特許第6963823号(P6963823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963823
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20211028BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
   A63F7/02 333Z
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-29359(P2019-29359)
(22)【出願日】2019年2月21日
(65)【公開番号】特開2019-72608(P2019-72608A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2019年5月22日
【審判番号】不服2020-5105(P2020-5105/J1)
【審判請求日】2020年4月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良孝
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
【合議体】
【審判長】 ▲吉▼川 康史
【審判官】 蔵野 いづみ
【審判官】 太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−23570(JP,A)
【文献】 特開2019−134745(JP,A)
【文献】 特開2019−13735(JP,A)
【文献】 特開2018−19838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされた候補設定のうち、いずれかが現状設定として設定される遊技機であって、
当否判定に用いられる情報を保留情報として記憶する記憶手段と、
新たな前記保留情報である対象保留情報の取得直後に、当該対象保留情報が取得されたことを示す保留図柄が新たに表示されることとは別に発生しうる前記現状設定を示唆する保留取得演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記対象保留情報が取得された時点における対応する当否判定結果の報知が完了していない前記保留情報である既取得保留情報の数がN1個である場合に前記保留取得演出が発生する確率P1よりも、前記対象保留情報が取得された時点における前記既取得保留情報の数がN2個である場合に前記保留取得演出が発生する確率P2の方が高く、
前記対象保留情報が取得された時点における前記既取得保留情報の数がN個以上である場合に限り、前記保留取得演出が発生しうることを特徴とする遊技機。
ただし、確率P1、P2≠0であり、N≠0であり、N≦N1<N2である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には新たな入賞が発生したこと(新たな保留が取得されたこと)を契機として発生する入賞時演出(以下、保留取得演出と称することもある)を実行することが可能な遊技機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−104322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保留取得演出を利用して遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定に用いられる情報を保留情報として所定の限界記憶数を限度として記憶する記憶手段と、新たな前記保留情報である対象保留情報の取得直後に発生しうる保留取得演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記保留取得演出が発生する蓋然性は、前記対象保留情報よりも前に取得されて前記記憶手段に記憶されている既取得保留情報の数によって異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、保留取得演出を利用して遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
図3】候補設定と大当たり確率の対応関係を示した図(表)である。
図4】保留取得演出の概要を説明するための図である。
図5】保留取得演出発生抽選の当選確率を示した図(表)である。
図6】保留取得演出の第一具体例を説明するための図(表)である。
図7】保留取得演出の第二具体例を説明するための図(表)である。
図8】保留取得演出の第五具体例を説明するための図である。
図9】特別遊技開始表示による設定示唆を説明するための図である。
図10】特別遊技開始表示の各態様の選択確率を示した図(表)である。
図11】特別遊技開始表示による設定示唆の第四具体例を説明するための図である。
図12】識別図柄による設定示唆を説明するための図である。
図13】リーチはずれ演出におけるリーチ構成図柄選択確率を示した図(表)である。
図14】特定識別図柄によるリーチがチャンスアップとして設定されていることを説明するための図である。
