(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
フタロシアニン(Phthalocyanine)は、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造をもつ環状化合物であり、ポルフィリンに類似した構造を有する。中心部分は、遷移金属をはじめとした様々な元素と錯形成し、安定な錯体を形成する。分子全体にπ電子共役系が広がっているため、平面構造をとり、また強い色を呈する。特に錯体では青から緑色を呈するものが多い。フタロシアニンは、色合い及び耐光性が高いことから顔料として使用される。
【0003】
フタロシアニン顔料は、青色又は緑色系の顔料として使用される他、光ディスク、太陽電池、センサ等、幅広い分野で利用されている。C.I.ピグメントブルー16は、緑味の青色を呈する無金属フタロシアニンであり、顔料としてインクジェット用インク、カラーフィルタ用着色剤等の分野で使用されている。
【0004】
カラーフィルタの緑色画素を形成する場合、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等の緑色顔料が用いられるが、これら緑色顔料のみでは所望の分光スペクトルが得られにくいため、黄色顔料を組み合わせて分光スペクトルが調整されることがある(特許文献1)。
【0005】
着色力と輝度のバランスが良好な着色硬化膜の形成に好適な着色組成物として、特許文献2は、C.I.ピグメントブルー16と、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185とを含み、C.I.ピグメントイエロー185の含有量が全着色剤に対して16質量%以上65質量%以下である着色組成物を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラーフィルタ用途においては、緑色着色組成物についても高い輝度が要求されており、特許文献2に開示されているような従来技術よりも、さらに輝度の高い緑色着色組成物が求められている。
【0008】
本発明は、黄色顔料と組み合わせることにより、輝度の高い緑色着色組成物を製造し得る、新規な結晶構造を有するC.I.ピグメントブルー16を含有する青色顔料組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該C.I.ピグメントブルー16と黄色顔料組成物とを含有する輝度の高い緑色着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、従来品とは異なる結晶構造のC.I.ピグメントブルー16を得ることによって上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)に一定の特徴を有するC.I.ピグメントブルー16を製造することができた。また、当該C.I.ピグメントブルー16は、黄色顔料と混合した場合に、輝度の高い緑色着色組成物を調製し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
具体的に、本発明は、
CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=7.3°の回析強度(A)と、
CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=6.9±0.2°のピークの回析強度(B)との間に0.05≦A/B≦0.35という関係を有し、
粒子の最大幅が20nm以上80nm以下であるC.I.ピグメントブルー16を含有する、青色顔料組成物に関する。
【0011】
また本発明は、
CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=7.3°の回析強度(A)と、
CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=6.9±0.2°のピークの回析強度(B)との間に0.05≦A/B≦0.35という関係を有し、
粒子の最大幅が20nm以上80nm以下であるC.I.ピグメントブルー16を含有する青色顔料組成物の製造方法であって、
C.I.ピグメントブルー16を水溶性無機塩及びグリコール系水溶性溶剤と共に80℃以上100℃以下に加熱しながら1.5時間以上3時間以下混練する混練工程と、
前記混練工程後の混練物に水溶性無機塩及びグリコール系水溶性溶剤をさらに添加し、30℃以上60℃以下で6時間以上10時間以下混練する微細化工程と、
前記混練微細化工程後の混練物を水洗及び乾燥させ、微粒子化されたC.I.ピグメントブルー16を得る後処理工程と、
前記後処理工程後のC.I.ピグメントブルー16に、顔料誘導体、分散剤、樹脂及び/又は溶剤を添加して混練する分散工程と、
