(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学式1のAは、ベンゾフラニレン、ベンゾチオフェニレン、イソベンゾフラニレン、ベンゾイミダゾリレン、ベンゾチアゾリレン、ベンゾイソチアゾリレン、ベンゾイソオキサゾリレン、ベンゾオキサゾリレン、ベンゾオキサジアゾリレン、イソインドリレン、インドリレン、インダゾリレン、ベンゾチアジアゾリレン、キノリレン、イソキノリレン、シンノリニレン、キナゾリニレン、キノキサリニレン、カルバゾリレン、ベンゾカルバゾリレン、フェナントリジニレン、ベンゾジオキソリレン、ジベンゾフラニレン、ジベンゾチオフェニレン、チアジアゾロピリジニレン、及びチアジアゾロナフトチアジアゾリレンから選択されるベンゾ縮合環系有機ラジカルであり、ピロロイミダゾリレン、ピロロピラゾリレン、及びピロロピロールジオニレンから選択されるピロール縮合環系有機ラジカルであることができ、前記縮合環系有機ラジカルは、ヒドロキシ、シアノ、(C1‐C7)アルキル、(C1‐C7)アルコキシ、(C6‐C12)アリール、及び(C6‐C12)アル(C1‐C7)アルキルから選択される1つ以上の置換基でさらに置換されることができる、請求項1に記載の重合体。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による新規な重合体及びその製造方法、並びにそれを含有する有機光電子素子について以下に後述するが、ここで用いられる技術用語及び科学用語は、他に定義しない限り、この発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明において本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知機能及び構成についての説明は省略する。
【0028】
本発明者らは、フッ素調節された特定繰り返し単位を含むことで、重合体の溶解度及び酸化安定性などの化学的物性が驚くほど向上し、分子間のスタッキングにより高い電荷移動度を誘導することができることを見出し、本発明を成すに至った。
【0029】
また、本発明は、比較的簡単な工程により合成可能な前記フッ素調節された特定繰り返し単位と、高選択的にこれを得ることができる新規な製造方法を提供する。
【0030】
本発明によるフッ素調節された特定繰り返し単位を含む重合体は、適切な電子供与体または電子受容体を含む繰り返し単位と重合され、分子内相互作用を用いることで、安定したHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)、LUMO(Lowest Occupied Molecular Orbital)準位で高効率の有機光電子素子を提供することができる。特に、本発明によると、安定した光電変換特性を示し、その変化や効率に優れた有機光電子素子として有用に用いられることができる。
【0031】
本発明の一様態による重合体は、下記化学式1及び下記化学式2で表される繰り返し単位を含むことができる。
【0033】
【化7】
(化学式1及び化学式2中、
Z
1〜Z
4は、互いに独立して、O、SまたはSeであり;
R
1及びR
2は、互いに独立して、ハロゲン、(C1‐C30)アルキル、(C1‐C30)アルコキシ、(C6‐C30)アリールまたは(C3‐C30)ヘテロアリールであり;
Aは、フリレン、チオフェニレン、ピロリレン、イミダゾリレン、ピラゾリレン、チアゾリレン、チアジアゾリレン、イソチアゾリレン、イソオキサゾリレン、オキサゾリレン、オキサジアゾリレン、トリアジニレン、テトラジニレン、トリアゾリレン、テトラゾリレン、フラザニレン、ピリジレン、ピラジニレン、ピリミジニレン、及びピリダジニレンなどから選択されるヘテロアリレンの縮合環系有機ラジカルであり、前記縮合環系有機ラジカルは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1‐C30)アルキル、(C1‐C30)アルコキシ、(C6‐C30)アリール、及び(C6‐C30)アル(C1‐C30)アルキルから選択される1つ以上の置換基でさらに置換されることができ、前記縮合環系有機ラジカルは、=B‐、=N‐、‐O‐、‐S‐、‐P(=O)‐、‐C(=O)‐、‐Si‐及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことができ;
a及びbは、互いに独立して、0〜2の整数であり、前記a及びbが2である場合、R
1及びR
2は互いに同一でも異なっていてもよく;
p及びrは、互いに独立して、0〜3の整数であり;
qは1〜5の整数である。)
【0034】
本発明に記載の用語「アルキル」、「アルコキシ」及びその他の「アルキル」部分を含む置換体は、直鎖または分岐鎖の両方の形態を含む。また、本発明によるアルキル、アルコキシ及びその他のアルキル部分を含む置換体は、炭素数8以上の長鎖置換体であって、分岐鎖形態のものがより優先されるが、これの直鎖形態及び炭素数7以下の短鎖置換体の全ての形態も本発明の一様態であることはいうまでもない。
【0035】
また、本発明に記載の用語「アリール」は、1つの水素除去により芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、各環に、適切には4〜7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一または融合環系を含み、多数個のアリールが単一結合で連結されている形態も含む。本発明に記載の用語「ヘテロアリール」は、1つの水素除去により芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、B、N、O、S、P(=O)、Si及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む3〜8個の環原子を含む一環状または多環状芳香族炭化水素ラジカルであることができ、各環に、適切には3〜7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一または融合環系を含み、多数個のヘテロアリールが単一結合で連結されている形態も含む。この際、本発明に記載の用語「融合」及び「縮合」は、同一の意味で解釈されることができる。
【0036】
本発明に記載の用語「ヘテロアリレン」は、2つの水素除去により芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルを意味する。また、本発明に記載の用語「縮合環系有機ラジカル」は、上述のヘテロアリレンから誘導される単一または融合環系を含む。尚、本発明による縮合環系有機ラジカルは、好ましくは、上述のヘテロアリレンから誘導されるベンゾ縮合環系有機ラジカルまたはピロール縮合環系有機ラジカルなどであることができる。
【0037】
