(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963912
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ダクト空調・照明一体型システム
(51)【国際特許分類】
F24F 13/078 20060101AFI20211028BHJP
F21K 9/27 20160101ALI20211028BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20211028BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20211028BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20211028BHJP
F21Y 115/00 20160101ALN20211028BHJP
【FI】
F24F13/078
F21K9/27
F21V33/00 330
F24F13/02 A
F24F13/02 C
F21Y103:00
F21Y115:00
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-99880(P2017-99880)
(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公開番号】特開2018-194259(P2018-194259A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 禎章
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】下町 浩二
(72)【発明者】
【氏名】伊東 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】福岡 直
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博之
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/016659(WO,A1)
【文献】
韓国登録実用新案第20−0436124(KR,Y1)
【文献】
特開2006−258362(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/097805(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0090195(US,A1)
【文献】
特開平04−012401(JP,A)
【文献】
特開2017−134971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/078
F24F 13/02
F21V 33/00
F21K 9/27
F21Y 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の天井に沿って配置され、前記天井より下方に延びる一対の側部と、前記一対の側部を連結する底部と、前記側部から側方に突出し、前記底部と連なる顎部とを有し、室内に空気を案内するダクトと、
前記ダクトの顎部上に設けられ、前記天井に向けて光を放射する照明具と、を備え、
前記ダクトの一対の側部には、前記天井に沿って空気を送り出す開口がそれぞれ設けられている、ダクト空調・照明一体型システム。
【請求項2】
前記顎部は、その先端部に、上方に延びる立上り部を備える、請求項1に記載のダクト空調・照明一体型システム。
【請求項3】
前記照明具は、シェードで覆われている、請求項1に記載のダクト空調・照明一体型システム。
【請求項4】
前記照明具は、前記ダクトの前記側部に設けられた導光板照明具である、請求項1に記載のダクト空調・照明一体型システム。
【請求項5】
前記ダクトの前記側部は、前記天井から下方に延びる第一の側部と、前記ダクトの前記底部から上方に延びる第二の側部と、を備え、前記第一の側部と、前記第二の側部との間には、隙間が形成されている、請求項1〜4の何れかに記載のダクト空調・照明一体型システム。
【請求項6】
前記室内は、互いに対向して配置される第一の壁部及び第二の壁部を備え、前記ダクトは、前記第一の壁部の端部近傍及び前記第二の壁部の端部近傍まで延びるように形成されている、請求項1〜5の何れかに記載のダクト空調・照明一体型システム。
【請求項7】
前記照明具は、直管型LEDを含む、請求項1〜6の何れかに記載のダクト空調・照明
一体型システム。
【請求項8】
前記天井及び前記ダクトの前記側部の少なくとも何れか一方には、前記照明具から放射された前記光を反射する反射フィルムが被覆されている、請求項1〜7の何れかに記載のクト空調・照明一体型システム。
【請求項9】
前記室内の前記天井に配置された空調機をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載のダクト空調・照明一体型システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト空調システムに関し、特に、ダクト空調・照明一体型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスビルや公共施設等の建物において、空調システムとして、天井空間等に設置されるダクトを利用して空気を供給するダクト空調システムが、使用されている。この種のダクト空調システムが、例えば、特開2014‐126313号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のダクト空調システムは、下面側の長手方向に、所定の間隔で複数の開口部を備えた矩形空調ダクトと、温風又は冷風を吹き出す気流吹出手段を備え、かつ、該開口部に着脱自在に装着可能に構成した制気口ユニットと、を備える。そして、この種のダクト空調システムは、空調の必要箇所の直近開口部に、該制気口ユニットを設置可能に構成されている。
