特許第6963832号(P6963832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963832
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】四ポート三位置切換弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/22 20060101AFI20211028BHJP
   F16K 11/044 20060101ALI20211028BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20211028BHJP
   F16K 11/24 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   F16K11/22 Z
   F16K11/044 Z
   F16K31/06 305L
   F16K11/24 Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-130721(P2019-130721)
(22)【出願日】2019年7月12日
(65)【公開番号】特開2021-14899(P2021-14899A)
(43)【公開日】2021年2月12日
【審査請求日】2019年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591195488
【氏名又は名称】廣瀬バルブ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】井口 務
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 幸良
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−112177(JP,U)
【文献】 特開2016−064335(JP,A)
【文献】 特開2009−138938(JP,A)
【文献】 特開2018−071095(JP,A)
【文献】 特開2019−002451(JP,A)
【文献】 特開2013−087831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22
F15B 21/14
F16K 11/00−11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ポート、第三ポート及び第二ポートが接続する第一流路と、
第一流路に沿って伸長し、第一流路に沿ってON位置とOFF位置との間で進退動作する第一弁棒と、
第一流路における第一ポートと第三ポートとの間の所定箇所に設けられた第一ポート側弁座と、
第一弁棒に固定されて第一弁棒とともに進退動作し、第一弁棒がON位置をとるときに第一ポート側弁座から離反して第一ポートと第三ポートとを連通せしめ、第一弁棒がOFF位置をとるときに第一ポート側弁座に着座して第一ポートと第三ポートとの連通を遮断する第一ポート側弁体と、
第一流路における第三ポートと第二ポートとの間の所定箇所に設けられた第二ポート側弁座と、
第一弁棒に固定されて第一弁棒とともに進退動作し、第一弁棒がOFF位置をとるときに第二ポート側弁座から離反して第三ポートと第二ポートとを連通せしめ、第一弁棒がON位置をとるときに第二ポート側弁座に着座して第三ポートと第二ポートとの連通を遮断する第二ポート側弁体と、
第四ポートが接続する第二流路と、
第一ポートと第二流路とを接続する第一連絡路と、
第二ポートと第二流路とを接続する第二連絡路と、
第二流路に沿って伸長し、第二流路に沿ってON位置とOFF位置との間で進退動作する第二弁棒と、
第二流路における第一連絡路と第四ポートとの間の所定箇所に設けられた第一連絡路側弁座と、
第二弁棒に固定されて第二弁棒とともに進退動作し、第二弁棒がON位置をとるときに第一連絡路側弁座から離反して第一ポートと第四ポートとを連通せしめ、第二弁棒がOFF位置をとるときに第一連絡路側弁座に着座して第一ポートと第四ポートとの連通を遮断する第一連絡路側弁体と、
第二流路における第四ポートと第二連絡路との間の所定箇所に設けられた第二連絡路側弁座と、
第二弁棒に固定されて第二弁棒とともに進退動作し、第二弁棒がOFF位置をとるときに第二連絡路側弁座から離反して第四ポートと第二ポートとを連通せしめ、第二弁棒がON位置をとるときに第二連絡路側弁座に着座して第四ポートと第二ポートとの連通を遮断する第二連絡路側弁体と
を具備し、
弁箱の内部に互いに平行に延伸する第一流路及び第二流路が存在し、第一弁棒が第一流路に、第二弁棒が第二流路にそれぞれ挿入され、
第一ポート、第二ポート及び第三ポートと第一流路との間の各接続路がそれぞれ、弁箱の内部で第一流路の延伸方向に対して直交または交差する方向に沿って延伸し、同方向から第一流路に交わるとともに弁箱の外側面に開口し、
第四ポートと第二流路との間の接続路が、弁箱の内部で第二流路の延伸方向に対して直交または交差する方向に沿って延伸し、同方向から第二流路に交わるとともに弁箱の外側面に開口し、
第一連絡路及び第二連絡路がそれぞれ、弁箱の内部で第一流路及び第二流路の延伸方向に対して直交または交差する方向に沿って延伸し、同方向から第一流路に交わり、かつ同方向から第二流路に交わる四ポート三位置切換弁。
【請求項2】
