(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
矩形状の表面フィルムと、下端部を表面フィルムの下端から下方に突出させている矩形状の裏面フィルムと、ガゼット形状に形成されていてその裏側フィルム片の下端を上記裏面フィルムの下端に連設している底面フィルムと、下端を底面フィルムの表側フィルム片の下端に熱融着によって連設し、且つ、上部で上記表面フィルムの下部を被覆している被覆フィルムとからなり、表面フィルムは裏面フィルム上に重ねられてその下端部を裏面フィルムの下部と上記被覆フィルムの上部との対向面間に挿入されていると共に両側端部を裏面フィルムの両側端部に熱融着してあり、上記底面フィルムの表裏フィルム片とこの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている上記被覆フィルムの下部と裏面フィルムの下端部との両側角部は切除されていて上端から下端に向かって幅狭くなる方向に傾斜し、且つ、熱融着されている両側傾斜端縁に形成されていると共に被覆フィルムと底面フィルムの表側フィルム片との両側傾斜端縁との熱融着は剥離可能であり、さらに、被覆フィルムの上部両側端縁を上記表面フィルムの下部両側端縁に剥離可能に熱融着していることを特徴とする食品包装袋。
被覆フィルムの裏面における長さ方向の中間部を表面フィルムの下端部表面にこの表面フィルムの両側端縁間に亘る直状の熱融着部によって剥離可能に密着してあり、この熱融着部から上端までの被覆フィルムの上部を開封用フィルム部に形成していることを特徴とする請求項1に記載の食品包装袋。
縦長長方形状のフィルムの上部を二つ折りして裏面フィルムとこの裏面フィルム上に重なり且つ長さが裏面フィルムよりも短い表面フィルムとを形成すると共に上記縦長長方形状のフィルムの下部を表面フィルム側に向かって二つ折りしてその折り曲げ部を底面フィルムに形成していると共にこの底面フィルムの表側フィルム片の上端から上方に延びるフィルム部分をその上部で表面フィルムの下部を被覆している被覆フィルムに形成する工程と、被覆フィルムの上部裏面を表面フィルムの下端部表面に両側端縁間に亘って熱融着して剥離可能な直状の熱融着部に形成する工程と、底面フィルムを被覆フィルムと裏面フィルムとの対向する下端部間に折り込んでガゼット形状に形成する工程と、ガゼット形状に形成された底面フィルムの表側フィルム片の下端部とこの下端部から上方に折り返されている被覆フィルムの下端部とを切除してその切除部を熱融着する工程と、表裏フィルムの上端折り返し部を切除して袋の開口部を形成する工程と、底面フィルムの表裏フィルム片とこの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている上記被覆フィルムの下端部と裏面フィルムの下端部との両側角部を切除して両側傾斜端縁に形成する工程と、表裏面フィルムの両側端縁からこの両側傾斜端縁に亘って熱融着する工程とからなることを特徴とする食品包装袋の製造方法。
被覆フィルムの下端部とこの下端部から上方に向かって折り返された底面フィルムにおける表側フィルム片の下端部とが、裏面フィルムの下端から上方に向かって折り返された底面フィルムにおける裏側フィルム片の下端から下方に突出させてあり、その突出した下端部を切除すると共にその切除部を熱融着していることを特徴とする請求項3に記載の食品包装袋の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、方形状サンドイッチのような方形状の食品の包装に適した包装袋としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された食品包装袋が知られている。この包装袋は縦長長方形状のフィルムを二つ折りして矩形状の表裏面フィルムに形成してあり、これらの表裏面フィルムの下端部は互いに対向する面に向かって逆V字状に折り曲げられてガゼット形状の底面フィルム部に形成されていると共に、この底面フイルム部の両側角部は切除されていて上端から下端に向かって幅狭くなる方向に傾斜した両側傾斜端縁に形成されてあり、さらに互いに重なり合った表裏面フィルムの両側端縁とガゼット形状の底面フィルム部の上記両側傾斜端縁とを一体に熱融着して偏平な袋状に形成していると共に表面フィルムの下部に両側端間に亘って袋を開封するためのカットテープ等を設けてなる構造を有している。
