特許第6963742号(P6963742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6963742加飾シート並びに該加飾シートを使用した加飾成形品及び背面投射型表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963742
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】加飾シート並びに該加飾シートを使用した加飾成形品及び背面投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/62 20140101AFI20211028BHJP
   G09F 19/18 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   G03B21/62
   G09F19/18 F
【請求項の数】23
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-72175(P2017-72175)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-173561(P2018-173561A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2020年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】梅 谷 雅 規
(72)【発明者】
【氏名】峪 中 一 行
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−037818(JP,A)
【文献】 特開2009−222981(JP,A)
【文献】 特開2010−282010(JP,A)
【文献】 特開2014−071388(JP,A)
【文献】 特開2006−133636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00−21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面とを有する加飾シートであって、
前記加飾シートは、前記第1主面側の外部から視認可能な装飾層と、前記装飾層を通過して前記加飾シートの厚さ方向に延在する複数の光透過部とを備えており、
前記複数の光透過部は、平面視において、ランダムなパターンで配置されており、
前記ランダムなパターンは、前記第1主面のうち前記複数の光透過部が配置される領域を、規則的に配置された正六角形の単位領域に分割し、前記複数の光透過部を、前記単位領域の頂点と重なる初期位置のみに配置した後、前記複数の光透過部の少なくとも一部を前記初期位置から所定位置まで移動させることにより形成されるパターンであり、
前記所定位置は、前記単位領域の頂点からの距離が、前記単位領域の頂点から延出する辺の長さ未満である点と重なる位置であり、
前記第2主面に映像光が投射されると、前記第2主面に投射された前記映像光は、前記複数の光透過部を透過して前記第1主面から出射される、前記加飾シート。
【請求項2】
前記初期位置と前記所定位置との距離が、前記辺の長さの10%以上50%以下である、請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記所定位置まで移動させられる前記複数の光透過部の少なくとも一部が、前記複数の光透過部の50%以上である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記単位領域の一辺の長さが、20μm以上1000μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項5】
前記加飾シートが、前記装飾層の前記第2主面側に設けられた光反射層をさらに備えており、
平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記装飾層の少なくとも一部と重なっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項6】
平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記装飾層の全体と重なっている、請求項5に記載の加飾シート。
【請求項7】
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光反射層の全体と重なっている、請求項5に記載の加飾シート。
【請求項8】
前記加飾シートが、前記装飾層と前記光反射層との間に設けられた着色隠蔽層をさらに備え、
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記着色隠蔽層の少なくとも一部と重なっている、請求項5〜7のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項9】
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記着色隠蔽層の全体と重なっている、請求項8に記載の加飾シート。
【請求項10】
平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記着色隠蔽層の全体と重なっている、請求項8又は9に記載の加飾シート。
【請求項11】
前記加飾シートが、前記装飾層と前記光反射層との間に設けられた光拡散層をさらに備え、
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光拡散層の少なくとも一部と重なっている、請求項5〜10のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項12】
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光拡散層の全体と重なっている、請求項11に記載の加飾シート。
【請求項13】
平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記光拡散層の全体と重なっている、請求項11又は12に記載の加飾シート。
【請求項14】
前記加飾シートが、前記装飾層の前記第2主面側に設けられた光拡散層をさらに備えており、
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光拡散層の少なくとも一部と重なっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項15】
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光拡散層の全体と重なっている、請求項14に記載の加飾シート。
【請求項16】
前記複数の光透過部のそれぞれが有する前記装飾層を通過する部分の平面視形状のサイズが、10μm以上300μm以下である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項17】
前記第1主面の面積に対する、前記複数の光透過部が有する前記装飾層を通過する部分の平面視形状の合計面積の割合が、5%以上50%以下である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の加飾シート。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の加飾シートと、前記加飾シートの前記第2主面側に設けられた被着体とを備える、加飾成形品。
【請求項19】
前記加飾シートが三次元成形されている、請求項18に記載の加飾成形品。
【請求項20】
前記加飾成形品が透過型スクリーンである、請求項18又は19に記載の加飾成形品。
【請求項21】
前記被着体が光拡散性を有する、請求項20に記載の加飾成形品。
【請求項22】
前記被着体が着色透明であり、前記被着体の全光線透過率が30〜60%である、請求項20又は21に記載の加飾成形品。
【請求項23】
請求項1822のいずれか一項に記載の加飾成形品と、前記加飾成形品に対して、背面側から映像光を投射する光源部とを備える、背面投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾シート並びに該加飾シートを使用した加飾成形品(例えば、透過型スクリーン)及び背面投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の透過型スクリーンでは、映像のコントラストを向上させるために、出光側(プロジェクタとは反対側)の表面に、外光を吸収するスモーク系の(すなわち、可視光線透過率の低い)透明着色層を設けることが一般的であった。このため、プロジェクタ消灯時の外観は、半透明の黒色調となり、外観のバリエーションに乏しかった。
【0003】
透過型スクリーンの出光側表面に装飾層を配置すれば、プロジェクタ消灯時には装飾層が視認され、プロジェクタ点灯時にはプロジェクタから投射された映像光が視認されるので、透過型スクリーンの外観にスイッチング性を持たせることができる。しかしながら、透過型スクリーンの出光側表面に装飾層を配置すると、プロジェクタから投射された映像光が装飾層を透過して出光側表面から出射されることにより、装飾層の影響(例えば、混色)を受けて映像光の品質が低下するおそれがある。
【0004】
このような問題を解決する技術として、特許文献1(特開2005−37818号公報)には、面方向において光透過性を有する部分と隠蔽性を有する部分とが混在しており、隠蔽性を有する部分に対応して画像部分を有する透過型スクリーンが記載されている。特許文献1に記載の透過型スクリーンを出光側(プロジェクタとは反対側)から観察した場合、プロジェクタ消灯時には、隠蔽性を有する部分に対応する画像部分が観察され、プロジェクタ点灯時には、プロジェクタから投射された映像光が光透過性を有する部分を通じて観察される。したがって、特許文献1に記載の透過型スクリーンによれば、プロジェクタから投射された映像光が画像部分を透過して出光側表面から出射されることが防止され、これにより、映像光の品質低下が防止される。特許文献1には、隠蔽性を有する部分の形成方法として、金属薄膜の蒸着が記載されている(特許文献1の段落0027)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−37818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の透過型スクリーンにおいて、光透過性を有する部分が、平面視において規則的に配置されていると、当該部分のピッチのズレに起因する視覚的な模様、及び/又は、当該部分の規則的なパターンと画像部分の画像パターンとの周期のズレに起因する視覚的な縞模様(モアレ)が発生し、透過型スクリーンの外観に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、光透過部のピッチのズレに起因する視覚的な模様の発生、及び/又は、光透過部の規則的なパターンと装飾層の模様パターンとの周期のズレに起因する視覚的な縞模様(モアレ)の発生を防止できる加飾シート、並びに、該加飾シートを使用した加飾成形品及び背面投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の加飾シート、加飾成形品及び背面投射型表示装置を提供する。
【0009】
[1]第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面とを有する加飾シートであって、
前記加飾シートは、前記第1主面側の外部から視認可能な装飾層と、前記装飾層を通過して前記加飾シートの厚さ方向に延在する複数の光透過部とを備えており、
前記複数の光透過部は、平面視において、ランダムなパターンで配置されており、
前記ランダムなパターンは、前記第1主面のうち前記複数の光透過部が配置される領域を、規則的に配置された多角形の単位領域に分割し、前記複数の光透過部を、前記単位領域の頂点と重なる初期位置に配置した後、前記複数の光透過部の少なくとも一部を前記初期位置から所定位置まで移動させることにより形成されるパターンであり、
前記所定位置は、前記単位領域の頂点からの距離が、前記単位領域の頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さ未満である点と重なる位置であり、
前記第2主面に映像光が投射されると、前記第2主面に投射された前記映像光は、前記複数の光透過部を透過して前記第1主面から出射される、前記加飾シート。
[2]前記初期位置と前記所定位置との距離が、前記辺の長さの10%以上50%以下である、[1]に記載の加飾シート。
[3]前記所定位置まで移動させられる前記複数の光透過部の少なくとも一部が、前記複数の光透過部の50%以上である、[1]又は[2]に記載の加飾シート。
[4]前記多角形が正方形又は正六角形である、[1]〜[3]のいずれかに記載の加飾シート。
[5]前記加飾シートが、前記装飾層の前記第2主面側に設けられた光反射層をさらに備えており、
平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記装飾層の少なくとも一部と重なっている、[1]〜[4]のいずれかに記載の加飾シート。
[6]平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記装飾層の全体と重なっている、[5]に記載の加飾シート。
[7]平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光反射層の全体と重なっている、[5]に記載の加飾シート。
[8]前記加飾シートが、前記装飾層と前記光反射層との間に設けられた着色隠蔽層をさらに備え、
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記着色隠蔽層の少なくとも一部と重なっている、[5]〜[7]のいずれかに記載の加飾シート。
[9]平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記着色隠蔽層の全体と重なっている、[8]に記載の加飾シート。
[10]平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記着色隠蔽層の全体と重なっている、[8]又は[9]に記載の加飾シート。
[11]前記加飾シートが、前記装飾層と前記光反射層との間に設けられた光拡散層をさらに備え、
平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光拡散層の少なくとも一部と重なっている、[5]〜[10]のいずれかに記載の加飾シート。
[12]平面視において、前記装飾層の少なくとも一部が、前記光拡散層の全体と重なっている、[11]に記載の加飾シート。
[13]平面視において、前記光反射層の少なくとも一部が、前記光拡散層の全体と重なっている、[11]又は[12]に記載の加飾シート。
[14]前記複数の光透過部のそれぞれが有する前記装飾層を通過する部分の平面視形状のサイズが、10μm以上300μm以下である、[1]〜[13]のいずれかに記載の加飾シート。
[15]前記第1主面の面積に対する、前記複数の光透過部が有する前記装飾層を通過する部分の平面視形状の合計面積の割合が、5%以上50%以下である、[1]〜[14]のいずれかに記載の加飾シート。
[16]伸び率が50%以上である、[1]〜[15]のいずれかに記載の加飾シート。
[17][1]〜[16]のいずれかに記載の加飾シートと、前記加飾シートの前記第2主面側に設けられた被着体とを備える、加飾成形品。
[18]前記加飾シートが三次元成形されている、[17]に記載の加飾成形品。
[19]前記加飾成形品が透過型スクリーンである、[17]又は[18]に記載の加飾成形品。
[20]前記被着体が光拡散性を有する、[19]に記載の加飾成形品。
[21]前記被着体が着色透明であり、前記被着体の全光線透過率が30〜60%である、[19]又は[20]に記載の加飾成形品。
[22][17]〜[21]のいずれかに記載の加飾成形品と、前記加飾成形品に対して、背面側から映像光を投射する光源部とを備える、背面投射型表示装置。
【0010】
なお、本発明において、「平面視」とは、対象となる部材又は部分を、加飾シートの第1主面の法線方向から観察することを意味する。また、「平面視」は、対象となる部材又は部分がその他の部材又は部分に隠れて実際には観察できない場合であっても観察できるものとして取り扱う仮想的な概念である。すなわち、「平面視」は、対象となる部材又は部分を、加飾シートの厚さ方向に対して垂直な仮想平面に投影することに相当する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光透過部のピッチのズレに起因する視覚的な模様の発生、及び/又は、光透過部の規則的なパターンと装飾層の模様パターンとの周期のズレに起因する視覚的な縞模様(モアレ)の発生を防止できる加飾シート、並びに、該加飾シートを使用した加飾成形品(例えば、透過型スクリーン)及び背面投射型表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る加飾シートの平面図である。
図2図2は、図1中の符号R1で表される領域の拡大図である。
図3図3は、光透過部の移動後の所定位置を説明するための図(図2に対応する図)である。
図4図4は、図2中の符号R2で表される領域の拡大図である。
図5図5は、図4のI−I線断面図である。
図6図6は、図5中の符号R3で表される領域の拡大図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態に係る加飾シートの一部拡大平面図(図2に対応する図)である。
図8図8は、光透過部の移動後の所定位置を説明するための図(図7に対応する図)である。
図9図9は、本発明のさらに別の実施形態に係る加飾シートの一部拡大平面図(図4に対応する図)である。
図10図10は、図9のII−II線断面図である。
図11図11は、加飾シートの製造方法を説明する図である。
図12図12は、加飾シートの製造方法を説明する図(図11の続き)である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る加飾成形品の断面図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る背面投射型表示装置の構成を模式的に示す一部断面図である。
図15図15は、本発明の一実施形態に係る透過型スクリーンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
<加飾シート>
図1図6に基づいて、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」という)に係る加飾シート11について説明する。図1は、加飾シート11の平面図(加飾シート11を第1主面S1側から観察した場合の平面図)であり、図2は、図1中の符号R1で表される領域の拡大図であり、図3は、光透過部の移動後の所定位置を説明するための図(図2に対応する図)であり、図4は、図2中の符号R2で示される領域の拡大図であり、図5は、図4のI−I線断面図であり、図6は、図5中の符号R3で表される領域の拡大図である。なお、図1において、光透過部5は、便宜上、黒丸で示されている。
【0015】
図1図6に示すように、加飾シート11は、互いに直交する長手方向X、短手方向Y及び厚さ方向Zを有する。なお、加飾シート11を構成する層の厚さ方向は、加飾シート11の厚さ方向Zと一致する。
【0016】
図1図5に示すように、加飾シート11は、第1主面S1と、第1主面S1の反対側に位置する第2主面S2とを有する。本実施形態において、第1主面S1及び第2主面S2は、長手方向X及び短手方向Yに延在する平面である。
【0017】
図5に示すように、加飾シート11は、装飾層1と、装飾層1を通過して加飾シート11の厚さ方向Zに延在する複数の光透過部5とを備える。本実施形態において、光透過部5は、装飾層1に加えて、着色隠蔽層2、光拡散層3及び光反射層4も通過する。
【0018】
図5に示すように、加飾シート11は、装飾層1の第2主面S2側に設けられた光反射層4をさらに備える。光反射層4は、必要に応じて設けられる層であり、本発明には、光反射層4が省略された実施形態も包含される。
【0019】
