特許第6963771号(P6963771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963771
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】加工処理装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/20 20060101AFI20211028BHJP
   B26D 9/00 20060101ALI20211028BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20211028BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   B26D5/20 C
   B26D9/00
   B26D7/06 B
   B26D7/06 Z
   B26D1/30 501H
   B26D1/30 501F
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-25129(P2017-25129)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-130790(P2018-130790A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和仁
(72)【発明者】
【氏名】土岐 明彦
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−025663(JP,A)
【文献】 特開平11−001035(JP,A)
【文献】 特開2003−266832(JP,A)
【文献】 特開2011−201647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/20
B26D 9/00
B26D 7/06
B26D 1/30
B26D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるシートを加工処理する加工部材及び前記加工部材を移動させる移動部が設けられた加工処理部と、搬送部による搬送を停止し、前記加工部材を移動部により移動させてシートを加工処理した後、シートの搬送を再開するよう制御する制御部とを備え、制御部は、シートの大きさに基づいて、搬送部によるシートの搬送を再開するタイミング、及び加工部材の設置位置へシートが搬送される時点の移動部の一方向への回転による加工部材の移動動作を制御する加工処理装置。
【請求項2】
シートの側端縁が接触しつつ搬送され、シートの搬送の際の幅方向における基準位置とされる側壁が設けられた請求項1に記載の加工処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、シートの搬送方向に対し交差する交差方向の長さが長いときより、短いときの方がシートの加工処理に要する時間を短縮するよう制御する請求項1または請求項2に記載の加工処理装置。
【請求項4】
前記加工部材は、シートを挟持し加工処理する一対の加工型を含み、前記移動部は、前記一対の加工型を接離方向に移動する接離部を含み、前記制御部は、前記一対の加工型により前記シートを挟持し加工処理した後、前記一対の加工型を離間させるよう接離部を制御する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、一対の加工型の間の距離が、シートを通過可能な所定値以上かどうかに基づき搬送部及び移動部の少なくともいずれかを制御する請求項に記載の加工処理装置。
【請求項6】
前記一対の加工型は、シートの搬送面を介し対向し、シートの搬送方向に交差する交差方向に沿って延在するよう配置され、前記制御部は、シートの加工処理の前後で、前記一対の加工型を接離するタイミングを、前記交差方向で異ならせ、シートの搬送方向に直交する幅方向の搬送位置を、一対の加工型が離間するタイミングが早い箇所を遅い箇所より優先させてシートを搬送するよう制御する請求項または請求項に記載の加工処理装置。
【請求項7】
移動部は、加工部材をシートの搬送方向に交差する交差方向に移動する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【請求項8】
前記加工処理部より搬送部によるシートの搬送方向上流側位置に、シートを搬送方向に沿って裁断するスリッター処理部が設けられる請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてきたシートを、加工部材によって加工処理する加工処理装置が知られている。下記特許文献1には、シートの搬送路を介して上下に離間して設置された一対のカッター刃により、シートを裁断処理する技術が記載されている。上側のカッター刃は下側のカッター刃に対し傾斜配置され、上側のカッター刃の一方の端部に、下側のカッター刃との間をシートが通過可能な隙間が形成されたことをセンサが検知したときにシートの搬送を再開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5536505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、上側のカッター刃が上限位置に至るまでの段階で、シートの搬送を再開する。これより、シートの加工処理に要する時間を短縮することができる。しかし、シートの大きさが大きいときと小さいときのいずれも同じタイミングで、シートの搬送を再開するので、効率よく加工処理することができない。
【0005】
本発明の目的は、シートの加工処理をより効率よく実行可能な加工処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の加工処理装置は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されるシートを加工処理する加工部材及び前記加工部材を移動させる移動部が設けられた加工処理部と、搬送部による搬送を停止し、前記加工部材を移動部により移動させてシートを加工処理した後、シートの搬送を再開するよう制御する制御部とを備え、制御部は、シートの大きさに基づいて、搬送部によるシートの搬送を再開するタイミング、及び移動部による加工部材の設置位置へシートが搬送される時点の移動部の一方向への回転による加工部材の移動動作を制御する。また、前記構成において、シートの側端縁が接触しつつ搬送され、シートの搬送の際の幅方向における基準位置とされる側壁が設けられた。
【0007】
また、前記構成において、前記制御部は、シートの搬送方向に対し交差する交差方向の長さが長いときより、短いときの方がシートの加工処理に要する時間を短縮するよう搬送部及び移動部の少なくともいずれかを制御する。
【0008】
そして、前記各構成において、前記加工部材は、シートを挟持し加工処理する一対の加工型を含み、前記移動部は、前記一対の加工型を接離方向に移動する接離部を含み、前記制御部は、前記一対の加工型により前記シートを挟持し加工処理した後、前記一対の加工型を離間させるよう接離部を制御する。
【0009】
更に、前記各構成において、前記制御部は、一対の加工型の間の距離が、シートを通過可能な所定値以上かどうかに基づき搬送部及び移動部の少なくともいずれかを制御する。
【0010】
更に、前記各構成において、前記一対の加工型は、シートの搬送面を介し対向し、シートの搬送方向に交差する交差方向に沿って延在するよう配置され、前記制御部は、シートの加工処理の前後で、前記一対の加工型を接離するタイミングを、前記交差方向で異ならせ、シートの搬送方向に直交する幅方向の搬送位置を、一対の加工型が離間するタイミングが早い箇所を遅い箇所より優先させてシートを搬送するよう制御する。
【0011】
更に、前記各構成において、移動部は、加工部材をシートの搬送方向に交差する交差方向に移動する。
【0012】
更に、前記各構成において、前記加工処理部より搬送部によるシートの搬送方向上流側位置に、シートを搬送方向に沿って裁断するスリッター処理部が設けられる
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、制御部は、シートの大きさに基づいて、搬送部によるシートの搬送を再
