(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記天然ゴムラテックスの配合割合は、固形分量換算で、前記基材ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上、50質量部以下である請求項1に記載の半導電性ローラ。
前記イオン導電性ゴムは、エピクロルヒドリンゴムであり、前記ジエン系ゴムは、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、およびアクリロニトリルブタジエンゴムの3種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の半導電性ローラ。
電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで、感光体の表面に形成される静電潜像を、帯電させたトナーによってトナー像に現像する現像ローラとして用いる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の半導電性ローラ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、イオン導電性ゴム、およびジエン系ゴムを含む基材ゴム
(但し、ゴムラテックスを除く)、ならびに当該基材ゴムを架橋させるための架橋成分を含み、かつ天然ゴムラテックスが配合されたゴム組成物からなるローラ本体を含む半導電性ローラである。
また本発明は、上記本発明の半導電性ローラの製造方法であって、基材ゴムに天然ゴムラテックスを配合して、当該天然ゴムラテックス中の水分が蒸発するまで混練したのち架橋成分を配合してゴム組成物を調製する工程、ならびに調製したゴム組成物を筒状に成形したのち基材ゴムを架橋させる工程を含むことを特徴とするものである。
天然ゴムは、基本的に、イオン導電性ゴムや、あるいは天然ゴム以外の他のジエン系ゴム等と比べて柔軟で、しかも圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくいという優れた特性を有している。そのため天然ゴムを、固形の基材ゴムとして、ゴム組成物に配合することも考えられる。
【0014】
しかし、発明者の検討によると、天然ゴムは、固形の基材ゴムとして配合するよりも、天然ゴムラテックスの状態で配合した方が、当該天然ゴムラテックス中に微細粒子状に分散した天然ゴムを、ゴム組成物中に、より一層、均一かつ微細に分散させることができる。そして、上述した天然ゴムの優れた特性を、ゴム組成物からなるローラ本体の全体に、できるだけ均一かつ良好に付与することができる。
【0015】
そのため、ローラ本体の柔軟性を高めて、半導電性ローラを、たとえば、現像ローラ等として使用した際に、トナーの劣化を生じにくく画像耐久性に優れたものとすることができる。またローラ本体を、圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくいものとすることもできる。
しかも、天然ゴムは、架橋成分による基材ゴムの架橋時に、当該基材ゴムとともに架橋反応されて架橋物中に取り込まれるため、当該架橋物からなるローラ本体は、ブリードによる感光体の汚染を生じることもない。
【0016】
したがって、本発明によれば、たとえば、現像ローラ等として使用した際に、柔軟でトナーの劣化を生じにくく画像耐久性に優れる上、感光体の汚染を生じにくく、しかも、圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくいローラ本体を備えた半導電性ローラを提供することができる。
《ゴム組成物》
ローラ本体のもとになるゴム組成物を構成する基材ゴムとしては、上記のように、イオン導電性ゴムとジエン系ゴムとを、少なくとも併用する。
【0017】
〈イオン導電性ゴム〉
イオン導電性ゴムとしては、たとえば、エピクロルヒドリンゴム、ポリエーテルゴム等が挙げられる。
このうちエピクロルヒドリンゴムとしては、たとえば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等が挙げられる。
【0018】
またポリエーテルゴムとしては、たとえば、エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体等が挙げられる。
中でもエチレンオキサイドを含む共重合体、とくにECOおよび/またはGECOが好ましい。
【0019】
ECOおよび/またはGECOにおけるエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、とくに50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
エチレンオキサイドは、半導電性ローラのローラ抵抗値を下げる働きをする。しかし、エチレンオキサイド含量が上記の範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、半導電性ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
【0020】
一方、エチレンオキサイド含量が上記の範囲を超える場合には、エチレンオキサイドの結晶化が起こり、分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、却って、半導電性ローラのローラ抵抗値が上昇する傾向がある。また、架橋後のローラ本体が硬くなりすぎて、たとえば、現像ローラ等としての使用に適した適度の柔軟性が得られなかったり、架橋前のゴム組成物の、加熱溶融時の粘度が上昇して、当該ゴム組成物の成形性が低下したりするおそれもある。
【0021】
ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量の残量である。すなわちエピクロルヒドリン含量は、20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、とくに50モル%以下であるのが好ましい。
