないので、留め具ドライバは、留め具に配置する力を伝達可能なあらゆる構造を有してもよいことを理解するべきである。
【0012】
[0021] 特定の実施形態によって、留め具ドライバを、留め具を回転的及び/又は直線的に配置するように調整してもよい。従って、動力伝達部及び留め具ドライバを、対応する回転的及び/又は直線的な力を留め具に提供するように構成してもよい。1つのそのような実施形態で、第1構成から第2構成へトリガを作動させることが、留め具ドライバを第1位置から第2位置へ動かす。例えば回転的に配置される留め具の場合、留め具ドライバの回転が留め具に回転力を与えるように、留め具ドライバは第1及び第2回転位置の間を動く。代わりに、直線的に配置される留め具の場合、留め具ドライバが留め具に遠位に向けられた力を加えるように、留め具ドライバは第1近位位置から第2遠位位置へ遠位に動く。さらなる実施形態では、留め具ドライバは、留め具を配置するのに回転的及び直線的の両方で動いてもよい。結果として、留め具ドライバが軸方向に、回転して、2つの組み合わせで、又は他の適切な方法で移動されうるように、本開示が留め具ドライバのいずれの特定の移動方向にも限定されないことを理解するべきである。
【0013】
[0022] 前述のように、手術器具は、トリガが作動されるまで手術器具の作動を阻止する作動ロックアウトシステムを有してもよい。作動ロックアウトシステムは、トリガ、留め具ドライバ、及び/又は、2つの間に位置するあらゆる中間構成要素を含む動力伝達部のあらゆる部分に関連してもよい。また作動ロックアウトシステムは、例えば手術器具の振動、取り扱い又は他の発生源からもたらされる留め具ドライバの移動を選択的に防いでもよい。留め具ドライバの望まれない移動を防ぐことにより、作動ロックアウトシステムはまた、外科用留め具の関連する移動も防ぐ。
【0014】
[0023] いくつかの実施形態では、作動ロックアウトシステムは、留め具ドライバの移動が抑制されたロック構成と、留め具ドライバが外科用留め具を配置するよう自在に動くロック解除構成と、の間を動くことが可能である。1つのそのような実施形態で、トリガの作動が作動ロックアウトシステムをロック構成からロック解除構成へ動くように、作動ロックアウトシステムは動力伝達部の適切な部分に関連付けられる。例えばトリガは、第1の最初の又は作動されない構成と、手術器具から配置される外科用留め具に対応する第2の作動される構成の間を移動可能であってもよい。前述のシステムで、作動ロックアウトシステムは、トリガが第1構成にあるときロック構成にあるように構成される。第1構成から第2構成へトリガを動かすことが、留め具を配置するよう(例えば回転的及び/又は直線的に)留め具ドライバが移動されうるように、作動ロックアウトシステムをロック構成からロック解除構成へ動かす。
【0015】
[0024] いくつかの実施形態では、作動ロックアウトシステムは、トリガに関連する制御面、及び留め具ドライバに関連する1つ又は複数のロッキング面を有する。1つ又は複数のロッキング面の移動の阻止が留め具ドライバの移動を防ぐように、1つ又は複数のロッキング面は留め具ドライバと作動可能に連結される。本開示は、どの特定の部分にロッキング面が位置するかには限定されないので、ロッキング面は、留め具ドライバに直接連結されてもよく、又はそれらが動力伝達部の他の部分に連結されてもよい。それらの特定の位置にかかわらず、作動ロックアウトシステムがロック構成にあるとき、制御面はロッキング面のうち少なくとも1つの移動経路に整列させられる。この方法で、制御面は、ロッキング面の移動を阻止、及び/又は妨害し、留め具ドライバの関連する移動を妨げる。前述のように、トリガの作動は、作動ロックアウトシステムをロック構成からロック解除構成に動かす。1つの実施形態では、作動ロックアウトシステムをロック解除構成に動かすことは、制御面がロッキング面の運動をもう干渉及び/又は阻止しないように、制御面をロッキング面の移動経路との整列から外して動かすことを含む。他の実施形態では、作動ロックアウトシステムをロック解除構成に動かすことは、ロッキング面を制御面に対して動かすこと、又は、代わりに制御面及びロッキング面の両方を制御面が1つ又は複数のロッキング面の運動を阻止しない構成に動かすことを含む。1つ又は複数のロッキング面が自在に移動すれば、留め具ドライバを移動して留め具を配置することが可能である。
【0016】
