(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の構成では、同じ体格(体積)のフライホイールを同じ回転角速度で回転させようとしたとき、十分な質量エネルギー密度が得られないという問題がある。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、高いエネルギー密度を有するフライホイール、そのフライホイールの設計を容易とする設計方法、及び、そのフライホイールを採用して蓄電エネルギーの増大と軽量化を両立させることができる蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フライホイール蓄電システムのフライホイールであって、相対的に平均密度が低い低密度円盤部と、該低密度円盤部の外周に設けられ、該低密度円盤部より平均密度が高い高密度外縁部と
からなり、前記高密度外縁部は、重金属を埋設した炭素繊維プラスチック、又は、重金属を埋設した炭化ケイ素繊維強化プラスチックにより形成され、前記重金属は、超高強度鋼、又は、高融点金属、又は、高融点金属合金であり、前記炭素繊維プラスチックに埋設する重金属、或いは、前記炭化ケイ素繊維強化プラスチックに埋設する重金属は、超高強度鋼、又は、高融点金属、又は、高融点金属合金であって、更に、粉体、又は、ワイヤー、又は、周回等角対称に配置された素片であることを特徴とする。
【0008】
本発明のフライホイールは、低密度円盤部と高密度外縁部とで構成されていることにより、同じ体積として同じ角速度で回転するとき、従来のフライホイール(一種類の材料で全体が均一な密度に形成された円盤によるもの、或いは、円盤の外周縁部に当該円盤よりも低密度の材料で形成した外縁部を設けたもの)に比べて、高い質量エネルギー密度を達成することができる。
【0009】
また、本発明のフライホイールにおいては、一種類の材料で全体が均一な密度に形成された円盤による従来のフライホイールよりも10%以上の質量エネルギー密度の改善を得る場合には、前記低密度円盤部の平均密度をρ
i、半径をR
i、前記高密度外縁部の平均密度をρ
o、半径をR
oとするとき、R
i/R
oは0.4以上1未満、かつ、ρ
i/ρ
oは0.6以下とすればよい。
【0010】
また、本発明のフライホイールにおいては、一種類の材料で全体が均一な密度に形成された円盤による従来のフライホイールよりも50%以上の質量エネルギー密度の改善を得る場合には、前記低密度円盤部の平均密度をρ
i、半径をR
i、前記高密度外縁部の平均密度をρ
o、半径をR
oとするとき、R
i/R
oは0.8以上1未満、かつ、ρ
i/ρ
oは0.1以下とすればよい。
【0011】
また、本発明は、前記フライホイールを設計するための、フライホイールの設計方法であって、前記低密度円盤部の平均密度をρ
i、半径をR
i、前記高密度外縁部の平均密度をρ
o、半径をR
oとするとき、下記式(1)で定義された値Zを増大させるように、R
i/R
oとρ
i/ρ
oとを適正化することを特徴とする。
【0012】
【数1】
【0013】
式(1)は、本発明フライホイールと一種類の材料で全体が均一な密度に形成された円盤による従来のフライホイール(以下、単に従来のフライホイールという)とのエネルギー密度比である。
【0014】
即ち、式(1)は、次のようにして求められる。従来のフライホイールの質量Mと、慣性モーメントJと、エネルギEとの関係から、従来のフライホイールのエネルギー密度は、式(2)となる。
【0015】
【数2】
【0016】
一方、本発明のフライホイールの前記低密度円盤部の質量M
i、慣性モーメントをJ
i、エネルギをE
iとの関係と、
【0017】
【数3】
【0018】
及び、本発明のフライホイールの前記低密度円盤部の質量M
o、慣性モーメントをJ
o、エネルギをE
oとの関係と、
【0019】
【数4】
により、本発明のフライホイールのエネルギー密度は、式(3)となる。
【0020】
【数5】
【0021】
そして、式(2)と式(3)とから、本発明フライホイールと従来のフライホイールとのエネルギー密度比を示す式(4)を得ることができる。なお、式(4)により、エネルギー密度比はR
i/R
oとρ
i/ρ
oにのみ依存しており、回転角速度ωは無関係となることが明らかである。
【0022】
【数6】
【0023】
式(1)は、式(4)に基づくものである。よって式(1)からエネルギー密度比の値Zを求めることができる。このように、式(1)を用いることにより、所望のエネルギー密度比を容易に算出することができる。