本発明の一様態による前記化学式1で表される繰り返し単位のAは、高い分子吸光係数と広い吸収波長を有するという点で、好ましくは、ベンゾフラニレン、ベンゾチオフェニレン、イソベンゾフラニレン、ベンゾイミダゾリレン、ベンゾチアゾリレン、ベンゾイソチアゾリレン、ベンゾイソオキサゾリレン、ベンゾオキサゾリレン、ベンゾオキサジアゾリレン、イソインドリレン、インドリレン、インダゾリレン、ベンゾチアジアゾリレン、キノリレン、イソキノリレン、シンノリニレン、キナゾリニレン、キノキサリニレン、カルバゾリレン、ベンゾカルバゾリレン、フェナントリジニレン、ベンゾジオキソリレン、ジベンゾフラニレン、ジベンゾチオフェニレン、チアジアゾロピリジニレン、チアジアゾロナフトチアジアゾリレンなどのベンゾ縮合環系有機ラジカルや、ピロロイミダゾリレン、ピロロピラゾリレン、ピロロピロールジオニレンなどのピロール縮合環系有機ラジカルであることができ、前記縮合環系有機ラジカルは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1‐C7)アルキル、(C1‐C7)アルコキシ、(C6‐C12)アリール、及び(C6‐C12)アル(C1‐C7)アルキルなどから選択される1つ以上の置換基でさらに置換されることができる。
【0038】
具体的に、前記化学式1で表される繰り返し単位のAは、下記構造から選択されるものであることができるが、これに限定されない。
【0039】
【化8】
(前記構造中、
Z
11〜Z
15は、互いに独立して、O、SまたはSeであり;
R
21〜R
24は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1‐C30)アルキル、(C1‐C30)アルコキシ、(C6‐C30)アリール、または(C6‐C30)アル(C1‐C30)アルキルであり;
R
25〜R
28は、互いに独立して、ハロゲン、(C1‐C30)アルキル、(C1‐C30)アルコキシ、(C6‐C30)アリールまたは(C3‐C30)ヘテロアリールであり;
a及びbは、互いに独立して、0〜2の整数であり、前記a及びbが2である場合、R
25〜R
28は互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0040】
また、本発明の一様態による重合体のZ
1〜Z
4は、互いに独立して、OまたはSであることができ、固体上でπ‐πスタッキングにより高い電荷移動度を誘導することで、より向上した光電変換特性を実現するという点で、下記構造から選択されるものであることがより好ましいが、これに限定されないことはいうまでもない。
【0042】
本発明の一様態による重合体の分子量は制限されないが、好ましくは、10,000〜1,000,000の範囲の重量平均分子量を有することができる。
【0043】
本発明は、上述の重合体の製造方法を提供する。以下、本発明の一様態による下記化学式3で表される重合体の製造方法を後述するが、これに限定されないことはいうまでもない。
【0044】
本発明の一様態による下記化学式3で表される重合体は、下記化学式4で表される化合物と下記化学式5で表される化合物とを反応させることで製造されることができる。
【0047】
【化12】
(前記化学式3〜化学式5中、
Z
1〜Z
4は、互いに独立して、O、SまたはSeであり;
R
1及びR
2は、互いに独立して、ハロゲン、(C1‐C30)アルキル、(C1‐C30)アルコキシ、(C6‐C30)アリールまたは(C3‐C30)ヘテロアリールであり;
R
31〜R
33は、互いに独立して、水素または(C1‐C30)アルキルであり;
Aは、フリレン、チオフェニレン、ピロリレン、イミダゾリレン、ピラゾリレン、チアゾリレン、チアジアゾリレン、イソチアゾリレン、イソオキサゾリレン、オキサゾリレン、オキサジアゾリレン、トリアジニレン、テトラジニレン、トリアゾリレン、テトラゾリレン、フラザニレン、ピリジレン、ピラジニレン、ピリミジニレン、及びピリダジニレンなどから選択されるヘテロアリレンの縮合環系有機ラジカルであり、前記縮合環系有機ラジカルは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1‐C30)アルキル、(C1‐C30)アルコキシ、(C6‐C30)アリール、及び(C6‐C30)アル(C1‐C30)アルキルから選択される1つ以上の置換基でさらに置換されることができ、前記縮合環系有機ラジカルは、=B‐、=N‐、‐O‐、‐S‐、‐P(=O)‐、‐Si‐及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことができ;
X
1〜X
2は、互いに独立して、ハロゲンであり;
mは、2〜1,000から選択される整数であり;
a及びbは、互いに独立して、0〜2の整数であり、前記a及びbが2である場合、R
1及びR
2は互いに同一でも異なっていてもよく;
p及びrは、互いに独立して、0〜3の整数であり;
qは1〜5の整数である。)
【0048】
また、前記化学式5で表される化合物は、下記2つの製造方法により製造されることができる。
【0049】
先ず、下記反応式1の製造方法を説明する。
【0050】
【化13】
(反応式1中、
Z
1及びZ
2は、互いに独立して、O、SまたはSeであり;
R
31〜R
33は、互いに独立して、水素または(C1‐C30)アルキルであり;
R
41〜R
46は、互いに独立して、(C1‐C30)アルキルであり;
X
3〜X
5は、互いに独立して、塩素、臭素またはヨウ素である。)
【0051】
本発明の一様態による反応式1の製造方法は、具体的に、化合物6を出発物質として1つのハロゲン(フッ素を除く)を第1メタルベースを用いて除去し、フッ素化剤を反応させて1つのフッ素を導入した後、第2メタルベースを反応させて残りのハロゲン(フッ素を除く)を除去する反応により、フッ素含量が調節された化合物7を製造するステップと、前記化合物7を脱シリル化して化合物8を製造するステップと、前記化合物8をスズハライド化合物と反応させるステップと、を含むことができる。
【0052】
本発明の一様態による製造方法で用いられる溶媒は、通常の有機溶媒であれば限定されないが、メチルホルムアミド(DMF)、エタノール、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチレンクロリド(MC)、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼンなどから選択される1つ以上であることができる。
【0053】
また、本発明の一様態による製造方法において、反応温度は、通常の有機合成で用いられる温度であればよいが、反応時間、反応物質及び出発物質の量によって変わり得て、出発物質が完全に消費したことをTLCなどで確認してから反応を完結させる。反応が完結すると、抽出過程後に減圧下で溶媒を蒸留させてからカラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製してもよい。