[0025] 作動ロックアウトシステムの制御面及び/又はロッキング面は、それらが互いに整列させられたときロッキング面の移動を選択的に阻止するよう互いに作用する対応する面の任意の適切な組み合わせを有してもよいことを、理解するべきである。例えば、制御面及び/又はロッキング面は、タブ、ショルダ、切り欠き、ピン、溝、スロット、リップ、突起、又はあらゆる他の適切な構造の適切な組み合わせを有してもよい。1つのそのような実施形態で、制御面及びロッキング面は、整列に至らせられ及び外され、システムをロック構成にしたり、ロックを外したりする2つの対応するタブを有する。別の実施形態では、制御面及びロッキング面は、ピン、又は特定の方向のピンの移動を妨げるような大きさ、形状、及び方向付けられた溝、スロット、又は穴のようなピンを捕捉可能な対応する構造内に位置する同様の突出した構造を有する。ピンを対応する構造と係合させ、及び外すことは、関連する留め具ドライバの運動を選択的に可能にする。さらに他の実施形態で、ロッキング面は、留め具ドライバ上のショルダ、又は動力伝達部の他の適切な部分である。制御面は、対応するピン、ショルダ、ブロック、又は作動ロックアウトシステムをロック構成とロック解除構成の間で動かすようなショルダの移動に選択的に干渉可能であるあらゆる他の構造を含む。
【0017】
[0026] 前述の観点で、本開示がいずれの特定のタイプの制御面及びロッキング面又はその組み合わせにも限定されないことを理解するべきである。従って、制御面及びロッキング面は、留め具ドライバの運動を選択的に阻止及び/又は制限するよう選択的に互いに整列及び/又は係合されうる任意の適切な構造の組み合わせを有してもよい。
【0018】
[0027] 特定の実施形態によって、作動ロックアウトシステムがロック構成とロック解除構成の間を動くとき、制御面及び1つ又は複数のロッキング面は任意の適切な方法で整列し及び外れるよう動いてもよい。従って、作動ロックアウトシステムは、トリガが作動されたとき制御面を1つ又は複数のロッキング面と整列し及び外れるよう動かすことが可能な、任意の適切な機構を有してもよい。例えば、1つの実施形態では、トリガの移動が制御面をロッキング面と整列し及び外れて動かすように、制御面はトリガに直接連結される。代わりに、制御面をトリガに間接的に連結してもよい。例えば制御面を、1つ又は複数の歯車、1つ又は複数のリンク、ラック及びピニオン構成、相補的カム面、又はトリガの運動を制御面の運動に伝達可能なあらゆる他の構造を介してトリガに連結してもよい。1つのそのような実施形態で、制御面は、直接、又は1つ又は複数の中間歯車を通してのどちらかでトリガに連結された歯車の外面に配置される。第1構成から第2構成へのトリガの作動は歯車を回転させ、制御面をもう1つのロッキング面の移動経路との整列から外して回転する。別の実施形態では、及びさらに図で後述するように、制御面はトリガに作動可能に連結された第1リンク上に配置される。トリガの作動は、第1リンクを、関連するロッキング面に対して直線的に及び/又は回転的に移動する。
【0019】
[0028] 作動ロックアウトシステムのロッキング面及び制御面の相対的な位置決めを制御する種々の実施形態に関していくつかの可能な構成を記載したが、本明細書に記載された作動ロックアウトシステムは、ロッキング面及び制御面の相対的な移動を制御するいずれの特定の配置にも限定されないことを理解するべきである。例えば、制御面はロッキング面との整列を外れて移動すると記載したが、他の実施形態では、作動ロックアウトシステムがロック構成とロック解除構成との間を動くとき、ロッキング面は、静止した制御面に対して移動してもよく、又は、代わりに、制御面及びロッキング面の両方が互いに対して移動してもよい。さらに、ロッキング面及び/又は制御面は、2〜3例を挙げると直線的に、回転的に、直線的と回転的の組み合わせ、並びに曲線のような非直線状の進路に沿うことを含むがそれらに限定されないあらゆる所望の方法で互いに対して移動してもよい。
【0020】
[0029] 本明細書中に開示される作動ロックアウトシステムの種々の実施形態は、あらゆる特定のタイプの留め具又は手術器具との使用に限定されないこともまた記しておく。例えば作動ロックアウトシステムを、鋲、クリップ、ステープル、ピン、組織アンカー、骨アンカー、コイル留め具、ネジ留め具、及び留め具の不完全及び/又は意図的でない配置を避けるのに作動ロックアウトシステムの使用で利点がありうるあらゆる他のタイプの留め具と共に使用可能である。同様に、作動ロックアウトシステムを、皮下組織に修復ファブリック又はメッシュを取り付けること、組織の近接した層を取り付けること、家畜に識別装置及び/又はタグを取り付けること、及び留め具の配置に関与する他の適切な適用を含むがそれらに限定されないあらゆる数の医療処置で使用してもよい。