【0024】
このことから明らかなように、本発明のフライホイールの設計方法においては、前記値Zを最大化させるように前記R
i/R
oと前記ρ
i/ρ
oとを決定することが好ましい。
【0025】
更に、本発明のフライホイールの設計方法においては、変数R
i/R
oと変数ρ
i/ρ
oとの交点に前記値Zが記録されたマトリクス表を用いて、前記値Zの増大領域を視覚的に探索することが好ましい。前記マトリクス表は、例えば、
図12に示すように、横方向にR
i/R
oの値を配し、縦方向にρ
i/ρ
oの値を配し、R
i/R
oの値とρ
i/ρ
oの値との交差位置に式(1)によって算出したエネルギー密度比の値Zを記録したものが挙げられる。
【0026】
前記マトリクス表を用いることにより、目標とするエネルギー密度比(改善比)を達成するR
i/R
oとρ
i/ρ
oの組み合わせ候補を複数提示することができる。よって、極めて容易且つ迅速に前記R
i/R
oと前記ρ
i/ρ
oとを決定することができる。
【0027】
即ち、従来のフライホイールよりも10%以上の質量エネルギー密度の改善を得る場合、
図12に示すマトリクス表を用いれば、R
i/R
oは0.4以上1未満、かつ、ρ
i/ρ
oは0.6以下とすればよいことが容易に決定でき、従来のフライホイールよりも50%以上の質量エネルギー密度の改善を得る場合、前記マトリクス表を用いれば、R
i/R
oは0.8以上1未満、かつ、ρ
i/ρ
oは0.1以下とすればよいことが容易に決定できる。
【0028】
また、本発明のフライホイールにおいて、前記低密度円盤部は、炭素繊維プラスチック、炭化ケイ素繊維強化プラスチック、及び、軽金属のうちの何れか1つの材料により形成され、又は、複数の前記材料を選択的に組み合わせて形成されていることが好ましい。
【0031】
このうち、前記周回等角対称に配置された重金属の素片は、前記高密度外縁部の回転軸線に向かって突出する形状であることが好ましい。
【0032】
また、本発明は、発電電動機と、該発電電動機が備える入出力軸と同軸に設けられた回転軸と、該回転軸に設けられたフライホイールとを備えるフライホイール蓄電システムであって、前記フライホイールは、相対的に平均密度が低い低密度円盤部と、該低密度円盤部の外周に密着外接され、該低密度円盤部より平均密度が相対的に高い高密度外縁部と
からなり、前記高密度外縁部は、重金属を埋設した炭素繊維プラスチック、又は、重金属を埋設した炭化ケイ素繊維強化プラスチックにより形成され、前記重金属は、超高強度鋼、又は、高融点金属、又は、高融点金属合金であり、前記炭素繊維プラスチックに埋設する重金属、或いは、前記炭化ケイ素繊維強化プラスチックに埋設する重金属は、超高強度鋼、又は、高融点金属、又は、高融点金属合金であって、更に、粉体、又は、ワイヤー、又は、周回等角対称に配置された素片であることを特徴とする。
【0033】
本発明のフライホイール蓄電システムは、質量エネルギー密度の高いフライホイールを備えている。従って、軽量化されたフライホイールを用いて、フライホイール蓄電システム全体の軽量化を図ることができ、高効率のフライホイール蓄電システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の
設計方向に基づく実施形態を図面に基づいて説明する。
図1を参照して第1及び第2実施形態のフライホイールA,Bについて説明する。第1実施形態のフライホイールAは、円柱状の低密度円盤部10と、円筒状の高密度外縁部11とを備えている。
【0036】
低密度円盤部10と高密度外縁部11とは同じ厚み寸法t
oに形成され、高密度外縁部11は、低密度円盤部10の外周に一体に設けらている。高密度外縁部11と低密度円盤部10とは中心である回転軸線xが一致している。
【0037】
第1実施形態のフライホイールAにおいては、低密度円盤部10は、半径R
iが12cm、平均質量密度ρ
iが1.6g/cm
3である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を材料として形成され、高密度外縁部11は、半径R
oが15cm、平均質量密度ρ
oが19.25g/cm
3である高融点金属、例えばタングステンを材料として形成されている。厚み寸法t
oは20cmで形成されている。
【0038】
なお、低密度円盤部10は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)以外に、炭化ケイ素繊維強化プラスチック(SiCFRP)を材料として形成してもよい。