【0054】
本発明の一様態による製造方法において、前記第1メタルベースは、化合物6の特定位置にただ1つのフッ素のみが置換されるように反応条件を調節することを特徴とする。この際、より高い収率で目的化合物を得るために、第1メタルベースの種類及び投入速度などを適宜調節できることはいうまでもなく、フッ素化剤をさらに投入する。この際、前記第1メタルベースとフッ素化剤は、前記化合物6を基準(1モル)として、1.0〜1.1モルの範囲で使用される。
【0055】
フッ素置換時に、無水条件下で−80〜0℃で第1メタルベースを投入し、ゆっくりと常温(23℃)に上げながら反応を行う。この際、前記第1メタルベースは、0.3〜2ml/minの速度で投入することが好ましいが、これに限定されない。
【0056】
前記フッ素置換の後、無水条件下で過量の第2メタルベースを投入し、残りのハロゲン(フッ素を除く)を除去すると同時に、両側に導入されたシリル基(保護基)を部分選択的に除去することができる。
【0057】
しかし、選択的な脱シリル化反応が同時に行われない場合、混合物から目的とする化合物7を分離精製することが非常に難しい。そこで、前記混合物から目的化合物7を効果的に分離精製するために、後に、塩基の存在下で選択的部分脱シリル化反応するステップをさらに含むことができる。
【0058】
この際、前記塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ピリジンなどから選択される1つ以上を使用することが好ましい。
【0059】
本発明の一様態による前記メタルベースは、メチルリチウム、n‐ブチルリチウム、t‐ブチルリチウム、フェニルリチウム、及びイソプロピルマグネシウムクロリド・リチウムクロリドなどから選択される1つ以上のアルキルリチウムであることができる。好ましくは、前記第1メタルベースと前記第2メタルベースは同じでも異なっていてもよく、n‐ブチルリチウム、t‐ブチルリチウムなどから選択されることができるが、これに制限されない。
【0060】
また、本発明の一様態による前記フッ素化剤は、ジエチルアミノサルファトリフルオリド、1‐フルオロ‐4‐ヒドロキシ‐1,4‐ジアゾニウムアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)、N‐フルオロピリジニウムピリジンヘプタフルオロジボレート、N‐フルオロベンゼンスルホンイミド、N‐フルオロ‐3,3‐ジメチル‐2,3‐ヒドロ‐1,2‐ベンゾチアゾール‐1,1‐ジオキシド、及びN‐フルオロオキサチアジノンジオキシドなどから選択される1つ以上であることができ、好ましくは、N‐フルオロピリジニウムピリジンヘプタフルオロジボレート、N‐フルオロベンゼンスルホンイミド、N‐フルオロ‐3,3‐ジメチル‐2,3‐ヒドロ‐1,2‐ベンゾチアゾール‐1,1‐ジオキシドなどから選択される1つ以上であることができるが、これに限定されるものではない。
【0061】
前記脱シリル化は、酸またはフルオリドイオンを用いて行うことができる。前記フルオリドイオンは、フッ化ナトリウム、テトラ‐n‐ブチルアルミニウムフルオリド、ピリジン‐ヒドロフルオリド、及びトリエチルアミン‐ヒドロフルオリドなどから選択される1つ以上から提供されることができるが、これに制限されない。
【0062】
次に、下記反応式2の製造方法を説明する。
【0063】
【化14】
(反応式2中、
Z
1及びZ
2は、互いに独立して、O、SまたはSeであり;
R
31〜R
33は、互いに独立して、水素または(C1‐C30)アルキルであり;
R
41〜R
46は、互いに独立して、(C1‐C30)アルキルであり;
X
5〜X
8は、互いに独立して、塩素、臭素またはヨウ素である。)
【0064】
前記反応式2の製造方法は、化合物10を出発物質として部分シリル化反応して化合物11を製造するステップと、前記化合物11をフッ素化剤と反応させて化合物12を製造するステップと、前記化合物12を塩基の存在下で選択的部分脱シリル化反応して化合物7を製造するステップと、前記化合物7を脱シリル化して化合物8を製造するステップと、前記化合物8をスズハライド化合物と反応させるステップと、を含むことができる。
【0065】
前記反応式2の製造方法を採用すると、より高い選択性及び収率でフッ素調節された繰り返し単位の単量体を提供することができるため、本発明で優先される。
【0066】
本発明は、上述のフッ素調節された特定繰り返し単位を含む重合体を含む有機光電子素子を提供する。この際、前記有機光電子素子は、これに制限されるものではないが、有機発光素子、有機太陽電池、有機感光体(OPC)、有機メモリー、及び有機トランジスタなどであることができる。
【0067】
本発明の一様態による有機光電子素子は、第1電極と、第1電極上に位置し、前記重合体を含む有機活性層と、前記有機活性層上に位置する第2電極と、を含むことができる。
【0068】
以下、本発明の一様態による有機太陽電池について説明する。
【0069】
前記基板は透明基板であることができる。透明基板はガラス基板またはプラスチック基板であることができ、本発明の有機太陽電池に用いてもよく、用いなくてもよい。
【0070】
前記第1電極は透明電極であることができ、またカソードであることができる。具体的に、ITO(Indium Tin Oxide)膜、IO(Indium Oxide)膜、TO(Tin Oxide)膜、FTO(Fluorinated Tin Oxide)膜、IZO(Indium Zinc Oxide)膜、またはZO(Znic Oxide)膜であることができる。また、前記第1電極と前記有機活性層との間に第1電荷輸送層をさらに形成することができる。また、前記有機活性層と前記第2電極との間に第2電荷輸送層をさらに形成することができる。前記第1電荷輸送層は正孔輸送層であることができる。例えば、PEDOT:PSS(poly(3,4‐ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate))層であることができる。
【0071】
