特許第6963803号(P6963803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963803
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】投影装置及びオブジェクト
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/08 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   G02B27/08
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-223664(P2017-223664)
(22)【出願日】2017年11月21日
(65)【公開番号】特開2019-95549(P2019-95549A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】596175854
【氏名又は名称】有限会社クリスタルガーデン白金
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 優一
(72)【発明者】
【氏名】依田 満
(72)【発明者】
【氏名】依田 百合子
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−093127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源の光軸に沿って配置されたミラー中空筒体と、
前記光軸上で前記ミラー中空筒体と前記光源との間に配置されており、被投影体に投影する映像の要素となるオブジェクトとを備え、
前記オブジェクトは、
前記映像の要素となる複数のオブジェクト片と共に充填液が入れられたオブジェクトケースと、
前記オブジェクトケースの内側から前記オブジェクトケースの外側まで貫通するシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されたロッドとを有し、
前記ロッドは、前記オブジェクトケース内の圧力に応じて前記シリンダ内で動作する
ことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記オブジェクトケースは略円筒形状であり、
前記オブジェクトケースの中心軸を回転軸として回転させるオブジェクト駆動機構をさらに備え、
前記シリンダ及び前記ロッドは、前記回転軸を中心に回転するように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記オブジェクトケースは、第1の開口部を備える瓶形状であり、
前記第1の開口部には、蓋が取り付け可能な構成となっており、
前記蓋の天面には、前記シリンダを挿入可能な第2の開口部が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の投影装置。
【請求項4】
光源と、前記光源の光軸に沿って配置されたミラー中空筒体とを備える投影装置で、前記光軸上で前記ミラー中空筒体と前記光源との間に配置されるものであって、被投影体に投影する映像の要素となるオブジェクトにおいて、
前記映像の要素となる複数のオブジェクト片と共に充填液が入れられたオブジェクトケースと、
前記オブジェクトケースの内側から前記オブジェクトケースの外側まで貫通するシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されたロッドとを備え
前記ロッドは、前記オブジェクトケース内の圧力に応じて前記シリンダ内で動作する
ことを特徴とするオブジェクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投影装置及びオブジェクトに関し、例えば、透明円筒形のオブジェクトケースに封入されたオブジェクト片に基づく万華鏡の映像を被投影体(例えば、スクリーン、建築物、庭園等)に投影する投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
万華鏡はオブジェクトケースの内部に入っているさまざまな形状の色ガラス片でできたオブジェクトを多角ミラー中空筒体(ミラーシステム)の中で多重反射させた映像(以下、「万華鏡映像」と呼ぶ)をオブジェクトと反対側のアイホールから見て楽しむものである。そして。万華鏡では、多角ミラー中空筒体の視野に入るオブジェクト片の光の透過や反射により一期一会の美しい万華鏡映像となる。
【0003】
そして、従来、この万華鏡の技術を応用して万華鏡映像をスクリーン(被投影体)に投影する投影装置(いわゆる映華鏡)として特許文献1の記載技術が存在する。
【0004】
特許文献1に記載された装置では、さまざまな形状の色ガラス片等により構成されるオブジェクト片と、グリセリンやシリコンオイル等の粘性のあり透明な充填液が入れられた透明円筒型オブジェクトに、光源からの光を入射させ、オブジェクト片を含む透明円筒型オブジェクトを透過した光を、多角ミラー中空筒体に入射させ、さらに当該多角ミラー中空筒体内で多重反射することにより形成される万華鏡映像を、結像レンズにより拡大させ、スクリーンに投影させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−128485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の投影装置では、より明るい万華鏡映像を投影しようとすると、より明るい光源を用いる必要がある。そして、明るい光源の光を、充填液が充填された透明円筒型オブジェクトに照射すると、熱により充填液が膨張し、その膨張の程度と透明円筒型オブジェクトの強度によっては、透明円筒形オブジェクトが破損する場合がある。
【0007】
また、透明円筒形オブジェクトの周囲で温度が低下すると、充填液が冷却されて収縮し、充填液が収縮した分透明円筒形オブジェクトに外部から空気が入り込んで気泡が発生する場合がある。空気と充填液とは光の屈折率が著しく異なるため、透明円筒形オブジェクト内に気泡が入り込むと、万華鏡映像に黒色の影が映りこみ、万華鏡映像の品質が著しく低下することになる。
【0008】
以上のような問題に鑑みて、高品質かつ安定的に、充填液(例えば、グリセリンやシリコンオイル等の透明な液体)が入れられたオブジェクト(例えば、透明円筒形オブジェクト)を透過して得られる映像を投影することができる投影装置及びオブジェクトが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明の投影装置は、(1)光源と、(2)前記光源の光軸に沿って配置されたミラー中空筒体と、(3)前記光軸上で前記ミラー中空筒体と前記光源との間に配置されており、被投影体に投影する映像の要素となるオブジェクトとを備え、(4)前記オブジェクトは、(4−1)前記映像の要素となる複数のオブジェクト片と共に充填液が入れられたオブジェクトケースと、(4−2)前記オブジェクトケースの内側から前記オブジェクトケースの外側まで貫通するシリンダと、(4−3)前記シリンダ内に挿入されたロッドとを有し、(4−4)前記ロッドは、前記オブジェクトケース内の圧力に応じて前記シリンダ内で動作することを特徴とする。
【0010】