GECOにおけるアリルグリシジルエーテル含量は、0.5モル%以上、とくに2モル%以上であるのが好ましく、10モル%以下、とくに5モル%以下であるのが好ましい。
【0022】
アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、半導電性ローラのローラ抵抗値を低下させる働きをする。しかし、アリルグリシジルエーテル含量が上記の範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、半導電性ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。
【0023】
一方、アリルグリシジルエーテルは、GECOの架橋時に架橋点として機能する。そのため、アリルグリシジルエーテル含量が上記の範囲を超える場合には、GECOの架橋密度が高くなりすぎることによって分子鎖のセグメント運動が妨げられて、却って、半導電性ローラのローラ抵抗値が上昇する傾向がある。
GECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量、およびアリルグリシジルエーテル含量の残量である。すなわちエピクロルヒドリン含量は、10モル%以上、とくに19.5モル%以上であるのが好ましく、69.5モル%以下、とくに60モル%以下であるのが好ましい。
【0024】
なおGECOとしては、先に説明した3種の単量体を共重合させた、狭義の共重合体だけでなく、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られている。本発明では、このいずれのGECOも使用可能である。
エピクロルヒドリンゴムとしては、とくにGECOが好ましい。GECOは、アリルグリシジルエーテルに起因して、主鎖中に、架橋点として機能する二重結合を有するため、主鎖間での架橋によって、架橋後の圧縮永久ひずみを小さくすることができる。そのため半導電性ローラのローラ本体を、さらに圧縮永久ひずみが小さく、ヘタリを生じにくいものとすることができる。
【0025】
これらイオン導電性ゴムの1種または2種以上を使用することができる。
(配合割合)
エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、基材ゴムの総量100質量部中の30質量部以上、とくに35質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、とくに45質量部以下であるのが好ましい。
【0026】
エピクロルヒドリンゴムの配合割合がこの範囲未満では、半導電性ローラに良好な半導電性を付与できないおそれがある。
一方、エピクロルヒドリンゴムの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にジエン系ゴムが少なくなって、ローラ本体に、前述したゴムとしての良好な特性を付与できないおそれがある。また、酸化膜のもとになるジエン系ゴムが少なくなって、ローラ本体の外周面に、低摩擦層等として十分に機能しうる酸化膜を形成できないおそれもある。
【0027】
これに対し、エピクロルヒドリンゴムの配合割合を上記の範囲とすることにより、半導電性ローラの良好な半導電性を維持しながら、ローラ本体に、ゴムとしての良好な特性を付与することができる。また、ローラ本体の外周面に、低摩擦層等として十分に機能しうる酸化膜を形成することもできる。
〈ジエン系ゴム〉
ジエン系ゴムとしては、たとえば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、あるいは天然ゴムラテックスから得られる固形の天然ゴム等の1種または2種以上が挙げられる。
【0028】
中でも、BR、CR、およびNBRの3種を併用するのが好ましい。ただし、各ゴムは、それぞれ2種以上を併用してもよい。
(BR)
BRは、とくにローラ本体に、ゴムとしての良好な特性、すなわち柔軟で画像耐久性に優れ、しかも圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくい特性を付与するために機能する。
【0029】
またBRは、とくにプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上するためにも機能する。
さらにBRは、酸化性雰囲気中での紫外線照射によって酸化されて、ローラ本体の外周面に酸化膜を形成する材料としても機能する。
BRとしては、分子中にポリブタジエン構造を備え、架橋性を有する種々のBRが、いずれも使用可能である。
【0030】
とくに高温から低温まで広い温度範囲でゴムとしての良好な特性を発現しうる、シス−1,4結合の含量が95%以上の高シスBRが好ましい。
また、BRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない、非油展タイプのBRを用いるのが好ましい。
【0031】
これらBRの1種または2種以上を使用することができる。
(CR)
CRは、とくにローラ本体の柔軟性を向上して、当該ローラ本体の画像耐久性を高めるために機能する。
またCRは、とくにプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上したり、それ自体が極性ゴムであるため、半導電性ローラのローラ抵抗値を微調整したりするためにも機能する。
【0032】
さらにCRは、やはり酸化性雰囲気中での紫外線照射によって酸化されて、ローラ本体の外周面に酸化膜を形成する材料としても機能する。
CRは、たとえば、クロロプレンを乳化重合させて合成されるもので、その際に用いる分子量調整剤の種類によって、硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプに分類される。
このうち硫黄変性タイプのCRは、クロロプレンと、分子量調整剤としての硫黄とを共重合させたポリマを、チウラムジスルフィド等で可塑化して所定の粘度に調整することで合成される。
【0033】
一方、非硫黄変性タイプのCRは、たとえば、メルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプ等に分類される。