図15】識別図柄による設定示唆の第三具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出は開始されている(当否判定結果を示す識別図柄80(識別図柄群80g)の変動は開始されている)ものの、当否判定結果の報知は完了していない(当否判定結果を示す態様で識別図柄80(識別図柄群80g)の変動が停止していない)情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない(当否判定結果を示す識別図柄80(識別図柄群80g)の変動が開始されていない)情報(以下、変動前保留情報と称することもある)ものに対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
なお、図2以外の一部の図面においては、保留図柄70や識別図柄80の図示を省略する。
【0018】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
【0019】
2)設定
本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる「設定付ぱちんこ」である。ここでいう「設定」とは、遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされたもののそれぞれをいう。「有利な度合」に差をつける手法としては種々考えられる。本実施形態では、当否判定に当選する確率、すなわち大当たり確率に差をつけている。本実施形態では、候補設定1〜6の六種類が設けられている。候補設定1から順に大当たり確率が高くなる(候補設定6が最も大当たり確率が高い)。当然ではあるが、大当たり確率が高いほど大当たりに当選しやすいということであるため、「設定1」が遊技者にとって最も不利な設定であり、「設定6」が遊技者にとって最も有利な設定であるといえる。当該候補設定1〜6のいずれかが現状の設定(以下、現状設定と称する)として遊技店員によりセットされ、遊技店において遊技者に供されることになる(遊技者は現状設定を変更することはできない)。当該現状設定のセット・変更のための構造はどのようなものであってもよいから詳細な説明を省略する。例えば、遊技機1内部に設定キーを挿入することが可能な鍵穴を設け、当該設定キーを操作することで、現状設定をセット・変更することができるようにすることが考えられる。
【0020】
なお、「有利な度合」に差をつける手法は、大当たり確率に限られない。遊技者の利益(出玉の期待値)に影響を及ぼす確率であれば、その他の確率が対象とされていてもよい。例えば、大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率遊技状態に移行する大当たりの割合(いわゆる確率変動割合)が対象とされていてもよい。つまり、確率変動割合が異なる複数種の候補設定が設けられ、当該候補設定のうちのいずれかが現状設定としてセットされる構成とする。
【0021】
3)設定示唆
本実施形態にかかる遊技機1は、現状設定を示唆する機能(設定示唆機能)が発現されるものである。遊技者は、設定示唆機能を享受することで、現状設定を推測しつつ遊技を楽しむことが可能となる。以下、設定示唆機能が発現される演出等について説明する。なお、以下で説明する演出等の全てを実行することが可能な構成とする必要はない。一部のみが実行可能な構成であってもよいし、以下で説明する演出等とは異なる設定示唆機能を発現する演出等を実行することが可能な構成であってもよい。
【0022】
3−1)保留取得演出による設定示唆
保留取得演出は、新たな保留情報が取得された直後に発生する演出である。本実施形態における保留取得演出は、演出対象となる新たな保留情報(以下、対象保留情報と称する)が取得された時、表示領域911に特殊画像10が表示される演出である(図4参照)。具体的には、新たな保留情報が取得されたときに保留取得演出を発生させるか否かの抽選(保留取得演出発生抽選)を行い、当該抽選に当選したときには特殊画像10が表示され(図4(b)参照)、当該抽選に当選しなかったときには特殊画像10が表示されない(図4(c)参照)。
【0023】
保留取得演出は、新たな保留情報が取得された(すなわち、第一始動領域904aに遊技球が入賞した)「直後」に発生する。保留情報が取得された時点と保留取得演出の発生(開始)時点のタイムラグはほとんどないため、保留取得演出が発生したときには、遊技者は保留情報が取得されると略同時(第一始動領域904aへの遊技球の入賞と略同時)に当該保留取得演出が発生したというような印象を受けることとなる。つまり、両時点の間に遊技者が略同時と感じる程度のタイムラグが存在することは許容するということである。
【0024】
本実施形態では、保留取得演出の発生により、現状設定が高設定(遊技者に有利な設定を「高設定」、その逆を「低設定」とする)である蓋然性が高まるような構成とされている。具体的には、図5に示すように、現状設定が高設定であるほど、保留取得演出が発生する確率が高くなるように設定されている。したがって、保留取得演出が発生することは、遊技者にとって喜ばしい事象であり、一定程度遊技を継続したときにおける保留取得演出の発生状況に応じ、現状設定を推測して楽しむことができる。
【0025】
また、保留取得演出が発生する蓋然性は、対象保留情報が取得された時点にて、当該対象保留情報よりも前に取得されて記憶手段に記憶されている既取得保留情報の数によって異なる。なお、既取得保留情報には変動中保留情報を含めるため、最大の保留情報の記憶数は五つ(変動中保留情報一つ、変動前保留情報四つの計五つ)である。対象保留情報が取得された時点において、既取得保留情報が存在しない場合を「保0」、既取得保留情報が一つ存在する場合を「保1」、・・・既取得保留情報が四つ存在する場合を「保4」とする(図4に示したケースは「保3」であるということになる)と、図5に示すように、現状設定がどのようなものであっても、対象保留情報が取得された時点における既取得保留情報の数に応じ、保留取得演出が発生する確率が異なる。つまり、発生することが設定示唆となる保留取得演出の発生確率が一定ではないため、遊技が奥深いものとなる。