前記分散工程後の青色顔料組成物をフィルター濾過する濾過工程と、
を有する製造方法に関する。
【0012】
本発明者等は、市販のC.I.ピグメントブルー16を微細化する際、水溶性無機塩及びグリコール系水溶性有機溶剤と共に80〜100℃に加熱しながら、1.5〜3時間混練することにより、市販のC.I.ピグメントブルー16とはX線回析結果が異なる結晶構造のC.I.ピグメント16が得られることを確認した。この新規な結晶構造のC.I.ピグメントブルー16は、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=7.3°の回析強度(A)と、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=6.9±0.2°のピークの回析強度(B)との間に0.05≦A/B≦0.35という関係を有しており、この点において公知のC.I.ピグメントブルー16と区別される。
【0013】
また、混練工程後のC.I.ピグメントブルーは、粒子の長辺が20nm以上80nm以下であるため、青色顔料組成物の顔料として好適な粒子サイズとなっている。なお、粒子が長辺及び短辺を有する短冊形である場合は、長辺は最大幅、短辺は最小幅を意味する。粒子の最小幅は、10nm以上40nm以下であることが好ましい。
【0014】
水溶性無機塩は、水に溶解する無機塩あれば特に限定されない。水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム(芒硝)又は無水硫酸ナトリウム(無水芒硝)が挙げられる。グリコール系水溶性有機溶剤は、水溶性無機塩を実質的に溶解せず水に溶解(混和)するものであれば特に限定されないが、安全性の観点から混練時に蒸発しない溶剤が好ましく、沸点120℃以上の高沸点溶剤を用いることが好ましい。高沸点溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール又はポリエチレングリコールが挙げられる。
【0015】
ここで、混練工程の温度が低すぎると結晶変換が十分に起きず、高すぎると生産性が低下する。また、混練工程の時間が短すぎると結晶変換が不揃いになることがあり、長すぎると結晶成長が進み粒子が大きくなることにより顔料としての品質が低下するおそれがある。
【0016】
微細化工程は発熱を伴うため、設定温度が低すぎると生産性が低下する一方、設定温度が高すぎると十分に微細化が進まなくなる。また、微細化工程の時間が短すぎると顔料の微細化が十分に進まず、長すぎると生産性が低下する。
【0017】
本発明はまた、
青色顔料組成物と黄色顔料組成物とを含有する緑色着色組成物であって、
前記青色顔料組成物は、
CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=7.3°の回析強度(A)と、
CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=6.9±0.2°のピークの回析強度(B)との間に0.05≦A/B≦0.35という関係を有し、
粒子の最大幅が20nm以上80nm以下であるC.I.ピグメントブルー16を含有する青色顔料組成物である、
緑色着色組成物に関する。
【0018】
本発明の青色顔料組成物と黄色顔料組成物とを含有する緑色着色組成物は、従来のC.I.ピグメントブルー16と黄色顔料組成物とを含有する緑色着色組成物と比較して、輝度が高いという特徴を有する。
【0019】
前記黄色顔料組成物に使用し得る黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180又はC.I.ピグメントイエロー185が挙げられる。黄色顔料は、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー129及びC.I.ピグメントイエロー150からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー185及びC.I.ピグメントイエロー139からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来よりも輝度が高い緑色着色組成物を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。なお、顔料誘導体、分散剤、樹脂又は溶剤については、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー185、及びC.I.ピグメントイエロー139について使用される種類であれば、適宜選択して使用し得る。
【0023】
<顔料誘導体(a)の製造>
