(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気ダクトの長手方向に直交する断面の面積は、前記ヘッド本体の長手方向に直交する断面の面積より大きい請求項1乃至3のいずれかに記載のクリーニングヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被クリーニング体の大型化に対応するために、上述した構造のクリーニングヘッドの長手方向の長さを大きくすると(例えば、幅:約110mm、高さ:約240mmに対して長さ:4,000mm)、このクリーニングヘッドが自重によって長手方向の中央部分(重心部分)を最下点にして撓むおそれがある。このようなクリーニングヘッドの撓みを防止するためには、クリーニングヘッドを強固な支持フレーム等に固定しなければならず、その支持構造が大がかりなものになり、また、そのコストがかさんでしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、長手方向の長さを大きくしても撓み難いクリーニングヘッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクリーニングヘッドは、長尺体であって、気体噴射口を通して外部に解放する気体噴射室と気体吸引口を通して外部に連通する気体吸引室とを有するヘッド本体と、前記ヘッド本体に沿って長手方向に延びる排気経路を形成するように前記ヘッド本体に結合する排気ダクトとを有し、前記ヘッド本体の前記気体噴射室が気体加圧機構に接続され、該気体加圧機構の動作により前記気体噴射室から前記気体噴射口を通して気体を噴射し、前記ヘッド本体の前記気体吸引室が前記排気ダクトにより形成される前記排気経路に連通する構造となって、前記排気経路を通した排気作用により前記気体吸引口を通して外気を前記気体吸引室に吸引するようにしたクリーニングヘッドであって、一体となる前記ヘッド本体と排気ダクトの配列方向における前記排気ダクトの曲げ剛性は、前記配列方向における前記ヘッド本体の曲げ剛性より大きく、
前記排気ダクト内に設けられ、前記ヘッド本体の長手方向の所定の部分を前記排気ダクト側に引き上げて固定する引き上げ固定機構を有する構成となる。
【0008】
このような構成によれば、ヘッド本体のその長手方向の所定の部分が、引き上げ固定機構により、結合して一体になるヘッド本体及び排気ダクトの配列方向における曲げ剛性がより大きい排気ダクト側に引き上げ固定されているので、ヘッド本体が自重により撓むことを抑制することができる。その結果、ヘッド本体と排気ダクトとが結合して一体となったクリーニングヘッド全体の撓みも抑制され得る。
【0009】
本発明に係るクリーニングヘッドにおいて、前記引き上げ固定機構は、前記ヘッド本体の長手方向における中央部を前記排気ダクト側に引き上げて固定する構成とすることができる。
【0010】
このような構成によれば、ヘッド本体がその長手方向の中央部が下がるように撓もうとしても、引き上げ固定機構により、ヘッド本体の撓みを抑制することができる。
【0011】
本発明に係るクリーニングヘッドにおいて、前記引き上げ固定機構は、前記ヘッド本体の上部に対して一端部が固定されるとともに少なくとも他端部のある範囲にネジ部が形成され、前記排気ダクトの前記排気経路内を横切るように延びる棒状部材と、前記ヘッド本体側から延びる前記棒状部材が貫通し、前記排気ダクトの上部内面に設けられたブロック体と、前記ヘッド本
体側への移動が規制されるように前記ブロック体に当接した状態で当該ブロック体を貫通する前記棒状部材の前記ネジ部に螺合する調整ナット部材とを有する構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、調整ナット部材のネジ部へのねじ込みの具合により、ヘッド本体の長手方向の所定の部分を排気ダクト側に引き上げる量を調整することができる。
【0013】
異なる性質(例えば、ヤング率)の材料でヘッド本体及び排気ダクトを構成することにより、また、ヘッド本体及び排気ダクトを異なる物理的な構造に構成することにより、排気ダクトの曲げ剛性をヘッド本体の曲げ剛性より大きくすることができる。
【0014】