【0026】
特に、本実施形態では、図5から分かるように、既取得保留情報の数が多くなるほど、保留取得演出発生抽選に当選する、すなわち保留取得演出が発生する蓋然性が高くなるように設定されている。つまり、保留が貯まっている状態であるほど、保留取得演出発生抽選に当選して保留取得演出が発生しやすいということである。保留取得演出の発生は、現状設定の推測に役立つ(本実施形態では、高設定の期待が高まる)ものであって、遊技者にとっては好ましい事象であるといえる。そのため、保留取得演出の発生を望む遊技者(設定示唆作用を享受したいと考える遊技者)は、記憶手段に記憶される保留情報の数(既取得保留情報の数)をできるだけ多くしようと試みるであろうから、遊技の促進に資することになる。
【0027】
以下、上記保留取得演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0028】
〇第一具体例
上記実施形態では、保留取得演出が発生するほど、現状設定が高設定である蓋然性が高くなるような設定であることを説明したが、保留取得演出が発生した場合には、一または複数の候補設定のうちのいずれかが現状設定であることが確定するような仕様とすることが考えられる。例えば、保留取得演出の発生により「設定4」以上(「設定4」〜「設定6」)が確定するといった仕様や、「設定6」が確定するといった仕様とすることが考えられる。
【0029】
このような仕様とする場合においても、既取得保留情報の数が多くなるほど、保留取得演出が発生する蓋然性が高くなるように設定する。例えば、保留取得演出が発生した場合には「設定4」以上確定とする仕様において、図6に示すように既取得保留情報の数が多くなるほど、保留取得演出発生抽選に当選する確率が高くなるようにする。保留取得演出が発生することは現状設定が「設定1」〜「設定3」の可能性が無くなるということであり、遊技者にとって喜ばしい事象であるといえるため、保留取得演出の発生を願う遊技者(設定示唆作用を享受したいと考える遊技者)は、記憶手段に記憶される保留情報の数(既取得保留情報の数)をできるだけ多くしようと試みるであろうから、遊技の促進に資することになる。
【0030】
また、それ以外にも、保留取得演出の発生により偶数設定(「設定2」、「設定4」、「設定6」)である蓋然性が高まる(または偶数設定であることが確定する)といった仕様としたり、奇数設定(「設定1」、「設定3」、「設定5」)である蓋然性が高まる(または偶数設定であることが確定する)といった仕様とすることが考えられる。
【0031】
〇第二具体例
上記実施形態では、対象保留情報が取得された時点における既取得保留情報の数がいずれであっても(「保0」〜「保4」のいずれであっても)、保留取得演出が発生しうるものであることを説明したが、既取得保留情報の数が所定数以上である場合に限り、保留取得演出が発生しうるようにしてもよい。例えば、図7に示すように、既取得保留情報の数が三つ以上(「保3」または「保4」)である場合に限り保留取得演出が発生しうるようにし、三つ未満(「保0」〜「保2」)である場合には保留取得演出が発生することはない構成とする。すなわち、既取得保留情報の数が三つ以上である状態で対象保留情報が取得された場合に限り、保留取得演出による設定示唆作用が享受できる可能性がある構成とする。このような構成とすることで、保留取得演出の発生を願う遊技者(設定示唆作用を享受したいと考える遊技者)は、既取得保留情報の数が所定数(本例では三つ)以上となる期間ができるだけ長くなるようにするから、遊技の促進に資することになる。
【0032】
なお、上記実施形態にて説明した構成および本例にて説明した構成はいずれも、保留取得演出が発生する可能性がある範囲においては、対象保留情報が取得された時点における既取得保留情報の数が多いほど、保留取得演出が発生する蓋然性が高くなるように構成されている。すなわち、上記実施形態では「保0」〜「保4」の範囲(全範囲)において対象保留情報が取得された時点における既取得保留情報の数が多いほど、保留取得演出が発生する蓋然性が高くなるように構成され、本例では「保3」〜「保4」の範囲(全範囲)において対象保留情報が取得された時点における既取得保留情報の数が多いほど、保留取得演出が発生する蓋然性が高くなるように構成されている。したがって、保留取得演出の発生を願う遊技者(設定示唆作用を享受したいと考える遊技者)は、既取得保留情報の数をできるだけ多くしようと試みるであろうから、遊技の促進に資することになる。
【0033】
〇第三具体例
上記実施形態における保留取得演出は、第一始動領域904aに遊技球が入賞した直後に発生するものであることを説明したが、通常遊技状態にて第一始動領域904aと第二始動領域904bの両方に進入可能な構成とする、すなわち通常遊技状態にて特図1の保留情報と特図2の保留情報の両方を貯めることができる構成としてもよい。このようにすることで、通常遊技状態にて取得できる保留情報の数は最大九つ(変動前保留情報の数でいえば八つ;いわゆる「八個保留」の遊技機)である構成となる。なお、本例のような構成とする場合、所定の領域に進入した遊技球を第一始動領域904aと第二始動領域904bに交互に振り分ける振分装置(周知であるため説明は省略する)を設け、特図1の保留情報と特図2の保留情報が交互に取得されるものとすることが考えられる。
