特許第6963785号(P6963785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963785
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20211028BHJP
   A01B 35/04 20060101ALI20211028BHJP
   A01B 73/02 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   A01B33/08 D
   A01B35/04 C
   A01B73/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-103509(P2017-103509)
(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公開番号】特開2018-198540(P2018-198540A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】倉田 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小出 盛人
(72)【発明者】
【氏名】山宮 壮将
(72)【発明者】
【氏名】小山 瑞樹
【審査官】 佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−309113(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0150192(US,A1)
【文献】 特開平08−256505(JP,A)
【文献】 特開2013−220075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00−33/16
A01B 27/00−31/00
A01B 35/00−49/06
A01B 51/00−61/04
A01B 63/14−67/00
A01B 71/00−79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結されて使用される農作業機であって、
筒状部を有する機体と、
前記筒状部内に通され、当該筒状部によって覆われた電線と、
この電線に接続された電気部品とを備え、
前記機体は、耕耘体を覆う耕耘カバーを有し、
前記筒状部は、前記耕耘カバーの一部からなる
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記機体の前記耕耘カバーは、
前記耕耘体を覆うカバー板と、
このカバー板を補強する補強板とを有し、
前記筒状部は、前記カバー板の後側部分と前記補強板とによって構成されている
ことを特徴とする請求項記載の農作業機。
【請求項3】
走行車に連結されて使用され、展開状態及び折畳状態になる農作業機であって、
筒状部を有する機体と、
前記筒状部に通された電線と、
この電線に接続された電気部品とを備え、
前記機体は、中央作業部に対して回動可能な延長作業部の延長機体であり、
前記延長機体は、
前記中央作業部側に向かって開口する電線入口部と、
前記展開状態で上方側に向かって開口する電線出口部とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
前記延長機体は、
電線用切欠が形成され、前記電線入口部をその一部を残して覆う入口蓋と、
電線用切欠が形成され、前記電線出口部をその一部を残して覆う出口蓋とを有する
ことを特徴とする請求項記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車に連結されて使用される農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の農作業機として、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、中央砕土装置と左砕土装置と右砕土装置とを具備した折畳み可能な3分割構造のものであり、左右の砕土装置には延長整地板電動駆動部が設けられ、この延長整地板電動駆動部の電気部品(モータ)には電線(ハーネス)が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−109868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、電気部品に接続された電線が常に露出しているため、電線の耐久性が良好であるとはいえない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電線の耐久性の向上を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る農作業機は、走行車に連結されて使用される農作業機であって、筒状部を有する機体と、前記筒状部に通された電線と、この電線に接続された電気部品とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電線の耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の側面図である。
図2】同上農作業機の斜視図(展開時)である。
図3】同上農作業機の斜視図(折畳時)である。
図4】左側の延長作業部の側面図である。
図5】左側の延長作業部の斜視図である。
図6】本発明の他の実施の形態に係る農作業機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態について図1ないし図5を参照して説明する。