図5に示すように、加飾シート1は、装飾層1と光反射層4との間に設けられた着色隠蔽層2と、装飾層1と光反射層4との間に設けられた光拡散層3とをさらに備える。本実施形態において、光拡散層3は、着色隠蔽層2の第2主面S2側に設けられているが、本発明には、光拡散層3が、着色隠蔽層2の第1主面S1側に設けられている実施形態も包含される。また、着色隠蔽層2及び光拡散層3は、必要に応じて設けられる層であり、本発明には、着色隠蔽層2及び光拡散層3のうち一方又は両方が省略された実施形態も包含される。
【0020】
図5に示すように、加飾シート11は、第1主面S1を形成する第1光透過層6と、第2主面S2を形成する第2光透過層7とをさらに備える。第1光透過層6及び第2光透過層7は、必要に応じて設けられる層であり、本発明には、第1光透過層6及び第2光透過層7のうち一方又は両方が省略された実施形態も包含される。
【0021】
加飾シート11は、第2主面S2に映像光が投射されると、第2主面S2に投射された映像光が、複数の光透過部5を透過して第1主面S1から出射されるように構成されている。
【0022】
加飾シート11は、三次元成形可能である。「三次元成形」には、湾曲、折曲等により加飾シート11を三次元成形体(立体的形状を有する成形体)に成形することに加えて、延伸等により加飾シート11を二次元成形体(シート形状を有する成形体)に成形することも包含される。加飾シート11の伸び率は、通常50%以上、好ましくは100%以上、さらに好ましくは200%以上である。なお、加飾シート11の伸び率は、次の通り測定される。予め加飾シート11にマス目パターンを描き込み、成形後にマス目パターンの変形量を計測する。1マス(四角形)の各辺について、伸び率(%)=((成形後の1マスの1辺の長さ−成形前の1マスの1辺の長さ)/成形前の1マスの1辺の長さ)×100に基づいて、各辺の伸び率を算出する。4辺の伸び率の平均値を加飾シート11の伸び率とする。
【0023】
図1及び図2に示すように、光透過部5は、平面視において、ランダムなパターンで配置されている。これにより、第1主面S1には、光透過部5の密度が小さい領域と、光透過部5の密度が大きい領域とがランダムに形成されている。ランダムなパターンは、第1主面S1のうち光透過部5が配置される領域Rを、規則的に配置された多角形の単位領域Uに分割し、それぞれの光透過部5を、単位領域Uの頂点と重なる初期位置に配置した後、光透過部5の少なくとも一部を、初期位置から所定位置まで移動させることにより形成されるパターンである。所定位置は、単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)からの距離が、当該頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さ未満である点と重なる位置である。すなわち、所定位置は、単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)を中心とし、当該頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さ未満の長さを半径とする円形領域内に存在する点(円形領域の外形線上の点を含む)と重なる位置である。移動後の光透過部5は、平面視において、単位領域Uのいずれの頂点とも重ならない。また、移動後の光透過部5は、平面視において、他のいずれの光透過部5とも重ならない。
【0024】
なお、単位領域Uは仮想的な概念であり、図1及び図2において、単位領域Uは仮想線で示されている。
【0025】
光透過部5が、平面視において、規則的なパターンで配置されていると、光透過部5のピッチのズレに起因する視覚的な模様、及び/又は、光透過部5の規則的なパターンと装飾層2の模様パターンとの周期のズレに起因する視覚的な縞模様(モアレ)が発生し、第1主面S1側の外部から視認される加飾シート11の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。この点、本実施形態では、光透過部5が、平面視において、ランダムなパターンで配置されているので、光透過部5のピッチのズレに起因する視覚的な模様の発生、及び、光透過部5の規則的なパターンと装飾層2の模様パターンとの周期のズレに起因する視覚的な縞模様(モアレ)の発生を抑制することができる。
【0026】
「光透過部5がある点と重なる」とは、光透過部5の中心が当該点と重なることを意味する。したがって、光透過部5を単位領域Uの頂点と重なる初期位置に配置する際、光透過部5の中心が単位領域Uの頂点と重なるように配置する。光透過部5の少なくとも一部を初期位置から所定位置まで移動させる際も同様である。「光透過部5の中心」は、光透過部5の平面視形状(外形線)が円形である場合には当該円形の中心を意味し、光透過部5の平面視形状(外形線)が円形以外の形状である場合には、当該平面視形状に外接する円の中心を意味する。図4に示す実施形態では、光透過部5のうち第1部分51、第2部分52及び第3部分53の平面視形状(外形線)が、光透過部5の平面視形状(外形線)を形成している。図9に示す実施形態では、光透過部5のうち第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状(外形線)が、光透過部5の平面視形状(外形線)を形成している。
【0027】
本実施形態において、第1主面S1のうち光透過部5が配置される領域Rの形状は、長方形である。領域Rの形状は長方形に限定されず、適宜変更可能である。領域Rのその他の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、長方形以外の多角形等が挙げられる。
【0028】
領域Rには、同一形状の複数の単位領域Uが規則的に配置される。これにより、領域Rは所定パターンに分割され、領域Rの分割パターンの分岐点は、単位領域Uの頂点により形成される。本実施形態における単位領域Uの形状は正方形である。本実施形態では、領域Rに正方形の単位領域Uが規則的に配置されることにより、領域Rが正方格子状に分割されており、領域Rの分割パターン(正方格子状)の分岐点が単位領域Uの頂点により形成されている。単位領域Uの形状は、領域R内に規則的に配置可能な多角形である限り、正方形に限定されず、適宜変更可能である。領域R内に規則的に配置可能な多角形は、四角形又は六角形であり、例えば、長方形、平行四辺形、等脚台形、正六角形等が挙げられる。単位領域Uの形状は、単位領域Uが領域R内に規則的に配置されたときに、隣り合う単位領域Uに隙間が生じない形状(すなわち、平面状に敷き詰められる形状)であることが好ましい。このような形状としては、例えば、正方形、長方形、平行四辺形、等脚台形、正六角形等が挙げられ、これらのうち、正方形、菱形、正六角形等の等辺多角形が好ましく、正方形、正六角形等の正多角形がさらに好ましい。隣り合う単位領域Uに隙間が生じないように、単位領域Uが領域R内に規則的に配置されたとき、領域Rには、単位領域Uが配置されない部分が存在してもよい。
【0029】
単位領域Uの一辺の長さは特に限定されないが、好ましくは20μm以上1000μm以下、さらに好ましくは30μm以上500μm以下、さらに一層好ましくは50μm以上200μm以下である。なお、単位領域Uの頂点から延出する辺の全部が同一の長さを有する場合もある。この場合、いずれの辺も最も短い辺に該当する。
【0030】
単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)からの距離が、当該頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さ未満である点は、当該頂点から延出する辺上の点であってもよいし、それ以外の点であってもよい。
【0031】
光透過部5の初期位置と光透過部5の移動後の所定位置との距離は、単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)からの距離が、当該頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さ未満である限り、特に限定されない。なお、光透過部5の初期位置と光透過部5の移動後の所定位置との距離は、初期位置に存在する光透過部5の中心と、移動後の所定位置に存在する光透過部5の中心との距離を意味する。
【0032】
初期位置から移動させられる光透過部5の変位量、すなわち、光透過部5の初期位置と光透過部5の移動後の所定位置との距離が大きいほど、光透過部5の配置のランダム度が高くなり、光透過部5のピッチのズレに起因する視覚的な模様の発生抑制効果、及び、光透過部5の規則的なパターンと装飾層2の模様パターンとの周期のズレに起因する視覚的な縞模様(モアレ)の発生抑制効果が大きくなる。しかしながら、光透過部5の初期位置と光透過部5の移動後の所定位置との距離が大きすぎると、光透過部5が近接して密集し、第1主面S1から出射される映像光の輝度ムラが生じるおそれがある。したがって、光透過部5の初期位置と光透過部5の移動後の所定位置との距離は、単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)から延出する辺のうち最も短い辺の長さの、好ましくは10%以上50%以下、さらに好ましくは15%以上45%以下、さらに一層好ましくは20%以上40%以下である。光透過部5の初期位置と光透過部5の移動後の所定位置との距離が、単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)から延出する辺のうち最も短い辺の長さの10%以上50%以下である場合、光透過部5の移動後の所定位置は、単位領域Uの頂点(初期位置と重なる単位領域Uの頂点)を中心とし、当該頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さの50%の長さを半径とする円形と、当該頂点を中心とし、当該頂点から延出する辺のうち最も短い辺の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置する点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置である。
【0033】
初期位置から移動させられる光透過部5の割合は、光透過部5の少なくとも一部である限り特に限定されないが、光透過部5の全体の、好ましくは50%以上、さらに好ましくは75%以上、さらに一層好ましくは80%以上である。初期位置から移動させられる光透過部5の割合の上限は100%である。
【0034】
図2に示すように、符号R1で示される領域には、光透過部5A〜5Iが存在する。
【0035】
光透過部5Aは、単位領域Uの頂点K1と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K1から延出する辺(K1−K8)上の点K1’と重なる位置まで移動している。辺(K1−K8)は、頂点K1と頂点K8とを結ぶ辺である。辺(K1−K8)上の点K1’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K1及びK8)を除く当該辺上の点である。頂点K1と点K1’との距離は、辺(K1−K8)の長さの10%以上50%以下である。頂点K1から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K1−K8)は頂点K1から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。図3に示すように、光透過部5Aは、頂点K1からの距離が辺(K1−K8)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K1を中心とし、辺(K1−K8)の長さの50%の長さを半径とする円形KS1と、頂点K1を中心とし、辺(K1−K8)の長さの10%の長さを半径とする円形KS2との間の領域KR12内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Aは、単位領域Uの頂点K1と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K1から延出する辺(K1−K8)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0036】
光透過部5Bは、単位領域Uの頂点K2と重なる初期位置に存在している。光透過部5Bは、頂点K2からの距離が、頂点K2から延出する辺のうち最も短い辺の長さの10%以上50%以下である点、すなわち、頂点K2を中心とし、当該最も短い辺の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K2を中心とし、当該最も短い辺の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置する点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。頂点K2から延出する4辺の長さは同一であるので、頂点K2から延出するいずれの辺も最も短い辺に該当する。
【0037】
光透過部5Cは、単位領域Uの頂点K3と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K3から延出する辺(K2−K3)上の点K3’と重なる位置まで移動している。辺(K2−K3)は、頂点K2と頂点K3とを結ぶ辺である。辺(K2−K3)上の点K3’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K2及びK3)を除く当該辺上の点である。頂点K3と点K3’との距離は、辺(K2−K3)の長さの10%以上50%以下である。頂点K3から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K2−K3)は頂点K3から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Cは、頂点K3からの距離が辺(K2−K3)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K3を中心とし、辺(K2−K3)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K3を中心とし、辺(K2−K3)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Cは、単位領域Uの頂点K3と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K3から延出する辺(K2−K3)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0038】
光透過部5Dは、単位領域Uの頂点K4と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K4から延出する辺(K1−K4)上の点K4’と重なる位置まで移動している。辺(K1−K4)は、頂点K1及び頂点K4を結ぶ辺である。辺(K1−K4)上の点K4’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K1及びK4)を除く当該辺上の点である。頂点K4と点K4’との距離は、辺(K1−K4)の長さの10%以上50%以下である。頂点K4から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K1−K4)は頂点K4から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Dは、頂点K4からの距離が辺(K1−K4)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K4を中心とし、辺(K1−K4)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K4を中心とし、辺(K1−K4)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Dは、単位領域Uの頂点K4と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K4から延出する辺(K1−K4)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0039】
光透過部5Eは、単位領域Uの頂点K5と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K5から延出する辺(K4−K5)上の点K5’と重なる位置まで移動している。辺(K4−K5)は、頂点K4及び頂点K5を結ぶ辺である。辺(K4−K5)上の点K5’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K4及びK5)を除く当該辺上の点である。頂点K5と点K5’との距離は、辺(K4−K5)の長さの10%以上50%以下である。頂点K5から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K4−K5)は頂点K4から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Eは、頂点K5からの距離が辺(K4−K5)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K5を中心とし、辺(K4−K5)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K5を中心とし、辺(K4−K5)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Eは、単位領域Uの頂点K5と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K5から延出する辺(K4−K5)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0040】
光透過部5Fは、単位領域Uの頂点K6と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K6から延出する辺(K1−K6)上の点K6’と重なる位置まで移動している。辺(K1−K6)は、頂点K1及び頂点K6を結ぶ辺である。辺(K1−K6)上の点K6’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K1及びK6)を除く当該辺上の点である。頂点K6と点K6’との距離は、辺(K1−K6)の長さの10%以上50%以下である。頂点K6から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K1−K6)は頂点K6から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Fは、頂点K6からの距離が辺(K1−K6)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K6を中心とし、辺(K1−K6)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K6を中心とし、辺(K1−K6)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Fは、単位領域Uの頂点K6と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K6から延出する辺(K1−K6)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0041】