【0034】
このように、特図1の保留情報と特図2の保留情報の両方が取得できる構成、すなわち取得できる保留情報の数が多い設定であることを前提とし、対象保留情報が取得された時点における既取得保留情報の数が多いほど、保留取得演出が発生する蓋然性が高くなるように構成すれば、遊技者は既取得保留情報の数をできるだけ多くしようと試みるであろうから、取得できる保留情報の数を多くしたことの意義があるものとなる。
【0035】
〇第四具体例
上記実施形態における保留取得演出は、特殊画像10が表示される演出であることを説明したが、このような態様に限られるものではない。遊技者が把握可能な演出であればどのようなものであってもよい。例えば、スピーカ60(図1参照)から所定の効果音(特殊音)が出力されることが保留取得演出として設定された構成としてもよい。
【0036】
この場合、新たな保留情報が取得されたときには毎回効果音が出力されるものとし、当該効果音として通常音(保留取得演出が非発生であるときの音)と、特殊音(保留取得演出が発生したことを示す音)が設定された構成としてもよい。つまり、保留取得演出は、通常時に出力される演出要素(通常の画像や音)が出力されず、別の演出要素(特殊な画像や音)が出力されるという演出としてもよい。
【0037】
〇第五具体例
上記実施形態における保留取得演出は、特殊画像10が表示される演出であることを説明した。すなわち特殊画像10が表示されるか否かにより現状設定の示唆がなされるものであることを説明したが、現状設定を示唆する要素は一種類に限られるものではない。例えば、第一特殊画像11(図8(a)参照)と第二特殊画像12(図8(b)参照)が設けられ、第一特殊画像11が表示される保留取得演出が発生した場合よりも、第二特殊画像12が表示される保留取得演出が発生した場合の方が、高設定である蓋然性が高くなるというような構成とすることが考えられる。つまり、保留取得演出が発生するか否かということだけでなく、保留取得演出の態様に応じて設定示唆内容が異なるというような構成としてもよい。
【0038】
〇第六具体例
保留取得演出は、現状設定を示唆する演出として発生するものに限られるわけではない。例えば、対象保留情報に対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)を示唆するものとしてもよい。このような大当たり信頼度を示唆する保留取得演出が発生する蓋然性が、対象保留取得情報が取得された時点における既取得保留情報の数によって異なるものとする。
【0039】
3−2)特別遊技開始表示による設定示唆
上述したように、本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、遊技者にとって好ましい状態であるといえる。本実施形態では、第一特別遊技状態(高確率・時短有)が開始される時(厳密に同時でなくてもよい。開始される直前や直後であってもよい)に当該第一特別遊技状態が開始されることを遊技者に示す表示がなされる。かかる表示が特別遊技開始表示20である。なお、第一特別遊技状態中に大当たりに当選し、当該大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態に移行する時(いわゆる連チャン発生後の第一特別遊技状態移行時)には特別遊技開始表示20は表示されない。通常遊技状態または第二特別遊技状態にて大当たりに当選し、当該当該大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態に移行する時に特別遊技開始表示20が表示される。連チャン発生時にも特別遊技開始表示20が表示されるようにすると、連チャン数が多くなった場合、設定推測が容易になるからである。ただし、いわゆる連チャン発生後の第一特別遊技状態移行時にも特別遊技開始表示20が表示されるようにしてもよい。
【0040】
本実施形態では、第一特別遊技状態は、「〇〇RUSH」と称されるものであるため、特別遊技開始表示20は「〇〇RUSH」という文字を含むものとされる(図9(c)参照)。これにより、特別遊技開始表示20を見た遊技者は、これから「〇〇RUSH」が開始されるということを把握することが可能となる。
【0041】
ただし、特別遊技開始表示20が表示されるよりも前に、第一特別遊技状態への移行が確定したことは遊技者に示されている。本実施形態では、大当たり遊技終了後、特別遊技状態に移行するように設定されているところ、「奇数」の数字を含む識別図柄80の三つ揃いが停止表示されることで当選が報知された大当たり遊技終了後は第一特別遊技状態(高確率・時短有)に、「偶数」の数字を含む識別図柄80の三つ揃いが停止表示されることで当選が報知された大当たり遊技終了後は第二特別遊技状態(低確率・時短有)に移行するように設定されている。つまり、『「奇数」の数字を含む識別図柄80の三つ揃いが停止表示される』ことは、第一特別遊技状態への移行が確定したことを遊技者に示すものであるといえる。時系列に沿っていえば、「奇数」の数字を含む識別図柄80の三つ揃いが停止表示された(図9(a)参照)後、大当たり遊技が実行され(図9(b)参照)、大当たり遊技終了後特別遊技開始表示20が表示された(図9(c)参照)上で、第一特別遊技状態が開始されるという流れとなる。つまり、第一特別遊技状態への移行が確定したことが遊技者に示された後、当該第一特別遊技状態が開始されることを示す特別遊技開始表示20がなされる。
