特許第6963906号(P6963906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963906
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20211028BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20211028BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211028BHJP
   H01L 21/477 20060101ALI20211028BHJP
   H01L 21/762 20060101ALI20211028BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20211028BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20211028BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20211028BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20211028BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20211028BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   G09F9/30 338
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 621
   H01L21/477
   H01L21/76 D
   H01L21/76 Z
   G09F9/30 348A
   G09F9/30 365
   G09F9/00 338
   G02F1/1368
   H01L27/32
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-86081(P2017-86081)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-185397(P2018-185397A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】境 武志
(72)【発明者】
【氏名】羽生 有一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡部 将弘
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−100723(JP,A)
【文献】 特開2011−100117(JP,A)
【文献】 特開2012−160720(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/043216(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/043217(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0155310(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−9/46
H01L 29/786
H01L 21/336
H01L 21/477
H01L 21/762
H01L 21/76
G02F 1/1368
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体で構成される薄膜トランジスタ(TFT)を有する複数の画素が形成された表示装置であって、
前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅はゲート電極の前記チャネル幅方向の幅よりも大きいことを特徴とするTFTを有し、
ゲート絶縁膜は前記ゲート電極と前記酸化物半導体との間に形成され、前記酸化物半導体が前記ゲート電極で覆われていない部分は、前記ゲート絶縁膜以外のシリコン酸化膜によって覆われていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ゲート電極は走査線で形成されており、前記走査線の延在方向が前記TFTのチャネル長方向であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記チャネル幅方向において、前記酸化物半導体は前記ゲート電極の両側において、前記ゲート電極と重複していない領域を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記酸化物半導体が前記ゲート電極で覆われていない部分の抵抗率は、前記酸化物半導体のチャネル領域における抵抗率よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記TFTのドレイン電極あるいはソース電極は映像信号線であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記TFTのドレイン電極およびソース電極は前記ゲート電極よりも下層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記TFTのドレイン電極およびソース電極は前記酸化物半導体と直接接触していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示装置は有機EL表示装置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
酸化物半導体の上にゲート絶縁膜を形成し、その上にゲート電極を形成した薄膜トランジスタ(TFT)を有する表示装置の製造方法であって、
