(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記骨組み構造の前記複数の第2の連結部材は、前記第1および前記第2の端部の前記四隅同士を対角線方向に連結する1組の部材からなっていることを特徴とする請求項1に記載の椎間スペーサー。
前記骨組み構造は、さらに、前記複数の第2の連結部材に結合するとともに、前記第1および前記第2の端部の中心同士を連結する芯部材を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の椎間スペーサー。
前記骨組み構造は、さらに、前記芯部材に結合するとともに、前記4本の第1の連結部材を交差状に連結する少なくとも1つの第3の連結部材を有していることを特徴とする請求項4に記載の椎間スペーサー。
前記骨組み構造の前記少なくとも1つの第3の連結部材は、別のX字形板状部材からなり、前記別のX字形板状部材の4本の腕の先端がそれぞれ対応する前記第1の連結部材の前記複数の上向きまたは下向きの突起のうちの1つを形成していることを特徴とする請求項5に記載の椎間スペーサー。
前記骨組み構造の前記複数の第2の連結部材は、前記第1の端部の前記四隅のうちの上側の二隅および前記第2の端部の前記四隅のうちの下側の二隅と、前記第1の端部の前記四隅のうちの下側の二隅と前記第2の端部の前記四隅のうちの上側の二隅を交差状に連結する一対の矩形または正方形板状部材からなり、
前記一対の矩形または正方形板状部材がそれぞれその表裏面を貫通する複数の連通孔を有していることを特徴とする請求項1に記載の椎間スペーサー。
前記骨組み構造は、さらに、前記一対の矩形または正方形板状部材を貫通するとともに、前記第1および前記第2の端部の中心同士を連結する芯部材を有していることを特徴とする請求項7に記載の椎間スペーサー。
前記第1および前記第2の端部および前記骨組み構造によって画定された空間を満たすとともに、前記第1および前記第2の端部および前記骨組み構造と一体的に形成された多孔質部分をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の椎間スペーサー。
【背景技術】
【0002】
脊椎の損傷には、外傷、変性および腫瘍等の疾患による損傷と、それを治療するための手術手技による損傷(手術の際に、靭帯や関節等がやむなく切除されることによって生じる損傷)とがあるが、かかる脊椎損傷の治療手段の1つとして脊椎固定術がある。
【0003】
脊椎固定術は不安定化した2つ以上の椎体をつなげて固定する外科的手法であり、脊椎固定術においては、椎間スペーサーが使用される。
【0004】
従来の椎間スペーサーとして、前壁と、後壁と、前壁および後壁間にのびる一対の側壁とからなり、内側に上下にのびる開口部が形成されたフレーム形状をなし、一対の側壁の上下端面に複数の歯が設けられ、各側壁には内側の開口部に連通する1つまたは複数の開口が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
そして、脊椎固定術において、この椎間スペーサーの1個または複数個が、内側の開口部内に患者から採取された骨片または骨代替材料が収容された状態で、患者の対象となる椎体間の所定位置に挿入される。
【0006】
また、従来の椎間スペーサーとして、中実前壁、中実後壁、中実内側壁および中実外側壁とからなり、中央に空洞を有するフレーム部分と、フレーム部分の中央の空洞に充填された多孔性材料を有するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
そして、脊椎固定術において、この椎間スペーサーの1個または複数個が、単独で、患者の対象となる椎体間の所定位置に挿入される。
【0008】
挿入されたそれらの椎間スペーサーは、その上下面において隣接する2つの椎体と係合するとともに、2つの椎体の相対位置関係を一定に保ち、患者の骨成長を促す。そして、術後一定期間が経過すると、2つの椎体は椎間スペーサーを介して互いに癒合し、それによって、2つの椎体の固定が完了する。
【0009】
すなわち、椎間スペーサーは、2つの椎体が癒合するまでの間、それらの椎体の相対位置関係を維持して、患者の骨成長を促進する役割を有しているので、容易に破損あるいは変形するものであってはならない。
【0010】
ところで、椎体間に挿入された椎間スペーサーには、上方から圧力(圧縮力)が及ぼされるのみならず、患者の脊椎の動きに伴って、前後方向や横方向からもせん断応力等の力が及ぼされる。