【0003】
このように構成した食品包装袋によれば、表裏面フィルムを互いに離間する方向に拡げると、底面フィルム部が展開して平面長方形状の内底面に形成されるので、方形状の食品を袋内に収容してこの内底面上に載置した状態にして表裏面フィルムにより食品を綺麗に包装することができる。
【0004】
また、上記食品包装袋を製造するには、上記特許文献2に記載されているように、縦長長方形状のフィルムの長さ方向の中央部に両側端間に亘って折り目を設けると共にこの折り目を中央にしてその上下部におけるフィルムの両側端部にV字状の切欠部を形成し、さらに、上側のV字状切欠部の上方側のフィルム部分に両側端間に亘ってカットテープ等の線状開封部を設けたのち、上記上側の対向するV字状切欠部の先端間と下側の対向するV字状切欠部の先端間とが山折れ部に、上記中央の折り目が谷折れ部となるように折り曲げることにより、表裏面フィルムとこれらの表裏面フィルムの下端にガゼット形状に形成された底面フィルムとを形成すると共に互いに重なり合った表裏面フィルムの両側端縁と上記上下V字状切欠部の両側端縁とを熱融着することによって製造されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記食品包装袋によれば、表面フィルムの下部にカットテープ等の線状開封部を設けているので、この包装袋によって包装した食品を食する際に、線状開封部から開封しても食品の一部が除去した線状開封部から僅かに露出するだけで、依然として袋内に綺麗に包装された状態にあり、この状態から食品を取り出すには、線状の開放部を互いに引き離す方向に拡げて表面フィルムの下部を食品から剥がす操作を必要とし、その際、表面フィルムが食品に密接しているから、無理に剥がそうとすると食品が潰れたり、欠損して綺麗に取り出すことが困難であるといった問題点がある。
【0007】
さらに、線状開封部の端部に開封用の摘まみ部等を設ける必要があると共に、開封を開始した際に、線状開封部が途中で千切れたり、或いは、線状開封部と共に表面フィルムが切り剥がされたりして円滑に開封することができなくなる虞れもあった。
【0008】
また、上記食品包装袋を製造するには、縦長長方形状のフィルムの中央部に折り目を設けると共にこの折り目を中央にしてフィルム両側部にV字状切欠部を設けておき、さらに上側の対向するV字状切欠部から上方側のフィルム部分にカットテープ等の線状開封部を設ける工程と、この工程後、上記上側の対向するV字状切欠部の先端間と下側の対向するV字状切欠部の先端間とが山折れ部に、上記中央の折り目が谷折れ部となるように折り曲げて表裏面フィルムとこれらの表裏面フィルムの下端にガゼット形状に形成された底面フィルムとを形成すると共に互いに重なり合った表裏面フィルムの両側端縁と上記上下V字状切欠部の両側端縁とを熱融着するので、予め形成されている対向するV字状切欠部の先端間を正確に折り曲げることが難しく、熱融着部にズレが生じたりして均一な品質を有する食品包装用袋を能率よく製造することが困難であるといった問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、方形状の食品の包装が簡単且つ正確に行えると共に、食品が潰れたり欠損することなく、簡単かつ綺麗に開封することができる食品包装袋及びこの食品包装袋を能率よく且つ正確に製造することができる方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の食品包装袋は、請求項1に記載したように、矩形状の表面フィルムと、下端部を表面フィルムの下端から下