(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
床面上に設置される設置部と、前記設置部の上方に設けられ使用者が搭乗可能な座部と、を有し、前記設置部と座部との間には、前記座部に対し往復揺動を付与する揺動装置を備えた搭乗型運動機において、
前記揺動装置は、座部を少なくとも左右方向に往復揺動させる第1駆動機構と、座部を少なくとも上下方向に往復揺動させる第2駆動機構と、を有していて、
前記第1駆動機構と前記第2駆動機構とが、単一の駆動モータで駆動され、
前記第2駆動機構は、前記駆動モータの回転駆動力を上下方向の往復揺動の動作に変換して前記座部に伝達するクランク機構を有しており、
前記クランク機構は、上下方向に長尺のクランク体を有しており、前記クランク体の上端部は、第1ジョイント部を介して前記第1駆動機構に連結され、前記クランク体の下端部は、第2ジョイント部を介して前記第2駆動機構に連結されている
ことを特徴とする搭乗型運動機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された搭乗型運動装置は、左右一対の連結リンクを有し、座席は、その連結リンクを介して可動架台に前後揺動可能に支持され、さらに可動架台をベースに左右揺動可能に支持する構造となっている。したがって、このバランス訓練装置は非常に複雑な構成を有するものとなっており、必然的にコストが嵩むものと思われる。にもかかわらず、使用者に付与されるバランス運動は、前後揺動に左右揺動を加えたものであって、比較的単純なものであり、使用者が飽きずに長く続けられるものとは成り得ていないのが現状である。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な機構でありながら、使用者に対し複雑なバランス運動(馬に乗っているような感覚を抱かせる運動)を付与できる搭乗型運動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる搭乗型運動機は、床面上に設置される設置部と、前記設置部の上方に設けられ使用者が着座可能な座部と、を有し、前記設置部と座部との間には、前記座部に対し往復揺動を付与する揺動装置を備えた搭乗型運動機において、前記揺動装置は、座部を少なくとも左右方向に往復揺動させる第1駆動機構と、座部を少なくとも上下方向に往復揺動させる第2駆動機構と、を有していることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記第2駆動機構は、座部を前後方向へ往復揺動させるとよい。
好ましくは、前記第1駆動機構と前記第2駆動機構とが、単一の駆動モータで駆動されるとよい。
好ましくは、前記第1駆動機構は、前記駆動モータの回転駆動力を左右方向の往復移動の動作に変換して、前記座部に伝達する変換部を有しているとよい。
【0008】
好ましくは、前記第2駆動機構は、前記駆動モータの回転駆動力を上下方向の往復揺動の動作に変換して、前記座部に伝達するクランク機構を有しているとよい。
好ましくは、前記クランク機構は、上下方向に長尺のクランク体を有しており、前記クランク体の上端部は、第1ジョイント部を介して前記第1駆動機構に連結され、前記クランク体の下端部は、第2ジョイント部を介して前記第2駆動機構に連結されているとよい。
【0009】
好ましくは、前記第1駆動機構による座部の揺動周期と、前記第2駆動機構による座部の揺動周期とが非整数倍とされているとよい。
好ましくは、前記座部は、使用者が跨いで搭乗可能とされているとよい。
好ましくは、前記座部は、使用者が腰を下ろして着座可能な着座部を備えた椅子形状とされているとよい。
【0010】
好ましくは、前記囲い部は、前側から後側に向かうにつれて上方への突出高さが高くなるように形成されているとよい。
好ましくは、前記座部の前側下方には、使用者の足を載せる足載部が形成されているとよい。