第一弁棒をON位置とOFF位置との間で進退動作させる第一ソレノイドと、
第二弁棒をON位置とOFF位置との間で進退動作させる第二ソレノイドと
を具備する請求項記載の四ポート三位置切換弁。
【請求項3】
第三ポートに流入しようとする流れを阻止するとともに、第四ポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けたときには開弁して第三ポートに流入した後第三ポート以外の他のポートに向かう流れを許容するパイロットチェック弁が付設された請求項1または2記載の四ポート三位置切換弁。
【請求項4】
第四ポートに流入しようとする流れを阻止するとともに、第三ポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けたときには開弁して第四ポートから第四ポート以外の他のポートに向かう流れを許容するパイロットチェック弁が付設された請求項記載の四ポート三位置切換弁。
【請求項5】
第一ポートと第二ポートとを短絡する開閉制御可能なアンロード弁が付設された請求項1、2、3または4記載の四ポート三位置切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧機械または装置等に用いられる四ポート三位置切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な四ポート三位置切換弁(例えば、下記特許文献を参照)は、筒状をなし流体が流通する流路内に挿入されたスプールが当該流路に沿って摺動する構造のスプール弁である。スプール弁の流路の周壁には、ポート数と同数の絞り部となる貫通孔が開設される。そして、スプールに形成され周壁に内接するランド(拡径部)によりその絞り部を閉じることで、各ポートを通じた流体の流れを規制する。四ポート三位置切換弁は、P、T、A及びBの四つの接続ポートを有しており、スプールが中央、左及び右の三位置の何れかに移動して、流体の流れの方向を制御する。スプールは、ソレノイドを使用して駆動することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−089777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプール弁における周壁の内周とスプールのランドの外周との間には、若干ながら隙間が介在している。それ故、ランドが絞り部の全体を閉塞していたとしても、閉止しているはずのポートから、または閉止しているポートに向けて流体が漏れ出ることは避けられない。
【0005】
油圧機械または装置では、作動流体即ち圧力媒体として油または油性液体を用いる。油の分子は比較的大きく、作動流体の漏れ量は僅少で済み、大きな問題は生起しない。
【0006】
しかしながら、作動流体として水または水性液体を用いる水圧機械または装置ではそうはいかない。水分子は小さいため、その漏れ量は無視できない程度に多くなる。従って、油圧機械用の四ポート三位置切換弁を水圧機械または装置にそのまま流用すると、作動流体の漏れにより水圧機械または装置が適切に作動しなくなるリスクが生じる。その上、水は粘性が低く潤滑性に乏しいことから、スプール弁の周壁の内周とランドの外周との摩擦による損耗も起こしやすい。
【0007】
本発明は、閉止するべきポートからの、または閉止するべきポートに向けた流体の漏出が少ない四ポート三位置切換弁を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、第一ポート、第三ポート及び第二ポートが接続する第一流路と、第一流路に沿って伸長し、第一流路に沿ってON位置とOFF位置との間で進退動作する第一弁棒と、第一流路における第一ポートと第三ポートとの間の所定箇所に設けられた第一ポート側弁座と、第一弁棒に固定されて第一弁棒とともに進退動作し、第一弁棒がON位置をとるときに第一ポート側弁座から離反して第一ポートと第三ポートとを連通せしめ、第一弁棒がOFF位置をとるときに第一ポート側弁座に着座して第一ポートと第三ポートとの連通を遮断する第一ポート側弁体と、第一流路における第三ポートと第二ポートとの間の所定箇所に設けられた第二ポート側弁座と、第一弁棒に固定されて第一弁棒とともに進退動作し、第一弁棒がOFF位置をとるときに第二ポート側弁座から離反して第三ポートと第二ポートとを連通せしめ、第一弁棒がON位置をとるときに第二ポート側弁座に着座して第三ポートと第二ポートとの連通を遮断する第二ポート側弁体と、第四ポートが接続する第二流路と、第一ポートと第二流路とを接続する第一連絡路と、第二ポートと第二流路とを接続する第二連絡路と、第二流路に沿って伸長し、第二流路に沿ってON位置とOFF位置との間で進退動作する第二弁棒と、第二流路における第一連絡路と第四ポートとの間の所定箇所に設けられた第一連絡路側弁座と、第二弁棒に固定されて第二弁棒とともに進退動作し、第二弁棒がON位置をとるときに第一連絡路側弁座から離反して第一ポートと第四ポートとを連通せしめ、第二弁棒がOFF位置をとるときに第一連絡路側弁座に着座して第一ポートと第四ポートとの連通を遮断する第一連絡路側弁体と、第二流路における第四ポートと第二連絡路との間の所定箇所に設けられた第二連絡路側弁座と、第二弁棒に固定されて第二弁棒とともに進退動作し、第二弁棒がOFF位置をとるときに第二連絡路側弁座から離反して第四ポートと第二ポートとを連通せしめ、第二弁棒がON位置をとるときに第二連絡路側弁座に着座して第四ポートと第二ポートとの連通を遮断する第二連絡路側弁体とを具備する四ポート三位置切換弁を構成した。