開するタイミング、及び移動部による加工部材の設置位置へシートが搬送される時点の移動部の一方向への回転による加工部材の移動動作を制御するので、シートの大きさに適するタイミングでシートを搬送し、加工部材を移動することができ、シートの加工処理時間を短縮可能である。また、シートの側端縁が接触しつつ搬送され、シートの搬送の際の幅方向における基準位置とされる側壁が設けられた場合は、側壁に沿ってシートを適切に搬送できる。
【0014】
また、前記制御部は、シートの搬送方向に対し交差する交差方向の長さが長いときより、短いときの方がシートの加工処理に要する時間を短縮するよう搬送部及び移動部の少なくともいずれかを制御する場合は、シートの処理効率を向上可能である。
【0015】
そして、前記制御部は、前記一対の加工型により前記シートを挟持し加工処理した後、前記一対の加工型を離間させるよう接離部を制御する場合は、シートを挟持した加工処理に要する時間を、短縮可能である。
【0016】
更に、前記制御部は、一対の加工型の間の距離が、シートを通過可能な所定値以上かどうかに基づき搬送部及び移動部の少なくともいずれかを制御する場合は、一対の加工型の間の距離を、シートの大きさに関わらず一定量以上とした上で、シートを搬送する場合に比較して、シートをより効率よく加工処理することができる。
【0017】
更に、前記一対の加工型は、シートの搬送面を介し対向し、シートの搬送方向に交差する交差方向に沿って延在するよう配置され、前記制御部は、シートの加工処理の前後で、前記一対の加工型を接離するタイミングを、前記交差方向で異ならせ、シートの搬送方向に直交する幅方向の搬送位置を、一対の加工型が離間するタイミングが早い箇所を遅い箇所より優先させてシートを搬送するよう制御する場合は、シートの大きさが小さいときの加工処理時間を大きいときより短くすることができる。
【0018】
更に、移動部は、加工部材をシートの搬送方向に交差する交差方向に移動する場合は、加工部材がシートの搬送範囲から外れときにシートの搬送を再開し、またはシートの端縁近傍に加工部材を位置させて待機させることができる。
【0019】
前記加工処理部より搬送部によるシートの搬送方向上流側位置に、シートを搬送方向に沿って裁断するスリッター処理部が設けられる場合は、スリッター処理部でシートを加工処理することで、加工処理部に至ったシートの交差方向に長さが加工処理前より短い場合により効率よく加工処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る加工処理装置の模式縦断面図である。
図2】前記加工処理装置のカッター機構を搬送方向下流側から見た図である。
図3】前記加工処理装置で処理するシートの加工処理パターンの一例を示す平面図である。
図4】前記加工処理装置の制御フローである。
図5】前記加工処理装置の制御フローである。
図6】前記カッター機構の動作を説明する図である。
図7】前記カッター機構の動作を説明する図である
図8】本発明の他の実施形態にかかる加工処理装置の制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)[加工処理装置の全体構成]
図1は本発明の第1の実施形態に係る加工処理装置の模式縦断面図である。この図1において、加工処理装置100は、装置本体1のシートSの搬送方向Fの上流端部に給紙部3を備え、搬送方向Fの下流端部に紙受け部2を備え、該給紙部3と紙受け部2との間にシートSを搬送する搬送部4が設けられる。
【0022】
搬送部4は、複数の搬送ローラ対9、10、11、12、13を備える。搬送ローラ対9,10,11,12,13は、搬送方向Fに間隔をおいて配置される。搬送部4によりシートSが搬送される略水平な搬送経路5が形成される。搬送経路5上においてシートSは、搬送ローラ対9、10、11、12、13を回転自在に軸支する一対の側壁のうち一方の側壁18に、シートSの一方の側端縁SLを沿わせつつ搬送される。このシートSの側端縁SLが接触しつつ搬送される一方の側壁18のシートSの接触面は、シートSの搬送の際の幅方向Wにおける基準位置Bとされる。
【0023】
搬送経路5上には主たる加工機構として、搬送方向F上流側から下流側に向けて、スリッター機構20、折線形成機構21及びカッター機構22が配置されている。また、装置本体1内の下端部には、スリッター機構20及びカッター機構22での裁断処理により発生する切屑Jを収容する切屑箱23が配置されている。
【0024】
スリッター機構20の搬送方向F上流側には、読取手段26及びリジェクト機構25が配置され、スリッター機構20の搬送方向F下流側には、切屑落とし機構27が配置されている。スリッター機構20、折線形成機構21及びカッター機構22は、それぞれ着脱可能なユニットとして構成されており、カセット方式により、装置本体1内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、各機構20,21,22の配置順序を変更したり、あるいは他の機構(面取り機構、ミシン目形成機構等)と取り替えたり、追加したりすることができる。
【0025】
各搬送ローラ対9,10,11,12,13は、動力伝達機構を介して各搬送駆動部41〜44にそれぞれ連結されており、各搬送駆動部41〜44は制御部45に電気的に接続されている。制御部45には、CPUや、RAM及びROM等の記憶装置が内蔵されており、制御部45のインターフェースには、シートSの加工情報を含む各種作業設定情報を入力し、かつ、表示するための操作パネル46並びに読取手段26が電気的に接続されている。制御部45は、全ての搬送駆動部41〜44の作動及び停止を同じタイミングで実施してもよく、いずれかの搬送駆動部41〜44のみ個別に作動及び停止させるよう制御してもよい。
【0026】
搬送経路5には、さらに、シートSの搬送方向F下流端縁である前端縁Sfあるいはシートの搬送方向F上流端縁である後端縁Sbを検出する複数の光透過式のシート検出部91〜95が配置されており、それぞれ制御部45のインターフェースに電気的に接続されている。最も搬送方向F上流側の第1シート検出部91は、読取手段26の搬送方向F上流側近傍に配置され、次の第2シート検出部92は、スリッター機構20の搬送方向F上流側近傍に配置され、次の第3シート検出部93は,スリッター機構20の途中に配置され、次の第4シート検出部94は、折線形成機構21の搬送方向F上流側近傍に配置され、最も搬送方向F下流側の第5シート検出部95は、紙受け部2の搬送方向F上流側近傍に配置されている。
【0027】
全てのシート検出部91〜95は、搬送経路5におけるシートSの詰まりを検出する。更に、最も搬送方向上流側の第1シート検出部91は、給紙部3からシートSが供給された後、搬送ローラ対9で把持されたシートSの前端縁Sf又は後端縁Sbを検出し、検出したシート位置を基準にして、搬送経路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出する。
【0028】
第4シート検出部94は、搬送経路5が長くなって搬送経路5上のシートSの搬送方向Fの位置ずれ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、第1シート検出部91で得られたシート位置情報を修正して、当該シート位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。第5シート検出部95は、紙受け部2への加工品Qの搬出を検出する。
【0029】
[給紙部3] 給紙部3は、給紙台31、吸引搬送ベルト機構32、給紙ローラ対33及び送風機34を備える。給紙台31は、図示しない昇降手段により昇降される。吸引搬送ベルト機構32及び給紙ローラ対33は、給紙台31上に積載された所定枚数のシートSを、最上位のシートSから順に搬送経路5に供給する。送風機34は、給紙台31上のシートSの前端部に送風し、上下のシートを分離し、捌く。給紙ローラ対33のうち下方の給紙ローラ33a及び吸引搬送ベルト機構32、送風機34は、給紙用駆動部47に接続され、該給紙用駆動部47は制御部45に電気的に接続されている。
【0030】
