(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1キャビティは、一端が前記底板に形成された入口開口に接続し、他端が前記底板のガスパス面に形成された出口開口に接続する複数の前記冷却孔からなる冷却孔列を備えるとともに、前記正圧面側通路の上流端部に接続し、
前記第4キャビティは、一端が前記底板に形成された前記入口開口に接続し、他端が前記底板の前記ガスパス面に形成された前記出口開口に接続する複数の前記冷却孔からなる冷却孔列を備え、
前記冷却孔列の前記冷却孔の前記出口開口の中心を結ぶ開口中心線は、前記第1仕切リブに平行に配置されている、
請求項1又は2に記載のタービン静翼。
複数の前記冷却孔は、前記入口開口と前記出口開口を結ぶ冷却孔中心線の長さが同一であり、前記翼体の正圧面側から前記負圧面側端部又は前記前縁端部に向けて所定間隔を空けて互いに平行に複数配置されている、
請求項3に記載のタービン静翼。
複数の前記キャビティが、前記翼体の前縁正圧面側に配置された第1キャビティ及び前記第1キャビティに対して軸方向下流側に隣接して配置された第4キャビティである請求項13又は14のいずれかに記載のタービン静翼の冷却方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、添付図面に基づき説明する。
【0010】
《ガスタービンの構成》
タービン静翼が適用されるガスタービンについて、
図1を参照して説明する。なお、
図1は、タービン静翼24が適用される一実施形態のガスタービン1を示す概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、一実施形態に係るガスタービン1は、圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスGを発生させるための燃焼器4と、燃焼ガスGによって回転駆動されるタービン6と、を備える。発電用のガスタービン1の場合、タービン6には不図示の発電機が連結され、タービン6の回転エネルギーによって発電が行われるようになっている。
【0012】
ガスタービン1における各構成について、
図1を用いて説明する。
圧縮機2は、圧縮機車室10と、圧縮機車室10の入口側に設けられ、空気を取り込むための吸気室12と、圧縮機車室10及び後述するタービン車室22を共に貫通するように設けられたロータ8と、圧縮機車室10内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、吸気室12側に設けられた入口案内翼14と、圧縮機車室10側に固定された複数の圧縮機静翼16と、圧縮機静翼16に対して軸方向に交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の圧縮機動翼18と、を含む。なお、圧縮機2は、不図示の抽気室等の他の構成要素を備えていてもよい。このような圧縮機2において、吸気室12から取り込まれた空気は、複数の圧縮機静翼16及び複数の圧縮機動翼18を通過して圧縮されることで圧縮空気が生成される。圧縮空気は圧縮機2から軸方向下流側の燃焼器4に送られる。
【0013】
燃焼器4は、ケーシング20内に配置される。
図1に示すように、燃焼器4は、ケーシング20内にロータ8を中心として環状に複数配置されていてもよい。燃焼器4には燃料と圧縮機2で生成された圧縮空気とが供給され、燃料を燃焼させることによって、タービン6の作動流体である高温高圧の燃焼ガスGを発生させる。発生した燃焼ガスGは燃焼器4から軸方向下流側の後段のタービン6に送られる。
【0014】
タービン6は、タービン車室(ケーシング)22と、タービン車室22内に配置された各種のタービン翼と、を備える。各種のタービン翼は、タービン車室22側に固定された複数のタービン静翼24と、タービン静翼24に対して軸方向に交互に配列されるようにロータ8に植設された複数のタービン動翼26と、を含む。
なお、タービン6では、ロータ8は、軸方向に延在し、タービン車室22から排出された燃焼ガスGは、軸方向の下流側の排気車室28に排出される。
図1では、図示左側が軸方向上流側であり、図示右側が軸方向下流側である。また、以下の説明では、単に径方向と記載した場合、ロータ8に直交する方向を表す。また、周方向と記載した場合、ロータ8の回転方向を表す。
【0015】
タービン動翼24は、タービン静翼24とともにタービン車室22内を流れる高温高圧の燃焼ガスGから回転駆動力を発生させるように構成される。この回転駆動力がロータ8に伝達され、ロータ8に連結された不図示の発電機が駆動される。
【0016】
タービン車室22の軸方向下流側には、排気車室28を介して排気室29が連結されている。タービン6を駆動した後の燃焼ガスGは、排気車室28及び排気室29を通って外部へ排出される。
【0017】
《タービン静翼の構成》
図2に示すように、タービン6の静翼24は、翼高さ方向に延びる翼体40と、翼体40の翼高さ方向の両端にシュラウド60を有する。シュラウド60は、翼体40の翼高さ方向の外側に形成されている外側シュラウド60aと、翼体40の翼高さ方向の内側に形成されている内側シュラウド60bと、を有する。翼体40は、燃焼ガスGが通る燃焼ガス流路47内に配置されている。外側シュラウド60aは、環状の燃焼ガス流路47のうち翼高さ方向の外側の位置を画定している。内側シュラウド60bは、環状の燃焼ガス流路47のうち翼高さ方向の内側の位置を画定している。
【0018】
静翼40の外側シュラウド60aのうち、翼体40の後縁43側には、静翼24をタービン車室22に支持するためのフック94が設けられている。この静翼24のフック94は、外側シュラウド60aの後縁43側の周壁70に設けられている。
【0019】
図2〜
図5に示すように、翼体40は、翼形状を形成している。翼体40は、翼高さ方向に延在して、翼高さ方向の外側でフィレット部46(
図4)を介して外側シュラウド60aに接続し、翼高さ方向の内側でフィレット部46を介して内側シュラウド60bに接続している。翼体40は、外側シュラウド60a及び内側シュラウド60bと一体となってタービン静翼24を形成している。翼体40の翼高さ方向の外側及び翼高さ方向の内側のそれぞれの翼体40の翼体端部40aは、外側シュラウド60a及び内側シュラウド60bの底板82の内表面83から、それぞれ翼高さ方向の外側及び翼高さ方向の内側にわずかに突出している。
【0020】
翼体40は、軸方向上流側に前縁42を有し、軸方向下流側に後縁43を有している。翼体40は、翼面41の周方向を向く面のうち、凸状の面を成す負圧面44と、凹状の面を成す正圧面45とを有している。負圧面44及び正圧面45は、前縁42及び後縁43で接合し、一体となって一つの翼体40を形成している。なお、以下の説明では、周方向で翼体40の正圧面側を腹側、翼体40の負圧面側を背側と呼ぶこともある。
【0021】
図2及び
図3に示すように、翼体40は、翼高さ方向に延び、内部を冷却空気が流れる翼体空気通路51を備えている。翼体空気通路51は、外側シュラウド60aから、内側シュラウド60bに至る範囲で連なって形成されている。この実施形態では、翼体40の前縁42と後縁43とを結ぶ前縁−後縁方向に4つの翼体空気通路51を配置した例を
図4に一例として示している。
【0022】
翼体空気通路51は、一端が負圧面44側の翼壁40bに接続し、他端が正圧面45側の翼壁40bに接続する複数の翼体仕切リブ49により複数の通路に区分けされている。翼体空気通路51は、翼体40の前縁42側に配置された翼体前縁空気通路52と、翼体前縁空気通路52の軸方向下流側に隣接して配置された翼体中間空気通路53と、翼体中間空気通路53に対して軸方向下流側に隣接して配置された翼体後縁空気通路55で構成されている。翼体中間空気通路53は、前縁―後縁方向に2分割され、前縁42側の第1翼体中間空気通路53aと、後縁43側の第2翼体中間空気通路53bで構成されている。前縁42側に配置された翼体前縁空気通路52は、軸方向下流側で翼体前縁仕切リブ49aを間に挟んで、翼体中間空気通路53の内の第1翼体中間空気通路53aに隣接して配置されている。翼体後縁空気通路55は、翼体後縁空気通路55の軸方向上流側に形成された翼体後縁仕切リブ49cを間に挟んで、翼体中間空気通路53に対して、前縁―後縁方向の後縁43側に隣接して配置されている。翼体中間空気通路53を形成する第1翼体中間空気通路53aと第2翼体中間空気通路53bとは、翼体中間仕切リブ49bを間に挟んで前縁―後縁方向に隣接して配置されている。それぞれの翼体空気通路51は、互いに連通することなく、外側シュラウド60a又は内側シュラウド60bのいずれか一方のシュラウド60に開口し、他方の翼体空気通路51の翼体端部40aは蓋56等を設け、閉塞されている。
【0023】
翼体中間空気通路53を構成する第1翼体中間空気通路53aと第2翼体中間空気通路53bのうちの一方は、翼体中間空気通路53(例えば、第1翼体中間空気通路53a)の外側シュラウド60aに接続する位置において、翼体端部40aに形成された開口56aを介して、後述する外側シュラウド60aの負圧面側中間キャビティ105の内側キャビティ109に接続している(
図5)。同様に、他方の第2翼体中間空気通路53bは、内側シュラウド60bに接続する位置に形成された不図示の開口を介して、後述する内側シュラウド60bの負圧面側中間キャビティ105の内側キャビティ109に接続している。
【0024】
なお、
図2及び
図3に示す翼体40の翼体空気通路51は、翼体中間空気通路53が前縁―後縁方向に2分割され、第1翼体中間空気通路53aと第2翼体中間空気通路53bで構成されている例であるが、2分割せずに、一つの翼体中間空気通路53で形成されていてもよい。この場合、外側シュラウド60a及び内側シュラウド60bの両側の負圧面中間キャビティ105の中間キャビティが、翼体端部40aの両端に形成された不図示のそれぞれの開口56aに接続してもよい。
【0025】
《外側シュラウドの構成》
図3及び
図4に示すように、外側シュラウド60aは、シュラウド60の底面を形成する底板82と、底板82の外周縁に形成され、底板82の内表面83から翼高さ方向に立設する周壁70と、底板82と周壁70により形成される凹部93を複数のキャビティ100に区分けする仕切リブ90と、それぞれのキャビティ100を翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109に区分けする衝突板110と、から構成されている。それぞれのキャビティ100に配置される衝突板110は、外側キャビティ108と内側キャビティ109を連通する複数の貫通孔111を有する。 周壁70は、軸方向上流側の前縁42側に形成された前縁端部71と、前縁端部71に対して軸方向下流側に対向して配置され、後縁43側の周方向に延在する後縁端部72と、周方向の翼体40の負圧面44側の端部に形成された負圧面側端部73と、負圧面側端部73に対して周方向に対向して配置され、翼体40の正圧面45側の端部に形成された正圧面側端部74と、から構成されている。底板82は、翼高さ方向の内側の燃焼ガス流路47に接するガスパス面84と、ガスパス面84とは反対方向の反流路側である翼高さ方向の外側を向く内表面(反流路面)83と、を備えている。
【0026】
本実施形態で例示する外側シュラウド60aは、前縁端部71と後縁端部72とが、ほぼ平行であり、負圧面側端部73と正圧面側端部74とが、ほぼ平行である。従って、翼高さ方向から見た場合、外側シュラウド60aの形状は、平行四辺形状である。
【0027】
周方向で隣り合う二つのタービン静翼24(
図3、