第一ポート側弁体、第二ポート側弁体、第一連絡路側弁体及び第二連絡路側弁体は何れも、ポペット弁体とすることが好ましい。また、弁箱の内部に互いに平行に延伸する第一流路及び第二流路が存在し、第一弁棒が第一流路に、第二弁棒が第二流路にそれぞれ挿入され、第一ポート、第二ポート及び第三ポートと第一流路との間の各接続路がそれぞれ、弁箱の内部で第一流路の延伸方向に対して直交または交差する方向に沿って延伸し、同方向から第一流路に交わるとともに弁箱の外側面に開口し、第四ポートと第二流路との間の接続路が、弁箱の内部で第二流路の延伸方向に対して直交または交差する方向に沿って延伸し、同方向から第二流路に交わるとともに弁箱の外側面に開口し、第一連絡路及び第二連絡路がそれぞれ、弁箱の内部で第一流路及び第二流路の延伸方向に対して直交または交差する方向に沿って延伸し、同方向から第一流路に交わり、かつ同方向から第二流路に交わる構造を採用することができる。
【0009】
本発明に係る四ポート三位置切換弁では、第一弁棒及び第二弁棒がともにOFF位置をとるとき、第三ポート(例えば、Aポート)及び第四ポート(例えば、Bポート)が第二ポート(例えば、Tポート)に連通し、第一ポート(例えば、Pポート)がこれらポートから隔絶される。そして、第一弁棒がON位置をとり、第二弁棒がOFF位置をとるときに、第一ポートが第三ポートに連通し、第四ポートが第二ポートに連通する。また、第一弁棒及び弁体がOFF位置をとり、第二弁棒及び弁体がON位置をとるときに、第一ポートが第四ポートに連通し、第三ポートが第二ポートに連通する。
【0010】
本切換弁は、特に、水(水道水、工業用水、農業用水やその他の清水を含む)、水溶液または水性液体の流通を制御するために好適に用いることができる。
【0011】
本切換弁をソレノイドにより駆動する場合、使用するソレノイドの数は二個でよい。即ち、第一弁棒をON位置とOFF位置との間で進退動作させる第一ソレノイドと、第二弁棒をON位置とOFF位置との間で進退動作させる第二ソレノイドとを具備するものとする。
【0012】
基本的には第三ポートに流入しようとする流れを阻止するとともに、第四ポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けたときには開弁して第三ポートに流入した後第三ポート以外の他のポートに向かう流れを許容するパイロットチェック弁が付設されていれば、第三ポートから他のポートへの逆流を適切に抑制しながら、圧力損失の増大を回避することができる。
【0013】
さらに、基本的には第四ポートに流入しようとする流れを阻止するとともに、第四ポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けたときには開弁して第四ポートに流入した後第四ポート以外の他のポートに向かう流れを許容するパイロットチェック弁が付設されていれば、第一弁棒及び弁体、並びに第二弁棒及び弁体がともにOFF位置をとるときに全てのポートが遮断される、いわゆるオールポートブロック型の切換弁となる。
【0014】
第一ポートと第二ポートとを短絡する開閉制御可能なアンロード弁が付設されていれば、液圧機械または装置等の起動時において、アンロード弁を開弁して無負荷運転を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、閉止するべきポートからの、または閉止するべきポートに向けた流体の漏出が少ない四ポート三位置切換弁を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における四ポート三位置切換弁の正断面図。
図2】同実施形態の切換弁の側断面図。
図3】同実施形態の切換弁の正断面図。
図4】同実施形態の切換弁の正断面図。
図5】同実施形態の切換弁の等価回路図。
図6】同実施形態の切換弁の等価回路図。
図7】同実施形態の切換弁の等価回路図。
図8】同実施形態の切換弁に付設できるアンロード弁及びリリーフ弁一体型の弁の正断面図。
図9】同実施形態の切換弁にアンロード弁及びリリーフ弁一体型の弁、並びにパイロットチェック弁を付設したユニットの等価回路図。
図10】同実施形態の切換弁の第三ポート及び第四ポートの双方にパイロットチェック弁を付設したユニットの等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の四ポート三位置切換弁1は、流体、特に水、水溶液または水性液体の流れを制御する方向切換弁1であり、作動流体または圧力媒体として水等を用いる水圧機械または装置等に適用することができる。
【0018】
図1ないし図4に、本実施形態の四ポート三位置切換弁1の内部構造を示す。本切換弁1の弁箱10の内部には、縦方向に延伸する第一流路11と第二流路12とが並立して存在している。第一流路11には、第一ポートたるPポート、第二ポートたるTポート及び第三ポートたるAポートの三つのポートが接続する。P、T、Aの各ポートと第一流路11との間の接続路13、14、15は、弁箱10の内部で、第一流路11の延伸方向に対して直交または交差する横方向に沿って延伸し、同方向から第一流路11に交わるとともに弁箱10の外側面に開口している。Pポートの接続路13と第一流路11との交差箇所は、第一流路11の上端近傍であり、Aポートの接続路15と第一流路11との交差箇所よりも高位置にある。Tポートの接続路14と第一流路11との交差箇所は、第一流路11の下端近傍であり、Aポートの接続路15と第一流路11との交差箇所よりも低位置にある。Aポートの接続路15と第一流路11との交差箇所は、第一流路11の上端と下端の中間にある。
