(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベースと、ベースの上方に配置されるテーブルと、テーブルに支持され、ワークが載置されるワークプレートと、ベースとテーブルとの間に設けられ、ベースに対してテーブルをX軸方向、Y軸方向、θ回転方向の3自由度で移動可能に支持する送り機構部とを備え、
ワークプレート上に載置されたワークに加工時の加圧力が上から加わる際にワークプレートに対して下から上に負荷を加える逆負荷機構を設けたアライメントステージであって、
ベース、テーブル、ワークプレート及び送り機構部を含んでアライメントユニットが構成され、このアライメントユニットをワーク配置場所からワーク加工場所へと搬送させる搬送機構が設けられ、
テーブル及びベースには、中央にワークプレートを臨む開口部が設けられ、
ワーク加工場所におけるアライメントユニットの下方位置に逆負荷機構がアライメントユニットとは別置きに設置されており、
逆負荷機構は、ワークプレートを下から上に押圧するための押圧板と、ワークプレートに加える力を発生させる負荷発生部と、負荷発生部に進退自在に設けられ且つ押圧板の下面と接続されたシャフトとを有し、アライメントユニットがワーク加工場所に搬送されてワークプレート上のワークが加工される時には、シャフトを進出させて押圧板をベース及びテーブルの開口部を通過させて押圧板によりワークプレートを下から上に押圧する構成としたアライメントステージ。
ベースと、ベースの上方に配置されるテーブルと、テーブルに支持され、ワークが載置されるワークプレートと、ベースとテーブルとの間に設けられ、ベースに対してテーブルをX軸方向、Y軸方向、θ回転方向の3自由度で移動可能に支持する送り機構部とを備え、
ワークプレート上に載置されたワークに加工時の加圧力が上から加わる際にワークプレートに対して下から上に負荷を加える逆負荷機構を設けたアライメントステージであって、
ベース、テーブル、ワークプレート及び送り機構部を含んでアライメントユニットが構成され、このアライメントユニットをワーク配置場所からワーク加工場所へと搬送させる搬送機構が設けられ、
テーブル及びベースには、中央にワークプレートを臨む開口部が設けられ、
逆負荷機構は、テーブルの開口部の位置に配設されてアライメントユニットに設けられた中間ガイド部と、ワーク加工場所におけるアライメントユニットの下方位置にアライメントユニットとは別置きに設置された動力部とを有し、
中間ガイド部は、ワークプレートを下から上に押圧するための押圧板と、押圧板の下面に接続されたポストと、押圧板がワークプレート下面との間に隙間を有する高さ位置でポストを上方移動可能に支持する支持部とを有し、
動力部は、ワークプレートに加える力を発生させる負荷発生部と、負荷発生部に進退自在に設けられたシャフトとを有し、
シャフトの上端又はポストの下端には、転動体を保持するスライドリテーナが設けられ、
逆負荷機構は、アライメントユニットがワーク加工場所に搬送されてワークプレート上のワークが加工される時には、シャフトを進出させてシャフトとポストとをスライドリテーナの転動体を介して転動可能に当接させてポストを上方移動させて押圧板によりワークプレートを下から上に押圧する構成としたアライメントステージ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アライメントステージによりワークの位置調整が行われた後、アライメントステージ上のワークに対して加工機により加圧して加工が行われる。このワーク加工時の加圧力は、アライメントステージにも加わる。近年、ワークの大型化や製造工程の統合や更なる加工精度の高精度化等により、ワーク加工時にアライメントステージ上のワークに対して大きな加圧力を作用させる要望が高まってきた。この要望に応えるにはアライメントステージの送り機構部は、大きな加圧力に耐える構造とする必要がある。ところが、アライメントステージにおいてワークの位置調整の際に精密かつ微細な動きを行わせるために送り機構部の転動体等は小さいものが使用されているが、このような送り機構部では、大きな負荷(加圧力)を許容することができず、大きな加圧力が加わると破損や変形等するおそれがある。送り機構部を大きな加圧力に耐える構造とするには転動体等を大きいものとする必要があるが、そうするとワーク位置調整に際して精密かつ微細な動きに適合できないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、送り機構部としては精密かつ微細な動きに適合したものとし、その上でワーク加工時には大きな加圧力を許容可能とするアライメントステージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1のアライメントステージは、