前記有機活性層は、光を吸収してエキシトン(exiton)を生成する層であって、電子供与体(donor)物質と電子受容体(acceptor)物質を有することができ、本発明による重合体を含む。本発明による重合体を含むことで、有機活性層の結晶化度及び正孔移動度が著しく向上し、優れたエネルギー転換効率(power conversion efficiency、PCE)を有する有機太陽電池を提供することができる。また、前記有機活性層は、電子供与体物質と電子受容体物質が互いに混ざり合っているバルクへテロ接合(bulk heterojunction;BHJ)層であることができる。これと異なって、前記有機活性層は、順に積層された電子供与体物質層と電子受容体物質層を備えていてもよいことはいうまでもない。前記電子供与体物質は、本発明による前記化学式2のフッ素調節された繰り返し単位を含む重合体、代表的には化学式3で表される重合体であり、前記電子受容体物質は、フラーレン誘導体若しくは電子供与体よりLUMO準位が深い非フラーレン系単分子若しくは高分子物質であることができる。前記有機活性層は、前記電子供与体物質と前記電子受容体物質を溶媒に溶かした後、溶液工程により形成することができる。例えば、前記溶媒は、クロロホルム、クロロベンゼン(chrolobenzene)、ジクロロベンゼン(dichrolobenzene)、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどから選択される1つ以上であることができる。前記の溶媒に、1,8‐ジヨードオクタン、1‐クロロナフタレン、ジフェニルエーテルからなる群から選択される溶媒を添加剤として混合して用いることができる。
【0072】
前記有機活性層がバルクへテロ接合層である場合、前記電子受容体物質に対する前記電子供与体物質の混合濃度は、素子の特性に応じて多様に調節することができ、具体的には、1:0.5〜0.5:1の質量比を有することができる。前記溶液工程は、スピンコーティング(spin coating)法、インクジェット印刷(ink‐jet printing)法、またはスクリーン印刷(screen printing)法などであることができるが、これに制限されない。前記溶液工程により前記有機活性層を形成することで、高価の真空装置が不要であるため、工程コストを低減することができ、大面積の有機太陽電池の製作が実現可能である。
【0073】
また、前記基板上に形成された有機活性層を熱処理することができる。その結果、前記有機活性層は、前記電子供与体物質の結晶性を向上させることができる。前記熱処理は、80℃以上であれば制限されないが、80〜130℃、具体的に80〜110℃で行うことができる。
【0074】
前記第2電荷輸送層は、分離されていないエキシトンの拡散を防止するエキシトン阻止層(exiton blocking layer)であることができる。前記エキシトン阻止層はBPhen(bathophen‐anthroline)層であることができる。
【0075】
また、前記第2電極は光反射電極であることができ、またアノードであることができる。具体的に、前記第2電極は、前記第1電極に比べて仕事関数の低い金属電極であることができる。例えば、前記第2電極は、Al膜、Ca膜、Ag膜、またはMg膜であることができる。具体的には、前記第2電極は、仕事関数の低い金属であるCa膜と、伝導度に優れた金属であるAl膜との二重層であることができるが、これに限定されない。
【0076】
以下、下記の実施例で本発明をより詳細に説明するが、本発明の請求範囲がこの実施例に限定されるものではない。
【0077】
(実施例1)PDTNTTT‐1Fの製造
ステップ1‐A.3‐ブロモ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン(3‐bromo‐5,5’‐bis(trimethylsilyl)‐2,2’‐bithiophene)の製造
【化15】
窒素雰囲気下で3,5,5’‐トリブロモ‐2,2’‐ビチオフェン6.0g(14.9mmol)を無水のTHF溶媒100mlに溶かした後、溶液を−78℃に冷却し、この溶液に1.6Mのn‐BuLi19ml(30.5mmol)を10分間ゆっくりと滴下した。反応溶液を−78℃で1時間掻き混ぜた後、温度を徐々に常温に上げてさらに一時間攪拌した。次に、反応溶液をさらに−78℃に低めた後、トリメチルシリルクロリド3.9ml(30.7mmol)を一度に入れた。反応溶液を徐々に常温に上げながら15時間攪拌した。反応溶液に50mlの水を入れて反応を中止させ、ヘキサン溶媒で2回抽出した後、抽出液に無水のMgSO
4を入れて水分を除去してから、減圧下で溶媒を除去した。その後、ヘキサンを溶媒として使用したシリカゲルカラムを用いて3‐ブロモ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン4.70g(収率81%)を得た。
1H-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 7.52 (1H, d, J=4 Hz), 7.21 (1H, d, J=4 Hz), 7.11 (1H, s), 0.36 (9H, s), 0.34 (9H, s).
13C-NMR (100 Hz, CDCl
3, ppm): δ 141.8; 140.0; 139.9; 138.5; 137.4; 134.6; 128.0; 109.1.
【0078】
ステップ1‐B.3‐フルオロ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン(3‐fluoro‐5,5’‐bis(trimethylsilyl)‐2,2’‐bithiophene)の製造
【化16】
アルゴン雰囲気下で前記実施例1のステップ1‐Aで得られた3‐ブロモ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン4.70g(12.06mmol)を無水のTHF溶媒100mlに溶かした後、溶液を−78℃に冷却し、この溶液に1.6Mのn‐BuLi9.8ml(15.7mmol)を10分間ゆっくりと滴下し、同一温度で2時間攪拌した。20mlの無水THTに溶かした5.57gのN‐フルオロベンゼンスルホンイミド(14.47mmol)を反応溶液に入れた。反応溶液を徐々に常温に上げた後、15時間攪拌した。反応溶液に水を添加して反応を終了し、ヘキサンで2回抽出した有機層に無水のMgSO
4を入れて水分を除去してから、減圧下で溶媒を除去した。その後、ヘキサンを溶媒として使用したシリカゲルカラムを用いて3‐フルオロ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン3.09g(収率78%)を得た。この際、不純物として少量の前記5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェンを含む場合、目的化合物(3‐フルオロ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン)との分離が非常に難しいが、下記ステップ1‐Cを行うことで、その問題を効果的に解決した。
1H-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 7.31 (1H, d, J=4 Hz), 7.18 (1H, d, J=4 Hz), 6.96 (1H, s), 0.36 (9H, s), 0.33 (9H, s).