光透過部5Gは、単位領域Uの頂点K7と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K7から延出する辺(K6−K7)上の点K7’と重なる位置まで移動している。辺(K6−K7)は、頂点K6及び頂点K7を結ぶ辺である。辺(K6−K7)上の点K7’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K6及びK7)を除く当該辺上の点である。頂点K7と点K7’との距離は、辺(K6−K7)の長さの10%以上50%以下である。頂点K7から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K6−K7)は頂点K7から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Gは、頂点K7からの距離が辺(K6−K7)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K7を中心とし、辺(K6−K7)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K7を中心とし、辺(K6−K7)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Gは、単位領域Uの頂点K7と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K7から延出する辺(K6−K7)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0042】
光透過部5Hは、単位領域Uの頂点K8と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K8から延出する辺(K8−K9)上の点K8’と重なる位置まで移動している。辺(K8−K9)は、頂点K8及び頂点K9を結ぶ辺である。辺(K8−K9)上の点K8’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K8及びK9)を除く当該辺上の点である。頂点K8と点K8’との距離は、辺(K8−K9)の長さの10%以上50%以下である。頂点K8から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K8−K9)は頂点K8から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Hは、頂点K8からの距離が辺(K8−K9)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K8を中心とし、辺(K8−K9)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K8を中心とし、辺(K8−K9)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Hは、単位領域Uの頂点K8と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K8から延出する辺(K8−K9)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0043】
光透過部5Iは、単位領域Uの頂点K9と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K9から延出する辺(K8−K9)上の点K9’と重なる位置まで移動している。辺(K8−K9)は、頂点K8及び頂点K9を結ぶ辺である。辺(K8−K9)上の点K9’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点K8及びK9)を除く当該辺上の点である。頂点K9と点K9’との距離は、辺(K8−K9)の長さの10%以上50%以下である。頂点K9から延出する4辺の長さは同一であるので、辺(K8−K9)は頂点K9から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Iは、頂点K9からの距離が辺(K8−K9)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点K9を中心とし、辺(K8−K9)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点K9を中心とし、辺(K8−K9)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Iは、単位領域Uの頂点K9と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点K9から延出する辺(K8−K9)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0044】
単位領域Uの形状が正六角形である一実施形態を図7に示す。図7に示す実施形態では、領域Rに正六角形の単位領域Uが規則的に配置されることにより、領域Rはハニカム状に分割されており、領域Rの分割パターン(ハニカム状)の分岐点は単位領域Uの頂点により形成されている。図7に示す実施形態には、別段規定される場合を除き、図1図6に示す実施形態の説明が適用される。
【0045】
図7に示す実施形態では、符号R1で示される領域に、光透過部5J〜5Vが存在する。
【0046】
光透過部5Jは、単位領域Uの頂点J1と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J1から延出する辺(J1−J6)上の点J1’と重なる位置まで移動している。辺(J1−J6)は、頂点J1と頂点J6とを結ぶ辺である。辺(J1−J6)上の点J1’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J1及びJ6)を除く当該辺上の点である。頂点J1と点J1’との距離は、辺(J1−J6)の長さの10%以上50%以下である。頂点J1から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J1−J6)は頂点J1から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。図8に示すように、光透過部5Jは、頂点J1からの距離が辺(J1−J6)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J1を中心とし、辺(J1−J6)の長さの50%の長さを半径とする円形JS1と、頂点J1を中心とし、辺(J1−J6)の長さの10%の長さを半径とする円形JS2との間の領域JR12内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Jは、単位領域Uの頂点J1と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J1から延出する辺(J1−J6)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0047】
光透過部5Kは、単位領域Uの頂点J2と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J2から延出する辺(J1−J2)上の点J2’と重なる位置まで移動している。辺(J1−J2)は、頂点J1と頂点J2とを結ぶ辺である。辺(J1−J2)上の点J2’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J1及びJ2)を除く当該辺上の点である。頂点J2と点J2’との距離は、辺(J1−J2)の長さの10%以上50%以下である。頂点J2から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J1−J2)は頂点J2から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Kは、頂点J2からの距離が辺(J1−J2)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J2を中心とし、辺(J1−J2)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J2を中心とし、辺(J1−J2)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Kは、単位領域Uの頂点J2と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J2から延出する辺(J1−J2)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0048】
光透過部5Lは、単位領域Uの頂点J3と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J3から延出する辺(J3−J4)上の点J3’と重なる位置まで移動している。辺(J3−J4)は、頂点J3と頂点J4とを結ぶ辺である。辺(J3−J4)上の点J3’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J3及びJ4)を除く当該辺上の点である。頂点J3と点J3’との距離は、辺(J3−J4)の長さの10%以上50%以下である。頂点J3から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J3−J4)は頂点J3から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Lは、頂点J3からの距離が辺(J3−J4)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J3を中心とし、辺(J3−J4)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J3を中心とし、辺(J3−J4)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Lは、単位領域Uの頂点J3と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J3から延出する辺(J3−J4)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0049】
光透過部5Mは、単位領域Uの頂点J4と重なる初期位置に存在している。光透過部5Mは、頂点J4からの距離が、頂点J4から延出する辺のうち最も短い辺の長さの10%以上50%以下である点、すなわち、頂点J4を中心とし、当該最も短い辺の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J4を中心とし、当該最も短い辺の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置する点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。頂点J4から延出する3辺の長さは同一であるので、頂点J4から延出するいずれの辺も最も短い辺に該当する。
【0050】
光透過部5Nは、単位領域Uの頂点J5と重なる初期位置に存在している。光透過部5Nは、頂点J5からの距離が、頂点J5から延出する辺のうち最も短い辺の長さの10%以上50%以下である点、すなわち、頂点J5を中心とし、当該最も短い辺の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J5を中心とし、当該最も短い辺の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置する点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。頂点J5から延出する3辺の長さは同一であるので、頂点J5から延出するいずれの辺も最も短い辺に該当する。
【0051】
光透過部5Oは、単位領域Uの頂点J6と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J6から延出する辺(J1−J6)上の点J6’と重なる位置まで移動している。辺(J1−J6)は、頂点J1と頂点J6とを結ぶ辺である。辺(J1−J6)上の点J6’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J1及びJ6)を除く当該辺上の点である。頂点J6と点J6’との距離は、辺(J1−J6)の長さの10%以上50%以下である。頂点J6から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J1−J6)は頂点J6から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Oは、頂点J6からの距離が辺(J1−J6)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J6を中心とし、辺(J1−J6)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J6を中心とし、辺(J1−J6)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Oは、単位領域Uの頂点J6と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J6から延出する辺(J1−J6)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0052】
光透過部5Pは、単位領域Uの頂点J7と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J7から延出する辺(J7−J8)上の点J7’と重なる位置まで移動している。辺(J7−J8)は、頂点J7と頂点J8とを結ぶ辺である。辺(J7−J8)上の点J7’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J7及びJ8)を除く当該辺上の点である。頂点J7と点J7’との距離は、辺(J7−J8)の長さの10%以上50%以下である。頂点J7から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J7−J8)は頂点J7から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Pは、頂点J7からの距離が辺(J7−J8)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J7を中心とし、辺(J7−J8)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J7を中心とし、辺(J7−J8)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Pは、単位領域Uの頂点J7と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J7から延出する辺(J7−J8)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0053】
光透過部5Qは、単位領域Uの頂点J8と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J8から延出する辺(J8−J9)上の点J8’と重なる位置まで移動している。辺(J8−J9)は、頂点J8と頂点J9とを結ぶ辺である。辺(J8−J9)上の点J8’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J8及びJ9)を除く当該辺上の点である。頂点J8と点J8’との距離は、辺(J8−J9)の長さの10%以上50%以下である。頂点J8から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J8−J9)は頂点J8から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Qは、頂点J8からの距離が辺(J8−J9)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J8を中心とし、辺(J8−J9)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J8を中心とし、辺(J8−J9)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Qは、単位領域Uの頂点J8と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J8から延出する辺(J8−J9)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0054】
光透過部5Rは、単位領域Uの頂点J9と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J9から延出する辺(J8−J9)上の点J9’と重なる位置まで移動している。辺(J8−J9)は、頂点J8と頂点J9とを結ぶ辺である。辺(J8−J9)上の点J9’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J8及びJ9)を除く当該辺上の点である。頂点J9と点J9’との距離は、辺(J8−J9)の長さの10%以上50%以下である。頂点J9から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J8−J9)は頂点J9から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Rは、頂点J9からの距離が辺(J8−J9)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J9を中心とし、辺(J8−J9)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J9を中心とし、辺(J8−J9)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Rは、単位領域Uの頂点J9と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J9から延出する辺(J8−J9)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0055】
光透過部5Sは、単位領域Uの頂点J10と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J10から延出する辺(J1−J10)上の点J10’と重なる位置まで移動している。辺(J1−J10)は、頂点J1と頂点J10とを結ぶ辺である。辺(J1−J10)上の点J10’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J1及びJ10)を除く当該辺上の点である。頂点J10と点J10’との距離は、辺(J1−J10)の長さの10%以上50%以下である。頂点J10から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J1−J10)は頂点J10から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Sは、頂点J10からの距離が辺(J1−J10)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J10を中心とし、辺(J1−J10)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J10を中心とし、辺(J1−J10)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Sは、単位領域Uの頂点J10と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J10から延出する辺(J1−J10)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0056】
