(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
産業機械の種別に応じて予め定められた形式情報であって、前記産業機械が出力するデータに含まれる複数の個別データそれぞれの、前記データにおける位置を含む形式情報を記憶している記憶部と、
前記産業機械が出力した前記データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記データに含まれる前記複数の個別データを、前記データにおける、前記形式情報に含まれる前記位置から抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記複数の個別データの送信の制御をする送信部とを備え、
前記複数の個別データそれぞれの前記データにおける前記位置は、当該個別データの前記データにおける格納位置を示す情報である
中継装置。
前記取得部は、前記産業機械が前記データに含めて出力し得る複数の個別データのうちの特定の個別データを示す特定情報を含む前記要求情報を送信し、送信した前記要求情報に応じて前記産業機械が出力した、前記特定の個別データを含む前記データを取得し、
前記抽出部は、取得部が取得した前記データに含まれる前記特定の個別データを、前記形式情報を用いて抽出する
請求項5に記載の中継装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、産業機械は、動作又は状態等を示す多くのデータを繰り返し出力する。そのため、端末が産業機械からデータを取得する際に、上記のように1つのデータの要求と、その応答としての1つのデータの出力とを用いるとすれば、その通信の頻度が非常に高くなる。その場合、ネットワークにおける通信量が増大し、また、通信及びその他の情報処理に要する消費電力が増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制する中継装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る中継装置は、産業機械の種別に応じて予め定められた形式情報であって、前記産業機械が出力するデータに含まれる複数の個別データそれぞれの、前記データにおける位置を含む形式情報を記憶している記憶部と、前記産業機械が出力した前記データを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記データに含まれる前記複数の個別データを、前記形式情報を用いて抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した前記複数の個別データの送信の制御をする送信部とを備える。
【0008】
これによれば、中継装置は、産業機械が出力するデータから、形式情報を用いて当該データに含まれている複数の個別データを抽出することができる。仮に形式情報がなければ、中継装置は、産業機械から個別データを1つずつ取得する必要があり、また、その1つの個別データを取得するために数往復の通信が必要になることもある。さらに、産業機械が出力し得る情報が何であるかが未知である場合には、予め産業機械が出力し得る情報が何であるかを取得するための通信も必要になる。本発明の一態様に係る中継装置によれば、産業機械から複数の個別データを一括で取得できるので、データの取得に必要な通信の通信量の増大を抑制できる。このように、中継装置は、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制することができる。
【0009】
また、前記産業機械は、時間間隔を空けて前記データを複数回出力し、前記中継装置は、さらに、蓄積部を備え、前記取得部は、前記データを複数回取得し、前記抽出部は、前記取得部が複数回取得した前記データから前記複数の個別データを抽出し、抽出した前記複数の個別データを前記蓄積部に蓄積し、前記送信部は、前記制御において、前記蓄積部に蓄積されている前記複数の個別データを一の通信パケットに含めて送信する。
【0010】
これによれば、中継装置は、産業機械が時間間隔を空けて複数回送信したデータから取得される個別データをまとめて一の通信パケットで送信するので、通信パケットのヘッダに係る通信量を抑制することができる。これにより、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大をより一層抑制することができる。
【0011】
また、前記産業機械は、時間間隔を空けて前記データを複数回出力し、前記中継装置は、さらに、蓄積部を備え、前記取得部は、前記データを複数回取得し、前記抽出部は、前記取得部が複数回取得した前記データから前記複数の個別データを抽出し、抽出した前記複数の個別データを前記蓄積部に蓄積し、前記送信部は、前記制御において、前記蓄積部に蓄積されている前記複数の個別データに対して演算処理を施すことで新たな個別データを生成し、生成した前記新たな個別データを送信する。