【0039】
第1実施形態のフライホイールAによれば、下記式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.51となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて51%向上する。
【0041】
第2実施形態のフライホイールBは、第1実施形態のフライホイールAと同様に、円柱状の低密度円盤部20と、円筒状の高密度外縁部21とを備えている。
【0042】
低密度円盤部20は、半径R
iが13cm、平均質量密度ρ
iが1.6g/cm
3である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を材料として形成され、高密度外縁部21は、半径R
oが15cm、平均質量密度ρ
oが14.2g/cm
3である高硬度鋼、例えばWC−Coサーメット合金を材料として形成されている。厚み寸法t
oは20cmである。
【0043】
第2実施形態のフライホイールBによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.49となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて49%向上する。
【0044】
次に、第3実施形態のフライホイールCについて説明する。第3実施形態のフライホイールCは、
図2及び
図3に示すように、円盤状の低密度円盤部30と、円筒状の高密度外縁部31とを備えている。低密度円盤部30の厚み寸法t
iは、高密度外縁部31の厚み寸法t
oよりも小さい。
【0045】
低密度円盤部30は、厚み寸法t
iが3cm、半径R
iが13.5cm、平均質量密度ρ
iが4.5g/cm
3であるチタンを材料として形成され、高密度外縁部31は、厚み寸法t
oが20cm、半径R
oが15cm、平均質量密度ρ
oが19.25g/cm
3である高融点金属、例えばタングステンを材料として形成されている。
【0046】
第3実施形態のフライホイールCによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.68となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて68%向上する。
【0047】
次に、第4実施形態のフライホイールDについて説明する。第4実施形態のフライホイールDは、
図4に示すように、円盤状の低密度円盤部40と、円筒状の高密度外縁部41とを備えている。低密度円盤部40は、チタン円盤401と、このチタン円盤401を挟む一対の炭素繊維強化プラスチック円盤402とで構成されている。高密度外縁部41は低密度円盤部40の外周に設けられている。
【0048】
チタン円盤401は、厚み寸法t
i1が3cm、半径R
iが13cm、平均質量密度ρ
i1が4.5g/cm
3であり、炭素繊維強化プラスチック円盤402は、夫々、厚み寸法t
i2が8.5cm、半径R
iが13cm、平均質量密度ρ
i2が1.6g/cm
3である。
【0049】
チタン円盤401と一対の炭素繊維強化プラスチック円盤402とからなる低密度円盤部40の平均質量密度ρ
iは、4.5×(3/20)+1.6×(17/20)=1.6g/cm
3である。
【0050】
高密度外縁部41は、厚み寸法t
oが20cm、半径R
oが15cm、平均質量密度ρ
oが19.25g/cm
3である高融点金属、例えばタングステンを材料として形成されている。
【0051】
第4実施形態のフライホイールDによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.51となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて51%向上する。
【0052】
次に、第5実施形態のフライホイールEについて説明する。第5実施形態のフライホイールEは、
図5に示すように、第1実施形態のフライホイールAと同様に、円柱状の低密度円盤部50と、円筒状の高密度外縁部51とを備えている。低密度円盤部50と高密度外縁部51とは同じ厚みでその寸法t
oは20cmである。
【0053】
低密度円盤部50は、半径R
iが13cm、平均質量密度ρ
iが1.6g/cm
3の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を材料として形成されており、高密度外縁部51は、半径R
oが15cm、平均質量密度ρ
oが13.82g/cm