図8)のうち一方の静翼24(24a)の外側シュラウド60aの正圧面側端部74は、他方の静翼24(24b)の外側シュラウド60aの負圧面側端部73に周方向で隙間68をあけて対向して配置されている。
【0028】
《外側シュラウドの仕切リブの構成》
図3は、外側シュラウド60aを翼高さ方向の外側から見た平面断面図を示し、
図4は、
図3のA―A線に沿った断面図を示す。
図5は、
図3のB―B線に沿った断面図を示す。
外側シュラウド60aは、断面が突部状の複数の仕切リブ90を備え、仕切リブ90が周壁70と翼体40の翼体端部40aで囲まれた空間である凹部93を複数のキャビティ100に区分けして、マルチキャビティ101が形成されている。仕切リブ90は、外側シュラウド60aの底板82の内表面83から翼高さ方向の外側に突出して、内表面83に沿って延在し、翼体40の翼体端部40aと周壁70の内壁70aを接合している。
図3に示すように、本実施形態の外側シュラウド60aには、7つの仕切リブ90が形成され、8つのキャビティ100が形成されている。
【0029】
外側シュラウド60aの前縁部61には、翼体40の前縁42の翼体端部40aと前縁端部71を接続する前縁仕切リブ90a(第3仕切リブ)が配置されている。前縁仕切リブ90aが、翼体40に接続する位置は、翼体40を形成する負圧面44と正圧面45が軸方向上流側で接続する翼面41上の前縁42の位置である。外側シュラウド60aの負圧面側端部73の前縁部61側に接近する位置には、翼体40の負圧面44側の翼体端部40aと負圧面側端部73を接続する負圧面側前縁仕切リブ90b(第4仕切リブ)が配置されている。外側シュラウド60aの後縁部62には、翼体40の後縁43側に接近する位置の翼体端部40aと後縁端部72を接続する負圧面側後縁仕切リブ90cが配置されている。正圧面側端部74には、翼体40の正圧面45側の翼体端部40aと正圧面側端部74を接続する4つの仕切リブ90が配置されている。外側シュラウド60aの軸方向上流側の前縁部61に最も近い位置には、正圧面側前縁仕切リブ90d(第1仕切リブ)が配置されている。また、正圧面側前縁仕切リブ90dの軸方向下流側には、3つの中間仕切リブ90e(第2仕切リブ)が配置されている。中間仕切リブ90eは、正圧面側前縁仕切リブ90dに最も近い第1中間仕切リブ90e1と、第1中間仕切リブ90e1の軸方向下流側に配置された第2中間仕切リブ90e2と、第2中間仕切リブ90e2の軸方向下流側に配置された第3中間仕切リブ90e3と、から構成されている。負圧面側前縁仕切リブ90bは、翼体端部40aの翼体前縁空気通路52と翼体中間空気通路53の間を仕切る翼体前縁仕切リブ49aの位置の近傍に接続されている。負圧面側後縁仕切リブ90cは、翼体端部40aの翼体後縁空気通路55が配置された位置より後縁43側の位置に接続されている。正圧面側前縁仕切リブ90dは、翼体端部40aの翼体中間空気通路53が形成された範囲の中間位置であって、翼体後縁仕切リブ49cの位置より前縁42側に接続され、正圧面側側端部74側は、正圧面側通路78の上流端78aより軸方向下流側であって、上流端78aに接近した位置に接続されている。中間仕切リブ90eは、翼体端部40aの翼体後縁空気通路55が形成された範囲の中間位置から翼体40の後縁43の位置までの範囲に配置され、正圧面側側端部74側は、正圧面側通路78の上流端78aより軸方向下流側に接続されている。第1中間仕切リブ90e1及び第2中間仕切リブ90e2は、翼体端部40aの翼体後縁空気通路55が形成された範囲に接続されている。第3中間仕切リブ90e3は、翼体端部40aの翼体後縁空気通路55が形成された位置より後縁43側の位置に接続されている。
図6に示すように、翼体40の正圧面45側に配置された正圧面側前縁仕切リブ90d及び複数の仕切リブ90からなる中間仕切リブ90eは、翼体40の前縁42と後縁43を結ぶコード方向線CLに略直交し、互いに平行に配置されている。
【0030】
《外側シュラウドのマルチキャビティの構成》
図3に示すように、外側シュラウド60aのマルチキャビティ101は、以下のような複数のキャビティ100で構成されている。外側シュラウド60aの前縁42側は、前縁仕切リブ90aを配置することにより、シュラウド60の負圧面側前縁領域64に配置された負圧面側前縁キャビティ(第2キャビティ)104と、正圧面側前縁領域65に配置された正圧面側前縁キャビティ(第1キャビティ)103に区分けされる。正圧面側前縁キャビティ103は、軸方向上流側の前縁仕切リブ90aと軸方向下流側の正圧面側前縁仕切リブ90dにより画定される領域である。この領域は、翼体40に形成された翼体前縁空気通路52の内の前縁42から正圧面45側の翼面41に沿って形成された領域及び翼体中間空気通路53に沿って形成された領域である。負圧面側前縁キャビティ104は、軸方向上流側の前縁仕切リブ90aと軸方向下流側の負圧面側前縁仕切リブ90bにより画定される領域である。この領域は、翼体40に形成された翼体前縁空気通路52の内の前縁42から負圧面44側の翼面41に沿って形成された領域である。なお、正圧面側前縁キャビティ103は、後述する内側キャビティ109を介して正圧面側端部74の正圧面側通路78の上流端78aに接続している。負圧面側前縁キャビティ104は、内側キャビティ109を介して負圧面側端部73の負圧面側通路77の上流端77aに接続している。
【0031】
外側シュラウド60aの負圧面側中間領域66には、負圧面側前縁仕切リブ90bを間に挟んで、負圧面側前縁キャビティ104の軸方向下流側に隣接して、負圧面側中間キャビティ105が配置されている。負圧面側中間キャビティ105は、負圧面側前縁仕切リブ90bと軸方向下流側の負圧面側後縁仕切リブ90cにより画定される領域である。この領域は、翼体40に形成された翼体中間空気通路53及び翼体後縁空気通路55に沿った範囲である。なお、負圧面側中間キャビティ105は、内側キャビティ109に接続する翼体端部40aに形成された開口56aを介して翼体中間空気通路53に接続している。負圧面側中間キャビティ105の軸方向下流側には、負圧面側後縁仕切リブ90cと後縁端部72の間に形成され、翼体40の後縁43まで延在する負圧面側後縁キャビティ1124が配置されている。
【0032】
外側シュラウド60aの正圧面側中間領域67には、正圧面側前縁仕切リブ90dを間に挟んで、正圧面側前縁キャビティ103の軸方向下流側に隣接して複数のキャビティ100からなる正圧面側中間キャビティ106(第4キャビティ)が形成されている。正圧面側中間キャビティ106は、正圧面側前縁仕切リブ90dと軸方向下流側の後縁端部72で挟まれる領域に形成されている。この領域は、翼体40に形成された翼体中間空気通路53の軸方向下流側の位置を画定する翼体後縁仕切リブ49cの位置を含み、翼体40の後縁43までの正圧面45側の翼面41に沿って形成された範囲である。
図3に示す態様では、正圧面側中間キャビティ106は、軸方向の前縁―後縁方向に、第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b及び第3中間キャビティ106c並びに正圧面側後縁キャビティ107の順に正圧面45側の翼面41に沿って軸方向に縦列して配置されている。正圧面側中間キャビティ106の軸方向の最も下流側に位置する正圧面側後縁キャビティ107は、中間仕切リブ90eの内の軸方向の最も下流側であって、翼体後縁空気通路55の軸方向下流端より後縁43側の位置で翼体40に接続する第3中間仕切リブ90e3と、翼体40の後縁43の間に配置されている。
【0033】
なお、
図3及び
図4に示す態様では、3つの中間仕切リブ90eを配置して、4つの正圧面側中間キャビティ106を配置した例であるが、正圧面側中間キャビティ106のキャビティの配列数は、この例に示す4つのキャビティに限定することなく、3つでもよく、5つ以上であってもよい。但し、中間仕切リブ90eの内の軸方向の最も下流側の仕切リブ90が翼体40と接続する位置は、翼体後縁空気通路55の軸方向下流端より後縁43側の位置である点は変わらない。
【0034】
《外側シュラウドの衝突板の構成》
外側シュラウド60aの仕切リブ90で区切られたキャビティ100は、
図3〜
図5に一例で示すように、衝突板110が配置され、凹部93の空間は、翼高さ方向で外側キャビティ108と内側キャビティ109に区分けされる。衝突板110は、複数の貫通孔111を備え、貫通孔111を介して外側キャビティ108と内側キャビティ109が連通している。衝突板110は、外側シュラウド60aに配置された仕切リブ90の翼高さ方向に延びた端部の頂面と周壁70の内壁70a及び翼体40の翼体端部40aに固定されている。外側キャビティ108は、外側シュラウド60aの翼高さ方向の外側に形成され、前縁端部71と後縁端部72と負圧面側端部73と正圧面側端部74の間に延在する空間である。内側キャビティ109は、翼高さ方向で、衝突板110を介して外側キャビティ108の内側に配置され、衝突板110により内部に個別の空間が形成された複数のキャビティ100の集合である。
【0035】
《外側シュラウドの後縁端部》
図3に示すように、外側シュラウド60aは、負圧面側端部73を冷却する負圧面側通路77と、正圧面側端部74を冷却する正圧面側通路78と、を有する。負圧面側通路77は、前縁―後縁方向に延びる負圧面側端部73の内部に形成され、軸方向下流側の後縁端部72に形成された開口72aに接続している。正圧面側通路78は、前縁―後縁方向に延びる正圧面側端部74の内部に形成され、軸方向下流側の後縁端部72に形成された開口72aに接続している。
【0036】
《内側シュラウドの構成》
内側シュラウド60bの構成は、上述した外側シュラウド60aの構成とほぼ同様の構成である。すなわち、
図3に示す構造は、外側シュラウド60aの例であるが、内側シュラウド60bの構成も、
図3に示す構造を適用できる。従って、内側シュラウド60bの各構成の名称及び符号は、特段の説明がある構成を除き、外側シュラウド60aの各構成の説明をそのまま流用してもよい。以下の
図4から
図8を用いた説明においても、特段の説明がある場合を除き、外側シュラウド60aに係る説明は、内側シュラウド60bでも適用可能である。なお、内側シュラウド60bの場合、外側シュラウド60aの翼高さ方向の外側は、翼高さ方向の内側と読み替え、翼高さ方向の内側は、翼高さ方向の外側と読み替える。
【0037】
《シュラウドのマルチキャビティ化》
上述の構成により、シュラウド60は、複数の仕切リブ90を用いて翼体40の翼体端部40aと周壁70を接続して、シュラウド60の凹部93を区分けし、複数のキャビティ100からなるマルチキャビティ101を形成している。仕切リブ90は、シュラウド60の底板82の内表面83から翼高さ方向の外側(反流路側)に延び、翼体端部40aから放射状に周壁70側に向かって延び、翼体40を囲むように翼体40の外周側に複数のキャビティ100を形成し、シュラウド60のマルチキャビティ化を図っている。それぞれのキャビティ100は、互いに独立し、キャビティ100間で冷却空気が流通する構造を有しない。
【0038】
以下の説明では、タービン静翼24のシュラウド60のマルチキャビティ化に伴うキャビティ間の構造及び機能、作用、効果の違いについて、各実施形態について説明する。以下の実施形態の説明にあたっては、外側シュラウド60aと内側シュラウド60bを包含するシュラウド60として説明する。従って、特段の説明のない限り、シュラウド60は、外側シュラウド60aと内側シュラウド60bの両方に適用できるものとする。
【0039】
《第1実施形態》
図3及び
