特許第6963915号(P6963915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963915
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】ドア
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20211028BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20211028BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20211028BHJP
   G07C 9/00 20200101ALI20211028BHJP
   E05B 1/00 20060101ALN20211028BHJP
【FI】
   E05B49/00 R
   H04N7/18 D
   E06B7/28 C
   G07C9/00 Z
   !E05B1/00 311S
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-110014(P2017-110014)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-204282(P2018-204282A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】野邑 一輝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 衛
(72)【発明者】
【氏名】七野 禎昭
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6020748(JP,B1)
【文献】 特開2005−202765(JP,A)
【文献】 特表2016−517488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
H04N 7/18
E06B 7/28
G07C 9/00−9/38
E05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退室するためのドアであって、
前記ドアを開閉するための操作部と、
前記ドアの室内側又は室外側を撮像するための撮像装置と、
前記ドアの室内側又は室外側を照らすための照明装置と、
を備え、
前記撮像装置は、
前記操作部の近傍又は前記操作部より下の位置に、斜め上方に角度をつけて設けられた第1の枠と
前記第1の枠の面内の第1の軸の周りで前記第1の枠に対して回動可能に設けられた第2の枠と、
前記第2の枠の面内の、前記第1の軸に垂直な第2の軸の周りで前記第2の枠に対して回動可能に設けられ、前記撮像装置の開口を支持する支持部と、
を備え、
前記照明装置は、前記撮像装置の撮像範囲を照らすように設けられる
ことを特徴とするドア。
【請求項2】
前記照明装置は、前記操作部の近傍の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載のドア。
【請求項3】
前記開口及び前記照明装置を同一の前記支持部に設け、一体的に回動可能とする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア、及び、ドアを介した入退室を管理する入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
認知症を患う高齢者などが管理エリアから退出したことを検知する退出管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された退出管理システムは、カメラにより被管理者の顔や姿を撮影し、予め記憶部に記録した登録情報と一致するか否かを判断し、判定結果に応じて、ゲート用ロック手段の操作部分の操作を禁止する禁止部材を制御することにより、被管理者が管理エリアから外へ出て徘徊することを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−143414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された退出管理システムにおいては、被管理者を撮影するためのカメラが扉の内壁面の上部側に設けられている(段落0070、図5)ため、被管理者を上方から撮影することになるが、被管理者が扉から退出しようとするとき、通常、被管理者は上方には向いておらず、ゲート用ロック手段の操作部分を操作するために下方に向いていると考えられる。