【0042】
「第一特別遊技状態への移行が確定したこと」を遊技者に対して示す手法は識別図柄80によるものに限られない。その他の例としては、大当たり遊技中に実行される演出により示されるものが考えられる。大当たり遊技中に実行される演出の結末が成功結末(遊技者に有利な結末)となることで、大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態に移行するということが示されるという構成とすることが考えられる。その一例として、大当たり遊技中に味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦い、味方側キャラクタが勝利するという結末が成功結末として設定された構成が挙げられる。このような構成とする場合には、「成功結末」により、「第一特別遊技状態への移行が確定したこと」が遊技者に対して示されているといえる。
【0043】
特別遊技開始表示20としては複数種の態様が設定されている。第一特別遊技状態が開始される時点においては、当該複数種の態様のうちのいずれかが実際に表示される。本実施形態では、第一表示態様〜第四表示態様の四種類が設定されている。本実施形態では、「〇〇RUSH」という文字を構成する「色」の違いが、各表示態様の差である。具体的には第一表示態様は「白」であり、第二表示態様は「青」であり、第三表示態様は「赤」であり、第四表示態様は「虹」である(図9(c)参照)。換言すれば、当該「色」以外の構成要素は全ての表示態様について同じである。
【0044】
当該特別遊技開始表示20として複数種の表示態様のうちのいずれが表示されるかが、現状設定を示唆するものとなる。図10に示すように、本実施形態では、第一表示態様(白)、第二表示態様(青)、第三表示態様(赤)、第四表示態様(虹)(最も高い)の順で、表示されたときの高設定期待度が高い構成(遊技者にとって喜ばしい態様)とされている。特に、第四表示態様(虹)は、表示されることで現状設定が「設定6」であることが確定するような仕様である。
【0045】
遊技機の演出(各種表示)として、当否判定結果に関するものが種々実行されるところ、当否判定結果に関係しない演出について、当否判定結果に関係しているのではないかと遊技者が勘違いしてしまうおそれは低減させるべきである。上述したように、特別遊技開始表示20の態様がその都度変化しうることは、当該態様が当否判定結果に関することを示唆している(例えば、いわゆる保留内連チャンが発生する蓋然性を示唆している)と遊技者が勘違いしてしまうおそれが高いとも考えられる。特に、本実施形態では、特別遊技開始表示20の態様の差が「色」によるものである。「色」は当否判定結果に関することを示唆するのに一般的に用いられるものであるから、遊技者が勘違いしてしまうおそれがさらに高まるといえる。
【0046】
しかし、本実施形態では、「第一特別遊技状態への移行が確定したこと」が識別図柄80により遊技者に対して示された後、特別遊技開始表示20が表示されるのであるから、第一特別遊技状態に移行することが分かった上で特別遊技開始表示20を見るという流れになる。したがって、特別遊技開始表示20の態様が、当否判定結果に関係しているのではないかと遊技者が勘違いしてしまうおそれは低い。特別遊技開始表示20の態様が、現状設定を示唆しているのではないかと遊技者が考える蓋然性も高くなる。
【0047】
以下、上記特別遊技開始表示20に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0048】
〇第一具体例
特別遊技開始表示20の態様が現状設定を示唆するものであることを、遊技者に説明または暗示するようにする。特別遊技開始表示20は、第一特別遊技状態の開始を示すものであって表示される時間がそれほど長いものではないし、単なる遊技の進行を説明するための表示に過ぎないと考えてしまう遊技者が一定程度存在すると思われる。
【0049】
このような遊技者をできるだけ少なくするため、遊技中や待機状態中『「〇〇RUSH」の色は設定示唆しているらしい』といった表示がなされる事象が発生しうるようにして、特別遊技開始表示20の態様が現状設定を示唆するものであること遊技者に説明することが考えられる。別例としては、遊技中や待機状態中に『「〇〇RUSH」の色に注目!』といった表示がなされる事象が発生しうるようにして、特別遊技開始表示20の態様が現状設定を示唆するものであること遊技者に暗示することも考えられる。
【0050】
〇第二具体例
特別遊技開始表示20が表すものを第一特別遊技状態(高確率・時短有)としたのはあくまで一例である。遊技者にとって好ましい状態に移行することを示す表示であり、当該状態への移行が確定したことが、特別遊技開始表示20が表示されるよりも前に示されていればよい。例えば、大当たり遊技(大入賞口が一または複数回開放されるラウンド遊技から構成されるもの)が開始されることを示す表示を特別遊技開始表示20としてもよい。大当たりに当選したときは、識別図柄80(例えば同じ識別図柄80の三つ揃い)により大当たり当選が示された上で、大当たり遊技が開始されることを示す表示(例えば「大当たり」という文字を含む表示)がなされる。当該大当たり遊技が開始されることを示す表示の態様により、現状設定の示唆がなされるものとする。
【0051】
〇第三具体例