ベースと、ベースの上方に配置されるテーブルと、テーブルに支持され、ワークが載置されるワークプレートと、ベースとテーブルとの間に設けられ、ベースに対してテーブルをX軸方向、Y軸方向、θ回転方向の3自由度で移動可能に支持する送り機構部とを備え、
ワークプレート上に載置されたワークに加工時の加圧力が上から加わる際にワークプレートに対して下から上に負荷を加える逆負荷機構を設けたものであ
り、
ベース、テーブル、ワークプレート及び送り機構部を含んでアライメントユニットが構成され、このアライメントユニットをワーク配置場所からワーク加工場所へと搬送させる搬送機構が設けられ、
テーブル及びベースには、中央にワークプレートを臨む開口部が設けられ、
ワーク加工場所におけるアライメントユニットの下方位置に逆負荷機構がアライメントユニットとは別置きに設置されており、
逆負荷機構は、ワークプレートを下から上に押圧するための押圧板と、ワークプレートに加える力を発生させる負荷発生部と、負荷発生部に進退自在に設けられ且つ押圧板の下面と接続されたシャフトとを有し、アライメントユニットがワーク加工場所に搬送されてワークプレート上のワークが加工される時には、シャフトを進出させて押圧板をベース及びテーブルの開口部を通過させて押圧板によりワークプレートを下から上に押圧する構成としたものである。
【0007】
この発明1によれば、ワークに対して加工時の加圧力が上から加わった際、逆負荷機構がワークプレートに対して下から上に加える負荷によってワークプレートに加わるワーク加工時の加圧力を相殺させることができる。従って、ワークプレートを支持するテーブルとベースとの間に配設される送り機構部にはワーク加工時の加圧力がほとんど作用しないようにすることができる。よって、ワークの加工の際には、送り機構部にワーク加工時の加圧力が加わることなく、ワークに対して大きな加圧力を加えることができる。
【0008】
送り機構部には、ワーク加工時の加圧力が加わらないから、送り機構部における転動体等は、負荷の許容が小さい小型のものを使用することができる。よって、送り機構部は、ワーク位置調整を微細かつ精密な動きに適合した構成とすることができる。
【0010】
また、逆負荷機構による負荷を押圧板によってワークプレートの略全域に対して略均等に加えることができる。従って、ワーク加工時にワークプレートに局所的な加圧力が加わっても、ワーク加工時の加圧力を相殺させて、送り機構部にはワーク加工時の加圧力がほとんど作用しないようにすることができる。
【0011】
また、ワークの加工の際は押圧板によってワークプレートを下から支えることとなり、ワークには加工時の加圧力をばらつくことなく適切に作用させることができ、ワークの加工精度を高精度に行うことができる。
【0012】
また、押圧板は、ワーク加工時にワークプレートを押圧する前はワークプレート下面から離れて配置されていてワークプレートとは接触していないので、ワーク加工前のワーク位置調整の際、ワークプレートを支持するテーブルを送り機構部により移動させる動作を押圧板が阻害することもない。
【0014】
さらには、逆負荷機構は、アライメントユニットとは別置きに設置されているので、アライメントユニットには重量物である逆負荷機構の重量がかからない。従って、搬送機構は、大きな駆動力を必要とせずアライメントユニットを円滑にワーク配置場所からワーク加工場所へと移動させることができる。
【0015】
本発明
2のアライメントステージは、
ベースと、ベースの上方に配置されるテーブルと、テーブルに支持され、ワークが載置されるワークプレートと、ベースとテーブルとの間に設けられ、ベースに対してテーブルをX軸方向、Y軸方向、θ回転方向の3自由度で移動可能に支持する送り機構部とを備え、
ワークプレート上に載置されたワークに加工時の加圧力が上から加わる際にワークプレートに対して下から上に負荷を加える逆負荷機構を設けたものであり、
ベース、テーブル、ワークプレート及び送り機構部を含んでアライメントユニットが構成され、このアライメントユニットをワーク配置場所からワーク加工場所へと搬送させる搬送機構が設けられ、