また、本発明に係る搭乗型運動機の最も好ましい形態は、床面上に設置される設置部と、前記設置部の上方に設けられ使用者が搭乗可能な座部と、を有し、前記設置部と座部との間には、前記座部に対し往復揺動を付与する揺動装置を備えた搭乗型運動機において、前記揺動装置は、座部を少なくとも左右方向に往復揺動させる第1駆動機構と、座部を少なくとも上下方向に往復揺動させる第2駆動機構と、を有していて、前記第1駆動機構と前記第2駆動機構とが、単一の駆動モータで駆動され、前記第2駆動機構は、前記駆動モータの回転駆動力を上下方向の往復揺動の動作に変換して前記座部に伝達するクランク機構を有しており、前記クランク機構は、上下方向に長尺のクランク体を有しており、前記クランク体の上端部は、第1ジョイント部を介して前記第1駆動機構に連結され、前記クランク体の下端部は、第2ジョイント部を介して前記第2駆動機構に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の搭乗型運動機によれば、簡単な機構でありながら、使用者に対し複雑なバランス運動(馬に乗っているような感覚を抱かせる運動や揺動している椅子に座っているような感覚を抱かせる運動)を付与することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下に、本発明の搭乗型運動機(バランス運動機)の実施形態を、
図1〜
図7を参照しながら説明する。
以降の説明においては、
図1に示した方向をもとに説明を進める。これは、搭乗型運動機1に跨った使用者から見た搭乗型運動機1の前後方向、左右方向、上下方向と一致する。
【0014】
なお、図面に関して、本実施形態の搭乗型運動機1を解りやすく説明するため、搭乗型運動機1を構成する部材の一部をカットしたり、省略して描いている。
図1〜
図7には、本発明にかかる搭乗型運動機1が示されている。この搭乗型運動機1は、使用者が跨った状態で用いる乗馬型となっている。
図1に示すように、着座型の搭乗型運動機1は、床面Fに設置される設置部2と、この設置部2の上方に支持され且つ使用者が跨って着座する座部3(搭乗部)とを有している。
【0015】
設置部2は、床面Fに配置されたリング状の支持脚4を有し、この支持脚4の中央部から上方へ立設するように設けられた収納体5を有してる。この収納体5は水平断面が略楕円形とされた筒体であり、内部が空洞とされている。この空洞(収納体5の内部)は、座部3を揺動させる揺動装置6を格納するための収納部とされている。
収納体5の上方には、座部3が配置されている。座部3は平面視楕円形状に形成され、その上面や外周面はシート材によって覆われている。座部3の前部には操作パネル部8が設けられている。この操作パネル部8には、スタートやストップ、或いはモード切替等を行うスイッチが設けられている。加えて、座部3の前部には、使用者が安定して座部3に着座できることを助けるための把持部7が設けられている。この把持部7を手で握ることにより、座部3に安定して着座することが可能となる。
【0016】
収納体5に格納された揺動装置6は、座部3に疑似乗馬運動(バランス運動)を付与するものであって、設置部2と座部3とを連結する役目をも有していて、揺動装置6の下部側が設置部2側と連結され、揺動装置6の上部側が座部3側と連結されている。
図2〜
図7に示すように、揺動装置6は、座部3に対し上下方向、左右方向、及び前後方向の少なくとも1つ以上の往復揺動の動作を行わせる構成されている。
【0017】
本実施形態の場合、座部3は、揺動装置6により、前後方向、左右方向、上下方向のすべての方向にうねるような揺動動作(うねり運動)をする。
以上述べた座部3の動きを実現すべく、搭乗型運動機1の揺動装置6は、座部3を前後方向及び左右方向に往復揺動させる第1駆動機構10と、座部3を前後方向及び上下方向に往復移動させる第2駆動機構12と、を備えている。この第1駆動機構10と第2駆動機構12とが収納体5内に格納されている。
【0018】
まずは、第1駆動機構10について、図を参照しながら詳細に説明する。
図2〜
図7に示す如く、第1駆動機構10は、回転駆動力を駆動モータ13と、その回転駆動力を所定の速度に減速する第1ギアボックス14と、減速された回転駆動力を主に左右方向の往復揺動の動作に変換して、座部3に伝達する変換部15と、を有している。
駆動モータ13は、収納体5内の左側に縦を向くように設けられている。両軸モータである駆動モータ13の上端側と下端側からはそれぞれ回転駆動軸(第1回転駆動軸、第2回転駆動軸)が上方及び下方を向くように突出している。上方を向く第1回転駆動軸が第1ギアボックス14に連結されるものとなっている。第1回転駆動軸の先端にはウォームギアが取り付けられていて、そのウォームギアは第1ギアボックス14内に配備されたウォームホイル16に歯合されている。そのウォームホイル16には、左右方向を向く第1回転軸30が挿通されている。第1回転軸30は左右方向を向くように配備されており、