【0004】
係るダクト空調システムでは、制気口ユニットは、気流吹出手段に替えて、又は、気流吹出手段に加えて、照明機器を、さらに備えるようになっている。
【0005】
このような構成によって、特にオフィスのパーソナルスペースにおいて、居住者各人の好みに応じた空調と照明の実現が可能となり、また、エネルギー消費の抑制にも寄与するという効果がある、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014‐126313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のダクト空調システムでは、気流吹出手段を備えた制気口ユニットは、上述のように、ダクトの下面側の長手方向に形成された複数の開口部に、露出して設けられているため、意匠性に問題があった。また、制気口ユニットから吹き出される空気は、居住者に直接供給されるようになるため、居住者は、気流による乾燥感や温風感又は冷風感を感じる、といった問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載のダクト空調システムでは、照明機器は、制気口ユニットと同様に、ダクトの下面側の長手方向に形成された複数の開口部に、露出して設けられているため、意匠性に問題があった。また、照明機器からの光は、居住者に直接供給されるようになるため、居住者によっては、眩しさを感じる、という問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、意匠性に優れ、気流感の少ない空気を効率的に送り出すことができ、かつ眩しさを感じず、心地よい光を届けることのできる、ダクト空調・照明一体型システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るダクト空調・照明一体型システムは、室内の天井に配置され、底部及び側部を有し、空気を案内するダクトと、前記ダクトの前記側部に設けられ、前記天井に向けて光を放射する照明具と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
例えば、室内の天井に配置された空調機等から吹き出された空気を、ダクトを介して、室内に案内する場合、空調機等から室内に直接吹き出された空気に比し、ダクトから案内された空気は、気流感の少ない空気となって室内に送り出される。
【0012】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、室内の天井に配置され、底部及び側部を有し、空気を案内するダクトを備えるため、気流感の少ない空気を効率的に送り出すことができ、ダクトによって流れを拘束されることにより、気流到達範囲を拡大することができる。さらに、気流到達範囲を拡大することができるため、空調機等の台数を通常より減らしても、平面的に温度差の少ない空調とすることができる。
【0013】
また、上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、ダクトの側部に設けられ、天井に向けて光を放射する照明具を備えるため、ダクトの側部に設けられた照明具が、居住者から見えにくく、かつ意匠性に優れている。そして、照明具から放射された光が、天井に向けて放射されるため、光が室内に拡散され、照明具から室内に直接放射される光に比し、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0014】
さらに、照明具から室内に直接放射された光と異なり、照度を落として省エネを図ることができるが、明るさ感を低下させることなく、間接照明としての役割を果たす。また、間接照明によって、天井を高く見せられるといった、視覚的効果も有することができる。
【0015】
本発明の一態様として、前記ダクトは、前記側部から側方に突出する顎部を備え、前記照明具は、前記顎部上に設けられている、のが好ましい。
【0016】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、ダクトは、側部から側方に突出する顎部を備え、照明具は、顎部上に設けられているため、ダクトの顎部に設けられた照明具が、ダクトに安定して取り付けられるとともに、居住者からより見えにくく、意匠性により優れたものとなる。
【0017】
本発明の他態様として、前記顎部は、その先端部に、上方に延びる立上り部を備える、のが好ましい。
【0018】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、顎部は、その先端部に、上方に延びる立上り部を備えるため、照明具が、立上り部によって、居住者からさらに見えにくく、意匠性にさらに優れたものとなる。また、照明具から放射された光が、顎部から室内に直接漏れ出すことを防ぐことができる。
【0019】
本発明の他態様として、前記照明具は、シェードで覆われている、のが好ましい。