第2の本発明は、光源と、前記光源の光軸に沿って配置されたミラー中空筒体とを備える投影装置で、前記光軸上で前記ミラー中空筒体と前記光源との間に配置されるものであって、被投影体に投影する映像の要素となるオブジェクトにおいて、(1)前記映像の要素となる複数のオブジェクト片と共に充填液が入れられたオブジェクトケースと、(2)前記オブジェクトケースの内側から前記オブジェクトケースの外側まで貫通するシリンダと、(3)前記シリンダ内に挿入されたロッドとを備え、(4)前記ロッドは、前記オブジェクトケース内の圧力に応じて前記シリンダ内で動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高品質かつ安定的に、充填液が入れられたオブジェクトを透過して得られる映像を投影する投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る投影装置の全体構成を示す図である。
図2】実施形態に係るオブジェクト駆動機構を構成するカムを取り外した状態で示す斜視図である。
図3】実施形態に係るコネクタ部の構成について示した平面図である。
図4】実施形態に係るオブジェクトを取り外した状態で示した平面図である。
図5】実施形態に係るオブジェクトの断面図である。
図6】実施形態に係るシリンダを取り外した状態で示す平面図である。
図7】実施形態に係るシリンダキャップを取り外した状態で示す斜視図である。
図8】実施形態に係るシール部材を取り外した状態で示す斜視図である。
図9】実施形態に係る内蓋を取り外した状態で示す斜視図である。
図10】実施形態に係るシリンダと、シリンダ内部に挿入されたロッドとの関係について示した説明図である。
図11】実施形態に係るシリンダ内に挿入されたロッドの動作示した説明図である。
図12】実施形態に係るオブジェクト(ガラス瓶)内においてオブジェクト片が移動する軌道について示した説明図である。
図13】実施形態に係るオブジェクト(ガラス瓶)内におけるオブジェクト片の移動速度の変化について示した説明図である。
図14】実施形態に係るシリンダによるオブジェクト片の移動制御機能について示した説明図である。
図15】実施形態の変形例に係るロッド(その1)の斜視図である。
図16】実施形態の変形例に係るシリンダと、シリンダ内部に挿入されたロッドとの関係について示した説明図である。
図17】実施形態の変形例に係るロッド(その2)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による投影装置及びオブジェクトの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0014】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の投影装置1の全体構成を示す図である。
【0015】
図1では、制御系の構成についてはブロック図を用いて示し、機構系及び光学系の構成については平面図を用いて示している。
【0016】
投影装置1は、被投影体としてのスクリーンSCに、オブジェクト片Bに基づく映像(万華鏡映像)を投影する装置である。オブジェクト片Bは、例えば、様々な色/形状のガラス片やアクリル片等で形成される。
【0017】
投影装置1は、大別すると、オブジェクト10、電源部20、光源制御部30、光源40、モータ制御部50、オブジェクト駆動機構60、及びミラー筒70を有している。
【0018】
電源部20は、電源V(例えば、商用電源)からの電力供給を受けて、適切な変換処理を行い、光源制御部30及びモータ制御部50に対して電力分配を行うものである。電源部20としては種々の電源装置を適用することができる。
【0019】
オブジェクト10は、万華鏡映像の要素であるオブジェクト片Bを入れるためのオブジェクトケースとして、透明のガラス瓶11を備えている。この実施形態では、ガラス瓶11は、略円筒形状であるものとする。そして、当該ガラス瓶11の中は、複数のオブジェクト片Bとともに充填液Lで満たされている。
【0020】
光源40は、投影装置1がスクリーンSCに万華鏡映像を投影するための光源である。光源40としては、例えば、ハイパワー(例えば、3W〜70W程度)のLEDランプやハロゲンランプ等の小型で明るい光源(例えば、300ルーメン〜4000ルーメン程度の光源)を用いることが望ましい。この実施形態では、光源40としては、ハイパワーのLEDランプを適用するものとして説明する。
【0021】
光源制御部30は、電源部20から供給された電力に基づき光源40を点灯制御させるものである。光源制御部30としては、例えば、種々のLEDランプやハロゲンランプを点灯させる回路を適用することができる。
【0022】
オブジェクト駆動機構60は、オブジェクト10を支持すると共に、モータ61を駆動源(動力元)としてオブジェクト10を動作させる機構である。オブジェクト駆動機構60は、オブジェクト10(ガラス瓶11)における円筒形の中心軸を回転軸(図1に示すRA)として、オブジェクト10(ガラス瓶11)を回転動作させると共に、回転軸RAの方向にオブジェクト10(ガラス瓶11)を揺動動作(往復動作)させる。
【0023】
モータ制御部50は、電源部20から供給された電力に基づきモータ61を駆動させるものである。モータ制御部50としては、例えば、種々のモータ駆動回路を適用することができる。
【0024】
ミラー筒70は円筒形状であり、円筒の中空部分に万華鏡映像を形成するためのミラーシステム71が配置されている。また、ミラー筒70の端部(スクリーンSC側の端部)には、万華鏡映像を投影(拡大)するための結像レンズ72が配置されている。ミラーシステム71の具体的な構成は限定されないものであるが、種々の万華鏡で利用されるミラーシステムを適用することができる。万華鏡におけるミラーシステムは、通常、内面が鏡面加工された筒体(以下、「ミラー中空筒体」とも呼ぶ)の構造となっており、複数の鏡を組み合わせて断面が多角形となる多角ミラー中空筒体(例えば、「2ミラーシステム」、「3ミラーシステム」、「4ミラーシステム」等のミラーシステム)や、円筒の内面が鏡面加工されたもの等が存在する。この実施形態の例では、ミラーシステム71は、鏡を3枚組み合わせて断面が三角形となるミラー中空筒体を形成する3ミラーシステムの構造であるものとして説明する。
【0025】
次に、投影装置1における光学系の概要について説明する。
【0026】
光源40で発光した光は、集光レンズ41で収束され、光の斑をなくすための拡散板42を透過し、オブジェクト10のガラス瓶11部分に入射する。
【0027】
ガラス瓶11に入射した入射光は、内部のオブジェクト片Bを透過して多彩な色や形を映して、ガラス瓶11のスクリーンSC側から出射し、ミラーシステム71内(中空筒体の内部)に入射される。そして、ミラーシステム71内に入射した光は、ミラーシステム71内で多重反射しながらスクリーンSC側の端部に配置された結像レンズ72に入射される。結像レンズ72は、入射された多重反射光を、スクリーンSCに投影する。
【0028】
ここで、図1に示すように、光源40で発光した光の光軸OAと、オブジェクト10(ガラス瓶11)における円筒形の中心軸(回転軸RA)とは概ね直交するように各要素が配置されているものとする。また、ここではミラーシステム71(ミラー中空筒体)の中心軸は、光源40の光軸OAに沿うように配置されているものとする。
【0029】
次に、オブジェクト駆動機構60の詳細構成について説明する。
【0030】