したがって、特許文献1に記載された退出管理システムでは、被管理者の顔が適切に撮影されず、登録情報との照合の精度が低下しうることを、本発明者らは課題として認識した。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、ドアから入退室する人を識別する精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のドアは、入退室するためのドアであって、ドアを開閉するための操作部と、ドアの室内側又は室外側を撮像するための撮像装置と、ドアの室内側又は室外側を照らすための照明装置と、を備える。撮像装置は、操作部の近傍又は操作部より下の位置に、斜め上方に角度をつけて設けられ、照明装置は、撮像装置の撮像範囲を照らすように設けられる。
【0007】
この態様によると、ハンドルや施錠部などを操作するために下方に向いている入退室者の顔を、ほぼ正面から撮像することができるので、入退室者を識別する精度を向上させることができ、ドアを介した入退室を適切に管理することができる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、ドアである。このドアは、入退室するためのドアであって、ドアを開閉するための操作部と、ドアに内蔵され、ドアの室内側を撮像するための撮像装置と、を備える。
【0009】
この態様によると、撮像装置に電力を供給するための電源線などもドアに内蔵することができるので、ドアの美感を損なうことなく、ドアを介した入退室を適切に管理することができる。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、入退室管理システムである。この入退室管理システムは、入退室するためのドアを開閉するための操作部と、ドアの室内側又は室外側を撮像するための撮像装置と、ドアの室内側又は室外側を照らすための照明装置とを備えるドアと、撮像装置を制御する制御装置と、を備える。撮像装置は、操作部の近傍又は操作部より下の位置に、斜め上方に角度をつけて設けられ、照明装置は、撮像装置の撮像範囲を照らすように設けられ、制御装置は、ドアから入退室する使用者の画像を予め保持する保持部と、ドアを開くために操作部が操作されたときに、撮像装置にドアの室内側又は室外側を撮像させる撮像装置制御部と、撮像装置が撮像した画像を撮像装置から取得し、取得した画像と保持部に保持された画像とを照合することにより、入退室者がいずれの使用者であるかを識別する識別部と、を備える。
【0011】
この態様によると、ハンドルや施錠部などを操作するために下方に向いている入退室者の顔を、ほぼ正面から撮像することができるので、入退室者を識別する精度を向上させることができ、ドアを介した入退室を適切に管理することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドアから入退室する人を識別する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る入退室管理システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
図3】実施の形態に係るドアの断面を概略的に示す図である。
図4】実施の形態に係るドアの別の例を示す図である。
図5】実施の形態に係るドアの更に別の例を示す図である。
図6】実施の形態に係るドアの更に別の例を示す図である。
図7】実施の形態に係るドアの更に別の例を示す図である。
図8】実施の形態に係るドアの更に別の例を示す図である。
図9】実施の形態に係る制御装置の機能ブロックを示す図である。
図10】使用者情報保持部の内部データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態に係る入退室管理システムは、ドアを介して室内に入室する人、又は、ドアを介して室内から退出する人を、ドアに設けられた撮像装置により撮像し、撮像した画像を解析して入退室者を識別する。撮像装置は、ドアに設けられたハンドルや施錠部など、入退室者がドアを開閉するために操作する構成の近傍又はそれより下の位置に、斜め上方に角度をつけて設けられる。これにより、ハンドルや施錠部などを操作するために下方に向いている入退室者の顔を、ほぼ正面から撮像することができるので、入退室者を識別する精度を向上させることができ、ドアを介した入退室を適切に管理することができる。
【0015】