方に突出させている矩形状の裏面フィルムと、ガゼット形状に形成されていてその裏側フィルム片の下端を上記裏面フィルムの下端に連設している底面フィルムと、下端を底面フィルムの表側フィルム片の下端に熱融着によって連設し、且つ、上部で上記表面フィルムの下部を被覆している被覆フィルムとからなり、表面フィルムは裏面フィルム上に重ねられてその下端部を裏面フィルムの下部と上記被覆フィルムの上部との対向面間に挿入されていると共に両側端部を裏面フィルムの両側端部に熱融着してあり、上記底面フィルムの表裏フィルム片とこの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている上記被覆フィルムの下部と裏面フィルムの下端部との両側角部は切除されていて上端から下端に向かって幅狭くなる方向に傾斜し、且つ、熱融着されている両側傾斜端縁に形成されていると共に被覆フィルムと底面フィルムの表側フィルム片との両側傾斜端縁との熱融着は剥離可能であり、さらに、被覆フィルムの上部両側端縁を上記表面フィルムの下部両側端縁に剥離可能に熱融着していることを特徴とする。
【0011】
このように構成した食品包装袋において、請求項2に係る発明は、被覆フィルムの裏面における長さ方向の中間部を表面フィルムの下端部表面にこの表面フィルムの両側端縁間に亘る直状の熱融着部によって剥離可能に密着してあり、この熱融着部から上端までの被覆フィルムの上部を開封用フィルム部に形成していることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は上記食品包装袋の製造方法であって、縦長長方形状のフィルムの上部を二つ折りして裏面フィルムとこの裏面フィルム上に重なり且つ長さが裏面フィルムよりも短い表面フィルムとを形成すると共に上記縦長長方形状のフィルムの下部を表面フィルム側に向かって二つ折りしてその折り曲げ部を底面フィルムに形成していると共にこの底面フィルムの表側フィルム片の上端から上方に延びるフィルム部分をその上部で表面フィルムの下部を被覆している被覆フィルムに形成する工程と、被覆フィルムの上部裏面を表面フィルムの下端部表面に両側端縁間に亘って熱融着して剥離可能な直状の熱融着部に形成する工程と、底面フィルムを被覆フィルムと裏面フィルムとの対向する下端部間に折り込んでガゼット形状に形成する工程と、ガゼット形状に形成された底面フィルムの表側フィルム片の下端部とこの下端部から上方に折り返されている被覆フィルムの下端部とを切除してその切除部を熱融着する工程と、表裏フィルムの上端折り返し部を切除して袋の開口部を形成する工程と、底面フィルムの表裏フィルム片とこの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている上記被覆フィルムの下端部と裏面フィルムの下端部との両側角部を切除して両側傾斜端縁に形成する工程と、表裏面フィルムの両側端縁からこの両側傾斜端縁に亘って熱融着する工程とからなることを特徴とする。
【0013】
このように構成した食品包装袋の製造方法において、請求項4に係る発明は、被覆フィルムの下端部とこの下端部から上方に向かって折り返された底面フィルムにおける表側フィルム片の下端部とが、裏面フィルムの下端から上方に向かって折り返された底面フィルムにおける裏側フィルム片の下端から下方に突出させてあり、その突出した下端部を切除すると共にその切除部を熱融着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、食品包装袋は、矩形状の表面フィルムと、この表面フィルムの裏面に重なり、且つ、その下端部を裏面フィルムの下端から下方に突出させている裏面フィルムとの両側端部が熱融着されていると共に、底面フィルムがガゼット形状に形成されていてその裏側フィルム片の下端を上記裏面フィルムの下端に連設してあり、且つ、この底面フィルムの表側フィルム片の下端に、上部で上記表面フィルムの下部を被覆している被覆フィルムの下端を熱融着しているので、表裏面フィルムを互いに離間する方向に拡げると、ガゼット形状の底面フィルムが平面方向に展開してこの底面フィルム上に方形状の食品を簡単に収容することができる。