光透過部5Tは、単位領域Uの頂点J11と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J11から延出する辺(J5−J11)上の点J11’と重なる位置まで移動している。辺(J5−J11)は、頂点J5と頂点J11とを結ぶ辺である。辺(J5−J11)上の点J11’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J5及びJ11)を除く当該辺上の点である。頂点J11と点J11’との距離は、辺(J5−J11)の長さの10%以上50%以下である。頂点J11から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J5−J11)は頂点J11から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Tは、頂点J11からの距離が辺(J5−J11)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J11を中心とし、辺(J5−J11)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J11を中心とし、辺(J5−J11)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Tは、単位領域Uの頂点J11と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J11から延出する辺(J5−J11)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0057】
光透過部5Uは、単位領域Uの頂点J12と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J12から延出する辺(J12−J13)上の点J12’と重なる位置まで移動している。辺(J12−J13)は、頂点J12と頂点J13とを結ぶ辺である。辺(J12−J13)上の点J12’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J12及びJ13)を除く当該辺上の点である。頂点J12と点J12’との距離は、辺(J12−J13)の長さの10%以上50%以下である。頂点J12から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J12−J13)は頂点J12から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Uは、頂点J12からの距離が辺(J12−J13)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J12を中心とし、辺(J12−J13)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J12を中心とし、辺(J12−J13)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Uは、単位領域Uの頂点J12と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J12から延出する辺(J12−J13)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0058】
光透過部5Vは、単位領域Uの頂点J13と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J13から延出する辺(J12−J13)上の点J13’と重なる位置まで移動している。辺(J12−J13)は、頂点J12と頂点J13とを結ぶ辺である。辺(J12−J13)上の点J13’は、当該辺の両端点(すなわち、頂点J12及びJ13)を除く当該辺上の点である。頂点J13と点J13’との距離は、辺(J12−J13)の長さの10%以上50%以下である。頂点J13から延出する3辺の長さは同一であるので、辺(J12−J13)は頂点J13から延出する辺のうち最も短い辺に該当する。光透過部5Vは、頂点J13からの距離が辺(J12−J13)の長さの10%以上50%以下であるその他の点、すなわち、頂点J13を中心とし、辺(J12−J13)の長さの50%の長さを半径とする円形と、頂点J13を中心とし、辺(J12−J13)の長さの10%の長さを半径とする円形との間の領域内に位置するその他の点(当該領域の外形線上の点を含む)と重なる位置まで移動してもよい。例えば、光透過部5Vは、単位領域Uの頂点J13と重なる初期位置から、単位領域Uの頂点J13から延出する辺(J12−J13)以外の辺上の点と重なる位置まで移動してもよい。
【0059】
[装飾層]
装飾層1は、加飾シート11に装飾性を付与する。本実施形態において、装飾層1は、装飾層1の第1主面S1側に設けられた第1光透過層6を通じて、第1主面S1側の外部から視認可能となっている。装飾層1が、第1主面S1側の外部から視認可能となっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、装飾層1は、第1光透過層6を通じることなく、又は、第1光透過層6以外の光透過層を通じて、第1主面S1側の外部から視認可能であってもよい。
【0060】
装飾層1は、絵柄層を有する。絵柄層は、加飾シート11に所望の模様を付与する。絵柄層を構成する模様としては、例えば、年輪断面の春材領域及び秋材領域、導管部等から構成される木目模様、レザー(皮シボ)模様、大理石、花崗岩、砂岩等の石材表面の石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
【0061】
装飾層1は、着色層を有していてもよい。着色層は、加飾シート11に所望の色を付与する。着色層は、例えば、着色ベタ層である。着色層の色は、通常、不透明色であるが、着色層の第2主面S2側に位置する部材又は部分の色又は模様を活かす場合には、透明色であってもよい。着色層は、通常、絵柄層の第2主面S2側に設けられる。
【0062】
装飾層1は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した着色剤とを含有する。装飾層1は、バインダー樹脂中に分散した着色剤により、所望の装飾性を発揮する。
【0063】
装飾層1に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、着色剤の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂としては、例えば、塩素系樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。塩素系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化プロピレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0064】
装飾層1に含有される着色剤は、装飾層1に求められる装飾性等を考慮して適宜選択することができる。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料等が挙げられる。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0065】
装飾層1は、例えば、印刷層である。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。絵柄層を構成する模様は、通常の黄色、赤色、青色及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成することができる他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成することができる。
【0066】
装飾層1の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、着色剤、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の固形分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤は最終的に揮発するため、装飾層1は、主として、着色剤、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
【0067】
インキ組成物に含まれる溶剤は、着色剤の分散性、バインダー樹脂の溶解性等を考慮して適宜選択することができる。溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0068】
装飾層1の厚さは、装飾層1に求められる装飾性、加飾シート11の三次元成形性等を考慮して適宜調整することができる。装飾層1の厚さは、通常1μm以上1mm以下、好ましくは2μm以上0.1mm以下、さらに好ましくは2μm以上50μm以下である。
【0069】
[着色隠蔽層]
着色隠蔽層2は、装飾層1の第2主面S2側に設けられており、平面視において、装飾層1の少なくとも一部は、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている。したがって、着色隠蔽層2は、着色隠蔽層2の第2主面S2側に位置する部材又は部分の色を隠蔽し、当該部材又は部分の色が、第1主面S1側の外部から視認される装飾層1の色又は絵柄に悪影響を及ぼすことを防止することができる。このような着色隠蔽層2の効果は、装飾層1のうち、平面視において着色隠蔽層2と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。一方、着色隠蔽層2が、平面視において装飾層1と重ならない部分を有すると、着色隠蔽層2が、第1主面S1側の外部から視認される加飾シート11の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっていることが好ましい。なお、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態には、平面視において、装飾層1の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、装飾層1の全体が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態が包含される。本実施形態では、平面視において、装飾層1の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている。
【0070】
着色隠蔽層2は、例えば、着色ベタ層である。着色ベタ層は、例えば、白色ベタ層である。着色隠蔽層2の色は、通常、不透明色である。
【0071】
着色隠蔽層2は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した着色剤とを含有する。着色隠蔽層2は、バインダー樹脂中に分散した着色剤により、所望の隠蔽性を発揮する。
【0072】
着色隠蔽層2に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、着色剤の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0073】
着色隠蔽層2に含有される着色剤は、着色隠蔽層2に求められる隠蔽性等を考慮して適宜選択することができる。着色剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0074】
着色隠蔽層2は、例えば、印刷層である。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。着色隠蔽層2の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、着色剤、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、着色隠蔽層2は、主として、着色剤、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
【0075】
着色隠蔽層2の厚さは、着色隠蔽層2に求められる隠蔽性、加飾シート11の三次元成形性等を考慮して適宜調整することができる。着色隠蔽層2の厚さは、通常1μm以上1mm以下、好ましくは2μm以上0.1mm以下、さらに好ましくは2μm以上50μm以下である。
【0076】
[光拡散層]
光拡散層3は、装飾層1の第2主面S2側に設けられており、平面視において、装飾層1の少なくとも一部は、光拡散層3の少なくとも一部と重なっている。したがって、加飾シート11の第1主面S1から入射され、光反射層4で反射された光は、光拡散層3で拡散され、加飾シート11の第1主面S1から出射される。これにより、第1主面S1側の外部から装飾層1を視認可能な視野角を広げることができる。すなわち、第1主面S1側の外部から加飾シート11を観察する観察者は、光拡散層3の光拡散性に応じた視野角の範囲で装飾層1を視認することができる。このような光拡散層3の効果は、装飾層1のうち、平面視において光拡散層3と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。一方、光拡散層3が、平面視において装飾層1と重ならない部分を有すると、光拡散層3が、第1主面S1側の外部から視認される加飾シート11の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、光拡散層3の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、光拡散層3の全体と重なっている実施形態には、平面視において、装飾層1の一部が、光拡散層3の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、装飾層1の全体が、光拡散層3の全体と重なっている実施形態が包含される。本実施形態では、平面視において、装飾層1の一部が、光拡散層3の全体と重なっている。
【0077】
本実施形態において、光拡散層3は、着色隠蔽層2と光反射層4との間に設けられている。光拡散層3が設けられる位置は、装飾層1と光反射層4との間であれば特に限定されない。本発明には、光拡散層3が、装飾層1と着色隠蔽層2との間に設けられている実施形態も包含される。
【0078】
光拡散層3は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した光拡散材とを含有する。光拡散層3は、バインダー樹脂と光拡散材との間の屈折率差を利用して、又は、光拡散材が有する反射性を利用して、光を等方的に拡散することができる。
【0079】
光拡散層3に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の光透過性、樹脂の伸び率、光拡散材の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0080】
光拡散層3に含有される光拡散材は、光拡散層3に求められる光拡散性等に応じて適宜選択することができる。光拡散材としては、例えば、プラスチックビーズ等の有機粒子、シリカ等の無機粒子等が挙げられる。プラスチックビーズとしては、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩化ビニルビーズ等が挙げられるが、これらの中でもアクリルビーズが好ましい。光拡散材は、気泡であってもよい。光拡散材の平均粒径は、光拡散材の光反射性、バインダー樹脂中での分散性等を考慮して適宜調整することができる。光拡散材の平均粒径は6μm以上であることが好ましい。光拡散材の平均粒径が6μm以上であることにより、十分な光拡散性を得ることができる。光拡散材の平均粒径は、例えば、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡)による光拡散層3の断面画像から、画像処理ソフトウェアを使用して求めることができる。また、断面電子顕微鏡の画像を使用して、縮尺を考慮した上で手動にて平均値を算出することにより、光拡散材の平均粒径を求めてもよい。また、光拡散材が単体で存在する場合、すなわち、光拡散層3に組み込まれる前の段階であれば、光拡散材の平均粒径はレーザー散乱法によって測定することができる。光拡散材の平均粒径の下限は、光拡散性をより向上させるために8μm以上であることがより好ましく、光拡散材の平均粒径の上限は、粒子の凝集による光拡散層3の白化を抑制する観点から、10μm以下であることが好ましい。また、酸化チタン等の微粒子を光拡散材として使用する場合、微粒子の平均粒径は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、300nm以上700nm以下であることがさらに好ましい。光拡散層3に含有される光拡散材の量は、光拡散層3に求められる光拡散性等を考慮して適宜調整することができる。
【0081】
光拡散層3は、例えば、印刷層である。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。光拡散層3の形成に使用されるインキ組成物(塗工液)は、例えば、溶剤と、光拡散材、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、光拡散層3は、主として、光拡散材、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
【0082】
光拡散層3の厚さは、光拡散層3に求められる光拡散性、加飾シート11の三次元成形性等に応じて適宜調整することができる。光拡散層3の厚さは、通常1μm以上50μm以下、好ましくは14μm以上20μm以下、さらに好ましくは16μm以上18μm以下である。光拡散層3の厚さが小さ過ぎると、光拡散効果が十分に得られないおそれがある一方、光拡散層3の厚さが大き過ぎると、後述する表示装置100によって表示される映像の解像性が劣化し、映像がぼやけて観察されてしまう。光拡散層3の厚さが上記範囲内にあると、光拡散効果が十分に得られるとともに、映像の解像性の劣化を防止することができる。
【0083】
[光反射層]
光反射層4は、光反射性を有する。光反射層4は、第1主面S1側から入射された光に対しても、第2主面S2側から入射された光に対しても、光反射性を発揮する。
【0084】
光反射層4は、装飾層1の第2主面S2側に設けられており、平面視において、光反射層4の少なくとも一部は、装飾層1の少なくとも一部と重なっている。したがって、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射された映像光のうち光反射層4に到達した映像光を反射し、当該映像光が、装飾層1を透過して加飾シート11の第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。このような光反射層4の効果は、装飾層1のうち、平面視において光反射層4と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、映像光の品質低下を防止する観点からは、平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、装飾層1の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、装飾層1の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光反射層4の一部が、装飾層1の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光反射層4の全体が、装飾層1の全体と重なっている実施形態が包含される。本実施形態では、平面視において、光反射層4の一部が、装飾層1の全体と重なっている。但し、光反射層4が、平面視において装飾層1と重ならない部分を有すると、光反射層4が、第1主面S1側の外部から視認される加飾シート11の外観に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、加飾シート11の外観への悪影響を防止する観点からは、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、光反射層4の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、光反射層4の全体と重なっている実施形態には、平面視において、装飾層1の一部が、光反射層4の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、装飾層1の全体が、光反射層4の全体と重なっている実施形態が包含される。平面視において、装飾層1の一部が、光反射層4の全体と重なっている一実施形態を図9及び図10に示す。図9及び図10に示す実施形態には、別段規定される場合を除き、図1図6に示す実施形態の説明が適用される。
【0085】
