(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正極及び負極を含む電極体と、前記電極体を覆った状態で外周側に溶着部を有するシート状のラミネートフィルム外装体と、を備えた電気化学素子を製造するための製造装置であって、
第1方向に延びる本体形成部、及び、平面視で前記本体形成部から前記第1方向と交差する第2方向に突出する突出形成部を有し、前記ラミネートフィルム外装体を挟み込んで加熱することにより、該ラミネートフィルム外装体に前記溶着部の一部としての第1溶着部を形成する一対の第1溶着用工具と、
平面視で、前記第1溶着部に対して前記第2方向に横断することなく該第2方向の端部が前記第1溶着部の一部と重なるように位置決めされた状態で、前記ラミネートフィルム外装体を挟み込んで加熱することにより、該ラミネートフィルム外装体に前記溶着部の一部としての第2溶着部を形成する一対の第2溶着用工具と、
を備える、電気化学素子の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ラミネートフィルム外装体は、電極体を覆った状態で、前記特許文献1に開示されているような加熱型加圧具(溶着用工具)によって、ラミネートフィルム外装体の外周側の複数個所が熱溶着される。この際、前記ラミネートフィルム外装体を構成する樹脂の一部が前記溶着用工具の熱によって溶融した後、冷却されて硬化する。
【0007】
前記特許文献1に開示されているように一方向に延びる押圧端面を有する溶着用工具を用いて、電極体をラミネートフィルム外装体によって封止するように、該ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する場合、前記押圧端面によって形成される溶着部に重なりが生じる。これにより、前記ラミネートフィルム外装体の外周側には、前記溶着用工具によって一旦溶着された後、前記溶着用工具によって再び加熱される部分が存在する。
【0008】
前記ラミネートフィルム外装体の外周側のうち外周縁に近い部分を、前記溶着用工具を用いて溶着した場合、上述のような溶着部の重なりが存在すると、前記再び加熱された部分で溶融した樹脂が、前記溶着用工具の加圧によって押し出されて、前記ラミネートフィルム外装体の外部に露出する可能性がある。
【0009】
そうすると、前記溶着用工具に前記溶融した樹脂が付着するため、前記溶融した樹脂によって前記溶着用工具に前記ラミネートフィルム外装体が付着したり、該ラミネートフィルム外装体の外表面に前記溶融した樹脂が付着したりする可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、電極体がラミネートフィルム外装体によって覆われた電気化学素子において、前記ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、熱によって溶融した樹脂が溶着用工具に付着することを防止可能な構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係るラミネート形電池は、正極及び負極を含む電極体と、前記電極体を覆った状態で外周側に溶着部を有するシート状のラミネートフィルム外装体と、を備える。前記溶着部は、平面視で第1方向に延びて前記ラミネートフィルム外装体の外周側の一部を溶着する第1溶着部と、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延びて前記ラミネートフィルム外装体の外周側の一部を溶着する第2溶着部と、を有する。前記第2溶着部は、平面視で、前記第1溶着部に対して前記第2方向に横断することなく前記第2方向の先端部分が前記第1溶着部の一部と重なるように、設けられている(第1の構成)。
【0012】
上述の構成により、ラミネートフィルム外装体の外周側に位置する溶着部のうち、平面視で第1方向に延びる第1溶着部と平面視で第2方向に延びる第2溶着部とが重なる部分では、平面視で、前記第2溶着部が、前記第1溶着部に対して前記第2方向に交差しない。これにより、ラミネートフィルム外装体の外周側に溶着部を形成する際に、前記第1溶着部と前記第2溶着部とが重なる部分において、熱によって溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体の外部に露出することを防止できる。
【0013】
したがって、ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、熱によって溶融した樹脂が溶着用工具に付着することを防止できる。
【0014】
なお、第2溶着部が第1溶着部に対して第2方向に横断するとは、平面視で、前記第2溶着部が前記第1溶着部に対して前記第2方向に重なるとともに、前記第2溶着部における前記第2方向の端部が、前記第1溶着部における前記第2方向の端部と重なっている状態または該端部よりも前記第2方向に突出している状態を意味する。
【0015】
前記第1の構成において、前記第1溶着部は、前記第1方向に延びる溶着本体部と、前記溶着本体部から前記第2方向に突出する溶着突出部とを有する。前記第2溶着部は、平面視で、前記第2方向の先端部分が前記溶着突出部と重なるように設けられている(第2の構成)。
【0016】
これにより、第2溶着部が第1溶着部に対して第2方向に横断することをより確実に防止できる。よって、ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、熱によって溶融した樹脂が溶着用工具に付着することをより確実に防止できる。
【0017】
前記第1または第2の構成において、電気化学素子は、一端側が前記電極体に接続され、他端側が前記ラミネートフィルム外装体から外方に延出する正極接続端子及び負極接続端子をさらに備える。前記第1溶着部は、前記ラミネートフィルム外装体のうち前記正極接続端子及び前記負極接続端子の少なくとも一方を挟み込んだ部分を含むように設けられている(第3の構成)。