【0019】
第二流路12には、第四ポートたるBポートが接続する。Bポートと第二流路12との間の接続路18は、弁箱10の内部で、第二流路12の延伸方向に対して直交または交差する横方向に沿って延伸し、同方向から第二流路12に交わるとともに弁箱10の外側面に開口している。Bポートの接続路18と第二流路12との交差箇所は、第二流路12の上端と下端の中間にある。
【0020】
上記の流路11、12、13、14、15、18に加えて、弁箱10の内部に、第一流路11と第二流路12とを接続する二つの連絡路16、17を形成している。そのうち一方の第一ポート側連絡路たるP連絡路16は、第一流路11及び第二流路12の延伸方向に対して直交または交差する横方向に沿って延伸し、同方向から第一流路11に交わり、かつ同方向から第二流路12に交わる。P連絡路16と第一流路11との交差箇所は、第一流路11の上端近傍であり、Aポートの接続路15と第一流路11との交差箇所よりも高位置にある。P連絡路16と第二流路12との交差箇所は、第二流路12の上端近傍であり、Bポートの接続路18と第二流路12との交差箇所よりも高位置にある。
【0021】
他方の第二ポート側連絡路たるT連絡路17もまた、第一流路11及び第二流路12の延伸方向に対して直交または交差する横方向に沿って延伸し、同方向から第一流路11に交わり、かつ同方向から第二流路12に交わる。T連絡路17と第一流路11との交差箇所は、第一流路11の下端近傍であり、Aポートの接続路15と第一流路11との交差箇所よりも低位置にある。T連絡路17と第二流路12との交差箇所は、第二流路12の下端近傍であり、Bポートの接続路18と第二流路12との交差箇所よりも低位置にある。
【0022】
本切換弁1は、二本の弁棒を内包している。第一弁棒2は、第一流路11に挿入され、第一流路11に沿って伸長しており、第一流路11の延伸方向と平行または略平行な縦方向に進退動作する。第一弁棒2の基端部即ち上端部は、第一ソレノイド20のプランジャに連結している。第一弁棒2の先端部即ち下端部は、第一流路11の下端よりも下方に突出している。また、この第一弁棒2の下端部に対向するように弾性付勢部材、具体的には圧縮コイルばね23を配している。第一弁棒2は、圧縮コイルばね23により、その下端側から先端側に向かう方向即ち上方に弾性付勢されている。
【0023】
第一ソレノイド20に通電すると、第一ソレノイド20が発生させる電磁力により第一弁棒2が下方に押圧され、圧縮コイルばね23が発揮する付勢力に抗して第一弁棒2が下方のON位置に移動する。図3は、第一弁棒2がON位置にある状態を表している。第一ソレノイド20への通電を遮断すると、第一ソレノイド20が発生させていた電磁力が失われ、圧縮コイルばね23が発揮する付勢力により第一弁棒2が上方のOFF位置に復帰する。図1図2及び図4は、第一弁棒2がOFF位置にある状態を表している。
【0024】
第一流路11における、Aポートの接続路15が接続している箇所の上方の内周縁部には、第一ポート側弁座たるP側弁座111を設けている。このP側弁座111は、PポートとAポートとの間に位置する。
【0025】
並びに、第一弁棒2における、P側弁座111に臨む部位に、第一ポート側弁体たるP側弁体21を設けている。P側弁体21は、第一弁棒2に対し固定しており、第一弁棒2の進退動作に従って、図3に示すON位置と、図1図2及び図4に示すOFF位置との間で変位する。つまり、P側弁体21は、第一流路11を流通する流体の流れ方向と平行または略平行な方向に変位する。換言すれば、P側弁体21は、P側弁座111に直角または略直角な方向に作動する。P側弁体21は、既知のチェック弁やストップ弁のように、円錐状(図示例では、切頭円錐状)や球状等のポペット弁体である。
【0026】
P側弁体21は、第一弁棒2がOFF位置にあるときにP側弁座111に着座、密接(ポペット弁体の外周の当たり面が弁座の内周に密着)して、Aポートの接続路15と、第一流路11におけるAポートの接続路15よりも上方の領域との間を隔絶する。ひいては、Pポートの接続路13とAポートの接続路15との連通を遮断する。翻って、第一弁棒2がON位置にあるときには、P側弁座111から離反して、Aポートの接続路15と、第一流路11におけるAポートの接続路15よりも上方の領域との間を開通する。ひいては、Pポートの接続路13とAポートの接続路15とを連通させる。
【0027】
第一流路11における、Aポートの接続路15が接続している箇所の下方の内周縁部には、第二ポート側弁座たるT側弁座112を設けている。このT側弁座112は、AポートとTポートとの間に位置する。
【0028】
並びに、第一弁棒2における、T側弁座112に臨む部位に、第二ポート側弁体たるT側弁体22を設けている。T側弁体22もまた、第一弁棒2に対し固定しており、第一弁棒2の進退動作に従って、図3に示すON位置と、図1図2及び図4に示すOFF位置との間で変位する。つまり、T側弁体22は、第一流路11を流通する流体の流れ方向と平行または略平行な方向に変位する。換言すれば、T側弁体22は、T側弁座112に直角または略直角な方向に作動する。T側弁体22は、円錐状(図示例では、切頭円錐状)や球状等のポペット弁体である。本実施形態では、T側弁体22がP側弁体21の直下にあってP側弁体21と一体化しているが、T側弁体22がP側弁体21から分離して別体をなしていることを妨げるものではない。