【0012】
これによれば、中継装置は、産業機械が時間間隔を空けて複数回送信したデータから取得される個別データから新たな個別データ、より具体的には、一定時間における個別データ群から演算処理される情報などを生成して送信する。よって、中継装置は、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制しながら、個別データ単体から直接には得られない新たな情報を提供することができる。
【0013】
また、中継装置は、前記取得部は、前記データを出力させるための要求情報を前記産業機械に送信し、送信した前記要求情報に応じて前記産業機械が出力した前記データを取得する。
【0014】
これによれば、中継装置は、産業機械からデータを得るタイミングを制御し得る。よって、データの変化の頻度に応じて産業機械からデータを得るように要求情報を送信することにより、産業機械から送信されるデータを削減することができる。
【0015】
また、前記取得部は、前記産業機械が前記データに含めて出力し得る複数の個別データのうちの特定の個別データを示す特定情報を含む前記要求情報を送信し、送信した前記要求情報に応じて前記産業機械が出力した、前記特定の個別データを含む前記データを取得し、前記抽出部は、取得部が取得した前記データに含まれる前記特定の個別データを、前記形式情報を用いて抽出する。
【0016】
これによれば、中継装置は、送信した要求に基づいて産業機械から送信された特定の個別データを含むデータを受信し、その特定の個別データを取得できる。よって、産業機械から取得するデータと、その取得をするタイミングを、より詳細に制御することができる。
【0017】
また、前記送信部は、前記中継装置に前記複数の個別データを送信させるための要求情報を端末から受信し、受信した前記要求情報に応じて前記端末への前記送信の制御をする。
【0018】
これによれば、中継装置は、端末から要求情報を受信したときにだけ、個別データを端末に送信し得る。よって、端末が個別データの受信を希望していないときに個別データを送信してしまうことにより通信の通信量が増大することを回避できる。
【0019】
また、前記記憶部は、複数の前記形式情報であって、複数の前記形式情報それぞれが、産業機械の互いに異なる種別それぞれに応じて予め定められた形式情報である複数の前記形式情報を記憶しており、前記取得部は、複数の前記産業機械のうちの一の産業機械が出力した前記データを取得し、前記抽出部は、前記記憶部に記憶されている複数の前記形式情報のうちから、前記一の産業機械の種別に応じて予め定められた一の形式情報を選択し、選択した前記一の形式情報を用いて、前記複数の個別データを抽出する。
【0020】
これによれば、中継装置は、複数の種別の産業機械からデータを取得する場合であっても、接続された産業機械に適合した形式情報を用いて適切に個別データを取得する。よって、中継装置は、複数の種別の産業機械に接続されている、または、接続され得る場合でも、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制することができる。
【0021】
また、前記個別データは、前記産業機械の動作、状態、又は、制御に関するデータである。
【0022】
これによれば、中継装置は、産業機械の動作、状態、又は、制御に関するデータを、通信量の増大を抑制しながら取得することができる。
【0023】
また、前記形式情報は、MTConnect規格及びOPC UA規格のうちの一の規格に従う形式情報であり、前記送信部は、前記一の規格に従う通信によって前記複数の個別データの送信をする制御をする。
【0024】
これによれば、中継装置は、MTConnect規格及びOPC UA規格のうちの一の規格に従う形式情報を、通信量の増大を抑制しながら送信することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、中継装置の制御方法であって、前記中継装置は、産業機械の種別に応じて予め定められた形式情報であって、前記産業機械が出力するデータに含まれる複数の個別データそれぞれの、前記データにおける位置を含む形式情報を記憶している記憶部を備え、前記制御方法は、前記産業機械が出力した前記データを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記データに含まれる前記複数の個別データを、前記形式情報を用いて抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出した前記複数の個別データの送信の制御をする送信ステップとを含む。
【0026】