図6に示す如く、第1ギアボックス14内に配備されたベアリング18と(左側のベアリング18)と、収納部の右側に配備された右側のベアリング18により回転自在に支持されている。右側のベアリング18は、支持脚4の部分に配備された板状の基盤体27から上方へ突設するように設けられた支持体28(右側の支持体28)の上部に取り付けられるものとなっている。
【0019】
第1回転軸30の軸心方向略中央部には、回転駆動力を往復揺動に変換して、座部3に伝達する変換部15が取り付けられている。
図2や
図6に示すように、変換部15は、第1回転軸30に取り付けられると共に、この第1回転軸30の回転に伴い回転する第1回転ボス部17と、第1回転ボス部17の外側に嵌り込むベアリング18と、ベアリング18の外側に嵌り込む第1環状嵌合部19とで構成されている。
【0020】
第1回転ボス部17は、第1回転軸30の軸心方向略中央部に一体回転するように配置されていて、第1回転軸30に対して傾斜した略円形であって無端状の軌道(カム面)を有するものとなっている。加えて、
図4、
図5などに示す如く、この第1回転ボス部17は、第1回転軸30に対して偏心するように設けられており、第1回転ボス部17の中心から外れた位置を第1回転軸30が貫通するものとなっている。
【0021】
この第1回転ボス部17のカム面には、当該カム面を外嵌するようにベアリング18(ベアリング18のインナーレース)が嵌め込まれている。
一方で、ベアリング18のアウターレースの外周には、第1環状嵌合部19が外嵌するように嵌め込まれている。この第1環状嵌合部19は、座部連結部20の基端側に設けられた左右方向に貫通する貫通孔である。なお、座部連結部20は変換部15と座部3とを連結する上下方向を向いた部材である。
図6などに示す如く、座部連結部20は、断面がT字型を有する中実の部材であり、この座部連結部20の上端部に座部3が取り付けられるものとなっている。座部連結部20の下端部には、前述した第1環状嵌合部19が形成されており、ベアリング18を介して第1回転ボス部17に嵌まり込むものとなっている。第1環状嵌合部19は、座部連結部20の下端において、側面視略環状に形成された開口部である。この開口部は、カム面に嵌め込まれたベアリング18の外周面(アウターレース外周面)に外嵌している。そのため、第1回転ボス部17と第1環状嵌合部19とは、ベアリング18を介して相対回動自在になっている。
【0022】
この第1環状嵌合部19は、第1回転ボス部17の回転を主に左右方向への往復揺動運動に変換するものである。
一方で、
図2、
図5、
図6などに示すように、座部連結部20の下端の前部には、座部連結部20が第1回転軸30の回転と供回りすることを規制するための規制部21が配備されている。この規制部21は、座部連結部20の前部下面に形成された半球状の凹状部と、この凹状部に摺動自在に嵌まり込むボール体22とで構成されている。ボール体22は、後述するクランク体23の上端部に形成されている。このように、ピボット揺動可能とされた第1ジョイント部(半球状の凹状部、それに嵌まり込むボール体22)で連結されているため、クランク体23で生成された上下揺動の動きは、変換部15により生成される揺動運動を妨げることにはならず、両揺動運動は互いに協働しあって作用し、座部3に上下、左右、前後の揺動が混じり合った複雑な往復運動を発現することとなる。
【0023】
つぎに、座部3を主に前後方向及び上下方向に往復移動させる第2駆動機構12の詳細について説明する。
図2、
図3、
図7などに示す如く、第2駆動機構12は、回転駆動力を出力する駆動モータ13と、この駆動モータ13の下端から下方へ突出する第2回転駆動軸と、この第2回転駆動軸が伝達する回転駆動力を所定の速度に減速する第2ギアボックス25と、減速された回転駆動力を上下方向の往復移動の動作に変換して、座部連結部20及びそれに連結される座部3に伝達するクランク体23と、を有している。
【0024】