このうちメルカプタン変性タイプのCRは、たとえば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調整剤として使用すること以外は、硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。
【0034】
また、キサントゲン変性タイプのCRは、アルキルキサントゲン化合物を分子量調整剤として使用すること以外は、やはり硫黄変性タイプのCRと同様にして合成される。
さらにCRは、その結晶化速度に基づいて、当該結晶化速度が遅いタイプ、中庸であるタイプ、および速いタイプに分類される。
本発明においては、いずれのタイプのCRを用いてもよいが、中でも、非硫黄変性タイプで、かつ結晶化速度が遅いタイプのCRが好ましい。
【0035】
またCRとしては、クロロプレンと他の共重合成分との共重合ゴムを用いてもよい。かかる他の共重合成分としては、たとえば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
【0036】
さらにCRとしては、やはり伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない、非油展タイプのCRを用いるのが好ましい。
これらCRの1種または2種以上を使用することができる。
(NBR)
NBRは、その溶解パラメータ(SP値)が、エピクロルヒドリンゴム、BR、CR、および天然ゴムのいずれとも近いため、これらゴムの、いわば相溶化剤として機能して、各ゴム間の微分散化を補助し、ゴム組成物の一体性を向上する。そして、ゴム組成物の加熱時の流動性を高めて、軟化剤を含まない配合でも良好な成形性を確保したり、成形後のローラ本体の柔軟性をさらに向上して、当該ローラ本体の画像耐久性を高めたりするために機能する。
【0037】
またNBRは、とくにプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上したり、それ自体が極性ゴムであるため、半導電性ローラのローラ抵抗値を微調整したりするためにも機能する。
さらにNBRは、やはり酸化性雰囲気中での紫外線照射によって酸化されて、ローラ本体の外周面に酸化膜を形成する材料としても機能する。
NBRとしては、結合アクリロニトリル量が24%以下である低ニトリルNBR、25〜30%である中ニトリルNBR、31〜35%である中高ニトリルNBR、36〜42%である高ニトリルNBR、43%以上である極高ニトリルNBRのいずれを用いてもよい。
【0038】
またNBRとしては、ゴム組成物の加熱時の流動性を向上して、軟化剤を含まない配合でもさらに良好な成形性を得るべく、ムーニー粘度の小さいものを選択して用いるのが好ましい。具体的には、NBRのムーニー粘度は35ML(1+4)100℃以下であるのが好ましい。
ただし、ムーニー粘度の下限はとくに限定されず、入手可能な最小のムーニー粘度のNBRまで、種々の固形のNBRが、いずれも使用可能である。あるいは、固形のNBRに代えて、常温で液状を呈する液状NBRを用いることもできる。
【0039】
さらにNBRとしては、やはり伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない、非油展タイプのNBRを用いるのが好ましい。
これらNBRの1種または2種以上を使用することができる。
【0040】
(配合割合)
ジエン系ゴムが、前述したようにBR、CR、およびNBRの3種であるとき、CRの配合割合は、基材ゴムの総量100質量部中の、1質量部以上、とくに5質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下、とくに15質量部以下であるのが好ましい。
CRの配合割合がこの範囲未満では、当該CRによる、ローラ本体の柔軟性を向上して、当該ローラ本体の画像耐久性を高める効果が十分に得られないおそれがある。また、とくにプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上したり、半導電性ローラのローラ抵抗値を微調整したりする効果が十分に得られないおそれもある。
【0041】
一方、CRの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にエピクロルヒドリンゴムが少なくなって、半導電性ローラに、良好な半導電性を付与できないおそれがある。またBR、NBRが少なくなって、ゴム組成物の流動性や成形性が低下したり、ローラ本体の柔軟性が却って低下したりするおそれがある。
これに対し、CRの配合割合を上記の範囲とすることにより、他の3種のゴムを併用することによる効果を維持しながら柔軟性を向上して、半導電性ローラを、たとえば、現像ローラ等として使用した際のローラ本体の画像耐久性を、さらに向上することができる。
【0042】
NBRの配合割合は、基材ゴムの総量100質量部中の、1質量部以上、とくに5質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下、とくに15質量部以下であるのが好ましい。
NBRの配合割合がこの範囲未満では、当該NBRによる、ゴム組成物の一体性を向上して、当該ゴム組成物の流動性や成形性を高めたり、ローラ本体の柔軟性を向上して、当該ローラ本体の画像耐久性を高めたりする効果が十分に得られないおそれがある。また、とくにプラス帯電性のトナーの帯電特性を向上したり、半導電性ローラのローラ抵抗値を微調整したりする効果が十分に得られないおそれもある。
【0043】
一方、NBRの配合割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にエピクロルヒドリンゴムが少なくなって、半導電性ローラに、良好な半導電性を付与できないおそれがある。またBR、CRが少なくなって、ゴム組成物の流動性や成形性が低下したり、ローラ本体の柔軟性が却って低下したりするおそれがある。