【0021】
[0030] 明瞭にするため、図に関して記載される実施形態は腹腔鏡固定器具を対象にする。しかしながら、本開示はそのように限定されない。代わりに、作動ロックアウトシステムを、あらゆる作動される手術器具内に組み込むことが可能である。例えば作動ロックアウトシステムを、内視鏡装置、ボアスコープ装置、カテーテル、「切開」処置で使用する手術器具、作動された作業ツールを含む手術器具、又はあらゆる他の適切な手術器具で採用することが可能である。手術器具が留め具を配置する実施形態で、手術器具を、ユーザが1つ又は複数の留め具を器具に装填することを可能にするように構成してもよく、1つ又は複数の留め具を予め装填してもよく、1つ又は複数の予め装填された留め具を含む使い捨ての装填ユニットと選択的に接合してもよく、又はあらゆる他の適切な方法で構成してもよい。
【0022】
[0031] 次に図を見ると、作動ロックアウトシステム及び手術器具の特定の非限定の実施形態がさらに詳細に描かれる。
【0023】
[0032]
図1は、1つ又は複数の外科用留め具を配置する手術器具10を示す。手術器具10は、装置の近位端部におけるハンドル12及びトリガ14を有する。手術器具は又はハンドルから遠位方向に延在する外側の細長形シャフト16を有する。トリガが作動されるとき、外科用留め具が細長形シャフトの遠位先端部から配置される。配置される外科用留め具を、あらゆる適切な補綴物、骨及び/又は組織内に配置してもよいことを理解するべきである。例えば1つの実施形態では、外科用留め具を、ヘルニア治療の皮下組織と同様に外科用メッシュのような軟組織の修復ファブリック内に配置可能である。
【0024】
[0033]
図2は、
図1の手術器具10の遠位端部の分解図を示す。図に示されるように、手術器具は、外側の細長形シャフト16、ローテータ18、及びマンドレル20を有する。組み立てられたとき、マンドレルはローテータ内に配置され、ローテータは外側の細長形シャフト内に配置される。示された実施形態で、ローテータは、回転可能な駆動チューブであり、マンドレルは、1つ又は複数の外科用留め具100を支持する螺刻部22を有する。図に示すように、外科用留め具は、螺刻マンドレル及びコイル本体104を受け入れる貫通穴を有するヘッド102が付いたコイル留め具であってもよい。さらに後述するように、トリガが作動するとローテータをマンドレルに対して回転するよう、トリガは動力伝達部(図示せず)を介してローテータに連結される。ローテータの回転は、マンドレルの螺刻部分に配置された外科用留め具を回転し、それが留め具を遠位方向に移動させ、最も遠位の留め具を補綴物及び/又は組織内へ配置する。このタイプの留め具配置システムのより詳細な記載が2013年11月8日出願の米国出願第14/075,398号(US2015/0133964号として公開)に提供され、これは全ての目的に関して本明細書に含まれる。
【0025】
[0034] ここで
図3を参照すると、手術器具10の1つの実施形態の内部の構成要素がより詳細に示される。図に示されるように、手術器具は、トリガ14と、トリガ及びハンドル12の両方に取り付けられたリターンバネ24と、を有する。リターンバネは、トリガが作動された構成のとき、トリガを最初の作動されない構成に戻すのを補助する復元力を提供する。トリガは、動力伝達部28の対応する歯車に係合するように構成された歯26を有する。示された実施形態で、動力伝達部は、トリガの移動をローテータ18の回転運動に変換して留め具を配置するよう調整された歯車列、並びにトリガの作動及びその後の解放の両方の間、ローテータを1方向に回転させるように制限するように調整された単一指向性歯車クラッチ30を有する。さらに詳細に後述するように、手術器具はさらに、操作者がローテータを選択的に回転させ、留め具の位置を調整するのを可能にする回転連結部32を有する。手術器具はまた、トリガが作動されるまでローテータ18の移動を制限する作動ロックアウトシステム40を有する。作動ロックアウトシステムのさらなる詳細は、
図4〜
図9を参照して後述する。
【0026】
[0035] 複数の歯車を含む動力伝達部を示し及び前述したが、トリガに加えられる力をローテータ又は他の留め具ドライバへ伝達するのに他の機構又は構成もまた使用してもよいことを理解するべきである。例えば、トリガの移動を留め具ドライバの関連する移動に伝達するのに、リンケージを使用してもよい。そのような構成は、直線的に移動される留め具ドライバを採用する実施形態に有益でありうる。代わりに、トリガを、ピン継手、ラック及びピニオンの構成、又はあらゆる他の適切な構造を介して留め具ドライバに直接連結してもよい。
