(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような金属のパネルは音を反射してしまい吸音性能が低く、騒音遮断が望まれるブースなどに用いることは好ましくなかった。よって、金属に代えて吸音性能の高い繊維などで上記のパネルを構築することも考えられる。しかし、繊維は逆に熱伝導性が低く表面を均一に加熱又は冷却することが困難であり、冷暖房性能が低下してしまう。そのため、吸音性能及び冷暖房性能が向上する、放射冷暖房システムの如き放射パネル、及びパーティションが要望されていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、吸音性能及び冷暖房性能が向上する放射パネル、及びパーティションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の放射パネルは、熱放射により居住空間の冷暖房を行う放射パネルであって、前記居住空間に対して対向配置された
1枚の表面材と、前記
1枚の表面材を挟む2つの空間のうち前記居住空間と反対側の空間に配置されており、前記
1枚の表面材との間に内包空間を形成する
1枚の裏面材と、前記内包空間に配置されており、加熱又は冷却を行う温度調整手段と、当該放射パネルを自立可能に支持する支持部と、を備え、前記
1枚の表面材は、前記
1枚の裏面材よりも高い熱伝導率を有する繊維で形成され、水平断面視において、当該放射パネルの軸断面から外側に突出する部分である凸部と突出していない部分である凹部とを幅方向に沿って連続的に繰り返す形状を有し、前記
1枚の裏面材は、水平断面視において、当該放射パネルの軸断面から外側に突出する部分である凸部と突出していない部分である凹部とを幅方向に沿って連続的に繰り返す形状を有し、前記温度調整手段を、前記
1枚の表面材の凸部に対応する位置に配置し、前記支持部を、
前記1枚の表面材の各凹部に対応する位置であり、且つ前記1枚の裏面材の各凹部に対応する位置に配置する。
【0007】
請求項2に記載の放射パネルは、請求項1に記載の放射パネルにおいて、前記
1枚の表面材は、超高分子量ポリエチレン繊維である。
【0008】
請求項3に記載の放射パネルは、請求項1又は2に記載の放射パネルにおいて、前記温度調整手段は、加熱又は冷却を行う冷温水管を備える。
【0009】
請求項4に記載の放射パネルは、請求項1から3のいずれか一項に記載の放射パネルにおいて、前記温度調整手段は、加熱を行う電熱線を備える。
【0010】
請求項5に記載の放射パネルは、請求項1から4のいずれか一項に記載の放射パネルにおいて、前記内包空間に、空気層、吸音材、又は断熱材を備える。
【0011】
請求項6に記載の
パーティションは、請求項1に記載の放射パネルを備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の放射パネルによれば、表面材は、裏面材よりも高い熱伝導率を有する繊維で形成されるため、繊維表面の細かい凹凸により音の反射を抑制できると共に、表面材が高い熱伝導率を有するため表面材に対して均一に熱を伝達でき、吸音性能及び冷暖房性能が向上する。
また、放射パネルを自立可能に支持する支持部を備えるので、放射パネルを自立させることができ、放射パネルを何らかの部材に吊り下げたり貼り付けたりせずに配置できるため、設置場所の自由度が向上する。
【0014】
請求項2に記載の放射パネルによれば、表面材は超高分子量ポリエチレン繊維であるため、表面材を極めて熱伝導率高い繊維で構成することができ、表面材に対してさらに均一に熱を伝達でき、冷暖房性能がさらに向上する。
【0015】
請求項3に記載の放射パネルによれば、温度調整手段は冷温水管であるため、簡素な構成で温度調整手段を構築でき、施工コストを削減できると共に、冷温水管の内部を流動する水の温度を調整することで容易に冷房及び暖房を切り替えることが可能であり、放射パネルの利便性が向上する。
【0016】