【0011】
しかしながら、基本的にフレーム状に形成された従来の椎間スペーサーは、その構造上、上方からの圧縮力に対して一定程度の強度を有するものの、前後方向や横方向の力(せん断応力等)に対する強度が十分でなく、そのため、術後、椎間スペーサーが患者の脊椎の動きの繰り返しによって次第に疲労し、破損または変形するおそれがあった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例による椎間スペーサーの斜視図であり、
図1(A)は斜視図であり、
図1(B)は側面図であり、
図1(C)は平面図であり、
図1(D)は第2の端部側から見た図であり、
図1(E)は第1の端部側から見た図である。
【0028】
図1を参照して、本発明の椎間スペーサー1は、第1の端部2と、第2の端部3と、第1および第2の端部2、3と一体的に、かつそれ自体が一体的に形成され、第1および第2の端部2、3を連結する骨組み構造4とを備えている。
【0029】
第1の端部2は、椎間スペーサー1の長さ方向外向きに先細り状に形成され、上下面2a、2bと、上下面2a、2bを滑らかに接続する一対の側面2c、2dと、上下面2a、2bおよび一対の側面2c、2dを滑らかに接続する端面2eを有している。
【0030】
第2の端部3は、矩形または正方形板状に形成され、上面3aと、下面3bと、上下面3a、3bを滑らかに接続する一対の側面3c、3dと、上下面3a、3bおよび一対の側面3c、3dを滑らかに接続する端面3eを有している。
【0031】
第1および第2の端部2、3の構成はこの実施例に限定されることはなく、第1および第2の端部2、3は、所定の強度を有し、椎体間の所定位置への円滑かつ安定的な挿入を可能とする任意の形状を有し得る。
【0032】
骨組み構造4は、第1および第2の端部2、3の互いに対向する四隅同士を連結する4本の第1の連結部材5a〜5dと、4本の第1の連結部材5a〜5dによって画定された空間内において、第1および第2の端部2、3の上記四隅同士を対角線方向に連結する1組の第2の連結部材6とからなっている。
【0033】
図1(B)および(C)から明らかなように、この実施例では、4本の第1の連結部材5a〜5dのうち上下に対向する一対の第1の連結部材5a、5d;5b、5cは、第1の端部2側から第2の端部3側に向けて互いに徐々に近づくように傾斜して配置され、4本の第1の連結部材5a〜5dのうちの左右に対向する一対の第1の連結部材5a、5b;5c、5dは、互いに平行に配置されている。
【0034】
4本の第1の連結部材5a〜5dは、第1および第2の端部2、3の互いに対向する四隅同士を連結するものであれば、どのような構成を有していてもよく、4本の第1の連結部材5a〜5dの相対的な配置もこの実施例に限定されるものではない。
【0035】
また、4本の第1の連結部材5a〜5dのうちの上側に位置する一対の第1の連結部材5a、5bには、複数の上向きの突起8aが第1の連結部材5a、5bの長さ方向に間隔をあけて設けられ、4本の第1の連結部材5a〜5dのうちの下側に位置する一対の第1の連結部材5c、5dには、複数の下向きの突起8bが第1の連結部材5c、5dの長さ方向に間隔をあけて設けられている。
【0036】
突起8a、8bは、この実施例では、関係する第1の連結部材5a〜5dの幅方向にのびるとともに、断面が三角形状をなし、第1の端部2側の面が関係する第1の連結部材5a〜5dと第1の端部2に向かう方向において鈍角をなしている。
【0037】
なお、突起8a、8bの形状はこの実施例に限定されず、椎間スペーサー1の椎体間への挿入を妨げず、かつ挿入後に、隣接する椎体終板と確実に係合し得る任意の形状とすることができ、例えば、四角錐状または円錐状等であってもよい。
また、第1の端部2および/または第2の端部3の上下面2a、2b;3a、3bの適当な領域に追加の突起が設けられていてもよい。
【0038】
突起8a、8bによって、椎間スペーサー1は、椎体間に挿入されたとき、隣接する椎体終板と確実に係合し得る。
【0039】
また、1組の第2の連結部材6は、互いに1点で交わる4本の細長い部材7a〜7dからなっている。
【0040】
さらに、第2の端部3は、端面3eと反対側の面に突設され、椎間スペーサー1の中心軸に沿ってのびる円柱状凸部3fと、端面3eに開口して当該中心軸に沿って円柱状凸部3f内にのびるネジ穴3gとを有している。