光反射層4は、着色隠蔽層2の第2主面S2側に設けられており、平面視において、光反射層4の少なくとも一部は、着色隠蔽層2の少なくとも一部と重なっている。したがって、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射された映像光のうち光反射層4に到達した映像光を反射し、当該映像光が、着色隠蔽層2を透過して加飾シート11の第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを防止することができる。このような光反射層4の効果は、着色隠蔽層2のうち、平面視において光反射層4と重なる部分の割合が大きくなるほど向上する。したがって、平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光反射層4の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光反射層4の全体が、着色隠蔽層2の全体と重なっている実施形態が包含される。本実施形態では、平面視において、光反射層4の一部が、着色隠蔽層2の全体と重なっている。
【0086】
光反射層4は、光拡散層3の第2主面S2側に設けられており、平面視において、光反射層4の少なくとも一部は、光拡散層3の少なくとも一部と重なっている。したがって、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射された映像光のうち光反射層4に到達した映像光を反射し、当該映像光が、光拡散層3を透過して加飾シート11の第1主面S1から出射されることを防止することができる。すなわち、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、光拡散層3の影響を受けて低下することを防止することができる。このような光反射層4の効果は、光拡散層3のうち、平面視において光反射層4と重なる部分の割合が多くなるほど向上する。したがって、平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、光拡散層3の全体と重なっていることが好ましい。平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、光拡散層3の全体と重なっている実施形態には、平面視において、光反射層4の一部が、光拡散層3の全体と重なっている実施形態、及び、平面視において、光反射層4の全体が、光拡散層3の全体と重なっている実施形態が包含される。本実施形態では、平面視において、光反射層4の一部が、光拡散層3の全体と重なっている。
【0087】
光反射層4は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂中に分散した光輝性顔料とを含有する。光反射層4は、バインダー樹脂中に分散した光輝性顔料により、光反射性を発揮する。したがって、加飾シート11の三次元成形により光反射層4が変形した場合にも、光反射層4は光反射性を維持することができる。すなわち、加飾シート11の三次元成形により光反射層4が変形した場合にも、光反射層4は、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。
【0088】
光反射層4に含有されるバインダー樹脂は、樹脂の伸び率、光輝性顔料の分散性等を考慮して適宜選択することができる。バインダー樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。バインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0089】
光反射層4に含有される光輝性顔料は、光反射層4に求められる光反射性等を考慮して適宜選択することができる。光輝性顔料は、光の干渉によって光輝性を発揮する顔料である。光輝性顔料としては、例えば、金属粉顔料、パール顔料等が挙げられる。光輝性顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0090】
金属粉顔料としては、例えば、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、錫、亜鉛、ブロンズ、ニッケル、銅、金、銀、これらの合金等の金属粉が挙げられる。金属粉顔料は、好ましくは、アルミニウム粉である。金属粉顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
パール顔料としては、例えば、表層に金属酸化物を含む粒子が挙げられる。表層に金属酸化物を含む粒子としては、例えば、金属酸化物及び/又はその水和物で被覆された雲母等の鱗片状粒子が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、チタン、鉄、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、セリウム等の金属の酸化物が挙げられる。金属酸化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。パール顔料の具体例としては、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、紺青−酸化鉄被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆合成マイカ等の酸化物被覆雲母;酸化チタン被覆ガラス粉末、酸化鉄被覆ガラス粉末等の酸化物被覆ガラス粉末;酸化チタン被覆アルミニウム粉末等の酸化物被覆金属粒子;塩基性炭酸鉛、砒酸水素鉛、酸化塩化ビスマス等の鱗片状箔片;魚鱗粉、貝殻片、真珠片等が挙げられる。
【0092】
光輝性顔料の形状としては、例えば、球状、粒状、針状、鱗片状(フレーク状)、不定形状等が挙げられる。光反射層4には、通常、異なる2種以上の形状を有する光輝性顔料が含有される。光反射性顔料の形状は、鱗片状(フレーク状)であることが好ましい。これにより、光反射層4の光反射性を高めることができる。また、光反射層4が変形した場合にも、光反射層4の変形部分(例えば、折曲部分、湾曲部分等)における光反射性を維持することができる。鱗片状の光輝性顔料は、常法に従って作製することができる。例えば、鱗片状の金属粉顔料は、蒸着によりフィルム上に形成させた金属薄膜を、フィルムから剥離した後、粉砕することにより作製することができる。
【0093】
光輝性顔料の平均粒径は、光輝性顔料の光反射性、インキ組成物中での分散性等を考慮して適宜調整することができる。鱗片状の光輝性顔料の厚さ(薄膜の厚さ)は、通常5nm以上5μm以下、好ましくは10nm以上1μm以下、さらに好ましくは15nm以上100nm以下である。鱗片状の光輝性顔料における厚さ方向に直交する面方向の長さは、通常5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上50μm以下である。なお、鱗片状の光輝性顔料のサイズ(厚さ及び面方向の長さ)は、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡)による光反射層4の断面画像から、画像処理ソフトウェアを使用して求めることができる。また、断面電子顕微鏡の画像を使用して、縮尺を考慮した上で手動にて平均値を算出することにより、鱗片状の光輝性顔料のサイズを求めてもよい。
【0094】
光反射層4に含有される光輝性顔料の量は、光反射層4に求められる光反射性等を考慮して適宜調整することができる。光反射層4に含有される光輝性顔料の量は、光反射層4に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、通常5質量部以上1000質量部以下、好ましくは10質量部以上900質量部以下である。
【0095】
図6に示すように、光反射層4は、厚さ方向Zに重なって存在する複数の鱗片状の光輝性顔料31を含有することが好ましい。これにより、光反射層4の光反射性を高めることができる。また、加飾シート11の三次元成形により光反射層4が変形した場合にも、光反射層4の変形部分(例えば、折曲部分、湾曲部分等)における光反射性を維持することができる。厚さ方向Zに重なる光輝性顔料31の数は、通常2以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上である。
【0096】
光反射層4は、例えば、印刷層である。印刷法に関する説明は上記と同様であるので省略する。光反射層4の形成に使用されるインキ組成物は、例えば、溶剤と、光輝性顔料、バインダー樹脂等の固形分との混合物である。インキ組成物は、その他の成分として、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含んでもよい。溶剤に関する説明は上記と同様であるので省略する。溶剤は最終的に揮発するため、光反射層4は、主として、光輝性顔料、バインダー樹脂等の固形分により形成される。
【0097】
光反射層4の形成に使用されるインキ組成物は、例えば、ミラーインキ、シルバーインキ等のメタリックインキである。光反射層4の形成に使用されるインキ組成物は、好ましくは、ミラーインキ又はシルバーインキであり、さらに好ましくは、ミラーインキである。
【0098】
光反射層4は、好ましくは銀色である。これにより、光反射層4が、第1主面S1側の外部から視認される加飾シート11の外観に悪影響を及ぼすことを防止することができる。また、光反射層4が、着色隠蔽層2と同様の作用を発揮するので、着色隠蔽層2を省略することができ、加飾シート11の厚さの低減及び三次元成形性の向上を実現することができる。なお、銀色は、金属光沢を有する無彩色(白色又は灰色)である。
【0099】
光反射層4の厚さは、光反射層4に求められる光反射性、加飾シート11の三次元加工性等を考慮して適宜調整することができる。光反射層4の厚さは、通常5nm以上5μm以下、好ましくは10nm以上1μm以下、さらに好ましくは15nm以上100nm以下である。
【0100】
[光透過部]
図1及び図2に示すように、加飾シート11には、平面視において点在する複数の光透過部5が形成されている。上述のように、光透過部5は、平面視において、ランダムなパターンで配置されている。図5に示すように、複数の光透過部5は、第2光透過層7から第1光透過層6まで厚さ方向Zに延在している。
【0101】
それぞれの光透過部5は、光透過性を有する。それぞれの光透過部5の全光線透過率は、通常50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。なお、全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定される。
【0102】
図5に示すように、それぞれの光透過部5は、加飾シート11の厚さ方向Zに延在しており、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54を有する。本実施形態において、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54は一体となっている。但し、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54のうち隣接する2つの部分は別体であってもよい。
【0103】
第1部分51は、装飾層1を通過する部分である。本実施形態における第1部分51は、装飾層1を貫通しており、装飾層1と接している。本発明には、装飾層1の上層(例えば、第1光透過層6)の一部又は装飾層1の下層(例えば、着色隠蔽層2、光拡散層3、光反射層4又は第2光透過層7)の一部が、第1部分51と装飾層1との間に存在する実施形態が包含される。第1部分51と装飾層1との間に存在する上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。第1部分51と装飾層1との間に存在する下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。
【0104】
本実施形態における第1部分51は第1光透過層6と一体となっている。但し、第1部分51は第1光透過層6と別体であってもよい。
【0105】
第2部分52は、着色隠蔽層2を通過する部分である。本実施形態において、第2部分52と着色隠蔽層2との間には、装飾層1の一部P1が存在しており、第2部分52は、着色隠蔽層2と接していない。装飾層1の一部P1は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。具体的には、着色隠蔽層2の第1主面S1側に装飾層1を形成する際に、装飾層1を形成するためのインキ組成物が着色隠蔽層2に隣接する空間に充填され、これにより、第2部分52と着色隠蔽層2との間に介在する装飾層1の一部P1が形成される。
【0106】
本発明には、装飾層1の一部P1が存在せず、第2部分52が着色隠蔽層2と接している(すなわち、第2部分52が着色隠蔽層2を貫通する)実施形態も包含され、当該実施形態において、装飾層1の一部P1が存在していた部分は、着色隠蔽層2で構成されてもよいし、第2部分52で構成されてもよい。
【0107】
本発明には、装飾層1以外の着色隠蔽層2の上層(例えば、第1光透過層6)の一部が、第2部分52と着色隠蔽層2との間に存在する実施形態も包含される。このような上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。また、本発明には、着色隠蔽層2の下層(例えば、光拡散層3、光反射層4又は第2光透過層7)の一部が、第2部分52と着色隠蔽層2との間に存在する実施形態が包含される。このような下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。例えば、着色隠蔽層2の第2主面S2側に光拡散層3を形成する際に、光拡散層3を形成するためのインキ組成物が着色隠蔽層2に隣接する空間に充填され、これにより、第2部分52と着色隠蔽層2との間に介在する光拡散層3の一部が形成される。
【0108】
本実施形態における第2部分52は第1部分51と一体となっている。但し、第2部分52は第1部分51と別体であってもよい。
【0109】
第3部分53は、光拡散層3を通過する部分である。本実施形態において、第3部分53と光拡散層3との間には、装飾層1の一部P2が存在しており、第3部分53は、光拡散層3と接していない。装飾層1の一部P2は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。具体的には、着色隠蔽層2の第1主面S1側に装飾層1を形成する際に、装飾層1を形成するためのインキ組成物が光拡散層3に隣接する空間に充填され、これにより、第3部分53と光拡散層3との間に介在する装飾層1の一部P2が形成される。
【0110】
本発明には、装飾層1の一部P2が存在せず、第3部分53が光拡散層3と接している(すなわち、第3部分53が光拡散層3を貫通する)実施形態も包含され、当該実施形態において、装飾層1の一部P2が存在していた部分は、光拡散層3で構成されてもよいし、第3部分53で構成されてもよい。
【0111】
本発明には、装飾層1以外の光拡散層3の上層(例えば、第1光透過層6又は着色隠蔽層2)の一部が、第3部分53と光拡散層3との間に存在する実施形態も包含される。このような上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。また、本発明には、光拡散層3の下層(例えば、光反射層4又は第2光透過層7)の一部が、第3部分53と光拡散層3との間に存在する実施形態が包含される。このような下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。例えば、光拡散層3の第2主面S2側に光反射層4を形成する際に、光反射層4を形成するためのインキ組成物が光拡散層3に隣接する空間に充填され、これにより、第3部分53と光拡散層3との間に介在する光反射層4の一部が形成される。
【0112】
本実施形態における第3部分53は第2部分52と一体となっている。但し、第3部分53は第2部分52と別体であってもよい。
【0113】
第4部分54は、光反射層4を通過する部分である。本実施形態における第4部分54は、光反射層4を貫通しており、光反射層4と接している。本発明には、光反射層4の上層(例えば、第1光透過層6、装飾層1、着色隠蔽層2又は光拡散層3)の一部又は光反射層4の下層(例えば、第2光透過層7)の一部が、第4部分54と光反射層4との間に存在する実施形態が包含される。第4部分54と光反射層4との間に存在する上層の一部は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。第4部分54と光反射層4との間に存在する下層の一部は、例えば、印刷法を使用して第1主面S1側から順に各層を形成する場合に形成される。図9及び図10に示す実施形態では、装飾層1の一部P3が第4部分54と光反射層4との間に存在している。装飾層1の一部P3は、例えば、印刷法を使用して第2主面S2側から順に各層を形成する場合に形成される。具体的には、着色隠蔽層2の第1主面S1側に装飾層1を形成する際に、装飾層1を形成するためのインキ組成物が光反射層4に隣接する空間に充填され、これにより、第4部分54と光反射層4との間に介在する装飾層1の一部P3が形成される。
【0114】
本実施形態における第4部分54は第2光透過層7と別体となっている。但し、第4部分54は第2光透過層7と一体であってもよい。
【0115】
本実施形態において、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54は、それぞれ、装飾層1に形成された貫通孔の全体、着色隠蔽層2に形成された貫通孔の一部(残部には装飾層1の一部P1が存在する)、光拡散層3に形成された貫通孔の一部(残部には装飾層1の一部P2が存在する)及び光反射層4に形成された貫通孔の全体に、第1光透過層6を構成する光透過性物質が充填されることにより形成されている。但し、装飾層1、着色隠蔽層2、光拡散層3又は光反射層4に形成された貫通孔のうち光透過性物質が充填される割合は適宜変更可能である。また、装飾層1、着色隠蔽層2、光拡散層3又は光反射層4に形成された貫通孔に充填される光透過性物質の種類は適宜変更可能である。例えば、装飾層1、着色隠蔽層2、光拡散層3又は光反射層4に形成された貫通孔に、第1光透過層6を構成する光透過性物質とは異なる光透過性物質が充填されていてもよい。光透過性物質は、光透過性を有する限り特に限定されないが、無色透明な樹脂、無色透明な気体等の無色透明な物質が好ましい。また、装飾層1、着色隠蔽層2、光拡散層3又は光反射層4に形成された貫通孔に充填される光透過性物質は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0116】
図4に示すように、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状は、それぞれ、直径D51、D52、D53及びD54の円形状である。第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状は適宜変更可能である。第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状は、例えば、楕円形状、矩形状、台形状、多角形状等であってもよい。
【0117】
第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状のサイズ及び面積は、光透過部5の光透過性等を考慮して適宜調整することができる。第1部分51の平面視形状のサイズは、通常10μm以上300μm以下、好ましくは15μm以上200μm以下、さらに好ましくは20μm以上100μm以下であり、第2部分52の平面視形状のサイズは、通常15μm以上350μm以下、好ましくは20μm以上250μm以下、さらに好ましくは25μm以上200μm以下であり、第3部分53の平面視形状のサイズは、通常15μm以上350μm以下、好ましくは20μm以上250μm以下、さらに好ましくは25μm以上200μm以下であり、第4部分54の平面視形状のサイズは、通常5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上80μm以下、さらに好ましくは15μm以上70μm以下である。ある部分の「平面視形状のサイズ」は、当該部分の平面視形状が円形状である場合には、その直径を意味し、当該部分の平面視形状が円形以外の形状である場合には、当該部分の平面視形状の外形線に外接する円の直径を意味する。第1部分51の平面視形状の面積は、通常75μm以上90000μm以下、好ましくは168μm以上40000μm以下、さらに好ましくは300μm以上10000μm以下であり、第2部分52の平面視形状の面積は、通常168μm以上122500μm以下、好ましくは300μm以上62500μm以下、さらに好ましくは468μm以上40000μm以下であり、第3部分53の平面視形状の面積は、通常168μm以上122500μm以下、好ましくは300μm以上62500μm以下、さらに好ましくは468μm以上40000μm以下であり、第4部分54の平面視形状の面積は、通常18μm以上10000μm以下、好ましくは75μm以上6400μm以下、さらに好ましくは168μm以上4900μm以下である。