これによれば、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0027】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0028】
これによれば、上記通信装置と同様の効果を奏する。
【0029】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、中継装置は、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0033】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0034】
(実施の形態)
本実施の形態において、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制する中継装置について説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態に係る通信システム1の構成を示す模式図である。
【0036】
図1に示されるように、通信システム1は、中継装置10と、機械20、21及び22(「機械20等」ともいう)と、端末30とを備える。
【0037】
中継装置10と機械20、21及び22それぞれとは、通信線Lで接続されている。通信線Lは、Ethernet又はIP(Internet Protocol)などの通信プロトコル、又は、独自規格の通信プロトコルで通信可能な通信線である。
【0038】
また、中継装置10と端末30とはネットワークNを介して接続されている。中継装置10と端末30とは、例えば、産業機械のデータの通信のための規格、より具体的には、MTConnect規格又はOPC UA規格などによって通信し得る。なお、通信線L又はネットワークNは、通信システム1に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。また、通信線L又はネットワークNで実現される通信は、それぞれ有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0039】
中継装置10は、機械20等それぞれが出力するデータを受信し、受信したデータに対する処理を行って端末30に送信することで、上記データを中継する中継装置である。中継装置10は、1つのデータを受信して、受信した1つのデータに対する処理を行って端末30に送信してもよいし、複数のデータを受信して、受信した複数のデータに対する処理によって1以上のデータを生成して端末30に送信してもよい。
【0040】
機械20は、工作機械のような産業機械である。機械20は、端末30によるデータの取得の対象となる機械である。
【0041】
機械20は、機械20に関するデータ(個別データともいう)を含むデータを出力する。機械20が出力するデータは、所定のデータ長(例えば500バイト又は数キロバイト等)を有しており、機械20の種別に応じて定められた形式情報に従って個別データが配置されている。個別データは、例えば、機械20の動作、状態、又は、制御に関するデータである。機械20は、複数回データを送信する。送信される複数個のデータそれぞれには、その送信に係るタイミングにおける動作などに関する個別データが格納されている。
【0042】
機械20は、自発的に、言い換えれば、要求情報を受信することなくデータを出力してもよいし、中継装置10から受信する要求情報に応じてデータを出力してもよいし、これらを併用してもよい。
【0043】
自発的にデータを出力する方式(プッシュ方式ともいう)では、要求情報の送受信がないので通信システム1内の通信量が比較的小さく抑えられる利点がある。プッシュ方式の場合、機械20は、所定のタイミングでデータを出力する。機械20は、時間間隔を空けてデータを出力し、又は、所定のイベントが発生したタイミングでデータを出力する。時間間隔を空けてデータを出力することは、例えば数ミリ秒又は数秒のような所定の周期でデータを出力することである。また、所定のイベントとは、例えば、機械20の動作中における障害の発生、又は、機械20を構成する部品などが一定の消耗度合いに達したことなどである。
【0044】
また、要求情報に応じてデータを出力する方式(ポーリング方式ともいう)で出力する場合、中継装置10が、機械20からデータを取得するタイミングを制御できる利点がある。ポーリング方式の場合、機械20は、中継装置10からの要求情報を待ち受け、要求情報を受信したことに応じてデータを出力する。この場合、受信した要求情報が特定の個別データの取得を要求する要求情報(後述)である場合には、機械20は、要求に係る特定の個別データだけを出力してもよい。
【0045】