図4に基づき、シュラウド60のマルチキャビティ101を形成するキャビティ100の内、正圧面側中間キャビティ106と、残りの他のキャビティ(前縁側キャビティ100(正圧面側前縁キャビティ103、負圧面側前縁キャビティ104)、負圧面側中間キャビティ105)との構造の比較により、各キャビティ100間のインピンジメント冷却構造の違いについて、以下に説明する。
【0040】
図3及び
図4において、上述のように、正圧面側前縁キャビティ103は、シュラウド60の凹部93の翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第1衝突板110aを有する。形成された内側キャビティ109が、正圧面側前縁キャビティ103を構成する。第1衝突板110aを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(前縁仕切リブ90a、正圧面側前縁仕切リブ90d)で囲まれた空間を有する。第1衝突板110aには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82には、複数の冷却孔120が形成され、底板82の外表面であるガスパス面84で開口している。なお、正圧面側前縁キャビティ103である内側キャビティ109は、正圧面側端部74に形成された正圧面側通路78の上流端78aに接続している。
【0041】
負圧面側前縁キャビティ104は、シュラウド60の凹部93を翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第2衝突板110bを有する。形成された内側キャビティ109が、負圧面側前縁キャビティ104を構成する。第2衝突板110bを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(前縁仕切リブ90a、負圧面側前縁仕切リブ90b)で囲まれた空間を有する。第2衝突板110bには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82には、複数の冷却孔120が形成され、底板82の外表面であるガスパス面84で開口している。なお、負圧面側前縁キャビティ104である内側キャビティ109は、負圧面側端部73に形成された負圧面側通路77の上流端77aに接続している。
【0042】
負圧面側中間キャビティ105は、シュラウド60の凹部93の翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第3衝突板110cを有する。形成された内側キャビティ109が、負圧面側中間キャビティ105を構成する。第3衝突板110cを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(負圧面側前縁仕切リブ90b、負圧面側後縁仕切リブ90c)で囲まれた空間を有する。第3衝突板110cには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82は、冷却孔120を備えず、
図5に示すように、負圧面側中間キャビティ105である内側キャビティ109は、翼体40に形成された翼体中間空気通路53の開口56aを介して翼体中間空気通路53に接続されている。
【0043】
正圧面側中間キャビティ106の内の軸方向の最も上流側の第1中間キャビティ106aは、シュラウド60の凹部93の翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第4衝突板110dを有する。形成された内側キャビティ109が、正圧面側中間キャビティ106の第1中間キャビティ106aを構成する。第4衝突板110dを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(正圧面側前縁仕切リブ90d、第1中間仕切リブ90e1)で囲まれた空間を有する。第4衝突板110dには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82には、複数の冷却孔120が形成され、底板82の外表面であるガスパス面84で開口している。
【0044】
正圧面側中間キャビティ106の内の第2中間キャビティ106bは、第1中間キャビティ106aに隣接して軸方向下流側に配置され、シュラウド60の凹部93の翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第5衝突板110eを有する。形成された内側キャビティ109が、正圧面側中間キャビティ106の第2中間キャビティ106bを構成する。第5衝突板110eを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(第1中間仕切リブ90e1、第2中間仕切リブ90e2)で囲まれた空間を有する。第5衝突板110eには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82には、複数の冷却孔120が形成され、底板82の外表面であるガスパス面84で開口している。
【0045】
正圧面側中間キャビティ106の内の第3中間キャビティ106cは、シュラウド60の凹部93の翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第6衝突板110fを有する。形成された内側キャビティ109が、正圧面側中間キャビティ106の第3中間キャビティ106cを構成する。第6衝突板110fを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体40の翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(第2中間仕切リブ90e2、第3中間仕切リブ90e3)で囲まれた空間を有する。第6衝突板110fには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82には、複数の冷却孔120が形成され、底板82の外表面であるガスパス面84で開口している。
【0046】
正圧面側中間キャビティ106の内の正圧面側後縁キャビティ107は、シュラウド60の凹部93の翼高さ方向の外側の外側キャビティ108と翼高さ方向の内側の内側キャビティ109を区分けする第7衝突板110gを有する。形成された内側キャビティ109が、正圧面側中間キャビティ106の内の正圧面側後縁キャビティ107を構成する。 第7衝突板110gを配置することにより形成される内側キャビティ109は、底板82の内表面83と翼体40の後縁43側の翼体端部40aと周壁70の内壁70aと仕切リブ90(第3中間仕切リブ90e3)で囲まれた空間を有する。第7衝突板110gには複数の貫通孔111が形成され、外側キャビティ108と内側キャビティ109は貫通孔111を介して連通している。底板82には、複数の冷却孔120が形成され、底板82の外表面であるガスパス面84で開口している。
【0047】
図4及び
図5に示すように、正圧面側前縁キャビティ103、負圧面側前縁キャビティ104、負圧面側中間キャビティ105に固定される衝突板110(第1衝突板110a、第2衝突板110b、第3衝突板110c)は、底板82の内表面83から翼高さ方向の外側(反流路側)方向の高さh1の位置に固定され、孔径d1で、配列ピッチL1の貫通孔111が配列されている。一方、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)に固定される衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)は、底板82の内表面83から翼高さ方向の外側(反流路側)方向の高さh2の位置に固定され、孔径d2の貫通孔111が配列されている。また、
図4に示す態様では、正圧面側中間キャビティ106に固定される衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の貫通孔111は、第4衝突板110dが配列ピッチL2、第5衝突板110eが配列ピッチL3、第6衝突板110fが配列ピッチL4及び第7衝突板110gが配列ピッチL5、で形成されている。
【0048】
上述のように、前縁部61及び負圧面側中間領域66に配置された正圧面側前縁キャビティ103と負圧面側前縁キャビティ104及び負圧面側中間キャビティ105において、適用される衝突板110(第1衝突板110a、第2衝突板110b、第3衝突板110c)の貫通孔111の孔径d1に対して、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)に適用される衝突板110の貫通孔111の孔径は、孔径d1より小径の孔径d2で形成されている。一方、衝突板110の底板82の内表面83からの取り付け高さhは、第2衝突板110a、第3衝突板110b、第4衝突板110cの高さh1に対して、正圧面側中間キャビティ106の第5衝突板110d、第6衝突板110e、第7衝突板110fの取り付け高さは、高さh1より低い高さh2が選択されている。貫通孔111の配列は、千鳥配列でもよく、四角配列でもよい。
【0049】
キャビティ100によって、衝突板110の高さ及び貫通孔111の孔径d及び配列ピッチLが異なるのは、以下の理由による。
上述のように、負圧面側前縁キャビティ104は、底板82に形成された冷却孔120に加えて、負圧面側通路77に接続する構造を有する。正圧面側前縁キャビティ103は、底板82に形成された冷却孔120に加えて、正圧面側通路78に接続する構造を有する。負圧面側中間キャビティ105は、底板82には冷却孔120が形成されていないが、翼体40の翼体中間空気通路53に接続する構造を有する。シュラウド60の前縁42側に配置された負圧面側前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103は、軸方向上流側の燃焼ガス流路47から流入する燃焼ガスGからの入熱により、翼体40の前縁42を中心にシュラウド60のガスパス面84が過熱される。シュラウド60の前縁42側では、外部からシュラウド60の外側キャビティ108に供給された冷却空気は、衝突板110の貫通孔111から内側キャビティ109に供給され、底板82の内表面83に衝突して、内表面83をインピンジメント冷却(衝突冷却)する。更に、インピンジメント冷却後の冷却空気は、底板82に形成された冷却孔120からガスパス面84に排出する過程で、シュラウド60のガスパス面84をフィルム冷却している。シュラウド60の前縁42側は、インピンジメント冷却(衝突冷却)とフィルム冷却の組合せにより、シュラウド60の燃焼ガスからの入熱による熱損傷を抑制している。
【0050】