上述の通り、オブジェクト駆動機構60は、オブジェクト10(ガラス瓶11)を、回転軸RAを中心に回転させると共に、回転軸RAの方向に揺動動作(往復動作)させる。以下では、回転軸RAの一方の方向(図1では左方向)をY方向と呼び、他方の方向(図1では右方向)をX方向と呼ぶものとする。
【0031】
オブジェクト駆動機構60では、モータ61の回転軸にピニオンギア62が取り付けられており、ピニオンギア62には、スパーギア63が噛み合わされている。スパーギア63は、ピニオンギア62の回転を減速して回転する。
【0032】
そして、オブジェクト10は、ピニオンギア62と同じ回転軸で回転するように、ピニオンギア62の側面に取り付けされている。この実施形態では、図1に示すように、オブジェクト10の底面(ガラス瓶11の底面)がピニオンギア62のX方向の側面に脱着可能に取り付けされている。すなわち、オブジェクト駆動機構60では、ピニオンギア62とスパーギア63とが両方とも回転軸RAで回転することになる。
【0033】
そして、スパーギア63のY方向(左側)の側面には、スパーギア63同じ回転軸で回転するシャフト64が固定されている。
【0034】
そして、シャフト64は、3つの軸受け65、66、67により回転自在に支持されている。言い換えると、軸受け65、66、67は、回転軸RAで回転するシャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10を、1つの回転体として安定的に支持(回転自在に支持)している。
【0035】
そして、図1に示すように、シャフト64上で軸受け66と軸受け67との間の区間に、シャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10で形成される回転体を、一体としてXY方向に揺動させるカム641が形成されている。また、軸受け66のY方向の側面には、カム641を接触させる凸形状の接触子661が設けられている。
【0036】
さらに、シャフト64上でカム641と軸受け67との間に、つるまきバネ形状のスプリング643が配置されている。このスプリング643は、カム641をY方向(左方向)に付勢させるための付勢部材として機能する。
【0037】
図2は、カム641を取り外した状態で示す斜視図である。
【0038】
カム641は、図2に示すように、傾斜面641aが形成された円斜切円柱形状となっている。また、カム641には、中心軸にシャフト64を貫通させるための孔641bが形成されている。カム641は、孔641bに貫通するシャフト64に固定され、一体となっている。したがって、カム641は、シャフト64の回転に伴って、同じ回転軸RAで回転する。
【0039】
図1に示すように、カム641は、シャフト64において、傾斜面641aが、軸受け66の接触子661に当接するように配置されている。また、上述のように、カム641は、スプリング643により、Y方向(左方向)に付勢されているため、スプリング643の付勢力により常に傾斜面641aが接触子661に当接(押圧)することになる。したがって、カム641(傾斜面641a)は、常に接触子661に当接しながら回転することになるため、回転に伴ってXY方向に動作(揺動動作)する。上述のようにカム641はシャフト64と一体となっているため、カム641のXY方向の動作(揺動動作)に伴って、上述の回転体(シャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10で形成される回転体)もXY方向に動作することになる。
【0040】
以上のように、カム641、接触子661、及びスプリング643により、上述の回転体(シャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10で形成される回転体)を、XY方向に揺動させるための揺動機構(カム機構)が構成されている。
【0041】
次に、オブジェクト10をオブジェクト駆動機構60に取り付ける構成について説明する。
【0042】
上述の通り、オブジェクト10の底面(ガラス瓶11の底面)がピニオンギア62のX方向の側面に脱着可能に取り付けされている。
【0043】
オブジェクト10を、ピニオンギア62の側面に脱着可能に取り付ける方式については限定されないが、この実施形態では、マグネットの磁力を用いる構成について説明する。
【0044】
図3は、ガラス瓶11の底面に取り付けられるコネクタ部12を取り外した状態で示す平面図である。
【0045】
図3に示すようにコネクタ部12は、非磁性体の材料(例えば、プラスチック等の樹脂)で輪形の板形状に形成されており、中央の円形の穴に、当該穴と同形状のマグネット部121がはめ込まれた構成となっている。
【0046】
また、オブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68についてもコネクタ部12と同様の構成となっているものとする。したがって、コネクタ部68の構成についても同様に図3を用いて示すことができる。図3において括弧内の符号は、コネクタ部68に対応する符号である。図3に示すように、コネクタ部68も、輪形の板形状に形成されており、中央の円形の穴に当該穴と同形状のマグネット部681がはめ込まれた構成となっている。
【0047】
したがって、オブジェクト駆動機構60のコネクタ部68に、オブジェクト10のコネクタ部12が近づけられると、互いのマグネット部121、681の磁力で引き合う。これにより、オブジェクト10(コネクタ部12)は、オブジェクト駆動機構60(コネクタ部68)に脱着可能に取り付けされる。
【0048】
図1に示すように、オブジェクト駆動機構60では、コネクタ部68のY方向の側面(オブジェクト10のコネクタ部12と当接する側の面)にスペーサ69が設けられている。
【0049】
スペーサ69は、例えば、シリコンゴム等の摩擦の大きい材料であることが望ましい。
【0050】
スペーサ69は、オブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68(マグネット部681)の回転(トルク)を、より確実にオブジェクト10側のコネクタ部12(マグネット部121)に伝達させる部材である。仮に、オブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68と、オブジェクト10側のコネクタ部12とを直接接触させた場合、接触部分の摩擦が小さいと、オブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68が回転しても、そのトルクがオブジェクト10側のコネクタ部12に伝達されず、オブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68は空転することになる。そこで、この実施形態では、オブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68と、オブジェクト10側のコネクタ部12との間に、滑り止めとしてスペーサ69を挟むことで、オブジェクト10側のコネクタ部12をオブジェクト駆動機構60側のコネクタ部68にグリップさせ、より確実にオブジェクト10側のコネクタ部12を回転させることができる。
【0051】
また、コネクタ部68(マグネット部681)とコネクタ部12(マグネット部121)との間の引力が強すぎると、オブジェクト10の脱着が容易でなくなる。そのため、オブジェクト駆動機構60では、コネクタ部68とコネクタ部12との間の引力を調整するためにスペーサ69が設けられている。スペーサ69を厚くするほど、当該引力は弱くなる。したがって、元々コネクタ部68とコネクタ部12との間の引力が、オブジェクト10の脱着に好適な強さである場合には、スペーサ69は除外することができる。