【0118】
第1主面S1の面積に対する、第1部分51の平面視形状の合計面積の割合は、通常5%以上50%以下、好ましくは10%以上40%以下、さらに好ましくは15%以上30%以下である。当該面積の割合は、平面視において測定される。
【0119】
第1主面S1の面積に対する、第4部分54の平面視形状の合計面積の割合は、通常2%以上50%以下、好ましくは3%以上40%以下、さらに好ましくは5%以上30%以下である。当該面積の割合は、平面視において測定される。
【0120】
本実施形態において、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状(円形状)の中心は一致しており、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状のサイズは、直径D51=直径D52=直径D53>直径D54を満たす。但し、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の位置及び平面視形状のサイズは、第1部分51、第2部分52及び第3部分53が、平面視において第4部分54と重なる部分を有する範囲内において適宜変更可能である。
【0121】
加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質低下を防止する観点からは、平面視において、第4部分54の全体が、第1部分51の少なくとも一部、第2部分52の少なくとも一部及び第3部分53の少なくとも一部と重なっており、かつ、平面視において、第1部分51の全体が、第2部分52の少なくとも一部及び第3部分53の少なくも一部と重なっていることが好ましい。例えば、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状(円形状)の中心が一致している実施形態においては、直径D52≧直径D51≧直径D54、及び、直径D53≧直径D51≧直径D54を満たすことが好ましい。直径D52と直径D53との大小関係は特に限定されない。
【0122】
着色隠蔽層2、光拡散層3及び光反射層4が、第1主面S1側の外部から視認される加飾シート11の外観に悪影響を及ぼすことを防止する観点からは、平面視において、第1部分51の全体が、第2部分52の少なくとも一部、第3部分53の少なくとも一部及び第4部分54の少なくとも一部と重なっていることが好ましい。例えば、第1部分51、第2部分52、第3部分53及び第4部分54の平面視形状(円形状)の中心が一致している実施形態においては、直径D52≧直径D54≧直径D51、及び、直径D53≧直径D54≧直径D51を満たすことが好ましい。直径D52と直径D53との大小関係は特に限定されない。図9及び図10に示す実施形態では、第1部分51の全体が、第2部分52の一部、第3部分53の一部及び第4部分54の一部と重なっており、直径D52≧直径D54≧直径D51、及び、直径D53≧直径D54≧直径D51を満たす。
【0123】
本実施形態において、直径D51は直径D54より大きく(直径D51>直径D54)、平面視において、第1部分51の中心は、第4部分54の中心と一致しており、これにより、平面視において、第4部分54の全体が、第1部分51の少なくとも一部と重なっている。平面視において、第4部分54の全体が、第1部分51の少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第4部分54は、装飾層1と重ならない。したがって、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第4部分54の全体が、第1部分51の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D51は直径D54と等しくてもよい(直径D51=直径D54)。また、第1部分51の中心は、平面視において第4部分54の中心と一致していなくてもよい。
【0124】
本実施形態において、直径D52は直径D54より大きく(直径D52>直径D54)、平面視において、第2部分52の中心は、第4部分54の中心と一致しており、これにより、平面視において、第4部分54の全体が、第2部分52の少なくとも一部と重なっている。平面視において、第4部分54の全体が、第2部分52の少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第4部分54は、着色隠蔽層2と重ならない。したがって、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第4部分54の全体が、第2部分52の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D52は直径D54と等しくてもよい(直径D52=直径D54)。また、第2部分52の中心は、平面視において第4部分54の中心と一致していなくてもよい。
【0125】
本実施形態において、直径D53は直径D54より大きく(直径D53>直径D54)、平面視において、第3部分53の中心は、第4部分54の中心と一致しており、これにより、平面視において、第4部分54の全体が、第3部分53の少なくとも一部と重なっている。平面視において、第4部分54の全体が、第3部分53の少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第4部分54は、光拡散層3と重ならない。したがって、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、光拡散層3の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第4部分54の全体が、第3部分53の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D53は直径D54と等しくてもよい(直径D53=直径D54)。また、第3部分53の中心は、平面視において第4部分54の中心と一致していなくてもよい。
【0126】
本実施形態において、直径D52は直径D51と等しく(直径D52=直径D51)、平面視において、第2部分52の中心は、第1部分51の中心と一致しており、これにより、平面視において、第1部分51の全体が、第2部分52の少なくとも一部と重なっている。平面視において、第1部分51の全体が、第2部分52の少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第1部分51は、着色隠蔽層2と重ならない。したがって、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、着色隠蔽層2の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第1部分51の全体が、第2部分52の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D52は直径D51より大きくてもよい(直径D52>直径D51)。また、第2部分52の中心は、平面視において第1部分51の中心と一致していなくてもよい。
【0127】
本実施形態において、直径D53は直径D51と等しく(直径D53=直径D51)、平面視において、第3部分53の中心は、第1部分51の中心と一致しており、これにより、平面視において、第1部分51の全体が、第3部分53の少なくとも一部と重なっている。平面視において、第1部分51の全体が、第3部分53の少なくとも一部と重なっている場合、平面視において、第1部分51は、光拡散層3と重ならない。したがって、加飾シート11の第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、光拡散層3の影響を受けて低下することを防止することができる。平面視において、第1部分51の全体が、第3部分53の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D53は直径D51より大きくてもよい(直径D53>直径D51)。また、第3部分53の中心は、平面視において第1部分51の中心と一致していなくてもよい。
【0128】
[第1光透過層]
第1光透過層6は、装飾層1の第1主面S1側に設けられており、第1主面S1を形成している。第1光透過層6は、好ましくは透明であり、さらに好ましくは無色透明である。なお、透明には、無色透明の他、着色透明及び半透明も包含される。第1光透過層6は、場合により省略可能である。例えば、加飾シート11を構成する各層を第1主面S1側から順に形成する場合、第1光透過層6は基材として必要であるが、加飾シート11を構成する各層を第2主面S2側から順に形成する場合、第2光透過層7が基材となるので、第1光透過層6は省略可能である。
【0129】
第1光透過層6の全光線透過率は、通常70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。第1光透過層6のヘイズは、通常0.1%以上、好ましくは50%以下、さらに好ましくは5%以上30%以下である。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定され、ヘイズは、JIS K7136:2000に準拠して測定される。
【0130】
第1光透過層6は、例えば、表面保護層である。表面保護層は、加飾シート11に耐薬品性、耐傷性、耐摩耗性等の表面特性を付与し、加飾シート11の表面を保護する層であり、通常、加飾シート11の最も外側に設けられる。表面保護層は、例えば、JIS K 5600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を有する。
【0131】
第1光透過層6は、例えば、樹脂層である。樹脂層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、硬化樹脂層等が挙げられる。樹脂層は、樹脂フィルムであってもよい。樹脂層は、異なる材料で構成された2種以上の層を含んでもよい。樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
【0132】
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0133】
硬化樹脂層は、硬化性樹脂組成物の硬化物により形成された層である。硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する組成物である。硬化性樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
【0134】
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性樹脂の硬化反応に関与する成分、例えば、触媒、硬化剤(架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を含む)等を含有してもよい。
【0135】
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波及び荷電粒子線のうち、分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものであり、紫外線(UV)及び電子線(EB)の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も包含するが、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が使用される。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、第1光透過層6の形成において好適に使用される。
【0136】
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合、エポキシ基等を分子中に有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等の1種以上を使用することができる。
【0137】
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0138】
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端又は側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート等であってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0139】
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。
【0140】
電離放射線硬化性樹脂組成物には、第1光透過層6に求められる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
【0141】
第1光透過層6は光拡散性を有していてもよい。第1光透過層6に光拡散材を配合することにより、第1光透過層6に光拡散性を付与することができる。光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。
【0142】
第1光透過層6の厚さは、第1光透過層6に求められる光透過性、加飾シート11の三次元成形性等を考慮して適宜調整することができる。第1光透過層6の厚さは、通常1μm以上0.3mm以下、好ましくは1μm以上0.15mm以下、さらに好ましくは1.5μm以上0.08mm以下である。
【0143】
[第2光透過層]
第2光透過層7は、光反射層4の第2主面S2側に設けられており、第2主面S2を形成している。第2光透過層7は、好ましくは透明であり、さらに好ましくは無色透明である。なお、透明には、無色透明の他、着色透明及び半透明も包含される。第2光透過層7は、場合により省略可能である。例えば、加飾シート11を構成する各層を第2主面S2側から順に形成する場合、第2光透過層7は基材として必要であるが、加飾シート11を構成する各層を第1主面S1側から順に形成する場合、第1光透過層6が基材となるので、第2光透過層7は省略可能である。
【0144】
第2光透過層7の全光線透過率は、通常70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。第2光透過層7のヘイズは、通常0.1%以上99%以下、好ましくは5%以上80%以下である。全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定され、ヘイズは、JIS K7136:2000に準拠して測定される。
【0145】
第2光透過層7は、例えば、基材層である。基材層は、その他の層を支持する支持体としての役割を果たす層である。
【0146】
第2光透過層7は、例えば、樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。第2光透過層7を構成する樹脂は、三次元成形性等を考慮して適宜選択することができる。第2光透過層7を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。第2光透過層7を構成する樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせてあってもよい。また、第2光透過層7は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0147】
第2光透過層7は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。第2光透過層7の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、第2光透過層7の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、第2光透過層7を構成する樹脂の種類等を考慮して適宜選択することができる。
【0148】
第2光透過層7は光拡散性を有していてもよい。第2光透過層7に光拡散材を配合することにより、第2光透過層7に光拡散性を付与することができる。光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。
【0149】
第2光透過層7の厚さは、第2光透過層7に求められる特性等を考慮して適宜調整することができる。第2光透過層7の厚さは、通常1μm以上0.3mm以下、好ましくは1μm以上0.15mm以下、さらに好ましくは1.5μm以上0.08mm以下である。
【0150】
加飾シート11は、プライマー層、接着層等のその他の層を有していてもよい。
【0151】
プライマー層は、層間密着性を高めること等を目的として、必要に応じて設けられる層である。プライマー層は、樹脂により形成することができる。プライマー層を形成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、好ましくは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。プライマー層の厚さは、通常0.1μm以上5μm以下、好ましくは0.5μm以上2μm以下、さらに好ましくは1μm以上1.5μm以下である。
【0152】
接着層は、加飾シート11と被着体との密着性又は接着性を向上させること等を目的として、第2光透過層7の裏面に必要に応じて設けられる層である。接着層を形成する樹脂としては、加飾シート11と被着体との密着性又は接着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。接着層の厚さは、通常0.02mm以上1mm以下、好ましくは0.03mm以上0.15mm以下、さらに好ましくは0.04mm以上0.1mm以下である。
【0153】
<加飾シートの製造方法>
図11及び図12に基づいて、本発明の一実施形態に係る加飾シートの製造方法について説明する。図11及び図12は、本発明の一実施形態に係る加飾シートの製造方法を説明する図である。
【0154】
本発明の一実施形態に係る加飾シート11は、例えば、以下の工程(a)〜(e)を含む方法により製造することができる。
【0155】
図11に示すように、工程(a)は、第2光透過層7上に光反射層4を抜きパターンで形成する工程である。工程(a)では、例えば、印刷法により、光反射層4を抜きパターンで形成する。面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)光反射層4を形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、光反射層4に抜きパターンを形成してもよい。
【0156】
抜きパターンで形成された光反射層4には、光反射層4を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H41が形成されている。複数の貫通孔H41は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H41の平面視形状は、直径D41の円形である。貫通孔H41の形状は適宜変更可能である。貫通孔H41の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
【0157】
それぞれの貫通孔H41の平面視形状のサイズは、通常5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上80μm以下、さらに好ましくは15μm以上70μm以下である。貫通孔H41の平面視形状のサイズは、貫通孔H41の平面視形状が円形である場合には、直径D41を意味し、貫通孔H41の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H41の外形線に外接する円の直径を意味する。貫通孔H41の平面視形状の面積は、通常18μm以上10000μm以下、好ましくは75μm以上6400μm以下、さらに好ましくは168μm以上4900μm以下である。