駆動モータ13の下端から下方へ突出する第2回転駆動軸は、先端にウォームギアが取り付けられていて、その先端は駆動モータ13の下方に配備された第2ギアボックス25内に挿入されている。第2ギアボックス25内には、ウォームホイル26が配設されており、このウォームホイル26には、左右方向を向く第2回転軸31が一体回転可能に設けられている。この第2回転軸31は、第2ギアボックス25内に配備されたベアリング18を介して、回転自在に支持されている。
【0025】
図7に示す如く、第2回転軸31の右端部は、第2ギアボックス25から右方向に突出していて、その右先端は、支持体28にベアリング18を介して取り付けられるものとなっている。この第2回転軸31の回転駆動力は、後述するクランク体23により、座部連結部20へと伝えられ、座部連結部20すなわち座部3の前端部を上下方向へと揺動させる(クランク機構)。このクランク機構を構成するクランク体23は、上下方向を向く長尺状の板片から構成されている。
【0026】
詳しくは、クランク体23の長手方向基端部(上下方向の下端部)には、第2回転軸31が貫通するように配備されている。クランク体23の長手方向先端部(上下方向の上端部)には、ボール体22が上方突設状に取り付けられている。
図7に示す如く、第2回転軸31の略中央部には、第2回転ボス部32が第2回転軸31と一体回転するように配置されている。この第2回転ボス部32は、第2回転軸31に対して傾斜しておらず、第2回転軸31に対して偏心するように設けられており、第2回転ボス部32の中心から外れた位置を第2回転軸31が貫通するものとなっている。
【0027】
この第2回転ボス部32は、カム面が外周面に形成されており、このカム面を外嵌するようにベアリング18(ベアリング18のインナーレース)が嵌め込まれている。
一方で、ベアリング18のアウターレースの外周には、リング状の第2環状嵌合部33が嵌め込まれている。この第2環状嵌合部33は、クランク体23の基端側に設けられた左右方向に貫通する貫通孔34内に遊嵌状態で嵌まり込んでいるものとなっている。
【0028】
すなわち、第2環状嵌合部33は、クランク体23の下端において、側面視略環状に形成され、略中央部には、第2回転ボス部32の大きさより少し大きいリング状の開口部が設けられている。この開口は、第2回転ボス部32のカム面に嵌め込まれたベアリング18の外周面(アウターレース外周面)を外嵌している。そのため、第2回転ボス部32と第2環状嵌合部33とは、ベアリング18を介して相対回動自在になっている。第2環状嵌合部33は、その下側にある軸体35(前後方向を向く軸体35)により、クランク体23の基端側に貫通孔34に遊嵌された状態で連結される構成となっている(第2ジョイント部、詳細は後述)。
【0029】
一方で、クランク体23の上端部には、上方を向く軸芯体36が突設状に設けられ、この軸芯体36の先端(上端)に、ボール体22が取り付けられるようになっている。このボール体22は、座部連結部20の下端の前端部に形成された半球状の凹状部に摺動自在に嵌まり込んでいる。このような構成のため、第2回転軸31が回転すると偏心状に取り付けられた第2回転ボス部32が回転し、クランク体23が上下方向、前後方向に往復揺動することとなる。この上下運動は、ボール体22を介して座部連結部20に伝えられ、第2回転軸31と共に回転する回転ボス部の回転が、座部3の前端の上下左右の往復揺動運動に変換されるようになる。
なお、クランク体23が上下に往復揺動をする際に、この揺動運動をスムーズなものとするために、第2環状嵌合部33に対してクランク体23の下端部が、左右方向に揺動するものとなっている。すなわち、第2環状嵌合部33は、クランク体23の基端側に設けられた貫通孔34内に遊嵌状態で嵌まり込んでいる。その上で、クランク体23の下端部と第2環状嵌合部33とが、前後方向を向く軸体35により連結されている(第2ジョイント部)。この第2ジョイント部を有するが故に、クランク体23の下端部は前後方向を向く軸体35回りに左右方向揺動自在となっており、この軸体35を介して、クランク体23が第2環状嵌合部33に対して左右に揺動自在となっている。そのため、第2回転軸31と共に回転する第2回転ボス部32の回転が、座部3の前端の上下前後の往復揺動運動にスムーズに変換され、座部3の左右方向の揺動運動を妨げることはない。言い換えれば、このクランク体23は、第1駆動機構10と第2駆動機構12とを円滑に連結する連結部材ともいえる。このクランク体23は、その上端に配備されたボールジョイント機構(第1ジョイント部)、及び下端の軸体35回りの揺動機構(第2ジョイント部)により、第1駆動機構10と第2駆動機構12を連動させる際に、両機構10、12が発現する揺動運動を円滑に連結する働きを奏する。