【0052】
オブジェクト駆動機構60(コネクタ部68)に、オブジェクト10を脱着可能な構成とすることで、オブジェクト10の交換やメンテナンスを容易とすることができる。例えば、オブジェクト10に入れるオブジェクト片Bの数や組み合わせを変更することで、スクリーンSCに映し出される万華鏡映像の色調や模様も変化する。
【0053】
次に、オブジェクト10の構成について説明する。
【0054】
図4は、オブジェクト10を取り外した状態で示した図である。
【0055】
図5は、オブジェクト10の回転軸RAを通る線で切断した場合の断面図である。
【0056】
ガラス瓶11には、胴部111と、胴部111よりも径の小さい首部112とが形成されている。首部112の端部には開口部113が設けられている。
【0057】
図5に示すように、ガラス瓶11の首部112(開口部113)には、内蓋14が取り付けられている。なお、ガラス瓶11の首部112の外周面、及び内蓋14の内周面に図示しないねじ切りを設けることで、ガラス瓶11の首部112(開口部113)に内蓋14を脱着可能に取り付けるようにしてもよい。そして、内蓋14は、さらに外蓋13により覆われている。ガラス瓶11の開口部142には、外縁部分の口天部114も含めて覆うシール部材15が配置されている。すなわち、シール部材15は、ガラス瓶11の口天部114(開口部113)と、内蓋14の天面141との間に挟み込まれた状態となっている。
【0058】
図6は、シリンダ16を取り外した状態で示す平面図である。図7は、シリンダキャップ18を取り外した状態で示す斜視図である。
【0059】
図5図6に示すように、シリンダ16は、X方向の端部に開口部161が設けられ、Y方向の端部に孔162(開口部161よりも狭められた孔)が設けられた管である。シリンダ16の材質はガラス瓶11と同じく無色透明な材質(例えば、ガラスやアクリル)であればよい。この実施形態では、シリンダ16の材質はガラス瓶11であるものとする。
【0060】
また、図5に示すように、シリンダ16の内部には、円柱形状のロッド17が挿入されており、一端が、シリンダ16内に流れ込んだ充填液Lの液面に接触している。ロッド17の材質はガラス瓶11と同じく無色透明な材質(例えば、ガラスやアクリル)であればよい。この実施形態では、ロッド17の材質はアクリルであるものとする。
【0061】
さらに、図5に示すように、シリンダ16のX方向の端部に設けられた開口部161は、シリンダキャップ18が設けられている。図7に示すように、シリンダキャップ18には、天面181に、孔182が設けられている。シリンダキャップ18の材質は限定されないものであるが、例えば、種々のラバーやアクリル等の材料を適用することができる。
【0062】
図8は、シール部材15を取り外した状態で示す斜視図である。また、図9は、内蓋14を取り外した状態で示す斜視図である。
【0063】
図8に示すように、シール部材15には、シリンダ16を貫通させるための円形の孔151が設けられている。また、図9に示すように、内蓋14の天面141にも、シリンダ16を貫通させるための開口部142が設けられている。すなわち、内蓋14はいわゆるオープントップキャップの形状となっている。なお、ガラス瓶11と内蓋14については、既存のオープントップキャップのついたガラス瓶を用いて安価に構成することも可能である。
【0064】
図5に示すように、シリンダ16は、内蓋14の開口部142、及びシール部材15の孔151を貫通して、ガラス瓶11の内部(胴部111)まで挿し込まれた構造となっている。
【0065】
すなわち、シール部材15は、シリンダ16をガラス瓶11の内部に挿入させつつ、ガラス瓶11の開口部142から充填液Lの漏れを防ぐ機能を担っている。したがって、シール部材15の孔151の直径は、シリンダ16の外径と同じかわずかに小さいことが望ましい。シール部材15の材質としては、例えば、種々のラバー等を適用することができる。
【0066】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の投影装置及びオブジェクトの動作を説明する。
【0067】
まず、投影装置1の全体の動作概要について説明する。
【0068】
投影装置1では、電源部20がONとなると、光源制御部30及びモータ制御部50に電力が供給される。
【0069】
光源制御部30は、電力が供給されると駆動を開始し、光源40を制御して発光させる。光源40で発光した光は、集光レンズ41で収束され、光の斑をなくすための拡散板42を透過し、オブジェクト10のガラス瓶11部分に入射する。ガラス瓶11に入射した入射光は、内部に不入されたオブジェクト片Bを透過して多彩な色や形を映して、ガラス瓶11のスクリーンSC側から出射し、ミラーシステム71内(中空筒体の内部)に入射される。そして、ミラーシステム71内に入射した光は、ミラーシステム71内で多重反射しながらスクリーンSC側の端部に配置された結像レンズ72に入射される。結像レンズ72は、入射された多重反射光による映像(万華鏡映像)を、拡大してスクリーンSCに投影する。
【0070】
一方、モータ制御部50は、電力が供給されると駆動を開始し、モータ61の回転駆動を開始させる。モータ61が回転駆動を開始すると、その回転力は、ピニオンギア62を介してスパーギア63を回転させる。スパーギア63の側面にはシャフト64及びオブジェクト10が取り付けられており、シャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10は一体の回転体(回転軸RAを回転軸とする回転体)として、所定の速度(モータ61の回転速度、及びピニオンギア62とスパーギア63のギア比に基づく速度)で回転する。また、上述の回転体(シャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10)は、シャフト64に付けられたカム641を利用したカム機構により、回転軸RAで回転しながら、回転軸RA方向(XY方向)に揺動動作する。
【0071】
次に、シリンダ16と、シリンダ16内部に挿入されたロッド17との関係について説明する。
【0072】
図10は、シリンダ16とシリンダ16内部に挿入されたロッド17との関係について示した説明図である。図10は、図5に示すオブジェクト10におけるシリンダ16の部分(シリンダキャップ18及びロッド17を含む)のみを抜き出して図示した断面図となっている。
【0073】
図10では、円柱形状のロッド17の外周面の径をD1、円筒形状のシリンダ16の内径(内周面の径)をD2と図示している。
【0074】
図10に示すように、D1はD2よりも僅かに小さくなっている。したがって、図10に示すように、ロッド17の外周面とシリンダ16の内周面との間には、隙間Gが形成される。
【0075】