【0158】
図11に示すように、工程(b)は、工程(a)の後、光反射層4上に光拡散層3を抜きパターンで形成する工程である。工程(b)では、例えば、印刷法により、光拡散層3を抜きパターンで形成する。面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)光拡散層3を形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、光拡散層3に抜きパターンを形成してもよい。
【0159】
抜きパターンで形成された光拡散層3には、光拡散層3を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H31が形成されている。複数の貫通孔H31は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H31は、対応する位置に存在する貫通孔H41と連通している。それぞれの貫通孔H31の平面視形状は、直径D31の円形である。貫通孔H31の形状は適宜変更可能である。貫通孔H31の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
【0160】
それぞれの貫通孔H31の平面視形状のサイズは、通常15μm以上350μm以下、好ましくは20μm以上250μm以下、さらに好ましくは25μm以上200μm以下である。貫通孔H31の平面視形状のサイズは、貫通孔H31の平面視形状が円形である場合には、直径D31を意味し、貫通孔H31の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H31の外形線に外接する円の直径を意味する。貫通孔H31の平面視形状の面積は、通常168μm以上122500μm以下、好ましくは300μm以上62500μm以下、さらに好ましくは468μm以上40000μm以下である。
【0161】
平面視において、貫通孔H31の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、光拡散層3の全体と重なるように、光拡散層3を形成することができる。
【0162】
本実施形態において、直径D31は直径D41より大きく(直径D31>直径D41)、平面視において、貫通孔H31の中心は、貫通孔H41の中心と一致しており、これにより、平面視において、貫通孔H31の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている。平面視において、貫通孔H31の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D31は直径D41と等しくてもよい(直径D31=直径D41)。また、平面視において、貫通孔H31の中心は、貫通孔H41の中心と一致していなくてもよい。
【0163】
図11に示すように、工程(c)は、工程(b)の後、光拡散層3上に着色隠蔽層2を抜きパターンで形成する工程である。工程(c)では、例えば、印刷法により、着色隠蔽層2を抜きパターンで形成する。面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)着色隠蔽層2を形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、着色隠蔽層2に抜きパターンを形成してもよい。
【0164】
抜きパターンで形成された着色隠蔽層2には、着色隠蔽層2を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H21が形成されている。複数の貫通孔H21は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H21は、対応する位置に存在する貫通孔H31と連通している。それぞれの貫通孔H21の平面視形状は、直径D21の円形である。貫通孔H21の形状は適宜変更可能である。貫通孔H21の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
【0165】
それぞれの貫通孔H21の平面視形状のサイズは、通常15μm以上350μm以下、好ましくは20μm以上250μm以下、さらに好ましくは25μm以上200μm以下である。貫通孔H21の平面視形状のサイズは、貫通孔H21の平面視形状が円形である場合には、直径D21を意味し、貫通孔H21の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H21の外形線に外接する円の直径を意味する。貫通孔H21の平面視形状の面積は、通常168μm以上122500μm以下、好ましくは300μm以上62500μm以下、さらに好ましくは468μm以上40000μm以下である。
【0166】
平面視において、貫通孔H21の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なるように、着色隠蔽層2を形成することができる。
【0167】
本実施形態において、直径D21は直径D41より大きく(直径D21>直径D41)、平面視において、貫通孔H21の中心は、貫通孔H41の中心と一致しており、これにより、平面視において、貫通孔H21の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている。平面視において、貫通孔H21の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D21は直径D41と等しくてもよい(直径D21=直径D41)。また、平面視において、貫通孔H21の中心は、貫通孔H41の中心と一致していなくてもよい。
【0168】
本実施形態において、直径D21は直径D31と等しく(直径D21=直径D31)、平面視において、貫通孔H21の中心は、貫通孔H31の中心と一致している。平面視において、貫通孔H21の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D21は、直径D31より大きくてもよいし(直径D21>直径D31)、直径D31より小さくてもよい(直径D21<直径D31)。また、平面視において、貫通孔H21の中心は、貫通孔H31の中心と一致していなくてもよい。
【0169】
図12に示すように、工程(d)は、工程(c)の後、着色隠蔽層2上に装飾層1を抜きパターンで形成する工程である。工程(d)では、例えば、印刷法により、装飾層1を抜きパターンで形成する。面方向に連続した(すなわち、抜きパターンを有しない)装飾層1を形成した後、切削加工、レーザー加工等の公知の微細孔形成技術を使用して、装飾層1に抜きパターンを形成してもよい。
【0170】
抜きパターンで形成された装飾層1には、装飾層1を厚さ方向Zに貫通する複数の貫通孔H11が形成されている。複数の貫通孔H11は、平面視において点在している。それぞれの貫通孔H11は、対応する位置に存在する貫通孔H21と連通している。それぞれの貫通孔H11の平面視形状は、直径D11の円形である。貫通孔H11の形状は適宜変更可能である。貫通孔H11の平面視形状は、例えば、楕円形、矩形、台形、多角形等であってもよい。
【0171】
それぞれの貫通孔H11の平面視形状のサイズは、通常10μm以上300μm以下、好ましくは15μm以上200μm以下、さらに好ましくは20μm以上100μm以下である。貫通孔H11の平面視形状のサイズは、貫通孔H11の平面視形状が円形である場合には、直径D11を意味し、貫通孔H11の平面視形状が円形以外の形状である場合は、平面視において、貫通孔H11の外形線に外接する円の直径を意味する。貫通孔H11の平面視形状の面積は、通常75μm以上90000μm以下、好ましくは168μm以上40000μm以下、さらに好ましくは300μm以上10000μm以下である。
【0172】
平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H21の少なくとも一部と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、着色隠蔽層2の全体と重なるように、装飾層1を形成することができる。
【0173】
本実施形態において、直径D11は直径D21より小さく(直径D11<直径D21)、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H21の中心と一致しており、これにより、平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H21の少なくとも一部と重なっている。平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H21の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D11は直径D21と等しくてもよい(直径D11=直径D21)。また、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H21の中心と一致していなくてもよい。
【0174】
平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H31の少なくとも一部と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、光拡散層3の全体と重なるように、装飾層1を形成することができる。
【0175】
本実施形態において、直径D11は直径D31より小さく(直径D11<直径D31)、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H31の中心と一致しており、これにより、平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H31の少なくとも一部と重なっている。平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H31の少なくとも一部と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D11は直径D31と等しくてもよい(直径D11=直径D31)。また、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H31の中心と一致していなくてもよい。
【0176】
映像光の品質低下を防止する観点からは、平面視において、貫通孔H11の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、光反射層4の少なくとも一部が、装飾層1の全体と重なるように、装飾層1を形成することができる。
【0177】
本実施形態において、直径D11は直径D41より大きく(直径D11>直径D41)、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H41の中心と一致しており、これにより、平面視において、貫通孔H11の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている。平面視において、貫通孔H11の少なくとも一部が、貫通孔H41の全体と重なっている状態を維持しながら、本実施形態に変更を加えることができる。例えば、直径D11は直径D41と等しくてもよい(直径D11=直径D41)。また、平面視において、貫通孔H11の中心は、貫通孔H41の中心と一致していなくてもよい。
【0178】
加飾シート11の外観への悪影響を防止する観点からは、平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H41の少なくとも一部と重なっていることが好ましい。これにより、平面視において、装飾層1の少なくとも一部が、光反射層4の全体と重なるように、装飾層1を形成することができる。平面視において、貫通孔H11の全体が、貫通孔H41の少なくとも一部と重なっている実施形態では、直径D11≦直径D41である。
【0179】
装飾層1を印刷法により形成を使用する場合、工程(d)において、装飾層1を形成するためのインキ組成物が着色隠蔽層2に隣接する空間(貫通孔H21の一部)及び光拡散層3に隣接する空間(貫通孔H31の一部)に充填されることにより、装飾層1の一部P1及びP2が形成される。なお、直径D11=直径D21である場合、装飾層1の一部P1は形成されない。また、直径D11=直径D31である場合、装飾層1の一部P2は形成されない。
【0180】
図12に示すように、工程(e)は、工程(d)の後、装飾層1上に第1光透過層6を形成する工程である。
【0181】
第1光透過層6を形成するための組成物は、装飾層1に形成された貫通孔H11の全体、着色隠蔽層2の貫通孔H21の一部(残部には装飾層1の一部P1が存在する)、光拡散層3に形成された貫通孔H31の一部(残部には装飾層1の一部P2が存在する)及び光反射層4に形成された貫通孔H41の全体に充填される。こうして、光透過部5が形成される。
【0182】
第1光透過層6を形成するための組成物(塗工液)としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物等を使用することができる。熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、例えば、装飾層1上に熱硬化性樹脂組成物を塗布し、加熱して硬化させることにより、第1光透過層6を形成することができる。電離放射線硬化性樹脂組成物を使用する場合、例えば、装飾層1上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることにより、第1光透過層6を形成することができる。熱可塑性樹脂組成物を使用する場合、例えば、装飾層1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることにより、第1光透過層6を形成することができる。
【0183】
第1光透過層6を形成するための組成物を塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法等の塗布法が挙げられる。
【0184】
第1光透過層6を形成するための組成物(塗工液)としては、電離放射線硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。この場合、第1光透過層6は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層である。
【0185】
電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるための電離放射線として紫外線を使用する場合には、紫外線源として、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源を使用することができる。紫外線の波長は、例えば、190〜380nm程度である。電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるための電離放射線として電子線を使用する場合には、電子線源として、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の電子線加速器を使用することができる。電子線のエネルギーは、好ましくは100〜1000keV程度、さらに好ましくは100〜300keV程度である。電子線の照射量は、好ましくは2〜15Mrad程度である。
【0186】
塗工液は、粘度を調整する目的で溶媒を含んでもよい。溶媒としては、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。塗工液中の溶媒の量は、塗工液の粘度に応じて適宜設定することができる。
【0187】
塗工液には、望まれる物性に応じて、公知の添加剤を適宜配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
【0188】
加飾シート11の製造方法は、上記方法に限定されるものではない。例えば、各層を別々に形成した後、積層してもよい。また、各層を貫通孔がない状態で形成した後、ニードル、エッチング等の公知の微細孔形成技術を使用して、貫通孔を形成してもよい。
【0189】
<加飾成形品>
図13に基づいて、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」という)に係る加飾成形品10について説明する。図13は、加飾成形品10の構成を模式的に示す断面図である。
【0190】
図13に示すように、加飾成形品10は、加飾シート11の三次元成形体11’と、加飾シート11の三次元成形体11’の第2主面S2側に設けられた被着体12とを備える。本実施形態において、加飾成形品10が備える加飾シート11は三次元成形されているが、本発明には、加飾成形品10が備える加飾シート11が平板状である実施形態も包含される。
【0191】
図13に示すように、加飾成形品10は、第1主面T1と、第1主面T1の反対側に位置する第2主面T2とを有する。加飾成形品10の第1主面T1は、加飾シート11の三次元成形体11’の第1主面S1側に位置し、加飾成形品10の第2主面T2は、加飾シート11の三次元成形体11’の第2主面S2側に位置する。
【0192】
本実施形態において、加飾シート11の三次元成形体11’は、湾曲形状を有する。加飾シート11の三次元成形体11’は、湾曲形状に代えて又は湾曲形状に加えて、折曲形状を有していてもよい。光反射層4は、加飾シート11の三次元成形により変形しているが、光反射層4の変形部分(例えば、折曲部分、湾曲部分等)における光反射性を維持することができる。したがって、加飾シート11の三次元成形体11’は、第2主面S2に投射され、第1主面S1から出射される映像光の品質が、装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。
【0193】
加飾成形品10は、例えば、加飾シート11を使用して、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により製造することができる。これらの射出成形法の中でも、インサート成形法及び射出成形同時加飾法が好ましい。また、加飾成形品10は、予め用意された立体的な樹脂成形体(被着体12の一例)上に、加飾シート11又はその成形体を貼着する、真空圧着法等の加飾方法によっても製造することができる。このような真空圧着法としては、例えば、TOM法(Three dimension Overlay Method)等が挙げられる。
【0194】
インサート成形法としては、例えば、
加飾シート11を加熱して軟化させた後、真空成形型により三次元形状に真空成形し、必要に応じて真空成形された加飾シート11の余分な部分をトリミングし、加飾シート11の三次元成形体11’を形成する工程、及び
加飾シート11の三次元成形体11’を射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めして形成されたキャビティ内に流動状態の樹脂を射出して加飾シート11の三次元成形体11’の第2主面S2側に樹脂を一体化する工程
を含む方法が挙げられる。
【0195】
インサート成形法の一例では、熱盤により加飾シート11を加熱して軟化させた後、真空成形工程において、軟化させた加飾シート11を真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、必要に応じて余分な部分をトリミングし、加飾シート11の三次元成形体11’を得る。次いで、加飾シート11の三次元成形体11’を射出成形型(例えば、射出成形金型)に挿入し、射出成形型を型締めし、射出成形型を型締めして形成されたキャビティ内において、流動状態の樹脂を三次元成形体11’の第2主面S2側に向けて射出し、充填された樹脂を固化させて樹脂成形体(被着体12の一例)の外表面に加飾シート11の三次元成形体11’を一体化させることにより、加飾成形品10を製造することができる。
【0196】