図1は、実施の形態に係る入退室管理システム10の構成を示す。入退室管理システム10は、人が入退室するためのドア20、ドア20に設けられた撮像装置30を制御する制御装置100、入退室管理システム10の使用者が使用する携帯端末200、ドア20を介した入退室に関する情報を管理する管理サーバ300、及びこれらの装置を接続する通信手段の一例であるインターネット12を含む。ドア20は、一般的なドアに設けられるハンドル22や施錠部24、26などのドア20を開閉するための構成に加えて、ドア20に内蔵された撮像装置30及び配線28を備える。配線28は、撮像装置30に電力を供給するための電源線と、撮像装置30と制御装置100とを通信可能に接続する通信線とを含む。撮像装置30をドア20に内蔵しているため、配線28もドア20に内蔵することができる。これにより、ドアの美感を損なうことなく、撮像装置30により入退室者を撮像して、ドア20を介した入退室を適切に管理することができる。ドア枠とドア本体との間の電源線の接続は、有線による接続であってもよいし、非接触給電などによる接続であってもよい。撮像装置30と制御装置100との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。撮像装置30と制御装置100との間の通信を制御する通信装置がドア20に内蔵されてもよい。
【0016】
図1は、ドア20から退室する人を管理するために、ドア20の室内側に撮像装置30が設けられる例を示しているが、ドア20から入室する人を管理するために、ドア20の室外側に撮像装置30が設けられもよいし、ドア20を介して入退室する人を管理するために、ドア20の室内側と室外側の双方に撮像装置30が設けられてもよい。以下の実施例では、主に、ドア20から退室する人を管理する例について説明する。
【0017】
制御装置100には、ドア20を介して入退室する可能性がある使用者を撮像装置30により撮像した画像が予め登録されている。ドア20から人が退室しようとするとき、撮像装置30が退室者を撮像し、制御装置100へ送信する。制御装置100は、撮像された画像を解析し、退室者が予め登録された使用者であるか否かを判定する。予め登録された使用者が退室しようとした場合には、その使用者が退室するときに実行すべき処理を実行する。例えば、退室者や退室時刻などの情報を記録してもよい。また、子供や高齢者などが退室した場合に、退室したことを管理者に通知してもよい。また、認知症を患う高齢者など、退室を制限すべき対象者が退室しようとした場合に、ドア20の開扉を制限してもよい。未登録者が退室しようとした場合には、携帯端末200に画像を送信して管理者に確認し、必要であれば、ドア20の開扉を制限したり、その退室者を新たに登録したりしてもよい。
【0018】
図1に示すように、撮像装置30は、ハンドル22や施錠部24、26など、ドア20を介して入退室する際に入退室者が操作する操作部の周辺又は近傍に設けられる。ハンドル22や施錠部24、26などの操作部は、一般に、入退室者の顔よりも下方の位置に設けられるので、入退室者が操作部を操作する際には、顔が下方に向くことになる。本実施例では、撮像装置30は、操作部の周辺又は近傍に、斜め上方に角度をつけて設けられるので、操作部を操作する入退室者の顔を見上げるように、ほぼ正面から撮像することができる。これにより、入退室者を識別する精度を向上させることができる。また、撮像装置30が施錠部24よりも上方に設けられているので、入退室者が施錠部24を手で操作しているときにも、入退室者の手が撮像装置30と入退室者の顔の間に入らないようにすることができる。これにより、入退室者の手の陰になって入退室者の顔が撮像されない事態を低減させることができる。
【0019】
図2は、実施の形態に係る撮像装置30の構成を示す。撮像装置30は、枠32、枠34、支持部36、つまみ40、開口50、及び照明装置60を備える。枠32は、斜め上方に角度をつけてドア20に設置される。枠34は、軸42の周りに回動可能に設けられており、枠32に対して上下方向に回動させることができる。支持部36は、開口50及び照明装置60を支持する。支持部36は、軸44の周りに回動可能に設けられており、枠34に対して左右方向に回動させることができる。したがって、入退室管理システム10の使用者は、つまみ40を把持して支持部36を回動させることにより、開口50及び照明装置60の方向を手動で自由に調整することができる。また、支持部36を回動させるための図示しない機構が設けられており、制御装置100が開口50及び照明装置60の方向を自動で調整することができる。これにより、使用者の身長や姿勢などに合わせて、使用者の顔が適切に撮像されるように、撮像装置30の設置角度を調整することができる。また、使用者の成長や老化などにより顔の高さが変化した場合であっても、変化に応じて撮像装置30の設置角度を調整することができるので、長期にわたってドア20を使用し続けることができる。また、開口50及び照明装置60を同一の支持部36に設け、一体的に回動可能とすることにより、撮像装置30の撮像範囲と照明装置60の照明範囲とを連動させることができるので、撮像装置30の撮像範囲を確実に照らすことができる。また、照明装置60は撮像装置30の近傍に位置するため、照明装置60の明かりが使用者の目を引き、使用者の顔を撮像装置30に向けさせることができる。このため、使用者を識別する精度を向上させることができる。