次に、ガラス瓶11にシリンダ16及びロッド17を、最初にセット(挿入)する工程の例について説明する。ガラス瓶11内にシリンダ16が挿入されると、シリンダ16内には、X方向の端部の孔162から、ガラス瓶11内に充填された充填液Lが流れ込む。そして、孔162からシリンダ16内に流れ込んだ充填液Lが、ロッド17の端部(X方向の端部)に接触すると、充填液Lは隙間Gに流れ込み、表面張力(毛細管現象)により、隙間Gは充填液Lで満たされ、図10のような状態となる。例えば、ガラス瓶11及びシリンダ16内を充填液Lで満たした状態で、ロッド17をシリンダ16に挿入して内部に推し進めてゆくと、孔162からシリンダ16内に流れ込んだ充填液Lが、隙間Gを経由して開口部161側に流れこむことになる。したがって、最初に、ガラス瓶11及びシリンダ16内を充填液Lで満たした状態で、ロッド17を所望の位置(ロッド17の初期位置)まで差し込むことで、シリンダ16内及びガラス瓶11内における気泡残留を抑止することができる。
【0076】
隙間Gの幅は、表面張力(毛細管現象)を発生させることができる程度である必要があるため、0.1mm程度であることが望ましい。例えば、ロッド17の外周面全体にわたって、0.1mmの幅の隙間Gを設ける場合、D1とD2の差分は0.2mm程度(D2−D1=0.2mm)となる。
【0077】
次に、シリンダ16内に挿入されたロッド17の動作について説明する。
【0078】
図11は、シリンダ16内に挿入されたロッド17の動作を示した説明図である。
【0079】
光源制御部30が駆動し、光源40が点灯すると、光源40から発光した光はオブジェクト10(ガラス瓶11)に照射されることになる。
【0080】
光源40から発光した光がガラス瓶11に照射され、その光がガラス瓶11及び内部の充填液Lを透過すると、ガラス瓶11及び充填液Lが過熱されて温度が上昇することになる。
【0081】
図11(a)は、光源40が発光を開始する前のロッド17の位置(シリンダ16内におけるXY方向の位置)について示している。
【0082】
上述の通り、充填液Lとしては、グリセリンやシリコンオイル等の粘性で無色透明な液体が用いられるが、これらの液体は、温度上昇に伴って膨張するため体積が増える。従来のようにガラス瓶11が完全に密閉されていれば、ガラス瓶11は充填液Lの膨張にともなって内部の圧力が高まり、圧力が所定以上となると破損することになる。しかし、この実施形態のオブジェクト10では、ガラス瓶11の内部から外部まで貫通するシリンダ16と、シリンダ16内に挿入されたロッド17が設けられているため、ガラス瓶11内の充填液Lが膨張すると、膨張した分の充填液Lは、孔162からシリンダ16に流れ込み、シリンダ16内のロッド17をX方向に押圧し、図11(b)に示すような状態に遷移する。したがって、オブジェクト10では、ガラス瓶11内の充填液Lが膨張した分シリンダ16内に充填液Lが流れ込み、シリンダ16内に充填液Lが流れ込んだ分、シリンダ16内でロッド17がX方向に移動するため、ガラス瓶11にかかる内部圧力上昇(加圧)が抑制される。
【0083】
逆に、図11(b)のような状態から、光源40が消灯して、ガラス瓶11内の充填液Lの温度が下がると、ガラス瓶11内の充填液Lは収縮して体積が減ることになる。この場合、ガラス瓶11内の充填液Lが収縮した分シリンダ16内から充填液Lが流れ出し、シリンダ16内のロッド17をY方向に吸引し、図11(a)に示すような状態に遷移する。したがって、オブジェクト10では、ガラス瓶11内の充填液Lが収縮した分シリンダ16内の充填液Lが流れ出し、シリンダ16内に充填液Lから流れ出した分、シリンダ16内でロッド17がY方向に移動するため、ガラス瓶11にかかる内部圧力降下(負圧)が抑制される。
【0084】
ただし、ガラス瓶11の内圧変動によってシリンダ16内でロッド17が動作する場合でも、ロッド17のX方向の端が視野A内にはいりこまないように、ロッド17の形状(ロッドの長さ)や、ロッド17をセットする際の位置が調整されていることが望ましい。これは、万華鏡映像に映る対象となる視野A内にシリンダ16内の空気(気泡)が映りこむと、万華鏡映像に黒色の領域を発生させる要因となるためである。一方、シリンダ16及びロッド17には、充填液L(グリセリンやシリコンオイル等)と屈折率が近い材料(例えば、アクリルやガラス等)を用いることで万華鏡映像の品質低下を抑制できる。したがって、予め、投影装置1の設置環境(外気温の変動)に基づくロッド17の最大移動量を考慮して、シリンダ16内にロッド17をセットする必要がある。
【0085】
また、図10に示すように、ロッド17の外周面とシリンダ16の内周面との間には、隙間Gが形成されているため、隙間Gに入り込んだ充填液Lは、シリンダ16内におけるロッド17の移動を滑らかにする潤滑剤として機能する。シリンダ16内におけるロッド17の移動を滑らかにすることで、ガラス瓶11内の圧力を安定させることに寄与する。
【0086】
さらに、シリンダ16には、ガラス瓶11の外側の端の開口部に161に、シリンダキャップ18がはめ込まれている。上述の通り、シリンダキャップ18の天面181には、シリンダ16の通気孔として機能する孔182が設けられている。孔182の径は、開口部に161の径よりも小さいため、表面張力により、隙間Gから外側(開口部161側)に漏れ出した充填液L(シリンダ16の内周面に密着することにより漏れ出した充填液L)は、シリンダキャップ18の天面181により堰き止められ、外部に漏れだすことを抑止できる。
【0087】
以上のように、オブジェクト10では、ガラス瓶11内の圧力(温度)に応じて、シリンダ16内でロッド17が移動して、ガラス瓶11内の圧力調整手段として機能する。
【0088】
次に、オブジェクト10(ガラス瓶11)内におけるオブジェクト片Bが移動する際の軌道について説明する。
【0089】
図12は、オブジェクト10(ガラス瓶11)内におけるオブジェクト片Bの動作示した説明図である。
【0090】
図12は、オブジェクト10(ガラス瓶11)を、光軸OAを通る線で切断した際の断面について示した図である。図12では、説明を簡易とするため、オブジェクト10(ガラス瓶11)に入れられた1つのオブジェクト片Bと、当該オブジェクト片Bが移動する軌道Tの例を示している。なお、図12では、下方向を鉛直方向と図示している。また、以下では、鉛直方向を下方向と呼び、鉛直方向と反対の方向を上方向と呼ぶものとする。さらに、図12では、オブジェクト10(ガラス瓶11)は、回転軸RAで時計回りに回転する状態について示している。なお、オブジェクト10(ガラス瓶11)の回転方向は、図12に示す方向と逆の方向(反時計回り)としてもよい。
【0091】
上述の通り、ガラス瓶11は、時計回りに回転するため、ガラス瓶11の回転に伴い、内部の充填液Lも、その回転に沿って時計回りに流れることになる。また、ガラス瓶11の回転軸RAの周囲には、シリンダ16が存在するため、ガラス瓶11の回転に伴い、ガラス瓶11の内部では、シリンダ16の周囲にも充填液Lの流れが発生することになる。
【0092】
ガラス瓶11の内周面に密着した充填液Lや、シリンダ16の外周面に密着した充填液Lは、ガラス瓶11の回転にともない流れる(移動する)。そして、ガラス瓶11の内周面に密着した充填液Lや、シリンダ16の外周面に密着した充填液Lがガラス瓶11の回転にともなって流れると、その流れに引っ張られて、シリンダ16の外周面とガラス瓶11の内周面との間に存在する充填液Lも同じ方向(時計回りの方向)に流れることになる。特に、充填液Lに粘性のある液体を用いる場合、ガラス瓶11の内周面やシリンダ16の外周面に密着する力や、シリンダ16の外周面とガラス瓶11の内周面との間に存在する充填液Lを引っ張る力が強くなる。すなわち、充填液Lに粘度に応じて、ガラス瓶11の回転に伴い充填液Lの流れる力をより強くする(流れを速くする)ことができる。また、オブジェクト10では、シリンダ16を中心に回転するため、ガラス瓶11の内部の充填液Lは、外側(ガラス瓶11の内周面)と内側(シリンダ16の外周面)の両方に密着するため、シリンダ16がない場合と比較して、ガラス瓶11の回転に伴う充填液Lの流れる力をより強くする(流れを速くする)ことができる。