反応容器にクロロスルホン酸234重量部及び銅フタロシアニン顔料 70重量部を投入し、反応容器を90℃に加熱した後、塩化チオニル32.5重量部を添加し、90℃で3時間反応させた。その後、反応液を3600重量部の氷水中に投入し、濾紙を用いて濾過し、精製水を用いて固形分を水洗し、クロロスルホン化銅フタロシアニン顔料のペーストを得た。得られたペーストを精製水1200重量部に再分散させ、ジメチルアミノプロピルアミン42.5重量部を添加し、80℃で1時間撹拌した。その後、反応液を濾過、水洗、乾燥及び粉砕し、化学式1に示される顔料誘導体(a) 88重量部を得た。なお、化学式1において、n=1〜4である。
【0025】
<顔料誘導体(b)の製造>
濃硫酸(98質量%)700重量部中に銅フタロシアニン顔料70重量部とパラホルムアルデヒド13重量部とフタルイミド37重量部とを添加して撹拌し、85℃で5時間反応させた。次に、反応液を4500重量部の氷水中に投入し、濾過及び水洗を行い、化学式2に示される顔料誘導体(b) 86重量部を得た。なお、化学式2において、n=1〜4である。
【0027】
その他、C.I.ピグメントブルー16と共に使用する顔料誘導体(c)としてソルスパースS-12000(スルホン酸基を有する顔料誘導体、ルーブリゾール社製)を使用した。また、黄色顔料組成物に使用する顔料誘導体としては、顔料誘導体(d)(Pigment Yellow 138S、山陽色素株式会社製)を使用した。
【0028】
[実施例1]
(混練工程)
C.I.ピグメントブルー16として、BASF社製、Heliogen (登録商標) Blue D7490(以下、D7490と略す)を使用した。この顔料の粒子形状は短冊形であり、粒子の最大幅:91nm、最小幅:44nmであった。双腕型ニーダー(混練機)に、モリヤマ製5LニーダーΣ型)にD7490 300重量部、無水硫酸ナトリウム(三田尻化学工業株式会社製、中性無水芒硝、平均粒径20μm)1000重量部、ポリエチレングリコール(東邦化学株式会社製、PEG-200、平均分子量:200)340重量部を投入し、ニーダー内の温度が80〜90℃となるように温度調整しながら、2時間混練した。
【0029】
(微細化工程)
混練物に顔料誘導体(a)18重量部、無水硫酸ナトリウム2500重量部、ポリエチレングリコール680重量部を添加し、ニーダー内の温度が40℃となるように温度調整しながら、さらに8時間混練した。
【0030】
(後処理工程)
微細化工程後の混練物を、イオン交換水20Lを貯水した温度調節可能なタンク内に移し、60℃で150rpm、2時間撹拌して混練物を分散させた。その後、分散液をヌッチェに移して濾過し、洗浄排水の電気伝導度が3μS/cm以下になるまでイオン交換水を用いて水洗した。水洗後の残渣を乾燥器に移し、80℃で15時間乾燥させた。乾燥ブロックを粉砕機(協立理工株式会社製、小型粉砕機サンプルミルSK-M2)によって粉砕し、微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料1/粒子の最大幅:42nm、最小幅:21nm)を得た。
【0031】
微粒子化されたC.I.ピグメントブルー16は、電子顕微鏡に接続されたCCDカメラによって撮影された画像を、画像処理ソフトImageJ(開発元:Wayne Rasband (NIH))に取り込み、少なくとも500個の微細化C.I.ピグメントブルー16について、最大フェラー径及び最小フェラー径を計測した。そして、最大フェラー径の中央値を顔料粒子の最大幅と定めた。粒子の最小フェラー径の中央値を求めれば、その値を顔料粒子の最小幅とすることができる。顔料の粒子形状が短冊形である場合は、その長辺は上記の方法で求められる最大幅を示しており、短辺は上記の方法で求められる最小幅を示している。電子顕微鏡は、日本電子株式会社製、JEM-1011型を使用し、加圧電圧80kV、測定倍率10万倍とした。CCDカメラは、オリンパス社製、MegaView IIIを使用した。
【0032】
(分散工程)
青色顔料1 33.48重量部、顔料誘導体(c) 2.52重量部、樹脂型分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK LPN 21116、固形分40.0%)36重量部、分散樹脂(昭和高分子株式会社製、リポキシSPC-2000、固形分35.0%)30.86重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM) 36重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA) 61.14重量部を内容量500mLの混合槽に投入し、ディスパーを用いて2000rpmで10分間撹拌し、予備分散を行った。得られた予備分散物に直径0.5mmのジルコニアビーズ 800重量部を添加し、2000rpmで2時間撹拌して本分散を行った。その後、PMA 100重量部を添加して、さらに1500rpmで10分間撹拌して希釈分散を行い、青色顔料分散体1(青色顔料組成物)を得た。