テーブル及びベースには、中央にワークプレートを臨む開口部が設けられ、
逆負荷機構は、テーブルの開口部の位置に配設されてアライメントユニットに設けられた中間ガイド部と、ワーク加工場所におけるアライメントユニットの下方位置にアライメントユニットとは別置きに設置された動力部とを有し、
中間ガイド部は、ワークプレートを下から上に押圧するための押圧板と、押圧板の下面に接続されたポストと、押圧板がワークプレート下面との間に隙間を有する高さ位置でポストを上方移動可能に支持する支持部とを有し、
動力部は、ワークプレートに加える力を発生させる負荷発生部と、負荷発生部に進退自在に設けられたシャフトとを有し、
シャフトの上端又はポストの下端には、転動体を保持するスライドリテーナが設けられ、
逆負荷機構は、アライメントユニットがワーク加工場所に搬送されてワークプレート上のワークが加工される時には、シャフトを進出させてシャフトとポストとをスライドリテーナの転動体を介して転動可能に当接させてポストを上方移動させて押圧板によりワークプレートを下から上に押圧する構成としたものである。
【0016】
この発明
2によれば、
ワークに対して加工時の加圧力が上から加わった際、逆負荷機構がワークプレートに対して下から上に加える負荷によってワークプレートに加わるワーク加工時の加圧力を相殺させることができる。従って、ワークプレートを支持するテーブルとベースとの間に配設される送り機構部にはワーク加工時の加圧力がほとんど作用しないようにすることができる。よって、ワークの加工の際には、送り機構部にワーク加工時の加圧力が加わることなく、ワークに対して大きな加圧力を加えることができる。
送り機構部には、ワーク加工時の加圧力が加わらないから、送り機構部における転動体等は、負荷の許容が小さい小型のものを使用することができる。よって、送り機構部は、ワーク位置調整を微細かつ精密な動きに適合した構成とすることができる。
また、逆負荷機構による負荷を押圧板によってワークプレートの略全域に対して略均等に加えることができる。従って、ワーク加工時にワークプレートに局所的な加圧力が加わっても、ワーク加工時の加圧力を相殺させて、送り機構部にはワーク加工時の加圧力がほとんど作用しないようにすることができる。
また、ワークの加工の際は押圧板によってワークプレートを下から支えることとなり、ワークには加工時の加圧力をばらつくことなく適切に作用させることができ、ワークの加工精度を高精度に行うことができる。
また、押圧板は、ワーク加工時にワークプレートを押圧する前はワークプレート下面から離れて配置されていてワークプレートとは接触していないので、ワーク加工前のワーク位置調整の際、ワークプレートを支持するテーブルを送り機構部により移動させる動作を押圧板が阻害することもない。
さらには、逆負荷機構の動力部は、アライメントユニットとは別置きに設置されているので、アライメントユニットには重量物である動力部の重量がかからない。従って、搬送機構は、大きな駆動力を必要とせずアライメントユニットを円滑にワーク配置場所からワーク加工場所へと移動させることができる。
【0017】
また、シャフトを進出させてシャフトとポストとをスライドリテーナの転動体を介して転動可能に当接されるので、ワーク加工時に押圧板によりワークプレートを押圧している状態でも送り機構部によりテーブルを可動させてワーク位置調整を行わせることができる。従って、ワーク加工時にワーク位置の補正を行うことができ、更に高精度の加工を行うことができる。
【0018】
本発明
3のアライメントステージは、
上記発明
1又は2のアライメントステージにおいて、
ワークプレートは、テーブルにおいて上方移動可能とするガイド機構により支持されているものである。
【0019】
この発明
