特許第6963924号(P6963924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社熊谷組の特許一覧

<>
  • 特許6963924-着雪防止装置 図000002
  • 特許6963924-着雪防止装置 図000003
  • 特許6963924-着雪防止装置 図000004
  • 特許6963924-着雪防止装置 図000005
  • 特許6963924-着雪防止装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6963924
(24)【登録日】2021年10月20日
(45)【発行日】2021年11月10日
(54)【発明の名称】着雪防止装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/095 20060101AFI20211028BHJP
   B61L 5/18 20060101ALI20211028BHJP
【FI】
   G08G1/095 D
   G08G1/095 L
   B61L5/18 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-134424(P2017-134424)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-16256(P2019-16256A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】鰐渕 憲昭
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−323423(JP,A)
【文献】 特開平11−110692(JP,A)
【文献】 特開2010−163749(JP,A)
【文献】 特開2002−038429(JP,A)
【文献】 特開2012−084169(JP,A)
【文献】 特開2017−016451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/095
B61L 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置であって、
前記信号機に取り付けられ前記LEDユニット灯器の周囲を取り巻く、複数の孔を有する管と、
前記管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備え、
前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有し、
前記加圧空気は前記複数の孔から噴出され、前記LEDユニット灯器の発光面の側に円錐状の空気の幕を形成する、着雪防止装置。
【請求項2】
信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置であって、
前記信号機に取り付けられ前記LEDユニット灯器の周囲の一部を取り巻く中空のフードであって前記LEDユニット灯器の周方向に互いに間隔をおいて設けられた複数の孔を有するフードと、
前記フードの中空部内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備え、
前記フードの複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線に直交する面内を伸び前記LEDユニット灯器の軸線と直交する複数の軸線を有し、
前記フードの複数の孔の軸線は、前記LEDユニット灯器の軸線に直交する互いに平行な複数の面内にある、着雪防止装置。
【請求項3】
前記フードの複数の孔の軸線は、前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差している、請求項2に記載の着雪防止装置。
【請求項4】
信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置であって、
前記信号機にそのLEDユニット灯器の軸線の周りに回転可能に取り付けられ前記LEDユニット灯器の周囲を取り巻く、複数の孔を有する管と、
前記管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサと、
前記管をその軸線の周りに回転駆動する駆動機構とを備え、
前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有する、着雪防止装置。
【請求項5】
フードが設けられた信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置であって、
信号機に取り付けられ前記LEDユニット灯器の周囲を取り巻く、複数の孔を有する管と、
前記フードによって取り囲まれた空間の内部に配置されかつ前記LEDユニット灯器の周方向に関する前記フードの両端部にそれぞれ取り付けられ前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線の伸長方向へ伸びる一対の直管であって前記フードによって取り囲まれた空間の内部及び外部にそれぞれ向けられた少なくとも1つの孔及び少なくとも1つの孔を有する一対の直管と、