なお、機械20の種別とは、工作機械、レーザー加工機若しくは溶接機などの別、工作機械のうちでも旋盤、ボール盤若しくはフライス盤などの別、さらに、旋盤のうちでも機種又はバージョンの別などを含む概念である。
【0046】
以降では、機械20が工作機械である場合を例として説明する。また、機械20が出力する個別データは、工作機械である機械20の主軸(不図示)の位置を示す位置情報であり、より具体的には、個別データは、主軸のX座標、Y座標及びZ座標であるとする。なお、個別データは、上記の他にも、工作機械である機械20の主軸(不図示)のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の負荷、切削工具の摩耗の度合いのような消耗品の状態、並びに、機械20が備えている1以上のドア又は扉それぞれの開閉状態なども含まれ得る。
【0047】
機械21及び22は、それぞれ、機械20と同様の産業機械であり、機械20とは独立に動作し得る。機械21及び22は、それぞれ、端末30によるデータの取得の対象となる機械である。なお、ここでは機械20、21及び22の3台の機械がある場合を想定して説明するが、機械20等の台数は3に限られず、1以上であればよく、例えば10台又は50台程度であってもよい。
【0048】
端末30は、機械20等それぞれが出力するデータを中継装置10を介して受信する通信装置である。端末30は、上記データを受信し、受信したデータに基づく画像を生成して管理者などに提示したり、受信したデータに基づいて機械20等を制御する制御情報を生成して機械20等に送信したりする制御をする。画像の提示は、例えば、端末30が備えるモニタ画面上にデータ収集用のツールによって表示することでなされ得る。
【0049】
図2は、本実施の形態に係る中継装置10の構成を示すブロック図である。
【0050】
図2に示されるように中継装置10は、取得部11と、抽出部12と、記憶部13と、送信部14と、蓄積部15とを備える。
【0051】
なお、
図2では、機械20等の代表として機械20だけを図示し、中継装置10が機械20と接続されていることを示しているが、中継装置10は、機械20に代えて、または、機械20とともに、機械21又は22に接続されていてもよい。
【0052】
取得部11は、機械20が出力したデータを通信線Lを通じて取得する処理部である。取得部11は、機械20からデータが出力されるたびに、そのデータを取得する。取得するデータは、所定のデータ長(例えば500バイト又は数キロバイト等)を有し、機械20の種別に応じて定められた形式情報に従って複数の個別データが配置されている。取得部11は、機械20との通信の通信規格に適合した通信インタフェースと、プロセッサによる情報処理とによって実現され得る。
【0053】
なお、取得部11は、機械20がポーリング方式で動作している場合には、データを出力させるための要求情報を機械20に送信し、送信した要求情報に応じて機械20が出力したデータを取得する。さらに、取得部11は、機械20がデータに含めて出力し得る複数の個別データのうちの特定の個別データを示す特定情報を含む要求情報を送信し、送信した要求情報に応じて機械20が出力した、特定の個別データを含むデータを取得してもよい。この場合、抽出部12は、取得部11が取得したデータに含まれる特定の個別データを、形式情報17を用いて抽出する。例えば、特定情報は、機械20の主軸のX座標を示す個別データだけの取得を要求する場合には、上記個別データを示すものに設定される。取得部11がこのような特定情報を設定するには、後述する項目情報16が用いられ得る。
【0054】
また、取得部11は、要求に係る特定の個別データに応じて、要求情報を送信する時間間隔を調整してもよい。例えば、主軸の位置を示す位置情報を示す個別データを取得する場合には、比較的短い周期で(例えば100ミリ秒程度ごとに)要求情報を送信すれば、工作機械による加工の精度を高く維持することに寄与し得る。一方、切削工具の摩耗の度合いのような消耗品の状態を示す個別データを取得する場合には、比較的長い周期で(例えば数分程度ごとに)要求情報を送信すれば、通信量及び情報処理の量を抑制することに寄与し得る。
【0055】
抽出部12は、取得部11が取得したデータに含まれる複数の個別データを、形式情報を用いて抽出する処理部である。抽出部12は、プロセッサによる情報処理により実現され得る。抽出部12は、抽出した複数の個別データを、複数の個別データ18として蓄積部15に格納することで保持させる。
【0056】
抽出部12は、記憶部13に複数の形式情報17が記憶されている場合、記憶されている複数の形式情報17のうちから、機械20の種別に応じて予め定められた一の形式情報17を選択し、選択した一の形式情報17を用いて、複数の個別データを抽出する。
【0057】
記憶部13は、項目情報16及び形式情報17を記憶している記憶装置である。記憶部13は、メモリによって実現され得る。