【0020】
撮像装置30は、可視光を撮像可能な一般的なカメラであってもよいし、赤外光を撮像可能な赤外線カメラであってもよいし、それらの双方が設けられてもよい。赤外線カメラを設ける場合には、ドア20の周辺が暗い場合であっても、入退室者の顔を適切に撮像することができ、入退室者を識別する精度を向上させることができる。赤外線カメラを設ける場合には、赤外光を照射可能な照明装置60が設けられる。この場合、後述するように、入退室者の顔を照らすだけでなく、操作部の周辺を照らしたり、識別の成否を示したりするために照明装置60を使用する場合には、照明装置60として、赤外光を照射可能な照明装置と、可視光を照射可能な照射装置が設けられる。
【0021】
図3は、実施の形態に係るドア20の断面を概略的に示す。撮像装置30は、斜め上方に角度をつけてドア20の内側の表面に設けられる。これにより、撮像装置30よりも上方にある入退室者の顔を、入退室者がハンドル22や施錠部24、26を操作するために下方に俯いたときに、ほぼ正面から撮像することができる。
【0022】
図4は、実施の形態に係るドア20の別の例を示す。図1に示したドア20では、ハンドル22及び施錠部24、26よりも上方に撮像装置30が設けられたが、図4の例では、施錠部24の左方に撮像装置30が設けられる。図4に示したドア20は、右開きであり、右方にハンドル22及び施錠部24、26が設けられているので、多くの入退室者は右手でハンドル22及び施錠部24、26を操作すると考えられる。したがって、施錠部24の左方に撮像装置30を設けることにより、入退室者が施錠部24又はハンドル22を手で操作しているときにも、入退室者の手が撮像装置30と入退室者の顔の間に入らないようにすることができる。これにより、入退室者の手の陰になって入退室者の顔が撮像されない事態を低減させることができる。撮像装置30は、ハンドル22又は施錠部26の左方に設けられてもよい。また、ドア20が左開きであり、ハンドル22及び施錠部24、26が左方に設けられる場合は、ハンドル22又は施錠部24、26の右方に撮像装置30が設けられてもよい。
【0023】
図5は、実施の形態に係るドア20の更に別の例を示す。図1に示したドア20では、棒状のハンドル22が上下方向に設けられたが、図5の例では、棒状のハンドル22が左右方向に設けられる。この場合にも、撮像装置30は、ハンドル22及び施錠部24、26の上方又は左方に設けられる。例えば、図5の例では、撮像装置30は、ハンドル22の上方、かつ、施錠部24の左方に設けられる。これにより、入退室者が施錠部24又はハンドル22を手で操作しているときにも、入退室者の手が撮像装置30と入退室者の顔の間に入らないようにすることができ、入退室者の手の陰になって入退室者の顔が撮像されない事態を低減させることができる。
【0024】
図6は、実施の形態に係るドア20の更に別の例を示す。図1に示したドア20では、照明装置60は撮像装置30と一体的に設けられたが、図6の例では、照明装置60は撮像装置30とは別個に設けられる。照明装置60も、撮像装置30と同様に、ハンドル22又は施錠部24、26の上方又は左方など、入退室者の手が撮像装置30と入退室者の顔の間に入らないような位置に設けられる。これにより、入退室者の手の陰になって入退室者の顔が照明されない事態を低減させることができる。例えば、図6の例では、複数の照明装置60がハンドル22に沿って線状に設けられている。これにより、入退室者の顔をより明るく照らすことができる。また、ドア20の周囲が暗い場合であっても、ハンドル22の位置を分かりやすくすることができる。また、ドア20の意匠性を向上させることができる。照明装置60は、ハンドル22と一体的に設けられてもよいし、施錠部24又は26と一体的に設けられてもよいし、ドア20の他の構成に組み込まれてもよい。
【0025】