前記管内及び両直管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備え、
前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有する、着雪防止装置。
【請求項6】
前記管の複数の孔は前記管の軸線の周りに互いに5度の中心角をおいて配置されている、請求項1、4又は5に記載の着雪防止装置。
【請求項7】
前記LEDユニット灯器の軸線に対する前記管の各孔の軸線の交差角度は、30〜60度の範囲から選択された一の角度である、請求項1、4、5又は6に記載の着雪防止装置。
【請求項8】
信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置であって、
前記LEDユニット灯器の周りに互いに間隔をおいて前記信号機に取り付けられ前記LEDユニット灯器の軸線の伸長方向へ伸びる複数の直管であって各直管が1の孔又はその軸線方向に互いに間隔をおいて配置された複数の孔を有する複数の直管と、
複数の直管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備え、
複数の直管の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線に直交する面内を伸び前記LEDユニット灯器の軸線と直交する複数の軸線を有する、着雪防止装置。
【請求項9】
複数の直管の孔の軸線は、前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差している、請求項8に記載の着雪防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機や鉄道信号機のような信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通信号機(車両用信号機)における発光手段としてLED(発光ダイオード)ユニット灯器が使用されている。LEDユニット灯器は比較的高い節電効果を発揮するが、その反面、発する熱量が比較的小さい。このため、冬季の降雪地域においては、LEDユニット灯器に付着する雪(着雪)が融けずにこれを覆い、交通信号機の機能が損なわれるという問題があった。
【0003】
従来、この問題の解消法の一つとして、LEDユニット灯器をその発光面の側において透明な傾斜板で覆うことが提案されている。これによれば、LEDユニット灯器の発光面に向けて吹き付ける雪が傾斜板に当たって滑り落ちることによって、交通信号機の機能低下が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−109187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前記従来の実情に鑑み、信号機のLEDユニット灯器への着雪の防止に寄与する着雪防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置に係り、その一の実施の形態(第1の実施の形態)は、信号機に取り付けられそのLEDユニット灯器の周囲を取り巻く、複数の孔を有する管と、該管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備える。ここにおいて、前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で交差する複数の軸線を有し、前記加圧空気は前記複数の孔から噴出され、前記LEDユニット灯器の発光面の側に円錐状の空気の幕を形成する。
【0007】
前記第1の実施の形態によれば、前記エアコンプレッサを作動させて前記管内に加圧空気を供給すると、前記加圧空気が前記複数の孔を経て前記管の内部から外部に噴出する。複数の孔は、前記LEDユニット灯器の発光面の側において、前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有することから、噴出した前記加圧空気は前記LEDユニット灯器の発光面の前方すなわち前記LEDユニット灯器の面前に円錐状の空気の幕を形成する。前記円錐状の空気の幕は、前記LEDユニット灯器の発光面を覆い、該発光面への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0008】
また、本発明の他の実施の形態(第2の実施の形態)に係る着雪防止装置は、信号機に取り付けられそのLEDユニット灯器の周囲の一部を取り巻く中空のフードと、前記フード内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備え、前記フードは前記LEDユニット灯器の周方向に互いに間隔をおいて設けられた複数の孔を有する。ここにおいて、前記フードの複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線に直交する面内を伸び前記LEDユニット灯器の軸線と直交する複数の軸線を有する。前記フードの複数の孔の軸線は、前記LEDユニット灯器の軸線に直交する互いに平行な複数の面内にある。前記複数の軸線は、例えば前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差するもの、あるいは例えば互いに平行に伸びるものとすることができる。