【0058】
項目情報16は、機械20の種別に応じて予め定められた情報であって、機械20が出力するデータの項目を示す情報であり、言い換えれば、機械20が何のデータを出力できるかを示す情報である。また、形式情報17は、機械20の種別に応じて予め定められた情報であって、機械20が出力するデータに含まれる複数の個別データそれぞれの、データにおける位置を含む情報であり、言い換えれば、機械20が出力するデータのうちのどこに何のデータが格納されているかを示す情報である。項目情報16及び形式情報17は、抽出部12により読み出され得る。
【0059】
項目情報16及び形式情報17はそれぞれ、機械20の種別に応じて定められた情報である。記憶部13は、一又は複数の項目情報16、及び、一又は複数の形式情報17を記憶している。複数の項目情報16が記憶されている場合、複数の項目情報16のそれぞれは、産業機械の互いに異なる種別に応じて定められた項目情報16である。また、複数の形式情報17が記憶されている場合、複数の形式情報17のそれぞれは、産業機械の互いに異なる種別に応じて定められた形式情報17である。
【0060】
なお、形式情報17は、中継装置10と端末30との通信の通信規格がMTConnect規格又はOPC UA規格である場合には、その規格に従う形式情報である。
【0061】
また、項目情報16及び形式情報17は、予め定められたものが記憶部13に格納されてもよく、また外部からこれらに追加、削除、及び更新がなされてもよい。例えば、通信システム1に新たに機械が導入される場合には、導入される機械の項目情報16及び形式情報17をネットワークNを通じて記憶部13に格納する。このようにすれば、通信システム1の構成(機械20等)が変更されても、通信システムを止めること無く、対応できる利点がある。
【0062】
送信部14は、抽出部12が抽出した複数の個別データの送信の制御をする処理部である。送信部14は、端末30との通信の通信規格に適合した通信インタフェースと、プロセッサによる情報処理とによって実現され得る。送信部14は、中継装置10と端末30との通信の通信規格がMTConnect規格又はOPC UA規格である場合には、その規格に従う通信によって、複数の個別データの送信をする制御をする。
【0063】
送信部14は、上記制御において、蓄積部15に蓄積されている複数の個別データ18を一の通信パケットに含めて送信をするようにしてもよい。複数の個別データ18をまとめて一の通信パケットに含めて送信すれば、通信パケットのヘッダが、複数の個別データ18につき1つで済む利点がある。なお、これとは別に、複数の個別データ18のそれぞれを個々の通信パケットに含めて送信すれば、複数の個別データ18を一の通信パケットに含めるための待ち時間及び処理などが発生しなくなることにより、通信遅延及び処理の発生を抑えられる利点がある。
【0064】
また、送信部14は、上記制御において、蓄積部15に蓄積されている複数の個別データ18に対して演算処理を施すことで新たな個別データを生成し、生成した新たな個別データを送信するようにしてもよい。新たな個別データは、具体的には、一定時間における個別データ群から演算処理によって生成される情報である。
【0065】
例えば、送信部14は、個別データが、機械20が備える複数のドアそれぞれの開閉状態を示す個別データである場合には、所定の1つのドアだけが開いている状態、任意の複数のドアが開いている状態、及び、すべてのドアが開いている状態などのうちのどの状態に該当するかを識別する処理を、演算処理として実行し得る。この場合、上記のどの状態であるかを示す情報が、新たな個別データに相当する。
【0066】
また、例えば、送信部14は、主軸のX座標、Y座標及びZ座標から、主軸の三次元空間における移動の速度又は加速度を算出する処理を、演算処理として実行する。この場合、算出される速度又は加速度が新たな個別データに相当する。
【0067】
なお、送信部14は、中継装置10に複数の個別データ18を送信させるための要求情報を端末30から受信し、受信した要求情報に応じて複数の個別データ18の端末30への送信の制御をするようにしてもよい(ポーリング方式ともいう)。ポーリング方式では、端末30が、中継装置10からデータを取得するタイミングを制御できる利点がある。
【0068】
一方、送信部14は、自発的に、言い換えれば、端末30からの要求情報を受信することなく複数の個別データ18の送信の制御をしてもよい(プッシュ方式ともいう)。プッシュ方式では、要求情報の送受信がないので通信システム1内の通信量が比較的小さく抑えられる利点がある。
【0069】
蓄積部15は、抽出部12が抽出した個別データ18を一時的に保持する記憶装置である。蓄積部15は、メモリによって実現され得る。蓄積部15に保持されている個別データ18は、送信部14によって読み出される。