【0029】
T側弁体22は、第一弁棒2がON位置にあるときにT側弁座112に着座、密接して、Aポートの接続路15と、第一流路11におけるAポートの接続路15よりも下方の領域との間を隔絶する。ひいては、Aポートの接続路15とTポートの接続路14との連通を遮断する。翻って、第一弁棒2がOFF位置にあるときには、P側弁座111から離反して、Aポートの接続路15と、第一流路11におけるAポートの接続路15より下方の領域との間を開通する。ひいては、Aポートの接続路15とTポートの接続路14とを連通させる。
【0030】
P側弁体21、T側弁体22の各々の形状は、ポペット弁体には限定されない。例えば、第一流路11の断面積よりも拡張した板状をなし、対応する弁座111、112に着座する際に、流体の流れ方向と平行または略平行な方向を向いて、第一流路11を完全に閉塞するような態様のものであっても構わない。何れにせよ、弁体21、22を、第一流路11を流通する流体の流れ方向と平行または略平行な方向に沿って弁座111、112に押し付ける
【0031】
第二弁棒3は、第二流路12に挿入され、第二流路12に沿って伸長しており、第二流路12の延伸方向と平行または略平行な縦方向に進退動作する。第二弁棒3の基端部即ち上端部は、第二ソレノイド30のプランジャに連結している。第二弁棒3の先端部即ち下端部は、第二流路12の下端よりも下方に突出している。また、この第二弁棒3の下端部に対向するように弾性付勢部材、具体的には圧縮コイルばね33を配している。第二弁棒3は、圧縮コイルばね33により、その下端側から先端側に向かう方向即ち上方に弾性付勢されている。
【0032】
第二ソレノイド30に通電すると、第二ソレノイド30が発生させる電磁力により第二弁棒3が下方に押圧され、圧縮コイルばね33が発揮する付勢力に抗して第二弁棒3が下方のON位置に移動する。図4は、第二弁棒3がON位置にある状態を表している。第二ソレノイド30への通電を遮断すると、第二ソレノイド30が発生させていた電磁力が失われ、圧縮コイルばね33が発揮する付勢力により第二弁棒3が上方のOFF位置に復帰する。図1ないし図3は、第二弁棒3がOFF位置にある状態を表している。
【0033】
第二流路12における、Bポートの接続路18が接続している箇所の上方の内周縁部には、第一連絡路側弁座たるP連絡路側弁座121を設けている。このP連絡路側弁座121は、P連絡路16とBポートとの間に位置する。
【0034】
並びに、第二弁棒3における、P連絡路側弁座121に臨む部位に、第一連絡路側弁体たるP連絡路側弁体31を設けている。P連絡路側弁体31は、第二弁棒3に対し固定しており、第二弁棒3の進退動作に従って、図4に示すON位置と、図1ないし図3に示すOFF位置との間で変位する。つまり、P連絡路側弁体31は、第二流路12を流通する流体の流れ方向と平行または略平行な方向に変位する。換言すれば、P連絡路側弁体31は、P連絡路側弁座121に直角または略直角な方向に作動する。P連絡路側弁体31は、既知のチェック弁やストップ弁のように、円錐状(図示例では、切頭円錐状)や球状等のポペット弁体である。
【0035】
P連絡路側弁体31は、第二弁棒3がOFF位置にあるときにP連絡路側弁座121に着座、密接して、Bポートの接続路18と、第二流路12におけるBポートの接続路18よりも上方の領域との間を隔絶する。ひいては、P連絡路16及びPポートの接続路13とBポートの接続路18との連通を遮断する。翻って、第二弁棒3がON位置にあるときには、P連絡路側弁座121から離反して、Bポートの接続路18と、第二流路12におけるBポートの接続路18よりも上方の領域との間を開通する。ひいては、P連絡路16及びPポートの接続路13と、Bポートの接続路18とを連通させる。
【0036】
第二流路12における、Bポートの接続路18が接続している箇所の下方の内周縁部には、第二連絡路側弁座たるT連絡路側弁座122を設けている。このT連絡路側弁座122は、BポートとT連絡路17との間に位置する。
【0037】
並びに、第二弁棒3における、T連絡路側弁座122に臨む部位に、第二連絡路側弁体たるT連絡路側弁体32を設けている。T連絡路側弁体32もまた、第二弁棒3に対し固定しており、第二弁棒3の進退動作に従って、図4に示すON位置と、図1ないし図3に示すOFF位置との間で変位する。つまり、T連絡路側弁体32は、第二流路12を流通する流体の流れ方向と平行または略平行な方向に変位する。換言すれば、T連絡路側弁体32は、T連絡路側弁座122に直角または略直角な方向に作動する。T連絡路側弁体32は、円錐状(図示例では、切頭円錐状)や球状等のポペット弁体である。本実施形態では、T連絡路側弁体32がP連絡路側弁体31の直下にあってP連絡路側弁体31と一体化しているが、T連絡路側弁体32がP連絡路側弁体31から分離して別体をなしていることを妨げるものではない。
【0038】