3の場合、ワークプレートは、逆負荷機構により下から上に負荷が加えられるとテーブルとは独立して上方移動される。従って、ワーク加工時にワークプレートに加わる加圧力は、逆負荷機構によって確実に受け止められてテーブルに加わり難くすることができる。よって、テーブルとベースとの間に配設された送り機構部には、より確実に、ワーク加工時の加圧力が作用しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係るアライメントステージによれば、ワーク加工時にワークに対して大きな加圧力を加えることができ、それでいて、送り機構部としては精密かつ微細な動きに適合した構成とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明に係るアライメントステージは、例えば、半導体ウエハ上にレジストを塗布してガラスマスク等の型により加圧プレスしてナノオーダーの精密パターンを転写するナノインプリントの製造工程において、半導体ウエハ等のワークWの加工前にワークWの位置調整を行うものであり、このワーク位置調整後にアライメントステージ1上のワークWに対して加工機により加圧して加工が行われる。なお、本発明は、上記ナノインプリントに限らず、切削加工、プレス加工等のようにワークWに加圧力を加える様々な製造工程において使用することができ、また、ワークWは、半導体ウエハに限らず、液晶パネル、テープ、フィルム、プリント基板等の様々なワークWを対象とすることができる。
【0023】
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1によるアライメントステージ1Aは、アライメントユニット10に逆負荷機構2を設けたものである。この逆負荷機構2については後述する。
【0024】
アライメントユニット10は、ワークWの位置調整を行う構成部分であり、主な構成として、四角形状のベース11と、ベース11の上方に配置される四角形状のテーブル12と、テーブル12に支持され、ワークWが載置される四角形状のワークプレート13と、ベース11とテーブル12との間に設けられ、ベース11に対してテーブル12をX軸方向、Y軸方向、θ回転方向の3自由度で移動可能に支持する送り機構部3とを有する。ワークプレート13は、四角形状のテーブル12の四隅に立設する脚部14によってテーブル12上に支持されている。
【0025】
送り機構部3は、テーブル12をX軸方向とY軸方向とに移動可能とするとともにXY平面上にθ回転可能とするガイド部30と、ガイド部30を一軸方向へ移動させるボールネジ部40とを備えている。
【0026】
図2に示すように、ガイド部30は、下段ガイドブロック31、中段ガイドブロック32、上段ガイドブロック33及びベアリング34が組み付けられたものであり、下段ガイドブロック31がベース11の上面に取り付けられ、ベアリング34がテーブル12の下面に取り付けられている。
図2(a)を参照して、下段ガイドブロック31の上面には、水平一方向に延びる凸状の第1レール部35aが形成され、中段ガイドブロック32の下面には、下段ガイドブロック31の第1レール部35aに嵌め合わされる凹状の第1レール溝部36aが形成されている。第1レール部35aと第1レール溝部36aの間には、転動体38を保持する第1保持器37aが配設されている。これにより、中段ガイドブロック32が上段ガイドブロック33の第1レール部35aに沿って水平一方向(例えば、X軸方向)にスライド可能となる。また、
図2(b)を参照して、中段ガイドブロック32の上面には、下面の第1レール溝部36aと直交する水平他方向に延びる凸状の第2レール部35bが形成され、上段ガイドブロック33の下面には、中段ガイドブロック32の第2レール部35bに嵌め合わされた凹状の第2レール溝部36bが形成されている。この第2レール部35bと第2レール溝部36bの間にも、転動体38を保持する第2保持器37bが配設されている。これにより、上段ガイドブロック33が中段ガイドブロック32の第2レール部35bに沿って水平他方向(例えば、Y軸方向)にスライド可能となる。また、
図2(c)を参照して、ベアリング34は、円状に転動体39が配設されている。このベアリング34によって、テーブル12を水平面上(XY平面上)でθ回転可能とする。以上のように、ガイド部30は、テーブル12をX軸方向、Y軸方向、θ回転方向の3自由度での移動を可能とするように構成されている。
【0027】
ボールネジ部40は、ガイド部30の横に平行に配設されており、下段ガイドブロック31の凸状の第1レール部35aの長さ方向と平行に延びるネジ部41と、ネジ部41に螺合され、中段ガイドブロック32と連結されたナット部42と、ネジ部41の基端部側に配置された軸受部43と、軸受部43から突出されるネジ部41の基端部と継手44によってモータ軸が接続されたモータ45とを有している。モータ45及び軸受部43は、ベース11に設置固定されている。また、軸受部43には、図示していないが、転動体が保持されている。これにより、ボールネジ部40のモータ45を駆動してネジ部41を回転させることによりナット部42がネジ部41の長さ方向に沿って移動され、このナット部42の移動によりガイド部30の中段ガイドブロック32を下段ガイドブロック31の第1レール部35aに沿ってスライド移動させる。