3である金属繊維強化プラスチック(MFRP)を材料として形成されている。金属繊維強化プラスチック(MFRP)は、直径5μmのW微細線バンドルを円周方向に巻いて強化したものが採用されている。
【0054】
第5実施形態のフライホイールEによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.49となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて49%向上する。
【0055】
次に、
図6を参照して第6、第7及び第8実施形態のフライホイールF,G,Hについて説明する。
【0056】
第6実施形態のフライホイールFは、中空の低密度円盤部60と、円筒状の高密度外縁部61とを備えている。
【0057】
低密度円盤部60は、空隙602を存して軸線方向に互いに対向する2つの円盤601によって構成されている。低密度円盤部60を構成する円盤601は、夫々、厚み寸法t
iが2cm、半径R
iが13.5cm、平均質量密度ρ
i2が1.6g/cm
3の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を材料として形成されている。
【0058】
2つの円盤602による低密度円盤部60の平均質量密度ρ
iは、1.6×((2+2)/20)=0.32g/cm
3である。
【0059】
高密度外縁部61は、半径R
oが15cm、平均質量密度ρ
oが5.84g/cm
3の超硬金属微細繊維強化プラスチック(MFRP)により形成されている。厚み寸法t
oは20cmである。超硬金属微細繊維強化プラスチック(MFRP)は、直径10μmのピアノ微細線バンドルを円周方向に巻いて強化したものが採用されている。
【0060】
第6実施形態のフライホイールFによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.62となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて62%向上する。
【0061】
なお、第6実施形態のフライホイールFにおける低密度円盤部60の両円盤601の位置は、高密度外縁部61の内部に収容された状態であれば、
図6に示す位置に限定されない。例えば、図示しないが、両円盤601間が
図6に示したものより近接していてもよい。また、第6実施形態では厚み寸法t
iが2cmの円盤602を2つ用いた例を示したが、それ以外に、厚み寸法t
iの小さい円盤を3つ以上用いて低密度円盤部60を形成してもよい。
【0062】
第7実施形態のフライホイールGは、第6実施形態と同じ材料で同じ構造の低密度円盤部70と、第6実施形態と同じ形状で同じ寸法であって材料が異なる高密度外縁部71とで構成されている。
【0063】
低密度円盤部70については第6実施形態の低密度円盤部60と同じであるため、その平均質量密度ρ
iは、1.6×((2+2)/20)=0.32g/cm
3である。
【0064】
第7実施形態の高密度外縁部71は、炭素繊維(CF)と超硬金属微細繊維(MF)とで強化したプラスチック(CMFRP樹脂)で構成されている。高密度外縁部71に採用したCMFRP樹脂は、W微細線(ワイヤー)と炭素繊維線(共に直径約5〜10μm)からなる複合バンドルを円周方向に巻いて強化したものであり、その平均質量密度ρ
oは6.84g/cm
3である。
【0065】
第7実施形態のフライホイールGによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.64となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて64%向上する。なお、高密度外縁部71に採用するCMFRP樹脂としては、W微細線に替えてピアノ線のような超硬金属微細線を用いてもよい。
【0066】
第8実施形態のフライホイールHは、第6実施形態と同じ材料で同じ構造の低密度円盤部80と、第6実施形態と同じ形状で同じ寸法であるあって材料が異なる高密度外縁部81とで構成されている。
【0067】
低密度円盤部80については第6実施形態の低密度円盤部60と同じであるため、その平均質量密度ρ
iは、1.6×((2+2)/20)=0.32g/cm
3である。
【0068】
第8実施形態の高密度外縁部81は、超硬金属M粉末を分散させたプラスチック(エポキシ樹脂)を炭素繊維(CF)で強化した固体であるCFRP:M材料によって形成されている。
【0069】
超硬金属M粉末は、W粉末(密度ρ