[読取手段26] 読取手段26はCCDセンサー等により構成される。読取手段26は、操作パネル46による各種作業設定情報の手動入力とは別に、自動的に作業設定情報を読み取ることができるように設置されている。具体的には、読取手段26は、図3に示すようなシートSの前端部に印刷されたバーコードM2の画像を読み取る。これより、制御部45は、シートSに施されるべき加工情報を含む各種作業設定情報を取得することができる。作業設定情報としては、たとえば、シートSの搬送方向Fの全長La及び全幅Waに加え、加工処理により得られる加工品Qの寸法、数及び配置、折線の位置、裁断位置等の情報が挙げられる。
【0031】
更に読取手段26は、シートSの前端隅部に印刷された位置マークM1の画像を読み取る。これより、搬送経路5におけるシートSの搬送方向F及び幅方向Wの搬送位置を検出する。
【0032】
[リジェクト機構25] 図1のリジェクト機構25は、印刷された位置マークM1やバーコードM2が不鮮明であるために読取手段26による読取が不能であった場合、そのシートSに対して、作動し、読取不能のシートSを落下させて回収トレイ38で回収する。
【0033】
[スリッター機構20] スリッター機構20は、搬送方向Fに3つのユニット部を並べている。各ユニット部には、上下の回転刃からなる回転刃対36が配置される。回転刃対36は、各ユニット部においてそれぞれ幅方向Wに間隔をおいて複数配置されている。回転刃対36は、上刃361と下刃362が1つずつ設置されてもよく、上刃361または下刃362のいずれかが1つ設置され、そのいずれかの刃先の両側に他の刃先が側方から接触するよう複数設置されてもよい。
【0034】
回転刃対36が、上刃361と下刃362が1つずつ設置された場合、搬送方向Fに沿った裁断線が1つ形成可能である。上刃361または下刃362のいずれかが1つとこれにシートSの搬送面6を介して対向配置される他の刃が2つ設置される場合、搬送方向Fに沿った裁断線が2本形成可能である。
【0035】
上刃361と下刃362のうちいずれか一方は、動力伝達機構を介してモータ等の回転刃駆動部48に連結されている。すなわち、回転刃駆動部48の駆動力で下側の各回転刃を回転させることにより、シートSに対して、搬送方向Fと平行にスリットを形成するようになっている。前記各回転刃対36の幅方向Wにおける位置は任意に変更可能である。
【0036】
[切屑落とし機構27] 切屑落とし機構27は、前記スリッター機構20の裁断によって生じる搬送方向Fに沿った切屑Jを、搬送経路5の下方に排除するためのものであり、シートSが切屑落とし機構27を通過する際に、前記切屑Jを切屑箱23へ落下させる。
【0037】
[折線形成機構21] 折線形成機構21は、搬送部4により搬送されるシートSを加工処理する加工部材51としてシートSを挟持し加工処理する一対の加工型52を備える。一方の加工型52は下部に凸部を有する上型211であり、他方の加工型52は、前記凸部が挿入される凹溝を上部に有する下型212である。前記上型211は、モータ等の折線駆動部49に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、折線駆動部49の駆動力で上型211を下降させ、シートSとともに下型212の凹溝に挿通させることにより、シートSに対して、搬送方向Fと直交する幅方向Wに折線を形成する。
【0038】
[カッター機構22] カッター機構22は加工処理部を構成する。加工処理部には、搬送部4により搬送されるシートSを加工処理する加工部材51、及び加工部材51を移動させる移動部54が設けられる。加工部材51は、シートSを挟持し加工処理する一対の加工型52を含む。一対の加工型52は、シートSの搬送面を介し対向配置される。カッター機構22における加工型52は、一対の裁断刃55により構成される。一対の裁断刃55は、例えば上刃57及び下刃58により構成することができる。
【0039】
図2は、カッター機構22の具体例を示す。同図では、カッター機構22をシートSの搬送方向下流側から見ている。一対の加工型52は、シートSの搬送面6を介し対向し、シートSの搬送方向Fに交差する交差方向に沿って延在するよう配置される。特に、本実施形態に係る一対の加工型52としての上刃57及び下刃58は、シートSの搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って延在するよう構成されている。
【0040】
上刃57は、水平面に対して、同図において左側が高く、右側が低くなるよう傾斜して設置される。上刃57は、移動部54により移動可能な可動刃として構成される。下刃58は上刃57に対向し、幅方向Wに延在するように略水平に配置される。下刃58は下刃台59に固定された固定刃として構成される。
【0041】
移動部54は、一対の加工型52を接離方向に移動する接離部61を含む。接離部61は一対の平行リンク機構64、アーム65、クランクギア67、動力伝達機構68、接離駆動部70、位置検出部72を備える。一対の平行リンク機構64は、上刃57の幅方向W両側にそれぞれ設けられる。平行リンク機構64は、2つの揺動軸心641,642を軸心として揺動する。
【0042】
アーム65の上端部は、上刃57の図2において右側に示す端部に連結具74により連結される。アーム65の下端部は、クランクギア67の円板面に連結される。クランクギア67は、複数のギア及びベルトにより構成される動力伝達機構68を介してモータ等の接離駆動部70に連結されている。
【0043】
接離駆動部70が駆動すると、動力伝達機構68を介してクランクギア67が回転し、アーム65の上端部を略楕円軌道を描くように移動させる。これより、上刃57の図2における右端部が略楕円軌道を描くように移動される。上刃57は、傾斜姿勢を保ったまま上下方向に揺動され、下刃58に対し接触離間する。上刃57が下降するとき、上刃57の刃先571は、右端部から左端部へ幅方向Wに順次下刃58の刃先581に接触し、上刃57と下刃58の間のシートSが幅方向Wに沿って右端部から左端部へ幅方向Wに順次裁断される。
【0044】
そして、シートSの裁断処理の後、上刃57は、傾斜姿勢を保ったまま上方へ向けて移動され、下刃58から離間する。このとき、上刃57の刃先571は、下降時とは逆に、下刃58の刃先581に対し非接触となる範囲が左端部から右端部へ幅方向Wに順次拡大していく。このように、一対の加工型52としての上刃57と下刃58とは、シートSの加工処理の前後で、一対の加工型52を接離するタイミングを、交差方向で異なるように設置されている。
【0045】
位置検出部72は、上刃57の位置を検出する。位置検出部72は、2個の光学センサ721,722及び遮光板723を備える。位置検出部72の検出結果は制御部45に送信される。
【0046】
[シートの加工品配列パターン]
図3は、シートSの加工処理パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工処理パターンは、一枚のシートS1から複数の加工品Qを製作するようになっている。搬送方向Fと平行に延びる複数の裁断線T1〜T4と、幅方向Wに延びる複数の裁断線K1〜K10が設定されている。幅方向Wに延びる複数の裁断線K1〜K10は、加工部材51としての上刃57を移動部54としての接離部61により下刃58に対し接離方向に移動させてシートS1を加工処理して得られる加工線を構成する。
【0047】
図3において右端及び左端に示す第1、4裁断線T1、T4は、スリッター機構20に、上刃361と下刃362とが1つずつ設置された回転刃対36によって形成することができる。第1裁断線T1と第4裁断線T4の間に形成される第2、3裁断線T2、T3は、上刃361と下刃362が1つずつ設置された回転刃対36を用いるかまたは、上刃361または下刃362のいずれかの刃先に、他の刃先が両側方から接触する回転刃対36を用いて形成することができる。
【0048】
また、幅方向Wに沿った裁断線Kは、加工処理部としてのカッター機構22より搬送部4によるシートS1の搬送方向F上流側位置に設置されたスリッター機構20において、シートS1が裁断線Tで搬送方向Fに沿って裁断された後、シートS1から切り取られた長尺の切屑Jが除去されることで、幅方向Wに所定量ずつ離間して並べられ、搬送される複数の帯状のシートSwに対し、同時に裁断処理が施されることで形成される。
【0049】