一方、上述のように、シュラウド60の前縁42側に配置された負圧面前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103は、負圧面側通路77及び正圧面側通路78に接続され、軸方向下流側の後縁端部72の開口72aに連通している。外部からシュラウド60に供給された冷却空気は、シュラウド60のガスパス面84を冷却する目的の他に、負圧面側通路77及び正圧面側通路78が形成された負圧面側端部73及び正圧面側端部74を冷却する目的を有する。前縁部61の負圧面側前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103の場合は、少なくともキャビティ100の底板82を冷却する冷却空気量を上回る冷却空気が、負圧面側前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103の内側キャビティ109に供給される。内側キャビティ109の底板82の内表面83をインピンジメント冷却した冷却空気の一部は、更に負圧面側通路77及び正圧面側通路78に供給されている。すなわち、負圧面側前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103には、キャビティ100の底板82の内表面83及びガスパス面84の冷却に必要な冷却空気量を上回る過剰な冷却空気が供給され、衝突板110の貫通孔111を介して内側キャビティ109に供給されている。内側キャビティ109から負圧面側通路77及び正圧面側通路78に供給された冷却空気は、内側キャビティ109の底板82の内表面83をインピンジメント冷却(衝突冷却)した後の冷却空気であるため、負圧面側通路77及び正圧面側通路78を冷却することにより冷却空気の使い回しがされ、冷却空気量が低減される。
【0051】
また、負圧面側中間キャビティ105は、底板82には冷却孔120を備えていない。負圧面側中間キャビティ105の底板82のガスパス面84のフィルム冷却は行われず、外部から供給された冷却空気は、負圧面側中間キャビティ105では、底板82の内表面83のインピンジメント冷却のみがされる。インピンジメント冷却後の冷却空気の全量は、翼体40の翼体中間空気通路53に供給され、翼体40を冷却する。冷却空気は、翼体40に形成された不図示の翼体40の冷却孔から燃焼ガス流路47に排出する過程で、翼体40をフィルム冷却している。
【0052】
なお、負圧面前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103並びに負圧面側中間キャビティ105に供給された冷却空気の大半は、負圧面側通路77及び正圧面側通路78並びに翼体中間空気通路53に供給され、負圧面側端部73、正圧面側端部74及び翼体40を冷却する。いずれの冷却空気も各キャビティ100をインピンジメント冷却した後の冷却空気が適用されるため、冷却空気の使い回しがされ、冷却空気量が低減されるので、冷却空気の有効利用の点から有利である。
【0053】
ここで、正圧面側前縁キャビティ103及び負圧面前縁キャビティ104並びに負圧面側中間キャビティ105に供給される冷却空気は、それぞれのキャビティ100の冷却に必要な冷却空気量を上回る過剰な冷却空気量が供給されている。一方、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)に供給される冷却空気量は、それぞれのキャビティ100の底板82を冷却するに必要な冷却空気量に留めている。すなわち、正圧面側前縁キャビティ103、負圧面前縁キャビティ104、負圧面側中間キャビティ105及び正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)に配置された衝突板110の取り付け高さを同一とし、貫通孔111の開口密度を同一とすると、各キャビティ100の底板82に対するインピンジメント冷却に関して、冷却空気のクロスフローの点から適正なインピンジメント冷却が行われない可能性がある。ここで、貫通孔111の孔径d及び配列ピッチLとすれば、開口密度は(d/L)で表示できる。
【0054】
つまり、正圧面側中間キャビティ106のように、キャビティ100の底板82の冷却に必要な冷却空気量を基準に衝突板110の取り付け高さh及び貫通孔111の仕様(孔径d、配列ピッチL)を選定した場合、過剰な冷却空気が供給される負圧面前縁キャビティ104及び正圧面側前縁キャビティ103並びに負圧面側中間キャビティ105の衝突板110に対して同じ基準を適用した場合、適正なインピンジメント冷却が行われないという問題が生ずる。
すなわち、衝突板110の貫通孔111から内側キャビティ109に供給された冷却空気の噴流は、底板82の内表面83に衝突した後、負圧面側通路77の上流端77a又は正圧面側通路78の上流端78a又は翼体中間空気通路53の開口56aに向かって内側キャビティ109内の内表面83に沿って冷却空気の流れ(クロスフロー)を生ずる。このクロスフローの流速が早ければ早い程、貫通孔111から噴出するインピンジメント冷却空気の噴流を弱め、内表面83における冷却空気の噴流の熱伝達率を低下させ、インピンジメント冷却効果に悪影響を及ぼす。一方、正圧面側中間キャビティ106の場合は、インピンジメント冷却とフィルム冷却の組合せのみのため、インピンジメント冷却した後の冷却空気は、底板82に形成された冷却孔120からガスパス面84側に排出されるため、冷却空気のクロスフローの影響は少ない。
【0055】
クロスフローの影響を低減するためには、底板82からの衝突板110の取り付け高さhを高くして、クロスフローの流速を遅くする必要がある。そのため、
図4及び
図5に示すように、正圧面側前縁キャビティ103及び負圧面前縁キャビティ104並びに負圧面側中間キャビティ105に設けられる衝突板110(第1衝突板110a、第2衝突板110b、第3衝突板110c)の取り付け高さh1は、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)に設けられる衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の取り付け高さh2と比較して高く、深くして(h1>h2)、クロスフローの流速を遅くしている。
【0056】
一方、衝突板110の取り付け高さhを高くしても、貫通孔111の孔径dが同一であれば、冷却空気の噴流が内表面83に到達する前に拡散してしまい、内表面83における冷却空気の熱伝達率が低下する可能性がある。そのため、
図4及び
図5に示す態様では、正圧面側前縁キャビティ103及び負圧面側前縁キャビティ104並びに負圧面側中間キャビティ105に設けられる衝突板110の孔径d1は、正圧面側中間キャビティ106に設けられる衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の孔径d2より大きくしている(d1>d2)。孔径dを大きくすることにより、冷却空気が貫通孔111を通過した後の噴流の勢いを大きくして、内表面83における冷却空気の熱伝達率の低下を抑制している。
【0057】
なお、キャビティ100の底板82の冷却効果を向上させるため、貫通孔111の仕様(孔径d、配列ピッチL)を調整することに加えて、底板82の内表面83から翼高さ方向の外側の衝突板110の方向に突起状のピン(不図示)を配置して、冷却効果を増加させる冷却構造も考えられるが、本実施形態には望ましくない構造である。底板82の内表面83にピンを設けることにより、上述のインピンジメント冷却後の冷却空気のクロスフローの流速を早め、インピンジメント冷却効果を減少させるため、逆効果となるからである。
【0058】
《第2実施形態》
シュラウド60のマルチキャビティ101を形成するキャビティ100の内、
図6〜
図9に基づき、翼体40の正圧面45側のキャビティ100のフィルム冷却構造の違いについて、以下に説明する。
図6は、シュラウド60(外側シュラウド60a、内側シュラウド60b)の平面断面を示している。
図6は、外側シュラウド60aの場合、翼高さ方向の外側から見た平面断面図であり、内側シュラウド60bの場合、翼高さ方向の内側から見た平面断面図である。シュラウド60の正圧面45側の正圧面側前縁キャビティ103及び正圧面側中間キャビティ106には、底板82に形成された冷却孔120の配置図の一例が示されている。
【0059】
正圧面側前縁キャビティ103は、前縁42側の前縁仕切リブ90aと後縁43側の正圧面側前縁仕切リブ90dで囲まれた領域である。正圧面側前縁キャビティ103は、冷却孔120が配置された第1正圧面側前縁領域65aと冷却孔120が配列されていない第2正圧面側前縁第2領域65bに区分される。第2正圧面側前縁領域65bは、前縁端部71の前縁端面71aの位置から翼体前縁仕切リブ49aを正圧面側端部74の方向に延長し、前縁端部71又は正圧面側端部74に接続する位置までの領域を少なくとも含む範囲である。第1正圧面側前縁領域65aは、第2正圧面側前縁領域65bの軸方向下流側に隣接して配置され、正圧面側前縁仕切リブ90dまで延在する領域である。
【0060】
図6に示すように、第1正圧面側前縁領域65aには、複数の冷却孔120から形成され、正圧面側前縁仕切リブ90dに平行に所定間隔をあけて配列された複数の冷却孔列121が形成されている。
図6及び
図7のB部詳細に示すように、底板82に形成された冷却孔120は、内表面83に開口する入口開口122とガスパス面84に開口する出口開口123を有する。入口開口122の位置より後縁43側の位置に出口開口123が配置されている。ここで、冷却孔列121を形成する複数の冷却孔120の入口開口122の中心と出口開口123の中心を結ぶ線を冷却孔中心線FLと呼び、実線で示される。正圧面側前縁仕切リブ90dが延伸する方向に互いに隣接する冷却孔120の出口開口123の中心を結ぶ線を開口中心線OLと呼び、点線で示される。冷却孔列121を形成する複数の冷却孔120の冷却孔中心線FLは、互いに平行に同一の所定間隔を維持して配列されている。周方向に隣接して配置された複数の冷却孔120の出口開口123は、開口中心線OLが正圧面側前縁仕切リブ90dの中心線に平行になるように配置されている。複数の冷却孔列121は、ほぼ前縁42と後縁43を結ぶコード方向線CLに平行し、正圧面45側の翼面41から正圧面側端部74又は前縁端部71までの間に配置されている。また、冷却孔列121の開口中心線OLは、コード方向線CLに略直交している。なお、入口開口122と出口開口123の中心線の長さは、同一とすることが望ましい。冷却孔120の長さが不均一になると、冷却孔120を流れる冷却空気の圧力損失が不均一となり、冷却空気量が不均一となるからである。
【0061】
図4に示すように、正圧面側前縁キャビティ103には、第1衝突板110aが配置され、第1衝突板110aと底板82の間には、内側キャビティ109が形成されている。底板82には、上述の複数の冷却孔120を備えた冷却孔列121が形成されている。また、正圧面側前縁キャビティ103の後縁43側に隣接する第1中間キャビティ106aとの間に配置された正圧面側前縁仕切リブ90dには、複数の冷却孔120を配列した冷却孔列121が形成されている。冷却孔列121は、正圧面45側の翼面41から正圧面側端部74までの間に配置されている。
図6及び
図7のC部詳細に示すように、冷却孔120の入口開口122及び出口開口123は、底板82から外側(反流路側)に向かって伸びる断面が突部状の仕切リブ90を間に挟んで配置されている。入口開口122は、仕切リブ90の前縁42側の底板82に形成され、出口開口123は仕切リブ90の後縁43側の底板82に形成されている。冷却孔120の冷却孔中心線FLは、仕切リブ90が延びる方向に直交する方向に配置されている。冷却孔120の開口中心線OLは、仕切リブ90が延びる方向に平行に配置されている。入口開口122は、正圧面側前縁キャビティ103に開口し、出口開口123は、第1中間キャビティ106a側のガスパス面84に開口している。入口開口122は、仕切リブ90の前縁42側の側面91に形成してもよい。冷却孔120は、平面断面視で、仕切リブ90を横切るように底板82に形成されているため、仕切リブ90と仕切リブ90近傍の底板82を対流冷却している。なお、第1衝突板110aは、底板82の内表面83からの取り付け高さh1で配置され、孔径d1、配列ピッチL1の複数の貫通孔111を有する。
【0062】