13C-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 155.96, 153.31, 140.21, 137.96, 136.79, 134.55, 125.74, 124.27.
【0079】
ステップ1‐C.3‐フルオロ‐5’‐トリメチルシリル‐2,2’‐ビチオフェン(3‐fluoro‐5’‐trimethylsilyl‐2,2’‐bithiophene)の製造
【化17】
前記実施例1のステップ1‐Bで得られた3‐フルオロ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン3.09g(9.41mmol)を2.54gの無水K
2CO
3(18.35mmol)が溶けている100mlのTHFと50mlのメタノールの混合溶媒に溶かした後、8時間常温で攪拌した。100mlの水を入れて過量のK
2CO
3を溶かした後、ヘキサンで有機層を抽出し、抽出した有機層に無水のMgSO
4を入れて水分を除去してから、減圧下で溶媒を除去して、薄い黄色オイル状の3‐フルオロ‐5’‐トリメチルシリル‐2,2’‐ビチオフェン2.35g(収率98%)を得た。この際、純度の高い出発物質(3‐フルオロ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン)を初期物質として使用したが、少量の5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェンを不純物として含んであり得る。しかし、反応後に不純物として存在する5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェンは、100%ヘキサンを溶媒とするシリカカラムにより容易に分離精製することができる。
1H-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 7.29 (1H, d, J=4 Hz), 7.17 (1H, m), 6.83 (1H, J=5.6 Hz), 0.34 (9H, s).
13C-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 154.8, 152.1, 140.3, 137.6, 134.5, 125.9, 121.6, 118.3.
【0080】
ステップ1‐D.3‐フルオロ‐5’‐(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン(3‐Fluoro‐5’‐(trimethylsilyl)‐2,2’‐bithiophene)の製造
【化18】
500mlの丸底フラスコで、5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐3,3’‐ジブロモ‐2,2’‐ビチオフェン10.0g(21.3mmol)をアルゴン雰囲気下で150mlの無水THT溶媒に溶かした後、溶液を−78℃に冷却させた。1.6Mのn‐BuLI溶液14.0ml(22.3mmol)を10分間滴下した後、1時間攪拌してから、30mlの無水THF溶媒30mlに溶かした6.7g(21.3mmol)のN‐フルオロベンゼンスルホンイミドを注射器により注入した。反応物を徐々に常温(23℃)になるまで15時間攪拌した。反応溶液に30mlの水を添加して反応を終了し、ジエチルエーテルを溶媒として抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させた後、短いシリカカラムを通過させ、回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。さらに真空で溶媒を除去した後、さらに150mlの無水THT溶媒に溶かし、溶液を−78℃に冷却させた。1.7Mのt‐BuLI溶液18.8ml(32.0mmol)を30分間滴下した後、1時間攪拌し、10mlの水を注射器により注入して反応を終了させた。反応溶液を常温になるようにした後、ジエチルエーテルを溶媒として抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させた後、回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。ヘキサン溶媒を使用したシリカカラムにより分離するか、クーゲルロール(Kugelrohr)装置を用いて蒸留する方法により3‐フルオロ‐5’‐(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン2.9g(収率53%)を得た。この際、シリル基(trimethylsilyl‐*)が選択的に除去されなく3‐フルオロ‐5,5’‐ビス(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェンが残っている場合、前記ステップ1‐Cの条件で追加反応を行った後、これをカラムやクーゲルロール装置を用いて目的化合物(3‐フルオロ‐5’‐(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン)を容易に分離精製することができる。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 7.29 (1H, d, J= 3.6); 7.16 (1H, d, J= 3.6); 7.05 (1H, dd, J
1= 3.7, J
2= 5.6); 6.83 (1H, d, J= 5.5); 0.33 (9H, s).
MS (EI): Calcd, 256.0; found M
+ 256.
【0081】
ステップ2.3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン(3‐Fluoro‐2,2’‐bithiophene)の製造
【化19】
250mlの丸底フラスコで、前記実施例1のステップ1‐Cまたは前記実施例1のステップ1‐Dで得られた3‐フルオロ‐5’‐(トリメチルシリル)‐2,2’‐ビチオフェン2.9g(11.3mmol)を無水THF100mlに溶かし、これに1Mのテトラブチルアンモニウムフルオリド溶液15ml(15mmol)を常温で入れて1時間攪拌して反応させた。その後、反応溶液に水を入れて反応を終了させた後、ジエチルエーテルを溶媒として抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させた後、回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。ヘキサン溶媒を使用したシリカカラムにより3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン1.85g(収率89%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 7.28 (1H, dd, J
1= 5.2, J
2= 1.1); 7.23 (1H, dd, J
1= 3.6, J
2= 1.1); 7.05 (2H, m); 6.84 (1H, d, J= 5.6).
13C-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 154.8; 152.2; 127.4; 125.0; 124.6; 121.5; 118.3; 118.1.
MS (EI): Calcd, 184.0; found M
+ 184.