図7は、実施の形態に係るドア20の更に別の例を示す。図1に示したドア20では、主に、成人が入退室する場合を想定して、施錠部24の上方に撮像装置30が設けられたが、身長が低い子供や腰の曲がった高齢者などが入退室する場合には、撮像装置30の位置が入退室者の顔よりも低い位置になることがありうる。したがって、図7の例では、想定される入退室者の顔の位置よりも低い位置に撮像装置30が設けられている。具体的には、下側の施錠部26よりも下方に撮像装置30が設けられる。これにより、身長が低い人が入退室する場合であっても、入退室者の顔を下方から見上げるように、ほぼ正面から撮像することができる。この場合、照明装置60も、ハンドル22又は施錠部24、26より下の位置に設けられてもよい。
【0026】
図8は、実施の形態に係るドア20の更に別の例を示す。図8の例では、図5に示した例における撮像装置30の位置と、図7に示した例における撮像装置30の位置の双方に撮像装置30が設けられる。このように、複数の撮像装置30を異なる高さに設けることにより、様々な身長の人がドア20から入退室する場合であっても、入退室者の顔を適切に撮像することができる。また、広い範囲の高さにわたって、使用者の顔を適切に撮像することができるので、使用者の成長や老化などにより顔の高さが変化した場合であっても、長期にわたってドア20を使用し続けることができる。また、様々な角度から使用者の顔を撮像することができるので、より自然な状態で使用者の顔を認識することができ、識別の精度を向上させることができる。
【0027】
図9は、実施の形態に係る制御装置100の機能ブロックを示す。各ブロックは、ハードウェア的には、CPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等により実現される。ここでは、それらの連携により実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェアの組合せにより様々な態様で実現できる。以降のブロック図も同様である。
【0028】
制御装置100は、通信部102、制御部110、及び記憶装置150を備える。通信部102は、インターネット12や無線通信などを介した、他の装置との間の通信を制御する。通信部102は、有線または無線の任意の通信技術を用いて、他の装置との間で通信を行ってもよい。
【0029】
記憶装置150は、使用者情報保持部151、使用者画像保持部152、及び入退室情報保持部153を備える。使用者情報保持部151は、入退室管理システム10を使用する使用者に関する情報を保持する。使用者画像保持部152は、撮像装置30により撮像された使用者の画像を予め保持する。入退室情報保持部153は、ドア20を介した入退室に関する情報を保持する。
【0030】
図10は、使用者情報保持部151の内部データの例を示す。使用者情報保持部151には、使用者ID欄、使用者画像欄、入退室許否欄、通知要否欄が設けられる。使用者ID欄は、登録する使用者の識別情報を格納する。使用者画像欄は、使用者の画像データのファイル名を格納する。入退室許否欄は、使用者がドア20から入退室することを許可するか否かを示す情報を格納する。通知要否欄は、使用者がドア20から入退室したときに管理者の携帯端末200に通知することを要するか否かを示す情報を格納する。使用者情報保持部151は、使用者の属性情報、例えば、使用者の年齢、性別、身長、眼鏡の有無などを更に保持してもよい。
【0031】
制御部110は、撮像装置制御部111、照明装置制御部112、操作部制御部113、入退室者識別部114、入退室情報記録部115、入退室情報通知部116、入退室情報送信部117、及び使用者登録部118を備える。
【0032】
撮像装置制御部111は、ドア20に設けられた撮像装置30を制御する。撮像装置制御部111は、ハンドル22又は施錠部24、26が入退室者により操作されたことを操作部制御部113から通知されたときに、撮像装置30にドア20の室内側又は室外側を撮像するよう指示する。撮像装置制御部111は、ドア20に内蔵された、又は、ドア20の近傍に設置された人感センサなどのセンサにより、入退室しようとする人がドア20に接近したことが検知されたときに、撮像装置30に撮像を指示してもよい。また、所定のタイミングで、例えば所定の時間間隔で定期的に、撮像装置30に撮像を指示してもよい。
【0033】
撮像装置制御部111は、撮像装置30の方向を自動的に調整する。撮像装置制御部111は、撮像装置30により撮像された画像を解析した結果、使用者情報保持部151に登録されている使用者の情報、過去の入退室者の識別の履歴情報などに基づいて、撮像装置30の適切な方向を決定し、決定した方向に向くよう撮像装置30に指示する。撮像装置制御部111は、入退室者を撮像するたびに撮像装置30の方向を調整してもよいし、所定のタイミング、例えば、所定の期間ごとに、又は、使用者が登録されたときに、撮像装置30の方向を調整してもよい。前者の場合、撮像装置制御部111は、撮像画像に写っている入退室者の顔を認識し、認識された顔の位置が撮像画像において所定の範囲内に入るように、撮像装置30の方向を決定してもよい。後者の場合、撮像装置制御部111は、使用者情報保持部151に登録されている使用者の身長の範囲を取得し、登録されている全ての使用者の顔が適切に撮像されるように、撮像装置30の方向を調整してもよい。