【0015】
さらに、上記底面フィルムの表裏フィルム片とこの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている上記被覆フィルムの下部と裏面フィルムの下端部との両側角部は切除されていて上端から下端に向かって幅狭くなる方向に傾斜し、且つ、熱融着されている両側傾斜端縁に形成されているので、この底フィルムを展開させると、方形状の食品の底面を正確に載置させることができる平面矩形状の内底面に形成することができる。
【0016】
また、裏面フィルム上に重ねている上記表面フィルムは、その下端部を裏面フィルム下部と上記被覆フィルムの上部との対向面間に挿入していると共に、被覆フィルムは表面フィルムの下部両側端縁に重なっている上部両側端縁からこの両側端縁に連なる底面フィルムの表側フィルム片の両側傾斜端縁及び下端縁に至るまで剥離可能に熱融着されているので、本発明包装袋によって方形状の食品を包装すると被覆フィルムによって食品がその一つの面からこの面に連なる両側の面の一部に亘って被覆された包装形態にすることができる。
【0017】
従って、食品の一面を被覆している被覆フィルムの上端縁に指先を引っ掛けて捲り上げるようにしながら上記熱融着部から被覆フィルムを剥離すると、この被覆フィルムによって被覆されていた食品が何ら剥離する被覆フィルムによって圧潰されたり欠損させらたりすることなく、包装されたそのままの形態を保持した状態で表面フィルムの下端縁側から大きく露出するように素早く且つ綺麗に開封することができ、開封した部分から食品を形崩れ等を生じさせることなく簡単に取り出すことができる。また、開封した状態にして包装されている食品を容易に食することもできる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、上記被覆フィルムの裏面における長さ方向の中間部を表面フィルムの下端部表面に、この表面フィルムの両側端縁間に亘る直状の熱融着部によって剥離可能に密着してあり、この熱融着部から上端までの被覆フィルムの上部を開封用フィルム部に形成しているので、上記表面フィルムと被覆フィルムとを剥離可能に密着させている直状の熱融着部によって食品を完全に密封した状態で包装しておくことができると共に、開封時には表面フィルムの下端部から遊離している被覆フィルムの上部によって形成した上記開封用フィルムを捲り上げることによって簡単且つ確実に被覆フィルムを剥離することができる。
【0019】
また、本発明の食品包装袋の製造方法によれば、請求項3に記載したように、縦長長方形状のフィルムの上部を二つ折りすると共に下部をこの二つ折りしたフィルムに向かって折り返すように二つ折りすることによって、矩形状の裏面フィルムとこの裏面フィルム上に重なった表面フィルムと、裏面フィルムの下端に連なった底面フィルムと、底面フィルムの表側フィルム片の上端から上方に延びている被覆フィルムとを簡単に形成することができる。
【0020】
上記表裏面フィルムと底面フィルムと被覆フィルムとの形成工程後に、被覆フィルムの上部裏面を表面フィルムの下端部表面に両側端縁間に亘って熱融着して剥離可能な直状の熱融着部に形成すると共に、底面フィルムを被覆フィルムと裏面フィルムとの対向する下端部間に折り込んでガゼット形状に形成するので、底面フィルムの折り込み深さ(長さ)を所望寸法に設定することによって、包装すべき食品の底面幅に応じた展開幅を有するガセット形状の底面フィルムを簡単且つ正確に形成することができる。
【0021】