【0041】
ネジ穴3gによって、椎間スペーサー1が、椎間スペーサー1を椎体間に挿入するための挿入器具(図示はしない)と係合し得る。
ネジ穴3g(よって円柱状凸部3f)は、本発明の必須構成要件ではなく、必要に応じて(ネジ係合式の挿入用具が使用される場合に)設けられる。
【0042】
本発明によれば、椎間スペーサー1は、三次元積層造形技術に基づき、3Dプリンタを用いて、例えばチタンおよびチタン合金等の骨と親和性のある適当な金属材料やPEEK等の適当な樹脂材料から形成される。
【0043】
第1実施例による椎間スペーサー1は、PLIF(腰椎後方椎体間固定術)において使用するのに適した椎間スペーサーである。
【0044】
椎間スペーサー1の使用に際しては、術者によって、椎間スペーサー1の第2の端部3のネジ穴3gに挿入器具(図示はしない)のネジ部分が係合せしめられる。
そして、椎間スペーサー1は、その骨組み構造4内に形成された空隙に患者から採取された骨片または骨代替材料が収容された状態で、挿入器具による操作によって、第1の端部2が患者の腹側に位置し、第2の端部3が患者の背側に位置する配置で椎体間の所定位置に挿入される。その後、挿入器具が椎間スペーサー1から取り外される。
【0045】
挿入された椎間スペーサー1は、骨組み構造4の第1の連結部材5a〜5dの突起8a、8bによって、隣接する椎体終板と確実に係合し、椎体間の所定位置からずれることがない。
【0046】
こうして、1個または複数個の椎間スペーサー1が椎体間に挿入され、椎間スペーサー1は、2つの椎体の相対位置関係を一定に保ち、患者の骨成長を促す。そして、術後一定期間が経過すると、2つの椎体は椎間スペーサー1を介して互いに癒合し、それによって、2つの椎体の固定が完了する。
【0047】
本発明によれば、椎間スペーサー1が、第1および第2の端部2、3と、第1および第2の端部2、3と一体的にかつそれ自体が一体的に形成され、第1および第2の端部2、3を連結する骨組み構造4とを備え、骨組み構造4が、第1および第2の端部2、3の互いに対向する四隅同士を連結する4本の第1の連結部材5a〜5dと、第1の連結部材5a〜5dによって画定された空間内において、上記四隅同士を対角線方向に連結する1組の第2の連結部材6を有するようにした。
【0048】
それによって、椎間スペーサー1は、上方からの圧縮力に対してだけでなく、前後方向や横方向に及ぼされるせん断応力等の力に対しても十分な強度を有するようになる。
その結果、脊椎固定術において患者の椎体間に挿入された後、椎間スペーサー1が破損あるいは変形することが確実に防止され、術後の椎体の癒合が安定的にかつ確実に行われる。
【0049】
図2は、本発明の第2実施例による椎間スペーサーを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側面図であり、(C)は平面図であり、(D)は骨組み構造の一部の斜視図である。
【0050】
第2実施例は、第1実施例と、骨組み構造の第2の連結部材の構成が異なるだけである。よって、
図2中、
図1に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0051】
図2に示すように、この実施例では、椎間スペーサー10の骨組み構造11の1組の第2の連結部材12が、互いに1本の交線に沿って交わる一対のX字形板状部材13a、13bからなっている。
【0052】
第2実施例の椎間スペーサー10は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第1実施例の椎間スペーサー1と同程度の強度を有する。
【0053】
図3は、本発明の第3実施例による椎間スペーサーを示す
図2に類似の図である。
第3実施例は、第1実施例の骨組み構造にさらに別の連結部材を加えたものである。よって、
図3中、
図1に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0054】
図3に示すように、この実施例では、椎間スペーサー20の骨組み構造21が、第1実施例の骨組み構造4に、さらに、骨組み構造4の4本の細長い部材7a〜7d(1組の第2の連結部材6)に結合し、かつ第1および第2の端部2、3の中心同士を連結する芯部材22を加えたものからなっている。
【0055】