【0018】
電気化学素子において正極接続端子及び負極接続端子の少なくとも一方が設けられている部分では、内部の容量を確保するために、ラミネートフィルム外装体の外周側の溶着部をできるだけ小さくすることが好ましい。このような場合に、前記ラミネートフィルム外装体において正極接続端子及び負極接続端子の少なくとも一方が位置する側で、既述のような溶着部の重なりが存在すると、前記ラミネートフィルム外装体に溶着部を形成する際に、熱によって溶融した樹脂が前記ラミネートフィルム外装体の外部に露出しやすい。
【0019】
これに対し、上述の構成のように、前記ラミネートフィルム外装体において正極接続端子及び負極接続端子の少なくとも一方が位置する側の溶着部を第1溶着部とすることで、平面視で、第2溶着部が前記第1溶着部に対して第2方向に横断することを防止できるため、熱によって溶融した樹脂が前記ラミネートフィルム外装体の外部に露出することを防止できる。
【0020】
よって、上述のように正極接続端子及び負極接続端子を備えた電気化学素子において、上述の第1の構成はより効果的である。
【0021】
本発明の一実施形態に係る電気化学素子の製造方法は、正極及び負極を含む電極体と、前記電極体を覆った状態で外周側が溶着されるシート状のラミネートフィルム外装体と、を備えた電気化学素子の製造方法である。この電気化学素子の製造方法は、前記電極体を前記ラミネートフィルム外装体によって覆った状態で、前記ラミネートフィルム外装体の外周側の一部を溶着することにより、平面視で第1方向に延びる第1溶着部を形成する第1溶着部形成工程と、前記ラミネートフィルム外装体の外周側の一部を溶着することにより、平面視で第1方向と交差する第2方向に延びる第2溶着部を形成する第2溶着部形成工程と、を有する。前記第2溶着部形成工程では、平面視で、前記第1溶着部に対して前記第2方向に横断することなく前記第2溶着部の端部が前記第1溶着部の一部と重なるように、前記第2溶着部を形成する(第1の方法)。
【0022】
これにより、上述の第1の構成を有する電気化学素子が得られる。すなわち、ラミネートフィルム外装体において、第2溶着部が第1溶着部に対して第2方向に横断することを防止できる。よって、ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、熱によって溶融した樹脂が前記ラミネートフィルム外装体の外部に露出することを防止できる。
【0023】
前記第1の方法において、前記第1溶着部は、前記第1方向に延びる溶着本体部と、平面視で、前記溶着本体部から前記第2方向に突出する溶着突出部とを有する。前記第2溶着部形成工程では、平面視で、前記第2溶着部の端部が前記溶着突出部と重なるように前記第2溶着部を形成する(第2の方法)。
【0024】
これにより、第2溶着部が第1溶着部に対して第2方向に横断することをより確実に防止できる。よって、ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、熱によって溶融した樹脂が溶着用工具に付着することをより確実に防止できる。
【0025】
前記第2の方法において、前記第1溶着部形成工程では、前記第1方向に延びる本体形成部と、前記本体形成部から前記第2方向に突出する突出形成部とを有する溶着用工具を用いて、前記ラミネートフィルム外装体の外周側の一部を溶着することにより、前記第1溶着部を形成する(第3の方法)。
【0026】
これにより、ラミネートフィルム外装体の溶着部として、第1方向に延びる溶着本体部と該溶着本体部から第2方向に突出する溶着突出部とを有する第1溶着部を形成することができる。すなわち、上述の第2の方法を実現することができる。
【0027】
本発明の一実施形態に係る電気化学素子の製造装置は、正極及び負極を含む電極体と、前記電極体を覆った状態で外周側に溶着部を有するシート状のラミネートフィルム外装体と、を備えた電気化学素子を製造するための製造装置である。この製造装置は、第1方向に延びる本体形成部、及び、平面視で前記工具本体部から前記第1方向と交差する第2方向に突出する突出形成部を有し、前記ラミネートフィルム外装体を挟み込んで加熱することにより、該ラミネートフィルム外装体に前記溶着部の一部としての第1溶着部を形成する一対の第1溶着用工具と、平面視で、前記第1溶着部に対して前記第2方向に横断することなく該第2方向の端部が前記第1溶着部の一部と重なるように位置決めされた状態で、前記ラミネートフィルム外装体を挟み込んで加熱することにより、該ラミネートフィルム外装体に前記溶着部の一部としての第2溶着部を形成する一対の第2溶着用工具と、を備える(第1の構成)。
【0028】
これにより、ラミネートフィルム外装体の溶着部として、第1方向に延びる溶着本体部と該溶着本体部から第2方向に突出する溶着突出部とを有する第1溶着部を形成することができるとともに、平面視で、該第1溶着部に対して前記第2方向に横断することなく前記溶着突出部に重なる第2溶着部を形成することができる。よって、前記第1溶着部と前記第2溶着部とが重なる部分において、ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、熱によって溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体の外部に露出することを防止できる。
【0029】
したがって、ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、溶融した樹脂が溶着用工具に付着することを防止できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態に係る電気化学素子によれば、電極体を覆った状態で外周側が溶着されるラミネートフィルム外装体の溶着部は、平面視で、第1方向に延びる第1溶着部と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2溶着部とを有する。この第2溶着部は、平面視で、前記第1溶着部に対して前記第2方向に横断することなく前記第2溶着部の端部が前記第1溶着部の一部と重なるように設けられている。これにより、前記ラミネートフィルム外装体の外周側を熱溶着する際に、溶融した樹脂が溶着用工具に付着することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0033】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るラミネート形電池1の概略構成を示す斜視図である。
