(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空調機で空調処理された空気が給気ダクトを通って吹出口から所定の室内に吹き出され、前記所定の室内に吹き出された空気が吸込口から吸い込まれ、還気ダクトを通って空調機に戻る空調システムにおけるダンパの調整方法であって、
主ダクトと、前記主ダクトに接続された複数の分岐ダクトと、前記複数の分岐ダクトの各々に設けられたダンパと、前記複数の分岐ダクトの各々の先端に設けられた吸込口と、を有する前記還気ダクトであり、
前記主ダクトにおける所定の位置と前記複数の吸込口の各々との間の圧力損失を、風量、並びに前記主ダクト及び前記分岐ダクトの抵抗係数及び断面形状に基づいて算出する工程と、
前記算出された圧力損失から、前記複数のダンパの各々の開度を算出する工程と、
前記複数のダンパの開度を、前記算出された各々の開度に調整する工程と、
を有する、
ダンパの調整方法。
前記ダンパの開度を算出する工程は、ダンパ抵抗係数とダンパ開度との関係を示す特性曲線を、前記分岐ダクトに設置するダンパのサイズと設計風量とに基づいて作成する特性曲線作成工程を含む、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載のダンパの調整方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
(空調システム)
一実施形態に係る空調システムについて、
図1に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調システムの概略図である。
【0012】
図1に示されるように、空調システム1は、空調機10と、給気ダクト20と、吹出口30と、還気ダクト40と、吸込口50(50A〜50H)とを有する。空調システム1では、空調機10で空調処理された空気が給気ダクト20を通って吹出口30から所定の室R内に吹き出され、所定の室R内に吹き出された空気は、吸込口50から吸い込まれ、還気ダクト40を通って空調機10に戻るようになっている。
【0013】
所定の室Rは、一実施形態では、図書館の書庫の一室である。図書館の書庫においては、書物の劣化や虫菌害を抑制するため、低温低湿で変動のない環境が好ましく、空気の流れを精度よく調整することが求められる。なお、所定の室Rは、図書館の書庫の一室に限定されず、他の用途に用いられる室であってもよく、複数の室であってもよい。
【0014】
空調機10は、空気の温度、湿度、清浄度等を調整する空調処理を行うものであり、例えば送風機、熱交換器、加湿器、エアフィルタ、ケーシング等を有する。空調機10は、所定の室R外に設置され、所定の室Rの天井上の空間に収容される給気ダクト20及び還気ダクト40と接続されている。なお、空調機10は、所定の室R内に設置するようにしてもよい。
【0015】
給気ダクト20は、所定の室Rの天井上の空間に収容されており、一端が空調機10と接続されている。給気ダクト20は、主ダクト21を有する。主ダクト21には、複数(例えば8つ)の分岐ダクト26が接続されている。複数の分岐ダクト26の各々の先端には、所定の室R内に空気を吹き出すための吹出口30が設けられている。空調機10で空調処理された空気は、吹出口30から所定の室R内に下方に向かって吹き出される。
【0016】
還気ダクト40は、所定の室Rの天井上の空間に収容されており、一端が空調機10と接続されている。還気ダクト40は、第1の主ダクト41と、第2の主ダクト42とを有する。第1の主ダクト41には、空調機10からの距離が遠い側から順番に、分岐ダクト46A、分岐ダクト46B、分岐ダクト46C及び分岐ダクト46Dが接続されている。第2の主ダクト42には、空調機10からの距離が遠い側から順番に、分岐ダクト46E、分岐ダクト46F、分岐ダクト46G及び分岐ダクト46Hが接続されている。なお、給気ダクト20及び還気ダクト40は、所定の室Rの床下に設置するようにしてもよく、所定の室Rの壁裏に設置するようにしてもよい。
【0017】
複数の分岐ダクト46A〜46Hの各々の先端には、所定の室R内の空気を吸い込むための吸込口50A〜50Hが設けられている。所定の室R内の空気は、吸込口50A〜50Hに吸い込まれて、還気ダクト40を介して空調機10へ戻る。