第3実施例の椎間スペーサー20は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第1実施例の椎間スペーサー1よりも大きな強度を有する。
【0056】
図4は、本発明の第4実施例による椎間スペーサーを示す
図2に類似の図である。
第4実施例は、第3実施例の骨組み構造にさらに別の連結部材を加えたものである。よって、
図4中、
図3に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0057】
図4に示すように、この実施例では、椎間スペーサー30の骨組み構造31が、第3実施例の骨組み構造6、22に、さらに、芯部材22に結合し、かつ4本の第1の連結部材5a〜5dを交差状に連結する少なくとも1つの第3の連結部材32を加えたものからなっている。
【0058】
この場合、少なくとも1つの第3の連結部材32は、芯部材22の軸方向に間隔をあけて配置された3つのX字形板状部材33a〜33cからなり、3つのX字形板状3つのX字形板状部材32のうち中間のX字形板状部材32bは、芯部材22および4本の第1の連結部材5a〜5dと結合しているが、両外側のX字形板状部材33a、33cは、芯部材22、4本の第1の連結部材5a〜5dおよび4本の細長い部材7a〜7dと結合している。
【0059】
そして、各X字形板状部材32の4本の腕の先端がそれぞれ対応する第1の連結部材5a〜5dの複数の上向きまたは下向きの突起8a、8bのうちの1つを形成している。
【0060】
なお、骨組み構造31の第3の連結部材32の構成は第4実施例に限定されず、第3の連結部材32を、芯部材22に結合され、かつ4本の第1の連結部材5a〜5dを交差状に連結する少なくとも1つの任意の部材から構成し得る。
【0061】
第4実施例の椎間スペーサー30は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第3実施例の椎間スペーサー20よりも大きな強度を有する。
【0062】
図5は、本発明の第5実施例による椎間スペーサーを示す
図2に類似の図である。
第5実施例は、第3実施例と、骨組み構造の第2の連結部材の構成、および第2の端部の構成が異なるだけである。よって、
図5中、
図1に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0063】
図5に示すように、この実施例では、第2の端部3’はネジ穴を有していない。
また、この実施例では、椎間スペーサー40の骨組み構造41の第2の連結部材42が、それぞれを芯部材22が貫通する配置で芯部材22に結合され、かつ第1の端部2の上記四隅のうちの上側の二隅および第2の端部3の上記四隅のうちの下側の二隅と、第1の端部2の上記四隅のうちの下側の二隅と第2の端部3の上記四隅のうちの上側の二隅を交差状に連結する一対の矩形または正方形板状部材43a、43bからなっている。
【0064】
一対の矩形または正方形板状部材43a、43bは、それぞれ多孔体からなっている。
そのため、椎間スペーサー40が椎体間に挿入されたとき、椎間スペーサー40を挟んで隣り合う椎体間における体液の流れが妨げられず、骨成長の妨げになることがない。
【0065】
第5実施例の椎間スペーサー40は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第3実施例の椎間スペーサー20と同程度の強度を有する。
【0066】
第5実施例の椎間スペーサー40は、使用に際し、第2の端部3’において、例えばクランプ式の挿入器具(図示はしない)によって挟持され、骨組み構造41内に形成された空隙中に患者から採取された骨片または骨代替材料が収容された状態で患者の椎体間の所定位置に挿入される。
【0067】
図6は、本発明の第6実施例による椎間スペーサーを示す図であり、
図6(A)は斜視図であり、
図6(B)は側面図であり、
図6(C)は
図6(A)の軸方向の断面図であり、
図6(D)は
図6(A)の側断面図であり、
図6(E)は
図6(A)の軸に直交する方向の断面図である。
【0068】
第6実施例は、第4実施例にさらに別の構成を付加したものである。よって、
図6中、
図4に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0069】
図6に示すように、この実施例では、椎間スペーサー50は、第1および第2の端部2、3および骨組み構造31によって画定された空間を満たすとともに、第1および第2の端部2、3および骨組み構造31と一体的に形成された多孔質部分51をさらに備えている。