正圧面側前縁キャビティ103の第2正圧面側前縁領域65bには、冷却孔120は配置されていない。第2正圧面側前縁領域65bは、シュラウド60の正圧面側前縁領域65に配置されているが、前縁端部71の軸方向上流側からの漏れ空気の流れ込みにより、他の前縁42側のシュラウド60の領域と比較して燃焼ガス温度が低い。従って、第2正圧面側前縁領域65bの冷却は、正圧面側前縁キャビティ103の衝突板110の貫通孔111から供給される冷却空気によるインピンジメント冷却(衝突)のみで底板82の過熱を抑制でき、冷却孔120による冷却が不要な領域である。
【0063】
図4及び
図6に示すように、正圧面側中間キャビティ106の一部を構成する第1中間キャビティ106aは、前縁42側の正圧面側前縁仕切リブ90dと後縁43側の第1中間仕切リブ90e1で囲まれた領域である。正圧面側前縁仕切リブ90dと第1中間仕切リブ90e1は、翼体後縁仕切リブ49cを正圧面側端部74方向に延長した位置を間に挟んで、前縁42側と後縁43側に配置されている。第1中間キャビティ106aは、正圧面側前縁キャビティ103の第1正圧面側前縁領域65aと同様に、正圧面側前縁仕切リブ90dに平行に複数の冷却孔120が配置され、所定間隔をあけて配列した冷却孔列121が形成されている。
図7のB部詳細に示す冷却孔120の構造及び冷却孔中心線FL並びに開口中心線OLの考え方は、第1中間キャビティ106aの冷却孔120にも適用できる。冷却孔列121は、コード方向線CLに直交する方向に所定間隔を空けて配列された複数の冷却孔120から形成され、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。
【0064】
図4に示すように、第1中間キャビティ106aには、第4衝突板110dが配置され、第4衝突板110dと底板82の間には、内側キャビティ109が形成されている。内側キャビティ109の底板82には、上述の複数の冷却孔120を備えた冷却孔列121が形成されている。冷却孔列121は、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。なお、第4衝突板110dは、底板82の内表面83からの取り付け高さh2で配置され、孔径d2、配列ピッチL2の複数の貫通孔111を有する。
【0065】
図6に示すように、第2中間キャビティ106bは、第1中間キャビティ106aの後縁43側に隣接して配置され、前縁42側の第1中間仕切リブ90e1と後縁43側の第2中間仕切リブ90e2で囲まれた領域である。
第2中間キャビティ106bは、第1中間キャビティ106aと同様に、第1中間仕切リブ90e1に平行に複数の冷却孔120が配置され、所定間隔をあけて配列した冷却孔からなる冷却孔列121が形成されている。
図7のB部詳細に示す冷却孔120の構造及び冷却孔中心線FL並びに開口中心線OLの考え方は、第2中間キャビティ106bの冷却孔120にも適用できる。冷却孔列121は、コード方向線CLに直交する方向に配列され、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。
【0066】
図4に示すように、第2中間キャビティ106bには、第5衝突板110eが配置され、第5衝突板110eと底板82の間には、内側キャビティ109が形成されている。内側キャビティ109の底板82には、上述の複数の冷却孔120を備えた冷却孔列121が形成されている。冷却孔列121は、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。なお、第5衝突板110eは、底板82の内表面83からの取り付け高さh2で配置され、孔径d2、配列ピッチL3の複数の貫通孔111を有する。
【0067】
図6に示すように、第3中間キャビティ106cは、第2中間キャビティ106bの後縁43側に隣接して配置され、前縁42側の第2中間仕切リブ90e2と後縁43側の第3中間仕切リブ90e3で囲まれた領域である。
第3中間キャビティ106cは、第2中間キャビティ106bと同様に、第2中間仕切リブ90e2に平行に冷却孔120が配置され、所定間隔をあけて配列した複数の冷却孔120からなる冷却孔列121が形成されている。
図7のB部詳細に示す冷却孔120の構造及び冷却孔中心線FL並びに開口中心線OLの考え方は、第3中間キャビティ106cの冷却孔120にも適用できる。冷却孔列121は、コード方向線CLに直交する方向に配列され、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。
【0068】
図4に示すように、第3中間キャビティ106cには、第6衝突板110fが配置され、第6衝突板110fと底板82の間には、内側キャビティ109が形成されている。内側キャビティ109の底板82には、上述の複数の冷却孔120を備えた冷却孔列121が形成されている。冷却孔列121は、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。なお、第6衝突板110fは、底板82の内表面83からの取り付け高さh2で配置され、孔径d2、配列ピッチL4の複数の貫通孔111を有する。
【0069】
図6に示すように、正圧面側後縁キャビティ107は、第3中間キャビティ106cの後縁43側に隣接して配置され、前縁42側の第3中間仕切リブ90e3と翼体40の後縁43までの間に配置されている。正圧面側後縁キャビティ107は、第3中間キャビティ106cと同様に、第3中間仕切リブ90e3に平行に複数の冷却孔120が配置され、所定間隔をあけて配列した冷却孔120からなる冷却孔列121が形成されている。
図7のB部詳細に示す冷却孔120の構造及び冷却孔中心線FL並びに開口中心線OLの考え方は、正圧面側後縁キャビティ107の冷却孔120にも適用できる。複数の冷却孔列121は、コード方向線CLに直交する方向に配列され、正圧面45側の翼体端部40aから正圧面側端部74までの間に配置されている。
【0070】
図4に示すように、正圧面側後縁キャビティ107には、第7衝突板110gが配置され、第7衝突板110gと底板82の間には、内側キャビティ109が形成されている。内側キャビティ109の底板82には、上述の複数の冷却孔120を備えた冷却孔列121が形成されている。なお、第7衝突板110gは、底板82の内表面83からの取り付け高さh2で配置され、孔径d2、配列ピッチL5の複数の貫通孔111を有する。
【0071】
本実施形態の衝突板110は、衝突板110の取り付け高さの点では、正圧面側前縁キャビティ103の第1衝突板110aの取り付け高さh1は、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)の衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の取り付け高さh2より大きい。
【0072】
衝突板110に形成された貫通孔111の孔径dの点では、正圧面側前縁キャビティ103の第1衝突板110aの貫通孔111の孔径d1に対して、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)の衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の貫通孔111の孔径d2は、小さい(d1>d2)。
【0073】
衝突板110に形成された貫通孔111の配列ピッチLの点では、正圧面側前縁キャビティ103の第1衝突板110aの貫通孔111の配列ピッチL1に対して、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)の衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の貫通孔111の配列ピッチLは、第4衝突板110dの貫通孔111が配列ピッチL2、第5衝突板110eの貫通孔111が配列ピッチL3、第6衝突板110fの貫通孔111が配列ピッチL4及び第7衝突板110gの貫通孔111が配列ピッチL5であり、いずれも正圧面側前縁キャビティ103の第1衝突板110aの貫通孔111の配列ピッチL1より小さい。但し、
図4に示す態様では、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)の衝突板110(第4衝突板110d、第5衝突板110e、第6衝突板110f、第7衝突板110g)の配列ピッチLは、他のいずれのキャビティ100の衝突板110の貫通孔111の配列ピッチL1より小さい。また、第4衝突板110dの貫通孔111の配列ピッチL2は、第5衝突板110eの貫通孔111の配列ピッチL3より小さい(L2<L3)。第5衝突板110eの貫通孔111の配列ピッチL3は、第6衝突板110fの貫通孔111の配列ピッチL4より小さい(L3<L4)。第7衝突板110gの貫通孔111の配列ピッチL5は、第6衝突板110fの貫通孔111の配列ピッチL4より小さい(L4<L5)。つまり、本実施形態における正圧面側中間キャビティ106の貫通孔111の配列ピッチLの大きさを比較すると、軸方向下流側から上流側方向に向けて貫通孔111の配列ピッチLは、L5>L4>L3>L2と表示できる。
【0074】
《燃焼ガス流の圧力分布》
図8は、周方向に隣接して配置された2つのタービン静翼24a、24bの間に形成された燃焼ガス流路47を一例に挙げて、燃焼ガスGが燃焼ガス流路47のシュラウド60のガスパス面84に沿って流れる際の燃焼ガスGの部分的な圧力分布を翼高さ方向から見た図である。燃焼ガスGの流れのガス圧(静圧)の圧力分布の等圧線IBLは、鎖線で示されている。タービン静翼24の等圧線IBLの一例を挙げれば、タービン静翼24b側の前縁42側の翼面41上の起点X1aの位置でのガス圧(静圧)GPを有する等圧線1BL1は、周方向に隣接するタービン静翼24aの正圧面45側の翼面41上の終点X1bまでの間の鎖線で示され、IBL1に沿ったいずれの位置であっても、同一のガス圧(静圧)GPが維持される。
図8に示すように、等圧線ILBの内、タービン静翼24bの前縁42側の翼体前縁空気通路52に接する負圧面44側の翼面41及び第1中間空気通路53に接する負圧面44側の翼面41を起点とする等圧線IBLは、周方向に隣接するタービン静翼24aの正圧面45側のシュラウド60の正圧面側前縁キャビティ103の第1正圧面側前縁領域65aが配置された領域から翼体40の後縁43までの範囲に配置される。この領域の等圧線IBLは、タービン静翼24aの翼体40のコード方向線CLに大略直交するように形成される。上述のように、タービン静翼24aの正圧面45側に配置された仕切リブ90(正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90d、第1中間仕切リブ(RB2)90e1、第2中間仕切リブ(RB3)90e2、第3中間仕切リブ(RB4)90e3)は、コード方向線CLに大略直交する。すなわち、翼体40の正圧面45側のキャビティ100(正圧面側前縁キャビティ103、正圧面側中間キャビティ106)に配置された冷却孔120の冷却孔中心線FLは、仕切リブ90が翼体端部40aから正圧面側端部74に延伸する方向に対して大略直交し、冷却孔120の開口中心線OLは、仕切リブ90が延伸する方向に平行にガスパス面84に沿って形成される。
図8に鎖線で示す燃焼ガス流の圧力分布は等圧線の一部を示すが、タービン静翼24aの正圧面側前縁仕切リブ90dの位置の近傍から翼体40の後縁43近傍までの範囲の正圧面45側の翼面41側の等圧線IBLは、互いにほぼ平行な圧力分布を形成し、正圧面側前縁仕切リブ90d及び中間仕切リブ90eの各仕切リブ90の近傍の等圧線IBLは、大略仕切リブ90が延伸する方向に平行に形成されている。