特別遊技開始表示20の態様として、通常態様(デフォルトの態様)と、高設定の期待度が高まる特殊態様が設定された構成とする。つまり、基本的には通常態様の特別遊技開始表示20が表示されるものの、高設定であるほど特殊態様の特別遊技開始表示20が表示される確率が高くなる構成とする。このようにすれば、上記実施形態のように複数種の態様のうちのいずれが表示されるかという観点で設定推測を行うのではなく、通常態様とは異なる特殊態様が表示される確率(頻度)により設定推測を行うものとなる。
【0052】
〇第四具体例
上記実施形態では、特別遊技開始表示20の態様により現状設定が示唆されることを説明したが、「態様」とは異なる要素により現状設定が示唆されるものとすることもできる。例えば、特別遊技開始表示20が表示される位置(表示領域911における位置)に応じ、現状設定が示唆されるものとする。特別遊技開始表示20が表示されることがある位置として複数の候補位置が設定されており、現状設定を踏まえ、当該候補位置のいずれかが実際に表示される位置として選択される(現状設定を踏まえた抽選により決定される)ものとする(図11参照)。
【0053】
他の例としては、特別遊技開始表示20を動作する(表示される位置や大きさ等が経時的に変化する)ものとし、当該動作態様により現状設定が示唆される構成とすることが考えられる。
【0054】
3−3)識別図柄による設定示唆
識別図柄80を用いた演出により現状設定の示唆がなされる。候補設定には、それぞれを互いに区別するための文字である「数字」が対応づけられている。すなわち、「設定1」、「設定2」・・・「設定6」といったように、「数字」により各設定が区別される。以下、当該候補設定(現状設定)を表す数字を「設定数字」と称することもある。
【0055】
一方、識別図柄80も「数字」を含む。すなわち、識別図柄80の異同は、数字が一致するかどうかによって区別されるものであるから、各図柄は「数字」を含むものである。以下、当該識別図柄80が含む数字を「図柄数字」と称することもある。本実施形態における識別図柄80は、「1」〜「9」のいずれかを含むものである。つまり、「図柄数字」として、「設定数字」として用いられる数字の全種類(「1」〜「6」の全て)が存在するということである。
【0056】
このような構成であることを前提として、識別図柄80を用いて現状設定が示唆される。本実施形態では、リーチ成立後、当該当否判定結果がはずれであることが報知されるリーチはずれ演出(図12参照)により現状設定が示唆される。「リーチ」自体は公知であるため詳細な説明を省略するが、本実施形態では三つの識別図柄80のうちの二つが同じ識別図柄80となること(残り一つの識別図柄80がリーチを構成する二つの識別図柄80(以下、リーチ構成図柄と称することもある)と同じとなれば大当たりとなる状態)をいうものとする。また、本実施形態におけるリーチはずれ演出は、リーチ成立(図12(b)参照)後、いわゆるスーパーリーチ演出に発展せずに、当否判定結果がはずれであることが報知される(図12(c)参照)もの(いわゆるノーマルリーチはずれ)をいう。ただし、スーパーリーチ演出に発展した上で当否判定結果がはずれとなるケースを含めたもの(すなわち、リーチ成立後、大当たりとならなかったもの全て)をリーチはずれ演出としてもよい。
【0057】
図13に示すように、現状設定が「設定N」(Nは「設定数字」)である場合には、「図柄数字」がNであるリーチ構成図柄のリーチはずれ演出が発生する蓋然性が、その他の識別図柄80がリーチ構成図柄であるリーチはずれ演出よりも発生する蓋然性が高くなるように設定されている。つまり、リーチ構成図柄の数字から、現状設定を推測することが可能となる。例えば、遊技者にとって最も好ましい「設定6」は、他の設定に比べて、「6」の識別図柄80のリーチはずれ演出(図12に示した演出が「6」の識別図柄80のリーチはずれ演出である)が発生しやすいということができる。より具体的にいえば、従来であれば「6」の識別図柄80のリーチはずれ演出が発生することと他の識別図柄80のリーチはずれ演出が発生することは、「はずれ」であることには変わらないもの(同価値であるもの)であったが、本実施形態では「6」の識別図柄80のリーチはずれ演出が発生することは、「6」の識別図柄80のリーチはずれ演出が発生することよりも遊技者にとって喜ばしいものであるといえる。
【0058】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、識別図柄80が含む文字が、「設定」を表す文字に関係する面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0059】
特に、本実施形態では、現状設定を表す数字(設定数字)と同じ数字(図柄数字)を含む識別図柄80を用いた演出(リーチはずれ演出)ほど発生しやすく構成されているから、より高設定に対応する数字を含む識別図柄80ほど、遊技者が注目する(遊技者にとって価値が高い)ことになるという、従来にない斬新な遊技性を実現することが可能である。
【0060】
また、本実施形態では、リーチが成立した場合、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が、他の識別図柄80よりも高い特定識別図柄81が設定されている。本実施形態における特定識別図柄81は「7」の識別図柄80である。つまり「7」の識別図柄80によりリーチが成立することは、他の識別図柄80によりリーチが成立した場合よりも当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高く(「7」の識別図柄80によりリーチが成立したときには大当たりが確定する構成であってもよい)、遊技者にとってチャンス(チャンスアップ演出)である(図14参照)。