これに対し、NBRの配合割合を上記の範囲とすることにより、他の3種のゴムを併用することによる効果を維持しながらゴム組成物の一体性を向上して、当該ゴム組成物の流動性や成形性を高めることができる。また、ローラ本体の柔軟性を向上して、半導電性ローラを、たとえば、現像ローラ等として使用した際のローラ本体の画像耐久性を、さらに向上することもできる。
【0044】
BRの配合割合は、上記各基材ゴムの残量である。すなわち、エピクロルヒドリンゴム、CR、およびNBRの配合割合を所定の範囲に設定し、さらにBRを加えた基材ゴムの総量が100質量部となるように、当該BRの配合割合を設定すればよい。
〈天然ゴムラテックス〉
天然ゴムラテックスとしては、各種のゴムの樹から採取された樹液を原料として、たとえば、濃縮、脱蛋白処理、前加硫処理等の各種の処理を任意に施した種々の天然ゴムラテックスが、いずれも使用可能である。
【0045】
天然ゴムラテックスとしては、保存剤としてアンモニアを使用した低アンモニアラテックス(アンモニア分:0.25%程度)、高アンモニアラテックス(アンモニア分:0.7%程度)等が一般的である。
しかし、アンモニアが基材ゴムや天然ゴムの架橋反応を抑制する結果、ローラ本体の圧縮永久ひずみが大きくなる傾向がある。また本発明では、ゴム組成物を調製する際に、天然ゴムラテックスが、基材ゴムその他の成分と高温下で混練されるため、当該混練時に発生するアンモニアガスの量を少なくすることが、刺激臭を抑制したり、環境の負荷を軽減したりする上で望ましい。
【0046】
そのため天然ゴムラテックスとしては、上述した一般的な天然ゴムラテックスも使用可能であるが、とくに、アンモニアに代えて他の保存剤を使用して、低アンモニアラテックスよりもさらにアンモニア分を少なくした超低アンモニアラテックス(アンモニア分:0.25%未満)を、選択して使用するのが好ましい。
かかる超低アンモニアラテックスの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、(株)レヂテックス社製のULACOL〔登録商標、固形分(不揮発分)量:61%、アンモニア分:約0.1%〕等が挙げられる。
【0047】
また、とくにローラ本体の圧縮永久ひずみをできるだけ小さくすることを考慮すると、天然ゴムラテックスとしては、たとえば、上述した超低アンモニアラテックスを任意の加硫剤であらかじめ前加硫させた、前加硫ラテックスを用いるのが好ましい。
かかる前加硫ラテックスの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、(株)レヂテックス社製のPC−ULA〔固形分量:59%、アンモニア分:約0.2%〕等が挙げられる。
【0048】
(配合割合)
天然ゴムラテックスの配合割合は、当該天然ゴムラテックス中に含まれる固形分量に換算して、基材ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上、中でも1.7質量部以上、とくに3質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、中でも43質量部以下、とくに37質量部以下であるのが好ましい。
【0049】
天然ゴムラテックスの配合割合がこの範囲未満では、たとえば、半導電性ローラを現像ローラ等として使用した際にローラ本体の柔軟性が不足し、トナーの劣化を生じやすくなって、当該ローラ本体の画像耐久性が低下するおそれがある。
一方、天然ゴムラテックスの配合割合が上記の範囲を超える場合には、ローラ本体が柔らかくなりすぎ、圧縮永久ひずみが大きくなって、ヘタリを生じやすくなるおそれがある。
【0050】
これに対し、天然ゴムラテックスの配合割合を上記の範囲とすることにより、より一層、柔軟でトナーの劣化を生じにくく画像耐久性に優れる上、圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくいローラ本体を形成することが可能となる。
〈架橋成分〉
基材ゴムのうちイオン導電性ゴムがエピクロルヒドリンゴムである場合、当該エピクロルヒドリンゴム、およびジエン系ゴムを架橋させるための架橋成分としては、チオウレア系架橋剤、硫黄系架橋剤、および両架橋剤用の架橋促進剤を併用するのが好ましい。
【0051】
(チオウレア系架橋剤)
チオウレア系架橋剤としては、分子中にチオウレア構造を有し、主にエピクロルヒドリンゴムの架橋剤として機能しうる種々のチオウレア化合物が使用可能である。チオウレア系架橋剤としては、たとえば、エチレンチオウレア、N,N′−ジフェニルチオウレア、トリメチルチオウレア、式(1):
(C
nH
2n+1NH)
2C=S (1)
〔式中、nは1〜12の整数を示す。〕で表されるチオウレア、テトラメチルチオウレア等の1種または2種以上が挙げられる。とくにエチレンチオウレアが好ましい。
【0052】
チオウレア系架橋剤の配合割合は、前述したゴムとしての良好な特性をローラ本体に付与すること等を考慮すると、基材ゴムの総量100質量部あたり0.3質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
(架橋促進剤)
チオウレア系架橋剤には、当該チオウレア系架橋剤によるエピクロルヒドリンゴムの架橋反応を促進する機能を有する種々の架橋促進剤を併用してもよい。架橋促進剤としては、たとえば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド等のグアニジン系促進剤などの1種または2種以上が挙げられる。とくに1,3−ジ−o−トリルグアニジンが好ましい。
【0053】
架橋促進剤の配合割合は、架橋反応を促進する効果を十分に発現させることを考慮すると、基材ゴムの総量100質量部あたり0.3質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
(硫黄系架橋剤)
主にジエン系ゴムや、エピクロルヒドリンゴムのうちGECOを架橋させるための硫黄系架橋剤としては、たとえば、硫黄や、あるいはテトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物などが挙げられる。とくに粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄が好ましい。