【0033】
(濾過工程)
分散工程で得られた青色分散体を2.5μmメッシュのフィルター(PALL社製、PALL HDC II Membrene Filter)を用いて濾過し、実施例1の青色顔料分散体を得た。
【0034】
[実施例2]
微細化工程において、顔料誘導体(a) 18重量部の代わりに、顔料誘導体(a) 9重量部及び顔料誘導体(b) 9重量部を使用すること以外、すべて実施例1と同様にして微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料2)を得た。その後、青色顔料2を実施例1と同様に処理し、実施例2の青色顔料分散体を得た。
【0035】
[実施例3]
微細化工程において顔料誘導体を添加せずに混練し、後処理工程後に微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料3)を得た。また、分散工程において、青色顔料1 33.48重量部の代わりに青色顔料2 31.58重量部を使用し、顔料誘導体(a)を1.9重量部添加した。それ以外は、すべて実施例1と同様にして実施例3の青色顔料分散体を得た。
【0036】
[実施例4]
微細化工程の温度を50℃とすること以外、すべて実施例3と同様にして微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料4)を得た。その後、青色顔料4を実施例3と同様に処理し、実施例4の青色顔料分散体を得た。
【0037】
[比較例1]
(微細化工程)
双腕型ニーダーにD7490 283重量部、顔料誘導体(a) 17重量部、無水硫酸ナトリウム3000重量部、及びポリエチレングリコール 1035重量部を投入し、ニーダー内の温度が50℃となるように温度調整しながら、7時間混練した。
【0038】
(後処理工程)
その後、混練物を実施例1の後処理工程と同様に処理し、微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料5)を得た。
【0039】
青色顔料5を、実施例1の分散工程及び濾過工程と同様に処理し、比較例1の青色顔料分散体を得た。
【0040】
[比較例2]
微細化工程において、顔料誘導体(a) 17重量部の代わりに、顔料誘導体(a) 8.5重量部及び顔料誘導体(b) 8.5重量部を使用すること以外、すべて比較例1と同様にして微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料6)を得た。その後、青色顔料6を比較例1と同様に処理し、比較例2の青色顔料分散体を得た。
【0041】
[比較例3]
微細化工程において、D7490を291重量部、顔料誘導体(a) 17重量部の代わりに顔料誘導体(c) 9重量部とすること以外、比較例1と同様にして微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料7/粒子の最大幅:51nm、最小幅:26nm)を得た。その後、分散工程において青色顔料6を32.53重量部、顔料誘導体(a) 1.9重量部、顔料誘導体(c) 1.57重量部を使用すること以外、すべて比較例1と同様に処理し、比較例3の青色顔料分散体を得た。
【0042】
[比較例4]
微細化工程において、D7490 283重量部の代わりにBASF社製、Heliogen (登録商標) Blue L7460(以下、L7460と略す) 283重量部使用すること以外、比較例1と同様にして微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料8)を得た。その後、青色顔料8を比較例1と同様に処理し、比較例4の青色顔料分散体を得た。
【0043】
[比較例5]
微細化工程において、L7460を291重量部とし、顔料誘導体(a)を9重量部とすること以外、比較例4と同様にして微細化C.I.ピグメントブルー16(青色顔料9)を得た。その後、分散工程において、青色顔料8を33.48重量部使用する代わりに、青色顔料9を32.53重量部、顔料誘導体(a)を0.95重量部使用すること以外、すべて比較例4と同様に処理し、比較例5の青色顔料分散体を得た。
【0044】
<青色顔料のX線回析>
青色顔料1〜9について、CuKα線を用いた粉末X線回析を行った。X線回析は、JIS K0131(X線回析分析通則)に準じて、ブラッグ角(2θ)=0°〜35°の範囲で行った。
【0045】
<黄色顔料分散体1の製造>
調光用の黄色顔料分散体1として、C.I.ピグメントイエロー138を含有する分散体を製造した。C.I.ピグメントブルー138は、BASF社製、Paliotol (登録商標) Yellow L0960 HDを使用した。双腕型ニーダーにL0960 HD 330重量部、無水硫酸ナトリウム 3000重量部、エチレングリコール(株式会社日本触媒製、モノエチレングリコール)800重量部を投入し、ニーダー内の温度が40℃となるように温度調整しながら、10時間混練した。その後、混練物を実施例1の後処理工程と同様に処理して、微細化された黄色顔料1を得た。