T連絡路側弁体32は、第二弁棒3がON位置にあるときにT連絡路側弁座122に着座、密接して、Bポートの接続路18と、第二流路12におけるBポートの接続路18よりも下方の領域との間を隔絶する。ひいては、Bポートの接続路18とT連絡路17及びTポートの接続路14との連通を遮断する。翻って、第二弁棒3がOFF位置にあるときには、P連絡路側弁座121から離反して、Bポートの接続路18と、第二流路12におけるBポートの接続路18より下方の領域との間を開通する。ひいては、Bポートの接続路18と、T連絡路17及びTポートの接続路14とを連通させる。
【0039】
P連絡路側弁体31、T連絡路側弁体32の各々の形状は、ポペット弁体には限定されない。例えば、第二流路12の断面積よりも拡張した板状をなし、対応する弁座121、122に着座する際に、流体の流れ方向と平行または略平行な方向を向いて、第二流路12を完全に閉塞するような態様のものであっても構わない。何れにせよ、弁体31、32を、第二流路12を流通する流体の流れ方向と平行または略平行な方向に沿って弁座121、122に押し付ける
【0040】
本実施形態の四ポート三位置切換弁1は、図5ないし図7の各回路図に示す三つの位置を選択的にとり得る。なお、図5ないし図7中、流体が流通する経路を太線で描画し、流体が流通しない経路を細線で描画している。図1に示しているように、第一ソレノイド20、第二ソレノイド30ともに通電しないと、第一弁棒2、P側弁体21及びT側弁体22がOFF位置をとり、並びに第二弁棒3、P連絡路側弁体31及びT連絡路側弁体32がOFF位置をとる。結果、Aポート及びBポートが、Tポートに連通する。Pポートは、これら各ポートには連通せず、これら各ポートから隔絶される。この状態が、図5に示す中央位置である。
【0041】
図3に示しているように、第一ソレノイド20に通電する一方、第二ソレノイド30に通電しないと、第一弁棒2、P側弁体21及びT側弁体22がON位置をとり、第二弁棒3、P連絡路側弁体31及びT連絡路側弁体32がOFF位置をとる。結果、PポートがAポートに連通し、BポートがTポートに連通する。PポートとTポートとは互いに連通せず、PポートとBポートとは互いに連通しない。また、AポートとTポートとは互いに連通せず、AポートとBポートとは互いに連通しない。この状態が、図6に示す左位置である。
【0042】
図4に示しているように、第一ソレノイド20に通電せずに、第二ソレノイド30に通電すると、第一弁棒2、P側弁体21及びT側弁体22がOFF位置をとり、第二弁棒3、P連絡路側弁体31及びT連絡路側弁体32がON位置をとる。結果、PポートがBポートに連通し、AポートがTポートに連通する。PポートとAポートとは互いに連通せず、PポートとTポートとは互いに連通しない。また、AポートとBポートとは互いに連通せず、TポートとBポートとは互いに連通しない。この状態が、図7に示す右位置である。
【0043】
本切換弁1をソレノイドにより駆動する場合、使用するソレノイド20、30の数は二個でよく、三個以上のソレノイドは必要でない。
【0044】
本切換弁1を含む液圧機械または装置等が、作動流体として水等を用いるものである場合、その起動時にはある程度の期間無負荷運転を実行することが望ましい。何故ならば、水は油のような粘性及び潤滑性を有しておらず、機械または装置等を停止している状況から即座に負荷運転を開始すると、摩擦によりポンプが焼き付く等の故障が生じるおそれがあるからである。無負荷運転を実行するためには、ポンプに接続し当該ポンプが圧送する流体を受け入れるPポートと、タンクに接続し当該タンクに帰還する流体が流れるTポートとを短絡した状態で、ポンプを稼働させる。
【0045】
図8に、本実施形態の四ポート三位置切換弁1に付設することのできる、水、水溶液または水性液体用のアンロード弁4の内部構造を示す。このものは、アンロード弁41とリリーフ弁42とを一体化した弁4であり、ちょうどアンロード弁41とリリーフ弁42とを並列接続したような構造をなしている。アンロード弁41及びリリーフ弁42が一体化して一個のバルブ4となっているため、二個のバルブよりも外形が小さくなり、マニホルドの大きさを半分程度まで縮小することができる。
【0046】
ノーマルオープン型のアンロード弁41は、そのソレノイド40への通電を遮断することにより開弁してPポートとTポートとを短絡するバイパスを開通し、ソレノイド40に通電することにより閉弁して当該バイパスを遮断する。ノーマルクローズ型のアンロード弁41は、そのソレノイド40に通電することにより開弁してPポートとTポートとを短絡するバイパスを開通し、ソレノイド40への通電を遮断することにより閉弁して当該バイパスを遮断する。
【0047】
リリーフ弁42は、Pポート側の流体の圧力が所定の設定圧を超えたときに開弁してPポートとTポートとを短絡するバイパスを開通し、Pポート側の流体の圧力が所定の設定圧以下であるときに閉弁して当該バイパスを遮断する。
【0048】
図9に、本実施形態の四ポート三位置切換弁1に上記の一体型弁4を付設したユニットの回路図を示している。液圧回路または装置等の無負荷運転時には、アンロード弁41を開弁する。さすれば、ポンプから吐出された流体が、四ポート三位置切換弁1、さらには液圧シリンダ7その他のアクチュエータ等に供給されることなく、Pポートからバイパスを通じてTポート及びタンクへと直に還流するようにする。
【0049】
そして、負荷運転時には、四ポート三位置切換弁1を左位置に切り換え、かつアンロード弁41を閉弁し、ポンプから吐出された流体が、四ポート三位置切換弁1のPポートからAポートへ、ひいては液圧シリンダ7等に供給されるようにする。このとき、切換弁1のBポートに流入した流体は、Tポートを通じてタンクに流下することは言うまでもない。