【0018】
複数の分岐ダクト46A〜46Hの各々の途中には、風量調整ダンパ(以下「ダンパVD1〜VD8」という。)が設けられている。ダンパVD1〜VD8は、その開度に応じて抵抗係数が変化し、分岐ダクト46内の風量を調整する。ダンパVD1〜VD8にはハンドルが取り付けられており、ハンドルを回転させることで開度を調整することができる。ハンドルの操作は、手動で行ってもよく、自動で行ってもよい。一実施形態では、ダンパVD1〜VD8は同一種類、同一形状のダンパであり、抵抗係数と開度との関係を示す特性曲線が同一であるものとして説明する。抵抗係数と開度との関係を示す特性曲線は、例えば
図2に示されるようなグラフで表される。ダンパVD2の抵抗係数とダンパVD2の開度との関係を示す特性曲線は、ダンパに応じて定められているものであり、ダンパVD2の仕様書等を参照することにより取得することができる。
図2に示されるように、例えばダンパVDの抵抗係数ζが1.8となるようにしたい場合、ダンパの開度を64度に設定すればよい。なお、
図2は、ダンパVDの特性曲線の一例を示す図であり、ダンパVDの抵抗係数と開度との関係を示している。
図2中、横軸はダンパの抵抗係数ζを示し、縦軸はダンパの開度(度)を示している。
【0019】
このような空調システム1を所定の室Rに導入する場合、複数の吸込口50の各々における風量に偏りが生じないようにすることが求められている。そこで、従来から、空調システム1の設置が完了した後の試運転の際に、各吸込口50での風量を確認しながらダンパVDの開度を調整し、複数の吸込口50における風量を均一に調整している。
【0020】
しかしながら、この方法では、各吸込口50での風量を確認しながらダンパVDの開度を調整する際の精度が、ダンパVDの開度を調整する作業者の感覚と経験に左右されるため、精度よくダンパVDの開度を調整することが困難であった。また、多くの場合、ダンパVDは天井上の空間等、所定の室R外に設置される。この場合、ダンパVDを調整する作業者は、異なる場所(所定の室R内)において吸込口50で風量を測定する測定者と連携して調整する必要があり、ダンパVDの調整が煩雑であった。
【0021】
以下では、このような課題を解決し、ダンパVDの調整を容易かつ精度よく行うことが可能なダンパVDの調整方法及び空調システム1の施工方法について説明する。
【0022】
(空調システムの施工方法)
一実施形態に係る空調システムの施工方法について、
図3に基づき説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る空調システムの施工方法を説明するためのフローチャートである。
【0023】
まず、ダンパVD1〜VD8の最適な開度を算出する(ステップS1)。ダンパVD1〜VD8の最適な開度の算出方法の詳細については後述する。なお、以下のステップでは、ダンパVD1、VD2、VD3、VD4、VD5、VD6、VD7、VD8の最適な開度がそれぞれ90度、64度、55度、48度、90度、68度、57度、52度であると算出されたとして説明する。
【0024】
次に、施工図に示されたダンパVD1〜VD8と対応する位置に、ステップS1で算出したダンパVD1〜VD8の最適な開度を記録する(ステップS2)。具体的には、例えば
図4に示されるように、施工
図100に示されたダンパVD1と対応する位置に90度、ダンパVD2と対応する位置に64度、ダンパVD3と対応する位置に55度、ダンパVD4と対応する位置に48度と記録する。また、施工
図100に示されたダンパVD5と対応する位置に90度、ダンパVD6と対応する位置に68度、ダンパVD7と対応する位置に57度、ダンパVD8と対応する位置に52度と記録する。なお、
図4においては、説明の便宜上、空調機10、給気ダクト20及び吹出口30の図示を省略している。
【0025】
次に、ダンパVD1〜VD8を最適な開度に調整する(ステップS3)。具体的には、ダンパVD1〜VD8に取り付けられたハンドルを回転させることにより、ステップS2において施工