【0009】
前記第2の実施の形態によれば、前記エアコンプレッサを作動させて前記フードの内部である中空部内に加圧空気を供給すると、前記加圧空気が前記フードの複数の孔を経て前記フードの中空部内から外部に噴出する。複数の孔は、前記LEDユニット灯器の発光面の側において、前記LEDユニット灯器の軸線に直交する面内を伸び前記LEDユニット灯器の軸線と直交する複数の軸線を有する。このことから、噴出した前記加圧空気は前記LEDユニット灯器の面前にカーテン状の空気の幕を形成する。前記カーテン状の空気の幕は前記LEDユニット灯器の発光面を遮蔽し、前記LEDユニット灯器への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0010】
本発明のさらに他の実施の形態(第3の実施の形態)に係る着雪防止装置は、信号機にそのLEDユニット灯器の軸線の周りに回転可能に取り付けられ前記LEDユニット灯器の周囲を取り巻く、複数の孔を有する管と、該管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサと、前記管をその軸線の周りに回転駆動する駆動機構とを備える。前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有する。
【0011】
前記第3の実施の形態によれば、前記エアコンプレッサを作動させて前記管内に加圧空気を供給すると、前記加圧空気が前記複数の孔を経て前記管の内部から外部に噴出する。複数の孔は、前記LEDユニット灯器の発光面の側において、前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有することから、噴出した前記加圧空気は前記LEDユニット灯器の面前に円錐状の空気の幕を形成する。また、前記加圧空気の供給に先立ち又はその後に前記駆動機構を作動させて前記管をその軸線の周りに回転させると、前記LEDユニット灯器の面前に空気の旋回流が生じ又は前記円錐状の空気の幕が旋回流に変化する。前記旋回流は、前記LEDユニット灯器への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0012】
本発明のさらに他の実施の形態(第4の実施の形態)に係る着雪防止装置は、フードが設けられた信号機のLEDユニット灯器に適用される。前記着雪防止装置は、前記信号機に取り付けられ前記LEDユニット灯器の周囲を取り巻く、複数の孔を有する管と、前記フードによって取り囲まれた空間の内部に配置されかつ前記LEDユニット灯器の周方向に関する前記フードの両端部にそれぞれ取り付けられ前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線の伸長方向へ伸びる一対の直管と、前記管内及び両直管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備える。前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有する。また、前記一対の直管は、それぞれ、フードによって取り囲まれた空間の内部及び外部にそれぞれ向けられた少なくとも1つの孔及び少なくとも1つの孔を有する。
【0013】
前記第4の実施の形態によれば、前記エアコンプレッサを作動させて前記管内及び両直管内に加圧空気を供給すると、前記加圧空気が前記管の複数の孔を経て前記管の内部から外部に噴出し、また、両直管の孔を経て両直管の内部から外部に噴出する。前記管の複数の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差する複数の軸線を有することから、前記管から噴出した前記加圧空気は前記LEDユニット灯器の面前に円錐状の空気の幕を形成する。また、両直管の一方から噴出した加圧空気は前記フードによって取り囲まれた空間を規定する内面に沿って流動し、また、両直管の他方から噴出した加圧空気は前記フードによって取り囲まれた空間の外部へと流動する。このとき、前記円錐状の空気の幕は両直管から噴出した2方向の空気流に当たり旋回流に変化する。前記旋回流は、前記LEDユニット灯器への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0014】
前記管の複数の孔は該管の軸線の周りに互いに5度の中心角をおいて配置することができ、また、前記LEDユニット灯器の軸線に対する前記管の各孔の軸線の交差角度は、30〜60度の範囲から選択された一の角度とすることができる。
【0015】
本発明のさらに他の実施の形態(第5の実施の形態)に係る着雪防止装置は、前記LEDユニット灯器の周りに互いに間隔をおいて前記信号機に取り付けられ前記LEDユニット灯器の軸線の伸長方向へ伸びる複数の直管であって各直管が1の孔又はその軸線方向に互いに間隔をおいて配置された複数の孔を有する複数の直管と、複数の直管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサとを備える。複数の直管の孔は、それぞれ、前記LEDユニット灯器の発光面の側において前記LEDユニット灯器の軸線に直交する面内を伸びる複数の軸線を有する。前記複数の軸線は、例えば前記LEDユニット灯器の軸線上の一点で互いに交差するもの、あるいは例えば互いに平行なものとすることができる。