【0034】
照明装置制御部112は、ドア20に設けられた照明装置60を制御する。照明装置制御部112は、ハンドル22又は施錠部24、26が入退室者により操作されたことを操作部制御部113から通知されたとき、又は、ドア20に内蔵された、若しくは、ドア20の近傍に設置された人感センサなどのセンサにより、入退室しようとする人がドア20に接近したことが検知されたときに、照明装置60にドア20の室内側又は室外側を照らすよう指示する。照明装置60により、入退室者の顔が適切に照らされるとともに、操作部の周辺も照らされるので、ドア20の周辺が暗い場合であっても、ハンドル22や施錠部24、26の位置を分かりやすくすることができる。照明装置制御部112は、撮像装置制御部111が撮像装置30に撮像を指示する際に、所定のパターンで照明装置60を発光させる。これにより、入退室者の注意を惹起し、入退室者の視線を照明装置60、ひいては撮像装置30の方に誘導することができるので、より確実に入退室者の顔を撮像することができる。入退室者の視線を撮像装置30の方に誘導するために、撮像装置30の近傍にスピーカーを設け、スピーカーから所定の音声を出力してもよい。
【0035】
照明装置制御部112は、撮像装置30が画像を撮像するときのドア20の周辺の明るさが一定となるように、適切な照度で照明装置60を発光させる。例えば、ドア20の周辺に設けられた明るさセンサにより検知されたドア20の周辺の明るさに基づいて決定された照度で照明装置60を発光させてもよい。これにより、入退室者の顔を撮像する際の明るさを、登録された使用者の画像を撮像した際の明るさと同程度にすることができるので、識別の精度を向上させることができる。照明装置制御部112は、撮像装置30が入退室者の顔を撮像した後、入退室者の識別に成功すると、照明装置60の照明態様を変更してもよい。これにより、識別の成否を照明装置60により入退室者に示すことができ、識別に失敗した場合には、適切に識別可能な画像を撮像することを可能とするために、撮像装置30の方に顔を向けるよう入退室者に促すことができる。
【0036】
操作部制御部113は、ドア20に設けられた施錠部24、26などの操作部を制御する。操作部制御部113は、ハンドル22又は施錠部24、26に設けられたセンサなどにより、ハンドル22又は施錠部24、26が操作されたことが検知された場合、その旨を撮像装置制御部111及び照明装置制御部112に通知する。操作部制御部113は、入退室者識別部114により、入退室者が入室又は退室を制限すべき使用者であると識別された場合には、施錠部24、26が解錠できないように制限する。操作部制御部113は、入退室者識別部114により、入退室者が入室又は退室を許可すべき使用者であると識別された場合には、施錠部24、26を自動的に解錠してもよい。
【0037】
入退室者識別部114は、撮像装置30により撮像された入退室者の画像と、使用者画像保持部152に保持された使用者の画像とを照合し、入退室者がいずれの使用者であるかを判定する。入退室者の画像が、いずれの使用者の画像とも合致しないと判定された場合は、管理者の携帯端末200に入退室者の画像を送信し、確認させてもよい。管理者により、識別に失敗した入退室者の画像が、登録された使用者の画像であると確認された場合には、以降の識別のために、その画像を更に使用者画像保持部152に登録してもよい。これにより、成長による顔の変化、髪型の変化、眼鏡の有無などにより、識別に失敗した場合であっても、以降の識別の精度を向上させることができる。
【0038】
入退室情報記録部115は、ドア20を介した入退室に関する情報を入退室情報保持部153に記録する。入退室情報記録部115は、入退室に関する情報として、例えば、入退室者の識別情報、入退室者の画像、入退室時刻、識別の成否などの情報を入退室情報保持部153に記録する。
【0039】
入退室情報通知部116は、入退室者として識別された使用者が、通知を要する使用者として使用者情報保持部151に登録されている場合に、その使用者が入退室したことを管理者の携帯端末200に通知する。これにより、例えば、子供が帰宅又は外出したことを親に通知したり、被後見人、被保佐人、被補助人、要介護者などが帰宅又は外出したことを、後見人、保佐人、補助人、介護者などに通知したりすることができる。
【0040】