図100のダンパVD1〜VD8と対応する位置に記録した最適な開度となるように、実際のダンパVD1〜VD8の開度を調整する。このとき、ダンパVD1〜VD8に調整後の最適な開度をマーキングすることが好ましい。これにより、ダンパVD1〜VD8の開度を調整後の最適な開度から他の開度に変更した場合であっても、施工
図100を確認することなく、ダンパVD1〜VD8の開度を最適な開度に調整することができる。
【0026】
次に、ダンパVD1〜VD8を設置する(ステップS4)。具体的には、分岐ダクト46A〜46Hの各々にダンパVD1〜VD8を設置する。
【0027】
以上により、空調システム1におけるダンパVDを調整し、設置することができる。
【0028】
次に、空調システムの試運転を行う(ステップS5)。具体的には、空調機10を稼働させることにより、空調機10で空調処理された空気を吹出口30から所定の室R内に下方に向かって吹き出し、所定の室R内の空気を吸込口50に吸い込み、還気ダクト40を介して空調機10へ戻す。このとき、各吸込口50での風量を測定し、測定した風量が所望の風量となっていることを確認する。
【0029】
以上により、空調システムを施工することができる。
【0030】
(ダンパの開度の算出方法)
一実施形態に係るダンパVDの開度の算出方法について、第1の主ダクト41に接続された分岐ダクト46A〜46Dに設けられた4つのダンパVD1〜VD4の最適な開度を算出する場合を例に挙げて説明する。一実施形態においては、ダンパVD1の開度を全開(90度)に固定し、ダンパVD2〜VD4の最適な開度を算出する。
【0031】
最初に、ダンパVD2の最適な開度を算出する方法について、
図5に基づき説明する。
図5は、ダンパの最適な開度の算出方法を説明するためのフローチャートであり、ダンパVD2の最適な開度の算出方法を示している。
【0032】
まず、ダンパVD1の開度を90度としたときの吸込口50Aの位置(位置A)と第1の主ダクト41における所定の位置(位置Z)との間の圧力損失(第1の圧力損失)を算出する(ステップS11)。具体的には、位置Aと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Aの圧力損失と、開度を90度としたときのダンパVD1の圧力損失との和を算出する。位置Aと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Aの圧力損失は、位置Aと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Aを構成する複数のダクト部材の圧力損失を合計したものである。複数のダクト部材は、例えば直管、曲げ配管、合流管、変形管等である。
複数のダクト部材の圧力損失は、以下の数式(1)を用いて算出する。
【0033】
ΔPt
x=ζ
x・(v
x2/2)・ρ (1)
ここで、ΔPt
xはダクト部材の圧力損失(Pa)であり、ζ
xはダクト部材の抵抗係数であり、v
xは風速であり、ρは空気の密度である。風速v
xは設計風量とダクト部材の断面積から求めることができる。
【0034】
空調設備の施工設計図には、設計風量に加え、吸込口50Aの位置(位置A)から所定の位置(位置Z)に至る経路を構成するダクト部材の断面形状・断面サイズ・長さ・材質、継手の種類(曲げ・合流・分流・変形等)が記載されている。ρが一定の条件(1.2kg/m
3)とすれば、風速v
xは、施工設計図に記載された断面サイズ(例えば、断面が丸形状の場合は直径、断面が矩形状の場合は縦と横の寸法)から求めることができる。なお、抵抗係数ζ
xは、施工設計図に記載されたダクト部材の形状情報を基に、空気調和衛生工学便覧や建築設備設計基準(国土交通省)等を参照して入手する。
【0035】
上記の数式(1)を用いて、位置Aから位置Zに至る経路にあるダクト部材の圧力損失をそれぞれ算出する。そして、ダンパVD1を除く、位置Aから位置Zに至る経路を構成するダクト部材の圧力損失の合計は、例えば
図6に示されるように、経路ごとの圧力損失を示す経路表としてまとめられる。各経路におけるそれぞれのダンパVDに必要な圧力損失の差は、この経路表に基づいて算出することができる。つまり、施工設計図に記載された情報を基にして、事前に圧力損失を算出する。そして、この圧力損失の値に基づいて、ダンパVDの抵抗係数とダンパVDの開度との関係を示す、ダンパVDの特性曲線を参照して、ダンパVDの開度を算出する。これを後述するように経路中の各ダンパVDについて順々に行うことにより、風量調整の作業を行う前に、各ダンパVDの開度を事前に求めることができる。一実施形態では、位置Aと位置Zとの間の圧力損失は41.7Paである。