【0070】
図3は、本実施の形態に係る機械20が出力するデータ40の説明図である。
【0071】
図3に示されるように、データ40は、所定のデータ長を有するデータである。ここでは、所定のデータ長をCバイトと表現している。
【0072】
データ40は、機械20が、機械20の種別に応じて予め定められた形式情報に従って個別データを配置することによって、生成されたものである。この形式情報は、中継装置10が保有している形式情報17と同じ情報である。
【0073】
具体的には、データ40には、1バイト目から4バイト分の領域に個別データ41が格納されており、5バイト目から4バイト分の領域に個別データ42が格納されており、9バイト目から4バイト分の領域に個別データ43が格納されている。
【0074】
図4は、本実施の形態に係る項目情報16の説明図である。
【0075】
図4に示されるように、項目情報16は、機械20が出力できる情報の項目を示す情報を、一例としてXML(Extensible Markup Language)形式で示すものである。なお、項目情報16の形式は、XML形式に限られず任意の形式であってよい。項目情報16は、例えば中継装置10と端末30との通信の通信規格がMTConnect規格又はOPC UA規格である場合には、その規格に従ってXML形式で表現される。
【0076】
図4に示されるように、項目情報16は、Axesタグの要素50として、主軸に関する情報を含んでいる。具体的には、Axesタグの要素50として、主軸のX座標、Y座標及びZ座標の位置が示されている。
【0077】
そして、Axesタグの内部に3つのLinearタグが含まれている。idが「X1」であるLinearタグの要素51は、主軸のX座標を示している。idが「Z1」であるLinearタグの要素52は、主軸のZ座標を示している。idが「Y1」であるLinearタグの要素53は、主軸のY座標を示している。
【0078】
このように、項目情報16によって、機械20の種別に応じて、機械20が出力する個別データの項目が示されている。
【0079】
なお、機械20が出力することができる個別データのうちの特定の個別データだけの取得を要求する場合には、取得部11は、項目情報16を参照して、要求に係る特定の個別データを示す特定情報を要求情報に含めることができる。例えば、機械20の主軸のX座標を示す個別データだけの取得を要求する場合には、idが「X1」である個別データを示す特定情報を要求情報に含めるようにする。
【0080】
取得部11は、記憶部13に複数の項目情報16が記憶されている場合、記憶されている複数の項目情報16のうちから、機械20の種別に応じて予め定められた一の項目情報16を選択し、選択した一の項目情報16を用いて、特定情報を要求情報に含めるようにする。
【0081】
図5は、本実施の形態に係る形式情報17の説明図である。
【0082】
図5に示されるように形式情報17は、機械20が出力するデータ40における個別データの位置を示す情報が含まれている。機械20が出力するデータ40は、形式情報17に適合するように個別データが配置されることで生成されたものとなっている。
【0083】
具体的には、形式情報17は、機械20が出力するデータに含まれる個別データの1つが1つのエントリに対応している。形式情報17において、1つのエントリには、インデックス61と、バイト数62と、ID63との各フィールドが対応づけて含まれている。
【0084】
インデックス61は、当該エントリに係る個別データの、機械20が出力するデータにおける位置を示している。より具体的には、インデックス61は、当該エントリに係る個別データが、機械20が出力するデータの先頭から何バイト目に格納されているかを示す情報である。
【0085】
バイト数62は、当該エントリに係る個別データのデータ長を示している。
【0086】
ID63は、当該エントリに係る個別データの種別を示している。
【0087】
例えば、
図5に示される最上段のエントリは、主軸のX座標を示す個別データが、機械20が出力するデータにおいて、先頭から1バイト目から4バイト分の領域に格納されていることを示している。言い換えれば、
図3に示される個別データ41が、主軸のX座標を示す個別データであることが示されている。
【0088】
また、
図5に示される上から2段目のエントリは、主軸のZ座標を示す個別データが、機械20が出力するデータにおいて、先頭から5バイト目から4バイト分の領域に格納されていることを示している。言い換えれば、
図3に示される個別データ42が、主軸のZ座標を示す個別データであることが示されている。
【0089】
図6は、本実施の形態に係る蓄積部15に格納されている個別データ18の説明図である。