真空成形工程において、加飾シート11を加熱して軟化させる時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シート11を構成する樹脂の種類、加飾シート11の厚み等に応じて適宜調整することができるが、例えば120〜200℃程度である。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180〜320℃程度とすることができる。
【0197】
射出成形同時加飾法としては、例えば、
加飾シート11を加熱して軟化させる工程、
軟化させた加飾シート11を真空吸引して射出成形型(例えば、射出成形金型)の成形面に沿って密着させることにより予備成形する工程、及び
射出成形型を型締めして形成されたキャビティ内に流動状態の樹脂を射出して加飾シート11の第2主面S2側に樹脂を一体化する工程
を含む方法が挙げられる。
【0198】
射出成形同時加飾法の一例では、加飾シート11を射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に、加飾シート11の第1主面S1側が雌型側を向くように配置し、熱盤により加飾シート11を第2主面S2側から加熱して軟化させ、軟化させた加飾シート11を雌型側から真空吸引して雌型の成形面に沿って密着させることにより予備成形(オンライン予備成形)を行う。次いで、雌型及び雄型を型締めし、雌型と雄型を型締めして形成されたキャビティ内において、流動状態の樹脂を予備成形された加飾シート11の第2主面S2側に射出し、充填された樹脂を固化させて樹脂成形体(被着体12の一例)の外表面に加飾シート11を一体化させることにより、加飾成形品10を製造することができる。
【0199】
射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シート11の加熱温度は、特に限定されず、加飾シート11を構成する樹脂の種類、加飾シート11の厚み等に応じて適宜調整することができるが、例えば70〜130℃程度である。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、例えば180〜320℃程度とすることができる。
【0200】
被着体12は、例えば、加飾シート11の三次元成形体11’と一体化された樹脂成形体である。樹脂成形体は、好ましくは透明であり、さらに好ましくは無色透明である。なお、透明には、無色透明の他、着色透明及び半透明も包含される。樹脂成形体を構成する樹脂は、加飾成形品10の用途等に応じて適宜選択することができる。樹脂成形体を形成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0201】
図13に示すように、加飾成形品10は、加飾シート11の三次元成形体11’と被着体12との間に設けられた画像層13を有していてもよい。画像層13は、光透過性を有する所望の画像を形成している。加飾成形品10の第2主面T2に照射された照明光(例えば、白色光、単色光等)が画像層13を透過する際、画像層13の画像に対応する映像光が生成され、画像層13から出射される。そして、画像層13から出射された映像光は、加飾シート11の三次元成形体11’の第2主面S2に投射される。
【0202】
画像層13は、例えば、着色層、絵柄層又はこれらの組み合わせである。着色層及び絵柄層に関する説明は上記と同様であるので省略する。
【0203】
加飾成形品10が映像を表示するために必要な光拡散性は、被着体12が有していてもよいし、加飾シート11の三次元成形体11’が有していてもよい。
【0204】
例えば、第1光透過層6又は第2光透過層7に光拡散性を付与することにより、加飾シート11の三次元成形体11’に光拡散性を付与することができる。
【0205】
例えば、樹脂成形体を構成する樹脂に光拡散材を添加することにより、被着体12に光拡散性を付与することができる。光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。また、被着体12の表面に凹凸形状を形成することにより(例えば、被着体12として、表面に凹凸形状が形成された樹脂シートを使用することにより)、被着体12に光拡散性を付与することができる。樹脂シートを構成する樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。樹脂シートに凹凸形状を形成する方法としては、例えば、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、レーザー加工、エンボス加工等の物理的方法、溶剤等の薬品による腐食処理等の化学的方法、樹脂シートに微粒子を含有させる方法等が挙げられる。
【0206】
微粒子としては、例えば、合成樹脂粒子、無機粒子等が挙げられるが、三次元成形性を良好とする観点からは、合成樹脂粒子を使用することが好ましい。合成樹脂粒子としては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズ、ナイロンビーズ、スチレンビーズ、メラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、カオリン等が挙げられる。これらの微粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。微粒子の平均粒径は、微粒子の凹凸形成性、樹脂中での分散性等を考慮して適宜調整することができる。微粒子の平均粒径は6μm以上であることが好ましい。微粒子の平均粒径が6μm以上であることにより、樹脂シートの表面に十分な凹凸形状を形成することができる。微粒子の平均粒径は、例えば、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡)による被着体12の断面画像から、画像処理ソフトウェアを使用して求めることができる。また、断面電子顕微鏡の画像を使用して、縮尺を考慮した上で手動にて平均値を算出することにより、微粒子の平均粒径を求めてもよい。また、微粒子が単体で存在する場合、すなわち、被着体12に組み込まれる前の段階であれば、微粒子の平均粒径はレーザー散乱法によって測定することができる。微粒子の平均粒径の下限は、凹凸形成性をより向上させるために8μm以上であることがより好ましく、微粒子の平均粒径の上限は、粒子の凝集による被着体12の白化を抑制する観点から、10μm以下であることが好ましい。また、酸化チタン等の微粒子を光拡散材として使用する場合、微粒子の平均粒径は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、300nm以上700nm以下であることがさらに好ましい。樹脂シートに含有される微粒子の量は、被着体12に求められる光拡散性(凹凸形状の程度)等を考慮して適宜調整することができる。
【0207】
被着体12の厚さは、被着体12に求められる特性等を考慮して適宜調整することができる。被着体12の厚さは、被着体12に求められる特性等を考慮して適宜調整することができる。被着体12の厚さは、通常1μm以上300μm以下、好ましくは10μm以上200μm以下、さらに好ましくは20μm以上100μm以下である。
【0208】
加飾成形品10は、例えば、透過型スクリーン;自動車等の車両の内装材又は外装材(例えば、表示器のディスプレイ部材、警告ランプのカバー部材、ルームランプのカバー部材、フットランプのカバー部材、イルミネーションランプのカバー部材、車幅灯のカバー部材、ヘッドライトのカバー部材、テールランプのカバー部材、ウインカーのカバー部材等);住宅用又は商業用施設の内装材又は外装材(例えば、案内板、広告、看板等のディスプレイ部材;窓、ショーウインドウ等の採光器具;壁、扉、仕切り、浴室、寝室、ドアホン等に埋め込まれる表示器のディスプレイ部材);キッチン、机、椅子、棚、間仕切り、タンス、ゲタ箱、ベッド、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、洗濯機、テレビ、照明器具等の家具又は家電の筐体あるいはこれらの家具又は家電に埋め込まれる表示器のディスプレイ部材;避難経路表示器、火災報知機、警告灯等の表示器の筐体等の、様々な用途に使用することができる。
【0209】
加飾成形品10の第2主面T2に照射される光は、用途に応じて選択することができ、映像光であってもよいし、照明光であってもよい。映像光の光源としては、プロジェクタ、ディスプレイ等が使用される。また、照明光の光源としては、白熱電球、蛍光灯、LED等が使用される。
【0210】
加飾成形品10は、好ましくは、透過型スクリーンである。加飾成形品10が透過型スクリーンである場合、加飾成形品10は、通常、画像層13を有しない。加飾成形品10が透過型スクリーンである場合、加飾成形品10の第2主面T2に照射される光は、通常、映像光であり、その光源として、通常、プロジェクタが使用される。加飾成形品10が透過型スクリーンである場合、被着体12は着色透明であり、被着体12の全光線透過率は30〜60%であることが好ましい。なお、全光線透過率は、JIS K 7361−1:1997に準拠して測定される。
【0211】
加飾成形品10が画像層13を有する場合、加飾成形品10の第2主面T2に照射される光は、通常、照明光(例えば、白色光、単色光等)であり、その光源として、通常、照明光源が使用される。照明光源は、異なる2種以上の色の光を所定の順序で加飾成形品10の第2主面T2に照射してもよい。
【0212】
<背面投射型表示装置>
図14及び図15に基づいて、本発明の一実施形態に係る背面投射型表示装置100について説明する。図14は、背面投射型表示装置100の構成を模式的に示す一部断面図であり、図15は、背面投射型表示装置100に搭載された透過型スクリーン10Aの斜視図である。なお、図14に示す断面は、背面投射型表示装置100の奥行き方向に平行であって、かつ、鉛直方向に平行な断面である。
【0213】
背面投射型表示装置100は、太陽光、照明光等の外光の影響が大きい環境下で使用されるものであり、例えば、自動車、船舶等の内部(例えば、運転席、機関室等)に配置される車載用、船舶用等の背面投射型表示装置である。なお、これに限らず、室内等、通常、背面投射型表示装置の使用が想定される環境において使用することも可能である。
【0214】
図14に示すように、背面投射型表示装置100は、透過型スクリーン10Aと、光源部80と、筐体90とを備える。
【0215】
図14及び図15に示すように、透過型スクリーン10Aは、観察者O側(映像光の出光側)に凸となる湾曲形状を有している。
【0216】
図15に示すように、透過型スクリーン10Aは、その全体を見た場合、スクリーン面が三次元曲面をなすような湾曲形状を有している。本明細書において、「二次元曲面」とは、単一の軸を中心として二次元的に湾曲しているもの、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で二次元的に湾曲しているものを意味する。また、「三次元曲面」とは、互いに対して角度をなす複数の軸をそれぞれ中心として、部分的に又は全体的に湾曲しているもの意味するものとする。
【0217】
図15に示すように、透過型スクリーン10Aは、略矩形の板状の部材であり、正面方向から見た場合の対角線の一方と平行で透過型スクリーン10Aの第2主面T2(入光側に位置する背面)に位置する第1の軸A1を中心とした方向B1に透過型スクリーン10Aの第1主面T1(出光側に位置する観察面)に凸となるように湾曲し、かつ、他方の対角線と平行で透過型スクリーン10Aの第2主面T2側に位置する第2の軸A2を中心とした方向B2に透過型スクリーン10Aの第1主面T1側に凸となるように湾曲している。そして、透過型スクリーン10Aの第1主面T1において、その表示領域の幾何学的中心となる点C(透過型スクリーン10Aの平面形状をなす矩形状の一対の対角線が交わる点)が最も観察者側に突出する形態となっている。
【0218】
透過型スクリーン10Aは、第1主面T1(出光側に位置する観察面)の最も観察者側に凸となっている点Cにおける法線方向Nに直交する平面(即ち、最も観察者側に凸となった点Cでの接面)が、鉛直方向(画面上下方向)に平行となっている。透過型スクリーン10Aにおいて、湾曲形状の曲率半径は、2000mm以下であることが好ましく、250mm以上であり1500mm以下であることがより好ましい。
【0219】
なお、本実施形態において、透過型スクリーン10Aは、第1主面T1側(出光側に位置する観察面)に凸となる湾曲形状を有する例を示したが、これに限らず、例えば、光源側(入光側)に凸(即ち、観察者側へ凹)となるような湾曲形状を有していてもよい。また、第1主面T1側に凸となる部分と光源側に凸となる部分とを組み合わせた形状としてもよい。また、湾曲形状の軸となる第1の軸A1,第2の軸A2は、透過型スクリーン10Aを正面方向から見た場合の観察画面の矩形形状の対角線にそれぞれ平行である例を示したが、これに限らず、透過型スクリーン10Aを正面方向から見た場合に、観察画面の幾何学的中心となる点Cを通り画面上下方向に平行な方向と、画面左右方向に平行な方向とをそれぞれ第1の軸、第2の軸としてもよい。さらに、透過型スクリーン10Aは、湾曲形状を有していない平板状としてもよい。
【0220】
図14及び図15に示すように、透過型スクリーン10Aは、加飾シート11の三次元成形体11’と、加飾シート11の三次元成形体11’の第2主面S2側に設けられた被着体12Aとを備える。なお、透過型スクリーン10Aは、加飾成形品10の一例である。
【0221】
本実施形態において、加飾シート11の三次元成形体11’は、湾曲形状を有する。加飾シート11の三次元成形により光反射層4は変形しているが、光反射層4は、バインダー樹脂中に分散した光輝性顔料により光反射性を発揮するので、光反射層4の変形部分(例えば、折曲部分、湾曲部分等)における光反射性を維持することができる。したがって、透過型スクリーン10Aは、第2主面T2に投射され、第1主面T1から出射される映像光の品質が、装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。
【0222】
透過型スクリーン10Aが映像を表示するために必要な光拡散性は、被着体12Aが有していてもよいし、加飾シート11の三次元成形体11’が有していてもよい。加飾シート11の三次元成形体11’がこのような光拡散性を有する場合、例えば、第1光透過層6又は第2光透過層7に光拡散性を担わせることができる。
【0223】
被着体12Aが光拡散性を有さない場合、被着体12Aとしては、例えば、樹脂シート等を使用することができる。樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン(高密度、中密度又は低密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型又はシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0224】
被着体12Aが光拡散性を有する場合、被着体12Aとしては、表面に凹凸形状を形成した樹脂シート等を使用することができる。樹脂シートを構成する樹脂に関する説明は上記と同様であるので省略する。樹脂シートに凹凸形状を形成する方法としては、例えば、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、レーザー加工、エンボス加工等の物理的方法、溶剤等の薬品による腐食処理等の化学的方法、樹脂シートに微粒子を含有させる方法等が挙げられる。微粒子に関する説明は上記と同様であるので省略する。
【0225】
被着体12Aが光拡散性を有する場合、被着体12Aとしては、例えば、光拡散材を含有する樹脂シートを使用することができる。樹脂シートを構成する樹脂及び光拡散材に関する説明は上記と同様であるので省略する。
【0226】
被着体12Aの厚さは、被着体12Aに求められる特性等を考慮して適宜調整することができる。被着体12Aの厚さは、通常1μm以上300μm以下、好ましくは10μm以上200μm以下、さらに好ましくは20μm以上100μm以下である。
【0227】
透過型スクリーン10Aは、例えば、以下の製造方法により製造することができる。加飾シート11を所定の温度に加熱した後、真空成型により、所定の曲面形状を有した型に押圧して湾曲させ、冷却して湾曲形状を付与する。こうして、加飾シート11の三次元成形体11’を製造する。次に、加飾シート11の三次元成形体11’の第2主面S2側に被着体12Aを形成し、透過型スクリーン10Aを製造する。なお、被着体12Aは、加飾シート11の三次元成形前又は三次元成形時に、第2主面S2に形成してもよい。
【0228】
光源部80は、透過型スクリーン10Aに対してその背面側から映像光を投射する映像源である。本実施形態において、光源部80はプロジェクタであり、照射領域が次第に広がっていく発散光束(拡大投影された光束)として、透過型スクリーン10Aの第2主面T2の全域に映像光を投射する。光源部80としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、レーザーを利用したピコプロジェクタ等の小型光源を使用することができる。
【0229】
本実施形態において、光源部80は、透過型スクリーン10Aの第2主面T2側に配置され、ミラー等を介さずに直接投射するように構成されている。但し、光源部80の投射方式は本実施形態に限定されるものではない。本発明に包含される別の実施形態としては、例えば、光源部80から投射された光がミラーで一度又は複数回反射されて透過型スクリーン10Aの第2主面T2に投射される実施形態が挙げられる。
【0230】
筐体90は、透過型スクリーン10Aを支持し、かつ、その内部に光源部80を配置可能な部材である。
【0231】
背面投射型表示装置100において、光源部80の消灯時には、透過型スクリーン10Aの第1主面T1側の外部から、装飾層1を視認することができる。なお、透過型スクリーン10Aの第1主面T1は、加飾シート11の三次元成形体11’の第1主面S1により形成されている。
【0232】
背面投射型表示装置100において、光源部80の点灯時には、光源部80から発せられる映像光が、透過型スクリーン10Aの第2主面T2の略全域に投射され、透過型スクリーン10A上に映像が表示される。透過型スクリーン10Aの第2主面T2へ投射された映像光は、透過型スクリーン10Aの第1主面T1から出射されるので、透過型スクリーン10A上に表示された映像を、第1主面T1側の外部から視認することができる。このとき、光反射層4は、透過型スクリーン10Aの第2主面T2に投射された映像光のうち光反射層4に到達した映像光を反射し、当該映像光が、装飾層1を透過して透過型スクリーン10Aの第1主面T1から出射されることを防止することができる。すなわち、光反射層4は、透過型スクリーン10Aの第2主面T2に投射され、第1主面T1から出射される映像光の品質が、装飾層1の影響を受けて低下することを防止することができる。
【0233】
以上、加飾成形品10が透過型スクリーン10Aであり、光源部80がプロジェクタである例を挙げて背面投射型表示装置100の説明を行ったが、本発明の背面投射型表示装置はこれに限定されるものではない。例えば、光源部80として、ディスプレイのように、映像光をスクリーン上に結像させることなく視認させることが可能なものを使用してもよい。この場合、加飾成形品10は透過型スクリーンとしての機能を有さないものであってもよい。例えば、加飾成形品10は、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー等の画像表示装置に組み込んで使用することができる。すなわち、本発明の背面投射型表示装置には、これらの画像表示装置も包含される。これらの画像表示装置において、加飾成形品10は、バックライトよりも観察者側に配置される。バックライトとして使用される光源は、例えば、白色発光ダイオードである。
【符号の説明】
【0234】
11・・・加飾シート
1・・・装飾層
2・・・着色隠蔽層
3・・・光拡散層
4・・・光反射層
5・・・光透過部
6・・・第1光透過層
7・・・第2光透過層
S1・・・加飾シートの第1主面
S2・・・加飾シートの第2主面
10・・・加飾成形品
11’・・・加飾シートの三次元成形体
12・・・被着体
T1・・・加飾成形品の第1主面
T2・・・加飾成形品の第2主面
100・・・背面投射型表示装置
10A・・・透過型スクリーン
11’・・・加飾シートの三次元成形体
12A・・・被着体
T1・・・透過型スクリーンの第1主面
T2・・・透過型スクリーンの第2主面
80・・・光源部
90・・・筐体
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