図2は、ラミネート形電池1の概略構成を示す断面図である。このラミネート形電池1は、発電体として機能する電極体10がラミネートフィルム外装体20によって覆われた平面視で長方形状の二次電池である。なお、
図2では、電極体10の一部の図示を省略している。
【0034】
図1及び
図2に示すように、ラミネート形電池1は、電極体10と、該電極体10を覆うラミネートフィルム外装体20とを備える。また、ラミネート形電池1は、電極体10の正極11及び負極12にそれぞれ電気的に接続される正極接続端子41及び負極接続端子42を備える。なお、ラミネート形電池1の内部には、非水電解液も封入されている。
【0035】
ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウム製の金属箔の一面側がナイロンで覆われ、且つ、他面側がポリプロピレンで覆われた材料からなる。すなわち、ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウムをナイロン及びポリプロピレンでラミネートした材料からなる。
【0036】
ラミネートフィルム外装体20は、ラミネートフィルム外装体20のポリプロピレン同士を重ね合わせた状態で、加熱しながら圧力を加えることによって、溶着される。すなわち、ラミネートフィルム外装体20のポリプロピレンは、加熱によって溶融するため、上述のようにラミネートフィルム外装体20のポリプロピレン同士を重ね合わせた状態で加熱した後、冷却することによって、ラミネートフィルム外装体20同士を溶着することができる。
【0037】
ラミネートフィルム外装体20は、略長方形状に形成されている。一対のラミネートフィルム外装体20によって電極体10を挟んだ状態で、該ラミネートフィルム外装体20の外周側同士を溶着することにより、
図1及び
図2に示すような膨出部1a及びシール部1b(溶着部)が形成される。すなわち、ラミネートフィルム外装体20が電極体10を覆うことにより膨出部1aが形成され、膨出部1aの周囲でラミネートフィルム外装体20同士を溶着することにより膨出部1aを囲むようにシール部1bが形成される。なお、
図1において、説明のために、シール部1bを斜線で示す。
【0038】
後述するように、本実施形態では、電極体10は、円筒状の巻回電極体を扁平状につぶすことによって形成される。すなわち、電極体10は、側面視で長方形状である。そのため、
図1に示すように、膨出部1aは、ラミネートフィルム外装体20の平面視(以下、単に平面視ともいう)で、長方形状である。シール部1bは、平面視で、ラミネート形電池1が長方形状になるように、膨出部1aの周りに形成されている。
【0039】
また、一対のラミネートフィルム外装体20は、
図2に示すように、ラミネート形電池1が、電極体10の厚み方向の一方側に平面部1cを有するとともに、電極体10の厚み方向の他方側に上述の膨出部1aを有するように、電極体10を挟んだ状態でラミネートフィルム外装体20の外周側同士が溶着されている。すなわち、一対のラミネートフィルム外装体20のうち、一方のラミネートフィルム外装体20が電極体10の外形に沿うように配置される。
【0040】
ラミネートフィルム外装体20のシール部1bの詳しい構成については後述する。
【0041】
電極体10は、特に図示しないが、巻回軸方向から見て楕円に形成された扁平状の巻回電極体である。電極体10は、それぞれ帯状に形成された正極11及び負極12を、両者の間及び該正極11の下側に帯状のセパレータ13がそれぞれ位置するように重ね合わせた状態で巻回した後、押しつぶされることによって、扁平状に形成される。扁平状の電極体10は、ラミネートフィルム外装体20によって形成された空間内に収容される。
【0042】
特に図示しないが、正極11は、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体と、正極活物質を含有し、正極集電体の両面にそれぞれ設けられた正極活物質層とを有する。詳しくは、正極11は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有酸化物である正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む正極合剤を、アルミニウム箔などからなる正極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。正極活物質であるリチウム含有酸化物としては、例えば、LiCoO
2などのリチウムコバルト酸化物やLiMn
2O
4などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO
2などのリチウムニッケル酸化物等のリチウム複合酸化物を用いるのが好ましい。なお、正極活物質として、1種類の物質のみを用いてもよいし、2種類以上の物質を用いてもよい。また、正極活物質は、上述の物質に限られない。
【0043】
負極12は、銅等の金属箔製の負極集電体と、負極活物質を含有し、負極集電体の両面にそれぞれ設けられた負極活物質層とを有する。詳しくは、負極12は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む負極合剤を、銅箔などからなる負極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料(黒鉛類、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類など)を用いるのが好ましい。負極活物質は、上述の物質に限られない。