【0036】
開度を90度としたときのダンパVD1の圧力損失は、使用するダンパに応じて定められる値であり、例えば
図7に示されるように、ダンパVD1の仕様書等を参照することにより取得することができる。一実施形態では、開度を90度としたときのダンパVD1の圧力損失は2.9Paである。よって、第1の圧力損失は、44.6Pa(41.7Pa+2.9Pa)である。
【0037】
次に、ダンパVD2の開度を90度としたときの吸込口50Bの位置(位置B)と第1の主ダクト41における所定の位置(位置Z)との間の圧力損失(第2の圧力損失)を算出する(ステップS12)。具体的には、位置Bと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Bの圧力損失と、開度を90度としたときのダンパVD2の圧力損失との和を算出する。位置Bと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Bの圧力損失は、位置Bと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Bを構成する複数の部材の圧力損失を合計したものである。位置Bと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Bを構成する複数の部材の圧力損失の合計は、例えば
図6に示されるように、経路ごとの圧力損失を示す経路表によって確認することができる。一実施形態では、位置Bと位置Zとの間の圧力損失は34.0Paである。開度を90度としたときのダンパVD2の圧力損失は、使用するダンパに応じて定められる値であり、例えば
図7に示されるように、ダンパVD2の仕様書等を参照することにより取得することができる。一実施形態では、開度を90度としたときのダンパVD2の圧力損失は2.9Paである。よって、第2の圧力損失は、36.9Pa(34.0Pa+2.9Pa)である。
【0038】
次に、ステップS11で算出した第1の圧力損失と、ステップS12で算出した第2の圧力損失との差を算出する(ステップS13)。一実施形態では、第1の圧力損失と第2の圧力損失との差は、7.7Pa(44.6Pa−36.9Pa)である。
【0039】
次に、ダンパVD2の最適な圧力損失を算出する(ステップS14)。具体的には、ダンパVD2の開度を90度としたときの圧力損失と、ステップS13で算出した第1の圧力損失と第2の圧力損失との差との和を算出する。一実施形態では、ダンパVD2の最適な圧力損失は、10.6Pa(2.9Pa+7.7Pa)である。
【0040】
次に、ダンパVD2の最適な抵抗係数を算出する(ステップS15)。具体的には、ダンパVD2の圧力損失がステップS14で算出した最適な圧力損失となるような抵抗係数を以下の数式(2)を用いて算出する。
【0041】
ΔPt
2=ζ
2・(v
22/2)・ρ (2)
ここで、ΔPt
2はダンパVD2の圧力損失(Pa)であり、ζ
2はダンパVD2の抵抗係数であり、v
2はダンパVD2における風速(m/s)であり、ρは空気の密度(kg/m
3)である。一実施形態では、v
2=3.125m/s、ρ=1.2kg/m
3とすると、ΔPt
2はステップS14により10.6Paであるので、数式(2)を用いると、ダンパVD2の抵抗係数ζ
2は1.8となる。
【0042】
次に、ダンパVD2の最適な開度を算出する(ステップS16)。具体的には、例えば
図2に示されるように、ダンパVD2の抵抗係数とダンパVD2の開度との関係を示す特性曲線に基づいて、ダンパVD2の抵抗係数がステップS15で算出した最適なダンパVD2の抵抗係数となるときのダンパVD2の開度を算出する。一実施形態では、ダンパVD2の抵抗係数が1.8となるときのダンパVD2の開度は64度である。
【0043】
以上により、ダンパVD2の最適な開度を算出することができる。
【0044】