【0075】
上述のように、冷却孔列121の冷却孔中心線FLを仕切リブ90が延伸する方向に対して直交させる意味は、燃焼ガスGの流れ方向が、翼間の燃焼ガス流路47を流れる領域では、ほぼ等圧線ILBに直交する方向であり、冷却孔中心線FLを仕切リブ90に対して直交させることにより、各冷却孔120を流れる冷却空気量の均一化が容易になるからである。また、冷却孔120の開口中心線OLを仕切リブ90が延伸する方向に平行に配置する意味は、冷却孔120のガスパス面84に開口する各出口開口123の中心位置が、同じ圧力の等圧線ILB上に配置されることを意味する。従って、冷却孔列121の冷却孔120の出口開口123の位置を、等圧線IBL上に配置することにより、出口開口123における圧力が同一となり、出口開口123における燃焼ガス圧(静圧)GPの変動を小さくして、内側キャビティ109側の内圧に与える影響を抑制して、内側キャビティ109の内圧変動を抑制する効果がある。その結果、同一の冷却孔列121の各冷却孔120を流れる冷却空気量が均一化され、底板82のメタル温度の温度分布が均一化され、底板82に発生する熱応力が低減される。
【0076】
燃焼ガスGの圧力GPは、燃焼ガスGの下流方向に向かって次第に低下する。
図9は、縦軸に冷却空気又は燃焼ガスGの圧力(静圧)Pを示し、横軸に燃焼ガス流路47の軸方向の位置を示している。横軸の符号は、左端は翼体40の前縁(LE)42の位置を示し、右端は翼体40の後縁(TE)43の位置を示す。また、前縁42と後縁43の間のシュラウド60側に配置された仕切リブ90の位置は、軸方向の上流側から下流側に向かって、正圧面側前縁仕切リブ90d、第1中間仕切リブ90e1、第2中間仕切リブ90e2、第3中間仕切リブ90e3の位置を、RB1、RB2、RB3、RB4で表示している。また、冷却空気が供給される外側キャビティ108の内圧をAP1とし、冷却空気が衝突板110の貫通孔111を通過した後の内側キャビティ109の冷却空気の内圧をAP2で表示している。
【0077】
図9に示すように、燃焼ガス圧力GPは、燃焼ガスGが前縁(LE)42から後縁(TE)43に流下すると共に低下する。特に、翼体40の翼面41の前縁42から後縁43までの中間位置である正圧面側前縁仕切リブ90d(RB1)近傍の位置から後縁43までの燃焼ガス流路47での圧力低下が大きい。一方、冷却孔120から排出される冷却空気は、冷却孔120の入口開口122が形成された内側キャビティ109側の圧力AP2と、冷却空気が出口開口123を介して燃焼ガス流路47側に排出する際の燃焼ガスGの圧力GPとの差圧DPGにより、冷却孔120から排出するフィルム冷却用冷却空気の空気量が変動する。差圧DPGが大きければ、冷却空気量は増加し、差圧DPGが小さければ、冷却空気量は減少する。内側キャビティ109側の内圧AP2とガスパス面84側の圧力GPで定まる差圧DPGは、極力一定とすることが望ましい。シュラウド60のガスパス面84に形成されるいずれの冷却孔列121の冷却孔120であっても、同一の冷却空気量を維持することにより、冷却孔120の位置の違いによる冷却空気量の偏流やばらつきが抑制され、底板82のメタル温度の分布が均一化され、熱応力の発生が抑制される。従って、かかる観点から、各冷却孔列121の冷却孔120は、同一の差圧DPGを維持することが望ましい。
【0078】
本実施形態では、
図9に示すように、燃焼ガスGの圧力(静圧)GPの低下が始まる位置に正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90dを配置し、燃焼ガスGの圧力GPの低下が大きい正圧面側中間領域67から翼体40の後縁43までの間に、中間仕切リブ90e(第1中間仕切リブ90e1、第2中間仕切リブ90e2、第3中間仕切リブ90e3)を配置して、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)を形成している。本実施形態では、正圧面側中間仕切リブ90eとして、3つの仕切リブ90を配置し、4つの正圧面側中間キャビティ106を配置しているが、2つの仕切リブ90を配置し、3つの正圧面側中間キャビティ106を配置してもよい。また、4つ以上の仕切リブ90を配置し、5つ以上の正圧面側中間キャビティ106を配置してもよい。
【0079】
特に、冷却空気量の低減の観点から、正圧面側前縁キャビティ103の第1正圧面側前縁領域65a及び正圧面側中間キャビティ106の領域において、各キャビティ100の内側キャビティ109側の内圧AP2と、ガスパス面84側の燃焼ガスGの圧力GPとの差圧DPGを一定とすることが望ましい。燃焼ガスGの圧力GPは、軸方向下流側に向かって低下するため、構造面の制約のない限り、正圧面側中間キャビティ106を軸方向に細分化して、燃焼ガスGの圧力GPの低下に沿って、各キャビティ100の衝突板110の貫通孔111における冷却空気の圧力損失を増加させ、内側キャビティ109の内圧AP2を小刻みに低下させることが望ましい。
【0080】
図9に示すように、本実施形態では、正圧面側前縁キャビティ103において、外側キャビティ108の圧力AP1と内側キャビティ109の内圧AP2との間の差圧はDPA1で表示され、内側キャビティ109の内圧AP2とガスパス面84の燃焼ガスGの圧力GPとの差圧はDPG1で表示されている。 第1中間キャビティ106aにおいて、外側キャビティ108の圧力AP1と内側キャビティ109の内圧AP2との間の差圧はDPA2で表示され、内側キャビティ109の内圧AP2と燃焼ガスGの圧力GPとの差圧はDPG2で表示されている。第2中間キャビティ106bにおいて、外側キャビティ108の圧力AP1と内側キャビティ109の内圧AP2との間の差圧はDPA3で表示され、内側キャビティ109の内圧AP2と燃焼ガスGの圧力GPとの差圧はDPG3で表示されている。第3中間キャビティ106cにおいて、外側キャビティ108の圧力AP1と内側キャビティ109の内圧AP2との間の差圧はDPA4で表示され、内側キャビティ109の内圧P2と燃焼ガスGの圧力GPとの差圧はDPG4で表示されている。
正圧面側後縁キャビティ107において、外側キャビティ108の圧力AP1と内側キャビティ109の内圧AP2との間の差圧はDPA5で表示され、内側キャビティ109の圧力AP2と燃焼ガスGの圧力GPとの差圧はDPG5で表示されている。
【0081】
上述のように、冷却孔120の内側キャビティ109側の内圧AP2と、ガスパス面84側の燃焼ガスGの圧力GPとの差圧DPGを一定の値とすることが望ましい。従って、正圧面側前縁キャビティ103及び正圧面側中間キャビティ106の内側キャビティ109と燃焼ガスG側の圧力GPとの差圧DPG1、DPG2、DPG3、DPG4及びDPG5は、可能な限り同一の値を維持することが望ましい。
【0082】
冷却空気が供給される外側キャビティ108の圧力AP1は、シュラウド60の前縁42から後縁43までのシュラウド60の全面が一定の圧力である。一方、燃焼ガス流路47は、軸方向上流側から下流側に向けて燃焼ガスGの圧力GPが低下する。燃焼ガスGの圧力GPが低下する過程に合せて、内側キャビティ109と燃焼ガス圧力GPとの差圧DPGを一定とするためには、軸方向下流側に向かうと共に、内側キャビティ109の内圧を低下させる必要がある。外側シュラウド108と内側キャビティ109との間の差圧DPAが、燃焼ガス圧力GPの低下に合せて増加するように、衝突板110の貫通孔111の孔仕様で調整することが望ましい。つまり、貫通孔111の孔径dを同一とした条件では、軸方向の下流側に向かうと共に、衝突板110の貫通孔111の配列ピッチLを大きくして貫通孔111の孔数を減少させればよい。これにより、一つの貫通孔111を通過する冷却空気の圧力損失が増加し、内側キャビティ109の内圧を低下させることが出来る。あるいは、キャビティ100によって孔径dが異なる場合は、貫通孔111の配列ピッチLと孔径dより定まる開口密度(d/L)が、軸方向下流側に向かうと共に開口密度では小さくなるように、孔仕様を選定してもよい。すなわち、正圧面側中間キャビティ106(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)の各キャビティ100の衝突板110の貫通孔111の開口密度(d/L)が、前縁42側のキャビティ100より後縁43側のキャビティ100の方が小さくなるように選定すればよい。その結果、燃焼ガス圧力GPの低下に合せて内側キャビティ109の内圧AP2が低下して、冷却孔120の入口開口122と出口開口123との間の差圧が、一定の差圧DPG(DPG1〜DPG5)に維持され、過剰な冷却空気の流出が抑制される。
【0083】
また、
図9に示す態様のように、軸方向の燃焼ガス圧力GPの変化が、燃焼ガスGが正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90dの位置を通過すると共に燃焼ガス圧力GPが低下し始め、第3中間仕切リブ(RB4)90e3までに間に急激に低下するタービン静翼24においては、正圧面側中間仕切リブ90e(第1中間仕切リブ90e1、第2中間仕切リブ90e2、第3中間仕切リブ90e3)の仕切リブ90の軸方向(前縁―後縁方向)の間隔を軸方向下流側に行くほど縮小することが望ましい。
図6に示すように、前縁仕切リブ90a(前縁42の位置)と正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90dの軸方向の間隔をLL1とし、正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90dと第1中間仕切リブ(RB2)90e1の軸方向の間隔をLL2とし、第1中間仕切リブ(RB2)90e1と第2中間仕切リブ(RB3)90e2の軸方向の間隔をLL3とし、第2中間仕切リブ(RB3)90e2と第3中間仕切リブ(RB4)90e3の軸方向の間隔をLL4とし、第3中間仕切リブ(RB4)90e3と翼体40の後縁43の軸方向の間隔をLL5とすれば、第3中間仕切リブ(RB4)90e3まの間は、軸方向下流側に向かうと共に仕切リブ90の間の間隔LLを小さくすることが望ましい(LL1>LL2>LL3>LL4)。前縁仕切リブ90aと正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90dで挟まれた正圧面側前縁キャビティ103の領域は、燃焼ガス圧力GPの低下は小さい。従って、この領域の軸方向の間隔LL1は、正圧面側前縁仕切リブ(RB1)90dと第1中間仕切リブ(RB2)90e1の軸方向の間隔をLL2より大きい。一方、第3中間仕切リブ(RB4)90e3と翼体40の後縁43までの領域の正圧面側後縁キャビティ107は、軸方向上流側の他の正圧面側中間中間キャビティ106より燃焼ガス圧力GPの低下が小さく、軸方向の間隔LL5は、他の正圧面側中間中間キャビティ106の軸方向の間隔(LL2、LL3、LL4)より大きく、正圧面側前縁キャビティ103の軸方向の間隔LL1より小さい。ここで、軸方向幅LLとは、翼体40のコード方向線CLに沿った軸方向幅を意味する。
【0084】
正圧面側前縁キャビティ103及び正圧面側中間キャビティ106と比較した場合、正圧面側前縁キャビティ103の軸方向の間隔LL1が最も大きい。正圧面側後縁キャビティ107の軸方向間隔LL5は、正圧面側前縁キャビティより小さく、軸方向上流側の第1中間キャビティ106aから第3中間キャビティ106cのいずれよりも大きい。つまり、正圧面側前縁キャビティ103と正圧面側後縁キャビティ107の間に配置された複数の中間キャビティ106a、106b、106cの個別の軸方向幅LLは、前記正圧面側後縁キャビティ107より小さい。また、第1中間キャビティ106aの軸方向幅LL2は、第2中間キャビティ106bの軸方向幅LL3より大きく、第2中間キャビティ106bの軸方向幅LL3は、第3中間キャビティ106cの軸方向幅LL4より大きい。