後者の場合、本発明に係るクリーニングヘッドにおいて、更に、前記排気ダクトの長手方向に直交する断面の面積は、前記ヘッド本体の長手方向に直交する断面の面積より大きい構成とすることができる。
【0015】
なお、材料及び形状の双方を異ならせることによって、排気ダクトの曲げ剛性をヘッド本体の曲げ剛性より大きくするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るクリーニングヘッドによれば、ヘッド本体と排気ダクトとが結合して一体となったクリーニングヘッド全体の撓みが抑制されるようになるので、長手方向の長さを大きくしても撓み難いクリーニングヘッドを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本発明の実施の一形態に係るクリーニングヘッドは、
図1〜
図3及び
図4A〜
図4Cに示すように構成される。なお、
図1はクリーニングヘッドを示す正面図であり、
図2はクリーニングヘッドを示す平面図であり、
図3はクリーニングヘッドを部分的に示す底面図である。また、
図4Aは
図1に示すクリーニングヘッドのA矢視の図であり、
図4Bは
図1に示すクリーニングヘッドのB−B断面を示す断面図であり、
図4Cは
図1に示すクリーニングヘッドのC−C断面を示す断面図である。
【0020】
図1〜
図3及び
図4A〜
図4Cにおいて、このクリーニングヘッド10は、長尺体であって角筒状のヘッド本体11と、ヘッド本体11の上面に沿って長手方向D
Lに延びる排気経路130(
図4A〜
図4C参照)を形成するようにヘッド本体11に結合する断面コ字状の排気ダクト13と、ヘッド本体11の下面に固定されるノズルヘッド12とを有している。ヘッド本体11の上面の長手方向D
Lに延びる対向する2つの縁部分には、溝部111a、111bが形成されている(
図4A〜
図4C参照)。そして、断面コ字状の排気ダクト13の長手方向D
Lに延びる2つの端縁部分がヘッド本体11の2つの溝部111a、111bにスライド挿入されることにより、ヘッド本体11と排気ダクト13とが結合される。ヘッド本体11、ノズルヘッド12及び排気ダクト13が一体となって構成されるユニットの一方の端部にプレート14が固定されており、当該ユニットの他方の端部にプレート15が固定されている。プレート15は、排気ポート16及び給気ポート17のそれぞれを通して貫通しており、排気ダクト13内の排気経路130が排気ポート16に連通し、ヘッド本体11の後述するエア噴射室112(
図4A〜
図4C参照)が給気ポート17に連通している。なお、ヘッド本体11、ノズルヘッド12及び排気ダクト13のそれぞれの一方の端部はプレート14によって閉鎖されている。
【0021】
ヘッド本体11内の空間は、特に、
図4A〜
図4Cに示すように、それぞれが長手方向D
L(
図4A〜
図4Bにおいて紙面に直交する方向)に延び、その長手方向D
Lに直交する前後方向D
FRに並ぶエア噴射室112(気体噴射室)及び2つのエア吸引室113a、113b(気体吸引室)に分割されている。そして、ヘッド本体11内において、前述したように給気ポート17(
図1参照)に連通するエア噴射室112は、2つのエア吸引室113a、113bに挟まれるように配置されている。
【0022】
ノズルヘッド12は、
図4A〜
図4Cに示すように、概ね角筒状に形成されており、その内部が、仕切り壁121により前後方向D
FRに2つの空間122a、122bに分割された構造となっている。2つの空間122a、122bは、所定幅で長手方向D
Lに延びる開放部123a、123bを通してヘッド本体11側に開放している。一方、2つの空間122a、122bは、スリット状(
図3参照)のエア吸引口125a、125b(気体吸引口)を通して外部に連通している。また、仕切り壁121には、隙間124が形成されており、その隙間124が外部に至ることにより長手方向D
Lに延びるスリット状(
図3参照)のエア噴射口124aが形成される。
【0023】
ヘッド本体11のエア吸引室113a、113bのそれぞれに対応したノズルヘッド12側の壁部分には長手方向D
Lにある間隔で配列された複数の通孔115a、115b、が形成されている(