【0082】
ステップ3.5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン(5,5’‐Bis(trimethylstannyl)‐3‐fluoro‐2,2’‐bithiophene)の製造
【化20】
250mlの丸底フラスコで、前記実施例1のステップ2で得られた3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン1.85g(10.0mmol)をアルゴン雰囲気下で100mlの無水THT溶媒に溶かした後、溶液を−78℃に冷却させた。溶液に2MのLDA溶液10.5ml(21mmol)を10分間滴下して入れ、1時間攪拌して反応させた後、THF溶媒に溶けている1Mのトリメチルスズクロリド22ml(22mmol)を速く注入した。反応物を徐々に常温になるまで15時間攪拌した。反応溶液に30mlの過飽和されたNH
4Clを添加して反応を終了させ、ジエチルエーテルを溶媒として抽出した。有機層を水で2回洗浄した後、無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を回転蒸発器と真空により除去した後、メタノールで再結晶して5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン3.1g(収率61%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 7.32 (1H, d, J= 3.3); 7.11 (1H, d, J= 3.4); 6.88 (1H, d, J= 1.3); 0.38 (18H, m).
13C-NMR (400 Hz, CDCl
3, ppm): δ 156.1; 153.5; 138.4; 137.4; 135.5; 134.7; 125.5; 125.2.
19F-NMR (470 MHz, CDCl
3): δ (ppm) -131.26.
MS (EI): Calcd, 509.9; found M
+ 510.
【0083】
ステップ4.PDTNTTT‐1Fの製造
【化21】
アルゴンで満たされたグローブボックスで冷却器付きの25mlの二口フラスコに、前記実施例1のステップ3で得られた5,10‐ビス(5‐ブロモ‐4‐(2‐デシルテトラデシル)チオフェン‐2‐イル)ナフト[1,2‐c:5,6‐c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール248mg(0.20mmol)と5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン102mg(0.20mol)、及びPd(PPh
3)
47mg(6μmol)を投入した。無水トルエン8mlと無水DMF2mlを注射器を用いて注入し、窒素雰囲気下で120℃を維持しながら24時間反応させた。反応溶液をメタノール溶媒に沈殿させた後、濾過して得た固体を少量のクロロベンゼンに溶かし、メタノールに2次沈殿させた。沈殿物をソックスレー抽出器に入れてメタノール、ジクロロメタンで洗浄した後、クロロホルムとクロロベンゼンで順に抽出した。クロロホルムとクロロベンゼンで抽出された溶液は、それぞれ溶媒を少量となるように除去した後、アセトンに沈殿させ、固体を真空で24時間乾燥することで、50mg(クロロホルムで抽出)及び184mg(クロロベンゼンで抽出)のPDTNTTT‐1F高分子を得た。クロロホルムで抽出されたものは、GPCにより下記の分子量を確認することができたが、クロロベンゼンで抽出されたものは、GPCのクロロホルムの分子量が高くて溶媒に溶けなかっため分子量を測定することができなかった。
GPC: M
n (217.1 kDa), M
w (583.4 kDa), PDI (2.69).
【0084】
(実施例2)PDPPTT‐1Fの製造
【化22】
アルゴンで満たされたグローブボックスで冷却器付きの25mlの二口フラスコに、3,6‐ビス(5‐ブロモチエニル)‐2,5‐ビス(2‐デシルテトラデシル)ピロロ[3,4‐c]ピロール‐1,4‐ジオン305mg(0.27mmol)と5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐3‐フルオロ‐2,2’‐ビチオフェン138mg(0.27mol)、及びPd(PPh
3)
49.3mg(8.1μmol)を投入した。無水トルエン10mlと無水DMF2.5mlを注射器を用いて注入し、窒素雰囲気下で105℃を維持しながら24時間反応させた。反応溶液をメタノール溶媒に沈殿させた後、濾過して得た固体を少量のクロロベンゼンに溶かし、メタノールに2次沈殿させた。沈殿物をソックスレー抽出器に入れてメタノール、ジクロロメタンで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。抽出された溶液の溶媒を少量となるように除去した後、アセトンに沈殿させてから、固体を真空で24時間乾燥することで、284mgのPDPPTT‐1F高分子を得た。
GPC: M
n (152.6 kDa), M
w (241.8 kDa), PDI (1.58).
【0085】
(比較例1)PDTNTTTの製造
【化23】
アルゴンで満たされたグローブボックスで、5mlのマイクロ波反応管に、5,10‐ビス(5‐ブロモ‐4‐(2‐デシルテトラデシル)チオフェン‐2‐イル)ナフト[1,2‐c:5,6‐c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール124mg(0.10mmol)と5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐2,2’‐ビチオフェン49mg(0.10mol)、Pd
2(dba)
31.8mg(2μmol)及びP(o‐Tol)
32.4mg(8μmol)を投入した。蓋をした後、無水のクロロベンゼン2mlを注射器を用いて注入し、反応管をマイクロ波反応器に入れ、150℃で70分間反応させた。反応溶液をメタノール溶媒に沈殿させた後、濾過して得た固体をソックスレー抽出器に入れてメタノール、ジクロロメタンで洗浄してから、クロロホルムとクロロベンゼンで順に抽出した。抽出された溶液の溶媒を少量となるように除去した後、アセトンに沈殿させてから、固体を真空で24時間乾燥することで、101mg(クロロホルムで抽出)及び11mg(クロロベンゼンで抽出)のPDTNTTT高分子を得た。
GPC: M
n (105.0 kDa), M
w (375.6 kDa), PDI (3.58).
【0086】
(比較例2)PDTNTTT‐2Fの製造
【化24】
アルゴンで満たされたグローブボックスで、5mlのマイクロ波反応管に、5,10‐ビス(5‐ブロモ‐4‐(2‐デシルテトラデシル)チオフェン‐2‐イル)ナフト[1,2‐c:5,6‐c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール124mg(0.10mmol)と5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐3,3’‐ジフルオロ‐2,2’‐ビチオフェン53mg(0.10mol)、Pd
2(dba)
31.8mg(2μmol)及びP(o‐Tol)
32.4mg(8μmol)を投入した。蓋をした後、無水のクロロベンゼン2mlを注射器を用いて注入し、反応管をマイクロ波反応器に入れ、130℃で10分及び150℃で60分間反応させた。反応溶液をメタノール溶媒に沈殿させた後、濾過して得た固体をソックスレー抽出器に入れてメタノール、ジクロロメタンで洗浄してから、クロロホルムで抽出した。抽出された溶液の溶媒を少量となるように除去した後、アセトンに沈殿させてから、固体を真空で24時間乾燥することで、118mgのPDTNTTT‐2F高分子を得た。
GPC: M
n (152.5 kDa), M
w (528.0 kDa), PDI (3.46).