図6に示される個別データ18は、機械20が出力したデータ40に含まれていた個別データ41等が、抽出部12によって抽出されて蓄積部15に格納されたものである。
【0090】
図6に示されるように、蓄積部15には複数の個別データ18が格納されている。
図6に示される1つのエントリが1つの個別データ18を示している。
【0091】
各個別データ18は、時刻71と、X1位置72と、Y1位置73と、Z1位置74とを含む。
【0092】
時刻71は、当該エントリに係る個別データ18を受信した時刻を示す情報である。時刻71は、例えば、年月日及び時分秒の形式で「2018/01/01 01:01:01.001」のように表現されている。
【0093】
X1位置72は、当該エントリに係る個別データ18の内容として、その時刻における機械20の主軸のX座標を示す情報である。
【0094】
Y1位置73は、当該エントリに係る個別データ18の内容として、その時刻における機械20の主軸のY座標を示す情報である。
【0095】
Z1位置74は、当該エントリに係る個別データ18の内容として、その時刻における機械20の主軸のZ座標を示す情報である。
【0096】
例えば、
図6に示される1番目のエントリは、「2018/01/01 01:01:01.001」の時刻に、機械20の主軸のX座標、Y座標及びZ座標がそれぞれ、X11、Y11及びZ11であることが示されている。
【0097】
以上のように構成された通信システム1の動作について説明する。
【0098】
図7は、本実施の形態に係る通信システム1、つまり、中継装置10、機械20及び端末30の処理を示すフロー図である。
【0099】
ステップS101において、機械20は、複数の個別データを含む所定のデータ長のデータを出力する。
【0100】
ステップS111において、中継装置10の取得部11は、ステップS101で機械20が出力したデータを取得する。
【0101】
ステップS112において、中継装置10の抽出部12は、ステップS111で取得されたデータから個別データを抽出する。個別データを抽出する際には、記憶部13に格納されている形式情報17を参照し、データのうちのどの位置に何のデータが格納されているかに基づいて、個別データを抽出する。抽出部12は、抽出した個別データを、個別データ18として蓄積部15に格納する。
【0102】
ステップS113において、中継装置10の送信部14は、蓄積部15に蓄積された複数の個別データ18を読み出し、複数の個別データ18に対する演算処理を行うことで新たな個別データ18を生成する。生成された新たな個別データ18は、蓄積部15に格納される。なお、ステップS113は必須の処理ではなく、なされなくてもよい。
【0103】
ステップS114において、中継装置10の送信部14は、個別データ18を端末30に送信する。送信される個別データ18は、ステップS113で生成された新たな個別データ18が生成された場合には、当該新たな個別データ18とすればよい。ステップS113が実行されない場合には、ステップS112で抽出された個別データ18が送信される。
【0104】
ステップS121において、端末30は、ステップS114で送信された個別データ18を受信する。
【0105】
次に、通信システム1全体の通信及び処理の流れを説明する。
【0106】
図8は、本実施の形態に係る中継装置10、機械20等及び端末30の処理を示すシーケンス図である。
図7及び
図8を参照しながら、中継装置10が複数の機械20等からデータを取得して端末30に送信する処理を説明する。また、ここでは、機械20等それぞれが中継装置10からの要求情報に応じてデータを送信するポーリング方式で動作し、かつ、中継装置10が端末30からの要求情報に応じて個別データ18を送信するポーリング方式で動作する場合を例として説明する。
【0107】
図8に示されるステップS111Aにおいて、中継装置10の取得部11は、機械20に要求情報80Aを送信する。機械20は、要求情報80Aを受信したことに応じてデータ40Aを送信する。
【0108】
上記ステップS111Aは、ステップS111に相当する。中継装置10は、ステップS111Aの後に、ステップS111Aで取得したデータ40Aから個別データを抽出して蓄積部15に格納する(ステップS112に相当)。その後、抽出した個別データに対する演算処理が行われてもよい(ステップS113に相当)。
【0109】
ステップS111Bにおいて、中継装置10の取得部11は、機械21に要求情報80Bを送信する。機械21は、要求情報80Bを受信したことに応じてデータ40Bを送信する。なお、個別データの抽出、及び、演算処理については、上記ステップS111Aの場合と同様である。
【0110】