請求項4に記載の放射パネルによれば、温度調整手段は電熱線であるため、簡素な構成で温度調整手段を構築でき、施工コストを削減できると共に、電熱線の出力を調整することで容易に加熱温度を調整でき、放射パネルの利便性が向上する。
【0017】
請求項5に記載の放射パネルによれば、内包空間に、空気層、吸音材、又は断熱材を備えるので、これらの空気層、吸音材、断熱材により内包空間での音や熱の伝達を抑制することができ、吸音性能及び冷暖房性能がさらに向上する。
【0018】
請求項6に記載の
パーティションによれば、放射パネルを備えるパーティションであるため、吸音性能及び冷暖房性能の高いパーティションを構築でき、パーティションにより区画された空間の快適性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る放射パネル及びパーティションの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、放射パネルに関する。「放射パネル」とは、熱放射により居住空間の冷暖房を行うパネルである。この放射パネルは、居住空間の冷暖房を行うための任意の用途で使用できる。例えば、本実施の形態の放射パネルは、打合せブースを形成するパーティションに用いられる。ただし、これに限らず、放射パネルを椅子やテーブル等にも用いてもよい。「居住空間」とは、人が存在し得る空間であって、例えば本実施の形態の居住空間とは、パーティションに囲われた内部空間である。なお、以下では居住空間以外の空間を「外部空間」と称する。「冷暖房」とは、居住空間の温度を調整することであり、居住空間の温度を下降させること、温度を上昇させること、又は温度の下降若しくは上昇を選択的に行うことを含む。
【0023】
さらに本実施の形態の放射パネルは吸音性能を備える。「吸音」とは、音の反射を抑制して減衰させることであり、例えば居住空間側から外部空間への音漏れを防止したり、外部空間から居住空間へと騒音の伝達を防止することである。
【0024】
また、放射パネルの形状は任意で、例えばパーティションに用いる場合には、入口部分を除いて居住空間の四方(前後左右)を覆う形状でもよいし、これに加えて天井や床にも放射パネルを設置してもよい。また、椅子に放射パネルを用いる場合には、椅子の背もたれや座面に合わせた形状でもよい。
【0025】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0026】
(構成)
図1は、本実施の形態に係る放射パネル3を用いたパーティション1の側面図、
図2はパーティション1の平面図、
図3は、
図1のA−A矢視断面図である。これらの
図1、
図2、及び
図3に示すように、パーティション1は、脚部2、放射パネル3、及び支持部4を備えている。なお、居住空間E1には図示のように例示的に椅子と机を配置しているが、これに限らず、他のものを設置してもよいし、何も設置しなくてもよい。ここで、以下では、必要に応じて、
図1、
図3、及び後述する
図4における+X−X方向を「幅方向」と称し、特に+X方向を「右方向」、−X方向を「左方向」と称する。また、+Y−Y方向を「奥行き方向」又は「前後方向」と称し、特に+Y方向を「前方向」、−Y方向を「後方向」と称する。また、+Z−Z方向を「高さ方向」又は「上下方向」と称し、特に+Z方向を「上方向」、−Z方向を「下方向」と称する。また、放射パネル3の軸心を通る鉛直平面(
図3ではXZ平面。以下、「軸断面」5)に対して、奥行き方向(+Y−Y)に沿って近付く方向を「内方向」、奥行き方向(+Y−Y)に沿って遠ざかる方向を「外方向」と称する。
【0027】
ここで、本実施の形態のパーティション1は、図示のように床の上に自立している。そして、
図2に示すように、平面視において居住空間E1の三方向を覆っており、一方は覆わずに開放しており(すなわち、平面視において略コ字状である)、この開放部から内部空間に出入り可能となっている。また、パーティション1は高さ1800mm程度のローパーティションである場合について説明するが、高さはこれに限らず、例えば部屋の壁一面に放射パネル3を設けた構成としてもよい。
【0028】
(構成−脚部)