【0028】
以上のガイド部30及びボールネジ部40により構成される送り機構部3は、四角形状のテーブル12の4隅のうちの3隅にそれぞれ配設されている(
図1(a)参照)。ボールネジ部40は、テーブル12の一辺においてネジ部41がテーブル12の一方の角側に向き、モータ45が他方の角側に向く姿勢で配設される。そして、対応する二辺の対角上に配設する2つの送り機構部3がテーブル12をX軸方向に移動させるX方向直動ガイド(3X)を構成し、他の対向する二辺の一辺側の角に配設する1つの送り機構部3がテーブル12をY軸方向に移動させるY方向直動ガイド(3Y)を構成し、X方向直動ガイド(3X)及びY方向直動ガイド(3Y)におけるベアリング34がテーブル12をXY平面上でθ方向へ回転可能とするθ回転ガイド(34θ)を構成する。
【0029】
送り機構部3により、テーブル12をX軸方向に移動させるには、2つのX方向直動ガイド(3X)の各モータ45を回転させて各ナット部42をX軸方向の同じ方向に移動させることにより、各ガイド部30がX軸方向の同じ方向に移動してテーブル12がX軸方向に移動される。テーブル12をY軸方向に移動させるには、1つのY方向直動ガイド(3Y)のモータ45を回転させてナット部42をY軸方向に移動させることにより、各ガイド部30がY軸方向の同じ方向に移動してテーブル12がY軸方向に移動される。テーブル12をθ回転させるには、2つのX方向直動ガイド(3X)の各モータ45を回転させて各ナット部42をX軸方向の相反する方向に移動させるとともに、1つのY方向直動ガイド(3Y)のモータ45を回転させてナット部42をY軸方向に移動させることにより、θ回転ガイド(34θ)を構成する3つのベアリング34がθ回転を許容してテーブル12がXY平面上でθ方向に回転される。
【0030】
図3、
図4を参照して、アライメントステージ1Aには、アライメントユニット10をワーク配置場所P1からワーク加工場所P2へと移動させる搬送機構5が設けられている。搬送機構5は、ベース11の下方に設置する基台Fに設置固定されている。搬送機構5は、水平一方向(例えば、X軸方向)に延びる一対のガイドレール51a,51bと、各ガイドレール51a,51bに2つずつ走行可能に取り付けられ、四角形状のベース11の下面の四隅に設けられた4つのスライダー52と、一方のガイドレール51aに設けた2つのスライダー52を移動させるボールネジ機構部53とを有している。ボールネジ機構部53は、スライダー52を螺合させたネジ軸54と、ネジ軸54を回転させるモータ55とを備えている。これにより、ネジ軸54を回転させてスライダー52を移動させることにより、アライメントユニット10をガイドレール51a,51bに沿って移動させることができる。この搬送機構5により、アライメントユニット10をワーク配置場所P1とワーク加工場所P2との間を往復移動させる。
【0031】
ワーク配置場所P1において、アライメントステージ1Aは、ワークプレート13上にワークWが載置され、このワークWを上方に設置したカメラ(図示せず)でワークWに付された所定のアライメントマークを確認しながら送り機構部3によりテーブル12をXYθ方向に移動させてワークWの位置調整が行われる。ワーク位置調整が行われた後、搬送機構5によりアライメントユニット10をワーク配置場所P1からワーク加工場所P2へと搬送させる。ワーク加工場所P2には、ナノインプリント装置等の加工機Mが配設されている。ワーク加工場所P2において、ワークプレート13上のワークWは、加工機Mの加工ツールにより加圧されて加工が行われる。
【0032】
このように、ワークWの加工は、アライメントステージ1A上で行われる。この際、ワークプレート13上のワークWに対して加工機Mにより加圧力が加わると、アライメントステージ1Aにもワーク加工時の加圧力が加わる。アライメントステージ1Aは、ワークWの位置調整を精密かつ微細に行わせるために送り機構部3の転動体38,39等は小さいものが使用されているが、このような送り機構部3では、大きな負荷(加圧力)を許容することができず、大きな加圧力が加わると破損や変形等するおそれがある。送り機構部3を大きな加圧力に耐える構造とするには転動体38,39等を大きいものとする必要があるが、そうするとワーク位置調整に際して精密かつ微細な動きに適合できないという問題が生じる。そこで、本実施形態1のアライメントステージ1Aでは、ワークプレート13上に載置されたワークWに加工時の加圧力が上から加わる際にワークプレート13に対して下から上に負荷を加える逆負荷機構2が設けられている。