前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅を前記ゲート電極の前記チャネル幅方向の幅よりも大きく形成し、
前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を酸化させることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記ゲート電極および前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を覆ってシリコン酸化膜を形成し、前記シリコン酸化膜を300℃以上でアニールすることを特徴とする請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記ゲート電極および前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を覆ってシリコン酸化膜を形成し、前記シリコン酸化膜にレーザを照射することを特徴とする請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記ゲート電極を形成後、NOプラズマ処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記ゲート電極を形成後、酸素雰囲気中において、前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分にレーザを照射することを特徴とすることを特徴とする請求項10に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
酸化物半導体の上にゲート絶縁膜を形成し、その上にゲート電極を形成した薄膜トランジスタ(TFT)を有する表示装置の製造方法であって、
前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅を前記ゲート電極の前記チャネル幅方向の幅よりも大きく形成し、
前記ゲート電極によって覆われていない部分の前記ゲート絶縁膜を除去し、前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を酸化させることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記ゲート電極および前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を覆ってシリコン酸化膜を形成し、前記シリコン酸化膜を300℃以上でアニールすることを特徴とする請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記ゲート電極および前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を覆ってシリコン酸化膜を形成し、前記シリコン酸化膜にレーザを照射することを特徴とする請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記ゲート電極を形成後、NOプラズマ処理を行うことを特徴とする請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記ゲート電極を形成後、酸素雰囲気中において、前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分にレーザを照射することを特徴とすることを特徴とする請求項15に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、酸化物半導体を用いたTFTを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する複数の画素が形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている構成となっている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成する。一方、有機EL表示装置は、各画素に自発光する有機EL層と駆動TFTおよびスイッチングTFTを配置することによってカラー画像を形成する。
【0003】
酸化物半導体はOFF抵抗が高く、これをTFTに用いるとOFF電流を小さくすることが出来る。したがって、消費電力を小さくすることが出来る。
【0004】
特許文献1には、基板上に高抵抗金属酸化物形成し、その一部を低抵抗化して半導体とし、これをTFTとして用いる構成が記載されている。高抵抗金属酸化物を低抵抗化しない部分は素子分離層として機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−294136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高抵抗金属酸化物を基板全面に形成するのではなく、TFTを構成する部分にのみ形成するほうが、画素の透過率の向上等では有利な場合が多い。この場合は、TFTを構成するための酸化物半導体を島状に形成する。酸化物半導体を用いたTFTはリーク電流が小さいというメリットを有している。酸化物半導体としては、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、ZnON(Zinc Oxide Nitride)、IGO(Indium Gallium Oxide)等がある。酸化物半導体のうち、光学的に透明でかつ結晶質でないものはTAOS(Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)と呼ばれている。本明細書では、特にことわらない限り、半導体層という場合は、酸化物半導体をいう。
【0007】