さらに、ガゼット形状に形成された底面フィルムの裏側フィルム片の下端部とこの下端部から上方に折り返されている被覆フィルムの下端部とを切除してその切除部を熱融着する工程と、表裏フィルムの上端折り返し部を切除して袋の開口部を形成する工程と、底面フィルムの表裏フィルム片とこの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている上記被覆フィルムの下端部と裏面フィルムの下端部との両側角部を切除して両側傾斜端縁に形成する工程と、表裏面フィルムの両側端縁からこの両側傾斜端縁に亘って熱融着する工程とによって、ガゼット形状に形成された底面フィルムの両側端縁とこの底面フィルムの表裏フィルム片にそれぞれ重なっている被覆フィルム及び裏面フィルムの下端部両側端縁とがズレることなく重なり合った状態で正確に両側傾斜端縁に切断、形成することができると共に熱融着も正確に行うことができ、被覆フィルムを剥離可能に設けている包装袋を能率よく製造することができる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、上記被覆フィルムの下端部とこの下端部から上方に向かって折り返された底面フィルムにおける表側フィルム片の下端部とが、裏面フィルムの下端から上方に向かって折り返された底面フィルムにおける裏側フィルム片の下端から下方に突出させてあり、その突出した下端部を切除すると共にその切除部を熱融着しているので、底面フィルムがその裏側フィルム片上に表側フィルム片が重なっているにもかかわらず、被覆フィルムの下端と底面フィルムの表側フィルム片の下端との連設部を簡単且つ確実に熱融着によってシールすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の具体的な実施例を図面について説明すると、
図1〜
図3において、包装袋Aは透明であって熱融着性を備えた樹脂フィルムからなり、矩形状に形成された表面フィルム1と、この表面フィルム1と同幅で、且つ、その下端部をこの表面フィルム1の下端から下方に突出させた状態にして表面フィルム1の裏面に重ね合わされた矩形状の裏面フィルム2と、ガゼット形状に形成されている底面フィルム3と、この底面フィルム3の表側フィルム片3aの上端から上方に向かって延びている被覆フィルム4とから構成されてあり、上記表面フィルム1はその下端部を裏面フィルム2の下部と上記被覆フィルム4の上部との対向面間に挿入している。なお、本発明の包装袋Aは表裏面フィルム1、2が密接状態で重なり合った偏平な袋であるが、
図2においては、説明上、表裏面フィルム1、2間を拡げた状態にしている。
【0025】
さらに、上記表面フィルム1と裏面フィルム2とはその上端面を引き揃えた状態で重なり合って両側端縁同士を表面フィルム1の全長に亘って熱融着5、5によりシールされていると共にこれらの表裏面フィルム1、2の上端は熱融着されることなく遊離していて食品Bを収納する開口部13に形成されている。なお、表裏面フィルム1、2の横幅は、収容すべき方形状の食品Bの周長に応じて設定されている。また、裏面フィルム2は表面フィルム1よりもその長さを長くしているが、表面フィルム1の上端部を裏面フィルム2の上端から適宜長さ、上方に突出させた状態にして重ね合わせた場合には、表面フィルム1の方が長くなる場合がある。
【0026】
上記底面フィルム3は逆V字状に折り曲げられていて上述したようにガゼット形状に形成されてあり、この底面フィルム3の裏側フィルム片3bの上端に被覆フィルム4の下端に対して下方に突出している裏面フィルム2の下端が折り返した状態にして連設している。なお、ガゼット形状に折り曲げられた底面フィルム3を展開した際の前後方向の幅は、収容すべき方形状の食品Bの底面における前後方向の幅、即ち、拡げた際の表裏面フィルム1、2間の幅に略等しくなるように設定されている。
【0027】
一方、上記被覆フィルム4はその上部を上記表面フィルム1の下部上に重ね合わせて表面フィルム1の下部を被覆していると共に、表面フィルム1の下部両側端縁に重なっている上部両側端縁を表面フィルム1の上記下部両側端縁に剥離可能に熱融着6、6してあり、さらに、この被覆フィルム4の裏面における長さ方向(上下方向)の中間部を上記熱融着部6、6下端部間に亘って水平直状の熱融着7により剥離可能に密着している。
