(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963903
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】攪拌装置
(51)【国際特許分類】
B01F 7/18 20060101AFI20211028BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
B01F7/18 B
B01F15/00 D
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-62899(P2017-62899)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-164877(P2018-164877A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000225016
【氏名又は名称】プライミクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】砂場 洋人
(72)【発明者】
【氏名】古市 尚
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−330159(JP,A)
【文献】
特開2002−326027(JP,A)
【文献】
特公昭48−033057(JP,B1)
【文献】
特開2013−106632(JP,A)
【文献】
実開昭62−156341(JP,U)
【文献】
国際公開第90/013358(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/04−10
B01F 7/18−15/00
B08B 9/087
B28C 5/16
B29B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌物を収容する攪拌容器と、上記攪拌容器の内部において上記攪拌物を攪拌するための攪拌アームと、上記攪拌アームに連結され、上記攪拌容器の内壁面に付着した上記攪拌物を掻き取るスクレーパと、を備えた攪拌装置であって、
上記攪拌アームおよび上記スクレーパは、支軸によって揺動可能に連結されており、
上記スクレーパは、上記攪拌アームの回転方向に応じて上記攪拌容器の内壁面に摺動する第1及び第2のエッジ部を有し、
上記支軸を支点とするときに、上記第1のエッジ部によって生ずる回転モーメントM1及び上記第2のエッジ部によって生ずる回転モーメントM2は、一方が他方に比べて大きくなるように設定されており、
上記スクレーパは、上記攪拌容器の底部の内壁面と対向する部分に配置されており、
上記第1のエッジ部は、上記スクレーパの中央から上記第1のエッジ部の先端に向けて先細っており、
上記第1のエッジ部がスクレーパの自重によって下方に揺動して、
上記第1のエッジ部の先端が上記攪拌アームの回転方向に応じて上記攪拌容器の底部の内壁面に密着した状態で常に摺動し、
上記攪拌容器の内壁面底部に付着・残留する上記攪拌物が上記スクレーパで掻き取られ、且つ掻き集められて上記攪拌容器の排出口に移送される
ことを特徴とする攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクレーパを備えた攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品、医薬品といった高粘度の物質を製造するために使用される攪拌装置として、例えば特許文献1に開示されるような攪拌装置がある。この攪拌装置は攪拌物(処理物)を収容する円筒状の攪拌容器と、攪拌容器の内部において攪拌物を攪拌する攪拌アーム(第1攪拌羽根)とを備えている。攪拌アームは、馬蹄型のアンカーブレードであり、攪拌容器の中心軸線周りに回転可能に支持されている。攪拌アームの内側部分には、複数の攪拌羽根(第2攪拌羽根)が設けられている(
図1)。
【0003】
上記攪拌装置においては、攪拌容器の内壁面に付着した攪拌物が流動せずに留まって攪拌物の均一な攪拌を妨げるといった問題や、攪拌容器の内壁面における熱交換を妨げるといった問題が生じる。このため、上記攪拌装置においては、攪拌容器の内壁面に付着した攪拌物を掻き取るためのスクレーパを攪拌容器の内壁面に近接する攪拌アームの外側部分と攪拌容器の内壁面の間に複数個設け、上記問題を回避している(
図1)。
【0004】
上記スクレーパ及び攪拌アームにはそれぞれ連結部が設けられており、この連結部を介して双方が連結される。この連結部には固定用のピンの軸部を挿入するための孔が設けられており、この孔にピンの軸部を挿入することでスクレーパと攪拌アームとがピンを支軸として揺動可能な状態で連結される(