【0016】
前記第の実施形態に係る着雪防止装置によれば、前記エアコンプレッサを作動させることにより、複数の直管がこれらの内部に加圧空気の供給を受け、複数の直管内に供給された前記加圧空気はこれらの直管の孔を通して外部に噴出される。噴出した前記加圧空気は前記LEDユニット灯器の面前にカーテン状の空気の幕を形成する。前記カーテン状の空気の幕は前記LEDユニット灯器の発光面を遮蔽し、前記LEDユニット灯器への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の一の実施の形態に係る着雪防止装置の概略的な正面図及び断面図である。
図2】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施の形態における一の例に係る着雪防止装置の概略的な正面図及び断面図である。
図3】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の他の実施の形態における他の例に係る着雪防止装置の概略的な正面図及び断面図である。
図4】(a)及び(b)はそれぞれ本発明のさらに他の実施の形態に係る着雪防止装置の概略的な正面図及び断面図である。
図5】(a)及び(b)はそれぞれ本発明のさらに他の実施の形態に係る着雪防止装置の概略的な正面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図5を参照すると、本発明の複数の実施の形態に係る着雪防止装置が、それぞれ、全体に符号10で示されている。
【0019】
着雪防止装置10は、交通信号機、鉄道信号機等からなる信号機(図示せず)における灯器の一つであるLEDユニット灯器12に適用されている。全体に円形の平面形状を呈するLEDユニット灯器12は、光源としての複数のLED(発光ダイオード)(図示せず)を有する。前記複数のLEDは、LEDユニット灯器12の発光面14を規定するレンズ(図示せず)で覆われている。なお、本発明の実施の形態に係る着雪防止装置10は、図4に示す実施の形態を除いて、例えば歩行者信号機における矩形の平面形状を有するLEDユニット灯器(図示せず)に適用可能であり、また、他の平面形状を有するLEDユニット灯器(図示せず)に適用可能である。
【0020】
図1(a)、(b)に示す第1の実施の形態に係る着雪防止装置10は、円形状の管16と、該管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサ(図示せず)とを備える。
【0021】
管16は前記信号機、より詳細には前記信号機の一部をなすLEDユニット灯器12を保持する灯箱(図示せず)に取り付けられ、LEDユニット灯器12の周囲を取り巻いている。また、より正確には、管16はLEDユニット灯器12の周囲に該LEDユニットと同軸に配置されている。したがって、例えば前記歩行者信号機のLEDユニット灯器に適用される着雪防止装置にあっては、該着雪防止装置を構成する前記管は前記LEDユニット灯器の周囲を取り巻く矩形状の管からなる。
【0022】
管16は複数の孔17を備える。複数の孔17は、それぞれ、LEDユニット灯器12の正面及び背面のうちの正面の側である発光面14の側においてLEDユニット灯器12の軸線L上の一点で互いに交差する複数の軸線l1を有する。複数の孔17は、好ましくは、管16の軸線(したがってLEDユニット灯器12の軸線L)の周りに互いに5度の中心角をおいて配置される。また、LEDユニット灯器12の軸線Lに対する管16の各孔17の軸線l1の交差角度αは、好ましくは、30〜60度の範囲から選択された一の角度に設定される。
【0023】
管16内に加圧空気を供給する前記エアコンプレッサは例えば前記信号機の灯箱内に配置される。前記エアコンプレッサを作動させることにより発生する加圧空気は、管16と前記エアコンプレッサとを相互に接続する配管(図示せず)を介して、管16内に供給される。
【0024】
管16内に供給された前記加圧空気は、複数の孔17を経て、管16の内部からその外部へ、複数の孔17の軸線l1の伸長方向へ噴出される(矢印a参照)。その結果、LEDユニット灯器の12の面前すなわち発光面14の前方へ円錐状に伸びる空気の幕が形成される。前記空気の幕は、LEDユニット灯器12の発光面14への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。前記エアコンプレッサは、電気的な遠隔操作により、例えば気象情報に合わせて作動させまたその作動を停止させることができる。
【0025】
次に図2(a)、(b)を参照して、第2の実施の形態に係る着雪防止装置10の一の例について説明する。
【0026】
着雪防止装置10は、前記信号機の灯箱に取り付けられLEDユニット灯器12の周囲の一部、図示の例においてはLEDユニット灯器12のほぼ上半部の周囲を取り巻く半円筒状の中空のフード18と、該フードの中空の内部すなわち中空部18a内に加圧空気を供給する前記したと同様のエアコンプレッサ(図示せず)とを備える。