尚、図3に示すシートS1の加工処理パターンでは、折線形成機構21による折線が設定されていないので、図1に例示した加工処理装置100では、折線形成機構21を受容部29に受容させたまま機能させず、折線形成処理を実行させないようにするか、図示しない搬送処理機構に差し替えるか、または折線形成機構21を脱離させ、空の状態で使用する。
【0050】
[制御部45] 制御部45には、シートSの加工処理を行うためのプログラムが組み込まれている。図4は、シートSの加工処理を行う際の制御フローを示す。図4のステップ101で、シートSの加工情報を取得する。ステップ102で、シートSの加工処理の準備動作を行う。ステップ103でシートSの加工処理動作を実行する。
【0051】
また、制御部45にはカッター機構22での処理に関し、次のようなプログラムが組み込まれている。制御部45は、加工処理部としてのカッター機構22において、搬送部4によるシートSの搬送を停止し、加工部材51としての上刃57を移動部54により移動させシートSを介して下刃58と接触させ、シートSを加工処理した後、搬送部4によりシートSの搬送を再開するよう制御する。その際、制御部45は、シートSの大きさに基づいて、搬送部4によるシートSの搬送を再開するタイミングを制御する。
【0052】
更に、制御部45は、シートSの搬送方向Fに対し交差する交差方向の長さが長いときより、短いときの方がシートS加工処理に要する時間を短縮するよう搬送部4を制御することとしてもよい。また、制御部45は、一対の加工型52によりシートSを挟持し加工処理した後、一対の加工型52を離間させるよう接離部61を制御することとしてもよい。また、制御部45は、一対の加工型51の間の距離が、シートSを通過可能な所定値以上かどうかに基づき搬送部4を制御することとしてもよい。また、制御部4は、シートSの加工処理の前後で、一対の加工型52を接離するタイミングを、交差方向で異ならせ、シートSの搬送方向Fに直交する幅方向Wの搬送位置を、一対の加工型52が離間するタイミングが早い箇所を遅い箇所より優先させてシートSを搬送するよう制御することとしてもよい。
【0053】
制御部45は、シートSの幅方向Wの長さLw及び、スリッター機構20において切り取られ搬送経路5から下方へ排出されるシートSの右端の切屑Jaの幅方向Wの長さLj等のシートSの大きさ及び加工に関する情報に基づいて、加工処理部としてのカッター機構22の一対の加工型52の間を通過するシートSの基準位置Bからの長さLxを算出する。そして、算出された基準位置Bからの長さLxを、予め記憶装置に記憶されたテーブルを参照することで、加工処理部としてのカッター機構22における幅方向Wに沿った加工処理の後に、シートSの搬送を再開するタイミングを取得する。
【0054】
下記表1は、記憶装置に予め記憶されているシートSの搬送を再開するタイミングに関するテーブルの一例である。
【0055】
【表1】
【0056】
表1において基準位置からの長さとは、搬送経路5に立設された側壁18に、シートSの一方の側端縁を沿わせつつ搬送し、各加工機構で加工処理を実行し、カッター機構22までシートSが搬送された場合において、基準位置Bとしての前記側壁18から、搬送経路5上のシートSの他方の側端縁までの長さを意味する。図3に示す加工処理パターンでは、シートSの左端縁SLが基準位置Bに相当する。スリッター機構20において、第1〜4裁断線T1〜T4でシートSが裁断され、不要な切屑Jが除去されると、カッター機構22に至るシートSの基準位置Bからの長さLxは、加工処理前のシートSの左端縁SLから第4裁断線T4までの長さLxとなる。
【0057】
このように、加工処理部としてのカッター機構22より搬送部4によるシートSの搬送方向F上流側位置に、シートSを搬送方向Fに沿って裁断するスリッター機構20が設けられる場合には、基準位置Bからの長さLxが、加工処理前のシートSの幅方向Wの長さLwより短くなることがある。加工処理前のシートSの幅方向Wの長さLwから,シートSの基準位置Bに対向する他の側端縁SR側に設定されている切屑Jaの幅方向Wの長さLjを差し引いた長さが基準位置Bからの長さLxとなる。
【0058】
表1に示す待機時間とは、シートSを加工処理した後、シートSの搬送を再開するまでの待ち時間である。カッター機構22では、上刃57が下降して下限位置に至り、シートSの幅方向Wの裁断処理を完了する。その後、搬送経路5を塞いでいる上刃57が接離部61により上昇され、上刃57と下刃58の間の距離が、裁断後のシートSが通過可能な所定の長さになるまで、搬送部4によるシートSの搬送再開を待機させる。この待機させる時間が表1に記載の待機時間である。
【0059】
上刃57が下限位置にあることは、制御部45が、上刃57が上限位置にある状態で接離駆動部70を駆動開始し、その後経過した時間を計測することで、この経過時間を基に判断することができる。また、上刃57が下限位置にあることを、下限センサ722を用いて検出してもよい。上刃57が下限位置にあるとき下限センサ722から遮光板723が外れた状態となる。制御部45は、下限センサ722が通光と遮光との間で変化する時点を、上刃57が下限位置に至り、加工処理が完了した時点として判断に用いることができる。
【0060】
表1に例示した待機時間について、シートSの基準位置Bからの長さが200mm未満の場合には、待機時間が30msecに設定されている。この場合、制御部45は、シートSを裁断処理し、上刃57が下限位置に至ったことを検出した時点から30msec経過すると、少なくともカッター機構22の前後の搬送駆動部43、44を駆動し、シートSの搬送を再開する。なお、このとき、カッター機構22より上流側に設置された搬送ローラ9,10を回転する搬送駆動部41,42については、カッター機構22の前後の搬送ローラ対11、12,13を回転する搬送駆動部43,44と同じタイミングで駆動開始してもよく、異なるタイミングで作動または停止してもよい。
【0061】
表1において、シートSの基準位置Bからの長さが200mm以上300mm未満のときは、加工処理後の待機時間が40msecに設定されている。この場合、制御部45は、シートSの基準位置Bからの長さが200mm未満のときより長い加工処理時点から40msec経過後に搬送駆動部43、44の駆動を再開する。
【0062】
そして、シートSの基準位置Bからの長さが300mm以上のときは加工処理後の待機時間が50msecに設定されている。よって、制御部45は、加工処理時点から50msec経過後に搬送駆動部43、44の駆動を再開する。
【0063】
図5は、加工処理部としてのカッター機構22において加工処理としての裁断処理を実行する際の制御フローを示す。同図のステップ11で、制御部45は、シートSを搬送部4により加工処理部へ搬送する。ステップ12で、シートSの加工位置が、加工型52の間に至ると、制御部45はシートSの搬送を停止する。ステップ13で、制御部45は加工動作を開始する。
【0064】
ステップ14で、制御部45は、加工型52が下限位置に至ったことを検出したかどうかを判断する。ステップ14を満たすまでの間、ステップ14を継続する。制御部45が、加工型52の下限位置への到達を検出すると、ステップ14を満たし、ステップ15に進む。ステップ15で、シートSの搬送再開のための待機時間の計測を開始する。ステップ15で計測を開始した待機時間が、表1に示す基準位置Bからの長さLxに応じた所定の待機時間に至ると、ステップ16を満し、ステップ17に進む。ステップ17で制御部45はシートSの搬送を再開する。
【0065】
ステップ18で加工型52が上限位置に至ったことを検出したかどうかを判断する。上刃57が上限位置に至ったことを検出すると、ステップ18を満たし、ステップ19に進み制御部45は上刃57の移動を停止する。
【0066】
ステップ20で、制御部45は、加工処理部で加工すべき次の加工位置が設定されているかどうかを判断する。次の加工位置が設定されている場合ステップ12に戻る。次の加工位置が設定されていない場合、ステップ21に進み、制御部45はシートSが紙受け部2に至った所定のタイミングでシートSの搬送を停止する。
【0067】