【0070】
多孔質部分51は骨成長を促進し得る適当な空孔率および孔径を有しており、椎間スペーサー50は、患者から採取された骨片や骨代替材料を併用することなく、単独で椎体間に挿入される。
【0071】
第6実施例の椎間スペーサー50は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第4実施例の椎間スペーサー30よりも大きな強度を有する。
【0072】
図7は、本発明の第7実施例による椎間スペーサーを示す図であり、
図7(A)は斜視図であり、
図7(B)は平面図であり、
図7(C)は側面図であり、
図7(D)は第2の端部側から見た図であり、
図7(E)は第1の端部側から見た図である。
【0073】
図7を参照して、本発明の椎間スペーサー60は、第1の端部61と、第2の端部62と、第1および第2の端部61、62と一体的に、かつそれ自体が一体的に形成され、第1および第2の端部61、62を連結する骨組み構造63とを備えている。
【0074】
第1および第2の端部61、62は、それぞれ、上面61a、62aと、下面61b、62bと、上下面61a、61b;62a、62bを滑らかに接続する一対の側面61c、61d;62c、62dと、上下面61a、61b;62a、62bおよび一対の側面61c、61d;62c、62dを滑らかに接続する端面61e、62eとを有している。
【0075】
この場合、上下面61a、61b;62a、62bは、側面61c、62c側から側面61d、62d側に向けて互いに徐々に近づくよう傾斜する一方、一対の側面61c、61d;62c、62dと端面61e、62eは互いにほぼ平行にのびている。
【0076】
第1および第2の端部61、62の構成はこの実施例に限定されることはなく、第1および第2の端部61、62は、所定の強度を有し、椎体間の所定位置への円滑かつ安定的な挿入を可能とする任意の形状を有し得る。
【0077】
骨組み構造63は、第1および第2の端部61、62の互いに対向する四隅同士を連結する4本の第1の連結部材64a〜64dと、第1および第2の端部61、62の中心同士を連結する芯部材65と、芯部材65に結合するとともに、4本の第1の連結部材64a〜64dを交差状に連結する少なくとも1つの第2の連結部材66とからなっている。
【0078】
図7(A)〜(C)から明らかなように、この実施例では、4本の第1の連結部材64a〜64dは互いに平行に配置されている。
【0079】
4本の第1の連結部材64a〜64dは、第1および第2の端部61、62の互いに対向する四隅同士を連結するものであれば、どのような構成を有していてもよく、4本の第1の連結部材64a〜64dの相対的な配置もこの実施例に限定されるものではない。
【0080】
4本の第1の連結部材64a〜64dのうちの上側に位置する一対の第1の連結部材64a、64bには、複数の上向きの突起67a、67cが第1の連結部材64a、64bの長さ方向に間隔をあけて設けられている。
そして、複数の上向きの突起67a、67cのうち、中央の突起67cが円錐形状を有し、残りの突起67aは、関係する第1の連結部材64a、64bの幅方向にのびるとともに、断面が三角形状をなし、第1の端部61側の面が関係する第1の連結部材64a、64bと第1の端部61に向かう方向において鈍角をなしている。
【0081】
また、4本の第1の連結部材64a〜64dのうちの下側に位置する一対の第1の連結部材64c、64dには、複数の下向きの突起67b、67dが第1の連結部材64c、64dの長さ方向に間隔をあけて設けられている。
そして、複数の下向きの突起67d、67dのうち、中央の突起67dが円錐形状を有し、残りの突起67bは、関係する第1の連結部材64c、64dの幅方向にのびるとともに、断面が三角形状をなし、第1の端部61側の面が関係する第1の連結部材64c、64dと第1の端部61に向かう方向において鈍角をなしている。
【0082】
なお、突起67a〜67dの形状はこの実施例に限定されず、椎間スペーサー60の椎体間への挿入を妨げず、かつ挿入後に、隣接する椎体終板と確実に係合し得る任意の形状とすることができる。
【0083】
また、第1および第2の端部61、62の上下面61a、61b;62a、62bの両側に円錐状の突起61f、62fが設けられている。