【0093】
この実施形態では、オブジェクト片B(ガラスやアクリル等)は、充填液L(グリセリンやシリコンオイル等)よりも比重が重いため、オブジェクト10が静止していれば、オブジェクト片Bは緩やかに下方向(鉛直方向)に沈んでゆくことになる。しかし、上述のように、ガラス瓶11内では、ガラス瓶11の内周面とシリンダ16の外周面との間に、ガラス瓶11の回転に沿った流れ(強制対流)が発生するため、その流れに伴って、図12に示す軌道Tのようにオブジェクト片Bも移動(シリンダ16の周りを周回移動)することになる。ここでは、オブジェクト片Bが自重により鉛直方向に沈み込む力より、充填液Lが流れる力の方が強くなるように、オブジェクト駆動機構60によるオブジェクト10(ガラス瓶11)の回転速度が調整されているものとする。言い換えると、オブジェクト10(ガラス瓶11)の回転速度は、少なくともオブジェクト片Bが、シリンダ16の周囲を回転する程度に速くなるように調整される必要がある。
【0094】
オブジェクト10(ガラス瓶11)を速く回転させれば、充填液Lの流れも速くなり、オブジェクト片Bの動きも速くなる。そして、オブジェクト片Bの動きはスクリーンSCに映し出される万華鏡映像の変化する速度に直結する。したがって、オブジェクト10(ガラス瓶11)の回転速度は、万華鏡映像の創作者(オブジェクト10に封入するオブジェクト片Bの内容を決定した者)の所望の速度に調整されていることが望ましい。
【0095】
次に、図12を用いて、オブジェクト片Bの移動速度の変化について説明する。
【0096】
図12に示す軌道Tは、回転軸RAを中心とした回転角ごとの位置を示している。また、図12では、回転軸RAからミラー筒70(ミラーシステム71)側の方向(光軸OAに沿った方向)を0度(360度)とし、ガラス瓶11の回転方向(時計回りの方向)に沿った回転角度を示している。さらに、図12に示す位置P1〜P6は、時系列ごとのオブジェクト片Bの位置を示している。
【0097】
位置P1に位置するオブジェクト片Bは、充填液Lの流れる力に伴い、重力(下方向への力)に逆らって、上側に移動(上昇)し、角度90度の位置P2で最上点(頂点)に達する。そして、位置P2に位置するオブジェクト片Bは、その後、充填液Lの流れる力に伴い下側に移動し、位置P3(角度180度の位置)を経由して、位置P4(角度270度の位置)で最下点まで移動(下降)する。そして、位置P4(最下点)に位置するオブジェクト片Bは、充填液Lの流れる力に伴い、再び上側に移動(上昇)して角度0度の位置P5を経由して位置P6(最上点)まで移動する。
【0098】
以上のように、オブジェクト片Bは、ガラス瓶11の回転に伴い、シリンダ16の周囲を周回移動し続けることになる。
【0099】
図13は、オブジェクト10(ガラス瓶11)内におけるオブジェクト片Bの移動速度の変化について示した説明図である。
【0100】
オブジェクト片Bは、上昇移動する際には、充填液Lの流れる力で重力(下方向への力)に逆らって加速する。一方、オブジェクト片Bは、下降移動する際には、充填液Lの流れる力と重力の2つの力によって加速する。したがって、図13に示すように、ガラス瓶11の内部では、回転軸RAよりミラー筒70(ミラーシステム71)側に存在するオブジェクト片B(角度270度から90度までに存在するオブジェクト片B)はゆっくりとした速度で上昇移動し、回転軸RAより光源40側に存在するオブジェクト片B(角度90度から角度270までに存在するオブジェクト片B)は上昇するときよりも速い速度で下降移動(落下)することになる。
【0101】
ところで、光源40から発光した光は、光源40の側からガラス瓶11に入射し、ミラー筒70(ミラーシステム71)の側から出射し、ミラー筒70(ミラーシステム71)に入射することになる。そして、光源40からの光が、ガラス瓶11内のオブジェクト片Bを透過することで、万華鏡映像の元となる映像が形成される。ここでは、図13に示すように、ガラス瓶11及びその内容物は、レンズ(両凸レンズ)として機能し、その焦点F1がミラーシステム71(ミラー中空筒体)の開口部付近に位置するように、光源40、オブジェクト10、及びミラーシステム71の位置関係が調整されているものとする。そうすると、XY方向で光軸OA周辺におけるミラーシステム71の視野A(ミラーシステム71に入射する映像の視野)は、例えば、図13に示すような範囲となる。なお、上側から見た視野Aの範囲は図1に示す範囲となる。言い換えると、スクリーンSCに映し出される万華鏡映像は、ミラーシステム71の視野A内に存在するオブジェクト片を透過した光により形成されることになる。そうすると、ミラーシステム71の視野A内には、ゆっくりとした速度で上昇移動するオブジェクト片Bと、速い速度で下降移動するオブジェクト片Bとが混在した映像が形成されることになる。上述のように、焦点F1を、ミラーシステム71(ミラー中空筒体)の開口部付近に設定することで、ミラーシステム71(ミラー中空筒体)に、より効率的に光を入光させる(より多くの光量の光を入光させる)ことができる。また、ミラー筒70(ミラーシステム71)につけられた結像レンズ72は、ミラーシステム71から出射した映像を拡大(スクリーンSCの側に向けて拡大)する凸レンズ(片凸レンズ)である。図1図13では、結像レンズ72の焦点F2を図示している。図1図13に示すように結像レンズ72の焦点F2は、光軸OA上で、かつ、ガラス瓶11内の回転軸RAよりミラー筒70(ミラーシステム71)側に設定されているものとする。そうすると、スクリーンSCに映し出される万華鏡映像では、視野A内で焦点F2に近い位置のオブジェクト片Bに基づく映像はボケのない鮮明な映像となり、視野A内で焦点F2から遠い位置のオブジェクト片Bに基づく映像はボケた映像(不鮮明な映像)となる。したがって、スクリーンSCに映し出される万華鏡映像において、ゆっくりとした速度で上昇移動するオブジェクト片Bに基づく映像は鮮明となり、速い速度で下降移動するオブジェクト片Bに基づく映像はボケた映像となる。
【0102】
このように、投影装置1では、1つのオブジェクト10(ガラス瓶11)に、シリンダ16を設けることによって、万華鏡映像内に移動速度及び鮮明度(ボケの有無)の異なる映像を混在させ、万華鏡映像の多様性(変化)に寄与することができる。
【0103】
次に、シリンダ16によるオブジェクト片Bの移動制御機能について、図14を用いて説明する。
【0104】
図14(a)は、仮に、ガラス瓶11内に、シリンダ16が挿入されない場合における5個のオブジェクト片Bの分布状況の例について示した説明図である。
【0105】
図14(a)、図14(b)に示すように、ガラス瓶11内に、シリンダ16が挿入されない場合、光軸OAに並行に多数のオブジェクト片Bが並ぶ状態となる確率が高くなる。光軸OAに並行に多数のオブジェクト片Bが並ぶ状態となると、万華鏡映像には、それらすべてのオブジェクト片Bを透過した映像が発生することになる。ガラス瓶11内で光を透過させる際に、透過させるオブジェクト片Bの色数が多いほど、その透過光の色の彩度が低下し、黒色に近くなってゆく。2色程度のオブジェクト片Bを透過した透過光であれば、その透過光は2つの色が混ざった色となり万華鏡映像の多様性に寄与するが、それ以上の数(色数)のオブジェクト片Bを透過した光は、彩度が低くなり過ぎ、万華鏡映像の品質を低下させる(色が鮮やかでなく美しさを損なう)可能性がある。また、ガラス瓶11内に、多くの色のオブジェクト片Bを入れた方が万華鏡映像の多様性や品質(美しさ;鮮やかさ)が向上することになる。したがって、ガラス瓶11内では、色の異なるオブジェクト片Bが多数光軸OAと並行に並ぶことを抑制することが望ましい。