図4C参照)。前記複数の通孔115a、115bは、ノズルヘッド12の開放部123a、123bに対向しており、ヘッド本体11のエア吸引室113a、113bは、前記複数の通孔115a、115b及び開放部123a、123bを通してノズルヘッド12内の空間122a、122bに連通する。その結果、ヘッド本体11のエア吸引室113a、113bは、ノズルヘッド12のスリット状のエア吸引口125a、125bを通して外部に連通する。また、ヘッド本体11のエア吸引室113a、113bのそれぞれに対応した排気ダクト13側の壁部分には長手方向D
Lにある間隔で配列された複数の通孔116a、116bが形成されている(
図4C参照)。これにより、ヘッド本体11のエア吸引室113a、113bは、排気ダクト13の排気経路130に連通する。
【0024】
また、ヘッド本体11のエア噴射室112に対応したノズルヘッド12側の壁部分には長手方向D
Lにある間隔で配列された複数の通孔114が形成されている(
図4C参照)。複数の通孔114は、ノズルヘッド12の仕切り壁121に形成された隙間124に対向している。その結果、ヘッド本体11のエア噴射室112は、仕切り壁121に形成された隙間124が外部に至ることにより形成されるスリット状のエア噴射口124を通して外部に解放する。
【0025】
ヘッド本体11と排気ダクト13との配列方向D
V(長手方向D
Lに直交)におけるヘッド本体11の自重による撓みを抑制するために、引き上げ固定機構20が、排気ダクト13内に設けられている。この引き上げ固定機構20は、
図1とともに
図4A及び
図4Bに示すように、支持ブロック21、引き上げボルト22(棒状部材)、固定ブロック24(ブロック体)、及び調整ナット26(調整ナット部材)を備えている。支持ブロック21は、ヘッド本体11の上面の長手方向D
Lにおける中央部に固定されている。引き上げボルト22の一端部は、支持ブロック21の中央部にネジ込まれており、更に、2つのナット23a、23bによって締め付け固定されている。一方、排気ダクト13の上部内面には、前述した支持ブロック21に対向するように固定ブロック24が固定されている。固定ブロック24には、支持ブロック21から排気ダクト13の排気経路130を横切るように延びる引き上げボルト22が貫通する孔が形成され、更に、その孔は、引き上げボルト22の他端部に螺合する調整ナット26を収容する収容空間25として広がっている。このように固定ブロック24の引き上げボルト22が貫通する孔が広がって形成される収容空間25に収容された調整ナット26は、ヘッド本体11側への移動が規制されるように固定ブロック24の収容空間25の底面に当接した状態で引き上げボルト22に螺合している。
【0026】
なお、固定ブロック24の収容空間25に対応して排気ダクト13の上壁部には調整孔が形成されている。排気ダクト13の外部から調整孔を通して固定ブロック24の収容空間25に収容された状態の調整ナット22の操作を行うことができる。通常、前記調整孔は、蓋体18によって閉鎖された状態になっている。
【0027】
排気ダクト13とヘッド本体11の前後方向D
FR及び長手方向D
Lのそれぞれの長さは同じである一方、排気ダクト13とヘッド本体11のその配列方向D
Vの長さは、排気ダクト13のほうが大きい。即ち、排気ダクト13の長手方向D
Lに直交する断面の面積は、ヘッド本体11の長手方向D
Lに直交する断面の面積より大きい。このため、ヘッド本体11と排気ダクト13の配列方向D
Vにおける排気ダクト13の曲げ剛性は、その配列方向D
Vにおけるヘッド本体11の曲げ剛性より大きい。即ち、このクリーニングヘッド10では、ヘッド本体11は、前記配列方向D
Vにおける曲げ剛性がより大きい排気ダクト13の下部に結合し、前述した引き上げ固定機構20によってその中央部が引き上げ固定される。
【0028】