続いて、ダンパVD3の最適な開度を算出する方法について、
図8に基づき説明する。
図8は、ダンパの最適な開度の算出方法を説明するためのフローチャートであり、ダンパVD3の最適な開度の算出方法を示している。
【0045】
まず、ダンパVD1の開度を90度としたときの吸込口50Aの位置(位置A)と第1の主ダクト41における所定の位置(位置Z)との間の圧力損失(第1の圧力損失)を算出する(ステップS21)。ステップS21は、ステップS11と同様とすることができるため、説明を省略する。
【0046】
次に、ダンパVD3の開度を90度としたときの吸込口50Cの位置(位置C)と第1の主ダクト41における所定の位置(位置Z)との間の圧力損失(第3の圧力損失)を算出する(ステップS22)。具体的には、位置Cと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Cの圧力損失と、開度を90度としたときのダンパVD3の圧力損失との和を算出する。位置Cと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Cの圧力損失は、位置Cと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Cを構成する複数の部材の圧力損失を合計したものである。位置Cと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Cを構成する複数の部材の圧力損失の合計は、例えば
図6に示されるように、経路ごとの圧力損失を示す経路表によって確認することができる。一実施形態では、位置Cと位置Zとの間の圧力損失は22.8Paである。開度を90度としたときのダンパVD3の圧力損失は、使用するダンパに応じて定められる値であり、例えば
図7に示されるように、ダンパVD3の仕様書等を参照することにより取得することができる。一実施形態では、開度を90度としたときのダンパVD3の圧力損失は2.9Paである。よって、第3の圧力損失は、25.7Pa(22.8Pa+2.9Pa)である。
【0047】
次に、ステップS21で算出した第1の圧力損失と、ステップS22で算出した第3の圧力損失との差を算出する(ステップS23)。一実施形態では、第1の圧力損失と第3の圧力損失との差は、18.9Pa(44.6Pa−25.7Pa)である。
【0048】
次に、ダンパVD3の最適な圧力損失を算出する(ステップS24)。具体的には、ダンパVD3の開度を90度としたときの圧力損失と、ステップS23で算出した第1の圧力損失と第3の圧力損失との差との和を算出する。一実施形態では、ダンパVD3の最適な圧力損失は、21.8Pa(2.9Pa+18.9Pa)である。
【0049】
次に、ダンパVD3の最適な抵抗係数を算出する(ステップS25)。具体的には、ダンパVD3の圧力損失がステップS24で算出した最適な圧力損失となるような抵抗係数を以下の数式(3)を用いて算出する。
【0050】
ΔPt
3=ζ
3・(v
32/2)・ρ (3)
ここで、ΔPt
3はダンパVD3の圧力損失(Pa)であり、ζ
3はダンパVD3の抵抗係数であり、v
3はダンパVD3部分における風速(m/s)であり、ρは空気の密度(kg/m
3)である。一実施形態では、v
3=3.125m/s、ρ=1.2kg/m
3とすると、ΔPt
3はステップS24により21.8Paであるので、数式(3)を用いると、ダンパVD3の抵抗係数ζ
3は3.7となる。
【0051】
次に、ダンパVD3の最適な開度を算出する(ステップS26)。具体的には、例えば
図2に示されるように、ダンパVD3の抵抗係数とダンパVD3の開度との関係を示す特性曲線に基づいて、ダンパVD3の抵抗係数がステップS25で算出した最適なダンパVD3の抵抗係数となるときのダンパVD3の開度を算出する。一実施形態では、ダンパVD3の抵抗係数が3.7となるときのダンパVD3の開度は55度である。
【0052】
以上により、ダンパVD3の最適な開度を算出することができる。
【0053】
続いて、ダンパVD4の最適な開度を算出する方法について、
図9に基づき説明する。
図9は、ダンパの最適な開度の算出方法を説明するためのフローチャートであり、ダンパVD4の最適な開度の算出方法を示している。