【0106】
特に、図14(a)の状態では、シリンダ16が存在せず、回転軸RA付近の充填液Lの動きが少ない(充填液Lの流れに偏りがある)ため、回転軸RA付近にオブジェクト片Bが滞留しやすい傾向にあり、色の異なるオブジェクト片Bが多数光軸OAと並行に並ぶ状態を起こしやすい。
【0107】
一方で、この実施形態のガラス瓶11内では、図14(b)に示すように、シリンダ16が挿入されているため、回転軸RA付近にオブジェクト片Bが移動することを規制し、さらに、シリンダ16自体もガラス瓶11と共に回転するため、ガラス瓶11における充填液Lの流れの偏りを抑制している。すなわち、実施形態のガラス瓶11内では、シリンダ16が挿入されているため、図14(b)に示すように、ガラス瓶11の回転に沿ったオブジェクト片Bの移動を促進しつつ偏在を抑制するため、万華鏡映像の品質を向上させることができる。
【0108】
なお、オブジェクト駆動機構60により、オブジェクト10は、回転軸RAで回転しながら回転軸RA方向(XY方向)に揺動動作を行うため、オブジェクト10内のオブジェクト片Bは、XY方向にも移動することになる。図1に示すように、ミラーシステム71の視野Aは、ミラーシステム71のXY方向の幅となる。したがって、オブジェクト片BがXY方向に移動することにより、オブジェクト片Bがミラーシステム71の視野Aの内外を行き来するため、万華鏡映像を多彩に変化させることができる。透明円筒タイプのオブジェクト構造の万華鏡はその映像が単調になることが多く、特に据え置き型や壁などに固定するタイプでは多様性の高い(変化に富んだ)映像が作りにくかった。一方、この実施形態の投影装置1では、オブジェクト10(ガラス瓶11)をXY方向(回転軸RAの方向)にも移動させることで、同じ万華鏡映像が発生することを防ぎ、多様性の高い(変化に富んだ)万華鏡映像を得ることができる。
【0109】
上述のカム機構により揺動させる揺動幅や揺動動作の速度については、実際にオブジェクト10に入れたオブジェクト片Bが移動して所望の万華鏡映像を得られる好適な条件を実験等により確認した上で設定することが望ましい。上述のカム機構により揺動させる揺動幅や揺動動作の速度は、斜切円柱形状のカム641の径(底面の径)や傾斜面641aの角度(底面に対して傾斜させる角度)等により調整することができる。なお、スパーギア63とピニオンギア62は噛み合っているが、図1に示すようにピニオンギア62はスパーギア63よりも幅(XY方向の寸法)が広い。したがって、スパーギア63は、ピニオンギア62の幅の分だけ揺動動作させることができるため、ピニオンギア62の幅は上述のカム機構による揺動幅以上とする必要がある。
【0110】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0111】
(A−3−1)この実施形態では、オブジェクト10のガラス瓶11に、ロッド17が挿入されたシリンダ16を設けている。上述の通り、このシリンダ16及びロッド17には、ガラス瓶11内の圧力調整機能や、オブジェクト片Bの移動を促進しつつ偏在を抑制する機能や、ミラーシステム71の視野の中に移動速度の異なるオブジェクト片Bを混在させる機能等を発揮する。したがって、この実施形態では、オブジェクト10のガラス瓶11に、ロッド17が挿入されたシリンダ16を設けるだけで、上述のような複数の機能に基づく複合的な効果(ガラス瓶11の破損防止、万華鏡映像の多様性向上、及び万華鏡映像の品質向上等)を同時に奏することができる。
【0112】
特に、オブジェクト10では、シリンダ16及びロッド17による圧力調整機能を備えるため、ガラス瓶11の中を充填液Lで満たし、気泡のない状態で安全に利用することができる。この実施形態では、シリンダ16及びロッド17を用いたガラス瓶11内の圧力調整機能により、ガラス瓶11内の圧力(ガラス瓶11内の充填液Lにかかる圧力)を外気圧と等しくなるように保つため、ガラス瓶11の外部から空気が入り込んで気泡が発生することを抑制することができる。
【0113】
充填液Lとして好適な材料(例えば、グリセリンやシリコンオイル)と空気とは、光の屈折率が大きく異なるため、ミラーシステム71の視野Aに気泡が映りこむと、万華鏡映像に黒色の部分が発生し、万華鏡映像の品質が劣化することになるため、可能な限りガラス瓶11内には気泡がないことが望ましい。
【0114】
なお、オブジェクトケースとして、ガラス瓶11ではなく、アクリルやプラスチック等の樹脂製の素材を用いることで内部圧力上昇に伴う破損を抑制することも考えられるが、樹脂製の素材はその性質上、熱により白濁等の変色が発生しやすいことや、熱により変形しやすいことや、表面に凹凸が多いこと等の理由から、両凸レンズとしての精度が乏しく、万華鏡映像の品質上オブジェクトケースとして好適ではない。以上のような理由から、万華鏡映像の品質上、最もオブジェクトケースとして適している材料はガラスであるため、この実施形態の投影装置1のように、ガラス瓶11を破損させずに明るい光源40を用いることができる点で、本発明の意義は大きい。
【0115】
(A−3−2)仮にシリンダ16にロッド17を挿入しない構成としても、シリンダ16の内部に発生する表面張力(毛細管現象)により、ガラス瓶11内の内圧(充填液Lの圧力)に応じて、シリンダ16内の液面(充填液Lの液面)が、XY方向に動作する。すなわち、シリンダ16にロッド17を挿入しない構成としても、ガラス瓶11内の圧力調整機能を発揮することは可能である。しかしながら、シリンダ16にロッド17を挿入しない構成とした場合、シリンダ16内の液面よりもX側(開口部161側)に、充填液Lが滞留(残存)する状態となる。これは、シリンダ16内の液面がY側に移動しても、シリンダ16の内周面に密着した充填液Lがその粘性により残存するためである。以下では、この滞留(残留)する充填液Lを「滞留液」とも呼ぶものとする。そして、その滞留液の量が多くなるとシリンダ16の開口部161側から滞留液が溢れてしまうという問題がある。これは、ガラス瓶11内でオブジェクト片Bを上述のような軌道で移動させる都合上、オブジェクト10(ガラス瓶11)を水平方向に寝かせた状態で使用せざるを得ないために発生しやすくなる事象である。滞留液が多くなり、シリンダ16から滞留液が溢れると、投影装置1内を汚すだけでなく、ガラス瓶11(シリンダ16)内の充填液Lも不足して、シリンダ16内に空気が多く入り込み、万華鏡映像の品質を著しく低下させる原因にもなる。
【0116】