脚部2は、放射パネル3を支える支持手段である。例えば放射パネル3の下方に間隔を設けて複数配置されており、上下方向に沿って延設されたパイプを用いることができる。このように脚部2を設けることで、パーティション1の下方に空間を設けて開放的にすることができる。ただし、この脚部2を省略して、パーティション1を床に直接載置しても構わない。
【0029】
(構成−放射パネル)
放射パネル3は、熱放射により居住空間E1の冷暖房を行うと共に、居住空間E1の吸音を行うパネルである。ここで、
図3に示すように本実施の形態の放射パネル3は、支持部4の後方(−Y側)に取り付けられており、当該支持部4を挟んで反対側(支持部4の前方)にはカバーパネル3aが取付られている。
【0030】
放射パネル3は、主に、後述する冷温水管40により居住空間E1を冷暖房するためのパネルである。一方、カバーパネル3aは、後述する冷温水管40は設けられておらず、支持部4が外部空間E2に露出しないように、かつパネルを二重にすることで断熱性能や吸音性能を高めるために設けられている。なお、冷温水管40が設けられていない点を除いて、カバーパネル3aと放射パネル3は略同様に構成されているため、以下では放射パネル3のみについて説明し、カバーパネル3aについては説明を省略し、放射パネル3と異なる点についてのみ、その都度説明する。ただし、カバーパネル3aを省略しても構わない。
【0031】
ここで、この放射パネル3は、概略的に、表面材10、裏面材20、吸音材30、冷温水管40を備える。なお、上述したように、冷温水管40は放射パネル3のみに設けられており、カバーパネル3aには設けられていない。
【0032】
(構成−放射パネル−表面材)
表面材10は、居住空間E1に対して対向配置された部材である。この表面材10は、図示のように放射パネル3における最も後方(−Y方向)に、鉛直面に沿って配置されている。この表面材10の形状は任意であるが、本実施の形態では、
図3に示すような水平断面視において、放射パネル3の軸断面5(XZ平面)から外側に突出する部分(凸部)と突出していない部分(凹部)とを幅方向(+X−X方向)に沿って連続的に繰り返す形状である。なお、裏面材20は、軸断面5を基準として表面材10と対称的な形状であり、表面材10と裏面材20は互いに向かい合わせて接合されているため、放射パネル3全体としては凸部の肉厚が大きく、凹部の肉厚が小さくなっている。ただし、表面材10の形状はこれに限らず、例えば凸部や凹部の無いフラットな形状でも構わない。また、表面材10と裏面材20とは、凹部で互いに接触しており、この位置で相互に縫合されていてもよい。
【0033】
ここで、表面材10の内側の面は、鉛直方向に沿って配置された冷温水管40に接している。そのため、冷温水管40を通る熱媒体(以下では、「水」とする)の熱が表面材10に伝達し、表面材10を加熱又は冷却することができる。なお、本実施の形態ではこのように、冷温水管40は表面材10に直接的に接しているが、冷温水管40の熱が表面材10に伝達される限り、任意の部材(例えば、吸音材30)を介して間接的に表面材10に接していても構わない。
【0034】
また、表面材10は、裏面材20よりも高い熱伝導率を有する繊維で形成されている。なお、表面材10の熱伝導率は高い程好ましく、例えば、本実施の形態の表面材10は超高分子量ポリエチレン繊維である。このような超高分子量ポリエチレン繊維は、裏面材20に使用される一般的な繊維(例えば綿やポリエチレン等)に比べて熱伝導率が非常に高く、冷温水管40の熱を表面材10に均等に広げることができる。また、超高分子量ポリエチレン繊維は、金属と異なり繊維であるため吸音性能が高く、音の反射を抑止でき居住空間E1から外部空間E2への音漏れを防止できる。なお、表面材10は、裏面材20よりも高い熱伝導率の繊維である限り任意の繊維を用いてよく、例えばポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維などでもよい。
【0035】