【0054】
硫黄の配合割合は、ローラ本体に、前述したゴムとしての良好な特性を付与すること等を考慮すると、基材ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
なお、たとえば、硫黄として、オイル処理粉末硫黄、分散性硫黄等を使用する場合、上記の配合割合は、それぞれの中に含まれる有効成分としての硫黄分の割合とする。また、架橋剤として有機含硫黄化合物を使用する場合、その配合割合は、分子中に含まれる硫黄の、基材ゴムの総量100質量部あたりの割合が上記の範囲となるように調整するのが好ましい。
【0055】
(架橋促進剤)
硫黄系架橋剤には、当該硫黄系架橋剤によるジエン系ゴム等の架橋反応を促進する機能を有する種々の架橋促進剤を併用してもよい。架橋促進剤としては、たとえば、チアゾール系促進剤、チウラム系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。中でも、チアゾール系促進剤とチウラム系促進剤を併用するのが好ましい。
【0056】
チアゾール系促進剤としては、たとえば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の1種または2種以上が挙げられる。とくにジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
【0057】
チウラム系促進剤としては、たとえば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の1種または2種以上が挙げられる。とくにテトラメチルチウラムモノスルフィドが好ましい。
【0058】
上記2種の架橋促進剤の併用系において、架橋反応を促進する効果を十分に発現させることを考慮すると、チアゾール系促進剤の配合割合は、基材ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上、2質量部以下であるのが好ましい。また、チウラム系促進剤の配合割合は、基材ゴムの総量100質量部あたり0.3質量部以上、0.9質量部以下であるのが好ましい。
【0059】
〈導電剤〉
ゴム組成物には、さらに、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンと、陽イオンとの塩(イオン塩)を、導電剤として配合してもよい。
導電剤としてイオン塩を配合することで、ゴム組成物のイオン導電性をさらに向上して、半導電性ローラのローラ抵抗値をさらに低下させることができる。
【0060】
イオン塩を構成する、分子中にフルオロ基およびスルホニル基を有する陰イオンとしては、たとえば、フルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちフルオロアルキルスルホン酸イオンとしては、たとえば、CF
3SO
3−、C
4F
9SO
3−等の1種または2種以上が挙げられる。
【0061】
またビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオンとしては、たとえば、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(C
4F
9SO
2)(CF
3SO
2)N
−、(FSO
2C
6F
4)(CF
3SO
2)N
−、(C
8F
17SO
2)(CF
3SO
2)N
−、(CF
3CH
2OSO
2)
2N
−、(CF
3CF
2CH
2OSO
2)
2N
−、(HCF
2CF
2CH
2OSO
2)
2N
−、[(CF
3)
2CHOSO
2]
2N
−等の1種または2種以上が挙げられる。
【0062】
さらに、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオンとしては、たとえば、(CF
3SO
2)
3C
−、(CF
3CH
2OSO
2)
3C
−等の1種または2種以上が挙げられる。
また、上記陰イオンとともにイオン塩を構成する陽イオンとしては、たとえば、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族元素のイオン、遷移元素のイオン、両性元素の陽イオン、第4級アンモニウムイオン、イミダゾリウム陽イオン等の1種または2種以上が挙げられる。
【0063】
イオン塩としては、とくに陽イオンとしてリチウムイオンを用いたリチウム塩、および陽イオンとしてカリウムイオンを用いたカリウム塩が好ましい。
中でも、ゴム組成物のイオン導電性を向上して、半導電性ローラのローラ抵抗値を低下させる効果の点で、(CF
3SO
2)
2NLi〔リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〕、および/または(CF
3SO
2)
2NK〔カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〕が好ましい。
【0064】
イオン塩の配合割合は、基材ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上、特に0.8質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
イオン塩の配合割合がこの範囲未満では、当該イオン塩を配合することによる、半導電性ローラのローラ抵抗値を低下させる効果が十分に得られないおそれがある。
【0065】
一方、イオン塩の配合割合が上記の範囲を超えても、それ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のイオン塩がローラ本体の外周面にブルームして、感光体を汚染したり、紫外線等の照射による酸化膜の形成を妨げたりするおそれがある。
〈その他〉
ゴム組成物には、ローラ本体の画像耐久性、圧縮永久ひずみ等の特性や、半導電性ローラのローラ抵抗値等のバランスに注意しながら、さらに必要に応じて、各種の添加剤を配合してもよい。
【0066】
添加剤としては、たとえば、架橋助剤、受酸剤、充填剤、可塑剤、加工助剤等が挙げられる。