次に、加工処理装置100の動作について説明する。図4のステップ101で、制御部45は、シートSの加工情報を取得する。加工情報は、図1に示す操作パネル46より、使用者がシートSの大きさ及び種類、加工品Qの配列、数及び寸法、加工線形成位置等に関する各種作業設定情報を入力することにより取得される。なお、この手動入力に替えて、あるいは、手動入力と協働して、読取手段26によるバーコードM2等の読み取りにより、シートSの加工情報を含む各種作業設定情報を自動的に入力させることもできる。更に、記憶装置に記憶されている作業設定情報を呼び出すことによって、シートSの加工情報を取得することも可能である。
【0068】
制御部45は、取得したシートSの加工情報のうち、搬送方向Fに沿った裁断位置に関する情報から、各回転刃対36のホームポジションから幅方向Wへの移動量を算出する。また、カッター機構22での幅方向Wに沿った裁断位置に関する情報から、シートSの前端縁Saから各加工線Kへの搬送部4による搬送量を算出する。
【0069】
更に、制御部45は、シートSの加工情報、特に、シートSの幅方向Wの長さLw及び搬送経路5上で基準位置Bから最も離れたシートSの側端縁に相当する図3において第4裁断線T4で示す裁断位置に関する情報から、カッター機構22の上刃57と下刃58の間を通過するシートSの基準位置Bからの長さLxを算出する。そして、制御部45は、記憶装置に記憶されているテーブルを参照し、加工型52としての上刃57及び下刃58により幅方向Wに沿って裁断を行った後の搬送部4による搬送再開のタイミングを取得する。
【0070】
次に、図4のステップ102で、シートSの加工処理の準備動作を行う。このため、給紙部3において、昇降手段を駆動し、給紙台31をシートSの搬送経路5への給紙位置へ移動する。そして、送風機34を駆動し、空気流によりシートSを1枚ずつ捌く。スリッター機構20では、回転刃対36を一旦ホームポジションへ移動する。ステップ101で取得した加工情報を基に、幅方向Wに裁断位置まで所定量移動する。カッター機構22では、上刃57を上限位置へ移動するよう接離駆動部70を駆動する。これより、図2に示す上限センサ721及び下限センサ722はいずれも発光素子からの光が遮光板723により遮断された状態となる。搬送部4では、搬送駆動部41〜44の励磁を開始する。
【0071】
そして、図4のステップ103で、シートSの加工処理動作を実行する。その際、まず、図1の給紙部3の給紙台31上に積載された複数のシートSを、吸引搬送ベルト機構32及び給紙ローラ対33により、最上位のシートSから一枚ずつ搬送経路5に供給する。
【0072】
読取手段26では、シートSの位置マークM1並びに、必要に応じてバーコードM2を読み取ってシートSに施すべき加工情報を含む各種作業設定情報を取得する。
【0073】
リジェクト機構25では、仮に、読取手段26による読取が不能であり、加工条件が不明である場合には、そのシートSに対して、作動し、読取不能のシートSを落下させて回収トレイ38で回収する。
【0074】
スリッター機構20では、搬送方向Fと平行な複数の裁断線TでシートSを裁断する。
【0075】
切屑落とし機構27では、前記スリッター機構20によって裁断されたために生じた切屑Jを、切屑箱23へ落下させる。
【0076】
折線形成機構21では、シートSの加工情報によれば幅方向Wの折線が設定されている場合に、上型211の凸部が下型212の凹溝に挿通され幅方向Wに沿った折線が形成される。
【0077】
カッター機構22では、幅方向Wに沿った裁断線K形成位置でシートSの搬送が停止され、一対の加工部材によりシートSが裁断される。
【0078】
図6は、カッター機構22における幅方向Wに沿った裁断線Kを形成する加工処理の動作を説明する概略図である。同図(A)は、シートSの裁断前の状態を示している。裁断前には、上刃57は、上限位置に位置する。上刃57が上限位置にあるとき、上限センサ721及び下限センサ722の双方が、遮光板723が発光素子と受光素子の間に位置し、双方とも遮光とされる。
【0079】
図5のステップ12で、シートSの裁断線K形成位置が、上刃57と下刃58の間に至ると、制御部45は搬送部4によるシートSの搬送を停止する。そして、ステップ13で、制御部45は接離駆動部70を駆動し、上刃57を上限位置から下限位置へ移動し加工処理動作を開始する。接離駆動部70が駆動開始すると、動力伝達機構68を介して、図6(B)に示すように、クランクギア67が図6において時計回りに所定量回転される。クランクギア67の回転に伴ってアーム65のクランクギア67への連結部は、同図において右方に移動される。上刃57は、アーム65の動きに連動して下降する。このとき上刃57は、左右の平行リンク機構64により、揺動軸心641,642を軸心として、図6(B)において僅かに右方向へ傾斜しつつ下降される。
【0080】
上刃57の下降のより、上刃57の刃先は下刃58の刃先に対し、図6において右端から順次摺接する。下刃58上のシートSは、上刃57の下刃58への接触により図6において右端から左端へ順次裁断される。遮光板723は、アーム65の動きに連動して、上側の揺動軸心641を軸心として図6において反時計回りに弧を描きながら下降する。上刃57が上限位置から下限位置へ至る間に、遮光板723は、上限センサ721から外れ、上限センサ721を通光とする。
【0081】
図6(B)に示す段階では、上限センサ721は通光、下限センサ722は遮光となる。その後、上刃57が下限位置に至るまでの所定時間に渡り、上限センサ721が通光、下限センサ722が遮光という状態が継続される。
【0082】
図6(C)は、上刃57が下限位置に達した状態を示す。このとき上刃57と下刃58は幅方向Wの全範囲で接触しており、シートSは幅方向Wの全範囲で裁断される。この上刃57が下限位置となる状態では、遮光板723は、上限センサ721及び下限センサ722の双方から外れ、いずれのセンサも通光となる。図5のステップ14で、上刃57が下限位置に至ったことの検出を、この下限センサ722が遮光から通光からとなったときとすることができる。
【0083】
図5のステップ14で、上刃57が下限位置に至ったことを検出する際に、制御部45は、下限センサ722が遮光から通光となった時点を用いることができる。上刃57が下限位置に至ったことを検出すると、ステップ15に進み、シートSの搬送再開のための待機時間の計測を開始する。
【0084】
下限センサ722が通光となった後、制御部45が、接離駆動部70の駆動を継続すると、クランクギア67は図6において時計回りに更に回転し、上刃57は上昇を開始する。上刃57の上昇に伴い、遮光板723が図6において時計回りに揺動する。そして、下限センサ722の設置位置に遮光板723の先端部が至り、下限センサ722を通光から遮光へと変化させる。制御部45は、下限センサ722が通光から遮光へ変化したときに、上刃57が上昇開始したと判断することができる。
【0085】
上記のように、制御部45は、図5のステップ14の上刃57が下限位置に至ったことの検出を、下限センサ722が遮光から通光から遮光となったときとしてもよいが、これに替えて、下限センサ722が通光から遮光となったときとしてもよい。上刃57が上昇開始した後下限センサ722が通光から遮光となったときを、ステップ14の上刃57が下限位置に至ったことの検出の判断に用いることで、シートSの搬送再開までに計測すべき待機時間を短くすることができる。これより、上刃57の移動の際、接離駆動部70を構成するモータの回転速度が、個々のモータでばらつくことによって、上刃57の移動量がばらつき、搬送再開時点の上刃57の位置がずれる量を小さくすることができる。より正確なタイミングで加工処理後のシートSの搬送を再開することができる。
【0086】
図6(D)は、上刃57が下限位置から上昇開始した後上限位置に至るまでの間の状態を示す。上刃57が下限位置から上限位置へ至る際、上刃57は、図6における左端から右端へ向けて順次下刃58から離間され、下刃58と接触しなくなる。この間、上限センサ721は通光、下限センサ722が遮光の状態が所定時間継続される。
【0087】
図5のステップ15で計測を開始した待機時間が、表1に示す基準位置Bからの長さLxに応じた所定の待機時間に至ると、ステップ16を満し、ステップ17に進む。ステップ17で制御部45は搬送部4を駆動し、シートSの搬送を再開する。
【0088】