【0020】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、照明具は、シェードで覆われているため、シェードで覆われた照明具が、居住者から見えなくなり、美観を向上させ、意匠性にさらに優れたものとなる。また、照明具から放射された光が、シェードによってより拡散しやすくなる。
【0021】
本発明のさらに他の態様として、前記照明具は、前記ダクトの前記側部に設けられた導光板照明具である、のが好ましい。
【0022】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、導光板照明具により、表面に均一の光を出すことができる。また、居住者が、導光板照明具から天井に向けて放射された光によって、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0023】
本発明のさらに別の態様として、前記ダクトの前記側部は、前記天井から下方に延びる第一の側部と、前記ダクトの前記底部から上方に延びる第二の側部と、を備え、前記第一の側部と、前記第二の側部との間には、隙間が形成されている、のが好ましい。
【0024】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、ダクトの側部は、天井から下方に延びる第一の側部と、ダクトの底部から上方に延びる第二の側部と、を備え、第一の側部と、第二の側部との間には、隙間が形成されているため、ダクトに案内された空気は、第一の側部と第二の側部との間の隙間から室内に送り出されるが、照明具から放射された光は、隙間を通ることができない構成になっている。
【0025】
すなわち、ダクトに案内され、第一の側部と第二の側部との間の隙間から送り出された空気は、天井に沿う方向に流れ、より気流感の少ない空気となって下降し、室内に送り出されるようになる。
【0026】
また、照明具から天井に向けて放射された光は、隙間からダクト内に入って干渉することがなく、ダクト内が、居住者から見えることがない。
【0027】
本発明のさらに別の態様として、前記室内は、互いに対向して配置される第一の壁部及び第二の壁部を備え、前記ダクトは、前記第一の壁部の端部近傍及び前記第二の壁部の端部近傍まで延びるように形成されている、のが好ましい。
【0028】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムは、室内は、互いに対向して配置される第一の壁部及び第二の壁部を備え、ダクトは、第一の壁部の端部近傍及び第二の壁部の端部近傍まで延びるように形成されているため、ダクトから案内された気流感の少ない空気を、室内全体に亘って、効率的に送り出すことができるとともに、照明具から天井に向けて放射された光を、室内全体に亘って届けることができ、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0029】
本発明のさらに別の態様として、前記照明具は、直管型LEDを含む、のが好ましい。
【0030】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、照明具は、直管型LEDを含むため、従来の蛍光灯等を使用する場合に比し、ランニングコストを削減することができる。
【0031】
本発明のさらに別の態様として、前記天井及び前記ダクトの前記側部の少なくとも何れか一方には、前記照明具から放射された前記光を反射する反射フィルムが被覆されている、のが好ましい。
【0032】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、天井及びダクトの側部の少なくとも何れか一方には、照明具から放射された光を反射する反射フィルムが被覆されているため、照明具から天井に向けて放射された光が、反射フィルムによって効率的に反射され、照度を落としても、明るさ感を低下させることがない。また、室内全体に亘って、眩しさを感じず、より心地よい光を届けることができる。
【0033】
本発明のさらに別の態様として、前記室内の前記天井に配置された空調機と、前記天井に沿って配置され、前記空調機の空気の吹出口から吹き出された風を案内して、前記室内に前記空気を送り出す上記の何れかに記載のダクトと、を備える、のが好ましい。
【0034】
上記構成のダクト空調・照明一体型システムによれば、室内の天井に配置された空調機と、天井に沿って配置され、空調機の空気の吹出口から吹き出された風を案内して、室内に空気を送り出す上記の何れかに記載のダクトと、を備えるため、空調機の空気の吹出口から吹き出された風を、ダクトを介して案内することで、気流感の少ない空気を効率的に送り出すことができる。
【0035】
また、ダクトの側部に設けられた照明具が、居住者から見えにくく、かつ意匠性に優れている。