【0050】
なお、アンロード弁41は、手動ではなく、コンピュータやシーケンサ、プログラマブルコントローラやタイマその他の制御装置または制御回路により、電気的制御または自動制御することが好ましい。アンロード弁41を自動制御することで、作業者がアンロード弁41を開け忘れたり閉め忘れたりするヒューマンエラーのリスクを回避することができる。
【0051】
図9に、本実施形態の四ポート三位置切換弁1を含むユニットの一使用例の回路図を示している。この使用例では、本切換弁1のAポート側にパイロットチェック弁5を付設している。パイロットチェック弁5は、本切換弁1のAポートから液圧シリンダ7その他のアクチュエータ等に向けて流体が流通することを許容する一方で、当該液圧シリンダ7等から流体が本切換弁1のAポートに流入し他のポートに向けて流通しようとすることを抑止する。
【0052】
四ポート三位置切換弁1が左位置をとるとき、PポートとAポートとが連通し、ポンプから吐出された流体がPポート及びAポートを経由して液圧シリンダ7等に供給される。同時に、BポートとTポートとが連通して、Bポート及びTポートを経由して余剰の流体がタンクへと流下する。
【0053】
しかして、切換弁1を右位置に切り換えると、PポートとBポートとが連通し、ポンプから吐出された流体の圧力がBポートに供給され、さらにこのBポートからパイロット圧がチェック弁5に供給される。Bポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けることで、パイロットチェック弁5が開弁し、AポートとTポートとが連通して、液圧シリンダ7等に供給されていた流体がAポート及びTポートを経由してタンクへと流下する。
【0054】
本実施形態の四ポート三位置切換弁1の特長として、作動流体が水等であるとしてもその漏れ量が僅少となり、流体機械または装置等を確実に作動させることができ、当該切換弁1における圧力損失も低くなる点が挙げられる。
【0055】
既に述べた通り、本実施形態の四ポート三位置切換弁1は、中央位置をとるときにAポート及びBポートがTポートに連通し、Pポートがこれらポートから隔絶される状態となる。これに対し、中央位置において全ポートが他のポートから隔絶されるオールポートブロック型の四ポート三位置切換弁1を構成するためには、図10に示すように、切換弁1のAポート側及びBポート側の双方にパイロットチェック弁5、6を付設すればよい。
【0056】
Bポート側のパイロットチェック弁6は、本切換弁1のBポートから液圧シリンダ7その他のアクチュエータ等に向けて流体が流通することを許容する一方で、当該液圧シリンダ7等から流体が本切換弁1のBポートに流入し他のポートに向けて流通しようとすることを抑止する。
【0057】
四ポート三位置切換弁1が中央位置をとるときには、両パイロットチェック弁5、6の存在により、AポートからTポートに向かう流れ、及びBポートからTポートに向かう流れが遮断される。つまり、全てのポートが遮断される。
【0058】
四ポート三位置切換弁1が左位置をとるとき、ポンプから吐出された流体がPポート及びAポートを経由して液圧シリンダ7等に供給される。さらに、Aポートからパイロット圧がBポート側のチェック弁6に供給される。Aポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けることで、同チェック弁6が開弁し、BポートとTポートとが連通して、Bポート及びTポートを経由して余剰の流体がタンクへと流下する。
【0059】
しかして、切換弁1を右位置に切り換えると、PポートとBポートとが連通し、ポンプから吐出された流体の圧力がBポートに供給され、さらにこのBポートからパイロット圧がAポート側のチェック弁5に供給される。Aポートから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けることで、同チェック弁5が開弁し、AポートとTポートとが連通して、液圧シリンダ7等に供給されていた流体がAポート及びTポートを経由してタンクへと流下する。
【0060】
本実施形態では、第一ポートP、第三ポートA及び第二ポートTが接続する第一流路11と、第一流路11に沿って伸長し、第一流路11に沿ってON位置とOFF位置との間で進退動作する第一弁棒2と、第一流路11における第一ポートPと第三ポートAとの間の所定箇所に設けられた第一ポート側弁座111と、第一弁棒2に固定されて第一弁棒2とともに進退動作し、第一弁棒2がON位置をとるときに第一ポート側弁座111から離反して第一ポートPと第三ポートAとを連通せしめ、第一弁棒2がOFF位置をとるときに第一ポート側弁座111に着座して第一ポートPと第三ポートAとの連通を遮断する第一ポート側弁体21と、第一流路11における第三ポートAと第二ポートTとの間の所定箇所に設けられた第二ポート側弁座112と、第一弁棒2に固定されて第一弁棒2とともに進退動作し、第一弁棒2がOFF位置をとるときに第二ポート側弁座112から離反して第三ポートAと第二ポートTとを連通せしめ、第一弁棒2がON位置をとるときに第二ポート側弁座112に着座して第三ポートAと第二ポートTとの連通を遮断する第二ポート側弁体22と、第四ポートBが接続する第二流路12と、第一ポートPと第二流路12とを接続する第一連絡路16と、第二ポートTと第二