【0054】
まず、ダンパVD1の開度を90度としたときの吸込口50Aの位置(位置A)と第1の主ダクト41における所定の位置(位置Z)との間の圧力損失(第1の圧力損失)を算出する(ステップS31)。ステップS31は、ステップS11と同様とすることができるため、説明を省略する。
【0055】
次に、ダンパVD4の開度を90度としたときの吸込口50Dの位置(位置D)と第1の主ダクト41における所定の位置(位置Z)との間の圧力損失(第4の圧力損失)を算出する(ステップS32)。具体的には、位置Dと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Dの圧力損失と、開度を90度としたときのダンパVD4の圧力損失との和を算出する。位置Dと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Dの圧力損失は、位置Dと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Dを構成する複数の部材の圧力損失を合計したものである。位置Dと位置Zとの間に設けられた第1の主ダクト41及び分岐ダクト46Dを構成する複数の部材の圧力損失の合計は、例えば
図6に示されるように、経路ごとの圧力損失を示す経路表によって確認することができる。一実施形態では、位置Dと位置Zとの間の圧力損失は10.0Paである。開度を90度としたときのダンパVD4の圧力損失は、使用するダンパに応じて定められる値であり、例えば
図7に示されるように、ダンパVD4の仕様書等を参照することにより取得することができる。一実施形態では、開度を90度としたときのダンパVD4の圧力損失は2.9Paである。よって、第4の圧力損失は、12.9Pa(10.0Pa+2.9Pa)である。
【0056】
次に、ステップS31で算出した第1の圧力損失と、ステップS32で算出した第4の圧力損失との差を算出する(ステップS33)。一実施形態では、第1の圧力損失と第4の圧力損失との差は、31.7Pa(44.6Pa−12.9Pa)である。
【0057】
次に、ダンパVD4の最適な圧力損失を算出する(ステップS34)。具体的には、ダンパVD4の開度を90度としたときの圧力損失と、ステップS33で算出した第1の圧力損失と第4の圧力損失との差との和を算出する。一実施形態では、ダンパVD4の最適な圧力損失は、34.6Pa(2.9Pa+31.7Pa)である。
【0058】
次に、ダンパVD4の最適な抵抗係数を算出する(ステップS35)。具体的には、ダンパVD4の圧力損失がステップS34で算出した最適な圧力損失となるような抵抗係数を以下の数式(4)を用いて算出する。
【0059】
ΔPt
4=ζ
4・(v
42/2)・ρ (4)
ここで、ΔPt
4はダンパVD4の圧力損失(Pa)であり、ζ
4はダンパVD4の抵抗係数であり、v
4はダンパVD4部分における風速(m/s)であり、ρは空気の密度(kg/m
3)である。一実施形態では、v
4=3.125m/s、ρ=1.2kg/m
3とすると、ΔPt
4はステップS34により34.6Paであるので、数式(4)を用いると、ダンパVD4の抵抗係数ζ
4は5.9となる。
【0060】
次に、ダンパVD4の最適な開度を算出する(ステップS36)。具体的には、例えば
図2に示されるように、ダンパVD4の抵抗係数とダンパVD4の開度との関係を示す特性曲線に基づいて、ダンパVD4の抵抗係数がステップS35で算出した最適なダンパVD4の抵抗係数となるときのダンパVD4の開度を算出する。一実施形態では、ダンパVD4の抵抗係数が5.9となるときのダンパVD4の開度は48度である。
【0061】
以上により、ダンパVD4の最適な開度を算出することができる。
【0062】
以上、ダンパVDの最適な開度の算出方法について、第1の主ダクト41に接続された分岐ダクト46A〜46Dに設けられたダンパVD1〜VD4の最適な開度を算出する場合を例に挙げて説明した。なお、第2の主ダクト42に接続された分岐ダクト46E〜46Hに設けられたダンパVD5〜VD8の最適な開度は、前述の方法と同様に算出することができるので、説明を省略する。
【0063】