突起61f、62fの形状はこの実施例に限定されず、または突起61f、62fは必要に応じて設けられる。
【0084】
第1の連結部材64a〜64dの突起67a〜67d、および第1および第2の端部61、62の突起61f、62fによって、椎間スペーサー60は、椎体間に挿入されたとき、隣接する椎体終板と確実に係合し得る。
【0085】
また、少なくとも1つの第2の連結部材66は、それぞれの中心を芯部材65が貫通する配置で芯部材65の長さ方向に間隔をあけて設けられた複数のX字形板状部材68からなり、各X字形板状部材68の4本の腕がそれぞれ対応する第1の連結部材64a〜64dの複数の上向きまたは下向きの突起67a〜67dのうちの1つを形成している。
【0086】
さらに、第2の端部62に、端面62eに開口して椎間スペーサー60の中心軸に沿って第2の端部62内にのびるネジ穴62gが設けられている。
【0087】
ネジ穴62gによって、椎間スペーサー60が、椎間スペーサー60を椎体間に挿入するための挿入器具(図示はしない)と係合し得る。
ネジ穴62gは、本発明の必須構成要件ではなく、必要に応じて(ネジ係合式の挿入用具が使用される場合に)設けられる。
【0088】
本発明によれば、椎間スペーサー60は、三次元積層造形技術に基づき、3Dプリンタを用いて、例えばチタンおよびチタン合金等の骨と親和性のある適当な金属材料やPEEK等の適当な樹脂材料から形成される。
【0089】
第7実施例による椎間スペーサー60は、XLIF(腰椎側方椎体間固定術)において使用するのに適した椎間スペーサーである。
【0090】
椎間スペーサー60の使用に際しては、術者によって、椎間スペーサー60の第2の端部62のネジ穴62gに挿入器具(図示はしない)のネジ部分が係合せしめられる。
そして、通常は一対の椎間スペーサー60が、骨組み構造63内に形成された空隙に患者から採取された骨片または骨代替材料が収容された状態で、挿入器具による操作によって、側面61c、62c同士が互いに内向きに対向し、それぞれの側面61d、62dが外向きになる配置で椎体間の所定位置に挿入され、その後、挿入器具が椎間スペーサー60から取り外される。
【0091】
挿入された椎間スペーサー60は、骨組み構造63の第1の連結部材64a〜64dの突起67a〜67dと、第1および第2の端部61、62の突起61f、62fによって、隣接する椎体終板と確実に係合し、椎体間の所定位置からずれることがない。
【0092】
こうして、椎間スペーサー60は、2つの椎体の相対位置関係を一定に保ち、患者の骨生成を促す。そして、術後一定期間が経過すると、2つの椎体は椎間スペーサー60を介して互いに癒合し、それによって、2つの椎体の固定が完了する。
【0093】
本発明によれば、椎間スペーサー60が、第1および第2の端部61、62と、第1および第2の端部61、62と一体的にかつそれ自体が一体的に形成され、第1および第2の端部61、62を連結する骨組み構造63とを備え、骨組み構造63が、第1および第2の端部61、62の互いに対向する四隅同士を連結する4本の第1の連結部材64a〜64dと、第1および第2の端部61、62の中心同士を連結する芯部材65と、芯部材65に結合するとともに、4本の第1の連結部材64a〜64dを交差状に連結する少なくとも1つの第2の連結部材66を有するようにした。
【0094】
それによって、椎間スペーサー60は、上方からの圧縮力に対してだけでなく、前後方向や横方向に及ぼされるせん断応力等の力に対しても十分な強度を有するようになる。
その結果、脊椎固定術において患者の椎体間に挿入された後、椎間スペーサー60が破損あるいは変形することが確実に防止され、術後の椎体の癒合が安定的にかつ確実に行われる。
【0095】
図8は、本発明の第8実施例による椎間スペーサーを示す
図7に類似の図である。
第8実施例は、第7実施例と骨組み構造の第2の連結部材の構成が異なるだけである。よって、
図8中、
図7に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0096】