【0085】
このような構造を適用することにより、急激な燃焼ガス圧力GPを伴う燃焼ガス流路47の領域においても、シュラウド60に配置された冷却孔120の差圧DPGを適正に管理して、各キャビティの圧力の適正化を図り、フィルム冷却の冷却空気量の過剰な流失を抑制できる。
【0086】
《第3実施形態》
上述の第2実施形態で説明したタービン静翼24の正圧面側中間キャビティ106の冷却方法の手順について、
図10に基づき説明する。
図10に示すように、タービン静翼24の翼体40の正圧面45側のキャビティ100(正圧面側前縁キャビティ103、正圧面側中間キャビティ106)の冷却方法は、シュラウド60の外側キャビティ108に冷却空気を供給する工程S1と、冷却空気を衝突板で減圧し、内側キャビティ109に供給する工程S2と、冷却空気で底板をインピンジメント冷却する工程S3と、冷却空気で底板をフィルム冷却する工程S4と、を含んでいる。
【0087】
シュラウド60の外側キャビティ108に冷却空気を供給する工程S1では、冷却空気は、タービン静翼24の外部のケーシング20又はタービン車室22からシュラウド60に供給される(S1)。
【0088】
冷却空気を衝突板110で減圧する工程S2では、衝突板110に形成された複数の貫通孔111を介して内側キャビティ109に排出する過程で減圧される(S2)。上述のように、正圧面側中間キャビティ106は、複数の中間キャビティ(第1中間キャビティ106a、第2中間キャビティ106b、第3中間キャビティ106c、正圧面側後縁キャビティ107)から構成され、軸方向上流側から下流側に向かって配列されている。いずれの中間キャビティ100も、冷却空気が衝突板110の貫通孔111を通過する際に冷却空気が貫通孔111で減圧され、内側キャビティ109の内圧AP2は、外側キャビティ108の圧力AP1より低下する。但し、
図9に示すように、正圧面側中間キャビティ106が形成された底板82のガスパス面84側の燃焼ガス流路47を流れる燃焼ガス圧力GPは、軸方向上流側から下流側に向かって急激に低下する。底板82に形成された冷却孔120における差圧DPG(内側キャビティ109の内圧AP2と燃焼ガス圧力GPとの圧力差)を一定に維持するため、内側キャビティ109の内圧AP2は、軸方向下流側の正圧面側中間キャビティ106の内圧ほど低下させる必要がある。そのため、軸方向下流側の正圧面側中間キャビティ106ほど、衝突板110の貫通孔111の開口密度(d/L)を小さくして、内側キャビティ109の内圧AP2を低下させ、冷却孔120の差圧DPGを一定に維持している。
【0089】
冷却空気で底板82をインピンジメント冷却する工程S3では、衝突板110の貫通孔111から内側キャビティ109内に噴出した冷却空気は、底板82の内表面83に衝突して、内表面83をインピンジメント冷却(衝突冷却)する(S3)。内側キャビティ109の内圧AP2は、軸方向下流側に配置された正圧面側中間キャビティ106では、軸方向上流側に配置された正圧面側中間キャビティ106より内圧が低く、軸方向の下流側に向かうと共に、正圧面側中間キャビティ106の内圧は低下する。
【0090】
冷却空気で底板82をフィルム冷却する工程S4では、底板82の内表面83をインピンジメント冷却した後の冷却空気を複数の冷却孔120に供給し、燃焼ガス流路47に排出する際、シュラウド60のガスパス面84をフィルム冷却している(S4)。なお、上述のように、複数の冷却孔120の冷却孔列121の開口中心線OLは、燃焼ガスGの等圧線IBLに沿って平行に配置され、且つ、軸方向下流側に向けて配列された複数の中間キャビティの冷却孔120の差圧DPGが一定に維持される。
【0091】
本実施形態のタービン静翼24の冷却方法によれば、軸方向下流側の正圧面側中間キャビティ106ほど、衝突板110の貫通孔111の開口密度(d/L)を小さくして、軸方向下流側のキャビティ100であるほど、内側キャビティ109の内圧AP2を低下させている。また、底板82に形成された複数の冷却孔120の冷却孔列121の開口中心線OLを、燃焼ガスGの等圧線IBLに沿って平行に配置して、内側キャビティ109の内圧変動を安定させている。従って、軸方向下流側に向けて正圧面側中間キャビティ106の冷却孔列121の冷却孔120の差圧DPGが一定に維持することが可能になり、冷却孔120からの過剰な冷却空気量の排出が抑制され、冷却空気量の低減が可能になる。また、冷却孔列121の冷却孔120から排出される冷却空気量を均一化させて、底板82のメタル温度の分布を均一化して、熱応力の発生が抑制される。
【0092】
上述の実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0093】
上記各実施形態に記載の内容は、以下のように把握される。
(1)第1の態様に係るタービン静翼は、翼体と、前記翼体の翼高さ方向の端部に形成されたシュラウドと、を備えるタービン静翼であって、前記シュラウドは、燃焼ガス流路に接する底板と、前記底板の周縁に沿って前記翼高さ方向に形成される周壁と、前記周壁と前記底板に囲まれた空間を形成する凹部と、前記翼体と前記周壁を接続し、前記凹部を複数の空間に仕切り、複数のキャビティを形成する複数の仕切リブと、前記空間を前記翼高さ方向の外側に形成される外側キャビティと前記外側キャビティの内側に形成される内側キャビティと、に区分けし、前記外側キャビティと前記内側キャビティとを連通する複数の貫通孔を備えた衝突板と、を備え、前記周壁は、前記翼体の前縁側に延在する前縁端部と、前記翼体の負圧面側の前縁から後縁に延び、内部に負圧面側通路を備えた負圧面側端部と、前記翼体の正圧面側の前縁から後縁に延び、内部に正圧面側通路を備えた正圧面側端部と、前記翼体の後縁側に延在する後縁端部と、を含み、前記複数のキャビティは、前記内側キャビティから形成され、前記翼体と前記周壁との間で前記翼体の外周を囲むように前縁正圧面側に配置され、前記底板に形成された前記冷却孔に接続すると共に、前記正圧面側通路に接続する第1キャビティと、前記第1キャビティの軸方向下流側に隣接して配置され、前記仕切リブの内の前記正圧面側の最も軸方向上流側に配置され、前記翼体の前記正圧面と前記正圧面側端部とを接続する第1仕切リブを介して配置され、前記底板に複数の冷却孔を備える第4キャビティと、を含み、前記第4キャビティの前記衝突板の前記貫通孔の開口密度は、前記第1キャビティの前記衝突板の前記貫通孔の前記開口密度より小さい。
【0094】
上記(1)に記載のガスタービン静翼によれば、第1キャビティは正圧面側通路に接続している。第1キャビティを冷却するために必要な冷却空気は、外側キャビティから衝突板の貫通孔を介して第1キャビティ(内側キャビティ)に供給され、底板の内表面をインピンジメント冷却した後、底板に形成された冷却孔から排出される際、底板がフィルム冷却され、インピンジメント冷却とフィルム冷却の組合せで、第1キャビティの底板は冷却されている。更に、第1キャビティには、正圧面側通路を冷却する冷却空気が、供給される。従って、第1キャビティには、第1キャビティ自体を冷却する冷却空気の他に、正圧面側通路を冷却する冷却空気を上乗せして供給されている。
一方、第4キャビティには、第4キャビティの底板をインピンジメント冷却した後、冷却孔から排出される際にフィルム冷却する冷却空気のみが供給されている。従って、第4キャビティは、過剰な冷却空気が供給される第1キャビティと比較して衝突板の貫通孔の開口密度を小さくして、シュラウドに供給される冷却空気量を低減している。すなわち、シュラウドを区分けする仕切リブを配置して、シュラウドをマルチキャビティ化して、シュラウドの各キャビティの目的に応じた構造の適正化を図り、シュラウドに供給される冷却空気量の低減を図っている。
【0095】
(2)第2の態様に係るタービン静翼は、(1)のタービン静翼であって、一端が前記底板に形成された入口開口に接続し、他端が前記底板のガスパス面に形成された出口開口に接続する複数の冷却孔を備えるとともに、前記正圧面側通路の上流端部に接続し、
前記第4キャビティは、前記第1キャビティに対して前記第1仕切リブを介して軸方向下流側に隣接して配置され、一端が前記底板に形成された前記入口開口に接続し、他端が前記底板の前記ガスパス面に形成された前記出口開口に接続する複数の前記冷却孔を備え、前記冷却孔列の前記冷却孔の前記出口開口の中心を結ぶ開口中心線は、前記第1仕切リブに平行に配置されている。
【0096】
上記(2)に記載のガスタービン静翼によれば、第1キャビティ及び第4キャビティに配置された冷却孔列の出口開口の開口中心線は、第1仕切リブに平行に配置されている。 一方、第1仕切リブは、燃焼ガス流の等圧線に平行になるように配置されている。従って、第1キャビティ又は第4キャビティの冷却孔列から冷却空気がガスパス面に排出する出口開口における燃焼ガス側の圧力は同一の圧力となり、各冷却孔列の冷却孔の入口開口と出口開口の間の圧力差が一定となる。従って、各冷却孔列の冷却孔から排出する冷却空気量が均一化され、冷却孔の上流側の内側キャビティの内圧が安定する。従って、冷却孔列の冷却孔から排出される冷却空気量の変動が少なく、冷却孔列の安定した冷却性能が得られる。
【0097】
(3)第3の態様に係るタービン静翼は、(2)のタービン静翼であって、複数の冷却孔は、入口開口と出口開口を結ぶ冷却孔中心線の長さが同一であり、翼体の正圧面側から負圧面側端部又は前縁端部に向けて所定間隔を空けて互いに平行に複数配置された冷却孔列を形成する。
【0098】
上記(3)に記載のガスタービン静翼によれば、複数の冷却孔は、入口開口と出口開口を結ぶ冷却孔中心線の長さが同一で、翼体の正圧面側から負圧面側端部又は前記前縁端部に向けて所定間隔を空けて互いに平行に配置されているので、冷却孔から排出される冷却空気量の均一化が容易である。
【0099】
(4)第4の態様に係るタービン静翼は、(1)から(3)の何れか一つのタービン静翼であって、前記第4キャビティは、前記第1仕切リブの軸方向下流側に配置され、前記翼体の前記正圧面と前記正圧面側端部とを接続する複数の中間仕切リブからなる第2仕切リブにより区分けされ、軸方向上流側から下流側に向けて前記翼体の前記正圧面に沿って配置された複数の中間キャビティと、前記中間キャビティの軸方向下流側に隣接して配置され、前記中間キャビティを形成する最下流側の前記第2仕切リブと前記翼体の後縁までの間に配置された正圧面側後縁キャビティと、から形成され、前記第4キャビティの前記衝突板の前記貫通孔の前記開口密度は、軸方向下流側に向かうと共に小さくなる。
【0100】
上記(4)に記載のガスタービン静翼によれば、第4キャビティは、第1仕切リブに平行に配置された中間仕切リブにより翼体に沿って配置された複数のキャビティに区分けされ、複数のキャビティの衝突板の貫通孔の開口密度を軸方向下流側のキャビティほど小さくすることにより、貫通孔を通過する冷却空気の圧力損失を下流側ほど増加させ、燃焼ガス流の圧力の低下に応じて各内側キャビティの内圧を低下させ、冷却孔列の冷却孔の入口開口と出口開口の間の差圧を一定として、各冷却孔列の冷却孔から排出する冷却空気量を均一にして、底板の熱応力を低減し、冷却空気量を低減させることが出来る。
【0101】