また、カバーパネル3aの表面材10は、冷温水管40と接していないので高い熱伝導率を有する必要はなく、カバーパネル3aの裏面材20と同一の熱伝導率を有する素材で構わない。例えば本実施の形態では、カバーパネル3aは、表面材10も裏面材20も一般的な繊維(例えば綿やポリエチレン等)で形成されている。
【0036】
(構成−放射パネル−裏面材)
裏面材20は、表面材10を挟む2つの空間のうち居住空間E1と反対側の空間に配置されており、表面材10との間に内包空間E3を形成する部材である。この裏面材20は、
図3に示すような水平断面視において、放射パネル3の軸断面5(XZ平面)から外側に突出する部分(凸部)と突出していない部分(凹部)とを幅方向に沿って連続的に繰り返す形状である。ただし、表面材10と同様に、形状はこれに限らず、例えば凸部や凹部の無いフラットな形状でも構わない。
【0037】
ここで、裏面材20の素材は任意であり、例えば、本実施の形態の裏面材20は、一般的な繊維(綿やポリエチレンなど)で形成される。なお、裏面材20は熱伝導率の低い素材である方が好ましく、これは、冷温水管40の熱を前方(+Y方向)に逃がさず、居住空間E1側(−Y方向)に効率的に熱を放射できるためである。
【0038】
(構成−放射パネル−吸音材)
吸音材30は、内包空間E3に充填された吸音手段である。この吸音材30は、冷温水管40が延設されている箇所を除いて、内包空間E3の全体にわたって充填されており、居住空間E1と外部空間E2との相互間での音の伝達を抑止する。なお、この吸音材30は、冷温水管40の熱を効率的に表面材10に伝達するために、熱伝導性の低い材料で構成することが好ましく、例えばグラスウールやフェルトなどの柔らかい素材を使用できるが、これに限らない。
【0039】
(構成−放射パネル−冷温水管)
冷温水管40は、内包空間E3に配置されており、加熱又は冷却を行う温度調整手段である。この冷温水管40は、図示のように内包空間E3における各凸部に対応する位置に、表面材10と接するように鉛直方向に沿って配置されている。なお、
図3では複数(3つ)の冷温水管40を示しているが、これらの冷温水管40は上端や下端で隣の冷温水管40と互いに繋がっており、全体として連続的な1つの冷温水管40となっており、放射パネル3の内部を循環している。
【0040】
ここで、この冷温水管40は、パーティション1の外部に設置された図示しないポンプ及び熱交換器(例えば、公知の加熱器や冷却器)に対して、図示しない往路管及び復路管を介して接続されている。そして、熱交換器で温度調整された水は、ポンプにより送り出されて往路管を通って冷温水管40に至り、放射パネル3の内部を循環した後に、復路管を通ってまた熱交換器の位置まで戻るように循環している。なお、水の温度や流量は、適宜調節できることが好ましい。例えば、ユーザがリモコン等を用いて調節してもよいし、室内に設置した温度計で得た測定データに基づいて自動的に適当な温度や流量に調節しても構わない。
【0041】
また、本実施の形態では、ポンプや熱交換器を床下に設置し、放射パネル3の冷温水管40に接続された往路管や復路管をカプラで熱交換器に接続することにより、放射パネル3の稼働準備が完了する。ただし、これに限らず、ポンプや熱交換器自体を放射パネル3に設けてもよい。
【0042】
(構成−支持部)
支持部4は、放射パネル3を自立可能に支持する支持手段である。この支持部4は、カバーパネル3aと放射パネル3の間に、幅方向に沿って所定の間隔で並設されており、各支持部4の下端部は脚部2に接続されている。ただし、支持部4と脚部2とを一体形成してもよい。ここで、支持部4の数や形状は、放射パネル3及びカバーパネル3aを自立可能とする限り任意であり、例えば本実施の形態では、表面材10や裏面材20の各凹部に対応する位置に設置された円柱形状の金属製のポールであるが、これに限らず、例えば放射パネル3及びカバーパネル3aの側端部のみに支持部4を設けても構わないし、例えば角柱形状でもよい。また、本実施の形態の支持部4は鉛直方向に沿って配置されているが、これに限らず、例えば放射パネル3及びカバーパネル3aの上端部や下端部等に、水平方向に沿った支持部4を設けてもよいし、放射パネル3及びカバーパネル3a自体を湾曲形状とする場合には、この形状に合わせた湾曲形状の支持部4を設けても構わない。