【0028】
この熱融着部7から被覆フィルム4の上端までの被覆フィルム4の上部は表面フィルム1の下部表面から遊離した開封用フィルム部4aに形成されていると共に、被覆フィルム4の下端を上記底面フィルム3の表側フィルム片3aの下端に重ね合わせてその重ね合った下端縁を剥離可能に熱融着8してあり、この熱融着8によって被覆フィルム4の下端と底面フィルム3の被覆フィルム4の下端とが折り返し状に連なっている。なお、上記熱融着8は必ずしも剥離可能にしておく必要はない。
【0029】
さらに、上記底面フィルム3の表裏フィルム片3a、3bとこの表裏フィルム片3a、3bにそれぞれ重なっている上記被覆フィルム4の下部と裏面フィルム2の下端部とにおける両側角部は上端から下端に向かって幅狭くなる方向に略45度の角度でもって切除されて、上記被覆フィルム4の下部両側端縁とこの下部両側端縁に重なっている底面フィルム3の表側フィルム片3aの両側端縁、及び、底面フィルム3の裏側フィルム片3bの両側端縁とこの両側端縁に重なっている裏面フィルム2の下端部両側端縁とをそれぞれ傾斜端縁9、9;10、10に形成してあり、これらの両側傾斜端縁9、10はそれぞれ熱融着11、12されている。
【0030】
被覆フィルム4とこの被覆フィルム4の下部裏面に重なっている底面フィルム3の表側フィルム片3aとの上記両側傾斜端縁9、9は、上記熱融着部11、11によって剥離可能にシールされてあり、この熱融着部11、11の下端は被覆フィルム4の下端と底面フィルム3の表側フィルム片3aの下端とを剥離可能にシールしている上記熱融着部8の両側端に連なってあり、上端は上記表面フィルム1の下部両側端縁と被覆フィルム4の上部両側端縁との熱融着部6、6の下端に連続させている。
【0031】
なお、上記両側傾斜端縁9、9の上端が上記表面フィルム1の両側端縁の下端に対して下方に位置している場合には、表面フィルム1の両側端縁の下端と上記両側傾斜端縁9、9との間に裏面フィルム2の両側端縁の一部が露出するので、この露出表面を被覆した被覆フィルム4の上部両側端縁を露出表面に剥離可能に熱融着している。
【0032】
同様に、底面フィルム3の裏側フィルム片3bとこの裏側フィルム片3bに重なっている裏面フィルム2との上記両側傾斜端縁10、10の熱融着部12、12の上端は表面フィルム1と裏面フィルム2との上記熱融着部5、5の下端に連なってあり、両側傾斜端縁10、10の熱融着部12、12の下端は、裏面フィルム2の下端と底面フィルム3の裏側フィルム片3bの下端との折り返し下端の両側端部に連なっている。
【0033】
上記のように構成した食品包装袋Aによって方形状サンドイッチ等の方形状の食品Bを包装するには、
図3に示すように、まず、表裏面フィルム1、2を互いに離間させる方向うに拡げて上端開口部13を大きく開口させる。この際、食品包装袋Aの底部側においても被覆フィルム4が表面フィルム1と一体的に裏面フィルム2から離間させて拡げると、ガゼット形状に形成されている底面フィルム3の表裏フィルム片3a、3bが前後方向に展開する。
【0034】
この底面フィルム3の展開は、被覆フィルム4と底面フィルム3の表側フィルム片3aとが熱融着11、11している上記両側傾斜端縁9、9の下端と、これらの下端に対向する底面フィルム3の裏側フィルム片3bと裏側フィルム片3bとが熱融着12、12している上記両側傾斜端縁10、10の下端とがこれ以上離間できない状態となるまで行われ、従って、これらの両側傾斜端縁9、9、10、10の展開した下端で囲まれた底面フィルム3が収容すべき方形状食品Bの底面形状と略同大、同形の底面を形成する。
【0035】
なお、このような底面フィルム3の展開は、人手によって行うことなく、食品包装袋Aの開口部13から方形状の食品Bを収容すれば、表裏面フィルム1、2や表裏フィルム片及び底面フィルム3は、食品Bの周囲の面に沿いながら拡げられ、この食品Bが包装袋Aの内底部にまで収容されると、底面フィルム3が食品Bによって押し拡げられて上述したように食品Bの底面と略同大、同形の平面矩形状の底面となるように展開する。
