(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963910
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物及びその塗装物
(51)【国際特許分類】
C09D 5/03 20060101AFI20211028BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20211028BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
C09D5/03
C09D163/00
B05D7/24 301A
B05D7/24 302U
B05D7/24 303E
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-99305(P2017-99305)
(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公開番号】特開2018-193494(P2018-193494A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108454
【氏名又は名称】ソマール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】根岸 弘光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 文幸
【審査官】
桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−277591(JP,A)
【文献】
特開2006−213771(JP,A)
【文献】
特開2001−055520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 5/03
C09D 163/00
B05D 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッキファイヤーを総質量の3〜25質量%含有し、前記タッキファイヤーがロジン系タッキファイヤーであることを特徴とする非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物。
【請求項2】
前記タッキファイヤーの軟化点が100℃以下である請求項1に記載の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物。
【請求項3】
前記タッキファイヤーがロジンエステルまたはロジン変性マレイン酸樹脂である請求項1または2に記載の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物。
【請求項4】
前記タッキファイヤーが安定化ロジンエステルである請求項1ないし3のいずれか一項に記載の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物。
【請求項5】
前記タッキファイヤーが総質量の3〜15質量%である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物。
【請求項6】
前記タッキファイヤーを外添法にて添加する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物を塗布したことを特徴とする塗装物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料に関し、特に非導電性部材に塗装可能なエポキシ樹脂粉体塗料組成物及びその塗装物に関する。
【背景技術】
【0002】
普通乗用車、二輪車等の軽負荷用ブレーキパッドとしては、従来から、レジンモールド材が用いられており、その骨格材料の材質には、高い熱伝導性と展延性に優れた銅が、耐摩耗性や摩擦係数の保持を目的として使用されてきた。ブレーキパッドの表面および側面へは、塗料にて印字することが求められるが、上記のとおり、その骨格材料の材質に銅が含まれることから、コロナ帯電式又はトリボ帯電式等の静電塗装を用いた塗装が広く行われてきた。静電塗装は、生産効率、作業環境、塗料の再利用等の観点から有効な方法として、広く用いられている塗装方法である。
【0003】
一方で、ブレーキパッドの粉塵に含まれる銅や、水銀、鉛を始めとする他の重金属類等は雨水によって河川や湖へ流出し、魚類、両生類、植物等に害を及ぼす恐れがあることから、これらの流出を低減するため、アメリカ環境保護庁(EPA)、や業界団体(同国自動車部品工業会等)等は、自動車用ブレーキパッドへの銅等の使用を制限する自主的な合意、「銅フリー(非含有)ブレーキ・イニシアティブ」(Copper−Free Brake Initiative)に署名した。この合意はブレーキパッドの銅の含有量を2021年までに5%未満、2025年までに0.5%未満に削減するよう求めるもので、水銀や鉛など他の重金属類等の使用削減も求めている。
【0004】
この規制を受け、普通乗用車、2輪車等の軽負荷用ブレーキパッドのレジンモールド材の骨格材料の材質として、今後北米では、銅フリーNAO(Non Asbestos Organic)材がその主流になると予測されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/072441号公報