そして、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明のダクト空調・照明一体型システムによれば、意匠性に優れ、気流感の少ない空気を効率的に送り出すことができ、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる、といった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの概要構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの概要構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムを下から見た図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムを介してペリメータゾーンに空気が吹出されている様子を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの概要構成がオフィスに設けられている様子を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの側部に設けられた照明具の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの側部に設けられた照明具の変形例の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの側部に設けられた照明具の変形例の断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの側部に設けられた照明具の変形例の断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの側部に設けられた照明具の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムの概略について、添付図面を参照して説明する。
【0039】
本実施形態に係るダクト空調・照明一体型システムは、例えば、オフィスビルや、公共施設等の建物において、天井空間等に設置されるダクトを利用して、空気を供給するダクト空調と、照明とを、一体的に形成したシステムである。
【0040】
図1に示すように、本実施形態に係るダクト空調・照明一体型システム100は、空調部10と、該空調部10に取り付けられた照明具30と、を備える。なお、照明具30の構成については、後述する。
【0041】
(空調部10の構成)
本実施形態に係る空調部10は、
図1〜3に示すように、室内Rの天井CLに配置され、空気の吹出口11aを有する空調機11と、天井CLに沿って配置され、空調機11の空気の吹出口11aから吹き出された空気Aを案内して、室内Rに空気Aを送り出すダクト12と、を備える。なお、
図1〜
図3中の矢印は、空気Aの流れを表している。
【0042】
室内Rは、互いに対向して配置される第一の壁部W1及び第二の壁部W2を備える。第一の壁部W1及び第二の壁部W2には、例えば、窓Wが設けられている。室内Rには、例えば、一般的なオフィス等と同様に、複数の机Dや、複数組の椅子C、書棚BS、及び間仕切り棚PS等が配置されている。
【0043】
本実施形態において、空調機11は、一般的な空調機を使用可能であり、例えば、天井カセット型の空気調和機、及び天井カセット型の空気清浄機等に使用されるものである。
【0044】
本実施形態において、ダクト12は、側部13及び底部14を有する。ダクト12の側部13には、空気Aを室内Rに向けて送り出す開口15が形成されている。
【0045】
より具体的には、ダクト12の側部13のそれぞれには、空気の吹出口11aから吹き出された空気Aを、天井CLに沿って、水平方向に送り出す開口15が形成されている。
【0046】
本実施形態において、ダクト12は、第一の壁部W1近傍及び第二の壁部W2近傍まで延びるように形成されている。
【0047】
本実施形態において、開口15は、ダクト12の端部12aまで間隔をあけて、複数個設けられている。複数の開口15は、第一の開口15aと、該第一の開口15aよりダクト12の端部12a側に形成された第二の開口15bと、を含む。第二の開口15bは、第一の開口15aより大きな開口面積Bを有する。
【0048】
すなわち、複数の開口15の開口面積Bは、ダクト12の端部12aに向かう開口15ほど大きくなるように形成されている。
【0049】
本実施形態において、複数の開口15は、第二の開口15bよりダクト12の端部12a側に形成された第三の開口15cをさらに含む。
【0050】
第二の開口15bと第三の開口15cとの間の間隔は、第一の開口15aと第二の開口15bとの間の間隔より小さくなるように形成されている。すなわち、複数の開口15の開口間の間隔は、ダクト12の端部12aに向かうほど小さくなるように形成されている。
【0051】
本実施形態において、ダクト12は、空気の吹出口11aの近傍に、空気の吹出口11aから吹き出された空気Aを吸い込む吸込口12bを備える。吸込口12bは、例えば、メッシュ形状に形成されている。なお、本実施形態において、吸込口12bは、メッシュ形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、以下に示すような、所望の流量係数及び開口面積を有するようなものであればよい。
【0052】
本実施形態において、吸込口12bにおける流量係数をαとした場合、流量係数αは、α≧0.5を満たす。
【0053】
本実施形態において、吸込口12bにおける開口面積をBとし、実効面積をαAとした場合、開口面積Bに対する実効面積αAの値αA/Bは、αA/B≧0.4を満たす。
【0054】
本実施形態において、天井CLの裏面やダクト12内部の上面付近に結露を発生させることを防止すべく、ダクト12内部の上面には、プラスチック樹脂が貼付されている(図示せず)。より具体的には、ダクト12内部の上面には、ポリスチレン樹脂が、貼付されている。ポリスチレン樹脂は、15mm以上の厚みを有することが好ましい。
【0055】