本実施形態では、上刃57は、水平方向に対し所定角度傾斜して設置され、一対の加工型52のとしての上刃57と下刃58の間の距離は、シートSの搬送方向Fに交差する交差方向としての幅方向Wで異なっている。そして、上刃57の昇降動作によって上刃57は下刃58に対し接離する。上刃57が上昇する際、上刃57の刃先は、図6における左端部から右端部へ向けて順次下刃58の刃先から離間され、下刃58と接触しなくなる。制御部45が接離駆動部70を駆動することによって、シートSの加工処理の後、一対の加工型52としての上刃57と下刃58を離間させるタイミングは、交差方向としての幅方向Wで異なるようになる。図6では、上刃57の左端部の方が、右端部より下刃58から早く離間する。
【0089】
制御部45は上下の加工型52の左端部位置近傍に設置された側壁18に、シートSを沿わせつつ搬送する。そして、側壁18のシートSの接触面は、シートS搬送の基準位置Bとされる。シートSは、幅方向Wの長さLwが異なる場合でも、加工前のシートSの左端縁SLが側壁18に接触する位置で搬送される。シートSの幅方向Wの長さが短いときには長いときより基準位置Bに近い上下の加工型52の図6における左側に偏った位置で、シートSが搬送されることとなる。
【0090】
図7は、カッター機構22において幅方向Wの長さの異なるシートS2、S3が搬送されるときの説明図である。同図(A)は、シートS2の幅方向Wの長さL2が長いシートS2であり、同図(B)は、短いシートS3である。同図(A)の場合、シートS2の幅方向Wの長さL2が加工型52の幅方向W長さの略全体にわたり、加工型52の両端部近傍まで至っている。シートS2の搬送位置は、左端縁SLが側壁18に接触する位置である。
【0091】
同図(A)のように、シートS2の幅方向Wの長さL2が長い場合、上刃57と下刃58の間をシートS2が通過可能な状態となるのは、上刃57が十分に上昇したときである。このため制御部45は、シートS2の搬送再開を、上刃57が上限位置乃至その近傍位置に至ったときとする必要がある。
【0092】
図7に示すように、上刃57の刃先がシートSの搬送面に対し傾斜配置されている場合、上刃57と下刃58の間をシートS2が通過するためには、シートSの図7における右端縁SRに対応する位置で、上刃57と下刃58の間の距離D2がシートSの厚さより長い所定値以上となる必要がある。
【0093】
一方、同図(B)では、シートS3の幅方向Wの長さL3が同図(A)のシートS2より短く、加工型52の幅方向W長さの半分程度である。この同図(B)の場合でもシートS3の幅方向Wの搬送位置は、左端縁SLが側壁18に接触する位置である。シートS3の長さL3が短いために、シートS3の搬送位置は、加工型52の幅方向Wの中央位置ではなく、図7における左側に偏った位置となる。
【0094】
同図(B)で、加工処理後、シートS3の搬送を再開するタイミングは、上刃57の上昇途中であって、上刃57と下刃58の幅方向W中央部の距離D3が、シートS3を通過可能な所定値以上となったときとすることができる。シートS3の幅方向Wの長さL3は、加工型52の長さより短い。シートSは加工型52の右端部にまで至らず、加工型52の中央部あたりまでしかない。よって、上刃57と下刃58との双方の中央部が、シートS3を通過可能な距離D3だけ離間すれば、シートSの搬送を再開できる。上刃57が上方へ完全に移動完了し上限位置に至る前に、シートSを搬送再開できる。
【0095】
そして、図7(B)に示すように、搬送再開時上刃57の右端部が下刃58から離間せず、接触したままの状態であっても構わない。上刃57の一部が下刃58に接触していても、幅方向WでシートS3が通過する範囲である左側部分で、上刃57と下刃58の間の距離D3が、該シートS3が通過可能な所定値以上となっていればよい。この場合には、シートS3は、下流側への搬送を上刃57に阻害されることなく、適正に搬送される。
【0096】
幅方向WのシートSの搬送位置について、制御部45は、一対の加工型52としての上刃57が下刃58から離間するタイミングが早い図6、7の左端部を、遅い右端部より優先させてシートSを搬送させることで、シートSの加工処理に要する時間を短縮することができる。
【0097】
従来は、シートの大きさに関わらず、上刃と下刃との距離が、全体としてシートが通過可能な所定値以上に至ったときに、シートの搬送を再開した。本実施形態では、シートSの大きさに応じてシートSの搬送を再開するタイミングを制御するので、図7(B)に示すような幅方向Wの長さL3が短いシートS3を加工処理する際には、従来より早く搬送再開することができ加工処理時間を短縮することができる。
【0098】
更に、搬送方向F上流側に設置されたスリッター機構20で、シートSを搬送方向Fに沿って裁断し、不要な切屑Jを除去する場合は、カッター機構22にまで至る搬送経路5上のシートSの基準位置Bからの長さLxは、加工処理前のシートSの幅方向Wの長さLwより短くなることがある。このように制御部45は、シートSの加工処理の状況に応じて、カッター機構22での加工処理後の搬送再開のタイミングを制御する。よって、従来のように、加工情報に関わらず、上刃の右端部が下刃から、加工処理前のシートの幅方向の長さLwが最大のシートを通過可能となる隙間だけ離間したときに、シートの搬送を再開する場合に比較して、シートSの加工処理時間を短縮可能である。
【0099】
例えば、スリッター機構20でシートSから切屑Jaが裁断、除去され、カッター機構22に至ったとき、図3に示すシートS1の基準位置Bからの長さLxが195mmであるとする。従来の加工処理装置では、シートの大きさに関わらず、上刃が上限位置に至っときにシートの搬送を再開していた。この場合、表1からカッター機構22における加工処理後の搬送再開までの待機時間は50msecとなる。
【0100】
これに対し本第1の実施形態では、基準位置Bからの長さLxが195mmのときは、表1からカッター機構22における加工処理後の待機時間は30msecとなる。1回の裁断処理で従来より待機時間が、20msec短縮でき、図3の示す1枚のシートS1では10本の幅方向Wに沿った裁断線Kが設定されているので、200msecの短縮となる。
【0101】
図5のステップ18で、制御部45は、上刃57が上限位置に至ったことを検出するため、上限センサ721が遮光板723によって通光から遮光へ変化したかどうかを判断する。上刃57が上限位置に至り上限センサ721が遮光へ変化すると、ステップ18を満たし、ステップ19に進む。ステップ19で、制御部45は接離駆動部70を停止し、上刃57を上限位置で保持する。ステップ20に進み、加工情報によれば次の裁断線Kが設定されているかどうかを判断する。
【0102】
次の裁断線Kが設定されている場合は、ステップ12に戻る。そして、設定枚数のシートSの裁断線Kが全て形成されるまでステップ12〜ステップ20を繰り返す。
【0103】
カッター機構22で、裁断処理により生じた切屑Jは下方へ落下し、切屑箱23に収容される。設定枚数の全てのシートSを加工処理し、最後の裁断線Kが形成されると、図5のステップ21に進み、加工品Qを紙受け部3に排出した後に、制御部45は搬送駆動部41〜44を停止する。紙受け部2に搬送された加工品Qは紙受け台222上に積載される。そして、設定された加工処理動作の運転が終了される。
【0104】
(第2実施形態)
上記第1の実施形態では、カッター機構22においてシートSの裁断処理を開始するとき、加工部材51としての上刃57は、上限位置で待機していた。カッター機構22に搬送されたシートSが裁断位置において停止された後、上限位置にある上刃57が下降され、下刃58に接触されることでシートSを裁断処理した。本第2の実施形態ではこれに替えてシートSの加工処理前に、加工部材51としての上刃57が、上限位置からシートSの大きさに応じた待機位置へ移動される。このため、制御部45は、シートSの大きさに基づいて、加工部材51の設置位置へシートSが搬送される時点の加工部材51の移動部54による移動動作を制御するためのプログラムが記憶されている。
【0105】
待機位置は、シートSの幅方向Wの長さが短いときに長いときより、上刃57が下刃58により近接する位置とされる。図7に示すように、上刃57が下刃58に対し、傾斜して配置され、且つ、シートSの幅方向Wの搬送位置が加工型52としての上刃57と下刃58の長手方向中央から左右いずれかに偏った位置、即ち、図7では、左方に示す側壁18にシートSの左端縁SLを沿わせつつ搬送するような場合、図7(B)に示すシートS3の幅方向Wの長さL3が短いときに同図(A)に示すシートSの幅方向Sの長さL2が長いときより、上刃57が下刃58により近接した低い位置を待機位置として位置していても上刃57と下刃58の間をシートSを通過させることが可能となる。