【0027】
[0036] いくつかの実施形態では、回転可能留め具ドライバの移動を1つの回転方向に限定し、留め具の配置の完了を確実にするように補助し、留め具が配置された後それの後退を防ぐことは有益でありうる。従って、動力伝達部は、1つの方向にのみ回転力を提供する1方向歯車クラッチ機構を有してもよい。示された実施形態で、歯車クラッチ機構30は、歯車クラッチが留め具の配置に対応する方向に回転させられるときに移動可能なアームに係合するショルダを有する。付勢構成要素が、アームをショルダと係合させるのを補助するようにアームに関連付けられる。クラッチ歯車が後方へ回転させられるとき、例えばトリガが第2(作動された)構成から第1(作動されない)構成へ戻って動くとき、アームがショルダと係合せず留め具ドライバを回転させるように、クラッチのカミング面がショルダの上方にアームをたわませる。いくつかの実施形態では、動力伝達部はさらに、歯車列が1つの方向に回転することのみを許可し、さらに留め具の望ましくない後退を防ぐのを支援するように構成されたラチェットを有する。
【0028】
[0037]
図4は、
図3の作動ロックアウトシステム40の分解図である。明瞭にするため、ハンドル及び動力伝達部を含む手術器具の構成要素の多くは示さない。作動ロックアウトシステムは、制御タブ70及び複数のロッキングタブ42を含む。この実施形態では、制御タブは、後述するように移動可能なリンク内に一体的に形成される。さらにロッキングタブは、回転連結部32の第1半分34の外表面上に配置され、そこから外側に延在してその周囲に分散される。後述するように、回転連結部は、トリガをローテータ18に連結する。対応するロッキングタブ及び制御タブを図に示し前述したが、開示はそのように限定されないので、制御面及びロッキング面のあらゆる適切な組み合わせを代わりに使用してもよいことを理解すべきである。
【0029】
[0038] 示された実施形態に説明されるように、制御タブ70の位置は、トリガ14に連結されたリンケージにより制御される。リンケージは第1リンク44を有し、その上に制御タブが配置される。第1リンクは、第1チャネル56及び第2チャネル60を有し、その中に第1ピン54及び軸58がそれぞれ受け入れられる。第1ピンは回転連結部の収容部38に取り付けられ、軸はハンドルに取り付けられる。この方法で、チャネル、第1ピン、及び軸は第1リンクの変換パスを形成し、それが次に第1リンク上に配置された制御タブ70の変換パスを形成する。示された実施形態では、第1及び第2チャネルは、第1リンク及び制御タブが、ローテータの軸方向に実質的に平行なパスに沿って近位及び遠位に往復運動するように調整される。しかしながら、本開示はそのように限定されないので、他の実施形態では、第1リンク及び制御タブをローテータを横断する方向に、又はあらゆる他の適切な方向に移動させるよう調整してもよいことを理解するべきである。
【0030】
[0039] リンケージはまた、トリガを第1リンク44に連結する第2リンク46を有する。第2リンクは、第1リンクに連結された第2ピン50を介して第1リンクに連結される。第2ピンは、第2リンクの端部内に形成された細長形のスロット52内に受け入れられる。さらに、第2リンクの対向する端部は、第3ピン48及びねじりバネ66を含む付勢ピン継手を介してトリガに直接連結される。ねじりバネは、トリガの部分に連結された第1端部68a、及び第2リンク上に配置されたフック64により受け入れられる第2端部68bを有する。結果として、ねじりバネは第2リンクに回転付勢をもたらし、さらに詳細を後述するように、それがロック構成からロック解除構成への作動ロックアウトシステムの動きを促進する。ねじりバネが示されるが、本開示は特定のタイプの付勢構成要素に限定されないことを理解するべきである。他の実施形態では、圧縮バネ、弾性ロッド又はバンド、弾性アーム、又は第2リンクを適切な方向に付勢可能なあらゆる他の構造のような他の付勢構成要素を使用してもよい。
【0031】
[0040] 作動ロックアウトシステム40の種々の構成要素を記載したが、その使用方法を
図5〜
図8を参照して詳細をさらに述べる。
図5〜
図6は、ロック構成、すなわち、トリガ14の作動前の作動ロックアウトシステム40を示す。ロック構成では、ねじりバネ66からの付勢力による第2リンク46の移動は制御ピン62により制限され、作動ロックアウトシステムがトリガの作動前にロック解除構成へ動くのを防ぐ。