【0043】
そして、この支持部4に放射パネル3及びカバーパネル3aが取り付けられている。この取付の具体的な方法は任意であるが、例えば、カバーパネル3aの表面材10や放射パネル3の裏面材20を、糸等を用いて支持部4に括り付けてもよい。
【0044】
(実施の形態の効果)
このように、本実施の形態の放射パネル3によれば、表面材10は、裏面材20よりも高い熱伝導率を有する繊維で形成されるため、繊維表面の細かい凹凸により音の反射を抑制できると共に、表面材10が高い熱伝導率を有するため表面材10に対して均一に熱を伝達でき、吸音性能及び冷暖房性能が向上する。
【0045】
また、表面材10は超高分子量ポリエチレン繊維であるため、表面材10を極めて熱伝導率高い繊維で構成することができ、表面材10に対してさらに均一に熱を伝達でき、冷暖房性能がさらに向上する。
【0046】
また、温度調整手段は冷温水管40であるため、簡素な構成で温度調整手段を構築でき、施工コストを削減できると共に、冷温水管40の内部を流動する水の温度を調整することで容易に冷房及び暖房を切り替えることが可能であり、放射パネル3の利便性が向上する。
【0047】
また、内包空間E3に、吸音材30を備えるので、この吸音材30により内包空間E3での音や熱の伝達を抑制することができ、吸音性能及び冷暖房性能がさらに向上する。
【0048】
また、放射パネル3を自立可能に支持する支持部4を備えるので、放射パネル3を自立させることができ、放射パネル3を何らかの部材に吊り下げたり貼り付けたりせずに配置できるため、設置場所の自由度が向上する。
【0049】
また、放射パネル3を備えるパーティション1であるため、吸音性能及び冷暖房性能の高いパーティション1を構築でき、パーティション1により区画された空間の快適性が向上する。
【0050】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0051】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0052】
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した放射パネル3の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。
【0053】
(温度調整手段について)
本実施の形態では、温度調整手段として冷温水管40を設けたが、これに限らない。例えば、温度調整手段として、加熱を行う電熱線を設けてもよい。この電熱線は、例えば冷温水管40と同様に、内包空間E3の内部に、表面材10に接するように鉛直方向に沿って配置されてもよい。そして電熱線に電気を通して加熱することで、電熱線の熱が表面材10に伝達して表面材10を均等に温め、放射熱により居住空間E1の暖房を行うことができる。なお、電熱線と冷温水管40の両方を設けても構わない。
【0054】
このような変形例では、温度調整手段は電熱線であるため、簡素な構成で温度調整手段を構築でき、施工コストを削減できると共に、電熱線の出力を調整することで容易に加熱温度を調整でき、放射パネル3の利便性が向上する。
【0055】
(放射パネルの相互間空間について)
本実施の形態では、カバーパネル3aと放射パネル3との間に空間(支持部4が配置されている空間)を設けているが、この空間に吸音材30や断熱材を充填してもよく、このことでさらに吸音性能や断熱性能が向上する。
【0056】
(支持部について)
本実施の形態では、カバーパネル3aと放射パネル3との相互間の空間に支持部4を設置したが、これに限らず、表面材10と裏面材20との間の内包空間E3に支持部4を設置してもよい。
図4は、変形例に係る放射パネル50を示す
図1のA−A矢視断面に対応する断面図である。なお、
図4では、表面材60と裏面材70を凸部や凹部の無いフラットな形状に図示している。この