【0046】
黄色顔料1 31.92重量部、顔料誘導体(d) 6.08重量部、樹脂型分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK LPN 6919、固形分61.5%)25.95重量部、分散樹脂(昭和高分子株式会社製、リポキシSPC-2000、固形分35.0%)45.60重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA) 90.45重量部を内容量500mLの混合槽に投入し、ディスパーを用いて2000rpmで10分間撹拌し、予備分散を行った。得られた予備分散物に直径0.5mmのジルコニアビーズ 800重量部を添加し、2000rpmで2時間撹拌して本分散を行った。その後、PMA 100重量部を添加して、さらに1500rpmで10分間撹拌して希釈分散を行い、黄色顔料分散体1を得た。
【0047】
<黄色顔料分散体2の製造>
調光用の黄色顔料分散体2として、C.I.ピグメントイエロー185を含有する分散体を製造した。C.I.ピグメントイエロー185は、BASF社製、Paliotol (登録商標) Yellow D1155を使用した。これを黄色顔料1の場合と同様に処理して、微細化された黄色顔料2を得た。
【0048】
黄色顔料1の代わりに黄色顔料2を使用し、樹脂型分散剤としてBYK LPN 21116 39.9重量部を使用し、PMAを76.5重量部使用すること以外、すべて黄色顔料分散体1と同様にして黄色顔料分散体2を得た。
【0049】
<黄色顔料分散体3の製造>
調光用の黄色顔料分散体3として、C.I.ピグメントイエロー139を含有する分散体を製造した。C.I.ピグメントイエロー139は、BASF社製、Irgaphor (登録商標) Yellow S2150 CFを使用した。これを黄色顔料1の場合と同様に処理して、微細化された黄色顔料3を得た。
【0050】
黄色顔料2の代わりに黄色顔料3を使用すること以外、すべて黄色顔料分散体2と同様にして黄色顔料分散体3を得た。
【0051】
<レジスト組成物の製造>
(メタ)アクリル系の重合体として、株式会社日本触媒製アクリキュアー(登録商標)BX-Y-10を12.0質量%;光重合性成分である多官能アクリレート単量体として、ジペンタエリスリトール(ヘキサ/ペンタ)アクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)を26.0質量%;光重合開始剤として、BASF社製、Irgacure369を4.0質量%、溶剤としてPMAを58.0質量%含有するレジスト組成物を調製した。
【0052】
<緑色着色組成物の製造>
青色顔料分散体1〜9、黄色顔料分散体1〜3、及びレジスト組成物を組み合わせて混合することにより、緑色着色組成物を製造した。青色顔料分散体と黄色顔料分散体とをそれぞれ適切な割合で混合し、得られた顔料分散体混合物6.0gに対してレジスト組成物4.0gを添加し、ディスパーを用いて撹拌し、緑色着色組成物を得た。
【0053】
緑色着色組成物は、次に説明する方法により、色度がx=0.1390、y=0.5300で性能を比較評価した。青色顔料分散体と黄色顔料分散体を任意の2つの異なる割合で配合し、レジスト組成物と組み合わせた緑色着色組成物を2液用意し、それぞれがy=0.5300の色度が得られるよう、スピンコーターの回転数を調整し、緑色着色組成物を厚さ1mm、100mm角のガラス板にそれぞれ塗布した。このとき、任意の2つの異なる割合は、色度xがx=0.1390を間にもつ2つの割合であるように調整した。
【0054】
緑色着色組成物をガラス板に塗布した後、室温で5分間静置し、80℃のエアバス内で2分間乾燥(プリベイク)させた。さらに、露光装置(株式会社三永電機製作所製、UVE-1001S型露光光源装置、及びYSH-100SA型超高圧水銀ランプ)を用いて60mJ/cm
2の露光強度となるよう紫外線をガラス板に照射し、235℃、60分の条件でポストベイクを実施した。
【0055】
<輝度の測定>
ランプ(電通産業株式会社製、HF-SL-100WLCG)の上に偏光板(株式会社ルケオ製、 POLAX-38S)で挟んで上記の操作によって得られた着色ガラス板を設置し、偏光板がクロスニコルの位置にあるときの輝度と、偏光板がパラレルの位置にある場合の輝度とを、色彩輝度計(コニカミノルタ株式会社製、LS-100)を用いて測定した。測定された2枚の着色ガラス板の輝度について、xとともにプロットし、x=0.1390のときの輝度を直線近似式より算出した値を補正輝度とした。
【0056】