以上に説明したように、一実施形態に係るダンパVDの調整方法では、空調システム1を稼働させる前に、還気ダクト40における所定の位置Zと、還気ダクト40に接続された複数の吸込口50の各々との間の圧力損失に基づいて、ダンパVDの開度を算出する。また、算出した開度にダンパVDの開度を調整する。これにより、空調システム1を稼働させる前に容易かつ精度よくダンパVDを調整することができる。その結果、容易かつ精度よく各吸込口50の風量を調整することができる。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0065】
上記の実施形態では、還気ダクト40に設けられたダンパVDを調整して吸込口50の風量を調整する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、給気ダクト20に設けられたダンパを調整して吹出口30の風量を調整する場合であっても、上記のダンパの調整方法を適用することができる。なお、吸込口50及び吹出口30は、制気口の一例である。
【0066】
上記の実施形態では、還気ダクト40が2つの主ダクト(第1の主ダクト41、第2の主ダクト42)に分岐している場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。還気ダクト40は、3つ以上の主ダクトに分岐していてもよく、分岐していなくてもよい。
【0067】
上記の実施形態では、8つの吸込口50A〜50Hが設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。吸込口50は、2つ以上であればよく、7つ以下であってもよく、9つ以上であってもよい。
【0068】
上記の各実施形態では、8つの吹出口30が設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、吹出口30は、1つ以上であればよく、7つ以下であってもよく、9つ以上であってもよい。
【0069】
上記の各実施形態では、風量調整ダンパの抵抗係数と風量調整ダンパの開度との関係を示す特性曲線が仕様書等を参照することにより取得することができる場合を例に挙げて説明したが、一般に安価なダンパを使用する場合には、風量調整ダンパの特性曲線は、仕様書等に示されていない。なお、原子力設備等の重要設備の場合、使用されるダンパが特殊であるため、仕様書等に風量調整ダンパの特性曲線が示される場合も考えられるが、この特性曲線は風量を求めるために使用されるものである。
【0070】
そこで、本発明の一実施形態では、以下の測定装置及び測定方法を使用して、風量調整ダンパの特性曲線を測定する。これにより、風量調整ダンパの仕様書等を参照しても風量調整ダンパの特性曲線を取得することができない場合や風量調整ダンパの特性曲線のデータの点数が少ない場合であっても、高い精度で風量調整ダンパの抵抗係数と風量調整ダンパの開度との関係を示す特性曲線を取得することができる。
【0071】
以下、風量調整ダンパの特性曲線を取得するための測定装置及び測定方法について、
図10及び
図11に基づき説明する。
図10は、風量調整ダンパの特性曲線を取得するための測定装置の一例を示す概略図である。
【0072】
図10に示されるように、圧力損失測定装置200は、仮設ダクト210と、仮設ダクト220と、風量調整ダンパ230と、仮設ファン240と、風速計250と、圧力測定手段260とを有する。圧力損失測定装置200では、仮設ファン240で送風し、特性曲線を取得したい風量調整ダンパ(以下「検体ダンパVD」という。)の開度を全開にした状態で、所定の風量(設計風量)になるように風量調整ダンパ230を調整する。このとき、風速計250により仮設ダクト210内の風速を測定し、圧力測定手段260により検体ダンパVDの前後における全圧差(Pa)を測定し、以下の数式(5)を用いて、特定のダンパ開度における検体ダンパVDの抵抗係数ζを算出することができる。
【0073】
ζ=ΔPt/((v
2/2)・ρ) (5)
ここで、ΔPtは検体ダンパVDの圧力損失(Pa)であり、ζは検体ダンパVDの抵抗係数であり、vは風速(m/s)であり、ρは空気の密度(kg/m
3)である。
【0074】