ステップS111Cにおいて、中継装置10の取得部11は、機械22に要求情報80Cを送信する。機械22は、要求情報80Cを受信したことに応じてデータ40Cを送信する。なお、個別データの抽出、及び、演算処理については、上記ステップS111Aの場合と同様である。
【0111】
ステップS114Aにおいて、中継装置10の送信部14は、端末30から要求情報82を受信する。そして、送信部14は、要求情報82を受信したことに応じて蓄積部15から個別データを読み出し、個別データ18Aとして送信する。なお、送信される個別データ18Aは、機械20などから取得されて蓄積された個別データを複数含むものであってもよいし、機械20などから取得されて蓄積された個別データに対する演算処理によって生成されたものであってもよい。
【0112】
なお、
図8では、機械20等それぞれから1回ずつデータを取得する場合を一例として説明したが、機械20等それぞれから複数回ずつデータを取得してもよいし、さらに、機械20等それぞれからデータを取得する回数が異なっていてもよい。
【0113】
図7及び
図8に示された一連の処理により、通信システム1において、中継装置10は、機械20から取得したデータ40に含まれる個別データを形式情報を用いて抽出して、端末30に送信することができる。これにより、中継装置10は、機械20と端末30との通信における通信量の増大を抑制することができる。
【0114】
以上のように、本実施の形態に係る中継装置は、産業機械が出力するデータから、形式情報を用いて当該データに含まれている複数の個別データを抽出することができる。仮に形式情報がなければ、中継装置は、産業機械から個別データを1つずつ取得する必要があり、また、その1つの個別データを取得するために数往復の通信が必要になることもある。さらに、産業機械が出力し得る情報が何であるかが未知である場合には、予め産業機械が出力し得る情報が何であるかを取得するための通信も必要になる。本発明の一態様に係る中継装置によれば、産業機械から複数の個別データを一括で取得できるので、データの取得に必要な通信の通信量の増大を抑制できる。このように、中継装置は、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制することができる。
【0115】
また、中継装置は、産業機械が時間間隔を空けて複数回送信したデータから取得される個別データをまとめて一の通信パケットで送信するので、通信パケットのヘッダに係る通信量を抑制することができる。これにより、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大をより一層抑制することができる。
【0116】
また、中継装置は、産業機械が時間間隔を空けて複数回送信したデータから取得される個別データから新たな個別データ、より具体的には、一定時間における個別データ群から演算処理される情報などを生成して送信する。よって、中継装置は、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制しながら、個別データ単体から直接には得られない新たな情報を提供することができる。
【0117】
また、中継装置は、産業機械からデータを得るタイミングを制御し得る。よって、データの変化の頻度に応じて産業機械からデータを得るように要求情報を送信することにより、産業機械から送信されるデータを削減することができる。
【0118】
また、中継装置は、送信した要求に基づいて産業機械から送信された特定の個別データを含むデータを受信し、その特定の個別データを取得できる。よって、産業機械から取得するデータと、その取得をするタイミングを、より詳細に制御することができる。
【0119】
また、中継装置は、端末から要求情報を受信したときにだけ、個別データを端末に送信し得る。よって、端末が個別データの受信を希望していないときに個別データを送信してしまうことにより通信の通信量が増大することを回避できる。
【0120】
また、中継装置は、複数の種別の産業機械からデータを取得する場合であっても、接続された産業機械に適合した形式情報を用いて適切に個別データを取得する。よって、中継装置は、複数の種別の産業機械に接続されている、または、接続され得る場合でも、産業機械と通信端末との通信における通信量の増大を抑制することができる。
【0121】
また、中継装置は、産業機械の動作、状態、又は、制御に関するデータを、通信量の増大を抑制しながら取得することができる。
【0122】
また、中継装置は、MTConnect規格及びOPC UA規格のうちの一の規格に従う形式情報を、通信量の増大を抑制しながら送信することができる。
【0123】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0124】
以上、本発明の中継装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。