酸化物半導体は酸素濃度によって導電率が大きく変わる。酸素濃度分布は、酸化物半導体の上に形成されるゲート電極、ドレイン電極、ソース電極等の影響を受けるので、酸化物半導体とゲート電極、ドレイン電極、ソース電極等の、フォトリソグラフィ工程における合わせ精度が問題になる。
【0008】
しかし、マスク合わせ精度は、限界があるので、マスク合わせのばらつきによってTFTの特性のばらつきが生ずる。本発明の課題は、マスク合わせ精度のばらつきが生じても、酸化物半導体を用いたTFTの特性のばらつきを抑制する構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)酸化物半導体で構成される薄膜トランジスタ(TFT)を有する複数の画素が形成された表示装置であって、前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅はゲート電極の前記チャネル幅方向の幅よりも大きいことを特徴とするTFTを有する表示装置。
【0011】
(2)前記ゲート電極は走査線で形成されており、前記走査線の延在方向が前記TFTのチャネル長さ方向であることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0012】
(3)前記チャネル幅方向において、前記酸化物半導体は前記ゲート電極両側において、前記ゲート電極と重複していない領域を有することを特徴とする(1)
(4)前記酸化物半導体が前記ゲート電極で覆われていない部分の抵抗率は、チャネル領域における抵抗率よりも大きいことを特徴とする(1)に記載の表示装置。
【0013】
(5)酸化物半導体の上にゲート絶縁膜を形成し、その上にゲート電極を形成した薄膜トランジスタ(TFT)を有する表示装置の製造方法であって、前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅を前記ゲート電極の前記チャネル幅方向の幅よりも大きく形成し。前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を酸化させることを特徴とする表示装置の製造方法。
【0014】
(6)酸化物半導体の上にゲート絶縁膜を形成し、その上にゲート電極を形成した薄膜トランジスタ(TFT)を有する表示装置の製造方法であって、前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅を前記ゲート電極の前記チャネル幅方向の幅よりも大きく形成し。前記ゲート電極によって覆われていない部分の前記ゲート絶縁膜を除去し、前記酸化物半導体が前記ゲート電極によって覆われていない部分を酸化させることを特徴とする表示装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】液晶表示装置の平面図である。
図2】液晶表示装置の画素部の平面図である。
図3図2のC−C断面図である。
図4】実施例1の製造フローチャートである。
図5図4に対応する図2のA−A断面図およびB−B断面図である。
図6】実施例1の特徴を示す断面図である。
図7】実施例2の製造フローチャートである。
図8】実施例2の特徴を示す断面図である。
図9】実施例3の製造フローチャートである。
図10】実施例3の特徴を示す断面図である。
図11】実施例4の製造フローチャートである。
図12】実施例4の特徴を示す断面図である。
図13】実施例5の製造フローチャートである。
図14】実施例5の特徴を示す断面図である。
図15】実施例6の製造フローチャートである。
図16】実施例6の特徴を示す断面図である。
図17】有機EL表示装置の画素部の等価回路である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
先ず、本発明を液晶表示装置に適用した場合を例にとって説明する。図1は携帯電話等に使用される液晶表示装置の平面図である。図1において、走査線10、映像信号線20等が形成されたTFT基板100とブラックマトリクス等が形成された対向基板200とがシール材40を介して接着している。TFT基板100と対向基板200の間に液晶が挟持されている。
【0018】
TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100と対向基板200が重なっていない部分は端子部となっている。端子部には、液晶表示装置を駆動するドライバIC50が配置されている。また、端子部には、液晶表示装置に電源や信号を供給するためにフレキシブル配線基板60が接続している。
【0019】
図1において、走査線10が横方向に延在し、縦方向に配列しており、映像信号線20が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線10と映像信号線20とで囲まれた領域が画素30となっている。画素30には、映像信号線20からの画像データの取り込みを制御するTFTと、取り込んだ画像データを1フレーム期間保持するための保持容量SCが形成されている。保持容量SCの一端はTFTに接続し、他端はコモン配線VCに接続している。
【0020】
図2は本発明による液晶表示装置の画素部の平面図である。図2において、走査線10が横方向に延在し、縦方向に配列している。また、映像信号線20が縦方向に延在して横方向に延在している。走査線10と映像信号線20とで囲まれた領域に画素電極111が存在している。図2では画素電極111は中央にスリットが形成され、これを挟んで櫛歯状の電極が2本形成されている。画素の面積が小さくなると画素電極111は1本のストライプ状の電極になる場合もある。
【0021】
図2において、画素の右下コーナーに酸化物半導体102によるTFTが形成されている。図2において、矩形状の半導体層102が形成され、半導体層102の左側にはソース電極104が半導体層に重複して形成され、半導体層102の右側にはドレイン電極103が半導体層に重複して形成されている。図2においては映像信号線20がTFTのドレイン電極103を兼ねている。半導体層102を覆って走査線10が形成されている。走査線10はTFTに対するゲート電極の役割を有している。