(5)第5の態様に係るタービン静翼は、(4)のタービン静翼であって、前記第2仕切リブは、少なくとも2以上の前記中間仕切リブからなり、前記第1仕切リブが前記翼体と接合する位置は、前記翼体の翼体中間空気通路が形成された範囲内にあり、前記第2仕切リブが前記翼体と接合する位置は、翼体後縁空気通路が形成された範囲の中間位置から前記翼体の前記後縁までの範囲に配置されている。
【0102】
上記(5)に記載のガスタービン静翼によれば、第2仕切リブを形成する中間仕切リブの前記翼体との接合位置を翼体後縁キャビティが形成された範囲の中間位置から後縁までの範囲に配置することにより、翼体に沿って流れる燃焼ガス流路の圧力低下が大きい領域におけるシュラウドのキャビティ区分を細分化させ、冷却孔から排出される冷却空気量を適正化させ、冷却空気量を低減できる。
【0103】
(6)第6の態様に係るタービン静翼は、(1)から(5)の何れか一つのタービン静翼であって、前記第1キャビティは、前記前縁端部と前記翼体の前縁を接続する第3仕切リブと前記第1仕切リブの間に形成され、 前記第4キャビティは、 前記第2仕切リブにより翼面に沿って区分けされた複数の中間キャビティと、 前記中間キャビティの軸方向下流側に隣接して配置され、軸方向の最も下流側の前記第2仕切リブと前記翼体の後縁の間に形成された正圧面側後縁キャビティと、から形成され 前記第1キャビティ及び前記第4キャビティの前記翼体のコード方向線に沿った軸方向幅は、前記第1キャビティが最も大きく、 前記正圧面側後縁キャビティは、前記第1キャビティより小さく、前記第1キャビティと前記正圧面側後縁キャビティの間に配置された複数の前記中間キャビティの個別キャビティの前記軸方向幅は、前記正圧面側後縁キャビティより小さい。
【0104】
上記(6)に記載のガスタービン静翼によれば、翼体に沿って流れる燃焼ガス流の静圧は、翼体中間部から後縁に向けて急激に低下する。従って、燃焼ガス流の圧力低下が最も小さい第1キャビティの軸方向幅は、第4キャビティの各キャビティの軸方向幅より大きく、中間キャビティより圧力低下が小さい正圧面側後縁キャビティの軸方向幅は、第1キャビティより小さく、中間キャビティの各キャビティより大きくすることにより、燃焼ガス流の圧力が急激に低下する中間キャビティの軸方向幅を小さくして、一つの中間キャビティの当たりの内側キャビティの内圧変動を小さく抑え、冷却孔列の冷却孔から排出される冷却空気量の変動を抑制できる。
【0105】
(7)第7の態様に係るタービン静翼は、(6)のタービン静翼であって、前記第4キャビティの前記中間キャビティの前記個別キャビティの前記軸方向幅は、軸方向下流側に向かうと共に小さくなる。
【0106】
上記(7)に記載のガスタービン静翼によれば、第4キャビティの中間キャビティの軸方向幅を軸方向下流側に向かうと共に小さくすることにより、燃焼ガス流の圧力低下が大きくなる軸方向下流側の中間キャビティの内側キャビティの圧力の低下を大きくすると共に、内側キャビティの圧力変動を小さく抑えることにより、軸方向下流側の冷却孔から排出される冷却空気量の排出が抑制され、冷却空気量が低減される。
【0107】
(8)第8の態様に係るタービン静翼は、(2)から(7)の何れか一つのタービン静翼であって、前記第1仕切リブは、前記第1仕切リブの前縁側の前記底板の内表面側に形成された前記入口開口と前記第1仕切リブの後縁側の前記底板のガスパス面側に形成された前記出口開口を接合する複数の前記冷却孔からなる前記冷却孔列を備える。
【0108】
上記(8)に記載のガスタービン静翼によれば、第1仕切リブに冷却孔を配置することにより、メタル温度が高くなる第1仕切リブの熱損傷が抑制される。
【0109】
(9)第9の態様に係るタービン静翼は、(1)から(8)の何れか一つのタービン静翼であって、前記第1キャビティは、前記冷却孔が配置された第1正圧面側前縁領域と、前記冷却孔が配列されていない第2正圧面側前縁領域を備え、前記第2正圧面側前縁領域は、前記前縁端部の前縁端面の位置から翼体前縁仕切リブを前記正圧面側端部又は前記前縁端部の方向に延伸し、前記前縁端部又は前記正圧面側端部に接続する位置までの範囲の領域を少なくとも含み、前記第1正圧面側前縁領域は、前記第2正圧面側前縁領域に対して軸方向下流側に隣接して配置されている。
【0110】
上記(9)に記載のガスタービン静翼によれば、第2正圧面側前縁領域は、シュラウドの前縁端面側からの漏れ空気の流入によりガスパス面の過熱が抑制される。従って、第1キャビティに冷却孔のない第2正圧面側前縁領域を設けることにより、第1キャビティに供給される冷却空気量が低減される。
【0111】
(10)第10の態様に係るタービン静翼は、(1)のタービン静翼であって、前記複数のキャビティは、前記翼体と前記周壁との間で前記翼体の外周を囲むように前縁負圧面側に配置され、前記底板に形成された前記冷却孔に接続すると共に、前記負圧面側通路に接続する第2キャビティと、前記第2キャビティの軸方向下流側に隣接して配置され、前記翼体の負圧面と前記負圧面側端部を接続する第4仕切リブを介して配置され、前記翼体中間空気通路に接続する第3キャビティと、を含み、前記第4キャビティの前記衝突板の前記貫通孔の開口密度は、前記第2キャビティ及び前記第3キャビティの前記衝突板の前記貫通孔の前記開口密度より小さい。
【0112】
上記(10)に記載のガスタービン静翼によれば、第1キャビティ、第2キャビティ及び第3キャビティは、負圧面側通路及び翼体中間空気通路に接続している。第1キャビティ、第2キャビティ及び第3キャビティを冷却するために必要な冷却空気は、外側キャビティから衝突板の貫通孔を介して内側キャビティに供給され、底板の内表面をインピンジメント冷却した後、底板に形成された冷却孔から排出される際、底板がフィルム冷却される。インピンジメント冷却とフィルム冷却の組合せ又はインピンジメント冷却のみで、前縁側キャビティの底板は冷却されている。更に、第1キャビティ、第2キャビティ及び第3キャビティは、負圧面側通路及び翼体を冷却する冷却空気が供給される。従って、第1キャビティ、第2キャビティ及び第3キャビティには、第2キャビティ及び第3キャビティ自体を冷却する冷却空気の他に、正圧面側通路、負圧面側通路及び翼体を冷却するため、過剰な冷却空気が供給されている。一方、第4キャビティには、第4キャビティの底板をインピンジメント冷却した後、底板に形成された冷却孔から排出される際にフィルム冷却する冷却空気のみが供給されている。
従って、過剰な冷却空気が供給される第1キャビティ、第2キャビティ及び第3キャビティと比較して、自身の冷却に必要な冷却空気量のみが供給される第4キャビティは、貫通孔の開口密度を相対的に小さくして、冷却空気量を絞ることが出来る。
【0113】
(11)第11の態様に係るタービン静翼は、(1)から(10)の何れか一つのタービン静翼であって、前記シュラウドは、前記翼体の前記翼高さ方向の外側に配置された外側シュラウドと、前記翼体の前記翼高さ方向の内側に配置された内側シュラウドと、を含む。
【0114】
(12)第12の態様に係るタービンは、(1)〜(11)を備えるタービン静翼と、前記タービン静翼が設けられる燃焼ガス流路を流れる燃焼ガスを生成するための燃焼器と、を備える。
【0115】
上記(12)に記載のガスタービンによれば、マルチキャビティからなるシュラウドの適正な冷却構造が形成された静翼を備えるので、冷却空気量が低減されて、ガスタービンの効率が改善される。
【0116】
(13)第13の態様に係るタービン静翼の冷却方法は、翼体と、前記翼体の翼高さ方向の端部に形成されたシュラウドと、を備え、前記シュラウドは、燃焼ガス流路に接する底板と、前記底板の周縁に沿って前記翼高さ方向に形成される周壁と、前記周壁と前記底板に囲まれた空間を形成する凹部と、前記翼体と前記周壁を接続し、前記凹部を複数の空間に区分けして複数のキャビティを形成する複数の仕切リブと、前記空間を前記翼高さ方向の外側に形成される外側キャビティと前記外側キャビティの内側に形成される内側キャビティと、に区分けし、前記外側キャビティと前記内側キャビティとを連通する複数の貫通孔を備えた衝突板と、を備え、前記複数のキャビティは、前記内側キャビティから形成され、前記翼体の正圧面側の翼面に沿って、軸方向下流方向に縦列するように隣接して配置され、 軸方向下流側に向かうと共に開口密度が小さくなる前記貫通孔を有する前記衝突板を備え、前記底板の内表面に形成された入口開口を介して前記内側キャビティに連通し、前記底板のガスパス面に形成された出口開口を介して燃焼ガス流路に連通する複数の冷却孔を有する冷却孔列を備えたタービン静翼の冷却方法であって、外部から冷却空気を前記外側キャビティに供給する工程と、前記冷却空気が、前記複数のキャビティに配置された前記衝突板に形成された前記貫通孔を介して、前記外側キャビティから前記内側キャビティに供給され、軸方向下流側に向かうと共に前記キャビティの内圧が低下し、前記内側キャビティと前記燃焼ガスとの差圧を一定に維持する冷却空気の圧力を減圧する工程と、前記冷却空気が前記底板の内表面をインピンジメント冷却する工程と、
前記インピンジメント冷却後の前記冷却空気を、前記底板に形成された前記冷却孔から燃焼ガス流路に排出する際、前記ガスパス面をフィルム冷却する工程と、を含む。
【0117】
上記(13)に記載のタービン静翼の冷却方法によれば、シュラウドのキャビティに配置された衝突板の貫通孔の開口密度が、軸方向下流方向に向かうキャビティほど小さくなるように形成され、貫通孔での冷却空気の圧力損失を大きくして、冷却孔の入口開口と出口開口の圧力差を一定に維持している。従って、キャビティに供給された冷却空気は、前縁から後縁に向かって衝突板で圧力損失を増加させ、軸方向下流側に向かうと共に、内側キャビティの圧力が低下する。その結果、燃焼ガスGの流れ方向のキャビティ間での冷却孔から排出される冷却空気量が均一化され、軸方向下流側のキャビティからの過剰な冷却空気の排出が抑制され、冷却空気量が低減される。
【0118】
(14)第14の態様に係るタービン静翼の冷却方法は、(13)のタービン静翼の冷却方法であって、前記ガスパス面をフィルム冷却する工程では、前記冷却孔は、前記出口開口の開口中心線が、前記ガスパス面を流れる燃焼ガス流の等圧線に平行に配置され、前記内側キャビティの内圧変動が抑制される。
【0119】
上記(14)に記載のタービン静翼の冷却方法によれば、冷却孔列を形成する冷却孔の出口開口を結ぶ開口中心線が、燃焼ガス流の等圧線に平行に配置されているので、冷却空気が配置される出口開口における圧力が同一圧力に維持され、冷却孔の上流側に接続する内側キャビティの内圧変動が抑制され、冷却孔から排出される冷却空気量が安定し、冷却空気量が低減される。
【0120】
(15)第15の態様に係るタービン静翼の冷却方法は、(13)又は(14)のタービン静翼の冷却方法であって、複数の前記キャビティが、前記翼体の前縁正圧面側に配置された第1キャビティ及び前記第1キャビティに対して軸方向下流側に隣接して配置されている。
【0121】
(16)第16に係るタービン静翼の冷却方法は、(13)から(15)の何れか一つのタービン静翼の冷却方法であって、前記シュラウドは、前記翼体の前記翼高さ方向の外側に配置された外側シュラウドと、前記翼体の前記翼高さ方向の内側に配置された内側シュラウドと、を含む。
【解決手段】タービン静翼24は、翼体40と、翼体の翼高さ方向の端部に形成されたシュラウド60aとを備えるタービン静翼であって、シュラウドは複数のキャビティ100を形成する複数の仕切リブ90と、外側キャビティ108と内側キャビティ109とを連通する複数の貫通孔111を備えた衝突板110とを備え、第4キャビティ106,107の衝突板の貫通孔の開口密度は、第1キャビティ103の衝突板の貫通孔の開口密度より小さい。