入退室情報送信部117は、携帯端末200からの要求を受けて、入退室情報保持部153に保持されている入退室情報を携帯端末200へ送信する。これにより、管理者は、自身が在室していなかった間の入退室の情報を確認することができる。
【0041】
使用者登録部118は、入退室管理システム10の使用者に関する情報を受け付けて、使用者情報保持部151に登録する。入退室管理システム10の運用にあたって、管理者は、使用者に関する情報と、使用者の画像を予め登録する。使用者登録部118を介して使用者に関する情報及び画像を登録するための機能が、携帯端末200において実行可能なアプリケーションとして提供されてもよい。この場合、管理者は、携帯端末200においてアプリケーションを実行し、使用者に関する情報を入力する。また、使用者を撮像装置30の前に立たせ、撮像装置30により使用者の画像を撮像する。撮像された画像は、制御装置100から携帯端末200へ送信され、携帯端末200の表示装置に表示可能としてもよい。これにより、管理者は、撮像画像を確認しながら、撮像装置30及び照明装置60の向きを調整したり、照明装置60の照度を調整したりして、適切に撮像された使用者の画像を登録することができる。
【0042】
入退室者識別部114により、撮像装置30により撮像された入退室者が、使用者情報保持部151に登録された使用者ではないと判定された場合に、その入退室者を新たな使用者として登録する場合、使用者登録部118は、携帯端末200から新たな使用者の情報を受け付けて、使用者情報保持部151に登録するとともに、撮像装置30により撮像された画像を使用者画像保持部152に登録する。これにより、未登録の使用者であっても適切に制御装置100に登録し、以降は自動的に識別することができる。
【0043】
制御装置100の機能のうちの一部又は全部が、管理サーバ300により実行されてもよい。例えば、入退室情報保持部153が管理サーバ300に設けられ、入退室に関する情報が記録されてもよい。これにより、クラウドコンピューティングなどの技術を用いて、膨大な量の入退室に関する履歴情報を記録し、携帯端末200などから閲覧することを可能とすることができる。
【0044】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0045】
前述の態様のドアにおいて、照明装置は、操作部の近傍の位置に設けられてもよい。
この態様によると、ハンドルや施錠部などの操作部を操作するために下方に向いている入退室者の顔を、適切に照らすことができるので、入退室者を識別する精度を向上させることができ、ドアを介した入退室を適切に管理することができる。
【0046】
前述の態様のドアにおいて、撮像装置は、手動又は自動で方向を調整可能に設けられてもよい。
この態様によると、使用者の顔の高さに合わせて撮像装置の設置角度を適切に調整することができるので、入退室者を識別する精度を向上させることができ、ドアを介した入退室を適切に管理することができる。
【0047】
前述の態様のドアにおいて、操作部は、ドアを開閉する際に入退室者が把持するハンドルを含んでもよい。照明装置は、ハンドルに沿って線状に設けられてもよい。
この態様によると、入退室者の顔をより明るく照らすことができるとともに、ドアの周囲が暗い場合であっても、ハンドルの位置を分かりやすくすることができる。また、ドアの意匠性を向上させることができる。
【0048】
前述の態様の入退室管理システムにおいて、制御装置は、照明装置を制御する照明装置制御部を更に備えてもよい。照明装置制御部は、識別部が入退室者の識別に成功すると、照明装置の照明態様を変更してもよい。
この態様によると、識別の成否を照明装置により入退室者に示すことができ、識別に失敗した場合には、適切に識別可能な画像を撮像することを可能とするために、撮像装置の方に顔を向けるよう入退室者に促すことができる。
【符号の説明】
【0049】
10・・・入退室管理システム、20・・・ドア、22・・・ハンドル、24・・・施錠部、26・・・施錠部、28・・・配線、30・・・撮像装置、50・・・開口、60・・・照明装置、100・・・制御装置、102・・・通信部、110・・・制御部、111・・・撮像装置制御部、112・・・照明装置制御部、113・・・操作部制御部、114・・・入退室者識別部、115・・・入退室情報記録部、116・・・入退室情報通知部、117・・・入退室情報送信部、118・・・使用者登録部、150・・・記憶装置、151・・・使用者情報保持部、152・・・使用者画像保持部、153・・・入退室情報保持部、200・・・携帯端末、300・・・管理サーバ。
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