【0011】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により圃場を前方(進行方向)に移動しながら農作業、例えば耕耘整地作業等を行う代掻機である。
【0012】
農作業機1は、例えば折畳み可能な3分割構造のもので、トラクタの後部に連結される中央作業部2と、この中央作業部2に対して回動軸(回動支点)5を中心として上下方向に回動可能な左右の延長作業部3と、この延長作業部3を中央作業部2に対して回動させる回動駆動手段である電動油圧シリンダ4とを具備している。
【0013】
中央作業部2は、トラクタの後部の3点リンク部に脱着可能に連結される機体である中央機体11と、この中央機体11に回転可能に設けられ耕耘作業をする耕耘体である中央耕耘体12と、中央機体11の中央耕耘カバー(耕耘カバー)15の後端部に上下方向に回動可能に設けられ中央耕耘体12の後方で整地作業する整地体である中央整地体13とを備えている。
【0014】
中央機体11は、入力軸16を保持したミッションケース17を有し、その入力軸16にはトラクタのPTO軸がジョイントを介して接続される。また、中央機体11は、マスト18を有し、このマスト18には制御手段である制御ボックス20が設けられている。
【0015】
中央耕耘体12は、左右方向の耕耘軸21を有し、この耕耘軸21には複数の耕耘爪22が取り付けられている。中央耕耘体12の上方は、中央機体11のカバー部である中央耕耘カバー15によって覆われている。
【0016】
中央整地体13は、中央耕耘カバー15に対して上下方向に回動可能な第1整地板(均平板)26を有し、この第1整地板26には第2整地板(レーキ)27が上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0017】
左右対をなす延長作業部3は、左右対称の点が異なるのみで、基本的構成は同一であるため、以下では、左側の延長作業部3を中心に説明する。
【0018】
この左側の延長作業部3は、中央機体11の左端部に回動軸5を中心として回動可能に設けられた機体である延長機体31と、この延長機体31に回転可能に設けられ耕耘作業をする耕耘体である延長耕耘体32と、延長機体31の延長耕耘カバー(耕耘カバー)35の後端部に上下方向に回動可能に設けられ延長耕耘体32の後方で整地作業する整地体である延長整地体33とを備えている。
【0019】
延長耕耘体32は、中央耕耘体12の耕耘軸21にクラッチ36を介して連結される耕耘軸37を有し、この耕耘軸37には複数の耕耘爪38が取り付けられている。延長耕耘体32の上方は、延長機体31のカバー部である延長耕耘カバー35によって覆われている。
【0020】
延長整地体33は、延長耕耘カバー35に対して上下方向に回動可能な第1整地板(均平板)41を有し、この第1整地板41には第2整地板(レーキ)42が上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0021】
また、延長整地体33の第2整地板42の外端部には、延長作業部である延長整地板43が回動可能に取り付けられている。そして、延長整地板43を第2整地板42に対して回動させる延長整地板駆動手段45は、延長機体31の延長耕耘カバー35の上面側に設けられている。
【0022】
延長整地板駆動手段45は、ボルト46で延長耕耘カバー35の上面に取り付けられたベース部材47を有し、このベース部材47には電気部品である電動モータ(駆動源)48が固定され、この電動モータ48はカバー部材49によって覆い隠されている。
【0023】
また、延長整地板駆動手段45は、電動モータ48からの動力で回動する回動アーム50を有し、この回動アーム50の先端にワイヤー51の一端が取り付けられ、このワイヤー51の他端が延長整地板43に取り付けられている。
【0024】
そして、左右の延長整地板駆動手段45の電動モータ48には、制御ボックス20に接続した電線52が接続されている。電線52は、例えば複数の配線を束にしたハーネス(ワイヤーハーネス)であり、左右の電動油圧シリンダ4にも接続されている。
【0025】
ここで、図4及び図5に示すように、左側の延長作業部3の延長機体31は、延長耕耘体32の上方を覆う延長耕耘カバー35を有し、その内端部には内側板53が固着され、その外端部には外側板54が固着されている。
【0026】
また、延長機体31は、延長耕耘カバー35の一部からなる左右方向長手状の補強用の筒状部56を有している。つまり、延長耕耘カバー35は、延長耕耘体32の上方を覆うカバー板57と、このカバー板57に固着されこのカバー板57を補強する補強板58とを有しており、カバー板57の後側部分と補強板58とによって電線通し部である筒状部(電線収納部)56が構成されている。筒状部56は、左右方向に細長い角筒状のもので、この筒状部56の内部空間は、電線52をその長手方向に沿って容易に通すことが可能な大きさである。
【0027】
さらに、延長機体31は、中央作業部2側である内側方側に向かって開口する円形状の電線入口部61と、上方側に向かって開口する矩形状の電線出口部62と、内側板53に脱着可能に取り付けられ電線入口部61をその一部を残して覆う屈曲板状の入口蓋63と、補強板58に脱着可能に取り付けられ電線出口部62をその一部を残して覆う平板状の出口蓋64とを有している。
【0028】
電線入口部61は内側板53の後部に開口形成され、電線出口部62は補強板58の水平板部59の外端側に開口形成されている。補強板58の水平板部59のうち電線出口部62の近傍部分にはボルト用孔66が形成され、また、そのボルト用孔66に対応して水平板部59の裏面にはナット67が溶接固定されている。
【0029】