【0087】
(比較例3)PDPPTTの製造
【化25】
アルゴンで満たされたグローブボックスで、冷却器付きの25mlの二口フラスコに、3,6‐ビス(5‐ブロモチエニル)‐2,5‐ビス(2‐デシルテトラデシル)ピロロ[3,4‐c]ピロール‐1,4‐ジオン226mg(0.20mmol)と5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐2,2’‐ビチオフェン98mg(0.20mol)、及びPd(PPh
3)
47mg(6μmol)を投入した。無水トルエン8mlと無水DMF3mlを注射器を用いて注入し、窒素雰囲気下で105℃を維持しながら24時間反応させた。反応溶液をメタノール溶媒に沈殿させた後、濾過して得た固体を少量のクロロベンゼンに溶かし、メタノールに2次沈殿させた。沈殿物をソックスレー抽出器に入れてメタノール、ジクロロメタンで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。抽出された溶液の溶媒を少量となるように除去した後、アセトンに沈殿させてから、固体を真空で24時間乾燥することで、218mgのPDPPTT高分子を得た。
GPC: M
n (91.1 kDa), M
w (153.4 kDa), PDI (1.68).
【0088】
(比較例4)PDPPTT‐2Fの製造
【化26】
アルゴンで満たされたグローブボックスで、マイクロ波反応管に、3,6‐ビス(5‐ブロモチエニル)‐2,5‐ビス(2‐デシルテトラデシル)ピロロ[3,4‐c]ピロール‐1,4‐ジオン226.3mg(0.20mmol)と5,5’‐ビス(トリメチルスタニル)‐3,3’‐ジフルオロ‐2,2’‐ビチオフェン105.6mg(0.20mol)、及びPd(PPh
3)
47mg(6μmol)を投入した。蓋をした後、無水トルエン4mlと無水DMF1mlを注射器を用いて注入し、反応管をマイクロ波反応器に入れて、120℃で10分及び150℃で60分間反応させた。反応溶液をメタノール溶媒に沈殿させた後、濾過して得た固体をソックスレー抽出器に入れてメタノール、ジクロロメタンで洗浄してから、クロロホルムとクロロベンゼンで順に抽出した。クロロホルムとクロロベンゼンで抽出された溶液は、それぞれ溶媒を少量となるように除去した後、アセトンに沈殿させてから、固体を真空で24時間乾燥することで、30mg(クロロホルムで抽出)及び186mg(クロロベンゼンで抽出)のPDPPTT‐2F高分子を得た。クロロホルムで抽出されたものは、GPCにより下記の分子量を確認することができたが、クロロベンゼンで抽出されたものは、GPCのクロロホルムの分子量が高くて溶媒に溶けなかったため、分子量を測定することができなかった。
GPC: M
n (249.6 kDa), M
w (1,577.0 kDa), PDI (6.32).
【0089】
上記の方法により製造された重合体の光学的特性を測定して下記
図1〜
図2に示した。その結果によると、全体吸収(absorptions)は非常に類似であったが、
図5に示すように、フッ素のない重合体(例えば、PDTNTTT及びPDPPTT)に比べて、2つのフッ素を含む重合体(例えば、PDTNTTT‐2F及びPDPPTT‐2F)の場合、蒸留水を落として測定した水接触角が大きい。すなわち、フッ素の導入により、表面エネルギーが著しく低くなることを確認した。尚、フッ素基が調節されて1つのフッ素を含む本発明による重合体(例えば、PDTNTTT‐1F及びPDPPTT‐1F)の場合、フッ素のない重合体(例えば、PDTNTTT及びPDPPTT)と2つのフッ素が導入された重合体(例えば、PDTNTTT‐2F及びPDPPTT‐2F)との中間の接触角を示すことから、表面エネルギーも中間値を有することが分かる。すなわち、上述のような特定繰り返し単位を有する重合体は、表面エネルギーの微細な調節により、有機太陽電池の光活性層を形成する際に、ドナー高分子とアクセプター素材の最適化された光活性素材のモフォロジーを得ることにおいて重要な役割をすることが確認された。
【0090】
(実施例3)
有機太陽電池の製作
前記実施例1で合成された、クロロベンゼンで抽出したPDTNTTT‐1FとPC
71BMの混合物(PDTNTTT‐1F:PC
71BM=1:1.5重量比)及びキシレン/ジフェニルエーテル97/3(v/v)%溶媒を用いて光活性層溶液を製造した。濃度は2.0重量%に調節した。それぞれの重合体を含有した光電素子は、典型的なサンドイッチ構造(ITO/ZnO NPs/PEIE/重合体:PC
71BM/MoO
3/Ag)で製作された。ITOコーティングされたガラス基板を、通常の洗浄工程、洗浄剤中の超音波処理、蒸留水、アセトン及び2‐プロパノールによる洗浄により洗浄した。ITO面を30分間紫外線‐オゾンに露出させた後、厚さ30nmのZnO NPsをITO基板上にスピンコーティングした。そして、ZnO NPsが塗布された基板を、ホットプレート上で100℃で10分間ベークした。次に、厚さ5nmのPEIE層を、ZnO NPs層上に塗布した後、溶媒を蒸発するためにホットプレート上で100℃で10分間熱処理した。溶かした光活性層溶液をPTFEシリンジフィルタにより濾過した後、ITO/ZnO NPs/PEIE上にスピンコーティングした。スピンコーティング工程時に、基板と溶液の温度は100℃に維持しながら光活性層を基板に塗布させた。得られた素子構造体の高分子活性層上に、熱蒸着器中3×10
−6torrの真空下で、厚さ10nmのMoO
3及び最上部電極として厚さ100nmのAg電極を蒸着することで、有機太陽電池を完成した。
【0091】
前記方法により製造された有機太陽電池のそれぞれの光電流密度‐電圧(J‐V)特性は、Newport 1000W solar simulatorにより100mW/cm