図4に示すように、第一の壁部W1(第二の壁部W2)付近の、所謂、ペリメータゾーンは、例えば、直射日光を受けるため、熱負荷が大きい。そのため、本実施形態において、ダクト12の端部12aには、第一の壁部W1及び第二の壁部W2に向けて、空気Aを吹き出す吹出口16が形成されている。ダクト12からの空気Aを、吹出口16からペリメータゾーンに優先的に吹き出すことで、ペリメータゾーンにおける熱処理の効率化を図っている。
【0056】
本実施形態において、吹出口16には、風向板16aが設けられている。ダクト12の端部12aの吹出口16から吹き出された空気Aは、風向板16aを介して、下方に向けて流れた後、第一の壁部W1(第二の壁部W2)に沿って流れるため、窓W付近に直接吹き出されることがない。このような構成によって、第一の壁部W1(第二の壁部W2)付近に均一な空気を届けることができる。
【0057】
本実施形態において、ダクト12の底部14は、フラット状に形成されている。本実施形態において、ダクト12の底部14は、フラット状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ダクト12の底部14は、円弧状に形成されてもよい。本実施形態において、ダクト12の底部14からの放熱(
図3中のダクト12の底部14における矢印を参照のこと)によって、ダクト空調・照明一体型システム100の上下温度差を軽減するのに寄与する。
【0058】
本実施形態において、ダクト12は、室内Rの間仕切り棚PSの直上に配置されている。これにより、ダクト12の開口15から吹き出された空気Aは、室内Rの居住者付近に直接届くのではなく、室内Rの間仕切り棚PSを介して、ダクト12から離れた位置の居住者に、心地よい微気流として届くようになる。
【0059】
(照明具30の構成)
本実施形態において、
図6〜
図10に示すように、室内Rの天井CLに配置されるダクト12の側部13に設けられ、天井CLに向けて光を放射する照明具30を、さらに備える。なお
図6〜10において、図中の点線で示す矢印は、照明具30から放射された光又は天井CLで放射された光を表している。
【0060】
図6に示すように、ダクト12は、側部13から側方に突出する顎部17を備える。照明具30は、顎部17上に設けられている。顎部17は、その先端部17aに、上方に延びる立上り部17bを備える。
【0061】
(照明具30の変形例1)
或いは、
図7に示すように、照明具30は、シェード31で覆われていてもよい。照明具30は、ダクト12の側部13に、斜め下方向に取り付けられている。シェード31によって、照明具30から放射された光が、分散されやすくなる。
【0062】
(照明具の変形例2)
或いは、
図8に示すように、照明具30は、ダクト12の側部13に設けられた導光板照明具32であってもよい。
【0063】
(照明具の変形例3)
或いは、
図9に示すように、ダクト12の側部13は、天井CLから下方に延びる第一の側部13aと、ダクト12の底部14から上方に延びる第二の側部13bと、を備え、第一の側部13aと、第二の側部13bとの間には、隙間Sが形成されていてもよい。
【0064】
なお、図示しないが、第一の側部13a及び第二の側部13bは、天井CLに対して傾斜して設けられていてもよい。例えば、第一の側部13a及び第二の側部13bは、ダクト12の側部13から外方に向けて傾斜して設けられてもよい。
【0065】
(照明具の変形例4)
或いは、
図10に示すように、ダクト12の側部13の一部は、一対の風向板13c,13dとして形成され、ダクト12に案内された空気Aは、天井CLと風向板13cとの間、一対の風向板13c,13dの間から、室内Rに送り出されるようにしてもよい。
【0066】
本実施形態において、図示しないが、照明具30は、直管型LEDを含んでもよい。或いは、照明具30は、一般的な蛍光灯等の蛍光管であってもよい。
【0067】
図6〜
図8に示すように、本実施形態において、天井CL及びダクト12の側部13の少なくとも何れか一方には、照明具30から放射された光を反射する反射フィルム18が被覆されていてもよい。本実施形態において、天井CL及びダクト12の側部13には、照明具30から放射された光を反射する反射フィルム18が被覆されている。
【0068】
天井CL及びダクト12の側部13の少なくとも何れか一方には、拡散反射率90%以上の高反射フィルム18が被覆されている。本実施形態において、天井CL及びダクト12の側部13には、拡散反射率90%以上の高反射フィルム18が被覆されている。
【0069】
以上のように、本実施形態に係るダクト空調・照明一体型システム100によれば、気流感の少ない空気Aを効率的に送り出すことができ、ダクト12によって流れを拘束されることにより、気流到達範囲を拡大することができる。さらに、空調機11等の台数を通常より減らしても、平面的に温度差の少ない空調とすることができる。
【0070】
また、ダクト12の側部13に設けられた照明具30が、居住者から見えにくく、かつ意匠性に優れている。そして、照明具30から放射された光が、天井CLに向けて放射されるため、光が室内Rに拡散され、照明具30から室内Rに直接放射される光に比し、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0071】
また、照明具30から室内Rに直接放射された光と異なり、照度を落として省エネを図ることができるが、明るさ感を低下させることなく、間接照明としての役割を果たす。また、間接照明によって、天井CLを高く見せられるといった、視覚的効果も有することができる。
【0072】
また、ダクト12の顎部17に設けられた照明具30が、ダクト12に安定して取り付けられるとともに、居住者からより見えにくく、意匠性により優れたものとなる。