このうち架橋助剤としては、たとえば、酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。架橋助剤の配合割合は、個別に、基材ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
【0067】
受酸剤は、架橋時にエピクロルヒドリンゴムやCRから発生する塩素系ガスの、ローラ本体内への残留と、それによる架橋阻害や感光体の汚染等を防止するために機能する。
受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、中でも分散性に優れたハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、とくにハイドロタルサイト類が好ましい。また、ハイドロタルサイト類等を酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用すると、より高い受酸効果を得ることができ、感光体の汚染をさらに良好に防止できる。
【0068】
受酸剤の配合割合は、基材ゴムの総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
充填剤としては、たとえば、酸化亜鉛、シリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。充填剤を配合することにより、半導電性ローラの機械的強度等を向上できる。
【0069】
また、充填剤として導電性カーボンブラックを用いると、ローラ本体に電子導電性を付与することもできる。導電性カーボンブラックとしては、たとえば、アセチレンブラックが挙げられる。導電性カーボンブラックの配合割合は、基材ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、12質量部以下であるのが好ましい。
可塑剤としては、たとえば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられる。また、加工助剤としては、たとえば、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。可塑剤および/または加工助剤の配合割合は、基材ゴムの総量100質量部あたり3質量部以下であるのが好ましい。
【0070】
また添加剤としては、さらに、劣化防止剤、スコーチ防止剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等の各種添加剤を、任意の割合で配合してもよい。
《半導電性ローラ》
図1は、本発明の半導電性ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例の半導電性ローラ1は、上記各成分を含むゴム組成物によって、非多孔質でかつ単層構造の筒状に形成されたローラ本体2を備えるとともに、当該ローラ本体2の中心の通孔3に、シャフト4が挿通されて固定されたものである。
【0071】
シャフト4は、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。シャフト4は、たとえば、導電性を有する接着剤を介して、ローラ本体2と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、あるいは、通孔3の内径よりも外径の大きいものを通孔3に圧入することで、ローラ本体2と電気的に接合されるとともに機械的に固定される。あるいは、この両方を併用して、シャフト4をローラ本体2に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
【0072】
ローラ本体2の外周面5には、図中に拡大して示すように、酸化膜6を形成してもよい。
酸化膜6を形成すると、当該酸化膜6が誘電層として機能して、半導電性ローラ1の誘電正接を低減できる。また酸化膜6が低摩擦層となることで、たとえば、現像ローラ等として使用した際に、トナーの付着を抑制できる。
【0073】
しかも酸化膜6は、たとえば、酸化性雰囲気中で紫外線を照射等するだけで簡単に形成できるため、半導電性ローラ1の生産性が低下したり製造コストが高くついたりするのを抑制できる。ただし、酸化膜6は形成しなくてもよい。
なお、ローラ本体2の「単層構造」とは、ゴム等からなる層の数が単層であることを指し、紫外線の照射等によって形成される酸化膜6は、層数に含まないこととする。
【0074】
半導電性ローラ1を
、本発明の製造方法によって製造するには、まず、前述した各成分を所定の割合で配合し、次いで、天然ゴムラテックス中の水分が蒸発するまで混練してゴム組成物を調製する。
次に、調製したゴム組成物を、押出機を用いて筒状に押出成形し、所定の長さにカットして、加硫缶内で加圧、加熱して基材ゴムを架橋させる。
次いで、架橋させた筒状体を、オーブン等を用いて加熱して二次架橋させ、冷却したのち、所定の外径となるように外周面5を研磨してローラ本体2を形成する。研磨方法としては、たとえば、乾式トラバース研磨等の種々の研磨方法が採用可能である。また、研磨工程の最後に鏡面研磨、あるいは湿式研磨をして仕上げてもよい。その場合には、外周面5の離型性を向上して、当該外周面5をより一層低摩擦化できる。また感光体等の汚染を有効に防止できる。
【0075】
シャフト4は、筒状体のカット後から研磨後までの任意の時点で、通孔3に挿通して固定できる。ただし、カット後、まず通孔3にシャフト4を挿通した状態で二次架橋、および研磨をするのが好ましい。これにより、二次架橋時の膨張収縮によるローラ本体2の反りや変形を抑制できる。また、シャフト4を中心として回転させながら研磨することで、当該研磨の作業性を向上し、なおかつ外周面5のフレを抑制できる。
【0076】
シャフト4は、先に説明したように、通孔3の内径よりも外径の大きいものを、通孔3に圧入するか、あるいは、導電性を有する熱硬化性接着剤を介して、二次架橋前の筒状体の通孔3に挿通すればよい。前者の場合は、シャフト4の圧入と同時に、ローラ本体2との電気的な接合と機械的な固定が完了する。また後者の場合は、オーブン中での加熱によって筒状体が二次架橋されるのと同時に熱硬化性接着剤が硬化して、当該シャフト4がローラ本体2に電気的に接合されるとともに、機械的に固定される。また、前述したようにこの両方を併用して、シャフト4をローラ本体2に電気的に接合し、機械的に固定してもよい。