【0027】
フード18は、より詳細には、LEDユニット灯器12と同軸に配置されている。フード18は、LEDユニット灯器12の発光面14の側において、LEDユニット灯器12の周方向に互いに間隔(図示の例においては等間隔)をおいて設けられた複数の孔20を有する。
【0028】
複数の孔20は、好ましくは、フード18の軸線(したがってLEDユニット灯器12の軸線L)の周りに互いに5度の中心角をおいて配置されている。また、複数の孔20はそれぞれ複数の軸線l2を有する。複数の孔20の軸線l2は、LEDユニット灯器12の軸線Lに直交する互いに平行な3つの直交面S1、S2、S3内をそれぞれ伸び、LEDユニット灯器12の軸線Lに直交している。より詳細には、各直交面S1、S2、S3内を9つの孔20の軸線l2が伸び、かつ、軸線L上の一点で互いに交差している。図示の例に代えて、複数の孔20の軸線l2が、単一の直交面内、又は、2又は4以上の各直交面内を伸びるものとすることができる。
【0029】
フード18の中空部18a内に加圧空気を供給する前記エアコンプレッサは、前記第1の実施の形態におけると同様、前記信号機の灯箱内に配置され、フード18及び前記エアコンプレッサが配管(図示せず)を介して相互に接続されている。前記エアコンプレッサを作動させることにより発生する加圧空気は、前記配管を通して、フード18の中空部18a内に供給される。
【0030】
フード18の中空部18a内に供給された前記加圧空気は、複数の孔20を経て、フード18の中空部18a内からその外部へ、複数の孔20の軸線l2の伸長方向へ3つの直交面S1、S2、S3のそれぞれに沿って噴出される(矢印a参照)。
【0031】
前記第2の実施の形態の一の例に係る着雪防止装置10によれば、噴出した前記加圧空気はLEDユニット灯器12の面前にLEDユニット灯器の軸線Lに直交する3つのカーテン状の空気の幕を形成する。前記カーテン状の空気の幕は、LEDユニット灯器12の発光面14への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0032】
次に、図3(a)、(b)を参照して、前記第2の実施の形態の他の例について説明する。
【0033】
前記他の例に係る着雪防止装置10は、前記一の例におけるとほぼ同様の構成、すなわち、フード18に設けられた複数の孔20が前記一の例における軸線l2とは異なる方向へ伸びる軸線l2を有することを除き、前記一の例におけると同一の構成を有する。複数の孔20の軸線l2は、図示の例にあっては、LEDユニット灯器12の軸線Lに直交する互いに平行な3つの直交面S1、S2、S3内をそれぞれ伸び、LEDユニット灯器12の軸線Lに直交している。この例では、各直交面S1、S2、S3内を伸びる複数の軸線l2が互いに平行である。
【0034】
前記エアコンプレッサを作動させることにより発生し、前記配管を介してフード18の中空部18a内に供給された加圧空気は、複数の孔20を経て、フード18の中空部18a内からその外部へ、複数の孔20の軸線l2の伸長方向へ噴出される(矢印a参照)。
【0035】
前記他の例によれば、噴出した前記加圧空気はLEDユニット灯器12の面前にLEDユニット灯器の軸線Lに直交する3つの直交面S1、S2、S3に沿ってカーテン状の空気の幕を形成する。前記カーテン状の空気の幕は、LEDユニット灯器12の発光面14への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0036】
次に、図4(a)、(b)に示す第3の実施の形態に係る着雪防止装置10について説明する。
【0037】
着雪防止装置10は、前記第1の実施の形態におけると同様のLEDユニット灯器12の周囲を取り巻く管16及び該管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサ(図示せず)を備える。管16は複数の孔17を有し、複数の孔17は、LEDユニット灯器12の発光面14の側において、LEDユニット灯器12の軸線L上の一点で互いに交差する複数の軸線l1を有する。
【0038】
前記第3の実施の形態においては、管16が、前記信号機の灯箱に、好ましくはリング状のころ軸受(図示せず)を介して、LEDユニット灯器12の軸線Lの周りに回転可能に取り付けられている。管16は、前記灯箱に保持されたモータ及び減速機構を含む駆動機構(図示せず)を介して、LEDユニット灯器12の軸線Lの周りに回転駆動される。
【0039】
また、図4(a)に示すように、前記エアコンプレッサは、LEDユニット灯器12の発光面14の反対側に位置する背面の側において管16に取り付けられ該管の内部に連通する複数(図示の例において4つ)の管22と、該管22に連なる他の管24と、管24に接続されたシール機構を有するスイベルジョイント(図示せず)とを介して、管16に接続されている。複数の管22は、それぞれ、管16からその軸線(LEDユニット灯器12の軸線L)に向けて伸び、また、管24は管16の前記軸線の伸長方向へ伸びている。これにより、管16及び前記エアコンプレッサ間の連通と、前記スイベルジョイントを介しての前記エアコンプレッサに対する管16の回転とが保証される。
【0040】