【0033】
以下に、この逆負荷機構2について説明する。
図3、
図4を参照して、アライメントステージ1Aのテーブル12には、中央にワークプレート13を臨む四角形状の開口部121が設けられており、逆負荷機構2は、このテーブル12の開口部121の位置においてベース11に設置固定されている。逆負荷機構2は、ワークプレート13下面との間に隙間dを有してワークプレート13の下に配置された押圧板21と、ワークプレート13に加える負荷を発生させる負荷発生部22と、負荷発生部22に進退自在に設けられ且つ押圧板21の下面と接続されたシャフト23とを備えている。
【0034】
押圧板21は、四角形平板状に形成され、ワークプレート13より少し小さいサイズに形成されている。押圧板21は、ワークプレート13上に載置されるワークWの大きさと同等又はそれ以上の大きさを有するのが好ましい。また、押圧板21は、ワーク加工時にワークプレート13を押圧する前はワークプレート13下面との間に隙間dを有して配置されていてワークプレート13とは接触していない。これにより、ワーク配置場所P1においてワーク加工前のワーク位置調整の際に送り機構部3によりワークプレート13を支持するテーブル12を移動させる動作を押圧板21によって阻害されることもない。負荷発生部22は、サーボプレスにより構成されるが、これに限らず、シリンダ機構やカム機構等で構成されてもよい。
【0035】
アライメントユニット10が搬送機構5によりワーク配置場所P1(
図4(a))からワーク加工場所P2(
図4(b))に搬送され、ワーク加工場所P2において加工機Mの型等の加工ツールがワークプレート13上のワークWに上から押し当てられてワークWを加工する時に、逆負荷機構2は、押圧板21をワークプレート13の下面に接触させてワークプレート13を下から上に押圧するように構成されている(
図4(b)参照)。この逆負荷機構2のワークプレート13に対する押圧力(負荷)は、加工機Mの加工ツールからワークWに加わる加圧力と略等しい大きさに設定される。ワークWの加工処理が終了し加工機Mの加工ツールがワークW上から離反されると、逆負荷機構2は、押圧板21をワークプレート13下面から離反させてワークプレート13への押圧を解除する。なお、逆負荷機構2の一連の動作は、図示しない制御部により制御されている。
【0036】
以上のように、ワークWに対して加工機Mによる加工時の加圧力が上から加わった際、逆負荷機構2がワークプレート13に対して下から上に加える負荷によってワークプレート13に加わるワーク加工時の加圧力を相殺させることができる。従って、ワークプレート13を支持するテーブル12とベース11との間に配設される送り機構部3にはワーク加工時の加圧力がほとんど作用しないようにすることができる。この場合、逆負荷機構2による負荷を押圧板21によってワークプレート13の略全域に対して略均等に加えることができるから、ワーク加工時にワークプレート13に局所的な加圧力が加わっても、ワーク加工時の加圧力を相殺させて送り機構部3にはワーク加工時の加圧力がほとんど作用しないようにすることができる。よって、加工機Mは、ワークWの加工の際には、送り機構部3にワーク加工時の加圧力が加わることなく、ワークWに対して大きな加圧力を加えることができる。また、送り機構部3にはワーク加工時の負荷(加圧力)がかからないから、送り機構部3における転動体38,39等は、負荷の許容が小さい小型のものを使用することができる。よって、送り機構部3は、ワーク位置調整を微細かつ精密な動きに適合した構成とすることができる。
【0037】
また、逆負荷機構2は、ワークWの加工時に押圧板21によってワークプレート13を下から支えることとなり、ワークWには加工時の加圧力をばらつくことなく適切に作用させることができ、加工機MによるワークWの加工精度を高精度に行うことができる。
【0038】