【0077】
酸化膜6は、先に説明したように、ローラ本体2の外周面5に紫外線を照射して形成するのが好ましい。すなわち、ローラ本体2の外周面5に、酸化性雰囲気中で、所定波長の紫外線を所定時間照射して、当該外周面5の近傍を構成するゴム組成物中のジエン系ゴムを酸化させるだけで、酸化膜6を形成できる。そのため、簡単で効率的であり、半導電性ローラ1の生産性が低下したり製造コストが高くついたりするのを抑制することができる。
【0078】
しかも、紫外線の照射によって形成される酸化膜6は、たとえば、塗剤を塗布して形成されるコーティング膜のような問題を生じることがない上、厚みの均一性やローラ本体2との密着性等にも優れている。
照射する紫外線の波長は、ゴム組成物中のジエン系ゴムを効率よく酸化させて、前述した機能に優れた酸化膜6を形成することを考慮すると、100nm以上であるのが好ましく、400nm以下、とくに300nm以下であるのが好ましい。また照射の時間は30秒間以上、とくに1分間以上であるのが好ましく、30分間以下、とくに20分間以下であるのが好ましい。ただし、酸化膜6は他の方法で形成してもよい。
【0079】
なお、
図1の実施形態においては、ローラ本体2を、前述した各成分を含む特定のゴム組成物の架橋物からなる単層構造としていたが、ローラ本体を、2層以上の積層構造としてもよい。その場合には、積層構造を構成するいずれか少なくとも1層を、前述した各成分を含む特定のゴム組成物の架橋物によって形成すればよい。
本発明の半導電性ローラ1は、たとえば、レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置において、現像ローラとして好適に使用できるほか、たとえば、帯電ローラ、転写ローラ、クリーニングローラ等として用いることもできる。
【実施例】
【0080】
以下に、本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、必ずしもこれらに限定されるものではない。
〈実施例1〉
(ゴム組成物)
基材ゴムとしては、GECO〔(株)大阪ソーダ製のEPION(登録商標)−301(低粘度タイプ)〕40質量部、CR〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕10質量部、NBR〔日本ゼオン(株)製のNIPOL(登録商標)DN401LL、低ニトリルNBR、結合アクリロニトリル量(中心値):18.0%、ムーニー粘度(中心値):32ML(1+4)100℃〕10質量部、およびBR〔宇部興産(株)製のUBEPOL(登録商標)BR130B〕40質量部を配合した。上記基材ゴムの合計100質量部を、バンバリミキサを用いて素練りしながら、まず、下記の各成分を配合して、天然ゴムラテックス中の水分が蒸発するまで混練した。
【0081】
【表1】
【0082】
表1中の各成分は下記の通り。また、表1中の質量部は、ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
天然ゴムラテックス:超低アンモニアラテックス〔前出の(株)レヂテックス社製のULACOL(登録商標)、固形分量:61%、アンモニア分:約0.1%〕
カリウム塩:カリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔三菱マテリアル電子化成(株)製のEF−N112〕
受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT−4A(登録商標)−2〕
架橋助剤:酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕
カーボンブラック:アセチレンブラック〔デンカ(株)製のデンカブラック(登録商標)粒状〕
加工助剤:ステアリン酸亜鉛〔堺化学工業(株)製のSZ−2000〕
天然ゴムラテックスの配合割合は、固形分量に換算して、基材ゴムの総量100質量部あたり1.83質量部であった。
【0083】
次いで、混練を続けながら、下記の架橋成分を配合したのち、さらに混練してゴム組成物を調製した。
【0084】
【表2】
【0085】
表2中の各成分は下記の通り。また、表2中の質量部は、ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
チオウレア系架橋剤:エチレンチオウレア〔2−メルカプトイミダゾリン、川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22−S〕
促進剤DT:1,3−ジ−o−トリルグアニジン〔グアニジン系促進剤、三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)DT〕
硫黄系架橋剤:分散性硫黄〔鶴見化学工業(株)製のSULFAX(登録商標)PMC、硫黄分:97.5%〕
促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド〔Shandong Shanxian Chemical Co. Ltd.製の商品名SUNSINE MBTS〕
促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド〔チウラム系促進剤、三新化学工業(株)製のサンセラーTS〕
(半導電性ローラの作製)
調製したゴム組成物を押出成形機に供給して、外径φ20mm、内径φ7mmの筒状に押出成形した後、所定の長さにカットし、架橋用の仮のシャフトに装着して、加硫缶内で160℃×1時間架橋させた。
【0086】
次に、架橋させた筒状体を、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ7.5mmの金属製のシャフトに装着し直して、オーブン中で160℃に加熱して二次架橋させるとともに熱硬化性接着剤を硬化させて、シャフトと電気的に接合し、機械的に固定した。