図6に示されるように、作動ロックアウトシステムがロック構成のとき、制御タブ70は、ロッキングタブ42の移動経路と整列し、ロッキングタブの移動を阻止する。従って、ロッキングタブと関連付けられたローテータもまた、移動を抑制される。
【0032】
[0041]
図7及び
図8は、ロック解除構成の作動ロックアウトシステム40を示す。第1構成(例えば作動されない構成)から第2構成(例えば留め具が完全に配置された作動される構成)へのトリガ14の方向Aに沿った作動は、第2リンク46の方向Bへの関連する移動を起こし、ねじりバネ66は第3ピン48周辺で方向Cに回転付勢力をもたらし、作動ロックアウトシステムをロック解除構成へ促す。特に、回転力はスロット52に受け入れられた第2ピン50を介して第1リンク44へ伝達され、従って、第1リンクへ直線力をもたらし、それが次に第1リンクの方向Dの移動を起こす。
図7に示されるように、第1リンクの変換は、ロッキングタブがその後の作動サイクルの部分の間、方向Eに自在に移動するように、制御タブ70をロッキングタブ42の移動経路との整列を外れて動かす。結果として、ローテータ18もまた、矢印Fで示されるように自在に回転する。
【0033】
[0042] (回転連結部の第1半分34上に配置された)ロッキングタブ及び関連するローテータの回転は、動力伝達部(図示せず)により駆動される。トリガが第2位置から第1位置へ戻るとき、例えばリターンバネ24によりもたらされた付勢力により、第1及び第2リンクの運動は逆転され、作動ロックアウトシステムをロック構成に動かして戻す。従って、ローテータの回転を最初制限しその後許可するプロセスは、手術器具のそれぞれの作動の間に起こる。
【0034】
[0043] 製造中、手術器具内に位置する外科用留め具のスタックの適切な位置決めを確実にするため、器具の完全な分解を必要とすることなく回転可能な留め具ドライバの回転を可能にするのが望ましいかもしれない。従って、及び前述のように、いくつかの実施形態では、手術器具は、マンドレル20に沿って留め具100の位置を調整するよう、ローテータ18、又は他の適切な留め具ドライバの回転を選択的に可能にする回転連結部を有する。例えば
図9は、動力伝達部からの回転力が回転連結部を通してローテータへ伝達されるよう連結された構成の回転連結部32の1つの実施形態を示す。示された実施形態で、回転連結部は、動力伝達部に連結された第1半分34、及びローテータに連結された第2半分36を有する。連結部の第1半分は、キー嵌合部(図示せず)を介して動力伝達部のシャフト歯車28aに連結される。連結部をシャフト歯車の近位及び遠位の両方に摺動しうるように、キー嵌合部は、連結部の第1半分とシャフト歯車の間の摺動可能な連結を形成する。連結部の第1及び第2半分は、インタフェース74において相互に作用する。示された実施形態で、インタフェースは連動刻み目構造のような連動機能を有する。しかしインタフェースは、締まり嵌め、ナット及びボルト接続具、又は連結部の第1半分と第2半分の間で回転力を伝達可能で、関連するトリガから留め具ドライバを連結及び分断するよう選択的に係合及び係脱しうるあらゆる他の適切な構造を含むが、それらに限定されないあらゆる数のインタフェースに対応してもよいことを理解するべきである。示された実施形態で、予め圧縮されたバネ74は、ローラベアリング76と連結部34の第1半分の対向する面との間に位置する。よって連結部の第1半分は、遠位方向に連結部の第2半分へ向かって付勢され、これは、係合された構成に対応する。
図10に示されるように、ローテータを回転させるためにトリガからローテータを分断するのが望ましいとき、ユーザは連結部の第1半分を近位方向Gに移動させ、インタフェース72を係合から外して移動させる。ローテータはそれからトリガから分断され、必要に応じて方向Hに自在に回転させ、留め具のスタックの位置を調整してもよい。適切に位置決められると、連結部の第1半分は解放される。解放された後、それから連結部の第1半分は付勢バネにより遠位に移動され、連結部の半分の間のインタフェースを再係合し、ローテータをトリガと再連結する。
【0035】
[0044] 本教示を種々の実施形態及び例と関連して記載したが、本教示がそのような実施形態又は例に限定されることを意図しない。反対に本教示は、当業者が理解するように、種々の代替、改良及び均等物を含む。従って、前述の記載及び図は例示のみを目的とするものである。