上述した構造のクリーニングヘッド10では、給気ポート17には、加圧エアを発生する、例えば、エアポンプ(気体加圧機構)が接続される。このエアポンプの動作により加圧エアが給気ポート17を通してヘッド本体11のエア噴射室112に供給される。それにより、エア噴射室112から加圧されたエアがノズルヘッド12のエア噴射口124aを通して噴射される。また、排気ポート16には、エアを吸引する機構、例えば、真空ポンプが接続され、この真空ポンプの動作による排気ポート16及びそれにつづく排気ダクト13の排気経路130を通した排気作用により、排気経路130に連通するヘッド本体11のエア吸引室113a、113bが排気される。それにより、エア吸引口125a、125bを通して外気がエア吸引室113a、113bに吸引される。
【0029】
このようなクリーニングヘッド10は、
図4Aに示すように、ノズルヘッド12が被クリーニング体Gの表面に、所定の隙間をもって、対向するように、セットされる。この状態で、クリーニングヘッド10と被クリーニング体Gとを相対移動させ、その際に、スリット状のエア噴射口124aからエアを噴射させつつエア吸引口125a、125bを通して外気が吸引される。その過程で、エア噴射口124aから噴射されるエアによって被クリーニング体Gの表面の塵埃が吹き上げられ、その吹き上げられた塵埃がエア吸引口125a、125bから外気とともにエア吸引室113a、113bに吸引される。これにより、被クリーニング体Gの表面から塵埃が除去される。
【0030】
上述したような構造のクリーニングヘッド10を支持フレーム等に支持した場合、例えば、
図5に示す破線Lのように、ヘッド本体11が、その中央部が最下点となるように撓もうとする。これに対して、引き上げ固定機構20の調整ナット20を引き上げボルト22にねじ込むことにより、ヘッド本体10の長手方向D
Lのその中央部が引き上げボルト22とともに引き上げられた状態で固定される。これにより、長手方向D
Lの中央部が最下点となるようにヘッド本体11が撓むことを抑制することができる。その結果、ヘッド本体11(及びノズルヘッド12)と排気ダクト13とが結合して一体となるクリーニングヘッド10全体の撓みも抑制することができる。このように、クリーニングヘッド10全体の撓みを抑制することができるので、長手方向D
Lの長さを大きくしても撓み難いクリーニングヘッド10を実現することができ、当該クリーニングヘッド10の支持構造を簡素にすることができるとともにその支持構造のコストがかさんでしまうことを防止することができる。
【0031】
なお、調整ボルト26のねじ込み量を調整することにより、ヘッド本体11の中央部を引き上げる量を調整することができる。
【0032】
なお、前述した実施の形態では、引き上げ固定機構20によって、ヘッド本体11の長手方向D
Lの中央部分を引き上げるようにしたが、これに限定されない。長尺体のヘッド本体11の長手方向D
Lのいずれの部分を引き上げるようにしても、ヘッド本体11の撓みを抑制する効果はある。ヘッド本体11が撓んで最下点になると見込まれる部分(例えば、長手方向D
Lの重心部分)を引き上げるようにすることが好ましい。また、ヘッド本体1の長手方向D
Lの複数の箇所を引き上げるように構成することもできる。
【0033】
前述した実施の形態では、ヘッド本体11とノズルヘッド12とは別体であったが、それらは、ヘッド本体として一体的に構成されるものであってもよい。
【0034】
なお、引き上げボルト22は全体にネジ部が形成されるものであったが、棒状部材としての引き上げボルト22では、少なくとも調整ナット26が螺合して引き上げボルト22を上下に調整する範囲にネジ部が形成されていればよい。
【0035】
前述したクリーニングヘッド10では、給気ポート17を通して加圧エアが供給されるものであったが、供給される気体はエアに限定されず、例えば、窒素ガス等の他の気体であってもよい。
【0036】
クリーニングヘッド10の構造については、エア噴射口124aを挟んで前後方向D
FRに2つのエア吸引口125a、125bが形成されるものであたが、エア吸引口は単一のものであってもよい。更に、複数のエア噴射口を形成することができ、また、3以上のエア吸引口を形成することもできる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態及び各部の変形例を説明したが、この実施の形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。