【0106】
上刃57を裁断処理のために下降する際、上刃57が上限位置にあるときより、待機位置にあるときの方が、上刃57が下限位置まで移動する距離が短い。よって、シートSの裁断処理に要する時間を短縮することができる。
【0107】
このため、シートSの裁断位置がカッター機構22に到達する前に、制御部45は、上刃57を上限位置からシートSの大きさに応じた待機位置へ移動し、待機位置で待機させる。そして、シートSの裁断線K形成位置が加工型51設置位置に至ると、制御部45は、待機位置にある上刃57を降下し、裁断処理する。
【0108】
制御部45の記憶装置には、シートSの大きさに基づいて、加工部材51を待機位置へ移動するために接離駆動部70を駆動する時間に関するテーブルが記憶されている。下記表2は、制御部45が接離駆動部70を駆動し上刃57を待機位置へ移動する時間である移動時間に関するテーブルの一例である。
【0109】
【表2】
【0110】
表2において、基準位置Bからの長さLxは上記第1の実施形態と同様である。表2に示す移動時間とは、上刃57を上限位置から待機位置へ移動させる際に制御部45が接離駆動部70を駆動する時間である。制御部45が、シートSの加工処理前に、接離駆動部70をシートSの大きさに応じた所定の移動時間だけ駆動すると、上刃57は上限位置から待機位置へ移動される。
【0111】
待機位置は、図7(B)のように、上刃57の右端部が下刃58に接触していても構わない。上刃57の一部が下刃58に接触していても、幅方向WでシートSが上刃57と下刃58の間を通過する範囲で、上刃57と下刃58の間の距離D3が、該シートS3が通過可能な所定値以上となっていればよい。この場合には、シートS3は、下流側への搬送を上刃57に阻害されることなく、適正に搬送される。
【0112】
幅方向WのシートSの搬送位置について、制御部45は、一対の加工型52としての上刃57が下刃58へシートSを介し接触するタイミングが遅い図7の左端部を、早い右端部より優先させてシートSを搬送させる。これより、上刃57の待機位置をより低い位置とすることができ、上刃57が下限位置に到達し、シートSを裁断するのに要する時間を短縮可能である。
【0113】
上刃57が上限位置にあることは、上限センサ721を用いて検出する。上刃57が上限位置にあるとき遮光板723により上限センサ721が遮光とされる。制御部45は、上限センサ721が通光から遮光へ変化したとき、またはその後遮光から通光へ変化したときのいずれかの時点を、上刃57が上限位置にあることの判断に用いることができる。
【0114】
表2に例示した移動時間について、シートSの基準位置Bからの長さが200mm未満の場合には、移動時間が30msecに設定されている。この場合、制御部45は、接離駆動部70が駆動された状態で、上限センサ721が、上刃57が上限位置にあることを検出した時点から30msec経過後に接離駆動部70を停止する。そして、この待機位置で、シートSがカッター機構22に搬送されるまで上刃57を待機させる。
【0115】
また、表2より、シートSの基準位置Bからの長さが200mm以上300mm未満のときは、移動時間が20msecに設定されている。この場合、上刃57が上限位置にある時点から接離駆動部70を20msecだけ駆動し、待機位置へ移動する。この待機位置はシートSの基準位置Bからの長さが200mm未満の時の待機位置より高い位置であり、上刃57と下刃58との双方の図6,7における左端部の距離が長く、より離間した位置である。
【0116】
そして、シートSの基準位置Bからの長さが300mm以上のときは移動時間が10msecに設定されている。この場合、上限位置にある上刃57を制御部45が接離駆動部70を10msec駆動することで、待機位置へ移動する。この待機位置は、シートSの基準位置Bからの長さが300未満の他の待機位置に比較して最も高く、上限位置より僅かに低い位置となる。
【0117】
本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、図4に示す加工処理装置100の制御フロー中、ステップ101で加工情報を取得する。そして、制御部45は、カッター機構22に至ったシートSが、上刃57と下刃58の間を通過する際の該シートSの基準位置Bからの長さLxを算出する。そして、本第2の実施形態では、更に、制御部45は、記憶装置の表2に例示するテーブルを参照し、加工部材51としての上刃57を待機位置へ移動する際の移動量に関する情報を取得する。
【0118】
図4のステップ102での加工処理の準備動作の際には、制御部45は、接離駆動部70を駆動し、上刃57をまず上限位置へ移動する。上限センサ721が遮光板723により遮光とされると、制御部45は、上刃57が上限位置に至ったと判断することができる。あるいは制御部45は、上限センサ721が遮光となった後も接離駆動部70の駆動を継続することで、上限センサ721は遮光から通光へ変化する。制御部45はこのように、上限センサ721が遮光から通光へ変化したタイミングを上刃57が上限位置にあると判断することもできる。
【0119】
上限センサ721が遮光から通光に変化したときを上刃57が上限位置にあると判断することで、上刃57を上限位置から待機位置まで移動する際の移動時間を短くでき、移動量を少なくできる。これより、制御部45が接離駆動部70を同じ駆動時間だけ駆動した場合であっても、モーターの個体差によって回転速度にバラツキがあるために、上刃57の移動量が計算値とはやや異なった値となって待機位置がずれる量を小さくすることができる。より正確な位置で上刃57を待機させることができる。
【0120】
制御部45は、上刃57が上限位置に至ったことを検出すると、シートSの大きさに応じた移動時間の計測を開始する。そして、制御部45は所定の移動時間が経過したとき、接離駆動部70を停止する。これより、上刃57は、上限位置から待機位置へ移動され、待機位置で裁断処理のため待機することとなる。
【0121】
図4のステップ103で、制御部45は、シートSの加工処理を実行する。図8は、本第2の実施形態に係る加工処理装置100のカッター機構22において加工処理としての裁断処理を実行する際の制御フローを示す。 同図のステップ31で、制御部45は、シートSを搬送部4により搬送し、ステップ32で、シートSの裁断線K形成位置が、上刃57と下刃58の間に至ると、制御部45は搬送部4によるシートSの搬送を停止する。そして、ステップ33で、制御部45は接離駆動部70を駆動し、加工処理動作を開始する。接離駆動部70の駆動により待機位置で待機している上刃57は下方へ移動される。
【0122】
ステップ33で、上刃57が待機位置から下限位置へ向けて移動開始するとき既に遮光板723が上限センサ721から外れ、上限センサ721は通光とされている。上刃57が下限位置に至ると、遮光板723は下限センサ722からも外れて、上限センサ721及び下限センサ722の双方を通光とする。
【0123】
ステップ34で、上刃57が下限位置に至ったことを検出すると、ステップ34を満たし、ステップ35に進む。ステップ35でシートSの搬送再開のための待機時間の計測を開始する。待機時間が、基準位置Bからの長さLxに応じた所定の待機時間に至ると、ステップ36を満し、ステップ37に進む。ステップ37で制御部45は搬送部4を駆動し、シートSの搬送を再開する。
【0124】
ステップ38で、制御部45は、上刃57が上限位置に至ったことを検出すると、ステップ39に進み、移動時間の計測を開始する。ここで、上刃57の上限位置の検出は、上限センサ721の通光から遮光への変化または、遮光から通光への変化のいずれを用いてもよい。また上限センサ721の検出結果に替えて、タイマーにより下限位置検出等他の時点から所定時間経過したとき等としてもよい。ステップ40で所定の移動時間が経過したときステップ41に進み、制御部45が接離駆動部70を停止し、加工型52としての上刃57の移動を停止し、上刃57を待機位置で待機させる。そして、ステップ42で加工情報によれば次の裁断線Kが設定されているかどうかを判断する。
【0125】