図2)。
また、上記スクレーパは上記連結部と一体的に形成される本体部分を有している。本体部には、本体部の中央部から左右両側に向けて先細るような形で、第1及び第2のエッジ部が形成されている(
図2)。
【0005】
また、スクレーパには、攪拌アームと一体となって回転する際に攪拌物から抵抗力を受けるための面が設けられている。具体的には、スクレーパの連結部と第1又は第2のエッジ部の先端を結ぶ側面がこれに該当する。スクレーパが攪拌アームと一体となって回転する際、この面が攪拌容器の内部に収容された攪拌物から抵抗力受けて第1又は第2のエッジ部の先端が攪拌容器の内壁面側に向けて揺動し、エッジ部の先端が攪拌容器の内壁面に摺接する状態を維持しながらスクレーパが攪拌容器の内壁面上を移動する(
図3)。以上のようにして攪拌容器の内壁面に付着した攪拌物が取り除かれ、流動せずに留まって攪拌物の均一な攪拌を妨げるといった問題や、攪拌容器の内壁面における熱交換を妨げるといった問題が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−132498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記攪拌装置においては、攪拌物が攪拌容器内部から排出された後に、攪拌容器の内壁面底部に付着・残留する攪拌物をスクレーパで掻き取ることができないという問題が生じる。
具体的には、攪拌物は重力作用により攪拌容器底部に移送され、容器底部の排出口から容器外部に排出されるが、攪拌容器の内壁面底部は、水平または傾斜が非常に緩やかな状態にあるため、攪拌物が付着・残留しやすい。しかしながら、攪拌物のほとんどが容器外に排出された後においては、スクレーパが攪拌アームと一体となって回転する際に、スクレーパが攪拌物からの抵抗力を受けることができないため、スクレーパのエッジ部が攪拌容器の内壁に密着しない。このため、スクレーパの第1又は第2のエッジ部のいずれかが攪拌容器の内壁面に摺接する状態を維持しながら攪拌容器の内周面上を移動することができず、攪拌容器の内壁面に付着・残留した攪拌物を取り除くことができなくなる。
【0008】
この結果、攪拌容器の底部の内壁面のクリーニングを人的作業によって行うことが必要となり、攪拌容器のメンテナンス性が著しく低下するという問題を生じさせることになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の攪拌装置は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、攪拌物を収容する攪拌容器と、上記攪拌容器の内部において上記攪拌物を攪拌するための攪拌アームと、上記攪拌アームに連結され、上記攪拌容器の内壁面に付着した上記攪拌物を掻き取るスクレーパと、を備えた攪拌装置であって、
上記攪拌アームおよび上記スクレーパは、支軸によって揺動可能に連結されており、
上記スクレーパは、上記攪拌アームの回転方向に応じて上記攪拌容器の内壁面に摺動する第1及び第2のエッジ部を有し、
上記支軸を支点とするときに、上記第1
のエッジ部によって生ずる回転モーメントM1及び上記第2のエッジ部によって生ずる回転モーメントM2は、一方が他方に比べて大きくなるように設定されて
おり、
上記スクレーパは、上記攪拌容器の底部の内壁面と対向する部分に配置されており、
上記第1のエッジ部は、上記スクレーパの中央から上記第1のエッジ部の先端に向けて先細っており、
上記第1のエッジ部がスクレーパの自重によって下方に揺動して、
上記第1のエッジ部の先端が上記攪拌アームの回転方向に応じて上記攪拌容器の底部の内壁面に密着した状態で常に摺動し、
上記攪拌容器の内壁面底部に付着・残留する上記攪拌物が上記スクレーパで掻き取られ、且つ掻き集められて上記攪拌容器の排出口に移送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成のスクレーパを有する攪拌装置であると、スクレーパが攪拌容器の内部に収容された攪拌物から抵抗力を受けなくても、上記第1及び第2のエッジ部のいずれかが上記攪拌容器の内壁面に密着した状態で摺動することができる。
具体的には、上記スクレーパが攪拌アームに支軸によって揺動可能に連結されている状態において、上記第1エッジ部によって生ずる回転モーメントM1又は第2のエッジ部によって生ずる回転モーメントM2のいずれかが他方に比べて大きくなるように設定しているので、生ずる回転モーメントの大きい方のエッジ部が自重によって下方に揺動し、上記攪拌容器の底部の内壁面に密着した状態で摺動することができる。
【0011】