前記第3の実施の形態に係る着雪防止装置10によれば、前記エアコンプレッサを作動させて管16内に加圧空気を供給すると、前記加圧空気が管16の複数の孔17を経て、管16の内部から外部へ、孔17の軸線l1の伸長方向へ噴出する(矢印a参照)。噴出した前記加圧空気は前記第1の実施の形態におけると同様、LEDユニット灯器12の面前に円錐状の空気の幕を形成する。前記第3の実施の形態においては、前記加圧空気の供給に先立ち又はその後に前記駆動機構を作動させて管16をその軸線の周りに回転(矢印A参照)させると、LEDユニット灯器12の面前に空気の旋回流fが生じ又は前記円錐状の空気の幕が旋回流fに変化する。旋回流fは、LEDユニット灯器12への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0041】
次に、図5(a)、(b)に示す第4の実施の形態に係る着雪防止装置10について説明する。
【0042】
第4の実施の形態に係る着雪防止装置10は、フード26が設けられた信号機のLEDユニット灯器12に適用される。フード26は半円筒状を呈し、LEDユニット灯器12のほぼ上半部を取り囲んでいる。着雪防止装置10は、前記第1の実施の形態におけると同様の管16を備え、管16は前記第1の実施形態におけると同様の複数の孔17を有する。管16は前記信号機の灯箱に取り付けられLEDユニット灯器12の周囲を取り巻いている。
【0043】
着雪防止装置10は、また、フード26によって取り囲まれた空間26a内に配置されかつLEDユニット灯器12の周方向に関するフード26の両端部にそれぞれ取り付けられた一対の直管28を備える。両直管28は、それぞれ、LEDユニット灯器12の発光面14の側においてLEDユニット灯器12の軸線Lの伸長方向へ伸びている。両直管28はそれぞれフード26によって取り囲まれた空間26aに向けられた少なくとも1つの孔(図示せず)及び前記フードによって取り囲まれた空間26aの外部に向けられた少なくとも1つの孔(図示せず)とを有する。両直管28の孔は、それぞれ、2つの軸線l3を有する。両軸線l3は、好ましくは互いに平行である。各直管28に設けられる孔の数を複数とするときは、複数の孔は各直管28にその軸線方向に互いに間隔をおいて設けられる。また、各孔は、各直管28の表面に開口しかつ直管28の軸線方向へ伸びるスリット状の長穴からなるものとすることができる。
【0044】
着雪防止装置10は、さらに、前記信号機の灯箱内に配置され、配管(図示せず)を介して管16及び両直管28に接続された、管16内及び両直管28内に加圧空気を供給するエアコンプレッサ(図示せず)を備える。
【0045】
前記第4の実施の形態に係る着雪防止装置10によれば、前記エアコンプレッサを作動させて管16内及び両直管28内に加圧空気を供給すると、前記加圧空気が管16の複数の孔17を経て、管16の内部から外部へ、孔17の軸線l1の伸長方向へ噴出し(矢印a参照)、また、両直管28の孔を経て両直管28の内部から外部へ、前記孔の軸線l3の伸長方向へ噴出する(矢印b参照)。管16から噴出した前記加圧空気は前記第1の実施の形態におけると同様、LEDユニット灯器12の面前に円錐状の空気の幕を形成する。他方、両直管28から噴出した前記加圧空気は、前記円錐状の空気の幕に対してLEDユニット灯器12の軸線Lの周りに回転力を及ぼし、前記円錐状の空気の幕を旋回流fに変化させる。旋回流fは、LEDユニット灯器12への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【0046】
前記第2の実施の形態の一の例及び他の例におけるフード18を複数の直管(図示せず)で置き換えることができる(第5の実施の形態の一の例及び他の例)。
【0047】
前記第5の実施の態様の前記一の例及び他の例に係る着雪防止装置にあっては、複数の直管がLEDユニット灯器12の周りに互いに間隔をおいて前記信号機の一部である前記灯箱に取り付けられLEDユニット灯器12の軸線Lの伸長方向へ伸びている。各直管は1の孔又はその軸線方向に互いに間隔をおいて配置された複数の孔を有する。複数の直管の孔は、それぞれ、LEDユニット灯器12の発光面14の側においてLEDユニット灯器12の軸線Lに直交する面内を伸び、LEDユニット灯器12の軸線Lと直交する複数の軸線を有する。これらの複数の軸線は、前記一の例にあってはLEDユニット灯器12の軸線L上の一点で互いに交差し、また、前記他の例にあっては互いに平行に伸びる。前記着雪防止装置は、さらに、複数の直管内に加圧空気を供給するエアコンプレッサ(図示せず)を備える。
【0048】
前記第5の実施の形態の前記一の例及び他の例によれば、前記エアコンプレッサを作動させることにより、前記複数の直管がこれらの内部に加圧空気の供給を受け、前記複数の直管内に供給された前記加圧空気が前記複数の孔を通して外部に噴出される。噴出した前記加圧空気はLEDユニット灯器12の面前にカーテン状の空気の幕を形成する。前記カーテン状の空気の幕はLEDユニット灯器12の発光面14を遮蔽し、LEDユニット灯器12への雪の到達とこれに伴う着雪を妨げる働きをなす。
【符号の説明】
【0049】
10 着雪防止装置
12 LEDユニット灯器
14 発光面
16 管
17 孔
18 フード
20 孔
L 軸線
l1、l2、l3 孔の軸線
図1
図2
図3
図4
図5