以上より、実施形態1のアライメントステージ1Aによれば、ワーク加工時にワークWに対して大きな加圧力を加えることができ、それでいて、送り機構部3としては精密かつ微細な動きに適合した構成とすることができる。
【0039】
(実施形態2)
図5に示すように、実施形態2のアライメントステージ1Bでは、逆負荷機構2は、ワーク加工場所P2においてアライメントユニット10の下方位置の基台Fに設置固定されており、アライメントユニット10とは別置きに設置されている。逆負荷機構2は、ワークプレート13を下から上に押圧するための押圧板21と、ワークプレート13に加える力を発生させる負荷発生部22と、負荷発生部22に進退自在に設けられ且つ押圧板21の下面と接続されたシャフト23とを備えている。逆負荷機構2は、アライメントユニット10がワーク配置場所P1にあるときはシャフト23を後退させて押圧板21をベース11の高さ位置より下の位置に待機させている(
図5(a)参照)。アライメントユニット10は、テーブル12だけでなくベース11にも中央にワークプレート13を臨む開口部111が設けられている。
【0040】
そして、逆負荷機構2は、アライメントユニット10が搬送機構5によりワーク配置場所P1(
図5(a))からワーク加工場所P2(
図5(b))に搬送され、次いでワークプレート13上のワークWが加工機Mにより加工される時には、シャフト23を進出させて押圧板21をベース11及びテーブル12の開口部111、121を通過させて押圧板21によりワークプレート13を下から上に押圧する構成とされている(
図5(b)参照)。なお、逆負荷機構2の動作は、図示しない制御部により制御されている。
【0041】
この実施形態2では、逆負荷機構2は、アライメントユニット10とは別置きに設置されているので、アライメントユニット10には重量物である逆負荷機構2の重量がかからない。従って、搬送機構5は、大きな駆動力を必要とせずアライメントユニット10を円滑にワーク配置場所P1からワーク加工場所P2へと移動させることができる。なお、実施形態2において、上記以外の構成及び作用効果は、実施形態1と同様である。
【0042】
(実施形態3)
図6に示すように、実施形態3のアライメントステージ1Cでは、逆負荷機構2は、アライメントユニット10に設けられた中間ガイド部6と、ワーク加工場所P2においてアライメントユニット10とは別置きに設置された動力部7とを有している。
【0043】
中間ガイド部6は、テーブル12及びベース11の中央に設けた開口部111,121の位置に配設されており、ワークプレート13を下から上に押圧するための押圧板21と、押圧板21の下面に接続されたポスト61と、押圧板21がワークプレート13下面との間に隙間dを有する高さ位置でポスト61を上方移動可能に支持する支持部62とを有している。支持部62は、テーブル12の開口部121に取り付けた固定部63と、固定部63に保持された筒状のスリーブ64とを有する。スリーブ64には、ポスト61が挿通され、ポスト61の外周面に張り出すように設けたフランジ65がスリーブ64の上端部に係止されている。これにより、ポスト61は、押圧板21がワークプレート13下面との間に隙間dを有する高さ位置で上方移動可能に支持されている。
【0044】
動力部7は、ワーク加工場所P2におけるアライメントユニット10の下方位置の基台Fに設置固定されており、アライメントユニット10とは別置きに設置されている。動力部7は、ワークプレート13に加える力を発生させる負荷発生部22と、負荷発生部22に進退自在に設けられたシャフト23とを有する。シャフト23の上端には、ポスト61の下端面に対して転動可能に当接される転動体71を保持したスライドリテーナ72が設けられている。スライドリテーナ72は、シャフト23の上端に設けるホルダー73によって転動体71が上方を臨むように取り付け固定されている(
図6(c)参照)。動力部7は、アライメントユニット10がワーク配置場所P1にあるときはシャフト23を後退させてシャフト23の先端のスライドリテーナ72を中間ガイド部6のポスト61の下端位置より下の位置に待機させている(
図6(a)参照)。なお、スライドリテーナ72は、シャフト23側に設けるのではなく、ポスト61の下端に設けられてもよい。この場合、スライドリテーナ72は、ポスト61の下端にホルダー73を設け、このホルダー73によって転動体71が下方を臨むように取り付け固定させればよい。
【0045】