仮設ダクト210は、検体ダンパVDの一端に接続されている。
【0075】
仮設ダクト220は、検体ダンパVDの他端に接続されており、フレキシブルダクト221を含む。
【0076】
風量調整ダンパ230は、仮設ダクト220の検体ダンパVDと反対側の端部に接続されている。風量調整ダンパ230は、風量を調整する機能を有する。
【0077】
仮設ファン240は、風量調整ダンパ230の仮設ダクト220と反対側の端部に接続されている。仮設ファン240は、送風する機能を有する。
【0078】
風速計250は、仮設ダクト210の検体ダンパVDと反対側の端部に取り付けられている。風速計250は、仮設ダクト210内の風速(出口空気の風速)を測定する機能を有する。風速計250の種類は特に限定されないが、例えば熱式、翼車(ベーン)式、超音波式、ピトー管式の風速計であってもよい。
【0079】
圧力測定手段260は、仮設ダクト210及び仮設ダクト220に取り付けられている。圧力測定手段260は、仮設ダクト210に取り付けられたピトー管261及び水柱マノメータ262と、仮設ダクト220に取り付けられたピトー管263及び水柱マノメータ264と、ゲージ板265とを含む。圧力測定手段260では、水柱マノメータ262と水柱マノメータ264との間の水位差を測定することにより、検体ダンパVDの前後の圧力差を算出する。即ち、検体ダンパVDの圧力損失を算出する。
【0080】
図11は、風量調整ダンパの特性曲線を取得する方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0081】
まず、検体ダンパVDのサイズ及び所定の風量(設計風量)に基づいて、検体ダンパVDの特性曲線を取得する風速を算出する(ステップS101)。
【0082】
次に、検体ダンパVDの開度を全開にし(ステップS102)、風量調整ダンパ230の開度を全開にする(ステップS103)。
【0083】
次に、仮設ファン240を動作させることにより送風を開始し(ステップS104)、風速計250により仮設ダクト210内の風速vを測定する(ステップS105)。
【0084】
次に、ステップS105において測定した風速vがステップS101において算出した風速になるように風量調整ダンパ230を調整する(ステップS106)。
【0085】
次に、水柱マノメータ262及び水柱マノメータ264の水位差を測定することにより、検体ダンパVDの圧力損失ΔPt(Pa)を算出する(ステップS107)。具体的には、水柱マノメータ262及び水柱マノメータ264の水位差を測定することにより、検体ダンパVDの圧力損失ΔPt(Pa)を算出する。このとき、1mmAq=9.81Paにより、圧力損失の単位をmmAqからPaに変換する。
【0086】
次に、前述した数式(5)を用いて、検体ダンパVDの抵抗係数ζを算出する(ステップS108)。
【0087】
次に、検体ダンパVDの開度を所定角度だけ大きい開度に調整する(ステップS109)。所定角度は、取得したい特性曲線に応じて定められる角度であり、例えば5度とすることができる。
【0088】
次に、ステップS107と同様の方法により、検体ダンパVDの圧力損失ΔPt(Pa)を算出し(ステップS110)、ステップS105と同様の方法により、仮設ダクト210内の風速vを測定する(ステップS111)。続いて、ステップS108と同様の方法により、検体ダンパVDの抵抗係数ζを算出する(ステップS112)。
【0089】
次に、検体ダンパVDの開度が全閉(90度)であるか否かを判定する(ステップS113)。
【0090】
ステップS113において、検体ダンパVDの開度が全閉であると判定された場合、測定を終了する。ステップS113において、検体ダンパVDの開度が全閉でないと判定された場合、ステップS109へ戻り、検体ダンパVDの開度が全閉となるまで測定を繰り返す。
【0091】
以上のステップにより、設計風量とダクトのサイズが判っていることから、検体ダンパVDの開度を順次変更することで、検体ダンパVDの特定開度における抵抗係数を算出することができ、ダンパ開度に応じた抵抗係数が求めることができ、
図2に示されるような、検体ダンパVDの抵抗係数と検体ダンパVDの開度との関係を示す特性曲線を取得することができる。