【0061】
このような構成であることを前提とすると、「7」の識別図柄80によるリーチはずれ演出を自在に発生させることはできない。「7」の識別図柄80によるリーチはずれ演出が発生する分大当たり信頼度の低下を招き、「7」の識別図柄80によるリーチをチャンスアップ演出として維持できなくなるからである。したがって、本実施形態では、「7」の識別図柄80によるリーチをチャンスアップ演出として機能させるために、図13に示すようにリーチはずれ演出について「7」の識別図柄80が選択される確率を他の識別図柄80よりも低く設定している。かかる設定としても、「7」の識別図柄80が含む「7」の数字は、いずれの設定数字(「1」〜「6」の数字)とも一致せず、「7」の識別図柄80が設定示唆に利用されることはないから、設定示唆を行うに際しての影響はない。つまり、リーチ成立が他の識別図柄80よりも「チャンス」である特定識別図柄81を設定するのであれば、本実施形態のように特定識別図柄81が含む数字(本実施形態では「7」)は、いずれの候補設定に対応づけられた数字(設定数字)とも異なるようにすればよい。
【0062】
以下、上記識別図柄80による設定示唆に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0063】
〇第一具体例
上記実施形態における設定示唆は、「数字」(図柄数字、設定数字)によるものであることを説明したが、これは候補設定の区別が数字によってなされていることによるものであり、必ず数字に限定されるわけではない。例えば、設定A、設定B、設定Cといったように候補設定が区別される構成であれば、A、B、Cのそれぞれの文字を含む識別図柄80を用意し、当該識別図柄80を用いた設定示唆を行えばよい。つまり、設定を区別する「文字」と、識別図柄80が含む「文字」が対応関係にあればよい(完全一致に限られない。「1」と「一」(漢数字)といったように、候補設定の文字と識別図柄80の文字の対応関係が理解できるものであればよい)。
【0064】
〇第二具体例
上記実施形態では、リーチはずれ演出により設定示唆がなされることを説明したが、識別図柄80(「1」〜「6」の識別図柄80)を用いた演出であればこれに限られるわけではない。例えば、ある識別図柄80が他の識別図柄80に比して大きく表示される拡大演出が発生しうるものとする。当該拡大演出が発生した場合、当該拡大演出の対象となった識別図柄80の数字と同じ数字の候補設定が現状設定として設定されている蓋然性が高くなるように構成されるものとする。
【0065】
〇第三具体例
複数種の識別図柄80を用いた演出により設定示唆がなされるようにしてもよい。例えば、当否判定結果がはずれであることが報知される場合において、最終的な識別図柄80の組み合わせ(はずれを示す組み合わせ)が順目となる場合には、当該順目となる組み合わせにより設定示唆がなされるものとする。具体的には、最終的な識別図柄80の組み合わせが「4」「5」「6」であれば「設定4」〜「設定6」の蓋然性が高くなる(図15参照)といったように、最終的に「順目」となる組み合わせを構成する識別図柄80の数字が、対応する候補設定が現状設定として設定されている蓋然性が高くなることを示唆する構成とする。
【0066】
別例としては、最終的な識別図柄80の組み合わせが「1」「3」「5」であれば「設定1」「設定3」「設定5」(奇数設定)の蓋然性が高くなる、「2」「4」「6」であれば「設定2」「設定4」「設定6」の蓋然性が高くなるといったように、最終的な識別図柄80の組み合わせが「1」「3」「5」の奇数組み合わせや「2」「4」「6」の偶数組み合わせとなる頻度により、現状設定の「偶奇」を推測させるような構成も考えられる。
【0067】
〇第四具体例
上記実施形態では、候補設定(「設定1」〜「設定6」)の全てについて、同じ数字を含む識別図柄のリーチはずれ演出の発生により対応する候補設定が現状設定である蓋然性が高まることを説明したが、一部の候補設定にのみ当該法則が適用できる構成としてもよい。例えば、遊技者にとって現状設定が低設定であることは喜ばしくないことから、「設定4」〜「設定6」について(「設定1」〜「設定3」を除外して)、同じ数字を含む識別図柄のリーチはずれ演出の発生により対応する候補設定が現状設定である蓋然性が高まるよう構成してもよい(「4」〜「6」の識別図柄が設定示唆に用いられることになる)。
【0068】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0069】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0070】
・手段1−1
当否判定に用いられる情報を保留情報として所定の限界記憶数を限度として記憶する記憶手段と、新たな前記保留情報である対象保留情報の取得直後に発生しうる保留取得演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記保留取得演出が発生する蓋然性は、前記対象保留情報よりも前に取得されて前記記憶手段に記憶されている既取得保留情報の数によって異なることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、保留取得演出の発生する蓋然性が既取得保留情報の数によって異なるという面白みのある演出を実行することが可能である。