攪拌容器内部から攪拌物が排出された後においても、攪拌容器の内壁面底部に付着・残留する攪拌物をスクレーパで掻き取ることができ、攪拌容器のメンテナンス性を向上させることができるようになる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明及び従来発明に係る攪拌装置の一形態を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す攪拌装置に備えられた攪拌アームおよびスクレーパの連結構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す攪拌装置に備えられた攪拌アームおよびスクレーパの連結構造を示す平面図である。
【
図4】本発明に係る攪拌装置の攪拌容器の底部の内壁面と対向する部分に配置されるスクレーパの斜視図。
【
図5】本発明に係る攪拌装置のスクレーパに作用する回転モーメントを表す概略図。
【
図6】参考例に係る攪拌装置の攪拌容器の底部の内壁面と対向する部分に配置されるスクレーパの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1に示される攪拌装置は、攪拌物を収容するタンク1と、タンク1内部の攪拌物を攪拌するための第1攪拌羽根2と、第1攪拌羽根2の周端に突設され、タンク1の内壁に付着する攪拌物を掻き取るためのスクレーパ3とから構成されている。
さらに、
図1〜2に示される攪拌容器1の底部には、シャフト9の周りを回転する攪拌突起8、排出口10および採取口11が配設されている。
【0015】
スクレーパ3は、
図2〜3に示されるように、第1攪拌羽根2が時計方向に回転するときにタンク1の内壁に接触する第1のエッジ部3aと、第1攪拌羽根2が反時計方向に回転するときにタンク1内壁に接触する第2のエッジ部3bとを有しているため、双方向の回転についてタンク1内壁の付着物の掻き取りを行なうことができる。
【0016】
スクレーパ3は、
図2〜3に示されるように、第1攪拌羽根2の最外周の側面および下面にハンガ(接続部)13を介して、ピン(支軸)14により揺動自在に取り付けられている。したがって、第1攪拌羽根2が時計方向または反時計方向のいずれの方向に回転するときでも、スクレーパ3はピン14回りに揺動して第1エッジ部3aまたは第2エッジ部3bのいずれかのエッジを確実にタンク1の内壁に密着させて付着物の掻き取りを効果的に行なうことができる。
【0017】
スクレーパ3の内、攪拌装置の攪拌容器の底部の内壁面と対向する部分に配置されるスクレーパ3が、攪拌アームに支軸によって揺動可能に連結されている。この状態において、第1のエッジ部3aによって生ずる回転モーメントM1が、第2のエッジ部3bによって生ずる回転モーメントM2に比べて大きくなるように設定されている(
図4)。
具体的には、第1のエッジ部3aが、第2のエッジ部3bに比べて外形が大きくなるように設定されているので、スクレーパ3が攪拌アームに支軸によって揺動可能に連結されている状態において、スクレーパ3の重心が、第1のエッジ部3a側にシフトすることになる。
このため、第1のエッジ部3aによって生ずる回転モーメントM1が、第2のエッジ部3bによって生ずる回転モーメントM2に比べて大きくなり、生ずる回転モーメントの大きい方の第1のエッジ部3aがスクレーパの自重によって下方に揺動し、第1のエッジ部3aの先端を攪拌容器の底部の内壁面に常に摺動させることが可能となる(
図5)。
なお、回転モーメントM1及びM2は、M1=F1×L1、M2=F2×L2、(L1、L2は、第1及び第2のエッジ部の長さ)で定義される。
【0018】
上記により、攪拌容器の内壁面底部に付着・残留する攪拌物をスクレーパで掻き取ることができ、例えばメイン排出口10等といった所定の場所に、付着・残留した攪拌物をかき集めて移送することが可能となる。
【0019】
これに対し、スクレーパ3の内、攪拌装置の攪拌容器の底部の内壁面と対向する部分に配置されるスクレーパ3が攪拌アームに支軸によって揺動可能に連結されている状態において、第1のエッジ部3aによって生ずる回転モーメントM1と第2のエッジ部3bによって生ずる回転モーメントM2が同等に設定されている場合(
図5)、スクレーパ3の重心が、支軸を含むスクレーパ3の中央線上に存在することになる。このため、第1のエッジ部3a及び第2のエッジ部3bにいずれもが、スクレーパの自重によって下方に揺動せず、エッジ部の先端を攪拌容器の底部の内壁面に常に摺動させることができない。この結果、攪拌容器の内壁面底部に付着・残留する攪拌物をスクレーパで掻き取ることができず、攪拌容器のメンテナンス性を向上させることができない。
【符号の説明】
【0020】
1 攪拌容器
2 第1攪拌羽根
3 スクレーパ
4 回転軸
5 第2撹拌羽根
6 シャフト
7 固定板
8 攪拌突起
9 シャフト
10 排出口
11 採取口
13 接続部
14 支軸