【特許文献2】国際公開第2013/046543号公報
【0006】
【非特許文献1】「環境・安全・快適性能」を実現する自動車部材、日立化成
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のとおり、ブレーキパッド表面、側面の塗装には、従来はコロナ帯電式またはトリボ帯電式の静電塗装が用いられてきた。これらは、帯電した塗料微粒子を被塗装物に付着させる方法であるが、今後主流となると予測されている銅フリーNAO材ではアースをとっても電荷移動量が少ないため、あるいは電荷移動速度が遅くなるため、この方式だけでは使用できない。
【0008】
さらに、乾燥状態においては、僅かな水分を利用した電荷移動も期待できなくなる。
【0009】
そこで、本発明は、銅フリーNAO材のような、銅を含まない非導電性部材への塗装にも用いることができる粉体塗料およびその粉体塗料を塗布した塗装物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、タッキファイヤーの粘着性付与性能に着目した本発明に想到した。すなわち、本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物は、タッキファイヤーを総質量の3〜25質量%含有し、前記タッキファイヤーがロジン系タッキファイヤーであることを特徴とする。
【0011】
上記タッキファイヤーは、軟化点が100℃以下であることが好ましい。また、上記タッキファイヤーは、ロジンエステルまたはロジン変性マレイン酸樹脂であることがさらに好ましく、ロジンエステルの中では安定化ロジンエステルであることが好ましい。また、上記タッキファイヤーが総質量の3〜15質量%であることがさらに好ましい。また、上記タッキファイヤーは外添法にて添加することもできる。
【0012】
本発明の塗装物は、本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物を塗布したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物により、銅フリーNAO材のような、銅を含まない非導電性部材へも良好に塗装を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明において、非導電性部材とは、体積抵抗率が1MΩ・cm以上の部材を意味する。
【0015】
本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物は、タッキファイヤーおよびベースポリマーである樹脂材料を必須成分とし、その他、充填材、硬化剤、硬化促進剤、レベリング材、分散材等を適宜添加する。以下に、本発明の粉体塗料の詳細について説明する。
【0016】
(1)タッキファイヤー
上述のとおり、本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物は、タッキファイヤーを必須成分として含有する。タッキファイヤーは粘着付与剤とも呼ばれる、ベースポリマーである樹脂材料と相溶して、粘着性を付与させる配合剤であり、その種類は、炭化水素系(脂肪族系、脂環族系、芳香族系)、ロジン系、テルペン系に大別される。前述のとおり、本発明はタッキファイヤーの粘着性付与性能に着目したものであり、任意のタッキファイヤーを用いることができる。
【0017】
タッキファイヤーは、粉体塗料総質量の3〜25質量%含有されていることが好ましく、3〜15質量%含有されていることがさらに好ましい。タッキファイヤーの、対粉体塗料総質量の含有率が3%以上の場合に粉体塗料への粘着性付与が十分となり、また、トリボ帯電塗装では、同比率が25%以下の場合に、粉体塗料の負帯電性が上がりすぎることなく、摩擦電荷が十分に得られるため、粉体塗料が被塗装物の塗面に付着する。そのため、コロナ帯電塗装では、この比率を超えても被塗装物の塗面に付着させることが可能である。
【0018】
タッキファイヤーの軟化点は、100℃以下であることが好ましい。軟化点が100℃以下の場合は、低温度領域でのタックに優れるため、付着しやすくなる。
【0019】
タッキファイヤーとしては、ロジン系タッキファイヤーもしくはテルペン系タッキファイヤーが好ましいが、この中でもロジン系タッキファイヤーであることが好ましい。ロジン系タッキファイヤーや、テルペン系タッキファイヤーは、粘着力が高いため好ましい。
【0020】
ロジン系タッキファイヤーは二重結合を含み、酸化安定性や熱的安定性が不安定であるため、これらの安定性を高める目的で不均化反応、二量化を含む重合反応、水素化反応およびエステル化反応により変性ロジンやロジン誘導体として用いられることが多い。本発明のタッキファイヤーはロジンエステルまたはロジン変性マレイン酸樹脂であるであることがさらに好ましく、ロジンエステルの中では、安定化ロジンエステルであることが特に好ましい。ここで、安定化ロジンエステルとは、上記酸化安定性や熱的安定性を高める方法のうち、まず不均化反応、二量化を含む重合反応、水素化反応を行ったうえで、さらにエステル化反応を行ったロジンエステルをいう。
【0021】
タッキファイヤーの例として、ロジン系タッキファイヤーでは、ロジンエステルとして、ハリマ化成グループ株式会社製ハリタックSE10、ハッリタックF85およびハリタック8LJA、ロジン変性マレイン酸としてハリマ化成グループ株式会社製ハリマックT−80、テルペン系タッキファイヤーとしてヤスハラケミカル株式会社製YSポリスターT−80、YSレジンPX800があげられる。