【0044】
正極11において正極集電体の一部が露出していて、該露出部分には、正極接続端子41が接続されている。同様に、負極12において負極集電体の一部が露出していて、該露出部分には、負極接続端子42が接続されている。正極接続端子41及び負極接続端子42は、電極体10の外部に引き出されているとともに、ラミネートフィルム外装体20の外部に引き出されている。
【0045】
正極接続端子41は、平面視で長方形状に形成されたアルミニウムの金属箔によって構成されている。正極接続端子41は、長手方向の一方側が正極集電体に溶接によって接続されていて、長手方向の他方側がラミネートフィルム外装体20の外方に位置している(
図1及び
図2参照)。すなわち、正極接続端子41は、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれていて、ラミネートフィルム外装体20の内方から外方に向かって延びている。
【0046】
負極接続端子42は、平面視で長方形状に形成された銅やニッケル等の金属箔によって構成されている。負極接続端子42は、長手方向の一方側が負極集電体に溶接によって接続されていて、長手方向の他方側がラミネートフィルム外装体20の外方に位置している。すなわち、負極接続端子42は、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれていて、ラミネートフィルム外装体20の内方から外方に向かって延びている。
【0047】
ラミネート形電池1に上述のような構成を有する正極接続端子41及び負極接続端子42を用いることにより、他の接続部品を介して外部に接続端子を引き出す構成に比べて、インピーダンスを小さくすることができる。
【0048】
(シール部)
次に、ラミネート形電池1のラミネートフィルム外装体20の外周側に設けられたシール部1bの構成を、
図1及び
図6を用いて説明する。
図6は、溶着されたラミネートフィルム外装体20を切断する前の状態を示す図である。
【0049】
シール部1bは、ラミネート形電池1の長手方向の端部側に設けられた一対の第1シール部21,22(第1溶着部)と、ラミネート形電池1の短手方向の端部側に設けられた一対の第2シール部23,24(第2溶着部)とを有する。第1シール部21,22の一部と第2シール部23,24の一部とは、平面視で、一部が重なっている。すなわち、シール部1bは、第1シール部21,22と第2シール部23,24とが平面視で重なった重なり領域25を有する。
【0050】
一対の第1シール部21,22は、ラミネート形電池1の長手方向の両端部に設けられている。すなわち、第1シール部21は、ラミネート形電池1の長手方向の一方の端部に設けられ、第1シール部22は、ラミネート形電池1の長手方向の他方の端部に設けられている。第1シール部21では、後述する正極接続端子41及び負極接続端子42が、一対のラミネートフィルム外装体20に挟み込まれた状態で、ラミネートフィルム外装体20同士が溶着されることにより固定されている。
【0051】
一対の第1シール部21,22は、それぞれ、ラミネート形電池1の短手方向(第1方向)に延びるように設けられている。一対の第1シール部21,22は、それぞれ、平面視でC字状に形成されている。具体的には、一対の第1シール部21,22は、前記短手方向に延びる溶着本体部21a,22aと、平面視で溶着本体部21a,22aの両端部から前記長手方向に突出する一対の溶着突出部21b,22bとを有する。溶着突出部21b,22bは、平面視で矩形状であり、前記短手方向における溶着本体部21a,22aの両端部から、前記長手方向の同じ方向(ラミネート形電池1の内方)に突出している。
【0052】
一対の第2シール部23,24は、ラミネート形電池1の短手方向の両端部に設けられている。すなわち、第2シール部23は、ラミネート形電池1の短手方向の一方の端部に設けられ、第2シール部24は、ラミネート形電池1の短手方向の他方の端部に設けられている。
【0053】
一対の第2シール部23,24は、それぞれ、ラミネート形電池1の長手方向(第2方向)に延びるように設けられている。一対の第2シール部23,24は、それぞれ、直線状に形成されている。
【0054】
一対の第2シール部23,24における前記長手方向の両端部は、平面視で一対の第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bと重なっている。すなわち、第2シール部23における前記長手方向の一方の端部は、第1シール部21の溶着突出部21bと重なっていて、第2シール部23における前記長手方向の他方の端部は、第1シール部22の溶着突出部22bと重なっている。また、第2シール部24における前記長手方向の一方の端部は、第1シール部21の溶着突出部21bと重なっていて、第2シール部24における前記長手方向の他方の端部は、第1シール部22の溶着突出部22bと重なっている。
【0055】
一対の第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bと一対の第2シール部23,24とが重なる部分が、それぞれ、重なり領域25である。本実施形態では、重なり領域25は、ラミネート形電池1の膨出部1aに対して短手方向側(ラミネート形電池1の長辺側)に4カ所、形成されている。
【0056】
(溶着装置)
次に、上述のような構成を有するラミネート形電池1において、ラミネートフィルム外装体20にシール部1bを形成するための溶着装置100(電気化学素子の製造装置)を、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、溶着装置100の第1溶着用工具101,102によってラミネートフィルム外装体20に第1シール部21を形成する様子を模式的に示す図である。