【0030】
以上のような構成を有する搭乗型運動機1の作動態様は、以下の通りである。
使用者Mはまず、座部3を跨ぐような姿勢で座り、操作パネル部8を使ってスタートスイッチをONにする。
すると、揺動装置6に備えられた両軸モータである駆動モータ13が回転し、第1回転駆動軸及び第2回転駆動軸を回転駆動させる。第1回転駆動力に伝達された回転駆動力は、第1駆動機構10へ伝えられ、第1回転ボス部17や第1環状嵌合部19の作用により、座部3を主に左右方向への往復揺動運動へと変換する。
【0031】
すなわち、駆動モータ13から伝えられた回転駆動力は、第1ギアボックス14を介して第1回転軸30へと伝達され、第1回転軸30は、第1回転ボス部17を回転させる。この回転駆動力は、第1環状嵌合部19へ伝達され、規制部21の働きと相まって、主として左右方向の動きが取り出され、座部連結部20すなわち座部3を主として左右へ往復揺動させる。
【0032】
同様に、第2回転駆動力に伝達された回転駆動力は、第2駆動機構12へ伝えられ、第2回転ボス部32や第2環状嵌合部33、これらに連結されたクランク体23の作用により、座部3を主に上下方向及び前後方向への往復揺動運動へと変換する。
すなわち、駆動モータ13から伝えられた回転駆動力は、第2ギアボックス25を介して第2回転軸31へと伝達され、第2回転軸31は、第2回転ボス部32を回転する。この回転駆動力は第2環状嵌合部33により前後方向及び上下方向の偏心運動として取り出され、クランク体23が主に上下に往復運動する。これにより、座部3の前端が前上がり又は前下がりとなる。
【0033】
例えば、
図4は、クランク体23が上方へ押し上げられ、座部3の前端が前上がりとなっている状態を示している。この状態から、第2回転ボスが略半回転した状態を示したのが
図5である。
図5では、クランク体23が下方へ押し下げられ、座部3の前端が前下がりとなっている状態を示している。
このように、座部3は、第1駆動機構10と第2駆動機構12が発生する揺動運動を組み合わせた運動をすることとなる。本実施形態の場合、第1回転軸30の回転数と第2回転軸31の回転数とが非整数比で異なる(第1回転軸30のウォームホイル16のギア数(ギア数=40)と第2回転軸31のウォームホイル26のギア数(ギア数=58)とが非整数比)ため、座部3の左右方向の動きと、前後方向・上下方向の動きとは単純な整数倍とはならず、座部3は非常に複雑な動きをとることとなる(移動軌跡が複雑なものとなる)。そのため、使用者に対して、複雑なバランス運動(まるで馬に乗っているような感覚を抱かせる運動)を付与することが可能となる。
【0034】
なおここでいう、非整数比とは、第1回転軸30の回転数と第2回転軸31の回転数の比が、「1:8」や「2:3」のように整数比率となるのではなく、「1:9.23」や「2:3.15」のような小数を含んだ比率となることである。
このような前後揺動と左右方向へのうねり揺動(疑似乗馬運動)は、座部3に着座する使用者のバランスを積極的に崩すこととなり、それにより、使用者の体の各部の筋肉の強化や平衡感覚の強化を行うことができ、ひいては、ダイエット等の健康増進を図ることができるものとなる。
[第2実施形態]
次に、
図8及び
図9を用いて、第2実施形態の搭乗型運動機1について説明する。
【0035】
図8及び
図9に示すように、第2実施形態の搭乗型運動機1は、使用者が着座した状態で用いる着座型(椅子型)となっている。
具体的には、第1実施形態の搭乗型運動機1に設けられる座部3が馬の背中を模倣した馬背形状(左右方向の中央が上方に向かって凸状に盛り上がると共に前後方向の中央が下方に向かって緩やかに凹んだ形状)であったのに対し、第2実施形態の搭乗型運動機1に設けられる座部3は使用者が腰を下ろして座ることができるように中央が下方に向かって凹んだ椅子形状となっている。
【0036】
つまり、第2実施形態の座部3の中央には、位置する使用者が腰を下ろして着座可能な着座部37が設けられている。この着座部37は、上方から見た場合に俵形状(角が丸まった四角形状)となるような部分であり、臀部を保護できるようなクッション性を備えたシートなどで形成されている。