o2=19.25g/cm
3、粒径0.7μm、充填率V
f2=0.25)である。プラスチックは、エポキシ樹脂(密度ρ
o3=1.15g/cm
3)である。炭素繊維は、密度ρ
o1=1.80g/cm
3、線径5〜10μm、充填率V
f1=0.45であり、炭素繊維束を円周方向に巻くことにより強化されている。この構成において、高密度外縁部81の平均質量密度ρ
oは6.84g/cm
3となる。
【0070】
第8実施形態のフライホイールHによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.62となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて62%向上する。なお、高密度外縁部81に採用するCFRP:M材料では、W粉末に替えて他の金属の微細粉末を用いてもよい。
【0071】
次に、第9実施形態のフライホイールIについて説明する。
図7及び
図8に示すように、第9実施形態のフライホイールIは、第6実施形態と同じ材料で同じ構造の低密度円盤部90と、第6実施形態と同じ形状で同じ寸法の高密度外縁部91とで構成されている。
【0072】
低密度円盤部90については第6実施形態の低密度円盤部60と同じであるため、その平均質量密度ρ
iは、1.6×((2+2)/20)=0.32g/cm
3である。
【0073】
第9実施形態のフライホイールIにおける高密度外縁部91は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)によって円筒状に形成されているが、その内部には、周方向に互いに所定間隔を存して周回等角対称に配置された複数の金属素片911が埋設されている。
【0074】
各金属素片911は、全て同一形状であり、重金属で形成され、回転軸線に向かって突出するように、突出形状の先端を回転軸線に向けた姿勢で設けられている。
【0075】
金属素片911は、超硬合金の平均質量密度ρ
o1が14.2g/cm
3であり、充填率V
f1が0.25であり、プラスチックであるエポキシ樹脂の平均質量密度ρ
o2が1.15g/cm
3である。よって、この構成による高密度外縁部91の平均質量密度ρ
oは4.41g/cm
3となる。
【0076】
第9実施形態のフライホイールIによれば、式(1)によって求められたエネルギー密度比の値Zが1.57となり、エネルギー密度が従来のフライホイールに比べて57%向上する。
【0077】
なお、金属素片911は、
図9に示すように、各種形状(
図9において金属素片911、911a〜911f)のものを選択的に用いることができる。このとき、高密度外縁部91には、同じ形状の金属素片を用い、金属素片911、911a〜911fの何れの形状を採用した場合であってもその突出形状の先端(図において上方に示した側の端)を回転軸線に向ける。
【0078】
また、金属素片911は、
図7に示すように、回転軸線に沿って長さを有する形状とする以外に、
図10に示すように、短い長さ寸法の金属素片911を回転軸線に沿った方向に間隔を存して複数配列して設けてもよい。
【0079】
上記各実施形態で示したフライホイールは、フライホイール蓄電システムに好適に採用することができる。即ち、
図11に示すように、フライホイール蓄電システム100は、発電電動機部101と、フライホイール部102とを備えている。
【0080】
フライホイール部102は、フライホイール102aと、このフライホイール102aを収容する筐体102bとを備えている。フライホイール102aは回転軸102cに設けられて回転軸102cと一体に回転する。
【0081】
回転軸102cは、発電電動機部101の入出力軸101aに連結されている。フライホイール102の回転軸102cは、筐体102bに設けられた一対の軸受け102dに回転自在に支持されている。
【0082】
フライホイール102aは、上述した各実施形態で示した構成のもの(フライホイールA,B,C,D,E,F,G,H,Iの何れか)が採用される。蓄電エネルギーの増大はフライホイール102aの厚み寸法や直径を増加させることで容易に達成することができる。
【0083】
フライホイール102aが上述した各実施形態で示した構成であることにより、エネルギー密度が高く、従来のフライホイールと比べて軽量となる。よって、フライホイール蓄電システム100を軽量に構成することができる。
【0084】
また、フライホイール102aの軽量化により、従来のフライホイール蓄電システムに比べてシステムレベルでのエネルギー密度を向上させることができる。