図8に示すように、この実施例では、椎間スペーサー70の骨組み構造71の少なくとも1つの第2の連結部材72が、芯部材65の中央部に設けられたX字形板状部材68と、X字形板状部材68および第1の端部61間において、芯部材65上の1点で互いに交差するとともに、椎間スペーサー70の一方の側面側に位置するそれぞれの第1の連結部材64a、64d上の2点と、椎間スペーサー70の他方の側面側に位置するそれぞれの第1の連結部材64b、64c上の2点を対角線方向に連結する1組の4本の細長い部材73a〜73dと、X字形板状部材68および第2の端部62間において、芯部材65上の1点で互いに交差するとともに、椎間スペーサー70の一方の側面側に位置するそれぞれの第1の連結部材64a、64d上の2点と、椎間スペーサー70の他方の側面側に位置するそれぞれの第1の連結部材64b、64c上の2点を対角線方向に連結する1組の4本の細長い部材73e〜73hとからなっている。
【0097】
第8実施例による椎間スペーサー70は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第7実施例の椎間スペーサー60と同程度の強度を有する。
【0098】
図9は、本発明の第9実施例による椎間スペーサーを示す図であり、
図9(A)は斜視図であり、
図9(B)は側面図であり、
図9(C)は
図9(A)の軸方向の断面図であり、
図9(D)は
図9(A)の軸に直交する方向の断面図である。
【0099】
図9に示すように、この実施例は、第7実施例にさらに別の構成を付加したものである。よって、
図9中、
図7に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではそれらの詳細な説明を省略する。
【0100】
図9に示すように、この実施例では、椎間スペーサー80は、第1および第2の端部61、62および骨組み構造63によって画定された空間を満たすとともに、第1および第2の端部61、62および骨組み構造63と一体的に形成された多孔質部分81をさらに備えている。
【0101】
多孔質部分81は骨成長を促進し得る適当な空孔率および孔径を有しており、椎間スペーサー80は、患者から採取された骨片や骨代替材料を併用することなく、単独で椎体間に挿入される。
【0102】
第9実施例の椎間スペーサー80は、上方からの圧縮力および前後方向や横方向に及ぼされる力に対して、第7実施例の椎間スペーサー60よりも大きな強度を有する。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例には限定されず、当業者が本願の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0104】
例えば、第1〜第4実施例および第6実施例では、骨組み構造4、11、21、31の第2の連結部材6、12が、第1および第2の端部2、3の互いに対向する四隅同士を対角線方向に連結する1組の部材からなり、また、第5実施例では、骨組み構造41の第2の連結部材42が、第1の端部2の上記四隅のうちの上側の二隅および第2の端部3の上記四隅のうちの下側の二隅と、第1の端部2の上記四隅のうちの下側の二隅と第2の端部3の上記四隅のうちの上側の二隅を交差状に連結する一対の矩形または正方形板状部材からなっているが、第2の連結部材6、12の構成は上記実施例には限定されず、第2の連結部材6、12、42は、4本の第1の連結部材5a〜5dによって画定された空間内において、
互いに1点または1本の交線で交わりつつ、それぞれ第1および第2の端部2、3を連結するものであればどのような構成を有していてもよい。
【0105】
また、例えば、第1〜第5実施例および第7〜第8実施例では、第5実施例の一対の第2の連結部材42を除いて、椎間スペーサー1、10、20、30、40、60、70、80の構成要素の全てが中実であるが、これらの構成要素の全てまたはいくつかが多孔性の表層を有するようにしてもよい。
この変形例によれば、椎間スペーサー1、10、20、30、40の椎体間への挿入後の骨生成がより促進されるようになる。
【解決手段】第1及び第2の端部2、3と、第1及び第2の端部と一体的にかつそれ自体が一体的に形成され、第1及び第2の端部を連結する骨組み構造4を備える。骨組み構造は、少なくとも、第1及び第2の端部の互いに対向する四隅同士を連結する4本の第1の連結部材5a〜5dと、第1の連結部材によって画定された空間内において、第1および第2の端部の互いに対向する四隅同士を交差状に連結する1組の第2の連結部材6を有する。上側の一対の第1の連結部材5a、5bに、複数の上向きの突起8aが第1の連結部材の長さ方向に間隔をあけて設けられ、下側の一対の第1の連結部材5c、5dには、複数の下向きの突起8bが第1の連結部材の長さ方向に間隔をあけて設けられる。