【0071】
・手段1−2
前記対象保留情報が取得された時点における前記既取得保留情報の数が所定数以上である場合に限り、前記保留取得演出が発生しうることを特徴とする手段1−1に記載の遊技機。
このようにすることで、保留取得演出を見たいと考える遊技者は、既取得保留情報の数を所定数以上とすることを試みるから、遊技の促進に資することになる。
【0072】
・手段1−3
前記対象保留情報が取得された時点における前記既取得保留情報の数が多いほど、前記保留取得演出が発生する蓋然性が高いことを特徴とする手段1−1または手段1−2に記載の遊技機。
このようにすることで、保留取得演出を見たいと考える遊技者は、既取得保留情報の数を多くすることを試みるから、遊技の促進に資することになる。
【0073】
・手段1−4
遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされた候補設定のうち、いずれかが現状設定として設定される遊技機であって、前記保留取得演出は、前記現状設定を示唆する演出であることを特徴とする手段1−1から手段1−3のいずれかに記載の遊技機。
このように保留取得演出が現状設定を示唆するものとすることで、保留取得演出が発生することの価値が高まることになる。特に、手段1−2や1−3のようにする場合、さらに遊技の促進が図られることになる。
【0074】
・手段1−5
前記保留取得演出の発生により、前記現状設定が遊技者にとって有利なものである蓋然性が高まることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
このようにすることで、保留取得演出が発生するほど、現状設定が遊技者にとって有利なもの(高設定)である蓋然性が高くなるくという遊技性を実現することが可能である。特に、手段1−2や1−3のようにする場合、さらに遊技の促進が図られることになる。
【0075】
・手段2−1
遊技者にとって好ましい状態である特別遊技状態への移行が確定したことが示された後、当該特別遊技状態が開始されることを示す特別遊技開始表示を表示する表示手段と、遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされた候補設定のうち、いずれかを現状設定として設定する有利度合設定手段と、を備え、前記特別遊技開始表示を用いて、前記現状設定が示唆されることを特徴とする遊技機。
・手段2−2
前記特別遊技開始表示として複数種の態様が設定されており、当該複数種の態様のうちのいずれが表示されるかにより、前記現状設定が示唆されることを特徴とする手段2−1に記載の遊技機。
・手段2−3
前記特別遊技開始表示の複数種の態様は、互いに色が異なるものであることを特徴とする手段2−2に記載の遊技機。
上記遊技機によれば、特別遊技開始表示を用いた現状設定の示唆が、当たり信頼度等の示唆と勘違いしてしまうおそれが低減される。
【0076】
・手段3−1
遊技者にとって有利な度合が異なるように複数段階に区分けされた候補設定のうち、いずれかを現状設定として設定する有利度合設定手段と、当否判定結果を報知する複数種の識別図柄を表示する表示手段と、を備え、前記候補設定のそれぞれには互いに区別するための文字が対応づけられており、前記識別図柄が含む文字を用い、いずれの前記候補設定が前記現状設定として設定されているかを示唆する演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、識別図柄が含む文字が、「設定」を表す文字に関係する面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0077】
・手段3−2
ある文字を含む前記識別図柄を用いた演出の発生により、当該ある文字に対応づけられた前記候補設定が前記現状設定として設定されている蓋然性が高くなることを特徴とする手段3−1に記載の遊技機。
このようにすることで、遊技者にとって好ましい「設定」に対応する文字を含む識別図柄ほど、遊技者が注目する(遊技者にとって価値が高い)ことになるという、従来にない斬新な遊技性を実現することが可能である。
【0078】
・手段3−3
当否判定結果を報知する演出として、リーチ成立後、当該当否判定結果がはずれであることが報知されるリーチはずれ演出が発生した場合、当該リーチを構成する識別図柄が含む文字に対応づけられた前記候補設定が前記現状設定として設定されている蓋然性が高くなることを特徴とする手段3−2に記載の遊技機。
このようにすることで、リーチを構成する識別図柄の種類(識別図柄が含む文字)にも注目させることが可能である。
【0079】
・手段3−4
前記識別図柄として、リーチが成立した場合に当否判定結果が当たりとなる蓋然性が他の識別図柄よりも高い特定識別図柄が設定されており、前記特定識別図柄が含む文字は、いずれの前記候補設定に対応づけられた文字とも異なることを特徴とする手段3−3に記載の遊技機。
このようにすることで、リーチ発生時に当たり信頼度が高くなる特定識別図柄を、現状設定の示唆に用いる必要がなくなる。つまり、現状設定の示唆とは関係なく、特定識別図柄のリーチ成立によるチャンスアップ演出を実行することが可能となり、制御が容易である。
【符号の説明】
【0080】
1 遊技機
10 特殊画像
20 特別遊技開始表示
70 保留図柄
80 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15