【0022】
半導体層102において、ゲート電極の下側がチャネルになっている。チャネル幅はゲート電極、すなわち、走査線10の幅で規定されている。図2に示すように、半導体層102の幅は走査線10の幅よりも大きく形成されているので、走査線10と半導体層102との間にマスクの合わせずれが生じても、TFTの特性には影響が生じない。
【0023】
図2において、半導体層102がゲート電極10よりも広くなっている量は片側でd1であり、d1は1μm程度である。また、ソース電極104あるいはドレイン電極103と半導体層102とが重なっている量はd2であり、d2は3μm程度である。d1もd2もマスク合わせ精度よりも十分に大きな量である。
【0024】
しかし、図2において、半導体層102には走査線10にもドレイン電極103にもソース電極103にも覆われていない非被覆領域1021が形成される。非被覆領域1021が還元されて抵抗が小さくなったりすると、TFTがショートしてしまい、動作をしなくなる。本発明は、この非被覆領域1021に十分に酸素を供給することによって抵抗を1テラオームcm(1012Ωcm)程度まで大きくして絶縁体とすることにより、TFTの特性を安定化させていることを特徴としている。
【0025】
図2において、ソース電極103は半導体層102の上から画素電極111側に延在し、スルーホール130を介して画素電極111と接続する。TFTがONすると、画素電極111に映像信号が供給される。画素電極111の下側にはコモン電極が形成され、コモン電極と画素電極との間に生じた蓄積容量SCによって1フレームの間、映像信号線が保持される。
【0026】
図3図2のC−C断面図である。図3において、TFT基板100の上に下地膜101が形成されている。TFT基板100はガラスで形成される場合が多いが、シートディスプレイとする場合はポリイミド等の樹脂で形成する場合もある。下地膜101はガラス等から析出する不純物によって半導体層102が汚染されることを防止するものである。下地膜101はSiOあるいはSiN等の複数層で形成される場合が多い。この場合、酸化物半導体102と接する層はSiOである。SiNは酸化物半導体から酸素を奪って酸化物半導体102の特性を変化させる場合があるからである。
【0027】
下地膜101の上に酸化物半導体102を形成し、パターニングを行う。酸化物半導体102には例えばIGZOが使用される。半導体層102の右側にはドレイン電極103としての映像信号線が重なって形成されている。半導体層102の左側にはソース電極104が重なって形成されている。ドレイン電極103とソース電極104の間がチャネルとなっている。
【0028】
酸化物半導体102、ドレイン電極103、ソース電極104を覆ってゲート絶縁膜105が形成されている。ゲート絶縁膜105は、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)を原料とするSiOである。この膜はCVDによって形成される。ゲート絶縁膜105の上にゲート電極106を兼ねた走査線10が形成されている。走査線10を覆って上層酸化膜107が形成されている。上層酸化膜107は酸素リッチのシリコン酸化膜SiOであり、酸化物半導体102で構成されたTFTの特性を安定化させる役割を有している。上層酸化膜107の上に平坦化膜を兼ねた有機パッシベーション膜108が形成されている。
【0029】
図3において、ソース電極104は画素電極111側に延在して、スルーホール130において、画素電極111と接続している。有機パッシベーション膜108の上にはコモン電極109が形成され、コモン電極109の上にSiNによる容量絶縁膜110が形成されている。容量絶縁膜110の上に櫛歯状の画素電極111が形成されている。画素電極111に映像信号が供給されると、画素電極111とコモン電極109との間に矢印で示すような電気力線が発生し、液晶分子301を回転させてバックライトからの光の量を制御する。画素電極111とコモン電極109との間に容量絶縁膜110を挟んで蓄積容量SCが形成されている。
【0030】
画素電極111あるいは容量絶縁膜110を覆って液晶を初期配向させるための配向膜112がポリイミドによって形成されている。配向膜112に対する配向処理は、ラビング法あるいは紫外線を用いた光配向処理方法が用いられる。
【0031】
図3において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置している。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201とブラックマトリクス202が形成されている。カラーフィルタ201とブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成され、オーバーコート膜203を覆って配向膜112が形成されている。
【0032】
図2に戻り、本発明の特徴は、マスク合わせのばらつきによるTFTの特性変動を抑えるために、酸化物半導体102の領域を、ゲート電極を兼ねた走査線10の幅よりも大きくしていることである。その結果、酸化物半導体102がゲート電極(走査線10)にもドレイン電極103にもソース電極104にも覆われていない非被覆領域1021が形成さるが、本発明では、以下に示す構成によって、非被覆領域1021を酸化させることにより、1テラオームcm以上の高抵抗とすることによって、TFTの特性への影響を無くしている。
【0033】
図4は、本実施例において、非被覆領域1021を高抵抗化する手段を有する製造フローチャートであり、図5は、図4に対応する断面図である。図5におけるA−Aは図2のA−A断面図であり、B−Bは図2のB−B断面図である。つまり、A−AはTFTのチャネル幅方向の断面図であり、B−Bはチャネル長方向の断面図である。図4における(1)乃至(6)は、図(5)における(1)乃至(6)に対応する。