図4は、溶着装置100の第2溶着用工具111,112によってラミネートフィルム外装体20に第2シール部24を形成する様子を模式的に示す図である。なお、説明の便宜上、
図3及び
図4では、それぞれ、溶着装置100の一部のみを図示している。
【0057】
溶着装置100は、ラミネートフィルム外装体20を、一対の第1溶着用工具101,102及び第2溶着用工具111,112で挟み込んだ状態で加熱することにより、ラミネートフィルム外装体20を溶着する。具体的には、溶着装置100は、上下方向に対向して配置される一対の第1溶着用工具101,102と、上下方向に対向して配置される一対の第2溶着用工具111,112とを有する。なお、第1溶着用工具101,102及び第2溶着用工具111,112の少なくとも一方は、上下方向以外の方向に対向して配置されていてもよい。
【0058】
特に図示しないが、溶着装置100は、一対の第1溶着用工具101,102及び第2溶着用工具111,112を加熱する加熱装置を有する。また、溶着装置100は、一対の第1溶着用工具101,102を互いに近づけるように駆動させる駆動装置と、第2溶着用工具111,112を互いに近づけるように駆動させる駆動装置とを有する。なお、溶着装置100は、一対の第1溶着用工具101,102及び一対の第2溶着用工具111,112が並んで設けられた一つの装置であってもよいし、一対の第1溶着用工具101,102及び一対の第2溶着用工具111,112がそれぞれ別の装置に設けられたユニットであってもよい。
【0059】
第1溶着用工具101,102は、ラミネートフィルム外装体20を挟み込んだ状態で加熱することにより、第1シール部21,22を形成する。具体的には、
図3に示すように第1溶着用工具101,102は、それぞれ、第1シール部21,22の形状に応じた押圧面101a,102aを有する。押圧面101a,102aは、同じ形状を有する。第1溶着用工具101,102は、押圧面101a,102aが対向するように配置されている。
【0060】
一対の押圧面101a,102aには、それぞれ、第1シール部21,22の溶着本体部21a,22aを形成するための本体形成部103と、第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bを形成するための突出形成部104とが設けられている。本体形成部103は、第1溶着用工具101,102に、一方向に延びるように形成されている。突出形成部104は、第1溶着用工具101,102に、前記一方向における本体形成部103の両側から、前記一方向と交差する方向の同じ方向に突出するように形成されている。
【0061】
図3に示す例では、一対の押圧面101a,102aの間に、ラミネートフィルム外装体20における長手方向の端部のうち正極接続端子41及び負極接続端子42側の端部が位置付けられる。この状態で、一対の押圧面101a,102aによってラミネートフィルム外装体20を挟み込んで加熱することにより、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部21が形成される。
図3に示す点状領域は、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部21が形成される予定の領域(形成予定領域)である。特に図示しないが、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部22を形成する場合も、第1シール部22の形成予定領域を、一対の押圧面101a,102aの間に位置付けた状態で、一対の押圧面101a,102aによってラミネートフィルム外装体20を挟み込んで加熱する。
【0062】
なお、上述のように、一対の押圧面101a,102aの間にラミネートフィルム外装体20を配置する際には、前記一方向がラミネートフィルム外装体20の短手方向に一致し、前記一方向と交差する方向がラミネートフィルム外装体20の長手方向に一致するように、ラミネートフィルム外装体20は配置される。
【0063】
第2溶着用工具111,112は、ラミネートフィルム外装体20を挟み込んだ状態で加熱することにより、第2シール部23,24を形成する。具体的には、
図4に示すように、第2溶着用工具111,112は、それぞれ、第2シール部23,24の形状に応じた押圧面111a,112aを有する。押圧面111a,112aは、同じ形状を有する。第2溶着用工具111,112は、押圧面111a,112aが対向するように配置されている。
【0064】
一対の押圧面111a,112aには、一方向に延びる直線状の第2シール部形成部113が設けられている。
【0065】
図4に示す例では、一対の押圧面111a,112aの間に、ラミネートフィルム外装体20における短手方向の端部が位置付けられる。この状態で、一対の押圧面111a,112aによってラミネートフィルム外装体20を挟み込んで加熱することにより、ラミネートフィルム外装体20に第2シール部24が形成される。
図4に示す点状領域は、ラミネートフィルム外装体20に第2シール部24が形成される予定の領域(形成予定領域)である。特に図示しないが、ラミネートフィルム外装体20に第2シール部23を形成する場合も、第1シール部22の形成予定領域を、一対の押圧面101a,102aの間に位置付けた状態で、一対の押圧面101a,102aによってラミネートフィルム外装体20を挟み込んで加熱する。
【0066】
なお、上述のように、一対の押圧面111a,112aの間にラミネートフィルム外装体20を配置する際には、前記一方向がラミネートフィルム外装体20の長手方向に一致するように、ラミネートフィルム外装体20は配置される。
【0067】
(ラミネート形電池の製造方法)
次に、上述の構成を有するラミネート形電池1の製造方法について、
図5及び
図6を用いて説明する。なお、ラミネートフィルム外装体20の外周側を溶着する溶着方法は、ラミネート形電池1の製造方法の一部である。