なお、緑色着色組成物(緑色感光性組成物)に少量の塗料用密着性付与剤を添加することにより、現像時における基板(ガラス板)との密着性を向上させることができる。塗料用密着性付与剤としては、シラン化合物系又は高分子系の密着性付与剤が知られている。上述したレジスト組成物に対しては、どのような種類の密着性付与剤を使用してもよいが、高分子系密着性付与剤が好ましい。高分子系密着性付与剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK-4509、BYK-4510、BYK-4512;楠本化成株式会社製のディスパロンAPA-100;エボニックジャパン社製のTEGO AddBond LTW、TEGO AddBond LTW-B、TEGO AddBond LTH、TEGO AddBond HS、 TEGO AddBond 1270、TEGO AddBond 2440及びTEGO AddBond 2220 NDを使用し得る。
【0057】
<膜厚の測定>
上記の操作によって得られた着色ガラス板について、緑色着色組成物の被膜の厚みは、触針式プロファイリングシステム Dectak 6M STYLUS PROFILER を用いて測定した。
【0058】
青色顔料分散体1〜9と黄色顔料分散体1とを組み合わせた緑色着色組成物の補正輝度とを表1に示す。表1中の「差」は、各作製例の補正輝度と、元も測定値が低かった作製例9の補正輝度との差を意味する。
【0060】
実施例1〜4の青色顔料分散体及び黄色顔料分散体1を組み合わせて使用した作製例1〜4は、比較例1〜5の青色顔料分散体及び黄色顔料分散体1を組み合わせて使用した作製例5〜9と比較して補正輝度の差が大きく、すべての作製例が4.71以上であった。また作製例1〜4の膜厚は、作製例5〜9よりも小さく、より薄い被膜が形成されていることが確認された。
【0061】
<ブラッグ角と緑色着色組成物の性能との関係>
本発明者等は、作製した青色顔料について測定したX線回析結果を精査したところ、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=7.3°の回析強度(A)と、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ)=6.9±0.2°のピークの回析強度(B)とに着目した。
【0062】
図1は、青色顔料1〜4のX線回折パターンを示す。
図2は、青色顔料5〜9のX線回折パターンを示す。これらX線回折パターンは、次の方法でバックグラウンドを除去した回折パターンである。実測された回析パターンに対して、低角側のブラッグ角(2θ)から順に、4.75°付近のピークの裾、10.25°付近のピークの裾、11.25°付近のピークの裾、及び33.5°付近のピークの裾に接する直線をそれぞれ引き、この直線で表されるX線回折強度の値を、実測されたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作によってバックグラウンドの除去を行った。
【0063】
図1及び
図2から、青色顔料1〜4と青色顔料5〜9とは、C.I.ピグメントブルー16の結晶構造が異なることが確認された。
【0064】
ここで、回析強度(A)及び回析強度(B)について説明する。回析強度(A)は、α型結晶固有の回折ピークである(2θ)=7.3°のショルダーのバックグラウンド除去後の回折強度値である。回析強度(B)は、β型結晶変態の特徴的な回折ピークである(2θ)=9.0±0.2°の回折ピークのバックグラウンド除去後の回折強度値としている。
【0065】
図3は、作製例1〜9の緑色着色組成物について、使用された青色顔料の回析強度比(A/B)と、補正輝度(Y値)及び膜厚の測定値との関係とをプロットしたグラフを示す。
図3より、0.05≦A/B≦0.35、好ましくは0.1≦A/B≦0.3の範囲に実施例1〜4のプロットが含まれており、比較例1〜5のプロットは、すべてこの範囲外であることが確認された。
【0066】
そして、0.05≦A/B≦0.35、好ましくは0.1≦A/B≦0.3の範囲である青色顔料1〜4を使用した場合には、そうでない青色顔料5〜9を使用した場合と比較して、輝度が高く、かつ、膜厚の小さな緑色着色組成物被膜が形成されることが確認された。
【0067】
実施例1又は比較例3の青色顔料分散体と、黄色顔料分散体1又は2とを組み合わせた緑色着色組成物の作製例10〜13を調製し、上記と同様にして補正輝度を測定した。表2は、その結果を示す。表2においては、作製例10の「差」は、作製例10と作製例11の補正輝度との差を意味する。同様に、作製例12の「差」は、作製例12と作製例13の補正輝度との差を意味する。
【0069】
実施例1の青色顔料分散体は、黄色顔料分散体2及び3と組み合わせて使用した場合にも、比較例3の青色顔料分散体よりも輝度が高い緑色着色組成物を得ることができることが確認された。