【0022】
(2)樹脂材料
前述のとおり、本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物は、タッキファイヤーとともにベースポリマーである樹脂材料を必須成分として含有する。本発明の樹脂材料は、特に限定されず、被塗装物やタッキファイヤーの種類等に応じて適宜選択されるが、エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は接着性や耐熱性を有しているため好ましい。
【0023】
(3)その他の成分
本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物は、タッキファイヤーおよびそれと相溶するベースポリマーである樹脂材料が含まれていればよく、その他の、充填材、硬化剤、硬化促進剤、レベリング材、分散材等の成分は、被塗装物やタッキファイヤーおよび樹脂材料の種類等に応じて適宜選択することができる。充填材、硬化剤、硬化促進剤、レベリング材、分散材等の成分には、既知の市販品を用いることができる。
【0024】
(4)タッキファイヤーの添加方法
本発明において、非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物の製造方法は特に限定されないが、タッキファイヤーの添加方法は、内添法と外添法の2つの方法に分けられる。以下にそれぞれについて説明する。
【0025】
(a)内添法
エポキシ樹脂等の樹脂材料及び硬化触媒に、タッキファイヤーを加えて、溶融混練を行う。必要に応じて、前記充填材や各種添加剤を加えることもできる。溶融混練には、エクストルーダー等を用いることができる。溶融混練時の温度は、樹脂材料等にもよるが、90℃〜120℃の範囲とするのが好ましい。溶融混練時間は、10分以下が好ましく、5分以下がより好ましく、60秒以下がさらに好ましい。上述のように全ての原料を一度に溶融混練することもできるが、予め、一部の原料を溶融混合することもできる。溶融混合には、ニーダー、プラネタリーミキサー等を用いることができる。溶融混練した後、冷却固化し、得られた混合物を微粉砕して、分級することによりタッキファイヤーを含有する粉体塗料が得られる。
【0026】
(b)外添法
タッキファイヤーを加えない他は、上述の方法で作製した粉体塗料にタッキファイヤーを担持させる。担持方法としては、ドライブレンド法が挙げられる。この方法では、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、ナウターミキサー等を用いて、タッキファイヤー含有しない粉体塗料とタッキファイヤーを混合することによりタッキファイヤーを担持した粉体塗料を得ることができる。 また、タッキファイヤーを分散させた液中にタッキファイヤーを含有しない粉体塗料を浸漬して混合撹拌した後、乾燥することによってもタッキファイヤーを担持する粉体塗料が得られる。
【0027】
(5)粉体塗料の塗装方法
本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物の塗装方法は、特に限定されず、公知の塗装方法が適用できる。具体的には、コロナ帯電式又はトリボ帯電式等の静電塗装といった塗装方法を用いることができる。
【0028】
上記方法により、タッキファイヤーの粘着性付与性能を利用して、被塗装部材表面に非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物を塗装した後、硬化することにより塗膜を得ることができる。硬化温度及び硬化時間は特に限定されないが、150℃〜250℃で、10分〜2時間硬化するのが好ましい。必要に応じて被塗装部材に予め表面処理を施すことにより、塗膜の密着性等を向上させることもできる。本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物から得られる塗膜の膜厚は特に限定されないが、10μm以上300μm以下が好ましい。
【0029】
本発明の非導電性部材用エポキシ樹脂粉体塗料組成物は、非導電性部材に効果的に塗装することができるため、用途はブレーキパッドに限定されない。各種プラスチック部材、ガラス部材、セラミックス部材、又はそれらの複合材料等の塗装に効果的に用いることができる。具体的には、携帯機器の筐体の他、基板、コンデンサー等の電子・電気機器用部材、バンパー、ドアミラーカバー等の自動車用部材等が挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、特に記載がない場合には、「%」及び「部」は質量%及び質量部を示す。
【0031】
(実施例1)
表1に示す質量比で、タッキファイヤー(ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10)、樹脂材料(三菱化学株式会社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER1002)に、充填材(株式会社龍森社製高純度溶融性石英、FUSELEX WX)、硬化剤(三菱化学株式会社製ジシアンジアミド、jERキュアDICY15)、硬化促進剤(四国化成工業株式会社製イミダゾール、2MZ−A)を配合し、エクストルーダーにより100℃〜150℃で溶融混練した。このときの混練時間は、30秒以下であった。混合物を冷却固化した後、微粉砕することにより粉体塗料を得た。この粉体塗料をトリボ帯電方式塗装ガンを用いて、70g/minの吐出条件で試験片に塗装した。試験片としては、市販の2輪用銅フリーブレーキパッドである、NTB社製ワークの塗膜を剥離し、摩擦材厚みが1cmになるまで重ねたものを使用した。また、塗装時間は、10秒とした。その後、得られた塗膜を190℃で20分硬化した。