【0036】
このように食品Bが包装袋Aの内底部にまで収容されると、食品Bの底面の四方角部が包装袋Aの底部における上記両側傾斜端縁9、9、10、10の展開した下端に位置すると共に、これらの展開した両側傾斜端縁9、9、10、10四方の下端から上方の表裏フィルム部分が食品Bの四方稜角部に沿って直角屈曲しながら表裏フィルム片1、2によって食品Bの四方周面が被覆される。
【0037】
この際、裏面フィルム2によって食品Bは、その背面から食品Bの両側面の後半部を全面的に被覆することができるが、表面フィルム1は裏面フィルム2よりも長さが短くてその下端が食品Bの底面に達しておらず、食品Bの上半部を、その正面から両側面の前半部に亘って被覆した状態にあり、食品Bの下半部は被覆フィルム4によってその正面から両側面の前半部に亘って被覆される。
【0038】
こうして包装袋A内に収容された食品Bは、この食品Bから上方に延びている表裏フィルム1、2の上部を食品Bの上面上に折り畳んで封止することにより
図4、
図5に示すように密封状態に包装される。
【0039】
次に、包装袋Aを開封するには、食品Bの上半部正面を被覆している包装袋Aの表面フィルム1に重なっている被覆フィルム4の開封用フィルム部4aの上端縁に指先を引っ掛けて捲り上げ、その開封用フィルム部4aを摘んで底面側に向かって引き下ろすと、被覆フィルム4は表面フィルム1の下部両側端部に熱融着6、6している上部両側端縁を熱融着部6、6から剥離しながら捲られる。
【0040】
さらに、表面フィルム1の下端部に水平直状の熱融着7によってシールされている被覆フィルム4の長さ方向の中間部がこの熱融着7から剥離すると共にこの熱融着部7に引き続いて、底面フィルム3の表側フィルム片3aの両側傾斜端縁9、9に熱融着11、11している被覆フィルム4の下半部を剥離すると、
図6、
図7に示すように、表面フィルム1の下端から被覆フィルム4によって被覆されていた食品Bの下部が潰されたり欠けたりすることなく包装されていた形態をそのまま維持した状態で露出する。
【0041】
このように開封したのち、包装袋Aから露出している食品Bを包装袋A内に保持した状態にしながら食するか、或いは、図に示すように、開封した包装袋Aから取り出して食すればよい。なお、被覆フィルム4は、表側フィルム片3aの下端に熱融着8している部分から剥がして除去してもよい。
【0042】
次に、上記のように構成した食品包装袋Aの製造方法を説明すると、まず、ロール巻きされているフィルムを繰り出して切断することにより、
図8に示すように、製造すべき包装袋Aの横幅に等しい幅を有すると共に長さが上記表裏面フィルム1、2と底面フィルム3と被覆フィルム4とを順次直列状に連ねてなる長さを有する縦長長方形状のフィルムA'を得る。
【0043】
この縦長長方形状のフィルムA'において、上端から一定長さのフィルム部分が形成すべき表面フィルム1であり、このフイルム部分から下端に向かって形成すべき裏面フィルム2、底面フィルム3、被覆フィルム4のフイルム部分を順次、設けている。
【0044】
まず、縦長長方形状のフィルムA'を
図9(イ)に示すように、形成すべき表面フィルム1と裏面フィルム2とを有する上部のフィルム部分を二つ折り、即ち、形成すべ表面フィルム1と裏面フィルム2との連設部分21から二つ折りして、縦長矩形状の裏面フィルム2とこの裏面フィルム2上に折り返されて重なり且つ長さが裏面フィルム2よりも短い矩形状の表面フィルム1とを形成する。なお、このように縦長長方形状のフィルムA'の上部を二つ折りした状態においては、形成される裏面フィルム2の下端には縦長長方形状のフィルムA'の下部が下方に延長、展開した状態となっている。
【0045】