そして、ベース部材47のボルト用孔68、出口蓋64のボルト用孔69及び補強板58のボルト用孔66にボルト46が挿通され、この挿通されたボルト46のねじ軸部46aがナット67に螺合されることによって、ベース部材47及び出口蓋64が補強板58の水平板部59に対して共締め固定されている。なお、その出口蓋64には、電線用切欠70が形成されている。
【0030】
一方、入口蓋63は、中間位置で直角に折り曲げた板状部材からなるもので、ボルト用孔(図示せず)が形成された取付板部71と、この取付板部71から内側方(中央作業部側である右側方)に向かって突出する土避け用の突出板部72とを有している。なお、この突出板部72は、泥土等の土が電線入口部61側に向かうのを防止する土避け部である。
【0031】
そして、入口蓋63のボルト用孔及び内側板53のボルト用孔にボルト75が挿通され、この挿通されたボルト75のねじ軸部がナット76に螺合されることによって、入口蓋63が内側板53に対して固定されている。なお、その入口蓋63には、電線用切欠73が形成されている。また、ナット76は、内側板53の裏面に溶接固定されている。
【0032】
ここで、図5に示すように、電線(例えばハーネス)52は、延長機体31の延長耕耘カバー35の筒状部56を通って電動モータ48に接続されている。
【0033】
つまり、電線52は、電線入口部61から筒状部56に入れられ、この筒状部56を通された後、電線出口部62から筒状部56の外へ出されて、この出された先端部(コネクタ)に電気部品である電動モータ48が接続されている。なお、電線入口部61のうち入口蓋63の電線用切欠73に対応する部分のみが開口しており、それ以外の部分は入口蓋63で閉鎖されている。同様に、電線出口部62のうち出口蓋64の電線用切欠70に対応する部分のみが開口しており、それ以外の部分は出口蓋64で閉鎖されている。
【0034】
そして、このように電線52が筒状部56を通って電動モータ48に接続されていることから、この電線52のうち、左右の延長作業部3側の部分52aは、延長耕耘カバー35の一部からなる筒状部56内に収納された状態となっているため、外部からは全く見えない。なお、この実施形態では、電線52のうち中央作業部2側の部分52bは、外部に露出している(図2参照)。
【0035】
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0036】
トラクタの後部に農作業機1を連結して、電動油圧シリンダ4の動力で延長作業部3を非作業位置から作業位置まで回動させ、かつ、延長整地板駆動手段45の電動モータ48の動力で延長整地板43を非作業位置から作業位置まで回動させた後、トラクタの走行により農作業機1を前方向に移動させる。
【0037】
すると、中央作業部2の中央耕耘体12が耕耘作業をし、その後方で中央作業部2の中央整地体13が整地作業をし、かつ、延長作業部3の延長耕耘体32が耕耘作業をし、その後方で延長作業部3の延長整地体33が整地作業をする。
【0038】
このようにして、展開状態の農作業機1によって、最大作業幅で耕耘整地作業が行われる。なお、図3に示すように、農作業機1を折畳状態にすることで、中央作業部2のみで作業することも可能である。
【0039】
そして、上記農作業機1によれば、電線52が延長耕耘カバー35の補強用の筒状部(耕耘カバーの袋構造部)56に通されて電動モータ48に接続されているため、延長耕耘カバー35とは別の追加の筒状部材(ハーネス隠し等)を用いることなく、延長耕耘カバー35の一部からなる筒状部56によって電線52を覆って保護することが可能であり、よって、電線52の経年劣化等を抑制でき、電線52の耐久性の向上を図ることができ、しかも、見た目がすっきりして意匠性の向上も図ることができる。
【0040】
また、耕耘整地作業の際等において、稈や草等の雑物が電線52に引っ掛かることを防止でき、清掃等のメンテナンス作業も容易であり、さらに、他の部材等が電線52に引っ掛かって断線してしまうようなことも防止できる。
【0041】
さらに、延長機体31は、筒状部56に連通した電線入口部61をその一部(入口蓋63の電線用切欠73に対応する部分)を残して覆う入口蓋63と、筒状部56に連通した電線出口部62をその一部(出口蓋64の電線用切欠70に対応する部分)を残して覆う出口蓋64とを有するため、これら入口蓋63及び出口蓋64によって、泥土や雑物等が電線入口部61及び電線出口部62を通って筒状部56に入り込むことを効果的に防止できる。
【0042】
なお、農作業機1は、例えば図6に示すように、電線52の延長作業部3側の部分52aのほか、電線52の中央作業部2側の部分52bも、外部から見えないようにしてもよい。
【0043】
つまり、この図6に示す構成では、電線52の中央作業部2側の部分52bも、延長作業部3側の部分52aと同様、中央耕耘カバー15の補強用の筒状部(耕耘カバーの袋構造部)56に通されている。そして、この図6に示す構成によれば、電線52の耐久性の向上をより一層図ることができる。
【0044】
また、例えば電線入口部61を筒状部56の補強板58に形成してもよく、また、電線出口部62を外側板54に形成してもよい。
【0045】
さらに、農作業機1は、折畳み可能な3分割構造には限定されず、折畳み不可能な一本物でもよく、この一本物の機体の筒状部に電線を通して電気部品に接続するようにしてもよい。
【0046】
また、農作業機1は、代掻機や耕耘機等には限定されず、走行車に連結して使用するものであれば任意である。
【符号の説明】
【0047】
1 農作業機
2 中央作業部
3 延長作業部
31 機体である延長機体
32 耕耘体である延長耕耘体
35 耕耘カバーである延長耕耘カバー
48 電気部品である電動モータ
52 電線
56 筒状部
57 カバー板
58 補強板
61 電線入口部
62 電線出口部
63 入口蓋
64 出口蓋
70,73 電線用切欠
図1
図2
図3
図4
図5
図6