【0034】
図4および図5において、TFT基板100上に下地膜101を形成する(1)。その上に酸化物半導体102をCVDによって形成する。その後、酸化物半導体102に対してパターニングを行う(2)。その後、ソースドレインメタルを成膜し、パターニングを行い、ドレイン電極103とソース電極104を形成する(3)。
【0035】
その後、ゲート絶縁膜105をCVDによって形成する。ゲート絶縁膜105の上にゲート電極106を成膜し、これをパターニングする(5)。その上に上層酸化膜107をCVD等によって形成する。上層酸化膜107はシリコン酸化膜SiOであるが、酸素リッチな膜となっている。その後追加アニールを行う。
【0036】
アニール温度は300℃以上であるが、この時点では、有機膜等は形成されていないので、高い温度でアニールすることが出来る。このアニール工程において、上層酸化膜107中の酸素がゲート絶縁膜105を透して、酸化物半導体102の非被覆領域1021に達してこれを酸化する(6)。図5の(6)A−Aにおけるドット領域1021はこのアニール工程において非被覆領域1021が酸化されたことを示している。この酸化によって非被覆領域1021は1テラオームcm以上となるので、TFTの特性への影響は無くなる。
【0037】
なお、図5の(6)B−Bはアニール工程による顕著な影響は生じない。しかし、ソース電極104あるいはドレイン電極103を形成する際、酸化物半導体102から過度に酸素が金属側に抜ける現象が生ずることがあるので、追加のアニールによって、上層酸化膜107から酸素を供給し、ソース電極104あるいはドレイン電極103を形成したときの過度の酸素抜けを補填するというメリットも期待することが出来る。
【0038】
図6図5(6)A−Aにおける作用を模式的に描いた断面図である。図6は、酸素リッチになっているシリコン酸化膜である上層酸化膜107から酸素がゲート絶縁膜105を透過して酸化物半導体の非被覆領域1021に拡散し、非被覆領域1021を高抵抗化していることを示している。なお、ゲート絶縁膜105は厚さが200nm程度であるから、上層酸化膜107から拡散した酸素はゲート絶縁膜105を透過することが出来る。図6はチャネル幅方向の断面図である。ゲート電極幅、すなわち、走査線幅gwは6μm程度であり、この幅がチャネル幅となっている。酸化物半導体のチャネル幅方向に酸素濃度が高い領域がある構成となる。酸化物半導体の幅は、走査線幅よりも片側でd1大きくなっている。d1は1μm程度である。
【0039】
このように、本発明によって、酸化物半導体層102、ゲート電極(走査線10)、ソース電極104、ドレイン電極103等のマスク合わせのばらつきの影響を防止できるとともに、酸化物半導体102の非被覆領域1021を高抵抗に出来るので、TFTの特性への影響を防止することが出来る。
【実施例2】
【0040】
図7図2における非被覆領域1021を酸化して高抵抗にするための実施例2における製造プロセスフローである。図7図4と異なる点は、ゲート電極106をパターニングした後、基板全体をNOプラズマによって酸化処理することである。このプロセスは、図7において太枠で囲まれている。NOプラズマから供給された酸素はゲート絶縁膜105を透過して酸化物半導体102の非被覆領域1021に達し、この領域を酸化して抵抗を1テラオームcm以上とする。
【0041】
図8はこの様子を示す図2のA−A断面図である。図8において、NOプラズマからの酸素がゲート絶縁膜105を透過して非被覆領域1021に達してこの領域を酸化する状態を示している。一方、ゲート電極106によって覆われた領域は酸化されないので、チャネルの特性は不変である。その後、図7に示すように、上層酸化膜107をCVDによって形成する。
【実施例3】
【0042】
図9図2における非被覆領域1021を酸化して高抵抗にするための実施例3における製造プロセスフローである。図9図4と異なる点は、ゲート電極106をパターニングした後、酸素雰囲気中において酸化物半導体103が形成された領域にレーザを照射して酸化物半導体102の非被覆領域1021を酸化することである。このプロセスは図9において太枠で囲まれている。
【0043】
図10はこの様子を示す図2のA−A断面図である。酸化物半導体102に例えばIGZOを用いた場合、レーザは、250Hz乃至350HzのIGZOが吸収しやすい波長のレーザを用いる。酸化物半導体102をレーザ加熱することによって、酸化物半導体102の非被覆領域1021が酸素雰囲気中の酸素を取り込みやすくなり、この部分が酸化されて抵抗を1テラオームcm以上とすることが出来る。
【0044】
酸化物半導体102以外では、吸収係数が小さいので、レーザは吸収されずに透過する。また、ゲート電極106ではレーザは反射される。ゲート電極106の下側の酸化物半導体102にはレーザは照射されないので、この部分は加熱されないため、チャネルの特性は変化しない。その後、図9に示すように、上層酸化膜107をCVDによって形成する。
【実施例4】
【0045】
図11図2における非被覆領域1021を酸化して高抵抗にするための実施例4における製造プロセスフローである。図11図4と異なる点は、上層酸化膜107を形成した後、アニールを行う代わりに、上層酸化膜107をレーザ加熱する点である。このプロセスは図11において太枠で囲まれている。
【0046】
図12はこの様子を示す図2のA−A断面図である。実施例4で用いるレーザは上層酸化膜107が吸収しやすい波長のものを用いる。上層酸化膜107は酸素リッチのSiO膜であるから、加熱して活性化されると酸素を放出し、酸素がゲート絶縁膜105を透過して酸化物半導体102の非被覆領域1021に達してこの部分を酸化し、この部分の抵抗を1テラオームcm以上とする。一方、チャネルにおいては、上層酸化膜107からの酸素はゲート電極106によってブロックされるので、チャネルの特性は変化しない。