座部の上部には、着座部37を取り囲むと共に上方に向かって突出した囲い部38が設けられている。この囲い部38は、前側から後側に向かうにつれて上方への突出高さが高くなるように形成された背もたれであり、使用者が着座時に通過する前側に比べて、使用者がもたれ掛かる後側が高くなっている。このような構成を採用することで、使用者の臀部が着座部から落下することを防止しつつも、着座部37への臀部の進入を容易にする構成となっている。
【0037】
また、座部の前側下方には、使用者の足を載せる足載部39が形成されている。この足載部39は、収容体5の左前側と右前側の側面との2点間を結ぶように架け渡された湾曲した棒状の部材であり、上側に使用者の足を載置して支持できるようになっている。上述したような囲い部38や足載部39を設ければ、第1実施形態のように膝で座部3を締め込んで姿勢の保持ができない(跨いで搭乗できない)第2実施形態の搭乗型運動機1であっても、囲い部38で臀部を固定したり、足載部39で足の動きを止めたりできるため、運動中の姿勢の保持が容易となり、安全な環境で運動を行うことが可能となる。
【0038】
図9に示すように、第2実施形態の搭乗型運動機1に搭載された揺動装置は、第1実施形態の揺動装置1と略同様の構成を有しているため、その詳細説明は省略する(
図9においては、第1実施形態と同様の部材に、第1実施形態と同様の番号を付している)。第2実施形態の搭乗型運動機1も、座部3を少なくとも左右方向に往復揺動させる第1駆動機構10と、座部3を少なくとも上下方向乃至は前後方向に往復揺動させる第2駆動機構12と、を有しているものとなっている。
【0039】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操作手順、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【0040】
例えば、本実施形態にかかる搭乗型運動機1の更なる変形例としては、以下の構成が考えられる。
図8などを参照するに、第2実施形態の座部3は、その着座部37の上面が、やや前下がりとなっている。この傾斜により使用者は前へ滑り落ちることを避けようとして、腹筋などに力を入れるため、より効果的なバランス運動(身体への負荷運動)を行うことが可能となっている。
【0041】
しかしながら、一部の使用者においては、この着座部37の前傾斜を不安に感じたり、実際に前側へ滑り落ちたりすることが考えられる。逆に、他の使用者においては、着座部37の前傾斜をより大きなものにして、身体への負荷を更に強いものにしたいと考えることもある。
このような要求に対して、本実施形態にかかる搭乗型運動機1に、着座部37の上面の前傾斜を調整する傾斜調整手段を設けることは好ましい。
【0042】
傾斜調整手段としては、様々な形態が考えられるが、一例として、背凭れクッション(クッション部材)が考えられる。
前述の如く、着座部37の左右横側から後方にかけて、着座部37の縁に沿って当該着座部37を取り囲むと共に上方に向かって突出した囲い部38が設けられている。この囲い部38は、前側から後側に向かうにつれて上方への突出高さが高くなるよう(すなわち上方凸の円弧状)に形成されている。この囲い部38に沿うような、囲い部38とは別体のクッション部材を配備する。
【0043】
クッション部材は、囲い部38(特に使用者の背中に対応する囲い部38)に沿うような形状をしており、下端が略水平で、上端が円弧「月出時の上弦の月」状の形をしている。通常は、このクッション部材は、着座部37の後部に対応する囲い部38に立てかけられ、使用者は囲い部38に柔らかい感覚を持って凭れかかることができる。
このクッション部材の下端を前側へ引き、着座部37の上面後部側に積層するように倒すことで、着座部37の上面後部側が、クッション部材の厚み分だけ嵩上げされることとなり、着座部37の前傾斜がより大きなものとなる。
【0044】
この状態のまま、クッション部材の下端をさらに前側に引き出し、クッション部材を着座部37の上面前部側に積層する。すると、着座部37の前部側(着座した使用者の太ももの下に対応)が、クッション部材の厚み分だけ嵩上げされることとなり、着座部37の前傾斜が緩和されることとなって、使用者が前側へ滑り落ちたりすることを防ぐことができる。