そして、逆負荷機構2は、アライメントユニット10が搬送機構5によりワーク配置場所P1(
図6(a))からワーク加工場所P2(
図6(b))に搬送され、次いでワークプレート13上のワークWが加工機Mにより加工される時には、動力部7からシャフト23を進出させてスライドリテーナ72を中間ガイド部6のポスト61の下端面に当接させてポスト61を上方移動させて押圧板21によりワークプレート13を下から上に押圧する構成とされている(
図6(b)参照)。なお、逆負荷機構2の動作は、図示しない制御部により制御されている。
【0046】
この実施形態3では、逆負荷機構2の動力部7は、アライメントユニット10とは別置きに設置されているので、アライメントユニット10には重量物である動力部7の重量がかからない。従って、搬送機構5は、大きな駆動力を必要とせずアライメントユニット10を円滑にワーク配置場所P1からワーク加工場所P2へと移動させることができる。
【0047】
さらに、シャフト23は、
図6(c)に示すように、スライドリテーナ72を介在させて中間ガイド部6のポスト61と当接されるので、ワーク加工時に押圧板21によりワークプレート13を押圧している状態でも送り機構部3によりテーブル12を可動させてワーク位置調整を行わせることができる。従って、ワーク加工時にワークW位置の補正を行うことができ、更に高精度の加工を行うことができる。例えば、ナノインプリント加工において、半導体ウエハ等のワークW上にレジストを塗布して、このレジストの上からマスクガラス(加工ツール)を押し当てている時に押圧板21によりワークプレート13を下から上に押圧した状態でもワークWの位置補正を行うことができ、更に高精度のナノインプリントを実現することができる。なお、実施形態3において、上記以外の構成及び作用効果は、実施形態1と同様である。
【0048】
なお、本発明は、上記各実施形態には限定されず、特許請求の範囲の記載及び均等の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
例えば、
図7(a)(b)に示すように、ワークプレート13は、テーブル12の四隅に立設するガイド機構8によって上方移動可能にテーブル12上に支持する構成としてもよい。この場合、ガイド機構8は、例えば、テーブル12の四隅の上面に設けたガイド軸81と、ワークプレート13の四隅の下面に設けてガイド軸81を挿通する案内筒82とにより構成することができる。なお、ガイド軸81と案内筒82との間には転動体を介在させるようにしてもよい。また、1つ又は複数の案内筒82に筒状の冶具83を外嵌させてこの冶具83を所定高さ位置にロックナット84で固定することにより、冶具83の下端部がテーブル12の上面に当接されてワークプレート13の初期高さ位置を調整して設定できるようにしている(
図7(a)参照)。このガイド機構8によって、ワークプレート13は、逆負荷機構2の押圧板21により下から上に負荷が加えられるとテーブル12と独立して上方移動される(
図7(b)参照)。従って、ワーク加工時にワークプレート13に加わる加圧力は、逆負荷機構2によって確実に受け止められてテーブル12に加わり難くすることができる。よって、テーブル12とベース11との間に配設された送り機構部3には、より確実に、ワーク加工時の加圧力が作用しないようにすることができる。
【0049】
本発明において、逆負荷機構2は、1個に限らず、複数個設けてもよい。この場合、複数個の逆負荷機構2を並設して同期して動作させることができる。これにより、例えば、ワークWが大面積であった場合でも、ワークプレート13に対して下から上に均等に負荷を加えることができる。従って、ワークプレート13に加わるワーク加工時の加圧力を確実に相殺させることができ、また、大面積のワークWでもワーク加工の加圧力を均等に作用させることができる。
搬送機構5は、ワーク配置場所P1からワークWに加圧加工を行うワーク加工場所P2へと移動させるだけでなく、ワーク加工場所P2以外の場所、例えば、ワーク配置場所P1とワーク加工場所P2との間、ワーク加工場所P2から後工程の場所、ワーク配置場所P1より前の待機場所などへも移動及び停止させるように構成することができ、各移動場所において、ワークWの脱着、ワークWに対して液の塗布や加熱や検査などの様々な作業などが行えるようにしてもよい。
なお、本発明では、搬送機構5は任意の要件であり、搬送機構5を有しない製造工程においても本発明を適用可能である。