2(AM1.5G)の太陽光を模擬した照明下で測定した。電気的データをKeithley 236 source‐measure unitを用いて記録し、全ての特性を室温大気状態で測定した。照度を、NREL(National Renewable Energy Labortary)で補正されたPV measurements Inc.の標準Siフォトダイオード検出器により補正した。IPCE(incident photon‐to‐current conversion efficiency)を、光源としてキセノンランプを備えた300〜900nm(PV measurement Inc.)の範囲の波長関数として測定し、シリコン標準フォトダイオードを用いて補正した。薄膜の厚さは、KLA Tencor Alpha‐step IQ surface profilometerで測定した(正確度±1nm)。
【0092】
その結果を下記表1にまとめて示した。すなわち、開放電圧(open circuit voltage、V
oc)、短絡電流密度(short‐circuit current density、J
sc)、フィルファクタ(fill factor、FF)、及びエネルギー転換効率(power conversion efficiency、PCE)の光電パラメータ(photovoltaic parameter)を表1にまとめて示した。また、実施例3の電圧−電流密度特性グラフと外部量子効率グラフを
図3に示した。
【0093】
前記光電パラメータのうち、フィルファクタ及びエネルギー転換効率は下記式1及び式2により算出された。
【0094】
[式1]
フィルファクタ=(V
mp×I
mp)/(V
oc×J
sc)
(前記式1中、V
mpは最大電力点での電圧値であり、I
mpは電流密度であり、V
ocは開放電圧であり、J
scは短絡電流密度である。)
【0095】
[式2]
エネルギー転換効率=(フィルファクタ)×(J
sc×V
oc)/100
(前記式2中、J
scは短絡電流密度であり、V
ocは開放電圧である。)
【0096】
(実施例4)
前記実施例3における前記PDTNTTT‐1Fに代えて、PDPPTT‐1F(前記実施例2で合成されたクロロホルムで抽出したPDPPTT‐1F)とPC
71BMが混合された溶液(PDPPTT‐1F:PC
71BM=1:2重量比)をキシレン溶媒に溶解して光活性層溶液を製造した。この際、光活性層のスピンコーティング工程時に、基板と溶液の温度を常温に維持したことを除き、実施例3と同一の方法により有機太陽電池を完成した。
【0097】
前記方法により製造された有機太陽電池のそれぞれの光電流密度‐電圧(J‐V)特性を測定し、その結果を下記表1にまとめて示した。すなわち、開放電圧(open circuit voltage、V
oc)、短絡電流密度(short‐circuit current density、J
sc)、フィルファクタ(fill factor、FF)、及びエネルギー転換効率(power conversion efficiency、PCE)の光電パラメータ(photovoltaic parameter)を表1にまとめて示した。また、実施例4の電圧電流密度特性グラフと外部量子効率グラフを
図4に示した。
【0098】
(比較例5‐6)
前記実施例3における前記PDTNTTT‐1Fに代えて、比較例1(PDTNTTT)または比較例2(PDTNTTT‐2F)をそれぞれ含む溶液を使用したことを除き、同様の方法で行って有機太陽電池を完成した。
【0099】
前記方法により製造された有機太陽電池のそれぞれの光電流密度‐電圧(J‐V)特性を測定し、その結果を下記表1にまとめて示した。すなわち、開放電圧(open circuit voltage、V
oc)、短絡電流密度(short‐circuit current density、J
sc)、フィルファクタ(fill factor、FF)、及びエネルギー転換効率(power conversion efficiency、PCE)の光電パラメータ(photovoltaic parameter)を表1にまとめて示した。また、比較例5及び6の電圧−電流密度特性グラフと外部量子効率グラフを
図3に示した。
【0100】
(比較例7‐8)
前記実施例4における前記PDPPTT‐1Fに代えて、比較例3(PDPPTT)または比較例4(PDPPTT‐2F)をそれぞれ含む溶液を使用したことを除き、同様の方法で行って有機太陽電池を完成した。
【0101】
前記方法により製造された有機太陽電池のそれぞれの光電流密度‐電圧(J‐V)特性を測定し、その結果を下記表1にまとめて示した。すなわち、開放電圧(open circuit voltage、V
oc)、短絡電流密度(short‐circuit current density、J
sc)、フィルファクタ(fill factor、FF)、及びエネルギー転換効率(power conversion efficiency、PCE)の光電パラメータ(photovoltaic parameter)を表1にまとめて示した。また、比較例7及び8の電圧−電流密度特性グラフと外部量子効率グラフを
図4に示した。
【0103】
前記表1に示したように、本発明によるフッ素調節された重合体を採用することにより、比較例に比べてV
oc、J
sc、FF及びエネルギー転換効率(power conversion efficiency、PCE)が大きく増加することが分かる。特に、エネルギー転換効率において、フッ素が置換されていない重合体を採用した有機光電子素子に比べて、最大128%以上(実施例4vs比較例7)、フッ素が過量で含有された重合体を採用した有機光電子素子に比べて最大128%以上(実施例3vs比較例6)向上した効果を示すことが分かる。
【0104】
したがって、本発明によると、エネルギー転換効率を極大化することで、高い効率の有機光電子素子を提供することができるような低いバンドギャップ及び優れた結晶化特性を有し、平面性分子構造の分子間の効果的なスタッキング(stacking)により、優れた電荷(carrier)の移動特性を有する新規な重合体を提供することができる。