シリンダ16にロッド17を挿入しない構成としても、シリンダ16の内径を小さくして、充填液Lの液面における表面張力(毛細管現象)の力を発揮しやすくすることで、ある程度、滞留液の量を低減することもできるが、今度はシリンダ16の内径を狭めた分、シリンダ16の長さを長くする必要がある。これは、ガラス瓶11内の圧力上昇(充填液Lの膨張)を吸収できる分、シリンダ16内部の体積を確保しなければならないためである。したがって、シリンダ16にロッド17を挿入しない構成とした場合、少なくとも滞留液が発生し難い程度にシリンダ16を細く且つ長くしなければならないことになる。さらに、シリンダ16にロッド17を挿入しない構成としても、万華鏡映像の品質を保つため、視野A内にシリンダ16内の空気が映りこまないように構成する必要もある。そのため、シリンダ16にロッド17を挿入しない構成とする場合、シリンダ16の長さは、滞留液の発生を抑制し、かつ、液面が変動しても視野A内にシリンダ16内の空気が映りこまない程度に長くする必要がある。
【0117】
以上のように、シリンダ16にロッド17を挿入しない構成とした場合、シリンダ16をより長くしなければならないため、その分オブジェクト10全体のサイズも大きくしなければならないという問題が発生する。
【0118】
これに対して、この実施形態のオブジェクト10では、シリンダ16内に、ロッド17を挿入することで、ロッド17が動作する場合でも滞留液の発生を大きく抑制することができる。これは、ロッド17が移動する場合でも、ロッド17により、シリンダ16内の充填液LがX側(開口部161側)に移動することを堰き止められるからである。なお、上述の通り、ロッド17の外周面とシリンダ16の内周面との間には、隙間Gが形成されているため、僅かに隙間Gから漏れ出した充填液Lが滞留することはあるが、長時間継続的に使用した場合でもシリンダキャップ18で堰き止められる程度の滞留液しか発生しないことが発明者の行った実験により確認されている。
【0119】
以上のように、この実施形態のオブジェクト10では、シリンダ16内にロッド17を挿入することで、ロッド17を挿入しない場合と比較して、滞留液の発生を十分に抑制することができる。また、この実施形態のオブジェクト10では、シリンダ16内に、ロッド17を挿入することで、ロッド17を挿入しない場合と比較して、シリンダ16を太くすることができるため、オブジェクト10のサイズ(長さ)を小さくすることが可能となる。
【0120】
(A−3−3)この実施形態のオブジェクト10では、シリンダ16及びロッド17の材質として、ガラス瓶11や充填液L(例えば、グリセリンやシリコンオイル)と近い屈折率の素材(例えば、ガラスやアクリル)を用いることで、万華鏡映像のムラや歪みを抑制している。
【0121】
(A−3−4)この実施形態の投影装置1(オブジェクト駆動機構60)では、シャフト64、スパーギア63及びオブジェクト10で形成される回転体を、軸受け65、66、67で支持しつつ、シャフト64と同軸に回転するカム641を用いたカム機構によりXY方向に揺動させる構成となっている。これにより、この実施形態の投影装置1(オブジェクト駆動機構60)では、従来(例えば、特許文献1の装置)よりも簡便な構造(少ない部品数)で、オブジェクト10を回転させつつ揺動動作させることができる。
【0122】
以上のように、投影装置1では、上述の通りカム641を用いた揺動機構により、オブジェクト10が回転しながらXY方向に揺動するため、各オブジェクト片BのXY方向の移動も発生する。したがって、視野A内では、各オブジェクト片BがXY方向の移動することに伴い、各オブジェクト片BのXY方向の位置関係(配列)が変化し続けることになる。これにより、投影装置1において、一期一会の万華鏡映像(変化に富んだ万華鏡映像)を得ることが可能となる。
【0123】
(A−3−5)この実施形態の投影装置1では、コネクタ部12、68(マグネット部121、681)を設けることで、オブジェクト10を脱着可能に取り付けることができるため、オブジェクト10の交換を容易としている。
【0124】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0125】
(B−1)上記の実施形態では、本発明のオブジェクトを投影装置(映華鏡)に適用する例について説明したが、本発明のオブジェクトは投影装置に限定されず、通常の万華鏡に適用するようにしてもよい。
【0126】
(B−2)上記の実施形態において、ガラス瓶11や充填液Lは無色透明であるものとして説明したが、他の色に着色するようにしてもよい。
【0127】
(B−3)上記の実施形態において、図15図16に示すように、ロッド17の両端の周囲に弾性のある材料でリング形状(O形状)に形成されたシール部材19を付けるようにしてもよい。
【0128】
図15は、ロッド17の両端にシール部材19を取り付けた状態で示す斜視図である。
【0129】
図16は、シリンダ16とシリンダ16内部に挿入されたロッド17(図15に示すシール部材19が付けられたロッド17)との関係について示した説明図である。図16は、オブジェクト10におけるシリンダ16の部分(シリンダキャップ18及びロッド17を含む)のみを抜き出して図示した断面図となっている。
【0130】
上述の通り、シール部材19は、弾性のある材料で形成されているため、ロッド17のY側の端部にシール部材19を取り付けることにより、ロッド17とシリンダ16との間の隙間Gにロッド17よりY側の充填液Lが入り込まないように堰き止め、滞留液の発生を抑止することができる。ただし、この場合、万華鏡映像の品質を保つため、隙間Gに充填液Lを満たした状態(空気が入り込んでいない状態)とすることが望ましい。例えば、シール部材19の付けられたロッド17をシリンダ16内にセット(挿入)する際、予めロッド17の外周面全体に充填液Lを塗布しておくようにしてもよい。
【0131】
シール部材19は、透明で充填液Lと近い屈折率の弾性材料を用いることが望ましい。シール部材19としては、例えば、透明のシリコンゴム等を用いることができる。また、シリンダ16内でのロッド17の移動を滑らかとするため、シール部材19の表面は、摩擦を少なくする加工(例えば、コーティングや研磨等)がなされていることが望ましい。
【0132】
なお、シール部材19の形状は、リング形状(O形状)に限定されず、ロッド17の端部で充填液Lを堰き止められる形状であれば良い。例えば、シール部材19の形状は、図17に示すように円盤形状(円形の板形状)としてもよい。また、必ずしもロッド17の両端にシール部材19を取り付ける必要はなく、いずれか一方のシール部材(X側又はY側の端部のシール部材19)は除去するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1…投影装置、10…オブジェクト、11…ガラス瓶、12…コネクタ部、13…外蓋、14…内蓋、15…シール部材、16…シリンダ、17…ロッド、18…シリンダキャップ、20…電源部、30…光源制御部、40…光源、41…集光レンズ、42…拡散板、50…モータ制御部、60…オブジェクト駆動機構、61…モータ、62…ピニオンギア、63…スパーギア、64…シャフト、65…軸受け、66…軸受け、67…軸受け、68…コネクタ部、69…スペーサ、70…ミラー筒、71…ミラーシステム、72…結像レンズ、111…胴部、112…首部、113…開口部、114…口天部、121…マグネット部、131…マグネット、141…天面、142…開口部、151…孔、161…開口部、162…孔、181…天面、182…孔、270…角度、641…カム、641a…傾斜面、641b…孔、643…スプリング、661…接触子、681…マグネット部、A…視野、B…オブジェクト片、F…焦点、G…隙間、L…充填液、OA…光軸、RA…回転軸、SC…スクリーン、T…軌道、V…電源。
図1
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