【0068】
図5は、ラミネートフィルム外装体20に対する溶着装置100の第1溶着用工具101,102及び第2溶着用工具111,112の押圧位置を示す図である。
図6は、ラミネートフィルム外装体20に、溶着装置100の第1溶着用工具101,102及び第2溶着用工具111,112によってシール部1bを形成した状態を示す図である。
【0069】
なお、
図5において、ラミネートフィルム外装体20に対する第1溶着用工具101,102の押圧位置を一点鎖線で示し、ラミネートフィルム外装体20に対する第2溶着用工具111,112の押圧位置を点線で示す。また、
図6において、説明のために、シール部1bを斜線で示す。
【0070】
まず、従来と同様の方法によって、巻回電極体である電極体10を製造する。その後、所定のサイズに切断された2枚のラミネートフィルム外装体20によって、電極体10を挟み込んだ状態で、溶着装置100によって、ラミネートフィルム外装体20の外周側を溶着する。
【0071】
なお、電極体10の製造方法は、従来と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0072】
溶着装置100によってラミネートフィルム外装体20を溶着する際には、
図5に示すように、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の端部に対して溶着装置100の第1溶着用工具101,102の押圧面101a,102aを位置付ける(
図5の一点鎖線参照)。なお、
図5は、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の両端部のうち、一方の端部(正極接続端子41及び負極接続端子42が位置付けられる端部)において、溶着装置100の第1溶着用工具101,102によって挟み込む位置を示す。
【0073】
溶着装置100の第1溶着用工具101,102によって、ラミネートフィルム外装体20の外周側の一部を溶着する。これにより、第1シール部21が形成される。
【0074】
同様に、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の両端部のうち、他方の端部も、溶着装置100の第1溶着用工具101,102によって、ラミネートフィルム外装体20の外周側の一部を溶着する。これにより、第1シール部22が形成される。
【0075】
このように第1シール部21,22を形成する工程が、第1溶着部形成工程に対応する。
【0076】
その後、
図5に示すように、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部のうち一方の端部に対して、溶着装置100の第2溶着用工具111,112の押圧面111a,112aを位置付ける(
図5の点線参照)。このとき、ラミネートフィルム外装体20は、押圧面111a,112aに対して、第2シール部形成部113の端部が平面視で第1シール部21の溶着突出部21bに重なるように配置される。そして、溶着装置100の第2溶着用工具111,112によって、ラミネートフィルム外装体20の外周側の一部を溶着する。これにより、第2シール部23が形成される。
【0077】
同様に、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部のうち他方の端部も、溶着装置100の第2溶着用工具111,112によって、ラミネートフィルム外装体20の外周側の一部を溶着する。これにより、第2シール部24が形成される。
【0078】
なお、溶着装置100の第2溶着用工具111,112によってラミネートフィルム外装体20に第2シール部24を形成する前に、一対のラミネートフィルム外装体20によって形成された空間内に、非水電解液を注入する。
【0079】
第2シール部23,24を形成する工程が、第2溶着部形成工程に対応する。
【0080】
図6に、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部21,22及び第2シール部23,24を形成した状態を示す。
図6に示すように、第2シール部23,24は、平面視で、第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bに重なるように形成される。
【0081】
その後、ラミネートフィルム外装体20の短手方向において、ラミネートフィルム外装体20を第2シール部23,24の外側で切断することにより、
図1に示すラミネート形電池1が得られる。
【0082】
ここで、
図9に、ラミネートフィルム外装体の外周側にシール部を形成する従来の方法において、溶着用工具によるラミネートフィルム外装体の押圧位置を示す。
図9において、ラミネートフィルム外装体に対する溶着工具の押圧面301aの押圧位置を一点鎖線で示し、ラミネートフィルム外装体に対する溶着工具の押圧面311aの押圧位置を点線で示す。
図9に示すように、ラミネートフィルム外装体を押圧する溶着工具の押圧面301a,311aは、いずれも直線状である。なお、溶着工具の詳しい構成については説明を省略する。
【0083】
従来の溶着方法では、ラミネートフィルム外装体の長手方向の端部を溶着工具の押圧面301aによって溶着した後、ラミネートフィルム外装体の短手方向の端部を溶着工具の押圧面311aによって溶着する際に、平面視で、押圧面311aが押圧面301aによって形成されたシール部に対して横断する。そうすると、ラミネートフィルム外装体を押圧面311aで押圧した際に、熱によって溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体の外部に露出する(
図9のX参照)。
【0084】
このように、ラミネートフィルム外装体の外部に溶融した樹脂が露出すると、溶着工具の押圧面311aに前記溶融した樹脂が付着する。これにより、前記溶融した樹脂によって溶着工具にラミネートフィルム外装体が付着したり、ラミネートフィルム外装体の外表面に前記溶融した樹脂が付着したりする。