次の裁断線Kが設定されている場合は、ステップ32に戻り、設定枚数のシートSの裁断線Kが全て形成されるまでステップ32〜ステップ42を繰り返す。設定枚数のシートSの裁断が終了するとステップ43に進み、加工物Qを紙受け部2に排出した後制御部45は搬送部4を停止する。
【0126】
これより加工処理動作のためにシートSの搬送が停止された後、上刃57が下限位置まで移動する時間を短くすることができる。
【0127】
尚、上記第1,2の実施形態では加工処理部がカッター機構22であったが、本発明に係る加工処理部はこれに限定されず、折線形成機構、ミシン目形成機構等他の加工処理を行う機構により構成してもよい。また、加工部材51は、シートSを挟持し加工処理する一対の加工型52を含み、一対の加工型52が上刃57及び下刃58より構成される場合を示したが、加工部材は、凸部が設けられた凸型と凹溝が設けられた凹型からなるクリース型、シートにミシン目を形成するミシン型、丸刃からなるスリッター型、面取り用や所定形状の打ち抜き型等としてもよく、シートを挟持しないでシートに対し、一方から接触するのみの構成とてしてもよい
【0128】
また、制御部45が、搬送部4によるシートSの搬送を再開するタイミング、及び加工部材の設置位置へシートSが搬送される時点の加工部材の移動部による移動動作の少なくともいずれかを制御する際、上限センサ721または下限センサ722により検出した時点からの時間をタイマーで管理したが、これに替えて、待機時間または移動時間を、エンコーダやステッピングモータのパルス数により管理することとしてもよい。また、時間やパルスによる管理に替えて、加工部材の位置や移動量、移動速度等から、搬送再開のタイミングや、加工処理前の加工部材の移動動作を制御してもよい。
【0129】
また、一対の加工部材51は搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って設置されたが、これに限定されず、スリッター機構の回転刃のように搬送方向に沿って設置されてもよく、搬送方向に対し所定角度傾斜する交差方向に沿って設置されてもよい。加工部材が搬送方向に沿って設置される場合、例えばシートの搬送方向の一部にミシン目や折線を形成するときに、制御部は、シートの搬送方向の長さに基づいて、搬送部による搬送を停止し、加工部材を移動部により移動させてシートを加工処理した後、搬送部によるシートの搬送を再開するときのタイミング、及び加工部材の設置位置へシートが搬送される時点の加工部材の移動部による移動動作の少なくともいずれかを制御することができる。
【0130】
また、移動部54は、一対の加工型52を接離方向に移動する接離部61を含んだが、これに替えて、幅方向を含むシートの搬送方向に交差する交差方向や搬送方向等所定方向に加工部材を移動してシートを加工してもよい。また、シートSを介し一対の加工型52を接触させて加工処理した後、一対の加工型52を離間させるよう接離部61を制御した。また、一対の加工型52の間の距離が、シートSを通過可能な所定値以上かどうかに基づき処理時間を調整したが、凹溝に沿ってシートを介し丸刃が搬送方向またはこれに交差する交差方向に沿って回転しながら移動することで、シートを加工処理する等、一対の加工型が接離せず、両者の距離が変更されないまま加工処理してもよい。
【0131】
また、シートSの大きさは、シートSの幅方向Wの長さLw、L1,L2である場合を示したが、シートの厚さまたは搬送方向の長さに基づき、シートの搬送を再開するタイミングまたは加工部材の設置位置へシートが搬送される時点の加工部材の移動部による移動の少なくともいずれかを制御し、処理時間を調整してもよい。例えば、シートの厚さが薄いときには厚いときより一対の加工部材の間の距離が短い所定のタイミングでシートの搬送を再開するようにしてもよい。そして、裁断線、折線またはミシン目線のいずれかを搬送方向に沿って部分的に形成可能な加工部材を、シートに対し接離し加工処理する際に、シートの搬送方向の長さが短いときには長いときより、シートと加工部材との距離が短い所定のタイミングでシートの搬送を再開してもよい。
【0132】
また、制御部45は、シートSの大きさに基づいて、シートSの搬送を再開するタイミングを制御するか、または、シートSの搬送を再開するタイミング及び加工部材51の設置位置へシートSが搬送される時点の加工部材51の移動部54による移動の双方を制御する場合を示したが、シートの搬送を再開するタイミングをシートの大きさに関わらず一定とし、且つ加工部材の設置位置へシートが搬送される時点の加工部材の移動部による移動をシートの大きさに基づき制御することとしてもよい。
【0133】
また、加工部材51の設置位置へシートSが搬送される時点の加工部材51の移動部54による移動を制御する際、処理準備動作の際に、加工部材51としての上刃57が、上限位置からシートSの大きさに応じた待機位置へ移動して加工処理を実施するまでこの待機位置で待機する場合を示したが、加工部材51の設置位置へシートSが搬送されるときに加工部材51が所定の待機位置に位置していればよく、例えば、加工処理部に搬送されたシートが加工処理のために停止されるときに、加工部材が待機位置に位置するようタイミングを合わせて、移動部の駆動開始時点を調整してもよい。この場合、待機位置で加工部材を暫く停止してもよく、停止することなく移動動作を継続してもよい。よって、例えば、図1の第4検出部94がシートSの前端縁Sfを検出した後所定時間経過後に制御部45が接離駆動部70を駆動開始し、待機位置で停止することなく上刃57を下降させ加工処理してもよい。
【0134】
また、制御部45は、シートSの搬送方向に対し交差する交差方向の長さが長いときより、短いときの方がシートSの加工処理に要する時間を短縮するよう搬送部4及び移動部54の少なくともいずれかを制御したが、シートの搬送方向に対し交差する交差方向の長さが短いときより、長いときの方がシートの処理時間を短縮するよう制御してもよい。
【0135】
また、シートSの加工処理の前後で一対の加工型51を離間させるタイミングを、幅方向Wで異ならせ、シートSの搬送方向に直交する幅方向Wの搬送位置を、一対の加工型51が離間するタイミングが早い箇所を遅い箇所より優先させてシートを搬送したが、一対の加工部材が例えば双方とも水平方向に沿って延在する構成とする等によって、幅方向を含む交差方向で一対の加工部材が離間するタイミングが同じとなる場合であってもよい。また、加工部材51としての上刃57の一方の端部が他方の端部より早く離間する場合を示したが、加工部材の長手方向中央部が両端部より早く離間する構成のときには、シートの搬送位置を幅方向中央部を優先してシートを搬送させることで、シートの幅方向の長さが短いシートは長いシートより早く加工処理でき、加工処理時間を短縮することができる。
【0136】
カッター機構の上流側にシートを搬送方向に沿って裁断するスリッター処理部としてのスリッター機構が設けられたが、上流側にスリッター機構を備えなくてもよい。
【0137】
また、シートS1,S4の配列パターンは、図3に例示したものに限定されず、裁断線T,Kや折線の数や位置について、他の種々のパターンが設定可能である。
【0138】
また、搬送部4は、上下1対の搬送ローラによって構成されたが、搬送ローラに替えてベルトを用いてもよい。また、制御部45は、複数の搬送駆動部41〜44を同期して駆動したが、同期させず、個別に駆動してもよい。そして、搬送部4によるシートSの搬送を装置全体で搬送開始及び停止したが、装置内の一箇所で搬送停止している間に他の箇所で搬送継続するなど各加工処理部毎に搬送状態を異ならせてもよい。
【0139】
また、各種加工情報は、操作パネル46より使用者が手動設定するかまたは読取部26によりバーコードM2を読み取ることで自動的に入力したが、パソコンなど外部の情報処理装置と通信を行って設定してもよい。また、予め操作パネルからの手動入力によって、シートの配列パターンを複数記憶手段に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。
【符号の説明】
【0140】
F 搬送方向、S、S1〜S4 シート、4 搬送部、45 制御部、51 加工部材、52 加工型、54 移動部、61 接離部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8