次いで、筒状体の両端を整形したのち、外周面を、円筒研磨機を用いてトラバース研磨したのち、さらに#2000のフィルム(三共理化学(株)製)を用いて鏡面研磨して、外径φ20.00mm(公差0.05)に仕上げた。
【0087】
そして、研磨後の外周面をアルコール拭きしたのち、UV光源から外周面までの距離を50mmとしてUV処理装置にセットし、30rpmで回転させながら紫外線を5分間照射することで、上記外周面に酸化膜を形成して、ローラ本体を形成し、半導電性ローラを製造した。
〈実施例2〜8〉
基材ゴムの総量100質量部あたりの天然ゴムラテックスの配合割合を、5質量部(固形分量換算で3.05質量部、以下同様)、10質量部(6.1質量部)、20質量部(12.2質量部)、30質量部(18.3質量部)、50質量部(30.5質量部)、60質量部(36.6質量部)、および70質量部(42.7質量部)としたこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、半導電性ローラを製造した。
【0088】
〈比較例1〉
天然ゴムラテックスを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、半導電性ローラを製造した。
〈実施例9〉
天然ゴムラテックスとして、超低アンモニアラテックスを前加硫させた前加硫ラテックス〔前出の(株)レヂテックス社製のPC−ULA、固形分量:59%、アンモニア分:約0.2%〕を、基材ゴムの総量100質量部あたり30質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、半導電性ローラを製造した。
【0089】
天然ゴムラテックスの配合割合は、固形分量に換算して、基材ゴムの総量100質量部あたり17.7質量部であった。
〈実施例10〉
天然ゴムラテックスとして、高アンモニアラテックス〔固形分量:61%、アンモニア分:約0.7%〕を、基材ゴムの総量100質量部あたり30質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を調製し、半導電性ローラを製造した。
【0090】
天然ゴムラテックスの配合割合は、固形分量に換算して、基材ゴムの総量100質量部あたり18.3質量部であった。
〈タイプAデュロメータ硬さ測定〉
各実施例、比較例で製造した半導電性ローラのローラ本体のタイプAデュロメータ硬さを、温度23±2℃、相対湿度55±2%の標準試験環境下、下記の測定方法に則って測定した。
【0091】
すなわち、ローラ本体の両端から突出したシャフトの両端部を支持台に固定した状態で、当該ローラ本体の幅方向の中央部に、上方から日本工業規格JIS K6253−3:2012の規定に準拠したタイプAデュロメータの押し針を当てて、加圧面に加える質量:1kg、測定時間:3秒(加硫ゴムの標準測定時間)の条件で、タイプAデュロメータ硬さを求めた。
【0092】
〈画像耐久性試験〉
各実施例、比較例で製造した半導電性ローラを、市販のレーザープリンタ用の、新品のカートリッジ(トナーを収容したトナー容器、感光体、および感光体と接触させた現像ローラが一体になったもの)の既設の現像ローラと交換した。なお、該当するレーザープリンタは、正帯電の非磁性1成分トナーを使用するもので、トナー推奨印字枚数は約20000枚である。
【0093】
上記カートリッジを、新品の状態で、初期状態のレーザープリンタに装着し、温度30±1℃、相対湿度80±1%の高温高湿環境下、5%濃度の画像を連続的に画像形成して、かぶりの有無による画像耐久性の良否を下記の基準で評価した。
◎:カブリは全く見られなかった。画像耐久性は極めて良好。
○:目視では観察できない程度のわずかなカブリがあったものの画像耐久性は良好。
【0094】
△:紙面端部にごくわずかなカブリがあったものの画像耐久性は実用レベル。
×:紙面端部にカブリがあり画像耐久性は不良。
〈圧縮永久ひずみ試験〉
各実施例、比較例で調製したゴム組成物を、半導電性ローラを製造した時と同条件で架橋させて、日本工業規格JIS K6262:2013「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−常温,高温及び低温における圧縮永久ひずみの求め方」に規定された小型試験片を作製し、この小型試験片を用いて、上記規格に所載の測定方法に則って圧縮永久ひずみ率を求めた。
【0095】
具体的には、小型試験片に、その元の厚みh
0(mm)の25%の圧縮ひずみを加えて温度70±1℃で22時間保持したのち、圧縮を解除して室温で30分間静置後の厚みh
1(mm)を測定した。そして、式(1):
【0096】
【数1】
【0097】
によって圧縮永久ひずみ率Cs(%)を求めた。なお、式中のh
2(mm)は、圧縮ひずみを加える際に併用したスペーサの厚みを示す。
以上の結果を、表3〜表4に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
表の実施例1〜10、比較例1の結果より、ゴム組成物に天然ゴムラテックスを配合することにより、柔軟でトナーの劣化を生じにくく画像耐久性に優れる上、圧縮永久ひずみが小さくヘタリを生じにくいローラ本体を備えた半導電性ローラを形成できることが判った。
また、実施例1〜8の結果より、上記の効果をより一層向上することを考慮すると、天然ゴムラテックスの配合割合は、固形分量に換算して、基材ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上、中でも1.7質量部以上、とくに3質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、中でも43質量部以下、とくに37質量部以下であるのが好ましいことが判った。
【0101】
さらに、実施例5、9、10の結果より、ローラ本体の圧縮永久ひずみをできるだけ小さくすることを考慮すると、天然ゴムラテックスとしては、アンモニア分を少なくした超低アンモニアラテックス、とくに、前加硫ラテックスを用いるのが好ましいことが判った。