【0085】
これに対し、本実施形態では、ラミネートフィルム外装体20の外周側に形成されたシール部1bのうち、ラミネート形電池1の長手方向の端部に設けられる第1シール部21,22が、ラミネート形電池1の短手方向に延びる溶着本体部21a,22aと、該溶着本体部21a,22aからラミネート形電池1の長手方向の同じ方向に突出した溶着突出部21b,22bとを有する。シール部1bのうち、ラミネート形電池1の短手方向の端部に設けられる第2シール部23,24は、平面視で、前記長手方向の端部が第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bに重なるように設けられている。
【0086】
これにより、第1シール部21,22と第2シール部23,24とが重なる部分において、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部21,22を形成した後、第2シール部23,24を形成した場合に、第2シール部形成部113の熱で溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体20から外部に露出することを防止できる。
【0087】
よって、シール部を形成する溶着用工具に、溶融した樹脂が付着することを防止できる。これにより、前記溶融した樹脂によって前記溶着用工具にラミネートフィルム外装体が付着したり、ラミネートフィルム外装体の外表面に前記溶融した樹脂が付着したりすることを防止できる。
【0088】
また、前記実施形態では、第1シール部21は、ラミネートフィルム外装体20において正極接続端子41及び負極接続端子42が位置する側に設けられている。
【0089】
ラミネート形電池において正極接続端子及び負極接続端子が設けられている部分では、内部の容量を確保するために、ラミネートフィルム外装体の外周側の溶着部分をできるだけ小さくすることが好ましい。このような場合に、ラミネートフィルム外装体において正極接続端子及び負極接続端子が位置する側で、シール部の重なりが存在すると、ラミネートフィルム外装体にシール部を形成する際に、熱によって溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体の外部に露出しやすい。
【0090】
これに対し、上述の構成のように、ラミネートフィルム外装体20において正極接続端子41及び負極接続端子42の少なくとも一方が位置する側に、第1シール部21を形成することにより、平面視で、第2シール23,24が第1シール部21に対してラミネートフィルム外装体20の長手方向に横断することを防止できる。これにより、ラミネートフィルム外装体20にシール部1bを形成する際に、熱によって溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体20の外部に露出することを防止できる。
【0091】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0092】
前記実施形態では、第1溶着用工具101,102の押圧面101a,102aには、それぞれ、第1シール部21,22の溶着本体部21a,22aを形成するための本体形成部103と、第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bを形成するための突出形成部104とが設けられている。
【0093】
しかしながら、
図7に示すように、第1溶着用工具の押圧面201a,202aにおいて、一方向に延びる本体形成部203の延伸方向の両端部に、それぞれ突出形成部204が設けられていてもよい。突出形成部204は、第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bを形成する位置から、本体形成部203の延伸方向の両端部のうち近い方の端部までの範囲で、本体形成部203から前記一方向と交差する方向の同じ方向に突出している。この押圧面201a,202aを有する第1溶着用工具を用いることにより、
図8に示すように、溶着突出部121b,122bを有する第1シール部121,122を形成することができる。なお、
図8における符号121a,122aは、第1溶着用工具の押圧面201a,202aにおける本体形成部203によって形成される第1シール部121,122の溶着本体部121a,122aである。
【0094】
前記実施形態では、一対のラミネートフィルム外装体20の外周側同士が溶着されているが、この限りではなく、1枚のラミネートフィルム外装体が、電極体10を挟み込むように折り返されて溶着されてもよい。ラミネートフィルム外装体を折り返す方向については、電極体10に対する正極接続端子41及び負極接続端子42の延伸方向であってもよいし、幅方向であってもよい。すなわち、前記実施形態では、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の両端部及び短手方向の両端部が、それぞれ溶着されている。しかしながら、ラミネートフィルム外装体は、長手方向の端部及び短手方向の端部のいずれか一つが折り返しによって構成されていてもよい。よって、ラミネートフィルム外装体には、長手方向の端部の一方のみに第1シール部が形成されていてもよいし、短手方向の端部の一方のみに第2シール部が形成されていてもよい。
【0095】
前記実施形態では、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部21,22が形成された後、第2シール部23,24が形成されている。しかしながら、ラミネートフィルム外装体に第2シール部を形成した後、第1シール部を形成してもよい。また、ラミネートフィルム外装体の長手方向の一方の端部に第1シール部を形成した後、第2シール部を形成し、その後、ラミネートフィルム外装体の長手方向の他方の端部に第1シール部を形成してもよい。さらに、ラミネートフィルム外装体の短手方向の一方の端部に第2シール部を形成した後、第1シール部を形成し、その後、ラミネートフィルム外装体の短手方向の他方の端部に第2シール部を形成してもよい。また、ラミネートフィルム外装体に、第1シール部と第2シール部とを交互に形成してもよい。すなわち、ラミネートフィルム外装体に形成する第1シール部及び第2シール部の順番はどのような順番でもよい。