図4に示すように、内包空間E3に支持部4を配置し、支持部4の前後に表面材60と裏面材70を設置してもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、支持部4により放射パネル3を下方から支持したが、これに限らず、例えば支持部4を省略した放射パネル3を壁等に貼り付けて配置してもよいし、天井等から吊り下げて配置してもよい。
【0058】
(内包空間について)
本実施の形態では、表面材10と裏面材20との間の内包空間E3に吸音材30を充填したが、これに限らない。例えば、内包空間E3が存在しないように、表面材10と裏面材20の両方を冷温水管40に密着させても構わない。また、内包空間E3に何も充填せず空気層としてもよいし、内包空間E3に断熱材を充填してもよい。このように空気層や断熱材を設けることで、内包空間E3での音や熱の伝達を抑制することができ、吸音性能及び冷暖房性能がさらに向上する。
【0059】
(付記)
付記1の放射パネルは、居住空間に対して対向配置された表面材と、前記表面材を挟む2つの空間のうち前記居住空間と反対側の空間に配置されており、前記表面材との間に内包空間を形成する裏面材と、前記内包空間に配置されており、加熱又は冷却を行う温度調整手段と、を備え、前記表面材が、前記裏面材よりも高い熱伝導率を有する繊維で形成されている。
【0060】
付記2の放射パネルは、付記1に記載の放射パネルにおいて、前記表面材は、超高分子量ポリエチレン繊維である。
【0061】
付記3の放射パネルは、付記1又は2に記載の放射パネルにおいて、前記温度調整手段は、加熱又は冷却を行う冷温水管を備える。
【0062】
付記4の放射パネルは、付記1から3のいずれか一項に記載の放射パネルにおいて、前記温度調整手段は、加熱を行う電熱線を備える。
【0063】
付記5の放射パネルは、付記1から4のいずれか一項に記載の放射パネルにおいて、前記内包空間に、空気層、吸音材、又は断熱材を備える。
【0064】
付記6の放射パネルは、付記1から5のいずれか一項に記載の放射パネルにおいて、当該放射パネルを自立可能に支持する支持部を備える。
【0065】
付記7のパーティションは、付記6に記載の放射パネルを備える。
【0066】
(付記の効果)
付記1に記載の放射パネルによれば、表面材は、裏面材よりも高い熱伝導率を有する繊維で形成されるため、繊維表面の細かい凹凸により音の反射を抑制できると共に、表面材が高い熱伝導率を有するため表面材に対して均一に熱を伝達でき、吸音性能及び冷暖房性能が向上する。
【0067】
付記2に記載の放射パネルによれば、表面材は超高分子量ポリエチレン繊維であるため、表面材を極めて熱伝導率高い繊維で構成することができ、表面材に対してさらに均一に熱を伝達でき、冷暖房性能がさらに向上する。
【0068】
付記3に記載の放射パネルによれば、温度調整手段は冷温水管であるため、簡素な構成で温度調整手段を構築でき、施工コストを削減できると共に、冷温水管の内部を流動する水の温度を調整することで容易に冷房及び暖房を切り替えることが可能であり、放射パネルの利便性が向上する。
【0069】
付記4に記載の放射パネルによれば、温度調整手段は電熱線であるため、簡素な構成で温度調整手段を構築でき、施工コストを削減できると共に、電熱線の出力を調整することで容易に加熱温度を調整でき、放射パネルの利便性が向上する。
【0070】
付記5に記載の放射パネルによれば、内包空間に、空気層、吸音材、又は断熱材を備えるので、これらの空気層、吸音材、断熱材により内包空間での音や熱の伝達を抑制することができ、吸音性能及び冷暖房性能がさらに向上する。
【0071】
付記6に記載の放射パネルによれば、放射パネルを自立可能に支持する支持部を備えるので、放射パネルを自立させることができ、放射パネルを何らかの部材に吊り下げたり貼り付けたりせずに配置できるため、設置場所の自由度が向上する。
【0072】
付記7に記載のパーティションによれば、放射パネルを備えるパーティションであるため、吸音性能及び冷暖房性能の高いパーティションを構築でき、パーティションにより区画された空間の快適性が向上する。