流路12とを接続する第二連絡路17と、第二流路12に沿って伸長し、第二流路12に沿ってON位置とOFF位置との間で進退動作する第二弁棒3と、第二流路12における第一連絡路16と第四ポートBとの間の所定箇所に設けられた第一連絡路側弁座121と、第二弁棒3に固定されて第二弁棒3とともに進退動作し、第二弁棒3がON位置をとるときに第一連絡路側弁座121から離反して第一ポートPと第四ポートBとを連通せしめ、第二弁棒3がOFF位置をとるときに第一連絡路側弁座121に着座して第一ポートPと第四ポートBとの連通を遮断する第一連絡路側弁体31と、第二流路12における第四ポートBと第二連絡路17との間の所定箇所に設けられた第二連絡路側弁座122と、第二弁棒3に固定されて第二弁棒3とともに進退動作し、第二弁棒3がOFF位置をとるときに第二連絡路側弁座122から離反して第四ポートBと第二ポートTとを連通せしめ、第二弁棒3がON位置をとるときに第二連絡路側弁座122に着座して第四ポートBと第二ポートTとの連通を遮断する第二連絡路側弁体32とを具備する四ポート三位置切換弁1を構成した。
【0061】
本実施形態のメタルシート型切換弁1によれば、閉止するべきポートからの、または閉止するべきポートに向けた流体の漏出が極めて少ない四ポート三位置切換弁を実現できる。本切換弁1は、特に、水、水溶液または水性液体の流通を制御するために好適に用いることができる。
【0062】
本切換弁1は、第一弁棒2をON位置とOFF位置との間で進退動作させる第一ソレノイド20と、第二弁棒3をON位置とOFF位置との間で進退動作させる第二ソレノイド30との二個のソレノイドにより作動させることが可能であり、三個以上のソレノイドが必要でない。
【0063】
図9に示すように、基本的には第三ポートAに流入しようとする流れを阻止するとともに、第四ポートBから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けたときには開弁して第三ポートAに流入した後他のポートP、T、Bに向かう流れを許容するパイロットチェック弁5を付設した液圧回路により、液圧シリンダ7やその他のアクチュエータ等を駆動制御するようにすれば、圧力損失を低減できる。
【0064】
図10に示すように、基本的には第四ポートBに流入しようとする流れを阻止するとともに、第三ポートAから所定の設定圧以上のパイロット圧の入力を受けたときには開弁して第四ポートBに流入した後他のポートP、T、Aに向かう流れを許容するパイロットチェック弁6をさらに付設すれば、オールポートブロック型の四ポート三位置切換弁を具現できる。
【0065】
図9及び図10に示しているように、第一ポートPと第二ポートTとを短絡する開閉制御可能なアンロード弁41を付設すれば、当該アンロード弁41を開弁した状態で液圧機械または装置等の無負荷運転を実行することができる。
【0066】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、ソレノイド20、30が、プランジャ及びこれに連結している弁棒2、3を押すものであった。だが、プランジャ及びこれに連結している弁棒2、3を引く、吸引する態様のソレノイド20、30を採用することも、当然に可能である。この場合には、弁棒2、3を弾性付勢する付勢部材である圧縮コイルばね23、33を、弁棒2、3の先端側(即ち、ソレノイド20、30の反対側)ではなく弁棒2、3の基端側(即ち、ソレノイドと同じ側)に配設することになる。
【0067】
弁棒2、3は、ソレノイド以外のアクチュエータにより駆動することも可能である。弁棒2、3を手動で進退動作させる態様をとることも排除されない。
【0068】
上記実施形態では、第一ポートをPポート、第二ポートをTポート、第三ポートをAポート、第四ポートをBポートとしていたが、各ポートの対応関係はこれに限定されない。例えば、第三ポートをBポートとし、第四ポートをAポートとすることも可能である。この場合、第一弁棒2をOFF位置に、第二弁棒3をON位置にそれぞれ操作することで、PポートとAポートとが連通し、BポートとTポートとが連通する左位置の状態をとり得る。また、第一弁棒2をON位置に、第二弁棒3をOFF位置にそれぞれ操作することで、PポートとBポートとが連通し、AポートとTポートとが連通する右位置の状態をとり得る。
【0069】
本発明に係る四ポート三位置切換弁1、アンロード弁41及びリリーフ弁42、並びにパイロットチェック弁5、6を、作動流体または圧力媒体が油または油性液体である油圧機械に適用してもよいことは当然である。
【0070】
その他、各部の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…四ポート三方向切換弁
11…第一流路
111…第一ポート側弁座(P側弁座)
112…第二ポート側弁座(T側弁座)
12…第二流路
121…第一連絡路側弁座(P連絡路側弁座)
122…第二連絡路側弁座(T連絡路側弁座)
2…第一弁棒
20…第一ソレノイド
21…第一ポート側弁体(P側弁体)
22…第二ポート側弁体(T側弁体)
3…第二弁棒
30…第二ソレノイド
31…第一連絡路側弁体(P連絡路側弁体)
32…第二連絡路側弁体(T連絡路側弁体)
41…アンロード弁
5…パイロットチェック弁
6…パイロットチェック弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10