【0096】
なお、ラミネート形電池1の生産性の観点から、ラミネートフィルム外装体20において、正極接続端子41及び負極接続端子42が位置する端部を最初に溶着することが好ましい。
【0097】
前記実施形態では、ラミネートフィルム外装体20に第1シール部21,22が形成された後、第2シール部23,24が形成されている。しかしながら、ラミネートフィルム外装体に第1シール部及び第2シール部を同時に形成してもよい。この場合、ラミネートフィルム外装体によって形成された空間内に非水電解液を注入する必要があるため、ラミネートフィルム外装体の外周側の一部を、非水電解液の注入後に溶着する必要がある。よって、前記同時に形成された第1シール部及び第2シール部と、後から形成されたシール部とが重なる部分において、前記後からシール部を形成する際に、熱によって溶融した樹脂がラミネートフィルム外装体の外部に露出する可能性がある場合には、前記重なる部分に前記実施形態の構成を適用することが好ましい。
【0098】
前記実施形態では、第1シール部21,22は、ラミネートフィルム外装体20の長手方向の両端部に形成され、第2シール部23,24は、ラミネートフィルム外装体20の短手方向の両端部に形成されている。しかしながら、第1シール部は、ラミネートフィルム外装体の短手方向の両端部に形成され、第2シール部は、ラミネートフィルム外装体の長手方向の両端部に形成されてもよい。
【0099】
なお、ラミネート形電池の電池容量の観点から、第1シール部は、ラミネートフィルム外装体において、正極接続端子及び負極接続端子の少なくとも一つが位置する側に形成されることが好ましい。
【0100】
前記実施形態では、第1シール部21,22は、平面視で同じ形状を有する。また、第2シール部23,24は、平面視で同じ形状を有する。しかしながら、第1シール部21,22は、平面視で異なる形状を有していてもよい。また、第2シール部23,24は、平面視で異なる形状を有していてもよい。
【0101】
前記実施形態では、第1シール部21,22は、ラミネート形電池1の短手方向(第1方向)に延び、第2シール部23,24は、ラミネート形電池1の長手方向(第2方向)に延びている。すなわち、第2シール部23,24の延伸方向は、平面視で第1シール部21,22の延伸方向に対して直交する方向である。しかしながら、第2シール部の延伸方向は、平面視で第1シール部の延伸方向に対して交差する方向であれば、直交していなくてもよい。
【0102】
前記実施形態では、第1シール部21,22は、ラミネート形電池1の短手方向に延びる溶着本体部21a,22aと、溶着本体部21a,22aからラミネート形電池1の長手方向に延びる溶着突出部21b,22bとを有する。しかしながら、第1シール部は、ラミネート形電池1の短手方向に延びる直線状に形成されていてもよい。すなわち、第1シール部は、前記実施形態のような溶着突出部を有していなくてもよい。この場合には、第2シール部は、平面視で、第1シール部に対してラミネート形電池1の長手方向に横断することなく該長手方向の端部が前記第1シール部の一部と重なるように、ラミネート形電池1に形成される。
【0103】
前記実施形態では、第1シール部21,22の溶着突出部21b,22bは、平面視で矩形状である。しかしながら、第1シール部の溶着突出部は、平面視で円形状や三角形状など、第2シール部を重ねて形成可能な形状であれば、他の形状であってもよい。
【0104】
前記実施形態では、第1シール部21,22の溶着本体部21a,22aは、直線状であり、第2シール部23,24も直線状である。しかしながら、第1シール部の溶着本体部及び第2シール部の少なくとも一方が、直線状以外の形状であってもよい。
【0105】
前記実施形態では、電極体10は、それぞれ帯状の正極11、負極12及びセパレータ13を厚み方向に重ねた状態で巻回することにより得られる巻回電極体である。しかしながら、電極体は、それぞれシート状の正極、負極及びセパレータを厚み方向に重ねることによって得られる積層型の電極体であってもよい。
【0106】
前記実施形態では、ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウム製の金属箔をナイロン及びポリプロピレンでラミネートした材料からなる。しかしながら、ラミネートフィルム外装体の金属箔は、アルミニウムに限らず、ステンレス等の他の金属材料によって形成されていてもよい。また、ラミネートフィルム外装体の溶着部分に用いられる材料は、熱によって溶融するとともに冷却すると硬化し、且つ非水電解液で溶融しない材料であれば、どのような材料を用いてもよい。さらに、ラミネートフィルム外装体において、溶着部分以外の材料は、金属箔をラミネート可能な材料であれば、どのような材料を用いてもよい。
【0107】
前記実施形態では、ラミネート形電池は、平面視で矩形状に形成されている。しかしながら、ラミネート形電池は、多角形状など、他の形状であってもよい。この場合も、第1シール部の延伸方向である第1方向と、第2シール部の延伸方向である第2方向とは、平面視で交差している。
【0108】
前記実施形態では、ラミネート形電池1はリチウムイオン電池である。しかしながら、ラミネート形電池1はリチウムイオン電池以外の電池であってもよい。また、ラミネート形電池だけではなく、キャパシタなども含む電気化学素子に前記実施形態の構成を適用してもよい。すなわち、蓄電または発電可能であり、電極体を覆うラミネートフィルム外装体の外周側に溶着部が形成されている電気化学素子に、前記実施形態の構成を適用することができる。