次いで、この縦長長方形状の下部を上記表面フィルム1側に向かって折り返すように二つ折りする。この折り返し部は底面フィルム3を形成するフイルム部の長さ方向の中間部が折り曲げ線22となるように折り返され、この折り返し部によって上記折り曲げ目22から表面側に折り返されているフィルム部分が底面フィルム3の表側フィルム片3aに、折り曲げ線22と裏面フィルム2の下端との間のフィルム部分が底面フィルム3の裏側フィルム片3bとなるように形成されると共に、底面フィルム3の表側フィルム片3aの上端から上方に延びるフィルム部分を表面フィルム1の下部に重ね合わせて、その上部で上記表面フィルム1の下部を被覆している被覆フィルム4を形成する。
【0046】
さらに、縦長長方形状のフィルムA'の下部の折り返しによる底面フィルム3と被覆フィルム4との形成工程後に引き続いて、被覆フィルム4の上部裏面を表面フィルム1の下端部表面に両側端縁間に亘って熱融着して剥離可能な直状の熱融着部7を形成する。さらにこの熱融着部7の形成工程後又は形成工程と共に、上記折り返している底面フィルム3を
図9(ロ)に示すように、その下端折り曲げ線22側から上記裏面フィルム2と被覆フィルム4との対向する下端部間に断面逆V字状になるように折り込んで表裏フィルム片3a、3bからなるガゼット形状の底面フィルム3に形成する。
【0047】
この際、底面フィルム3を裏面フィルム2と被覆フィルム4との対向する下端部間に折り込んだ際に形成される底面フィルム3の表側フィルム片3aの下端と被覆フィルム4の下端との連設部の折り目23が、底面フィルム3の裏側フィルム片3bの下端と裏面フィルム2の下端との連設部の折り目24よりも下方に突出するように表面フィルム1の底面フィルム3の表側フィルム片3aが裏側フィルム片3bによりもその上下端間の幅が広くなるように底面フィルム3をガゼット形状に折り曲げる。
【0048】
このように、底面フィルム3をガゼット形状に折り曲げると、底面フィルム3における表側フィルム片3aの下端部とこの下端部に重なっている被覆フィルム4の下端部とが、底面フィルム3における裏側フィルム片3bの下端と裏面フィルム2の下端との連設部の上記折り目24から下方に突出した状態となり、この状態にしたのち、その突出した下端部を
図9(ハ)に示すように切除して底面フィルム3の表側フィルム片3aの下端と被覆フィルム4の下端とを一旦分離させ、しかる後、この分離した表側フィルム片3aの下端と被覆フィルム4の下端とを
図9(ニ)及び
図10に示すように、剥離可能に熱融着8する一方、表面フィルム1と裏面フィルム2との上端折り返し部(連設部分21)を切除して表裏面フィルム1、2の上端間で袋の開口部13を形成する。
【0049】
引き続いて、上記底面フィルム3の表側フィルム片3aの両側角部とこの表側フィルム片3aに重なっている上記被覆フィルム4の下端部の両側角部とを上端から下端に向かって幅狭くなる方向に略45度の角度でもって切除して両側傾斜端縁9、9に形成すると同時に、上記底面フィルム3の裏側フィルム片3bの両側角部とこの裏側フィルム片3bに重なっている上記裏面フィルム2の下端部の両側角部とを上端から下端に向かって幅狭くなる方向に略45度の角度でもって切除して両側傾斜端縁10、10に形成する。
【0050】
しかるのち、表面フィルム1と裏面フィルム2との重なっている両側端縁を熱融着5、すると同時に、被覆フィルム4の上部を表面フィルム1の下部両側端縁に剥離可能に熱融着6、6し、さらに、上記底面フィルム3の表側フィルム片3aとこの表側フィルム片3aに重なっている上記被覆フィルム4との上記両側傾斜端縁9、9を剥離可能に熱融着11、11すると共に、底面フィルム3の裏側フィルム片3bとこの裏側フィルム片3bに重なっている上記裏面フィルム2との両側傾斜端縁10、10を熱融着12、12することによって包装袋Aをを得る。
【0051】
なお、上記包装袋Aの製造方法において、包装袋Aを形成するための縦長長方形状のフィルムA'の幅寸法は、包装すべき方形状の食品Bの周長に応じて応じて設定され、食品Bの矩形状底面の大きさに応じて、上記裏面フィルム2と被覆フィルム4との対向する下端部間に断面逆V字状になるように折り込む底面フィルム3の折り込み深さによって設定することができる。