【0032】
(実施例2)
実施例1から、タッキファイヤー(ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10)の配合量を表1に示す配合量に増加したこと以外は、実施例1と同じ配合、製造方法を用いて製造した塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した。
【0033】
(実施例3)
実施例1から、タッキファイヤーを、ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10から、同社製ロジン変性マレイン酸、ハリマックT−80に変更し、表1に示す配合量で添加したこと、ロジン変性マレイン酸が硬化剤の役割をはたすため硬化剤を配合しないこと以外は、実施例1と同じ配合、製造方法を用いて製造した塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した。
【0034】
(参考例1)
実施例1から、タッキファイヤーを、ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10から、ヤスハラケミカル株式会社製テルペン系タッキファイヤー、YSポリスターT80に変更し、表1に示す配合量で添加したこと以外は、実施例1と同じ配合、製造方法を用いて製造した塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した
【0035】
(実施例4)
実施例1から、タッキファイヤー(ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10)を除くこと以外は、実施例1と同じ成分を配合し、エクストルーダーにより100℃〜150℃で溶融混練した。このときの混練時間は、30秒以下であった。混合物を冷却固化した後、微粉砕した。得られた微粉砕物にタッキファイヤー(ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10)を表1に示す比で配合して、5分間ドライブレンドした塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した。
【0036】
(参考例2)
参考例1から、タッキファイヤー(ヤスハラケミカル株式会社製テルペン系タッキファイヤー、YSポリスターT80)を除くこと以外は、参考例1と同じ成分を配合し、エクストルーダーにより100℃〜150℃で溶融混練した。このときの混練時間は、30秒以下であった。混合物を冷却固化した後、微粉砕した。得られた微粉砕物にタッキファイヤー(ヤスハラケミカル株式会社製テルペン系タッキファイヤー、YSポリスターT80)を表1に示す比で配合して、5分間ドライブレンドした塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した。
【0037】
(比較例1)
実施例1から、タッキファイヤー(ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10)の配合量を表1に示す配合量に増加したこと以外は、実施例1と同じ配合、製造方法を用いて製造した塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した。
【0038】
(比較例2)
実施例1から、タッキファイヤー(ハリマ化成グループ株式会社製安定化ロジンエステル、ハリタックSE10)を配合しないこと以外は、実施例1と同じ配合、製造方法を用いて製造した塗料を用い、実施例1と同じ方法で塗装した。
【0039】
(粉体塗料の付着状態の評価)
実施例、参考例および比較例の各塗装面を目視で観察して、粉体塗料の付着状態を評価した。評価結果は、以下の3段階で表す。
◎:塗装面の全域にわたり、所定の厚みで粉体塗料の付着が認められる。
○:塗装面の30%以上の領域で粉体塗料の付着が認められる。
×:塗装面の30%未満の領域で粉体塗料の付着が認められる、又は粉体塗料の付着が認められない。
実施例、参考例および比較例の各塗装面の粉体塗料の付着状態を評価した結果を表1および表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1および表2に示すように、タッキファイヤーを過剰に含有する比較例1や、タッキファイヤーを全く含有しない比較例2では付着性がないものの、タッキファイヤーが総質量の3〜25質量%である実施例1〜4および参考例1〜2においては、十分な付着性が得られることがわかる。
【0043】
また、実施例1、2、3および4から、タッキファイヤーの中では、ロジン変性マレイン酸や、ロジンエステル(安定化ロジンエステル)といったロジン系タッキファイヤーが好ましいことがわかる。さらに、実施例4より、タッキファイヤーの添加方法として、内添法とともに外添法も用いることができることがわかる。