【実施例5】
【0047】
図13図2における非被覆領域1021を酸化して高抵抗にするための実施例5における製造プロセスフローである。図13図4と異なる点は、ゲート電極106をパターニングした後、酸素雰囲気中において酸化物半導体102の非被覆領域1021に対し、短波長パルスレーザを照射して酸化物半導体の非被覆領域を酸化することである。本実施例の特徴は、レーザを基板全面でなく、非被覆領域1021に局所的にレーザを照射する点である。このプロセスは図13において太枠で囲まれている。
【0048】
図14はこの様子を示す図2のA−A断面図である。パルスレーザは酸化物半導体102が吸収しやすい波長のレーザを用い、図14の非被覆領域1021に焦点をあてて局所的に照射される。レーザ加熱することによって、酸化物半導体102の非被覆領域1021が酸素雰囲気中の酸素を取り込みやすくなり、この部分が酸化されて抵抗を1テラオームcm以上とすることが出来る。なお、ゲート電極106の下側の酸化物半導体102にはレーザは照射されないので、この部分は加熱されないため、チャネルの特性は変化ない。その後、図13に示すように、上層酸化膜107をCVDによって形成する。
【0049】
実施例3乃至5のレーザ照射は、他の要素の温度上昇を避けるために、パルスレーザを用いることが望ましい。
【実施例6】
【0050】
図15図2における非被覆領域1021を酸化して高抵抗にするための実施例6における製造プロセスフローである。図14図4と異なる点は、ゲート電極106を、例えば、塩素系のドライエッチングよってパターニングした後、ゲート電極106をマスクにして、フッ素系のドライエッチングによってゲート絶縁膜105を除去することである。このプロセスは図15において太枠で囲まれている。その後、上層酸化膜107を形成し、追加の酸化アニールを行う。
【0051】
図16はこの様子を示す図2のA−A断面図である。図16において、ゲート絶縁膜105はゲート電極106の下にのみに存在している。酸化物半導体102の非被覆領域1021は酸素リッチなシリコン酸化膜SiOで形成された上層酸化膜107によって直接覆われている。この状態でアニールを行うと、上層酸化膜107から酸素が非被覆領域1021に直接供給され、非被覆領域1021を効率よく酸化させ、この部分の抵抗を容易に1テラオームcm以上とすることが出来る。
【0052】
なお、本実施例において、非被覆領域1021を酸化する手段として、追加アニール以外に、実施例2乃至5で説明した、NOプラズマあるいはレーザ照射等の手段を組み合わせることが出来る。
【実施例7】
【0053】
実施例1乃至6では、本発明を液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明は、有機EL表示装置にも適用することが出来る。有機EL表示装置では、画素領域にスイッチングTFTと駆動TFTが用いられており、これらのTFTを酸化物半導体で構成する場合に本発明を用いることが出来る。
【0054】
図17は、有機EL表示装置の画素部の構成の例を示す回路である。図17において、走査線10、アース線11、映像信号線20、電源線21で囲まれた領域に画素が形成されている。画素内には、有機EL層で形成される有機EL素子ELとこれを駆動する駆動TFT(T2)が直列に接続している。駆動TFT(T2)のゲートとドレインの間には蓄積容量CSが配置している。蓄積容量CSの電位にしたがって、駆動TFT(T2)からELに電流が供給される。
【0055】
図17において、選択TFT(T1)のゲートに走査線10が接続し、走査線10のON、OFF信号にしたがって、T1が開閉される。T1がONになると、映像信号線20から映像信号が供給され、映像信号によって蓄積容量CSに電荷が蓄積され、蓄積容量CSの電位によって、駆動TFT(T2)が駆動され、有機EL(EL)に電流が流れる。
【0056】
図17に示す構成では、画素内にスイッチングTFTである第1TFTと有機EL膜を駆動するための駆動TFTである第2第2TFTが形成されている。なお、TFT1はダブルゲートで構成する場合もある。TFT1およびTFT2を酸化物半導体で構成すれば、リーク電流を小さくすることが出来、消費電力の小さい有機EL表示装置とすることが出来る。TFT1もTFT2も実施例1乃至6で説明したようなTFT構成とすることによって、マスク合わせのばらつきの影響を抑え、特性が安定したTFT形成することが出来る。したがって、高画質の有機EL表示装置を実現することが出来る。
【0057】
以上では、液晶表示装置においても有機EL表示装置においても、本発明のTFTは画素領域に形成されているとして説明した。これらの表示装置において、表示領域周辺に駆動回路をTFTによって形成する場合もある。このような駆動回路に用いられるTFTを酸化物半導体で構成する場合にも本発明を用いることが出来る。
【符号の説明】
【0058】
10…走査線、 11…アース線、 20…映像信号線、 21…電源線、 30…画素、 40…シール材、 50…ドライバIC、 60…フレキシブル配線基板、 100…TFT基板、 101…下地膜、 102…酸化物半導体、 1021…非被覆領域、 103…ドレイン電極、 104…ソース電極、 105…ゲート絶縁膜、 106…ゲート電極、 107…上層酸化膜、 108…有機パッシベーション膜、 109…コモン電極、 110…容量絶縁膜、 111…画素電極、 112…配向膜、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 300…液晶層、 301…液晶分子、 CS…蓄積容量、 EL…有機EL層、 TFT…薄膜トランジスタ、 TFT1…第1TFT、 TFT2…第2TFT
図1
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