【0073】
また、照明具30が、立上り部17bによって、居住者からさらに見えにくく、意匠性にさらに優れたものとなる。また、照明具30から放射された光が、顎部17から室内Rに直接漏れ出すことを防ぐことができる。
【0074】
また、シェード31で覆われた照明具30が、居住者から見えなくなり、美観を向上させ、意匠性にさらに優れたものとなる。また、照明具30から放射された光が、シェード31によってより拡散しやすくなる。
【0075】
また、導光板照明具32により、表面に均一の光を出すことができる。また、居住者が、導光板照明具32から天井に向けて放射された光によって、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0076】
また、ダクト12に案内され、第一の側部13a及び第二の側部13bとの間の隙間Sから送り出された空気Aは、天井CLに沿う方向に流れ、より気流感の少ない空気となって下降し、室内Rに送り出されるようになる。
【0077】
また、照明具30から天井CLに向けて放射された光は、隙間Sからダクト12内に入って干渉することがなく、ダクト12内が、居住者から見えることがない。
【0078】
また、ダクト12から案内された気流感の少ない空気Aを、室内R全体に亘って、効率的に送り出すことができるとともに、照明具30から天井CLに向けて放射された光を、室内R全体に亘って届けることができ、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0079】
また、照明具30から天井CLに向けて放射された光が、反射フィルム18によって効率的に反射され、照度を落としても、明るさ感を低下させることがない。また、室内R全体に亘って、眩しさを感じず、より心地よい光を届けることができる。
【0080】
また、空調機11の空気の吹出口11aから吹き出された空気を、ダクト12を介して案内することで、気流感の少ない空気を効率的に送り出すことができる。
【0081】
また、ダクト12の側部13に設けられた照明具30が、居住者から見えにくく、かつ意匠性に優れている。そして、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができる。
【0082】
尚、本発明のダクト空調・照明一体型システム100は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは勿論のことである。
【0083】
上記実施形態において、ダクト12内部の上面には、断熱材として、ポリスチレンフォームが貼付されているが、これに限定されるものではなく、任意の断熱材が貼付されてもよい。要は、天井CLの下面における結露を防止できるようなものであればよい。
【0084】
上記実施形態において、ダクト12の端部12aには、第一の壁部W1及び第二の壁部W2に向けて、空気Aを吹き出す吹出口16が形成され、吹出口16には風向板16aが設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、ダクト12の端部12aには、窓Wとダクト12の端部12aとの間に、ダクト12の端部12aに接続された当て板(図示せず)を設けてもよい。
【0085】
これにより、吹出口16から吹き出された空気Aは、当て板によって、第一の壁部W1及び第二の壁部W2に向かう方向から、左右方向、すなわち、第一の壁部W1及び第二の壁部W2に沿う方向に流れることができる。
【0086】
上記実施形態において、ダクト12は、室内Rの天井CLに配置されているが、例えば、ダクト12は、第一の壁部W1(第二の壁部W2)に接続された状態であってもよい。要は、空調機11等の空気の吹出口11aからの空気Aを案内して、室内Rに送り出せるような構成であればよい。
【0087】
本実施形態において、拡散反射率90%以上の高反射フィルム18が被覆されているが、これに限定されるものではなく、照明具30から天井CLに向けて放射された光が、効率よく反射され、居住者が、眩しさを感じず、心地よい光を届けることができるものであればよい。
【0088】
本実施形態において、複数の開口15のそれぞれに、風向板が設けられていてもよい。これにより、ダクト12に案内された空気Aは、風向板によって複数の開口15のそれぞれから、所望の角度で送り出されることができる。この場合、複数の風向板は、ダクト12の端部12aに向かうほど傾斜して設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のダクト空調・照明一体型システムは、オフィスビルや公共施設等の建物において天井空間等に設置されるダクトを利用して空気を供給する空調システムに、有効に適用される。
【符号の説明】
【0090】
10 空調部、11 空調機、11a 空気の吹出口、12 ダクト、12a 端部、12b 吸込口、13 側部、13a 第一の側部、13b 第二の側部、13c,13d 一対の風向板、14 底部、15 開口、 第一の開口、15b 第二の開口、15c 第三の開口、16 吹出口、16a 風向板、17 顎部、17a 先端部、17b 立上り部、18 反射フィルム(高反射フィルム)、30 照明具、31 シェード、32 導光板照明具、100 ダクト空調・照明一体型システム、A 空気、B 開口面積、C 複数組の椅子、CL 天井、D 複数の机、S 隙間、R 室内、W 窓、W1 第一の壁部、W2 第二の壁部、BS 書棚、PS 間仕切り棚、α 流量係数、αB 実効面積。